JP5289626B1 - 髄内釘ターゲットデバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】 四肢管状骨へのドリル貫通穿孔を高精度に制御し、動力式ドリル刃の過侵入による内側組織を損傷させる危険性を少なくすることができる四肢管状骨用の髄内釘ターゲットデバイスを提供する。
【解決手段】 四肢管状骨1内に導入される髄内釘10に装着されて使用される髄内釘のターゲットデバイス20であって、前記髄内釘10の基端部に連結される連結アーム部21と、接続された前記髄内釘10に略平行に延びる位置決め部22と、前記位置決め部22に固定され、当該髄内釘10に交差する姿勢に組み付けられるスクリューの挿入を案内する案内部30とを有し、前記案内部30は、前記位置決め部22に装着可能であり、前記スクリューを挿入するためのスクリューガイド筒31と、前記スクリューガイド筒31に挿通して伸縮可能に設けられ後端にドリル過侵入抑止面35aを備えた術者の手指支持用フランジ部35を備えたドリルガイド筒32と、を備える。
【選択図】 図2
【解決手段】 四肢管状骨1内に導入される髄内釘10に装着されて使用される髄内釘のターゲットデバイス20であって、前記髄内釘10の基端部に連結される連結アーム部21と、接続された前記髄内釘10に略平行に延びる位置決め部22と、前記位置決め部22に固定され、当該髄内釘10に交差する姿勢に組み付けられるスクリューの挿入を案内する案内部30とを有し、前記案内部30は、前記位置決め部22に装着可能であり、前記スクリューを挿入するためのスクリューガイド筒31と、前記スクリューガイド筒31に挿通して伸縮可能に設けられ後端にドリル過侵入抑止面35aを備えた術者の手指支持用フランジ部35を備えたドリルガイド筒32と、を備える。
【選択図】 図2
Description
本発明は、大腿骨、上腕骨、脛骨などの四肢管状骨骨折に施行される髄内釘固定手術において、髄内釘回旋防止のために用いられるロッキングスクリュー用のドリル穿孔経路を正確に方向付けするとともに、ドリル過侵入によって起こり得る骨に近接する組織の損傷を予防する目的でドリル穿孔深度も制御する、髄内釘ターゲットデバイスに関し、特に、大腿骨転子部骨折や転子下骨折などの大腿骨近位部骨折に施行される髄内釘固定手術において好適に使用される、大腿骨近位部髄内釘ターゲットデバイスに関する。
一般に、大腿骨転子部骨折や転子下骨折などの大腿骨近位部骨折に対して、髄内釘固定手術は有力な手術方法であり、これに用いる髄内釘は特許文献1などに開示されている。
また髄内釘を介して挿入される骨頭スクリュー(ラグスクリュー)や横止めスクリュー(ロッキングスクリュー)を正確に方向づける位置決め装置としてのL字型またはU字型フレーム構造の大腿骨近位部髄内釘ターゲットデバイスが特許文献2から4に開示されている。
このような大腿骨近位部髄内釘手術において、髄内釘と大腿骨骨幹軸との回旋変位を抑止するためには、ロッキングスクリューを大腿骨外側皮質から髄内釘の挿入孔を通して大腿骨内側皮質にまで挿入して固定することが標準的手術となっている。このロッキングスクリュー挿入のためには、あらかじめ大腿骨をドリル貫通穿孔して当該経路を作成することが必要である。同経路の大腿骨の外側および内側骨皮質は、硬質の骨構造をもつため、手動ドリルでは力及ばず、気動式または電動式の動力式ドリル穿孔が必要で、そのような手術操作においては、当該大腿骨を動力式ドリルが貫通したとき、ドリル刃が勢い余って大腿骨の内側奥深くまで突き抜けすぎて大腿骨近位の内側に存在する重要な大腿動静脈、大腿神経などを損傷させるという危険性が生じている。
また特に、大腿骨近位髄内釘手術においては通常図10に示すように、手術中に患者Pを手術台201に寝かせ、股間Pの患肢大腿近位内側に牽引支柱200を置いた状態で患側肢202を内転させながら牽引し、骨折部を整復させることが行われる。このとき牽引支柱200により、大腿動静脈や大腿神経等203の組織が大腿骨1の近位内側面に近接圧迫されるため、過剰ドリル穿孔によって組織を損傷させる危険性が増大する。この問題は非特許文献1などにおいて報告されており、その危険性を回避するためには、大腿骨内側皮質からの過剰ドリル穿孔をミリメートル単位で制御しなければならない。
中山知子ら著,「大腿骨転子部骨折術後に発症した仮性動脈瘤の1例」神奈川整・災誌,第18巻5号:155〜158,2005
しかしながら、特許文献1に示される横止めスクリューについては、そのためのドリル穿孔の過侵入の防止に関する構成がなく、上記問題を解決することはできない。
また、特許文献2〜4に示される大腿骨近位部髄内釘ターゲットデバイスによっては、横止めスクリュー用ドリルの穿孔経路は正確に方向付けされるものの、そのドリル穿孔深度を制御する具体的な構成はなく、術者の手加減に頼るのみとなり、大腿骨皮質硬度の個人差やドリル切れ味の差も影響するなかで、ドリル過侵入による患者への危険性とともに、術者へのストレスは回避されていない。
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、例えば、大腿骨近位部髄内釘手術において、髄内釘の回旋変位を抑止するロッキングスクリュー挿入のための大腿骨へのドリル貫通穿孔深度を高精度に制御し、動力式ドリル刃の過侵入による大腿骨近位内側に存在する重要な大腿動静脈、大腿神経などの内側組織を損傷させる危険性を少なくすることができる四肢管状骨用の髄内釘ターゲットデバイスを提供することである。
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の髄内釘ターゲットデバイスを提供する。
本発明の第1態様によれば、骨端部から四肢管状骨内に導入される髄内釘に装着されて使用される髄内釘のターゲットデバイスであって、
前記髄内釘の基端部に連結される連結アーム部と、
前記連結アーム部に接続された前記髄内釘に略平行に延びる位置決め部と、
前記位置決め部に固定され、当該髄内釘に交差する姿勢に組み付けられるスクリューの挿入を案内する案内部とを有し、
前記案内部は、前記位置決め部に装着可能であり、装着状態において術者の母指以外の指及び手掌面の凹凸に沿うように構成された滑り止め構造を備えた前記スクリューの挿入用のスクリューガイド筒と、
前記スクリューガイド筒に挿通して伸縮可能に設けられ、後端にドリル過侵入抑止面を備えた術者の同側の母指支持用フランジ部が設けられたドリルガイド筒と、
を備え、前記滑り止め構造と前記手指支持用フランジ部とは非接触となるように構成されていることを特徴とする髄内釘ターゲットデバイスを提供する。
前記髄内釘の基端部に連結される連結アーム部と、
前記連結アーム部に接続された前記髄内釘に略平行に延びる位置決め部と、
前記位置決め部に固定され、当該髄内釘に交差する姿勢に組み付けられるスクリューの挿入を案内する案内部とを有し、
前記案内部は、前記位置決め部に装着可能であり、装着状態において術者の母指以外の指及び手掌面の凹凸に沿うように構成された滑り止め構造を備えた前記スクリューの挿入用のスクリューガイド筒と、
前記スクリューガイド筒に挿通して伸縮可能に設けられ、後端にドリル過侵入抑止面を備えた術者の同側の母指支持用フランジ部が設けられたドリルガイド筒と、
を備え、前記滑り止め構造と前記手指支持用フランジ部とは非接触となるように構成されていることを特徴とする髄内釘ターゲットデバイスを提供する。
本発明の第2態様によれば、手指支持用フランジ部は、先端側が傾斜面となるような漏斗状に構成されていることを特徴とする、第1態様の髄内釘ターゲットデバイスを提供する。
本発明の第3態様によれば、前記ドリルガイド筒の外表面に、ドリル挿入深度を示す目盛を備えたことを特徴とする、第1又は2態様の髄内釘ターゲットデバイスを提供する。
本発明の第4態様によれば、前記スクリューガイド筒の内腔の内径は前記スクリューの外径寸法に合わせて構成されており、前記ドリルガイド筒の内腔の内径は穿孔用ドリル軸の外径寸法に合わせて構成されていることを特徴とする、第1から第3態様のいずれか1つの髄内釘ターゲットデバイスを提供する。また、本発明の第5態様によれば、ドリル過侵入抑止面は、術者の母指の太さ径を超える半径を有することを特徴とする、第1から第4態様のいずれか1つの髄内釘ターゲットデバイスを提供する。
本発明の第6態様によれば、前記四肢管状骨は大腿骨であることを特徴とする、第1から第5態様のいずれか1つの髄内釘ターゲットデバイスを提供する。
本発明によれば、術者の手指支持用フランジ部によりドリルガイド筒の挿入量を調整することができ、ドリルのチャックが当該支持フランジ部の後端側に位置するドリル過侵入抑止面に当接することで、ドリルの過侵入を防止することができる。よって、動力式ドリル刃の過侵入による重要な内側組織を損傷させる危険性を少なくすることができる。
以下、本発明の実施形態に係る髄内釘ターゲットデバイスについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる髄内釘ターゲットデバイスの構成を示す図であり、大腿骨1の髄内に髄内釘10を挿入した様子を示している。図2は、本実施形態の骨手術用ターゲットデバイスの全体構成を示す概略斜視図である。髄内釘ターゲットデバイス20は、髄内釘10を患者の大腿骨に挿入し、固定用のスクリュー用の穿孔及びスクリューの案内を確実に行うためのものである。
髄内釘10は、大腿骨の管状骨部の端部側に配置される基端部11と、この基端部11に連続し基端部11よりも細く形成された末端部12とを有する軸状の金属部材である。基端部11の内部には、端部に開口し、その軸線に沿って伸びる軸孔11aが形成されている。
また、基端部11には、上記軸孔11aと交差するラグスクリューホール11bが設けられている。このラグスクリューホール11bは基端部11の軸線に対して斜めに交差する貫通方向を有するように構成され、図示例では大腿骨1の骨頭部1aに向かうように形成されている。また、末端部12には、その軸線に対してほぼ直交する方向に貫通するロッキングスクリューホール12aが形成されている。
ラグスクリューホール11bは大腿骨1の骨頭部内に向かう斜めの軸線を有し、典型的には骨幹部Cの外側面より挿入されたラグスクリュー13がラグスクリューホール11bを挿通し、ラグスクリュー13の先端が骨頭部1aの髄質に内側より係合することで、骨頭部1aが管状骨部1bに対して固定される。
ロッキングスクリューホール12aは髄内釘10の軸線とほぼ直交する軸線を有し、ロッキングスクリュー(図示せず)がロッキングスクリューホール12aを挿通して先端が大腿骨の皮質に達するようにネジ止めすることで、髄内釘10の先端部が大腿骨1の管状骨部1bに固定される。いずれのスクリュー(骨ねじ)もターゲットデバイスによって後述する案内部30を介して案内され、方向付けられる。
この髄内釘10は、大腿骨1の大転子近傍の皮膚を切開し、大腿骨1の頂部近傍をドリルやリーマなどで穿孔した後に、当該穿孔部分から末端部12を挿入することにより、図示のように大腿骨1の管状骨部の髄内に配置される。
以下、本実施形態においては、図1に示すように、大腿骨1の転子部、すなわち、骨頭部1aと管状骨部1bとの間に骨折線1xが存在する場合について説明する。なお、本実施形態にかかる髄内釘10のターゲットデバイス20は、大腿骨1の管状骨部の近位部に骨折線が存在する場合などにも用いることができる。
本実施形態の骨手術用のターゲットデバイス20は、上記髄内釘10の基端部11に接続固定される接続部21と、この接続部21に固定され、円弧状に湾曲して髄内釘10とほぼ平行に延在する位置決め部22とを有するターゲットデバイス本体23を備えている。本実施形態の場合、接続部21には図示しない接続ネジが挿通され、この接続ネジが髄内釘10の軸孔11aの内部に形成された雌ネジに螺合することにより、接続部21と髄内釘10とが接続固定されるようになっている。
また、位置決め部22の端部側に案内ユニット24が設けられている。案内ユニット24には、図1に示す髄内釘10のラグスクリューホール11b及びロッキングスクリューホール12aにそれぞれ向いた案内孔24a,24bが設けられている。案内ユニット24には図1に示すように、固定ネジ25が設けられており、案内孔24a,24bに挿入された案内部(案内スリーブ)の固定及び解放を行う。
これらの案内孔24a,24bには、後述する案内部30が挿入され、ドリル軸やスクリューを案内することで、大腿骨1への穿孔及びスクリューのネジ込み方向が特定の方向に設定される。図3は、図1の髄内釘ターゲットデバイスに用いられる案内部の構成を示す図である。案内部30は、ターゲットデバイス本体23とは別部材で構成されており、ターゲットデバイス本体23の案内孔24a,24bに挿通可能に構成されたスクリューガイド筒31と、スクリューガイド筒31に挿通した状態で伸縮可能に設けられたドリルガイド筒32を有する。
スクリューガイド筒31は、案内孔24a,24bに挿入してターゲットデバイス本体23と連結する。スクリューガイド筒31の先端部33は尖部構造となっており、ターゲットデバイス本体23への取り付けの際に皮膚下の筋肉などの組織を通過しやすくなっている。また、スクリューガイド筒31の内腔31aの寸法は、用いる髄内釘10に用いられるロッキングスクリューの外径寸法に合わせて構成されている。スクリューガイド筒31の長さ寸法Lは、先端部33を大腿骨の表面に到達させたとき、ターゲットデバイス本体23の案内ユニット24に固定できる程度の長さであることが必要であり、概ね15〜30センチメートル程度に構成されている。
スクリューガイド筒31の後端部近傍には、手掌面で掌握するときの滑り止めのために把持部34が設けられている。把持部34は、図1に示すように、術者の手(左手)でスクリューガイド筒31を把持したときに、手掌面の凹凸に沿うような外形に構成されており、スクリューガイド筒31との滑りを防止する。
ドリルガイド筒32は、スクリューガイド筒31の内腔31aに挿入して用いられる筒状体であり、その軸方向に貫通する内腔32aが設けられており、穿孔用のドリル刃を挿入する。ドリルガイド筒32の内腔32aの寸法は、穿孔に用いるドリル軸の外径寸法に合わせて構成されている。これにより、後述するドリル軸を用いた穿孔時に、大腿骨の穿孔方向がずれることなく、穿孔の方向の精度を高くすることができる。
ドリルガイド筒32は、ある程度深くスクリューガイド筒31に挿入したとき、スクリューガイド筒31に係合し、容易にスライドして抜け落ちないような係合機構が設けられていることが好ましい。係合機構の例としては、例えば、図4に示すように、スクリューガイド筒31の内腔31aの内面に設けられた係合凹部31bとドリルガイド筒32の外表面に設けられた係合凸部32b等で構成することができる。係合凹部31b及び係合凸部32bは、ドリルガイド筒32を最も奥までスクリューガイド筒31に挿入したときに係合するように、それぞれの中間部近傍に設けられることが好ましい。
また、ドリルガイド筒32の後端側には、本発明の術者の手指支持用フランジ部の一例としての漏斗状の母指支持部35が設けられている。図5に示すように、術者は、母指Ftを母指支持部35に当接させた状態で伸縮することで、スクリューガイド筒31への挿入深さを自在に調節できるように構成されている。また、母指支持部35の後端側には過侵入抑止面35aが設けられており、穿孔時にドリルチャックが当該面に当接することで、ドリル刃の過侵入が防止される。母指支持部35の外径寸法は、特に限定されるものではないが、スクリューガイド筒31及びターゲットデバイス本体23を把持した状態で、術者母指Ftで挿入深さを調整すると供に後述するドリルチャックの過侵入を防止するために、また術者の母指とドリルチャックとの衝突をさけるために、ある程度の大きさが必要であり、本実施形態では40mmに構成されている。
案内部30は、管状の大腿骨1の穿孔時には、図5に示すように、ドリル刃110の軸を後端側からドリルガイド筒32の内腔32aに通し、先端をスクリューガイド筒31の内腔31a先端から突出するように遊嵌させ、一側の手指でスクリューガイド筒31を把持した状態でドリル操作して穿孔を開始する。このとき、スクリューガイド筒31先端を大腿骨表面に当接させた状態で、図5に示すようにスクリューガイド筒31を把持する側の手でドリルガイド軸32をドリルチャック111側へスライドさせ保持固定する。この状態で穿孔することで、チャック111の先端が母指支持部35の過侵入抑止面35aに当接し、ドリル刃が勢い余って骨の裏側奥深くまで突き抜けることが防止される。
また、ドリルガイド筒32の外表面には、図3に示すように目盛り36が付されており、ドリルの深度の目安とすることができる。すなわち、スクリューガイド筒31及びドリルガイド筒32の全長が既知であれば、ドリルガイド筒32の挿入深さにより、その時点での案内装置30の全長が分かるため、スクリューガイド筒31の先端を大腿骨1に当接させることで、ドリルチャック111以遠のドリル軸全長から案内装置30全長を差し引くことによって、ドリルストップされた時点での穿孔深さを計算することができ、それに相当する目盛36を付与することができる。これにより、別途デプスゲージによる計測の手間を省略することができる。
次に本実施形態にかかる髄内釘ターゲットデバイスの使用手順について説明する。本実施形態に係る髄内釘ターゲットデバイス20は、髄内釘10を患者の大腿骨に挿入して用いるものであり、回旋防止ロッキングスクリュー用の穿孔及びスクリューの案内の手順の前段階までは、一般的なターゲットデバイスと同様の使用手順により用いられる。
すなわち、まず、患者を手術台上に仰臥位に寝かせ、患側肢を牽引しつつ骨折部の整復を行い、患者の大転子頂部近傍を皮切する。その後、大腿骨1の頂部から髄腔をリーミングする。
次に、ターゲットデバイス20の接続部21を髄内釘10の軸孔11aにねじ込み、ターゲットデバイス20と髄内釘10との向きが所定の方向となるように取り付け、髄内釘10とターゲットデバイス20とを確実に固定する。その後、適切な挿入深さ及び向きとなるように、髄内釘10を髄腔に挿入する。
次いで案内ユニット24に設けられている案内孔24aに図示しないラグスクリュー用の案内スリーブを取り付け、ラグスクリュー用の穿孔及び刺入を行う。
次に、ターゲットデバイス本体23からラグスクリュー用の案内スリーブを取り外し、回旋防止ロッキングスクリュー用の案内スリーブである案内部30を案内ユニット24に装着する。皮切後、ドリルガイド筒32を最も奥までスクリューガイド筒31に挿入した状態でスクリューガイド筒31の先端が骨面に当たるまで案内部30を押し込み、スクリューガイド筒31を案内ユニット24に固定する。
次いで、ドリル刃110の軸を後端側からドリルガイド筒32の内腔32aに通し、先端をスクリューガイド筒31の内腔31a先端から突出するように遊嵌させ、図6に示すように、穿孔対象である大腿骨1の穿孔を開始する。大腿骨1の骨皮質のうち、穿孔開始時にスクリューガイド筒31が当てられる側の骨皮質を手前側骨皮質2、それを貫き中央部の骨髄腔3を経て内腔内側からドリルが当てられる側の骨皮質を対側骨皮質4と便宜上区別する。
穿孔においては、ドリル刃110の先端を手前側骨皮質2の表面にあて、一側の手(例えば右手)でドリル駆動本体装置を把持操作して穿孔の方向を制御しつつ硬質の手前側骨皮質2を穿孔する。この時点では、通過すべき骨髄腔3への侵入であるため、勢いをもって穿孔しても安全である。なお、このとき、ターゲットデバイスにより、ドリル刃110は、ロッキングスクリューホール12aを挿通して穿孔する。
図7は、手前側骨皮質2を硬質の抵抗をもって貫通し、さらにやや軟質の抵抗をもって骨髄腔3を通過した後、再び硬質の抵抗をもって対側骨皮質4の内壁面にドリル刃110の先端110aが当接している状態を示している。この再び硬質性にドリル抵抗が強くなるのが術者のドリル駆動本体を把持する一側の手(例えば右手)に容易に感知される。その時点でドリルの回転を一時的に停止させ、図8の術者他側の手(例えば左手)の母指移動の方向90に示すように、ドリル刃110の先端110aを対側骨皮質4の内壁面に当接保持させた状態で、ドリルガイド筒32の後端側に位置する母指支持部35を術者母指Ftで移動させ、ドリルチャック111と母指支持部35の表面すなわち過侵入抑止面35aとの距離Dが概ね対側骨皮質4の厚み寸法程度となるように調整する。なお、既に手前側骨皮質2を貫通させていることから術者は対側骨皮質4の厚み寸法を、後述する基本的な解剖学的根拠に基づき予想しやすく、距離Dを設定する場合の目安とすることができる。
なお、このとき、ドリルガイド筒32に付された目盛り36を読み取ることで、ドリルの穿孔深さの目安とすることができ、穿孔後のデプスゲージによる深さの測定の作業を省略することができる。
ドリルガイド筒32を調整した後、対側骨皮質4について穿孔を行う。図9に示すように、対側骨皮質4を貫通した後は、ドリルチャック111の先端が母指支持部35の表面すなわち過侵入抑止面35aに当接するため、ドリルは調整した隙間以上は進行せず、過剰ドリリングが抑止される。よって、管状骨の対側骨皮質4を貫いた直後にドリル先端110aが進行することを停止させることができ、管状骨の裏側に位置する重要な神経、血管、筋腱組織などの損傷を防止することができる。
その後、ドリルガイド筒32をスクリューガイド筒31から取り除き、スクリューガイド筒31を通してロッキングスクリューを挿入し、髄内釘10を大腿骨1に完全に固定する。このときに用いられるスクリュー長さは、目盛り36により目安とされたドリルの穿孔深さを基準に決定することができる。
最後にターゲットデバイス20を髄内釘10から取り外し、髄内釘10の軸孔11aに図示しないエンドキャップ(或いはセットスクリュー)をねじ込む。髄内釘、ラグスクリューホール及びロッキングスクリューの状態をX線画像で確認し、縫合して手術を終了する。
本実施形態にかかる髄内釘ターゲットデバイス1によれば、以下に述べる基本的な解剖学的根拠に基づいて、前もっての管状骨の外径測定を不要とすることができる。すなわち、ヒトの四肢管状骨の外径は、体格によって様々であって30mm以上になることもあるが、その管状構造を形作る管状骨皮質の厚みが、上腕、前腕、大腿、下腿でも概ね数mm以下で、その範囲での変動差は、患者の術前の体格や四肢部位で容易に推測可能である。この変動差は、管状骨の外径全体を目安にドリル穿孔する場合に比べれば明らかに少ない。すなわち管状骨ドリル穿孔においては、前もっての管状骨の外径測定は必要とせず、手前側骨皮質から中央の骨髄腔への穿孔を経て、対側骨皮質の内壁に硬質の抵抗をもってドリル刃先端が当接した状態で、残り管状骨皮質の厚みを上記の解剖学的根拠にて予測し、ドリル穿孔距離を制御すれば、過剰ドリル侵入を上記の誤差で抑えられることが可能となる。
なお、本発明の骨手術用ターゲットデバイスは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記の骨手術用ターゲットデバイス20は大腿骨に適用した例に過ぎず、本発明の骨手術用ターゲットデバイスは、大腿骨以外の他の骨、例えば、上腕骨、脛骨などにも適用することができる。
1 大腿骨
1a 骨頭部
1b 管状骨部
1x 骨折線
2 手前側骨皮質
3 骨髄腔
4 対側骨皮質
10 髄内釘
11 基端部
11a 軸孔
11b ラグスクリューホール
12 末端部
12a ロッキングスクリューホール
13 ラグスクリュー
20 髄内釘ターゲットデバイス
21 接続部
22 位置決め部
23 ターゲットデバイス本体
24 案内ユニット
24a,24b 案内孔
25 固定ネジ
30 案内部
31 スクリューガイド筒
31a 内腔
31b 係合凹部
32 ドリルガイド筒
32a 内腔
32b 係合凸部
33 先端部
34 把持部
35 母指支持部
35a 過侵入抑止面
36 目盛
90 母指移動の方向
110 ドリル刃
110a ドリル刃先端
111 ドリルチャック
200 牽引支柱
201 手術台
202 患側肢
203 大腿動静脈や大腿神経等
D 距離
Ft 術者母指
L 長さ寸法
P 患者
1a 骨頭部
1b 管状骨部
1x 骨折線
2 手前側骨皮質
3 骨髄腔
4 対側骨皮質
10 髄内釘
11 基端部
11a 軸孔
11b ラグスクリューホール
12 末端部
12a ロッキングスクリューホール
13 ラグスクリュー
20 髄内釘ターゲットデバイス
21 接続部
22 位置決め部
23 ターゲットデバイス本体
24 案内ユニット
24a,24b 案内孔
25 固定ネジ
30 案内部
31 スクリューガイド筒
31a 内腔
31b 係合凹部
32 ドリルガイド筒
32a 内腔
32b 係合凸部
33 先端部
34 把持部
35 母指支持部
35a 過侵入抑止面
36 目盛
90 母指移動の方向
110 ドリル刃
110a ドリル刃先端
111 ドリルチャック
200 牽引支柱
201 手術台
202 患側肢
203 大腿動静脈や大腿神経等
D 距離
Ft 術者母指
L 長さ寸法
P 患者
Claims (6)
- 骨端部から四肢管状骨内に導入される髄内釘に装着されて使用される髄内釘のターゲットデバイスであって、
前記髄内釘の基端部に連結される連結アーム部と、
前記連結アーム部に接続された前記髄内釘に略平行に延びる位置決め部と、
前記位置決め部に固定され、当該髄内釘に交差する姿勢に組み付けられるスクリューの挿入を案内する案内部とを有し、
前記案内部は、前記位置決め部に装着可能であり、装着状態において術者の母指以外の指及び手掌面で掌握時の滑り止め構造を備えた前記スクリューの挿入用のスクリューガイド筒と、
前記スクリューガイド筒に挿通して伸縮可能に設けられ、後端にドリル過侵入抑止面を備えた術者の同側の母指支持用フランジ部が設けられたドリルガイド筒と、
を備え、前記滑り止め構造と前記手指支持用フランジ部とは非接触となるように構成されていることを特徴とする髄内釘ターゲットデバイス。 - 前記手指支持用フランジ部は、先端側が傾斜面となるような漏斗状に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の髄内釘ターゲットデバイス。
- 前記ドリルガイド筒の外表面に、ドリル挿入深度を示す目盛を備えたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の髄内釘ターゲットデバイス。
- 前記スクリューガイド筒の内腔の内径は前記スクリューの外径寸法に合わせて構成されており、前記ドリルガイド筒の内腔の内径は穿孔用ドリル軸の外径寸法に合わせて構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の髄内釘ターゲットデバイス。
- 前記ドリル過侵入抑止面は、術者の母指の太さ径を超える半径を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の髄内釘ターゲットデバイス。
- 前記四肢管状骨は大腿骨であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の髄内釘ターゲットデバイス。
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