JP5290646B2 - ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、ポンプに関する。
液体や気体等のような流体を移送する際には、流体が通過する流路の途中にポンプを設置し、このポンプの作動により液体を移送することができる。
従来、このポンプとしては、容積が増減するポンプ室を有するハウジングと、ポンプ室に連通し、当該ポンプ室に流体が吸入される管状をなす吸入ポートと、ポンプ室に流入した流体が排出される管状をなす排出ポートと、吸入ポートおよび排出ポートにそれぞれ設置され、対応するポートを開閉する弁体とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のポンプでは、ポンプ室の容積が減少した場合は、吸入ポート側の弁体が閉じ、排出ポート側の弁体が開いて、排出ポートから流体が排出される。また、ポンプ室の容積が増加した場合は、ポンプ室内の圧力が減少し、排出ポート側の弁体が閉じ、吸入ポート側の弁体が開いて、吸入ポートから流体が流入される。
特許文献1に記載のポンプは、各弁体がそれぞれ板状をなす弾性体で構成されている。この弁体は、対応するポートの内壁に片持支持されている。このため、弁体は、撓みが生じ易くなり、また、ポート内を通過する流体の押圧等による経時的な劣化(ヘタリ(伸び))が生じ易くなる。その結果、弁体の開閉が確実に行われず(特に閉状態が保たれず)、ポンプ効率が低下するという問題があった。
特開2006−207436号公報
本発明の目的は、弁体の開閉が確実に行われ(特に閉状態が保たれ)、ポンプ効率が高い状態を長期間維持することができるポンプを提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(19)の本発明により達成される。
(1) 内部が、容積が増減し得るポンプ室と、流体が吸入される吸入室と、流体を排出する排出室と、前記ポンプ室と前記吸入室との間に位置する第1の弁体収納室と、前記ポンプ室と前記排出室との間に位置する第2の弁体収納室とに仕切られ、かつ、前記吸入室と前記第1の弁体収納室とを連通する第1の吸入路と、前記第1の弁体収納室と前記ポンプ室とを連通する第2の吸入路と、前記ポンプ室と前記第2の弁体収納室とを連通する第1の排出路と、前記第2の弁体収納室と前記排出室とを連通する第2の排出路とが設けられたハウジングと、
前記第1の弁体収納室に収納され、弾性体で構成された、円板状をなす第1の弁体と、
前記第2の弁体収納室に収納され、弾性体で構成された、円板状をなす第2の弁体と、
前記ポンプ室の容積を増減させる容積増減手段とを有し、
前記第1の弁体収納室には、その内面に前記第1の弁体の中心部を圧着し、該第1の弁体を支持する第1の支持部が突出形成され、さらに、前記第1の弁体の外周部全周を反らせる、前記第1の支持部と反対方向に突出した第1の突部が形成されており、
前記第2の弁体収納室には、その内面に前記第2の弁体の中心部を圧着し、該第2の弁体を支持する第2の支持部が突出形成されており、
前記第1の弁体は、前記第1の支持部によって前記第1の弁体収納室の内面に圧着された状態で、その外周部の少なくとも一部が前記第1の吸入路を開閉可能に変形し、
前記第2の弁体は、前記第2の支持部によって前記第2の弁体収納室の内面に圧着された状態で、その外周部の少なくとも一部が前記第1の排出路を開閉可能に変形するよう構成されていることを特徴とするポンプ。
(2) 前記第1の吸入路は、前記第1の弁体の中心に対してズレた位置にあり、
前記第1の弁体の外周部は、その前記第1の吸入路側の部分の反りの程度が、前記第1の弁体の中心を介して反対側の部分の反りの程度よりも小さい上記(1)に記載のポンプ。
(3) 前記第2の弁体収納室には、前記第2の弁体の外周部全周を反らせる、前記第2の支持部と反対方向に突出した第2の突部が形成されている上記(1)または(2)に記載のポンプ。
(4) 前記第1の排出路は、前記第2の弁体の中心に対してズレた位置にあり、
前記第2の弁体の外周部は、その前記第1の排出路側の部分の反りの程度が、前記第2の弁体の中心を介して反対側の部分の反りの程度よりも小さい上記(3)に記載のポンプ。
(5) 内部が、容積が増減し得るポンプ室と、流体が吸入される吸入室と、流体を排出する排出室と、前記ポンプ室と前記吸入室との間に位置する第1の弁体収納室と、前記ポンプ室と前記排出室との間に位置する第2の弁体収納室とに仕切られ、かつ、前記吸入室と前記第1の弁体収納室とを連通する第1の吸入路と、前記第1の弁体収納室と前記ポンプ室とを連通する第2の吸入路と、前記ポンプ室と前記第2の弁体収納室とを連通する第1の排出路と、前記第2の弁体収納室と前記排出室とを連通する第2の排出路とが設けられたハウジングと、
前記第1の弁体収納室に収納され、弾性体で構成された、円板状をなす第1の弁体と、
前記第2の弁体収納室に収納され、弾性体で構成された、円板状をなす第2の弁体と、
前記ポンプ室の容積を増減させる容積増減手段とを有し、
前記第1の弁体収納室には、その内面に前記第1の弁体の中心部を圧着し、該第1の弁体を支持する第1の支持部が突出形成され、
前記第2の弁体収納室には、その内面に前記第2の弁体の中心部を圧着し、該第2の弁体を支持する第2の支持部が突出形成され、さらに、前記第2の弁体の外周部全周を反らせる、前記第2の支持部と反対方向に突出した第2の突部が形成されており、
前記第1の弁体は、前記第1の支持部によって前記第1の弁体収納室の内面に圧着された状態で、その外周部の少なくとも一部が前記第1の吸入路を開閉可能に変形し、
前記第2の弁体は、前記第2の支持部によって前記第2の弁体収納室の内面に圧着された状態で、その外周部の少なくとも一部が前記第1の排出路を開閉可能に変形するよう構成されていることを特徴とするポンプ。
(6) 前記第1の排出路は、前記第2の弁体の中心に対してズレた位置にあり、
前記第2の弁体の外周部は、その前記第1の排出路側の部分の反りの程度が、前記第2の弁体の中心を介して反対側の部分の反りの程度よりも小さい上記(5)に記載のポンプ。
(7) 前記第1の支持部および前記第2の支持部のうちの少なくとも一方は、湾曲突面で構成された支持面を有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のポンプ。
(8) 前記第1の支持部の前記支持面は、前記第1の弁体が前記第1の吸入路を開放した際の変形限界を規制する機能を有する上記(7)に記載のポンプ。
(9) 前記第2の支持部の前記支持面は、前記第2の弁体が前記第1の排出路を開放した際の変形限界を規制する機能を有する上記(7)または(8)に記載のポンプ。
(10) 前記第1の弁体収納室と前記第2の弁体収納室とは、互いに並んで配置されており、
前記第1の支持部と前記第2の支持部とは、互いに反対方向に突出している上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のポンプ。
(11) 前記第2の吸入路および前記第1の排出路のうちの少なくとも一方は、複数の貫通孔で構成されている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のポンプ。
(12) 前記第1の弁体と前記第2の弁体とは、互いに大きさが同じものである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載のポンプ。
(13) 前記第1の弁体の前記第1の弁体収納室に対する位置決めを行う第1の位置決め手段を有する上記(1)ないし(12)のいずれかに記載のポンプ。
(14) 前記第2の弁体の前記第2の弁体収納室に対する位置決めを行う第2の位置決め手段を有する上記(1)ないし(13)のいずれかに記載のポンプ。
(15) 前記容積増減手段は、前記ポンプ室の一部を画成し、変形により前記ポンプ室の容積を増減させるダイヤフラムと、前記ダイヤフラムが変形するように該ダイヤフラムを駆動する駆動機構とを有する上記(1)ないし(14)のいずれかに記載のポンプ。
(16) 前記ハウジングは、ハウジング本体と、該ハウジング本体の頂部側を覆う外蓋と、前記ハウジング本体と前記外蓋との間に介在する内蓋とを有し、
前記吸入室および前記排出室は、前記外蓋と前記内蓋とで画成され、前記第1の弁体収納室および前記第2の弁体収納室は、前記ハウジング本体と前記内蓋とで画成されている上記(1)ないし(15)のいずれかに記載のポンプ。
(17) 前記ハウジングは、前記ハウジング本体と前記内蓋との間と、前記内蓋と前記外蓋との間とにそれぞれ介挿されるパッキンを有する上記(1)ないし(16)のいずれかに記載のポンプ。
(18) 前記ハウジングには、前記吸入室に連通する管状をなす吸入ポートと、前記排出室に連通する管状をなす排出ポートとがそれぞれ突出形成されている上記(1)ないし(17)のいずれかに記載のポンプ。
(19) 前記吸入ポートと前記排出ポートとは、同じ方向に突出している上記(18)に記載のポンプ。
本発明によれば、第1の弁体が第1の支持部によって第1の弁体収納室の内面に圧着された状態となっていることにより、当該第1の弁体の外周部が確実に、ハウジングの第1の吸入路を塞ぐことができる(第1の弁体が閉状態となる)。この閉状態では、吸入室からポンプ室への流体の流れが確実に遮断される。また、たとえ第1の弁体が経時的に劣化してその弾性力(復元力)が低下した場合でも、第1の弁体において前述したような圧着状態となっていることにより、第1の弁体が確実に閉状態となる。従って、長期間にわたって、ポンプ効率が高い状態を維持することができる。
また、これと同様に、第2の弁体は、第2の支持部によって第2の弁体収納室の内面に圧着された状態となっていることにより、第2の弁体の外周部が確実に、ハウジングの第1の排出路を塞ぐことができる(第2の弁体が閉状態となる)。この閉状態では、ポンプ室から排出室への流体の流れが確実に遮断される。また、たとえ第2の弁体が経時的に劣化してその弾性力(復元力)が低下した場合でも、第2の弁体において前述したような圧着状態となっていることにより、第2の弁体が確実に閉状態となる。従って、長期間にわたって、ポンプ効率が高い状態を維持することができる。
以下、本発明のポンプを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明のポンプの第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示すポンプの分解斜視図、図3は、図2中の内蓋の拡大斜視図、図4は、図3に示す内蓋を下面側(裏側)から見た図(斜視図)、図5は、図2中の天板の拡大斜視図、図6は、図1に示すポンプの側面図、図7〜図9は、それぞれ、図6中のA−A線断面図(図1に示すポンプの動作状態を示す断面図(図7は停止状態を示し、図8は流体吸入状態を示し、図9は流体排出状態を示す))である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図3、図5〜図10中の上側を「上」、「上方」または「表」、下側を「下」、「下方」または「裏」と言い、図4中の上側を「下」、「下方」または「裏」、下側を「上」、「上方」または「表」と言う。
図1に示すポンプ1は、液体や気体等の流体Fを吸入(吸引)し、その吸入した流体Fを排出するものである。このポンプ1は、ハウジング2と、ハウジング2内に収納された第1の弁体3aおよび第2の弁体3bと、ハウジング2内のポンプ室21の容積を増減させる容積増減手段4とを備えている(図2参照)。以下、各部の構成について説明する。
図2に示すように、ハウジング2は、ハウジング本体5と、ハウジング本体5の上側に順に組み込まれるパッキン20a、内蓋6、パッキン20bおよび外蓋7とを有している。ハウジング2は、これらの部材同士を、例えば、嵌合、圧入、かしめ、接着(接着剤や溶媒による接着)、ネジ止め等のような固定方法により、固定することができる。
図7〜図9に示すように、前述した構成部材により、ハウジング2の内部は、容積が増減し得るポンプ室21と、ポンプ室21の上側に位置する吸入室23と、吸入室23に隣接する排出室24と、ポンプ室21と吸入室23との間に位置する第1の弁体収納室22aと、ポンプ室21と排出室24との間に位置する第2の弁体収納室22bとの5つの部屋に仕切られて(区画されて)いる。また、吸入室23と排出室24とは、互いに並んで配置されている。これと同様に、第1の弁体収納室22aと第2の弁体収納室22bとも、互いに並んで配置されている。
また、ハウジング2は、各部屋同士が連通しており、吸入室23、第1の弁体収納室22a、ポンプ室21、第2の弁体収納室22b、排出室24をこの順に流体Fが通過することができるよう構成されている。すなわち、吸入室23と第1の弁体収納室22aとは、第1の吸入路25を介して互いに連通している。第1の弁体収納室22aとポンプ室21とは、第2の吸入路26を介して互いに連通している。ポンプ室21と第2の弁体収納室22bとは、第1の排出路27を介して互いに連通している。第2の弁体収納室22bと排出室24とは、第2の排出路28を介して互いに連通している。
ハウジング本体5は、ベース部8と、ベース部8の上側に設置される天板9と、ベース部8の裏側(下側)を覆う裏蓋10とで構成されている。
ベース部8は、外形形状が「コ」字状をなす部材である、すなわち、間隙83を介して対向配置された2つの側壁81aおよび81bと、各側壁81a、81bの上端部同士を連結する連結部(頂部)82とを有するものである。各側壁81a、81bおよび連結部82の図2中右側の部分には、それぞれ、ポンプ1を例えば支持台等に固定する際に用いられる爪84が突出形成されている。連結部82には、その中心部を貫通する貫通孔821が形成されている。図2、図7〜図9に示すように、この貫通孔821には、後述する容積増減手段4のダイヤフラム41の軸部412が挿入される(螺合する)。また、連結部82には、貫通孔821の外周側に当該貫通孔821と同心的形成されたリング状の溝822が形成されている。溝822には、ダイヤフラム41のフランジ部413が挿入される。
裏蓋10は、ベース部8の間隙83を覆うものであり、ベース部8に対して固定されている。この裏蓋10は、外形形状が「L」字状をなす部材である、すなわち、ハウジング本体5の底部となる底板101と、底板101の縁部から立設した側壁102とで構成されている。側壁102の内側には、後述する容積増減手段4のベアリング47が嵌合する(支持される)リング状の嵌合部103が突出形成されている。
天板9は、平面視で四角形状をなす板部材であり、ベース部8の連結部82に対して固定されている。図5(図2、図7〜図9も同様)に示すように、天板9の上面91には、2つの上側凹部92a、92bが形成されている。上側凹部92aは、弾性材料で構成された第1の弁体3aが収納される第1の弁体収納室22aを構成するものである(図7〜図9参照)。上側凹部92bは、弾性材料で構成された第2の弁体3bが収納される第2の弁体収納室22bを構成するものである(図7〜図9参照)。
図7(図8、図9も同様)に示すように、上側凹部92a(第1の弁体収納室22a)には、その底部921に第1の支持部(支持面)93が上方に向かって湾曲した状態で突出形成されている(隆起している)。図7に示すように、第1の支持部93は、第1の弁体3aを支持するものである。この第1の支持部93によって、第1の弁体3aは、その中心部31付近が、天板9の上面91に固定された内蓋6の下面(壁面(内面))61に圧着される。すなわち、第1の支持部93と内蓋6の下面61との間で、第1の弁体3aは、その中心部31付近が挟持される。これにより、第1の弁体3aが支持、固定される。また、このような圧着状態となっていることにより、第1の弁体3aの縁部(外周部)32が確実に、ハウジング2の第1の吸入路25を塞ぐことができる(第1の弁体3aが閉状態となる)。この閉状態では、吸入室23からポンプ室21への流体Fの流れが確実に遮断される。また、たとえ第1の弁体3aが経時的に劣化してその弾性力(復元力)が低下した場合でも、圧着状態となっていることにより、第1の弁体3aが確実に閉状態となる。従って、長期間にわたって、ポンプ効率が高い状態を維持することができる。
また、第1の支持部93は、扁平形状をなしている。この第1の支持部93の縁部931の全周は、丸みを帯びている。図8に示すように、第1の弁体3aの縁部32が反って第1の吸入路25が解放した(第1の弁体3aが開状態となった)際、第1の支持部93の縁部931が丸みを帯びていることにより、第1の弁体3aの縁部32がその丸みにならって(沿って)円滑に(無理なく)変形することができるとともに、反り(変形)の限界が規制される。ポンプ1を使用しているときには、第1の弁体3aは、反りとこの反りからの復元とが繰り返される(反復変形する)が、前述したように変形することできることにより、反復変形による経時的な劣化を防止または抑制することができる。
また、第1の支持部93の中心部から図7中若干左側にズレた位置には、ピン932が上方に向かって突出している。図7に示すように、ピン932は、第1の弁体3aの中心部31に形成された位置決め孔33に挿入される。これにより、第1の弁体3aの第1の弁体収納室22a(上側凹部92a)に対する位置決めが確実に行われ、よって、第1の弁体3aの中心部31を内蓋6の下面61に確実に圧着することができる。このように、ポンプ1では、第1の支持部93のピン932と第1の弁体3aの位置決め孔33とで、第1の弁体3aの第1の弁体収納室22aに対する位置決めを行う第1の位置決め手段が構成されている。また、前述したように、ピン932が第1の支持部93の中心部からズレた位置に配置されている。これにより、第1の弁体収納室22aに第1の弁体3aが収納された際、第1の弁体収納室22aにおける空間(隙間)には、ピン932を介して、図7中右側と左側とに大きさに差が生じる。図7に示す構成では、左側、すなわち、第1の吸入路25側の空間が右側の空間よりも大きくなっている。これにより、第1の弁体3aの縁部32の、第1の吸入路25側の部分(内側部321)が十分に変形することができる。
図5に示すように、上側凹部92aの底部921には、上側凹部92b側(図中右側)の部分に、天板9をその厚さ方向に貫通する2つの貫通孔95が形成されている。これらの貫通孔95は、第2の吸入路26として機能する。第2の吸入路26は、第1の弁体収納室22aからポンプ室21へ流体Fを移送する流路である(図8参照)。
このように第2の吸入路26が2つの貫通孔95で構成されていることにより、第2の吸入路26は、流体Fが当該第2の吸入路26を通過するのに過不足ない大きさとなる。これにより、例えば、第2の吸入路26における圧力損失を防止することができる。また、たとえ2つの貫通孔95のうちの一方の貫通孔95が、例えば流体F中に含まれた物質(塵埃等)で塞がれたとしても、他方の貫通孔95で流体Fの移送を行うことができる。
また、各貫通孔95は、それぞれ、図7に示す構成ではその一部が第1の支持部93にかかって(またがって)形成されているが、これに限定されず、第1の支持部93にかからないように形成されていてもよい。
また、貫通孔95の形成数は、2つに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上であってもよい。
図7に示すように、上側凹部92b(第2の弁体収納室22b)には、その底部921に段差部(第2の突部)96が形成されている。この段差部96は、上側凹部92bの周方向に沿ったリング状をなす。第2の弁体収納室22bに第2の弁体3bが収納された(設置された)際、第2の弁体3bは、その縁部32が段差部96によって持ち上げられ(押圧され)、当該縁部32の全周が反る(湾曲変形する)。この反った状態で、第2の弁体3bの縁部32が第1の排出路27を塞ぐことができる(第2の弁体3bが閉状態となる)。第2の弁体3bの縁部32が第1の排出路27を塞いでいるときには、段差部96により、第2の弁体3bの縁部32と上側凹部92bの底部921との間に若干の間隙30が形成される。これにより、第2の弁体3bの縁部32と上側凹部92bの底部921とが過剰に密着する(ブロッキングする)のが防止され、第2の弁体3bは、縁部32が第1の排出路27を塞いでいる状態から第1の排出路27を開放する状態へ迅速に変形することができ、確実に開状態となる。これにより、ポンプ1の流体Fの吸入・排出における応答性が向上する。
また、上側凹部92bの底部921の中心部から図7中若干右側にズレた位置(段差部96の内側)には、ピン97が上方に向かって突出している。図7に示すように、ピン97は、第2の弁体3bの中心部31に形成された位置決め孔33に挿入される。これにより、第2の弁体3bの第2の弁体収納室22b(上側凹部92b)に対する位置決めが確実に行われる。このように位置決めされた第2の弁体3bは、後述する第2の支持部63によって、その中心部31が上側凹部92bの底部921に確実に圧着される(図7参照)。このように、ポンプ1では、上側凹部92bのピン97と第2の弁体3bの位置決め孔33とで、第2の弁体3bの第2の弁体収納室22bに対する位置決めを行う第2の位置決め手段が構成されている。また、前述したように、ピン97が上側凹部92bの底部921の中心部からズレた位置に配置されている。これにより、第2の弁体収納室22bに第2の弁体3bが収納された際、第2の弁体収納室22bにおける空間(隙間)には、ピン97を介して、図7中右側と左側とに大きさに差が生じる。図7に示す構成では、右側、すなわち、第2の排出路28側の空間が左側の空間よりも大きくなっている。これにより、第2の弁体3bの縁部32の第2の排出路28側の部分(内側部321)が十分に変形することができる。
図5に示すように、上側凹部92bの底部921には、上側凹部92a側(図中左側)の部分、すなわち、第2の弁体3bの中心に対してズレた部分に、天板9をその厚さ方向に貫通する2つの貫通孔98が形成されている。これらの貫通孔98は、第1の排出路27として機能する。第1の排出路27は、ポンプ室21から第2の弁体収納室22bへ流体Fを移送する流路である(図9参照)。前述したように第2の弁体3bによって第1の排出路27が塞がれた際には(第2の弁体3bの閉状態では)、ポンプ室21から排出室24への流体Fの流れが遮断される。
このように第1の排出路27が2つの貫通孔98で構成されていることにより、第1の排出路27は、流体Fが当該第1の排出路27を通過するのに過不足ない大きさとなる。これにより、例えば、第1の排出路27における圧力損失を防止することができる。また、たとえ2つの貫通孔98のうちの一方の貫通孔98が、例えば流体F中に含まれた物質(塵埃等)により詰まった(塞がれた)状態となったとしても、他方の貫通孔98で流体Fの移送を行うことができる。
なお、貫通孔98の形成数は、2つに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上であってもよい。
図5に示すように、天板9の上面91には、パッキン20aが収納される収納溝911が形成されている。収納溝911は、上側凹部92a、92bを囲むように設けられたリング状の第1の溝912と、第1の溝912に連通し、上側凹部92aと上側凹部92bとの間を横断する第2の溝913とで構成されている。
図7に示すように、天板9の下面94には、下側凹部99が形成されている。下側凹部99は、容積が増減するポンプ室21を構成するものである。この下側凹部99は、深さが異なる中央部991と、縁部992と、中央部991と縁部992との間の中間部993とに分けることができる。中央部991は、深さが最も深い部分である。縁部992は、深さが最も浅い部分である。中間部993は、縁部992から中央部991に向かって深さが漸増した(変化した)部分であり、傾斜面が形成されている。
ポンプ1では、この下側凹部99の中央部991および中間部993と、容積増減手段4のダイヤフラム41とで囲まれた空間がポンプ室21となる。ポンプ室21は、ダイヤフラム41が変形することにより、容積が変化する(図7〜図9参照)。
図7に示すように、ハウジング本体5の天板9の上面91には、内蓋6が設置されている。図3、図4に示すように、内蓋6は、平面視で四角形状をなす板部材で構成され、ハウジング本体5の天板9との間で、第1の弁体収納室22aおよび第2の弁体収納室22bを画成することができるものである。
内蓋6の下面61(第1の弁体収納室22a)には、その天板9の上側凹部92aに臨む(対応する)部分に、段差部(第1の突部)62が下方(天板9の第1の支持部93と反対方向に)に向かって突出形成されている。この段差部62は、上側凹部92aの周方向に沿ったリング状をなす(図4参照)。第1の弁体収納室22aに第1の弁体3aが収納された(設置された)際、第1の弁体3aは、その縁部32が段差部62によって押圧され、当該縁部32の全周が反る(湾曲変形する)。この反った状態で、第1の弁体3aの縁部32が第1の吸入路25を塞ぐことができる(第1の弁体3aが閉状態となる)。第1の弁体3aの縁部32が第1の吸入路25を塞いでいるときには、段差部62により、第1の弁体3aの縁部32と内蓋6の下面61との間に若干の間隙40が形成される(図7、図9参照)。これにより、第1の弁体3aの縁部32と内蓋6の下面61とが過剰に密着する(ブロッキングする)のが防止され、第1の弁体3aは、縁部32が第1の吸入路25を塞いでいる状態から第1の吸入路25を開放する状態へ迅速に変形することができ、確実に開状態となる。これにより、ポンプ1の流体Fの吸入・排出における応答性が向上する。
図4に示すように、内蓋6には、リング状をなす段差部62の内側に、円弧状をなす円弧孔64が形成されている。円弧孔64は、第1の弁体3aの縁部32によって塞がれ得るよう、第1の弁体3aの中心に対してズレた位置にある(図7参照)。この円弧孔64は、内蓋6をその厚さ方向に貫通しており、第1の吸入路25として機能する。第1の吸入路25は、吸入室23から第1の弁体収納室22aへ流体Fを移送する流路である(図8参照)。前述したように第1の弁体3aによって第1の吸入路25が塞がれた際には(第1の弁体3aの閉状態では)、吸入室23から第1の弁体収納室22aへの流体Fの流れが遮断される。
このように第1の吸入路25が円弧状をなす円弧孔64で構成されていることにより、例えば第1の吸入路25を細孔で構成した場合よりも、当該第1の吸入路25を流体Fが通過する際に生じる圧力損失を抑制することができ、よって、ポンプ効率の低下を抑制(または防止)することができる。
図4に示すように、内蓋6の下面61(第2の弁体収納室22b)には、その天板9の上側凹部92bに臨む部分に、第2の支持部(支持面)63が下方(天板9の段差部96と反対方向)に向かって湾曲した状態で突出形成されている(隆起している)。図7に示すように、第2の支持部63は、第2の弁体3bを支持するものである。この第2の支持部63によって、第2の弁体3bは、その中心部31付近が、天板9の上側凹部92bの底部921(壁面(内面))に圧着される。すなわち、第2の支持部63と上側凹部92bの底部921との間で、第2の弁体3bは、その中心部31付近が挟持される。これにより、第2の弁体3bが支持、固定される。また、このような圧着状態となっていることにより、第2の弁体3bの縁部32が確実に、ハウジング2の第1の排出路27を塞ぐことができる(第2の弁体3bが閉状態となる)。この閉状態では、ポンプ室21から排出室24への流体Fの流れが確実に遮断される。また、たとえ第2の弁体3bが経時的に劣化してその弾性力(復元力)が低下した場合でも、圧着状態となっていることにより、第2の弁体3bが確実に閉状態となる。従って、長期間にわたって、ポンプ効率が高い状態を維持することができる。
また、第2の支持部63は、扁平形状をなしている。この第2の支持部63の縁部631の全周は、丸みを帯びている。図9に示すように、第2の弁体3bの縁部32が反って第1の排出路27が解放した(第2の弁体3bが開状態となった)際、第2の支持部63の縁部631が丸みを帯びていることにより、第2の弁体3bの縁部32がその丸みにならって(沿って)円滑に(無理なく)変形することができるとともに、反り(変形)の限界が規制される。ポンプ1を使用しているときには、第2の弁体3bは、反りとこの反りからの復元とが繰り返される(反復変形する)が、前述したように変形することできることにより、反復変形による経時的な劣化を防止または抑制することができる。
また、図7に示すように、この第2の支持部63は、第1の支持部93と反対方向に突出している。これにより、第1の支持部93が第1の弁体3aを押し付ける方向と、第2の支持部63が第2の弁体3bを押し付ける方向とが互いに反対方向となる。その結果、第1の弁体3aが開く方向が上側から下側へ向かう方向となり、第2の弁体3bが開く方向が下側から上側へ向かう方向となる。これにより、流体Fが吸入室23から、第1の弁体収納室22a、ポンプ室21、第2の弁体収納室22bを順に経て、排出室24までに至る経路の長さを比較的短くすることができる。
図4に示すように、内蓋6には、第2の支持部63の段差部62側近傍に、円弧状をなす円弧孔65が形成されている。円弧孔65は、円弧孔64と同様に内蓋6をその厚さ方向に貫通しており、円弧孔64と湾曲方向が反対の孔である。この円弧孔65は、第2の排出路28として機能する。第2の排出路28は、第2の弁体収納室22bから排出室24へ流体Fを移送する流路である(図9参照)。
また、第2の排出路28が円弧状をなす円弧孔65で構成されていることにより、例えば第2の排出路28を細孔で構成した場合よりも、当該第2の排出路28を流体Fが通過する際に生じる圧力損失を抑制することができ、よって、ポンプ効率の低下を抑制(または防止)することができる。
図3に示すように、内蓋6の上面66には、パッキン20bが収納される収納溝661が形成されている。収納溝661は、円弧孔64、65(後述する外蓋7の凹部72a、72b)を囲むように設けられたリング状の第1の溝662と、第1の溝662に連通し、円弧孔64と円弧孔65との間を横断する第2の溝663とで構成されている。
内蓋6の上面66には、外蓋7が固定されている。外蓋7は、ハウジング本体5の上側(頂部側)を覆うものである。図7に示すように、外蓋7は、板部材であり、その下面71に2つの凹部72a、72bが形成されている。凹部72aは、内蓋6の上面66とで、外部から流体Fが吸入される吸入室23を画成する。凹部72bは、内蓋6の上面66とで、吸入された流体Fを排出する排出室24を画成する。
図1、図2および図6に示すように、外蓋7の縁部には、吸入ポート73および排出ポート74がそれぞれ突出形成されている。
吸入ポート73は、管状をなし、その内部が吸入室23(凹部72a)に連通している(図7参照)。この吸入ポート73には、例えばチューブ(図示せず)の端部を接続することができ、よって、このチューブを流下した流体Fが、吸入ポート73を介して、吸入室23に吸入される。なお、吸入ポート73には、その外周部の途中に外径が縮径した縮径部(くびれ部)が形成されていてもよい。これにより、吸入ポート73に接続されたチューブがこの縮径部に噛み込み、当該チューブが不本意に抜けるのを確実に防止することができる。
排出ポート74は、管状をなし、その内部が排出室24(凹部72b)に連通している。この排出ポート74には、例えばチューブ(図示せず)の端部を接続することができ、よって、排出室24からの流体Fを、排出ポート74を介して、このチューブに排出することができる。なお、排出ポート74には、その外周部の途中に外径が縮径した縮径部(くびれ部)が形成されていてもよい。これにより、排出ポート74に接続されたチューブがこの縮径部に噛み込み、当該チューブが不本意に抜けるのを確実に防止することができる。
また、吸入ポート73と排出ポート74とは、同じ方向に突出している。これにより、ポンプ1を介して、流体Fの流れる向きを変える、すなわち、流体Fの流れを反対方向へ転換することができる。
図1、図2に示すように、外蓋7の上面75には、流体Fの流れを方向を示す2つのマーカ731、741が付されている。
マーカ731は、吸入ポート73近傍に配置されている。このマーカ731は、形状が二等辺三角形をなし、その頂部732が流体Fの吸入方向を向いている。
マーカ741は、排出ポート74近傍に配置されている。このマーカ741は、形状が二等辺三角形をなし、その頂部742が流体Fの排出方向を向いている。
ハウジング本体5の天板9と内蓋6との間には、パッキン20aが介挿され(介在し)、内蓋6と外蓋7との間とには、パッキン20bが介挿されている。
パッキン20a、20bは、それぞれ、枠状をなす枠部201と、枠部201の内側を横断する梁部202とで構成されている。
パッキン20aは、枠部201が天板9の収納溝911の第1の溝912に挿入され、梁部202が収納溝911の第2の溝913に挿入される。また、パッキン20aの自然状態(外力が付与されない状態)での厚さは、収納溝911の深さよりも若干大きい。これにより、パッキン20aは、天板9と内蓋6との間で圧縮され、ハウジング2の第1の弁体収納室22aおよび第2の弁体収納室22bを気密的、液密的に封止することができる。
パッキン20bは、枠部201が内蓋6の収納溝661の第1の溝662に挿入され、梁部202が収納溝661の第2の溝663に挿入される。また、パッキン20bの自然状態での厚さは、収納溝661の深さよりも若干大きい。これにより、パッキン20bは、内蓋6と外蓋7との間で圧縮され、ハウジング2の吸入室23および排出室24を気密的、液密的に封止することができる。
なお、パッキン20a、20bの構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料(特に加硫処理したもの)や、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素ゴム系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
また、パッキン20a、20bを除く、ハウジング2を構成する前述した各部材(ハウジング本体5、内蓋6、外蓋7)の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のような各種熱可塑性樹脂を用いることができる。
図7〜図9に示すように、第1の弁体収納室22aには、第1の弁体3aが収納され、第2の弁体収納室22bには、第2の弁体3bが収納されている。第1の弁体3aおよび第2の弁体3bは、それぞれ、円板状をなすものである。また、第1の弁体3aおよび第2の弁体3bは、それぞれ、弾性体で構成され、その材料としては、特に限定されないが、例えば、パッキン20a、20bの説明で挙げたような弾性材料を用いることができ、特に、フッ素ゴムを用いるのがより好ましい。構成材料にフッ素ゴムを用いることにより、例えば流体Fが薬液の場合、第1の弁体3aおよび第2の弁体3bがそれぞれ耐薬品性を発揮する。また、第1の弁体3aおよび第2の弁体3bは、それぞれ、経時的な劣化(ヘタリ(伸び))が防止され易いものとなる。
図7に示すように、第1の弁体3aが第1の吸入路25を塞いでいるとき(閉状態のとき)、段差部62によって、縁部32は、その第1の吸入路25側の部分(内側部321)の反りの程度が、第1の弁体の中心を介して反対側の部分(外側部322)の反りの程度よりも小さくなっている。これにより、第1の弁体収納室22aでは、第1の弁体3aの縁部32の外側部322が実質的に変形できる程度の空間がなく、このため、デッドスペースが小さくなる。また、第1の弁体3aには、図7中反時計回りのモーメントが作用し、よって、第1の吸入路25をより確実に塞ぐことができる。
また、図7に示すように、第2の弁体3bが第1の排出路27を塞いでいるとき(閉状態のとき)、第1の弁体3aと同様に、段差部96によって、縁部32は、その第1の排出路27側の部分(内側部321)の反りの程度が、第1の弁体の中心を介して反対側の部分(外側部322)の反りの程度よりも小さくなっている。これにより、第2の弁体収納室22bでは、第2の弁体3bの縁部32の外側部322が実質的に変形できる程度の空間がなく、このため、デッドスペースが小さくなる。また、第2の弁体3bには、図7中反時計回りのモーメントが作用し、よって、第1の排出路27をより確実に塞ぐことができる。
また、第2の弁体収納室22bでは、第2の弁体3bの縁部32の外側部322が実質的に変形できる程度の空間がなく、このため、デッドスペースが小さくなっている。
図2に示すように、第1の弁体3aと第2の弁体3bとは、互いに大きさ(形状)が同じものである。これにより、ポンプ1を組み立てる際に、第1の弁体3aを第1の弁体収納室22aに収納し、第2の弁体3bを第2の弁体収納室22bに収納することができるのはもちろんのこと、第1の弁体3aを第2の弁体収納室22bに収納し、第2の弁体3bを第1の弁体収納室22aに収納することもできる。従って、弁体の組み込み間違いが防止される。
また、前述したように、第1の弁体3aは、円板状をなす部材である。これにより、第1の弁体3aを第1の弁体収納室22aに組み込む(装着する)際、当該第1の弁体3aの表裏とその軸周りの方向を問わずに、その組込作業(組立作業)を行うことができる(第2の弁体3bについても同様)。従って、第1の弁体3aの組込作業が容易となる。
また、定期的にポンプ1を分解し(メンテナンス時に)、第1の弁体3aを反転させて(裏返して)、その表裏を逆転させてもよい。これにより、第1の弁体3aの縁部32の内側部321の変形方向が逆転するため、当該内側部321に不本意な変形癖がつくのを防止することができる。よって、高いポンプ効率の維持に寄与する。
次に、ポンプ室21の容積を増減させる容積増減手段4について説明する。
図2に示すように、容積増減手段4は、ポンプ室21の一部を画成するダイヤフラム41と、ダイヤフラム41が変形するようにダイヤフラム41を駆動する駆動機構とで構成されている。
ダイヤフラム41は、変形可能な膜状の変形部411と、変形部411に対して固定された棒状の軸部412とで構成されている。
変形部411は、前述したような弾性材料で構成され、容易に変形することができる(図7〜図9参照)。この変形部411が変形する(ハウジング本体5の天板9の中央部991および中間部992対して接近・離間する)ことにより、ポンプ室21の容積が増減する。また、変形部411は、その縁部がハウジング本体5のベース部8と天板9との間で挟持固定されている。変形部411の縁部には、下方に向かって突出するフランジ部413が形成されている。このフランジ部413は、ベース部8の溝822に係合する。
軸部412は、変形部411の裏側の中心部に例えば融着により固定されている。この軸部412が上下方向に往復動することにより、変形部411が変形することができる。また、軸部412の外周部には、雄ネジ(図示せず)が形成されている。
図2に示すように、ダイヤフラム41を駆動する駆動機構は、モータ42と、モータ42の回転軸421に固定されたクランク部材43と、クランク部材43が挿入され、当該クランク部材43に対し回転可能なベアリング44と、ベアリング44とダイヤフラム41とを連結する連結部材45と、クランク部材43に接続される(連結される)継ぎ手46と、継ぎ手46を支持するベアリング47とを有している。
モータ42は、例えば、サーボモータ、ステッピングモータ等で構成されている。モータ42には、2本のリード線422が設置されており、各リード線422を介して、電源(図示せず)から電力が供給される。なお、リード線422の本数は、2本に限定されず、例えば、3本以上であってもよい。また、リード線422に代えて、金属端子が設置されていてもよい。
モータ42の回転軸421には、クランク部材43が固定されている。クランク部材43には、モータ42の回転軸421と同軸に接続される軸部432が形成されている。この軸部432は、その外形形状が円柱状をなし、継ぎ手46に挿入される。また、軸部432の途中(端部)には、当該軸部432に対して偏心した円柱状のクランク部431が形成されている。
クランク部材43のクランク部431には、ベアリング44を介して、連結部材45が接続されている。連結部材45は、ベアリング44が嵌合するリング状の嵌合部452と、嵌合部452の外周部に上方に向かって突出形成された固定部451とで構成されている。固定部451には、ダイヤフラム41の軸部412の前記雄ネジが螺合する雌ネジ453が形成されている。この雌ネジ453にダイヤフラム41の軸部412の前記雄ネジが螺合することにより、ダイヤフラム41が連結部材45に固定される。
前述したように、クランク部材43のクランク部431は、軸部432に対して偏心している。これにより、モータ42の作動によりクランク部材43が回転した際、ベアリング44を介してクランク部材43に連結された連結部材45が上下方向に往復動する。連結部材45にはダイヤフラム41の軸部412が固定されているため、この軸部412も上下方向に往復動する。これにより、変形部411が変形して、ポンプ室21の容積が増減する。
クランク部材43の軸部432には、ピン状(筒状)の継ぎ手46が連結される。クランク部材43は、前述したベアリング44の他、継ぎ手46を介してベアリング47にも支持されている。また、ベアリング47は、ハウジング本体5の裏蓋10の嵌合部103に嵌合している。
このような構成の容積増減手段4により、ポンプ室21の容積が確実に増減する。なお、ポンプ室21の容積が増減する、すなわち、ダイヤフラム41の変形部411が変形する(往復動する)際の振動数は、特に限定されないが、例えば、20〜150Hzであるのが好ましい。
次に、ポンプ1の動作状態について詳細に説明する。
まず、ポンプ1は、図7に示す停止状態となっている。この停止状態では、前述したように、第1の弁体3aは、圧着状態で、その縁部32の内側部321が第1の吸入路25を塞いでいる。これにより、吸入室23からポンプ室21への流体Fの流れを遮断されている。また、第2の弁体3bも同様に、圧着状態で、その縁部32の内側部321が第1の排出路27を塞いでいる。これにより、ポンプ室21から排出室24への流体Fの流れが遮断されている。
このポンプ停止状態からモータ42が作動すると、クランク部材43が回転する。このクランク部材43の回転に伴い、前述したようにダイヤフラム41が変形する。このとき、ダイヤフラム41の軸部412の移動方向にもよるが、例えば図8に示すように、軸部412が下方に向かって移動した場合、ポンプ室21の容積が増大する。これにより、ポンプ室21が減圧され、第2の吸入路26を介してポンプ室21に連通する第1の弁体収納室22aも減圧される(減圧状態となる)。このとき、第1の弁体収納室22aと吸入室23との間に内部圧力の差が生じる。これにより、第1の弁体3aは、縁部32の内側部321が下方へ向かって押し広げられる。これにより、第1の弁体3aによって塞がれていた第1の吸入路25が開放し、よって、第1の弁体収納室22aを介して吸入室23からポンプ室21へ流体Fが流れる(図8参照)。ポンプ室21に流入した流体Fは、ポンプ室21から下流側へ延びる第1の排出路27が未だ塞がれているため、当該ポンプ室21内に一旦貯留される。
次に、図9に示すように、ダイヤフラム41の軸部412の下方への移動から上方への移動に転じると、ポンプ室21の容積が減少する。これにより、ポンプ室21が増圧される。
このとき、第1の弁体収納室22aも増圧されて、第1の弁体3aの縁部32の内側部321が上方へ向かって押し戻される。この第1の弁体3aの縁部32の内側部321が上方へ向かって押し戻されるのと、内側部321の復元力とにより、内側部321によって、第1の吸入路25が再度塞がれる、すなわち、ポンプ1の吸入経路(吸入系)が再度遮断される(図9参照)。また、ポンプ1は、第1の弁体3aが圧着状態となっていることと、第1の弁体収納室22aの内部圧力により第1の弁体3aが押圧されることと、第1の弁体3aの復元力との相乗効果で、第1の吸入路25がより確実に塞がれるよう構成されている。
一方、ポンプ1の排出経路(排出系)では、ポンプ室21が増圧したことにより、ポンプ室21と第2の弁体収納室22bとの間に内部圧力の差が生じる。これにより、第2の弁体3bは、縁部32の内側部321が上方へ向かって押し広げられる。これにより、2の弁体3bによって塞がれていた第1の排出路27が開放し、よって、第2の弁体収納室22bを介してポンプ室21から排出室24へ流体Fが流れる(図9参照)。そして、この流体Fは、排出ポート74を介して、外部へ排出される。
次に、ダイヤフラム41の軸部412が再度下方へ移動すると、前述したように第1の弁体3aが再度開状態となり、第2の弁体3bが再度閉状態となる。
ポンプ1では、このような動作が繰り返される。
<第2実施形態>
図10は、本発明のポンプの第2実施形態を示す断面図(停止状態を示す図)である。
以下、この図を参照して本発明のポンプの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、主に、ハウジングの内部に仕切られた吸入室および排出室の構成が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
図10に示すポンプ1Aでは、内蓋6Aの上面66に2つの凹部67a、67bが形成されている。この凹部67aと外蓋7Aの下面71とにより、吸入室23が画成されている。また、凹部67bと外蓋7Aの下面71とにより、排出室24が画成されている。
図10に示すように、凹部67aには、第1の吸入路25として機能する円弧孔64が連通している。凹部67bには、第2の排出路28として機能する円弧孔65が連通している。
また、内蓋6Aの縁部には、吸入ポート68および排出ポート69がそれぞれ突出形成されている。吸入ポート68は、管状をなし、その内部が吸入室23(凹部67a)に連通している。排出ポート69は、管状をなし、その内部が排出室24(凹部67b)に連通している。
外蓋7Aの下面71には、パッキン20bが収納される収納溝711が形成されている。この収納溝711は、前記第1実施形態の内蓋6の収納溝661と同様に、その形状がパッキン20bに対応する形状をなしている。
以上、本発明のポンプを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ポンプを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
本発明のポンプの第1実施形態を示す斜視図である。 図1に示すポンプの分解斜視図である。 図2中の内蓋の拡大斜視図である。 図3に示す内蓋を下面側(裏側)から見た図(斜視図)である。 図2中の天板の拡大斜視図である。 図1に示すポンプの側面図である。 図6中のA−A線断面図(図1に示すポンプの動作状態を示す断面図(停止状態を示す図))である。 図6中のA−A線断面図(図1に示すポンプの動作状態を示す断面図(流体吸入状態を示す図))である。 図6中のA−A線断面図(図1に示すポンプの動作状態を示す断面図(流体排出状態を示す図))である。 本発明のポンプの第2実施形態を示す断面図(停止状態を示す図)である。
符号の説明
1、1A ポンプ
2 ハウジング
21 ポンプ室
22a 第1の弁体収納室
22b 第2の弁体収納室
23 吸入室
24 排出室
25 第1の吸入路
26 第2の吸入路
27 第1の排出路
28 第2の排出路
3a 第1の弁体
3b 第2の弁体
31 中心部
32 縁部(外周部)
321 内側部
322 外側部
33 位置決め孔
4 容積増減手段
41 ダイヤフラム
411 変形部
412 軸部
413 フランジ部
42 モータ
421 回転軸
422 リード線
43 クランク部材
431 クランク部
432 軸部(カムフォロア)
44 ベアリング
45 連結部材
451 固定部
452 嵌合部
453 雌ネジ
46 継ぎ手
47 ベアリング
5 ハウジング本体
6、6A 内蓋
61 下面
62 段差部(第1の突部)
63 第2の支持部(支持面)
631 縁部
64、65 円弧孔
66 上面
661 収納溝
662 第1の溝
663 第2の溝
67a、67b 凹部
68 吸入ポート
69 排出ポート
7、7A 外蓋
71 下面
711 収納溝
72a、72b 凹部
73 吸入ポート
731 マーカ
732 頂部
74 排出ポート
741 マーカ
742 頂部
75 上面
8 ベース部
81a、81b 側壁
82 連結部(頂部)
821 貫通孔
822 溝
83 間隙
84 爪
9 天板
91 上面
911 収納溝
912 第1の溝
913 第2の溝
92a、92b 上側凹部
921 底部
93 第1の支持部(支持面)
931 縁部
932 ピン
94 下面
95 貫通孔
96 段差部(第2の突部)
97 ピン
98 貫通孔
99 下側凹部
991 中央部
992 縁部
993 中間部
10 裏蓋
101 底板
102 側壁
103 嵌合部
20a、20b パッキン
201 枠部
202 梁部
30、40 間隙
F 流体

Claims (19)

  1. 内部が、容積が増減し得るポンプ室と、流体が吸入される吸入室と、流体を排出する排出室と、前記ポンプ室と前記吸入室との間に位置する第1の弁体収納室と、前記ポンプ室と前記排出室との間に位置する第2の弁体収納室とに仕切られ、かつ、前記吸入室と前記第1の弁体収納室とを連通する第1の吸入路と、前記第1の弁体収納室と前記ポンプ室とを連通する第2の吸入路と、前記ポンプ室と前記第2の弁体収納室とを連通する第1の排出路と、前記第2の弁体収納室と前記排出室とを連通する第2の排出路とが設けられたハウジングと、
    前記第1の弁体収納室に収納され、弾性体で構成された、円板状をなす第1の弁体と、
    前記第2の弁体収納室に収納され、弾性体で構成された、円板状をなす第2の弁体と、
    前記ポンプ室の容積を増減させる容積増減手段とを有し、
    前記第1の弁体収納室には、その内面に前記第1の弁体の中心部を圧着し、該第1の弁体を支持する第1の支持部が突出形成され、さらに、前記第1の弁体の外周部全周を反らせる、前記第1の支持部と反対方向に突出した第1の突部が形成されており、
    前記第2の弁体収納室には、その内面に前記第2の弁体の中心部を圧着し、該第2の弁体を支持する第2の支持部が突出形成されており、
    前記第1の弁体は、前記第1の支持部によって前記第1の弁体収納室の内面に圧着された状態で、その外周部の少なくとも一部が前記第1の吸入路を開閉可能に変形し、
    前記第2の弁体は、前記第2の支持部によって前記第2の弁体収納室の内面に圧着された状態で、その外周部の少なくとも一部が前記第1の排出路を開閉可能に変形するよう構成されていることを特徴とするポンプ。
  2. 前記第1の吸入路は、前記第1の弁体の中心に対してズレた位置にあり、
    前記第1の弁体の外周部は、その前記第1の吸入路側の部分の反りの程度が、前記第1の弁体の中心を介して反対側の部分の反りの程度よりも小さい請求項1に記載のポンプ。
  3. 前記第2の弁体収納室には、前記第2の弁体の外周部全周を反らせる、前記第2の支持部と反対方向に突出した第2の突部が形成されている請求項1または2に記載のポンプ。
  4. 前記第1の排出路は、前記第2の弁体の中心に対してズレた位置にあり、
    前記第2の弁体の外周部は、その前記第1の排出路側の部分の反りの程度が、前記第2の弁体の中心を介して反対側の部分の反りの程度よりも小さい請求項3に記載のポンプ。
  5. 内部が、容積が増減し得るポンプ室と、流体が吸入される吸入室と、流体を排出する排出室と、前記ポンプ室と前記吸入室との間に位置する第1の弁体収納室と、前記ポンプ室と前記排出室との間に位置する第2の弁体収納室とに仕切られ、かつ、前記吸入室と前記第1の弁体収納室とを連通する第1の吸入路と、前記第1の弁体収納室と前記ポンプ室とを連通する第2の吸入路と、前記ポンプ室と前記第2の弁体収納室とを連通する第1の排出路と、前記第2の弁体収納室と前記排出室とを連通する第2の排出路とが設けられたハウジングと、
    前記第1の弁体収納室に収納され、弾性体で構成された、円板状をなす第1の弁体と、
    前記第2の弁体収納室に収納され、弾性体で構成された、円板状をなす第2の弁体と、
    前記ポンプ室の容積を増減させる容積増減手段とを有し、
    前記第1の弁体収納室には、その内面に前記第1の弁体の中心部を圧着し、該第1の弁体を支持する第1の支持部が突出形成され、
    前記第2の弁体収納室には、その内面に前記第2の弁体の中心部を圧着し、該第2の弁体を支持する第2の支持部が突出形成され、さらに、前記第2の弁体の外周部全周を反らせる、前記第2の支持部と反対方向に突出した第2の突部が形成されており、
    前記第1の弁体は、前記第1の支持部によって前記第1の弁体収納室の内面に圧着された状態で、その外周部の少なくとも一部が前記第1の吸入路を開閉可能に変形し、
    前記第2の弁体は、前記第2の支持部によって前記第2の弁体収納室の内面に圧着された状態で、その外周部の少なくとも一部が前記第1の排出路を開閉可能に変形するよう構成されていることを特徴とするポンプ。
  6. 前記第1の排出路は、前記第2の弁体の中心に対してズレた位置にあり、
    前記第2の弁体の外周部は、その前記第1の排出路側の部分の反りの程度が、前記第2の弁体の中心を介して反対側の部分の反りの程度よりも小さい請求項5に記載のポンプ。
  7. 前記第1の支持部および前記第2の支持部のうちの少なくとも一方は、湾曲突面で構成された支持面を有する請求項1ないし6のいずれかに記載のポンプ。
  8. 前記第1の支持部の前記支持面は、前記第1の弁体が前記第1の吸入路を開放した際の変形限界を規制する機能を有する請求項7に記載のポンプ。
  9. 前記第2の支持部の前記支持面は、前記第2の弁体が前記第1の排出路を開放した際の変形限界を規制する機能を有する請求項7または8に記載のポンプ。
  10. 前記第1の弁体収納室と前記第2の弁体収納室とは、互いに並んで配置されており、
    前記第1の支持部と前記第2の支持部とは、互いに反対方向に突出している請求項1ないし7のいずれかに記載のポンプ。
  11. 前記第2の吸入路および前記第1の排出路のうちの少なくとも一方は、複数の貫通孔で構成されている請求項1ないし10のいずれかに記載のポンプ。
  12. 前記第1の弁体と前記第2の弁体とは、互いに大きさが同じものである請求項1ないし11のいずれかに記載のポンプ。
  13. 前記第1の弁体の前記第1の弁体収納室に対する位置決めを行う第1の位置決め手段を有する請求項1ないし12のいずれかに記載のポンプ。
  14. 前記第2の弁体の前記第2の弁体収納室に対する位置決めを行う第2の位置決め手段を有する請求項1ないし13のいずれかに記載のポンプ。
  15. 前記容積増減手段は、前記ポンプ室の一部を画成し、変形により前記ポンプ室の容積を増減させるダイヤフラムと、前記ダイヤフラムが変形するように該ダイヤフラムを駆動する駆動機構とを有する請求項1ないし14のいずれかに記載のポンプ。
  16. 前記ハウジングは、ハウジング本体と、該ハウジング本体の頂部側を覆う外蓋と、前記ハウジング本体と前記外蓋との間に介在する内蓋とを有し、
    前記吸入室および前記排出室は、前記外蓋と前記内蓋とで画成され、前記第1の弁体収納室および前記第2の弁体収納室は、前記ハウジング本体と前記内蓋とで画成されている請求項1ないし15のいずれかに記載のポンプ。
  17. 前記ハウジングは、前記ハウジング本体と前記内蓋との間と、前記内蓋と前記外蓋との間とにそれぞれ介挿されるパッキンを有する請求項1ないし16のいずれかに記載のポンプ。
  18. 前記ハウジングには、前記吸入室に連通する管状をなす吸入ポートと、前記排出室に連通する管状をなす排出ポートとがそれぞれ突出形成されている請求項1ないし17のいずれかに記載のポンプ。
  19. 前記吸入ポートと前記排出ポートとは、同じ方向に突出している請求項18に記載のポンプ。
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