JP5291515B2 - 多板式クラッチ - Google Patents

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Description

本発明は、クラッチプレートを付勢するクラッチスプリングに皿ばねを使用した多板式クラッチに関する。
多板式クラッチにおいて、入力部材に接続されるクラッチアウタと協働して複数の摩擦板を狭持するプレッシャプレートを備え、このプレッシャプレートを付勢するクラッチスプリングの端部を、回転軸の先端(外方側)に設けられたスプリング保持部材を用いて回転軸の軸方向に移動不能に保持することにより付勢力を発揮するようにしたものがある。この多板式クラッチは、クラッチスプリングに皿ばねを使用することにより、コイルスプリングを使用する場合に比べ、軸方向の長さを抑えて小型化を図っている。この皿ばねは、その端部がスプリング保持部材によって保持されるとともに、反対側の端部がプレッシャプレートによって支持されるように配置されている(例えば、特許文献1参照)。
特公平2−569号公報
ところで、皿ばねは、皿形状から略平坦な形状に弾性変形するときの圧縮寸法(組み付け時の皿ばねの高さ寸法と板厚との差)の微小な変化によって付勢力が変わるので、多板式クラッチの製造時に皿ばねの高さ寸法を厳しく管理する必要がある。そこで、上記従来の構成では、スプリング保持部材と、このスプリング保持部材に隣接して回転軸の内方側に設けられる部材との間にシムを挿入し、スプリング保持部材の軸方向の位置を調節することで、皿ばねの高さ寸法を調節するようにしていた。
しかしながら、シムを用いて皿ばねの高さ寸法を調節する場合、シムが必要になって部品点数が増加する上に、皿ばねの高さ寸法を正確に調節しようとすると、様々な厚みのシムが必要になる。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、皿ばねの高さ寸法を容易に調節可能な多板式クラッチを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、入力部材(14)に接続されるクラッチアウタ(21)と協働して複数の摩擦板(23,24)を狭持するプレッシャプレート(22)を備え、このプレッシャプレート(22)を付勢する皿ばね(52,54)の端部(54A)を、スプリング保持部材(26,27)を用いて回転軸(11)の軸方向に移動不能に保持することにより付勢力を発揮するようにした多板式クラッチ(10)において、前記スプリング保持部材(26,27)を、このスプリング保持部材(26,27)に挿入されて一体回転する出力部材(11,25)にねじ締結により軸方向位置を調整可能に固定し、前記スプリング保持部材(27)は、前記皿ばね(54)の端部(54A)の軸方向の移動を規制する鍔部(27E)を備え、前記鍔部(27E)を前記皿ばね(54)に干渉しない範囲で該皿ばね(54)側に傾斜させたことを特徴とする。
上記構成によれば、スプリング保持部材の軸方向位置を無段階に調節できるので、皿ばねの高さ寸法を容易に調節できるとともに、シムを必要とせず部品点数の削減を図ることができる。さらに、スプリング保持部材には皿ばねの付勢力が常に作用するので、スプリング保持部材が調整した位置から回転して移動することを抑制できる。
また、上記構成によれば、皿ばねとスプリング保持部材との接触点において摩擦係数が小さくなるので、皿ばね及びスプリング保持部材の接触面に表面処理等を施すことなく、皿ばねの荷重特性を調節できる。
上記構成において、前記出力部材(11,25)は、出力軸(11)と、この出力軸(11)の外周に相対回転不能に固定される円筒部材(25)とを備え、前記スプリング保持部材(26,27)は、前記円筒部材(25)の外周にねじ締結されてもよい。
上記構成によれば、スプリング保持部材が出力軸に直接固定される場合に比べ、ねじ部の周長さが長くなるので、ねじ部の接触面積を広げてねじ部の摩擦力を増加させ、スプリング保持部材が調整した位置から回転して移動することを抑制できる。
上記構成において、前記入力部材(14)と前記出力部材(11,25)とのトルク変動に応じて、プレッシャプレート(22)に作用する付勢力を増強又は緩和させ、複数の摩擦板(23,24)を軸方向において圧接方向又は離間方向に移動させるカム機構(36,37)を備え、前記円筒部材(25)は、前記カム機構(36,37)を構成するカム部(25F,25G,28A,29A)が設けられる部材の一部であってもよい。
上記構成によれば、多板式クラッチがカム機構を備えて出力軸の軸方向に大型化しても、スプリング保持部材がカム機構を構成する部材の外周に固定されるので、カム機構とスプリング保持部材とを軸方向に並べて配置する場合に比べ、多板式クラッチの軸方向の長さを短くできる。
上記構成において、前記皿ばね(54)の反対側の端部(54B)をプレッシャプレート(22)と別体の支持部材(53)を介してプレッシャプレート(22)の支持面(22D)から離間した位置で支持させてもよい。
上記構成によれば、皿ばねの高さ寸法を測定する際に基準面となる支持部材がプレッシャプレートの支持面より多板式クラッチの外方側に位置するので、プレッシャプレートの支持面を基準面とする場合に比べ、基準面へのアクセス性が向上し、組み付け後の皿ばねの高さ寸法を多板式クラッチの外方側から容易に測定できる。
本発明によれば、スプリング保持部材を、このスプリング保持部材に挿入されて一体回転する出力部材にねじ締結により軸方向位置を調整可能に固定したため、スプリング保持部材の軸方向位置を無段階に調節できるので、皿ばねの高さ寸法を容易に調節できるとともに、シムを必要とせず部品点数の削減を図ることができる。さらに、スプリング保持部材には皿ばねの付勢力が常に作用するので、スプリング保持部材が調整した位置から回転して移動することを抑制でき、その結果、調整後の狂いを抑制できる。
また、出力部材は、出力軸と、この出力軸の外周に相対回転不能に固定される円筒部材とを備え、スプリング保持部材は、円筒部材の外周にねじ締結されるため、スプリング保持部材が出力軸に直接固定される場合に比べ、ねじ部の周長さが長くなるので、ねじ部の接触面積を広げてねじ部の摩擦力を増加させ、スプリング保持部材が調整した位置から回転して移動することを抑制でき、その結果、調整後の狂いを抑制できる。
また、入力部材と出力部材とのトルク変動に応じて、プレッシャプレートに作用する付勢力を増強又は緩和させ、複数の摩擦板を軸方向において圧接方向又は離間方向に移動させるカム機構を備え、円筒部材は、カム機構を構成するカム部が設けられる部材の一部であるため、多板式クラッチがカム機構を備えて出力軸の軸方向に大型化しても、スプリング保持部材がカム機構を構成する部材の外周に固定されるので、カム機構とスプリング保持部材とを軸方向に並べて配置する場合に比べ、多板式クラッチの軸方向の長さを短くできる。
また、皿ばねの反対側の端部をプレッシャプレートと別体の支持部材を介してプレッシャプレートの支持面から離間した位置で支持させたため、皿ばねの高さ寸法を測定する際に基準面となる支持部材がプレッシャプレートの支持面より多板式クラッチの外方側に位置するので、プレッシャプレートの支持面を基準面とする場合に比べ、基準面へのアクセス性が向上し、組み付け後の皿ばねの高さ寸法を多板式クラッチの外方側から容易に測定できる。したがって、測定結果に応じてスプリング保持部材の軸方向位置を調節することで、皿ばねの高さ寸法を容易に調節できる。
さらに、スプリング保持部材は、皿ばねの端部の軸方向の移動を規制する鍔部を備え、鍔部を皿ばねに干渉しない範囲で皿ばね側に傾斜させたため、皿ばねとスプリング保持部材との接触点において摩擦係数が小さくなるので、皿ばね及びスプリング保持部材の接触面に表面処理等を施すことなく、皿ばねの荷重特性を調節できる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る多板式クラッチを示す断面図であり、図2及び図3は、図1の多板式クラッチの一部を拡大して示す断面図である。なお、図1〜図3において、図の左側を多板式クラッチの内方側、図の右側を多板式クラッチの外方側として説明する。
図1に示すように、多板式クラッチ10は、自動二輪車等の車両に搭載されるエンジンのクランクシャフトから変速機(不図示)の主軸を構成するメインシャフト11へ向かう回転動力伝達経路上に設置され、運転者のクラッチ操作に応じて回転動力(トルク)の伝達を遮断及び接続させるものである。
自動二輪車には、エンジンの一部を構成するクランクケース(不図示)内に、クランクシャフト、メインシャフト及びカウンタシャフト(不図示)が回転自在に支持されている。クランクシャフトには、ドライブギヤが設けられている。メインシャフト11の内方側には、メインシャフト11の外周に設けられたスリーブ12、及び、このスリーブ12の外周に設けられたニードルベアリング13を介して、ドリブンギヤ14が回転自在に支持されており、ドリブンギヤ14はドライブギヤに常時噛み合っている。そして、このドリブンギヤ14とメインシャフト11との間に多板式クラッチ10が構成されている。多板式クラッチ10は、エンジンが備えるエンジンカバー15で覆われている。
多板式クラッチ10は、入力部材であるドリブンギヤ14に接続されるクラッチアウタ21と、クラッチアウタ21内に同軸に配置されるプレッシャプレート22と、クラッチアウタ21の内周面に相対回転不能に係合される複数のフリクションプレート(摩擦板)23と、フリクションプレート23に交互に重ねられ、プレッシャプレート22の内周面に相対回転不能に係合される複数のクラッチプレート(摩擦板)24と、プレッシャプレート22の半径方向内側に配置され、出力軸(回転軸)であるメインシャフト11に固定されるセンタカム(円筒部材)25と、フリクションプレート23とクラッチプレート24とをプレッシャプレート22との間に挟んで圧接させるクラッチセンタ(スプリング保持部材)26と、センタカム25の他端部に調整可能に固定されるスプリング保持プレート(スプリング保持部材)27と、プレッシャプレート22に相対回転不能に、センタカム25の一端側に配置されるアシストカム28と、プレッシャプレート22に相対回転不能に、センタカム25の他端側に配置されるスリッパカム29と、を備えている。メインシャフト11は、出力部材を構成している。
クラッチアウタ21は、ドリブンギヤ14に接続される略円板状の基部21Aと、この基部21Aからメインシャフト11の軸方向に略円筒状に延びる延長筒部21Bとを有している。この延長筒部21Bの半径方向内側には、複数のフリクションプレート23がメインシャフト11の軸方向に移動自在に相対回転不能に係合される。このクラッチアウタ21は、ドリブンギヤ14に接続されるため、ドリブンギヤ14と一体に回転する。また、ドリブンギヤ14とクラッチアウタ21の基部21Aとの間には、ドリブンギヤ14とクラッチアウタ21との間の伝達力の急激な立ち上がりを緩和するダンパースプリング30が配置されている。
プレッシャプレート22は、例えば軽量金属材料であるアルミニウム合金で製造され、メインシャフト11の軸方向に略円筒状に延びる円筒部22Aと、この円筒部22Aの一端に半径方向外方に張り出すように一体形成される加圧板部22Bとを有している。このプレッシャプレート22は、クラッチアウタ21の延長筒部21Bの半径方向内側に配置されている。プレッシャプレート22の外周面(円筒部22Aの外周面)には、クラッチアウタ21の延長筒部21Bに設けられた複数のフリクションプレート23と、メインシャフト11の軸方向に交互に配置される複数のクラッチプレート24とが相対回転不能に係合される。プレッシャプレート22の加圧板部22Bとクラッチプレート24との間には、ジャダースプリング及びスプリングシートからなるスプリング部材31が介挿されている。
センタカム25は、例えば炭素鋼で製造され、メインシャフト11の外周にスプライン結合される円筒部25Aと、円筒部25Aの軸方向の略中央から半径方向外方に張り出して、メインシャフト11の軸方向に直交する円板部25Bとを備えている。このセンタカム25は、スリーブ12、ニードルベアリング13及びドリブンギヤ14との間に環状スペーサ32挟んで配置されている。図2に示すように、センタカム25の一端部及び他端部の外周には、それぞれ雄ねじを構成するねじ部25C,25Dが形成されている。
クラッチセンタ26は、例えば炭素鋼で製造され、図1に示すように、略円板状に形成されている。このクラッチセンタ26は、その外径がクラッチアウタ21の延長筒部21Bの内径よりも小径に形成されることによって、クラッチアウタ21の延長筒部21Bの内側であって、クラッチアウタ21の基部21Aとプレッシャプレート22の円筒部22Aとの間の狭いスペース内に軸方向に移動自在に配置される。図2に示すように、クラッチセンタ26の内周には、雌ねじを構成するねじ部26Aが形成されている。センタカム25のねじ部25C及びクラッチセンタ26のねじ部26Aは、同径で同ピッチに形成されており、クラッチセンタ26がセンタカム25に螺合されて固定される。センタカム25のねじ部25C及びクラッチセンタ26のねじ部26Aのねじ切りの方向は、メインシャフト11(センタカム25)の回転方向に対しクラッチセンタ26が締まる方向に設定されている。
図1に示すように、クラッチセンタ26及びアシストカム28間には、略リング状のスプリング支持プレート(支持部材)51が設けられている。このスプリング支持プレート51は、周方向に凸部51A及び凹部51Bを交互に備えて構成されている。スプリング支持プレート51及びクラッチセンタ26間には、スプリング支持プレート51を介してアシストカム28をセンタカム25の円板部25B側に付勢する皿ばね52が配置されている。
スリッパカム29の外方側には、プレッシャプレート22の円筒部22Aから半径方向内側に突出する突出部22Cがプレッシャプレート22に一体に形成されている。
突出部22Cの外方側には、略リング状のスプリング支持プレート(支持部材)53が突出部22Cの支持面22Dに当接するように設けられている。このスプリング支持プレート53は、周方向に凸部53A及び凹部53Bを交互に備えて構成されている。スプリング支持プレート53及びスプリング保持プレート27間には、スプリング支持プレート53を介してプレッシャプレート22をセンタカム25の円板部25B側に付勢する皿ばね54が配置されている。皿ばね54の端部54Aは、スプリング保持プレート27により軸方向に移動不能に保持され、反対側の端部54Bは、プレッシャプレート22と別体のスプリング支持プレート53を介してプレッシャプレート22の支持面22Dから離間した位置で支持されている。
皿ばね54は、皿ばね52より付勢力が大きくなるよう形成されており、エンジン停止時、及び通常運転時には、皿ばね52,54の付勢力の和は、プレッシャプレート22をクラッチセンタ26側へ付勢するようになっているので、フリクションプレート23及びクラッチプレート24は、プレッシャプレート22とクラッチセンタ26との間で圧接されている。
スプリング保持プレート27は、例えば炭素鋼で製造され、センタカム25に連結される略円板状の基部27Aと、この基部27Aからメインシャフト11の軸方向に略円筒状に延びる円筒部27Bとを有している。図2に示すように、スプリング保持プレート27の内周には、雌ねじを構成するねじ部27Cが形成されている。センタカム25のねじ部25D及びスプリング保持プレート27のねじ部27Cは、同径で同ピッチに形成されており、スプリング保持プレート27がセンタカム25に螺合されて固定される。センタカム25のねじ部25D及びスプリング保持プレート27のねじ部27Cのねじ切りの方向は、メインシャフト11(センタカム25)の回転方向に対しスプリング保持プレート27が締まる方向に設定されている。
センタカム25のねじ部25Dは、スプリング保持プレート27のねじ部27Cよりも軸方向に長く形成されている。スプリング保持プレート27は、図1及び図2では、その基部27Aの外方側側面27Dがセンタカム25の端面25Eと略同一となるようにねじ締結されているが、基部27Aの外方側側面27Dがセンタカム25の端面25Eよりも内方側となるようにねじ締結されることも可能である。
スプリング保持プレート27は、図3に示すように、円筒部27Bの先端部には半径方向外側に突出する鍔部27Eを有している。この鍔部27Eは、皿ばね54の端部54Aの軸方向の移動を規制するものであり、皿ばね54に干渉しない範囲で皿ばね54側に傾斜されている。鍔部27Eの傾斜角度θは、スプリング保持プレート27の軸に垂直な面Nを基準とする皿ばね54の傾斜角度φ以下であって、皿ばね54とスプリング保持プレート27との接触点Aにおいて摩擦係数が小さくなるように、例えば0〜30度に設定される。
図4は、スプリング保持プレート27を多板式クラッチ10(図1参照)の外方側から見た平面図である。なお、図1に示すスプリング保持プレート27は、図4のX−X断面を示す。
スプリング保持プレート27は、外形を形成する複数(本実施の形態では、6つ)の平面39A〜39Fを備え、平面視で外形が多角形(本実施の形態では、六角形)に形成されている。平面39Aと平面39Dとは互いに平行に対向し、平面39Bと平面39Eとは互いに平行に対向し、平面39Cと平面39Fとは互いに平行に対向している。このスプリング保持プレート27は、平行に対向する一対の平面(例えば、平面39A,39D)に工具(不図示)を嵌め合わせ、工具を矢印D方向に回動させることで、スプリング保持プレート27を容易に回転させることが可能となり、スプリング保持プレート27の軸方向位置を容易に調整することが可能となる。
この多角形は、平行に対向する一対の平面を備えていればよく、四角形、八角形といった偶数多角形であればよい。また、スプリング保持プレート27は、平行に対向する一対の平面を円弧で結んだ形状であってもよい。
図1に示すように、メインシャフト11の一端部には、ナット33がワッシャ34,35を介して締結されている。したがって、このナット33を締め付けることにより、ドリブンギヤ14及びナット33間に、環状スペーサ32及びセンタカム25が狭持される。この場合、図示のように、メインシャフト11の先端部がスプリング保持プレート27の円筒部27Bの半径方向内側に配置されるため、円筒部27B内側のスペースを有効利用してナット33及びワッシャ34,35が配置され、メインシャフト11の軸方向への大型化を回避できる。
アシストカム28及びスリッパカム29は、センタカム25の円板部25Bを相互間に挟むようにして配置される。アシストカム28は、略円板状に形成され、その内周はセンタカム25の円筒部25Aの外周に支持され、外周はプレッシャプレート22の円筒部22Aの内周にスプライン結合されている。このアシストカム28は、ドリブンギヤ14から入力されるトルクの増加に応じて加圧板部22Bをクラッチセンタ26に接近させる側にプレッシャプレート22を移動させるカム機構36をセンタカム25と協働して構成している。
スリッパカム29は、略円板状に形成され、その内周はセンタカム25の円筒部25Aの外周に支持され、外周はプレッシャプレート22の円筒部22Aの内周にスプライン結合されている。このスリッパカム29は、メインシャフト11からのバックトルクの増加に応じて加圧板部22Bをクラッチセンタ26から離間させる側にプレッシャプレート22を移動させるカム機構37をセンタカム25と協働して構成している。
カム機構36は、センタカム25の円板部25Bの一面に設けられる複数の凹部(カム部)25Fに、アシストカム28に形成される複数の凸部(カム部)28Aが挿入されて構成されている。カム機構37は、センタカム25の円板部25Bの他面に設けられる複数の凹部(カム部)25Gに、スリッパカム29に形成される複数の凸部(カム部)29Aが挿入されて構成されている。アシストカム28及びスリッパカム29は、同一の材料によって同一形状に形成されている。すなわち、アシストカム28の凸部28A及びスリッパカム29の凸部29Aは同一形状であり、センタカム25の円板部25Bの一面に設けられる凹部25F及び他面に設けられる凹部25Gは同一形状である。
プレッシャプレート22の円筒部22Aの内周には、アシストカム28及びスリッパカム29間に配置され、アシストカム28及びスリッパカム29の間隔を規制するカラー部材38の外周がスプライン結合されている。
メインシャフト11は、軸方向に中空孔11Aを有する中空シャフトに形成されており、このメインシャフト11の中空孔11Aには、一端がエンジンカバー15に軸方向に移動可能に嵌合される作動軸41の他端が軸方向にスライド自在に挿入されている。作動軸41の中間部には半径方向外側に突出する凸部41Aが形成されており、この凸部41Aに隣接してベアリングホルダ42が固定される。
図5は、ベアリングホルダ42を多板式クラッチ10(図1参照)の外方側から見た平面図である。なお、図1に示すベアリングホルダ42は、図5のY−Y断面を示す。
図1及び図5に示すように、ベアリングホルダ42は、略円板状の円板部42Aと、この円板部42Aの外周からメインシャフト11の軸方向に略円筒状に延びる延長筒部42Bと、延長筒部42Bの先端部を半径方向外側に突出させた鍔部42Cとを備えている。円板部42Aの略中央部には、軸孔42Dが形成されており、この軸孔42Dに作動軸41を挿入することとなる。
ベアリングホルダ42の円板部42Aには、軸孔42Dの半径方向外側となる位置に、複数(本実施の形態では、5つ)の貫通孔42Eが形成されている。これら貫通孔42Eは、同形状に形成され、周方向に等間隔に設けられている。このようにベアリングホルダ42に複数(5つ)の貫通孔42Eが形成されているので、貫通孔42Eの分の材料を削減し、ベアリングホルダ42の軽量化を図ることが可能となる。
このベアリングホルダ42の延長筒部42B外周にボールベアリング43を介してリフタプレート44が支持される。
リフタプレート44は、略円板状の円板部44Aと、この円板部44Aの内周からメインシャフト11の軸方向に略円筒状に延びる延長筒部44Bと、延長筒部44Bの先端部を半径方向内側に突出させた鍔部44Cとを備えている。円板部44Aの略中央部には、ベアリングホルダ42を通すための貫通孔44Dが形成されている。したがって、貫通孔44Dにベアリングホルダ42を通すように、リフタプレート44を多板式クラッチ10の外方側から組み付けることで、ボールベアリング43は、ベアリングホルダ42の延長筒部42Bの外周とリフタプレート44の延長筒部44Bの内周に挟まれるとともに、ベアリングホルダ42の鍔部42Cとリフタプレート44の鍔部44Cに挟まれて支持される。リフタプレート44の外周は、プレッシャプレート22に形成された溝22Eに嵌め込まれたサークリップ45によって固定される。
したがって、ベアリングホルダ42は、作動軸41の凸部41A及びボールベアリング43によって軸方向の移動が規制され、リフタプレート44は、ボールベアリング43及びサークリップ45によって軸方向の移動が規制される。
図6は、リフタプレート44を多板式クラッチ10(図1参照)の内方側から見た平面図である。なお、図1に示すベアリングホルダ42は、図6のZ−Z断面を示す。
リフタプレート44の円板部44Aには、円板部44Aの外周から延長筒部44Bの外周まで半径方向の大きさを小さくした複数(本実施の形態では、4つ)の肉抜き部44Eが形成されている。肉抜き部44Eは、同形状であって周方向に等間隔に設けられている。円板部44Aには、肉抜き部44Eを形成することによって延長筒部44Bから半径方向外側に突出した突出部44Fが複数(本実施の形態では、4つ)形成されている。各突出部44Fには、複数(本実施の形態では、2つ)の凹部44Gが形成されている。これら凹部44Gは、リフタプレート44の剛性を低下させない位置に配置されている。このように、リフタプレート44の円板部44Aに複数(4つ)の抜き部44Eが形成され、抜き部44Eによって形成された突出部44Fのそれぞれにも複数(2つ)の凹部44Gが形成されているので、抜き部44E及び凹部44Gの分の材料を削減し、リフタプレート44の軽量化を図ることが可能となる。さらに凹部44Gは、リフタプレート44の剛性を低下させない位置に設けられているので、材料を削減することによってリフタプレート44の剛性が低下することを抑制できる。
図1に示すように、エンジンカバー15には、多板式クラッチ10の遮断・接続を切り換える操作軸46が回動可能に支持されている。操作軸46の一端部はエンジンカバー15から突出しており、この一端部に操作軸46を回動させるレバー47と、レバー47の操作を解除する方向に付勢するリターンスプリング48が設けられている。操作軸46の他端部には、操作軸46の回動に応じて軸方向に移動する伝動軸49の一端部が係合され、伝動軸49の他端部は作動軸41に挿入されて連結されている。
次に、図1を参照して、多板式クラッチ10の動作について説明する。
レバー47が操作されると、操作軸46が回動し、伝動軸49が矢印P方向に移動する。伝動軸49が図中P方向に移動すると、作動軸41、ベアリングホルダ42、ボールベアリング43、及びリフタプレート44を介して、プレッシャプレート22が皿ばね54の付勢力に抗して図中P方向に移動する。これにより、プレッシャプレート22とクラッチセンタ26との間に挟まれて圧接されていたフリクションプレート23とクラッチプレート24との圧接力が弱められて摩擦係合が解除し、クラッチアウタ21とメインシャフト11との間の動力(トルク)伝達が遮断される。
レバー47の操作が解除されると、リターンスプリング48の付勢力により操作軸46が元の位置まで回動し、伝動軸49が矢印Q方向に移動する。伝動軸49が図中Q方向に移動すると、プレッシャプレート22が皿ばね54の付勢力によって図中Q方向に移動する。これにより、プレッシャプレート22とクラッチセンタ26との間でフリクションプレート23とクラッチプレート24とが摩擦係合され、動力伝達(クラッチ接続)状態に切り換わる。
ここで、本構成では、プレッシャプレート22の加圧板部22Bとクラッチプレート24との間に、ジャダースプリング及びスプリングシートからなるスプリング部材31を介挿している。このため、このスプリング部材31により、クラッチ接続時に出る振動(いわゆるジャダー)を回避することが可能である。
この動力伝達状態において加速側のトルク変動が生じたときには、アシストカム28の凸部28Aがセンタカム25の凹部25Fに当接し、アシストカム28には、センタカム25の円板部25Bから離反する側の力が円板部25Bから作用し、皿ばね54の付勢力を打ち消していた皿ばね52による逆向きの付勢力を弱め、皿ばね54によるプレッシャプレート22に対する付勢力を増強させてフリクションプレート23及びクラッチプレート24を軸方向において圧接方向に移動させることになる。
一方、動力伝達状態において減速側のトルク変動が生じたときには、スリッパカム29の凸部29Aにセンタカム25の凹部25Gが当接し、スリッパカム29には、センタカム25の円板部25Bから離反する側の力が円板部25Bから作用し、皿ばね54によるプレッシャプレート22に対する付勢力を緩和させ、フリクションプレート23及びクラッチプレート24を軸方向において離間方向に移動させることになる。
この皿ばね54には、皿ばね54を含む各部品の製造誤差や組み付け誤差等により、その高さ寸法H(図2参照)にばらつきが生じる場合があり、適正な付勢力が得られない場合がある。
本実施の形態では、スプリング保持プレート27を、センタカム25の円筒部25Aにねじ締結により軸方向位置を調整可能に固定したので、スプリング保持プレート27の軸方向位置を無段階に調節できる。したがって、皿ばね54の高さ寸法Hを容易に調節できるとともに、シムを必要とせず部品点数の削減を図ることができる。さらに、スプリング保持プレート27には皿ばね54の付勢力が常に作用するので、スプリング保持プレート27が調整した位置から回転して移動することを抑制でき、その結果、調整後の狂いを抑制できる。
センタカム25のねじ部25D及びスプリング保持プレート27のねじ部27Cのねじ切りの方向は、メインシャフト11(センタカム25)の回転方向に対しスプリング保持プレート27が締まる方向に設定されている。したがって、スプリング保持プレート27とセンタカム25とが締まる方向に力を受けるので、スプリング保持プレート27の緩みを防止し、スプリング保持プレート27の調整後の狂いを抑制できる。
また、ワッシャ35の外径はスプリング保持部材27の内周よりも大きく形成されているので、スプリング保持プレート27が緩んだとしても、ワッシャ35によってスプリング保持プレート27の軸方向の移動が規制され、スプリング保持プレート27の脱落を防止することができる。
スプリング保持プレート27は、メインシャフト11に直接固定するのではなく、メインシャフト11の外周に固定されるセンタカム25の円筒部25Aに固定されるので、スプリング保持プレートがメインシャフトに直接固定される場合に比べ、ねじ部25D,27Cの周長さが長くなる。したがって、ねじ部25D,27Cの接触面積を広げてねじ部25D,27Cの摩擦力を増加させ、スプリング保持プレート27が調整した位置から回転して移動することを抑制でき、スプリング保持プレート27の調整後の狂いを抑制できる。
皿ばね54の高さ寸法Hは、皿ばね54の組み付け後に、多板式クラッチ10の外方側から専用治具を用いて測定される。このとき、皿ばね54及びプレッシャプレート22の突出部22C間には、プレッシャプレート22と別体のスプリング支持プレート53が設けられているので、皿ばね54の高さ寸法Hを測定する際に基準面となるスプリング支持プレート53がプレッシャプレート22の支持面22Dより多板式クラッチ10の外方側に位置する。これにより、プレッシャプレート22の支持面22Dを基準面にする場合に比べ、基準面へのアクセス性が向上し、組み付け後の皿ばね54の高さ寸法Hを多板式クラッチ10の外方側から容易に測定できる。したがって、測定結果に応じて、スプリング保持プレート27のねじ締結の螺合量を変えて軸方向位置を調節することで、皿ばね54の高さ寸法Hを容易に調節できる。
また、スプリング支持プレート53により、皿ばね54の付勢力を確実にプレッシャプレート22に作用させることができる。さらに、スプリング保持プレート27とプレッシャプレート22との間に回転差が生じた場合でも、スプリング支持プレート53によって、皿ばね54とプレッシャプレート22との間に生じる回転摩擦を回避することができる。
皿ばね54は、スプリング保持プレート27との接触点A(図3参照)における摩擦係数が大きい場合、皿形状から略平坦な形状に弾性変形するとき(圧縮時)と、略平坦な形状から皿形状に戻るとき(伸張時)とで荷重特性が異なり、ヒステリシス特性を有する場合がある。
本実施の形態では、皿ばね54に当接する鍔部27Eが、皿ばね54とスプリング保持プレート27との接触点Aにおいて摩擦係数が小さくなる傾斜角度θ(図3参照)(例えば、0〜30度)で傾斜されているので、圧縮時及び伸張時における皿ばね54の荷重特性のばらつき(ヒステリシス特性)を抑えることができる。したがって、スプリング保持プレート27及び皿ばね54の接触面に表面処理等を施すことなく、また、接触面の形状を変更することなく、荷重特性を調節できる。
皿ばね52についても、クラッチセンタ26を、センタカム25の円筒部25Aにねじ締結により軸方向位置を調整可能に固定したので、クラッチセンタ26の軸方向位置を無段階に調節でき、皿ばね52の高さ寸法を容易に調節できる。さらに、クラッチセンタ26には皿ばね52の付勢力が常に作用するので、クラッチセンタ26が調整した位置から回転して移動することを抑制でき、その結果、調整後の狂いを抑制できる。
センタカム25のねじ部25C及びクラッチセンタ26のねじ部26Aのねじ切りの方向は、メインシャフト11(センタカム25)の回転方向に対しクラッチセンタ26が締まる方向に設定されている。したがって、常にクラッチセンタ26とセンタカム25が締まる方向に力を受けるので、クラッチセンタ26の緩みを防止することができ、クラッチセンタ26の調整後の狂いを抑制できる。
クラッチセンタ26は、メインシャフト11に直接固定するのではなく、メインシャフト11の外周に固定されるセンタカム25の円筒部25Aに固定されるので、クラッチセンタがメインシャフトに直接固定される場合に比べ、ねじ部25C,26Aの周長さが長くなる。したがって、ねじ部25C,26Aの接触面積を広げてねじ部25C,26Aの摩擦力を増加させ、クラッチセンタ26が調整した位置から回転して移動することを抑制でき、スプリング保持プレート27の調整後の狂いを抑制できる。
また、皿ばね52とスリッパカム29との間にスプリング支持プレート51を配置したので、皿ばね52の付勢力を確実にスリッパカム29に作用させることができる。さらに、クラッチセンタ26とスリッパカム29との間に回転差が生じた場合でも、スプリング支持プレート51によって、皿ばね52とスリッパカム29との間に生じる回転摩擦を回避することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、スプリング保持プレート27を、これらスプリング保持プレート27に挿入されて一体回転する出力部材にねじ締結により軸方向位置を調整可能に固定したため、スプリング保持プレート27の軸方向位置を無段階に調節できるので、皿ばね54の高さ寸法Hを容易に調節できるとともに、シムを必要とせず部品点数の削減を図ることができる。また、クラッチセンタ26も、出力部材にねじ締結により軸方向位置を調整可能に固定したため、クラッチセンタ26の軸方向位置を無段階に調節できるので、皿ばね52の高さ寸法を容易に調節できる。さらに、クラッチセンタ26及びスプリング保持プレート27には皿ばね52,54の付勢力が常に作用するので、クラッチセンタ26及びスプリング保持プレート27が調整した位置から回転して移動することを抑制でき、その結果、調整後の狂いを抑制できる。
また、本実施の形態によれば、出力部材は、メインシャフト11と、このメインシャフト11の外周に相対回転不能に固定されるセンタカム25とを備え、クラッチセンタ26及びスプリング保持プレート27は、センタカム25の外周にねじ締結されるため、クラッチセンタ及びスプリング保持プレートがメインシャフトに直接固定される場合に比べ、ねじ部25D,27C及びねじ部25C,26Aの周長さが長くなるので、ねじ部25D,27C及びねじ部25C,26Aの接触面積を広げてねじ部25D,27C及びねじ部25C,26Aの摩擦力を増加させ、クラッチセンタ26及びスプリング保持プレート27が調整した位置から回転して移動することを抑制でき、その結果、調整後の狂いを抑制できる。
また、本実施の形態によれば、入力部材(ドリブンギヤ14)と出力部材(メインシャフト11、センタカム25)とのトルク変動に応じて、プレッシャプレート22に作用する付勢力を増強又は緩和させ、複数のフリクションプレート23及びクラッチプレート24を軸方向において圧接方向又は離間方向に移動させるカム機構36,37を備え、円筒部25Aは、カム機構36,37を構成する凹部25F,25G及び凸部28A,29Aが設けられる部材の一部であるため、多板式クラッチ10がカム機構36,37を備えてメインシャフト11の軸方向に大型化しても、クラッチセンタ26及びスプリング保持プレート27がカム機構36,37を構成するセンタカム25の外周に固定されるので、カム機構とクラッチセンタ及びスプリング保持プレートとを軸方向に並べて配置する場合に比べ、多板式クラッチ10の軸方向の長さを短くできる。
また、本実施の形態によれば、皿ばね54の反対側の端部54Bをプレッシャプレート22と別体のスプリング支持プレート53を介してプレッシャプレート22の支持面22Dから離間した位置で支持させたため、皿ばね54の高さ寸法Hを測定する際に基準面となるスプリング支持プレート53がプレッシャプレート22の支持面22Dより多板式クラッチ10の外方側に位置するので、プレッシャプレート22の支持面22Dを基準面とする場合に比べ、基準面へのアクセス性が向上し、組み付け後の皿ばね54の高さ寸法Hを多板式クラッチ10の外方側から容易に測定できる。したがって、測定結果に応じてスプリング保持プレート27の軸方向位置を調節することで、皿ばね54の高さ寸法Hを容易に調節できる。
さらに、本実施の形態によれば、皿ばね54の端部54Aの軸方向の移動を規制する鍔部27Eを備え、鍔部27Eを皿ばね54に干渉しない範囲で皿ばね54側に傾斜させたため、皿ばね54とスプリング保持プレート27との接触点Aにおいて摩擦係数が小さくなるので、皿ばね54及びスプリング保持プレート27の接触面に表面処理等を施すことなく、皿ばね54の荷重特性を調節できる。
図7は、本発明の変形例であって、多板式クラッチの一部を拡大して示す断面図である。なお図7では、図1に示す多板式クラッチ10と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
上記実施の形態では、スプリング保持プレート27はワッシャ35によって軸方向の移動を規制されていたが、本実施の形態では、ワッシャ35に代えて皿ばねワッシャ135が用いられている。この場合、皿ばねワッシャ135の外周をスプリング保持プレート27に当接させ、皿ばね54がスプリング保持プレート27を付勢する方向に対して抗う方向に、皿ばねワッシャ135によってスプリング保持プレート27を付勢させることで、スプリング保持プレート27の緩みの発生を確実に防止することが可能になる。
ここで、スプリング保持プレート27と皿ばね54との接触点Aにおける皿ばね54から作用する力を力Fa、接触点Aにおけるメインシャフト11の軸中心からの距離を半径Raとし、スプリング保持プレート27と皿ばねワッシャ135との接触点Bにおける皿ばねワッシャ135から作用する力を力Fb、接触点Bにおけるメインシャフト11の軸中心からの距離を半径Rbとする。接触点Aにおける力Faと半径Raとを乗じたトルク(Fa×Ra)と、接触点Bにおける力Fbと半径Raとを乗じたトルク(Fb×Rb)との関係が下記式(1)となるように、皿ばねワッシャ135は構成される。
Fa×Ra=Fb×Rb・・・(1)
これにより、スプリング保持プレート27においてトルクが打ち消し合って回転差が生じなくなり、スプリング保持プレート27の緩みを防止することが可能になる。
但し、上記実施の形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
本発明の実施の形態に係る多板式クラッチを示す断面図である。 図1の多板式クラッチの一部を拡大して示す断面図である。 図1の多板式クラッチの一部を拡大して示す断面図である。 スプリング保持プレートを多板式クラッチの外方側から見た平面図である。 ベアリングホルダを多板式クラッチの外方側から見た平面図である。 リフタプレートを多板式クラッチの内方側から見た平面図である。 本発明の変形例であって、多板式クラッチの一部を拡大して示す断面図である。
10 多板式クラッチ
11 メインシャフト(出力部材、出力軸、回転軸)
14 ドリブンギヤ(入力部材)
21 クラッチアウタ
22 プレッシャプレート
22D 支持面
23 フリクションプレート(摩擦板)
24 クラッチプレート(摩擦板)
25 センタカム(出力部材、円筒部材)
25F,25G 凹部(カム部)
26 クラッチセンタ(スプリング保持部材)
27 スプリング保持プレート(スプリング保持部材)
27E 鍔部
28A,29A 凸部(カム部)
36,37 カム機構
51,53 スプリング支持プレート(支持部材)
52,54 皿ばね
54A,54B 端部

Claims (4)

  1. 入力部材(14)に接続されるクラッチアウタ(21)と協働して複数の摩擦板(23,24)を狭持するプレッシャプレート(22)を備え、このプレッシャプレート(22)を付勢する皿ばね(52,54)の端部(54A)を、スプリング保持部材(26,27)を用いて回転軸(11)の軸方向に移動不能に保持することにより付勢力を発揮するようにした多板式クラッチ(10)において、
    前記スプリング保持部材(26,27)を、このスプリング保持部材(26,27)に挿入されて一体回転する出力部材(11,25)にねじ締結により軸方向位置を調整可能に固定し
    前記スプリング保持部材(27)は、前記皿ばね(54)の端部(54A)の軸方向の移動を規制する鍔部(27E)を備え、
    前記鍔部(27E)を前記皿ばね(54)に干渉しない範囲で該皿ばね(54)側に傾斜させたことを特徴とする多板式クラッチ。
  2. 前記出力部材(11,25)は、出力軸(11)と、この出力軸(11)の外周に相対回転不能に固定される円筒部材(25)とを備え、
    前記スプリング保持部材(26,27)は、前記円筒部材(25)の外周にねじ締結されることを特徴とする請求項1に記載の多板式クラッチ。
  3. 前記入力部材(14)と前記出力部材(11,25)とのトルク変動に応じて、プレッシャプレート(22)に作用する付勢力を増強又は緩和させ、複数の摩擦板(23,24)を軸方向において圧接方向又は離間方向に移動させるカム機構(36,37)を備え、
    前記円筒部材(25)は、前記カム機構(36,37)を構成するカム部(25F,25G,28A,29A)が設けられる部材の一部であることを特徴とする請求項2に記載の多板式クラッチ。
  4. 前記皿ばね(54)の反対側の端部(54B)をプレッシャプレート(22)と別体の支持部材(53)を介してプレッシャプレート(22)の支持面(22D)から離間した位置で支持させたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多板式クラッチ。
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