JP5287002B2 - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体、より詳しくは電極間に粒子含有樹脂を備える積層体及びその製造方法に関する。
導電性を有するような微細な粒子等を樹脂中に分散させて得られるフィルムには、導電性フィルム、熱拡散フィルム等といった多様な用途がある。
例えば、近年、ナノテクノロジーの中核として、カーボンナノチューブ(以下、必要に応じて、カーボンナノチューブ一本を示す場合は「CNT」、複数本又は集合体を示す場合は「CNTs」と記載する。)が脚光を浴びている。CNTsは、一般に、直径0.5〜100nm程度、長さが50nm〜数mm程度の細長い繊維状(柱状)の粒子形状を有する炭素材料である。このCNTsは、電子ペーパー、フレキシブル表示板、フラットパネルディスプレイ等の画像表示装置の透明電極等に用いることができる導電性フィルムへの応用が検討されている。
このようなCNTsを用いた導電性フィルムとしては、例えば、熱可塑性ポリイミド樹脂等の樹脂にCNTsを加え、これを押出成形することによりフィルム状としたものが知られている(特許文献1参照)。
特開2004−346143号公報
上述したCNTsを用いた導電性フィルムは、例えば、透明導電性フィルムとして適用する場合、十分な導電性を得るためにある程度以上の量のCNTsを加える必要がある。ところが、CNTsは黒色であり可視光を吸収してしまうため、多く添加し過ぎるとフィルムの十分な透明性が得られない。そのため、CNTsを透明導電性フィルムとして適用する場合、CNTsの添加量をできるだけ小さくして十分な透明性を確保しつつ、同時に十分な導電性が得られるようにする必要がある。
しかしながら、上述した特許文献1のような従来の方法は、単に樹脂とCNTsとを混ぜてフィルム状に成形しているだけである。そのため、例えば、透明導電性フィルムを製造する場合、確実に導電性を得るためにはCNTsを多く添加する必要がある一方、CNTsの添加量を少なくすると十分な導電性が得られなくなる等、未だに十分な透明性と導電率とを両立させるのは困難な傾向にあった。また、この場合、部分的にCNTsの比率が高くなるなどCNTsの分散も不均一となり易く、フィルムの導電性が全面にわたって一様でなくなるため、例えば、画像表示装置に適用した場合、むらのある画像が表示され易くなってしまう不都合もあった。
このように、粒子を樹脂に分散させて得られたフィルムでは、従来、粒子の添加量を少なくしながら、十分なフィルムの特性を得ることは困難な傾向にあった。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、粒子の添加量が少なくても十分な特性を発揮し得る粒子含有樹脂を備える積層体の製造方法、及びこれにより得られる積層体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の積層体の製造方法は、基板上に電極層が形成された電極付き基板を、電極層が向かい合うように2つ対向させて配置し、電極層間に、粒子と、樹脂又は樹脂前駆体とを含有する原料混合物を配置する第1工程と、2つの電極付き基板における電極層間に電圧を印加して、原料混合物中の粒子を電界方向に配向させる第2工程と、電極層間に電圧を印加しながら、樹脂又は樹脂前駆体を固化させる第3工程と、2つの電極付き基板の基板を電極層から剥離して、2つの電極層間に粒子含有樹脂が配置された積層体を得る第4工程とを有することを特徴とする。
上記本発明の積層体の製造方法において、電極層は、導電性樹脂により構成されるものであると好ましい。
また、第2工程においては、原料混合物中の粒子を、電界が強い方向に移動させることにより配向させることが好ましい。
原料混合物に含有させる粒子としては、繊維状粒子が好ましい。ここで、繊維状粒子とは、短軸に対する長軸の比(アスペクト比)が10を超えるものと定義する。また、粒子としては、繊維状粒子及び球状粒子を組み合わせて含んでいてもよい。
本発明はまた、上記本発明の製造方法により得られた積層体を提供するものである。このような積層体は、導電性樹脂からなる一対の電極と、一対の電極間に配置された粒子含有樹脂とを備え、粒子含有樹脂は、樹脂の固化体中に繊維状粒子が分散した構成を有しており、且つ、粒子含有樹脂は、複数の繊維状粒子が接触しながら連続して配置され一対の電極間を繋いだ構造を少なくとも一部に含むものとなる。
本発明によれば、粒子の添加量が少なくても十分な特性を発揮し得る粒子含有樹脂を備える積層体の製造方法、及びこれにより得られる積層体を提供することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明については省略することとする。
好適な実施形態に係る積層体の製造方法においては、まず、電極付き基板を準備する。図1は、好適な電極付き基板の断面構成を模式的に示す図である。図1に示すように、電極付き基板101は、基板201と、この基板201上に設けられた電極層202とを備えた積層構造を有している。
電極付き基板101の基板201は、導電性を有しないもの及び導電性を有するものの両方を適用できる。例えば、ガラス、金属等の導電性材料、樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、 (メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、チオウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、セルロイド、ポリオキサゾリン、ポリピロリドン、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルペンテン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフタルアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアセタール、ポリエステル、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、アルキド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ケイ素樹脂)等の材料からなるものが挙げられる。基板201は、この上に形成される電極層202との剥離が容易なものであると好ましく、電極層202の構成材料に合わせて適宜選択することができる。
また、基板201は、得られる積層体の用途等によって選択することが好ましく、積層体を透明導電性フィルムとして適用する場合、基板201は透明なものであることが好ましい。さらに、基板201は、必ずしも1層のみからなる構造でなくてもよく、2層以上の積層構造を有していてもよい。
電極層202は、通常、電極としての機能を発現できる公知の材料から構成されるものを適用でき、金属や導電性樹脂からなるものが挙げられる。金属としては、銅、鉄、アルミ、ニッケル、クロム等の導電性を有しているものであれば特に制限なく適用できる。なかでも、取り扱いやすさの観点からは酸化され難いものが好ましく、金属としては金又は白金が好適であり、酸化物透明導電膜としては、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO又はAZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)が好適である。また、導電性樹脂は、樹脂中に導電性材料が分散した構造を有するものや、それ自体が導電性を有するポリマー等によって構成される。
電極層202を構成する導電性樹脂としては、樹脂中に導電性材料が分散したものが好ましい。このような導電性樹脂における樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等、特に制限無く適用することができる。具体的には、例えば、ウレタンアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、 (メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、チオウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、セルロイド、ポリオキサゾリン、ポリピロリドン、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルペンテン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフタルアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアセタール、ポリエステル、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、アルキド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ケイ素樹脂等を適用することが可能である。
電極層202は、なかでも、導電性樹脂によって構成されると、本実施形態の製造方法により得られる積層体において、導電性樹脂成分(導電性材料を分散させる樹脂)と粒子含有樹脂との組み合わせによっては、粒子含有樹脂と電極層との接着性が良好に得られ、電極層と粒子含有樹脂との剥離等が生じ難くなる。また、導電性樹脂から構成される電極層202は、基板201と電極層202に使用する樹脂の組合せによっては基板201として樹脂以外のものを選択した場合に、基板201との剥離が容易であり、これによって積層体の製造が有利となる場合がある。
また、樹脂に分散させる導電性材料としては、金属等の導電性を有する無機物や、導電性ポリマー等が挙げられる。前者の無機物としては、導電性を有する金属や、導電性を有する酸化物等が挙げられ、これらが粉末状で樹脂中に分散されると好ましい。一方、後者の導電性ポリマーとしては、ポリアニリン、ポリピロールが好適である。また、導電性ポリマーは、これらに加えてポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリ(3,4−エチレンジエチレンジオキシチオフェン、ポリフルオレン、ポリアニリン、ポリアセン等を更に含むものであってもよく、これらのポリマー(得にポリチオフェン)を、ポリアニリン又はポリピロールに代えて用いてもよい。これらの導電性ポリマーは、相溶したような状態で樹脂に分散されてもよく、粉末状等の形態で樹脂に分散されてもよい。
さらに、電極層202は、必ずしも1層のみからなる構造でなくてもよく、2層以上の積層構造を有していてもよい。積層構造を有する電極層202としては、例えば、金属等の高導電性を有する層の上に、導電性樹脂からなる層等を形成した構造が挙げられる。このような電極層202を用いた場合、後述する第2工程において、高導電性を有する層に電源をつなぐことで、導電性樹脂からなる層と電源との間の電気的なロスを少なくすることができ、電極層202間に効率よく電圧を印加して配向を効率よく生じさせることができるようになる場合がある。
電極付き基板101における基板201と電極層202との組み合わせとしては、ガラスからなる基板201と、導電性樹脂からなる電極層202との組み合わせが好ましい。このような組み合わせとすれば、後述するような基板201と電極層202の剥離を容易に行うことができ、積層体の製造が有利となる。この場合、電極層202を設ける前に、ガラスからなる基板201の表面に離型剤を付与するなどして、剥離が一層容易となるようにしてもよい。
本実施形態の積層体の製造方法においては、次に、上述した電極付き基板101を用い、次に示すような製造装置を形成して以下の第1〜第3工程を行う。
図2は、本実施形態の積層体の製造方法に用いる製造装置の構成を概略的に示す図である。図2に示す製造装置100は、互いに対向するように離れて配置された一対の電極付き基板101と、この一対の電極付き基板101間の間隙を側方から塞ぐように配置されたスペーサー102と、一対の電極付き基板101間に電圧を印加する電源104とを備えた構成を有している。
この製造装置100において、一対の電極付き基板101は、それらの電極層202同士が対向するように配置されている(図3参照)。これらの電極付き基板101は、それぞれ同一の長方形状を有しており、短辺が側方にはみ出すように互いに位置ずれして配置されている。一対の電極付き基板101同士の距離は、約1〜1000μmとされている。このような間隔で離間するように配置されることで、後述する誘電泳動を良好に生じさせることができる。
スペーサー102は、対向配置された電極付き基板101によって形成された間隙の側部を塞ぐように設けられている。ただし、後述するような粒子含有樹脂の原料混合物を内部に導入できるように、対向する一対の側部にはスペーサー102は設けられておらず、電極付き基板101間の間隙が開放された状態となっている。なお、スペーサー102は、原料混合物を導入できる開口が少なくとも一部に設けられていれば、側部の全てを塞ぐように設けられていてもよい。また、原料混合物が容易には流出しない程度の粘度を有する場合等は、必ずしもスペーサー102を設けなくてもよい。
電源104は、一対の電極付き基板101のそれぞれにリード線103を介して接続されており、これらの電極付き基板101間に交流を印加することができる電源である。リード線103は、電極付き基板101の電極層202間に電圧を供給できれば、どのような形態で電極付き基板101に接続されていてもよい。例えば、リード線103は、電極層202に直接接続されてもよく、基板201が導電性を有する場合は基板201に接続されてもよい。
電源104としては、このような機能を有する電源であれば特に制限なく公知のものを適用できるが、後述する誘電泳動を良好に生じさせる観点からは、1GHzから1kHzの範囲の周波数の交流を印加できる高周波電源であると好ましい。
このような製造装置100を用いた積層体の製造においては、まず、粒子含有樹脂の原料混合物を調製する。かかる原料混合物は、粒子と、液状の樹脂又は液状の樹脂前駆体を含む。
粒子は、粒子含有樹脂の用途に必要な特性に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性フィルムとして用いる場合、導電性粒子を用いる。このような粒子としては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノツイスト、カーボンナノコイル、カーボンマイクロコイル、炭素繊維、金属や半導体のナノファイバー又はナノロッド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いてもよい。また、これらのような繊維状粒子以外に、上記の材料等からなる球状粒子を用いることもできる。
粒子としては、少なくとも繊維状粒子を用いることが好ましく、繊維状粒子と球状粒子とを組み合わせて用いることも好適である。例えば、粒子含有樹脂を導電性フィルム、特に透明導電性フィルムに適用する場合は、高い導電性が得られるカーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーが好ましい。
カーボンナノチューブ(CNTs)としては、単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)、2層カーボンナノチューブ(DWCNTs)、3層カーボンナノチューブ(3WCNTs)、その他の多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)を特に制限なく用いることができる。カーボンナノファイバーとしては、直径の太い(100〜300nm程度)カーボンナノファイバーやらせん状の形態を有するカーボンナノファイバーを適用できる。これらのカーボンナノチューブやカーボンナノファイバーは、樹脂又は樹脂前駆体中での分散性をよくするため、表面がカルボキシル基やニトロ基等の所定の官能基によって修飾されていてもよい。粒子としてCNTsを用いる場合、その大きさは、例えば、直径が1nm〜数十nm程度、長さが1μm程度であると好適である。
一方、樹脂又は樹脂前駆体も、粒子含有樹脂の用途に必要な特性に応じて適宜選択することができ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで、樹脂前駆体とは、後述する固化後に樹脂を形成することができる前駆体化合物であり、固化の際に重合して樹脂を形成し得るモノマーやオリゴマー等が挙げられる。樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等を特に制限なく適用できる。例えば、粒子含有樹脂を透明導電性フィルムとして用いる場合には、固化状態で可視光に対して透明となる樹脂を適用でき、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシ樹脂等が好適である。
また、樹脂又は樹脂前駆体は、原料混合物が液状となるような性質を有するものが好ましい。原料混合物を液状とすることによって、後述するように電極付き基板101間に配置した後、電圧を印加する際に、原料混合物中の粒子を良好に配向させることができる。このような樹脂又は樹脂前駆体としては、それ自体が液状であるものや、溶媒に溶解して液状となり得るものが挙げられる。
原料混合物は、上述した粒子及び樹脂又は樹脂前駆体のほか、必要に応じて、原料混合物を液状とするための溶媒や、粒子含有樹脂の用途に求められる特性が得られる各種成分を更に含んでいてもよい。例えば、粒子同士のバインダーとしての機能を有するAuコロイド粒子やポリアニリン等の導電性微粒子を更に含んでいてもよい。
原料混合物中の各成分の配合割合は特に制限されず、粒子含有樹脂に求められる特性に応じて適宜選択することができる。例えば、粒子としてカーボンナノチューブを用い、粒子含有樹脂を透明導電性フィルムに適用する場合は、樹脂又は樹脂前駆体及び粒子の総量中、粒子の含有率が0.001〜10質量%となるようにすることが好ましく、0.01〜0.1質量%となるようにすることがより好ましい。
このような割合とすれば、本実施形態の製造方法により、粒子の含有量が少ないため十分な透明性が得られるとともに、十分な導電性も得られるようになる。本実施形態によれば、少ない粒子の添加量で十分な特性を有する粒子含有樹脂が得られることから、このような粒子の含有率は、従来の製造方法による場合で必要とされる値と比べて大幅に小さいものである。
上述した原料混合物は、樹脂又は樹脂前駆体、粒子及びその他の必要成分を混合することによって得ることができる。混合は、例えば、粒子の分散を良好にするために、超音波攪拌によって行うことができる。
このように原料混合物を準備した後には、この原料混合物を、上述した製造装置100における一対の電極付き基板101間の隙間に導入する(第1工程)。原料混合物の導入は、例えば、図2中、矢印で示すように、上述したスペーサー102が設けられていない開口から原料化合物を注入するようにして行うことができる。原料混合物は、電極付き基板101に挟まれている領域を満たすように充填することが好ましく、この領域からはみ出すようにしてもよい。少なくとも対向する電極付き基板101における電極層202の両方と接触するように原料混合物を配置することで、後述する誘電泳動を確実に生じさせることができる。
次いで、原料混合物を間に挟んだ状態の一対の電極付き基板101の電極層202間に、電源104により電圧を印加して、原料混合物中の粒子を電界方向に配向させる(第2工程)。
図3は、第2工程における電極付き基板101及び原料混合物の状態を示す模式断面図である。なお、製造装置100においては、電極付き基板101の電極層202にそれぞれ電源104からのリード線103が接続されているが、説明の簡略化のため、図3ではこれらの記載を省略してある。
図3に示す第2工程では、対向する電極層202間に電圧を印加する。印加する電圧は、例えば、1〜100Vppの範囲内で設定する。印加する電圧が高い方が、粒子に対する誘電泳動の力が大きくなり、配向を速く完了させることができる。ただし、電圧が高く、電界強度が強くなりすぎると、電気分解等によって気泡が発生し、得られる粒子含有樹脂の特性を低下させるおそれがあるので、この気泡が発生しない程度に高い電圧を印加することが好ましい。印加する電圧は、交流、特に、1GHzから1kHzの範囲の周波数を有する高周波交流であることが好ましい。
電極付き基板101(電極層202)間に電圧、好ましくは高周波交流を印加することによって、電極層202間に電界が発生する。これにより、図3に示すように、原料混合物における樹脂又は樹脂前駆体(以下、まとめて「樹脂成分203」という)中に分散した粒子204が誘電泳動して配向する。
ここで、このような誘電泳動の原理について説明する。
通常、粒子を溶媒に分散してなる分散液に電場を与えると、溶媒と粒子との分極率の相違によって誘起双極子モーメントが発生する。そして、粒子の両側に形成される電場強度の差が、誘起双極子が及ぼす力の差となり、これに起因して粒子に力が作用し、この力の方向に粒子が移動するようになる。このときに働く誘電泳動力FDEPは、次式(1)で表されることが知られている。
DEP=2πεRe[(ε ε )/(ε +2ε )]∇E …(1)
かかる式(1)中のaは粒子の半径[m]、εは誘電率[F/m]、添え字p及びmはそれぞれ粒子及び溶媒のいずれの値であるかを示している。Eは電界(V/m)、Re[f(x)]は複素数f(x)の実数部分だけを取り出す演算子である。εは、下式(2)で定義される複素誘電率である。
ε=ε−(σ/ω)j …(2)
また、σは導電率[S/m]、ω(=2πf)は角周波数[Hz]、fは印加周波数[Hz]を表しており、jは虚数単位である。式(1)中のRe[(ε ε )/(ε +2ε )]で表される大括弧内の式は、下式(3)で表されるように、Clausius−Mossotti因子(CM因子:K(ω))と呼ばれ、分極の程度を表している。
(ω)=(ε ε )/(ε +2ε ) …(3)
このCM因子は、上記式(2)及び(3)より、溶媒及び粒子の導電率、誘電率、更に印加する周波数に依存し、−0.5〜1.0の値をとる。そして、上記式(1)より、誘電泳動力の方向は、CM因子に依存する。すなわち、CM因子の実部が正の場合には誘電泳動力は正となり、電場強度の大きい方に粒子を誘導する正の誘電泳動が作用する。一方、負の場合には誘電泳動力は負となり、電場強度の弱い方に粒子を誘導する負の誘電泳動力が作用する。
電極層202間に電圧を印加することによってこのような誘電泳動を生じさせることで、原料混合物中の粒子204は次のような挙動を示すことになる。ここでは、粒子204として、主に正の誘電泳動力が作用するSWCNTsを用いた場合を例に挙げて説明する。すなわち、原料混合物において、樹脂成分203は固化前であるため、粒子204はこの樹脂成分203中をある程度自由に移動できるようになっている。そのため、上記のような誘電泳動力が作用すると、粒子204はまず、誘電泳動力が作用する方向に向かって移動し始め、最も電界強度が大きい電極層202まで移動することになる。この際、SWCNTsは、繊維状粒子であり長軸方向に分極されているため、その長軸方向の一端が電極層202に接するとともに、その長軸方向が電界方向に沿うように電極層202に対して略垂直に配置される。
この粒子204の移動がある程度生じると、電極層202に先に付着した粒子204(図2中、粒子204a)の部分の電界強度が大きいため、原料混合物中に分散している他の粒子204(図2中、204b)は、この電極層202に付着している粒子204aに向かって移動するようになる。SWCNTsのような繊維状粒子の場合、長軸方向の端部付近が最も電界強度が大きくなるため、粒子204aと粒子204bとは、これらの端部付近で互いに接するように近づくことになる。さらに、粒子204aへの粒子204bの付着がある程度生じると、原料混合物中に分散している他の粒子204bが、粒子204aに付着した粒子204bに向かって移動するようになり、これらの端部同士で接するように付着する。そして、このような誘電泳動による粒子204の移動が順次生じると、やがて、図3に示すように、粒子204は、その長軸方向の端部同士で互いに接するように連続して配置され、電界方向に沿って略直線状に並べられる。そして、粒子204は、このように配向されることにより、最終的には電極層202同士を架橋するようにつながる。
粒子として、SWCNTsからなる粒子204のような繊維状粒子を用いると、上記のように第3工程では、当該粒子の長軸方向が電界方向に沿うように連続して並べることができる。したがって、かかる繊維状粒子によれば、より少ない粒子の添加量でも後述するような良好な導電性や熱伝導性を得ることができる。また、配向方向に垂直な方向は粒子の密度が相対的に小さくなるため、配向方向の透明性もより高められる傾向にある。ただし、粒子として、このような繊維状粒子ではなく球状粒子を用いる場合であっても、球状粒子は、電界方向に沿って連続するように配向することができるため、配向による同様の効果は十分に得ることができる。
また、繊維状粒子と球状粒子とを組み合わせて用いると、繊維状粒子が上述のような形態で配向するとともに、隣り合う繊維状粒子の間を球状粒子が介在するような配向状態となる場合もある。そして、このような配向状態が形成されると、繊維状粒子がその端部同士で直接接する場合よりも粒子同士の接触性が良好となる傾向にある。これによって、後述するような導電性や熱伝導性の効果が更に良好に得られる場合がある。
なお、上記で説明したものとは異なり、負の誘電泳動が生じるような粒子を用いる場合は、電界とは垂直方向に誘電泳動力が働くため、粒子は電界と垂直な方向、すなわち、電極付き基板101と平行な方向に沿って配向されることになる。この場合、後述する積層体とした場合に、電極層202間の導通は得られないこととなるが、積層体の用途に応じてこのような構成とすることも有効である。そして、いずれにしても、本発明の製造方法では、粒子含有樹脂において粒子が一定方向につながるように配向させることができるため、後述するように、少ない粒子の添加量で配向方向に良好な特性(導電性や熱伝導性)を有する粒子含有樹脂が得られる。
上述したような誘電泳動による配向は、一対の電極層202間に、固化後にそのまま粒子含有樹脂となり得る原料混合物を配置して行うことによって、電極付近の電界強度を最も高くし、この電界強度に対応した配向を生じさせることができるために可能となる。したがって、例えば、電極間に所定の膜等を配置し、これに向かって原料を移動させる方法等では、電界強度の分布が全く異なるようになるため、本発明のような配向は全く生じ得ない。
ここで、図4、図5及び図6を参照して、このような電界強度の分布の相違について説明する。図4は、一対の電極間に原料化合物を配置した構成とした場合に得られる電界強度の分布の一例を示す図である。図5は、一対の電極間に原料化合物を配置するとともに、この原料化合物内に所定の多孔質膜を配置した状態を示す図であり、図6は、図5に示した多孔質膜付近の電界強度の分布の一例を示す図である。
図4において、上下に配置されたEは一対の電極を示しており、この電極E間に原料化合物Sが満たされた状態となっている。そして、図4における原料化合物Sの領域に付した線は、この領域を電界強度の程度に応じて区画するものであり、この線に区画された領域に付された数字が小さいほど、その領域の電界強度が大きいことを示す。図4に示すように、本発明のように一対の電極間に原料化合物のみを配置する例では、電極に近づくほど電界強度が大きい分布となる。そのため、原料化合物中の粒子は、上述したような配向を生じることができる。
一方、図5においては、一対の電極E間に、原料化合物Sが満たされるとともに、この原料化合物S中に、電極Eと平行となるように多孔質膜Mが配置されている。なお、一方の電極E側には、パターン化のために絶縁層Iが複数形成されているが、これは絶縁物であるため、電界強度の分布には影響しない。図6(a)は、原料化合物S中の多孔質膜M付近の電界強度分布を示している。同図において、多孔質膜Mの周囲(図中、上下)の原料化合物S、及び、多孔質膜Mの孔中(図中、3の電界強度を有する部分)に満たされた原料化合物Sの部分の電界強度が示されており、着色されていない部分が多孔質膜Mである。また、図6(b)は、図6(a)における多孔質膜Mの孔の開口(入り口)付近の電界強度分布を拡大して示している。図6に示されるように、原料化合物S中に多孔質膜M等の膜を配置すると、膜部分の電界強度がより大きくなる。したがって、このような配置とした場合、原料化合物中の粒子は、電極ではなく多孔質膜の孔に向かって移動することになるため、本発明のような配向を生じさせることはできない。
このようにして第2工程で粒子204を配向させた後には、電極層202間に電圧を印加しながら、樹脂成分203(樹脂又は樹脂前駆体)を固化させる(第3工程)。これにより、粒子204は、第2工程で生じさせた配向を維持したまま、樹脂成分203の固化物中で固定される。そして、固化した樹脂(樹脂の固化体)中に粒子204が分散してなる粒子含有樹脂が形成される。
この第3工程では、樹脂成分203の固化は、例えば、熱又は光硬化性樹脂を用いた場合、加熱又は光照射によって硬化させることにより実施する。また、樹脂成分203が熱可塑性樹脂の前駆体である場合は、適宜加熱等を行うことにより前駆体(モノマーやオリゴマー等)の重合を進行させ、固化状態の熱可塑性樹脂を生じさせればよい。さらに、硬化性樹脂の前駆体であるモノマーやオリゴマーを用い、固化の際に重合及び硬化をまとめて生じさせてもよい。
上記のようにして一対の電極付き基板101間に粒子含有樹脂を形成した後には、電極付き基板101における基板201を、電極層202から剥離する(第4工程)。基板201と電極層202との剥離は、両者をその界面で引き剥がすように物理的に行ってもよい。この際、これらの間の剥離を容易にするため、界面に剥離用の溶媒等を供給してもよい。
また、基板201と電極層202との剥離は、上述したような物理的な方法以外に、次のような方法で行うこともできる。例えば、基板201のみを溶解するような溶媒により基板201のみを溶解、除去してもよい。
さらに、電極付き基板101として、基板201が、所定の溶媒により溶解可能な層を電極層202側の表面に有している構造のものを用い、上述した第3工程後、この所定の溶媒によって上記溶解可能な層のみを溶解、除去し、これにより基板201と電極層202とを剥離することもできる。この方法では、溶媒として、電極層202に影響しないものを適用する必要がある。かかる観点からは、例えば、溶解可能な層として、水に溶解可能なポリビニルアセテート等を用い、これを水、好ましくは温水によって溶解、除去する方法が好適な例として挙げられる。
このようにして基板201を電極層202から剥離することにより、一対の電極層202間に粒子含有樹脂が配置された構成を有する積層体が得られる。
図7は、好適な実施形態の積層体の断面構成を模式的に示す図である。図7に示すように、積層体300は、一対の電極層202間に、粒子含有樹脂205が挟持された構成を有している。この積層体300において、粒子含有樹脂205は、樹脂の固化体206中に、粒子204が分散した構造となっている。粒子204は、樹脂の固化体206中において、隣接するもの同士がその長軸方向の端部付近で順次接するようにして連続して配置されている。この粒子204が連続している方向(すなわち配向方向)は、上記第2工程において印加した電界方向と一致する。
したがって、積層体300において、粒子204は、一対の電極層202をつなぐように連続して配置される。また、電極202付近では、粒子204は、一方の端部が当該面と接するとともに、その長軸方向がこの面から略垂直に立ち上がるように配置されている。
上述した実施形態の積層体の製造方法やこれにより得られた積層体によれば、次のような作用・効果が得られる。
すなわち、まず、上述した実施形態の積層体の製造方法では、第2工程において、樹脂(又は前駆体)及び粒子を含む原料混合物に電界が加わることから、樹脂中において粒子に誘電泳動の力が働き、粒子が電界の方向に沿って配向し、例えば、この方向に連なるように連続して配置されるようになる。そして、第3工程において、電圧を印加したまま樹脂(又は前駆体)を固化させることから、粒子の配向が維持されたまま、粒子含有樹脂が形成される。
したがって、上記の製造方法によれば、配向によって上述したような特定方向に粒子が並べられた粒子含有樹脂が形成されるため、この粒子含有樹脂は、粒子の配向方向に沿う方向の導電性や熱伝導性が高められ、粒子が少量であってもこれらの特性に十分に優れるものとなる。
また、上記の製造方法においては、粒子含有樹脂を形成した後、電極付き基板における基板と電極層との間で剥離を行っている。ここで、例えば、粒子含有樹脂と電極層との間でいったん剥離を行ってしまうと、粒子含有樹脂における表面付近の粒子が埋まってしまうなどして、再度電極層を形成しても粒子含有樹脂と電極層との間の抵抗が不都合に大きくなってしまう場合がある。こうなると、積層体における電極層間の導電性が十分に得られなくなるおそれがある。
これに対し、上記製造方法では、基板と電極層との間で剥離を行うため、粒子含有樹脂と電極層とは剥離させずにそのまま電極層を表面に有する積層体を得ることができる。したがって、得られた積層体においては、電極層と粒子含有樹脂との電気的接続が良好なまま維持され、積層体における一対の電極層間の導電性も十分に得られるようになる。
このように構成された積層体が備える粒子含有樹脂は、粒子204を配向させた方向に導電性を有するとともに、これと垂直な方向には絶縁性を有する、いわゆる異方導電性を有するものとなり得る。また、粒子204の配向方向に高い熱伝導性を有し、これと垂直な方向には配向方向よりも低い熱伝導性を有するようにもなる。さらに、粒子204は、不規則に配向するのではなく、一方向に連続して並ぶように配向することから、配向方向に高い透明性を有することもできる。すなわち、図2に示した第2工程を経て形成された粒子含有樹脂は、その膜厚方向への導電性、熱伝導性及び透明性が高いものとなる。
なお、粒子として、繊維状粒子でないものや、負の誘電泳動を生じるものを用いた場合も、それぞれの配向方向に対応して同様の効果が得られるようになる。
したがって、このような粒子含有樹脂を備える積層体は、例えば、粒子として導電性粒子を用いた場合、導電性フィルムとして用いることができ、特に、透明な電極層や樹脂の固化体を用いた場合、透明導電性フィルムとして適用することができる。このような積層体からなる透明導電性フィルムは、例えば、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイ、フラットパネルディスプレイ等の透明電極として好適に用いることができる。そして、積層体における粒子含有樹脂は、上述したような製造方法によって得られたものであるから、少ない粒子の添加量であって十分な透明性を有するとともに、十分に高い導電性も得られるものとなる。
以上、本発明の積層体及びその製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、第1工程において、一対の電極付き基板を互いに離間して対向配置させてから、その間に原料混合物を導入するようにしたが、これに限定されず、あらかじめ一方の電極付き基板の電極層上に原料混合物を塗布した後、これに他方の電極付き基板を張り合わせるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、第2工程において粒子の配向を生じさせた後、第3工程において樹脂又は樹脂前駆体の固化を行ったが、第2工程と第3工程とは別々に行う必要は無く、同時に行ってもよい。すなわち、一対の電極間に電圧を印加して粒子を配向させながら(第2工程)、樹脂又は樹脂前駆体の固化を進める(第3工程)ようにしてもよい。ただし、粒子の十分な配向を生じさせる観点からは、電圧を印加した後の一定時間は、固化を生じないようにすることが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)25mg及び3Mの硝酸を混合して、これを20分間超音波攪拌した。次に、得られた混合物を多量の純水で希釈した後、110℃に加熱して水分を蒸発させ、乾燥させた。この処理により、表面がニトロ基によって修飾されたSWCNTsを得た。
上記修飾処理後のSWCNTsを、0.01重量%の濃度となるようにウレタンアクリレート系のUV硬化樹脂(重合開始剤としてイルガキュア184を3重量%含む)中に混ぜて、一時間超音波攪拌した。次いで、10,000rpmで30分間の遠心分離を行い、樹脂中にSWCNTsが分散された原料混合物を得た。
この原料混合物を用い、図2に示すような製造装置100を用いて粒子含有樹脂からなるフィルムを製造した。すなわち、まず、原料混合物を一対の電極付き基板101間に充填した(第1工程)。ここで、電極付き基板101としては、ガラスからなる基板201上に、ポリアニリンを混ぜたウレタンアクリレート系樹脂をスピンコートして形成した導電性樹脂からなる電極層202を備えるものを用いた。この電極付き基板101は、互いの電極層202同士が対向するように配置した。
次いで、電極付き基板101における電極層202間に、100kHz、20Vppの高周波交流を30分間印加して誘電泳動を生じさせることにより、SWCNTsを配向させた(第2工程)。次いで、電極層202間に電圧を印加した状態のまま、原料混合物にUV光(280〜380nmの波長域)を、10mJ/cmで100秒間照射して、UV硬化樹脂を硬化させて(第3工程)、粒子含有樹脂を形成した。
その後、得られた構造体から、電極付き基板101における基板201であるガラスを、電極層202との界面で剥離した。これにより、一対の電極層202間に粒子含有樹脂を備える積層体を得た。
得られた積層体における電極層202間の抵抗値を測定した結果、約10MΩであった。
[実施例2]
単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)25mg及び3Mの硝酸を混合して、これを20分間超音波攪拌した。次に、得られた混合物を多量の純水で希釈した後、110℃に加熱して水分を蒸発させ、乾燥させた。この処理により、表面がニトロ基によって修飾されたSWCNTsを得た。
上記修飾処理後のSWCNTsを、0.05重量%の濃度となるようにウレタンアクリレート系のUV硬化樹脂(重合開始剤としてイルガキュア184を3重量%含む)中に混ぜて、一時間超音波攪拌した。次いで、10,000rpmで30分間の遠心分離を行い、樹脂中にSWCNTsが分散された原料混合物を得た。
この原料混合物を用い、図2に示すような製造装置100を用いて粒子含有樹脂からなるフィルムを製造した。すなわち、まず、原料混合物を一対の電極付き基板101間に充填した(第1工程)。ここで、電極付き基板101としては、ガラスからなる基板201上に、トルエンにポリアニリンが分散した溶液(Panipol−T、PANIPOL社製)をスピンコートした後、トルエンを揮発により除去して形成した導電性樹脂からなる電極層202を備えるものを用いた。この電極付き基板101は、互いの電極層202同士が対向するように配置した。
次いで、電極付き基板101における電極層202間に、100kHz、20Vppの高周波交流を30分間印加して誘電泳動を生じさせることにより、SWCNTsを配向させた(第2工程)。次いで、電極層202間に電圧を印加した状態のまま、原料混合物にUV光(280〜380nmの波長域)を、10mJ/cmで100秒間照射して、UV硬化樹脂を硬化させて(第3工程)、粒子含有樹脂を形成した。
その後、得られた構造体から、電極付き基板101における基板201であるガラスを、電極層202との界面で剥離した。これにより、一対の電極層202間に粒子含有樹脂を備える積層体を得た。
得られた積層体における電極層202間の抵抗値を測定した結果、約0.2MΩであった。これは、電極層202を構成しているポリアニリンの抵抗値をほぼ等しく、積層体の抵抗値は、ポリアニリンの抵抗値に支配されていることが判明した。
[比較例1]
電極付き基板101として、ガラス上にAuをスパッタしたものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして第1〜第3工程を実施した。その後、得られた構造体から、電極付き基板(すなわち、ガラス及びAu層の両方)を剥離して、粒子含有樹脂のみを取り出した。
得られた粒子含有樹脂を、金(Au)からなる電極間に配置し、この電極間の抵抗を測定したところ、用いたテスターでは測定できないくらい抵抗が大きくなった。この結果から、測定に用いた一対の電極間はほぼ絶縁されていることが確認された。
好適な電極付き基板の断面構成を模式的に示す図である。 積層体の製造方法に用いる製造装置の構成を概略的に示す図である。 第2工程における電極及び原料混合物の状態を示す模式断面図である。 一対の電極間に原料化合物を配置した構成とした場合に得られる電界強度の分布の一例を示す図である。 一対の電極間に原料化合物を配置するとともに、この原料化合物内に所定の多孔質膜を配置した状態を示す図である。 図5に示した多孔質膜付近の電界強度の分布の一例を示す図である。 好適な実施形態の積層体の断面構成を模式的に示す図である。
符号の説明
100…製造装置、101…電極、102…スペーサー、103…リード線、104…電源、201…基板、202…電極層、203…樹脂成分、204…粒子、205…粒子含有樹脂、206…樹脂の固化体、300…積層体。

Claims (7)

  1. 基板上に電極層が形成された電極付き基板を、前記電極層が向かい合うように2つ対向させて配置し、前記電極層間に、粒子と、樹脂又は樹脂前駆体と、を含有する原料混合物を配置する第1工程と、
    2つの前記電極付き基板における前記電極層間に電圧を印加して、前記原料混合物中の前記粒子を電界方向に配向させる第2工程と、
    前記電極層間に電圧を印加しながら、前記樹脂又は前記樹脂前駆体を固化させる第3工程と、
    2つの前記電極付き基板における前記基板を前記電極層から剥離して、2つの前記電極層間に粒子含有樹脂が配置された積層体を得る第4工程と、
    を有することを特徴とする、積層体の製造方法。
  2. 前記電極層は、導電性樹脂により構成される、ことを特徴とする請求項1記載の積層体の製造方法。
  3. 前記第2工程において、前記原料混合物中の前記粒子を、電界が強い方向に移動させることにより配向させる、ことを特徴とする請求項1又は2記載の積層体の製造方法。
  4. 前記粒子として、繊維状粒子を含む、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記粒子として、繊維状粒子及び球状粒子を含む、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体の製造方法により得られた、ことを特徴とする積層体。
  7. 導電性樹脂からなる一対の電極と、
    前記一対の電極間に配置された粒子含有樹脂と、を備え、
    前記粒子含有樹脂は、樹脂の固化体中に繊維状粒子が分散した構成を有しており、且つ、 前記粒子含有樹脂は、複数の前記繊維状粒子が接触しながら連続して配置され前記一対の電極間をつないだ構造を少なくとも一部に含む、
    ことを特徴とする積層体。
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