JP5286851B2 - 燃料電池発電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内部で発生する水を電気式脱イオン装置で脱イオン処理して循環利用する燃料電池発電装置に関する。
燃料電池本体から排出される燃料電池排ガスや、改質装置の燃焼部から排出される燃焼排ガスは水分を含んでおり、燃料電池発電装置の系内での水自立(外部からの補給水を受けいれることなく運転を継続する状態)を維持するため、燃料電池排ガスや燃焼排ガスから凝縮水を回収し、再利用することが一般的に行われている。そして、凝縮水には、炭酸イオンや、配管から溶出した金属イオン等が含まれており、これらのイオンは、電極触媒や、改質触媒に悪影響を及ぼす恐れがあるので、通常は、脱イオン処理を行った後、再利用するようにしている。
凝縮水の脱イオン処理方法としては、例えば下記特許文献1〜3に開示されているように、電気式脱イオン装置を用いて凝縮水を脱イオン処理する試みが近年行われている。
特開2001−232394号公報 特開2005−116184号公報 特開2005−149947号公報
電気式脱イオン装置は、陽極と陰極との間に、イオン交換膜によって区画された脱塩室と濃縮室とを有し、脱塩室にはイオン交換樹脂が充填された水処理装置であって、脱塩室に流入したイオンはその親和力、濃度及びイオン強度に基いてイオン交換樹脂と反応し、電位の傾きの方向に樹脂中を移動して、イオン交換膜まで達する。そして、カチオンはカチオン交換膜を透過し、アニオンはアニオン交換膜を透過して、それぞれ濃縮室に移動する。これによって凝縮水を、脱イオン水と濃縮水に分離することができる。
ところで、燃料電池発電装置の配管には、ステンレス配管が主に使用されているが、このステンレス配管からクロムが溶出して、燃焼部での燃焼工程などにより、六価クロムが生成することがあった。特に、燃料電池本体のアノード電極の出口近傍は、酸化皮膜が形成されにくい水素リッチな還元性雰囲気であるとともに、りん酸形燃料電池の場合は、電池スタックのオフガスに同伴されたりん酸が配管中に付着するため、全面腐食が進行しやすく、クロムが溶出し易い傾向にあった。
電気式脱イオン装置による脱イオン処理では、濃縮室を流れる水に、凝縮水に含まれるイオンが移動するので、処理に用いる凝縮水に六価クロムが含まれていると、濃縮室から排出される水(濃縮水)には、高濃度の六価クロムが含まれており、濃縮水をそのまま系外に排水することができない場合があった。また、水自立を維持するには、濃縮水を再利用する必要があるが、凝縮水を再利用し続けると、系内で六価クロムが濃縮するので、六価クロム濃度が排水基準値を超過してしまい、排水処理にコストがかかる問題があった。
したがって、本発明の目的は、凝縮水を電気式脱イオン装置を用いて脱イオン処理すると共に、系内で六価クロムが濃縮するのを防止できる燃料電池発電装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の燃料電池発電装置は、炭化水素を水蒸気改質して水素含有ガスを生成する改質触媒層及び該改質触媒層に反応熱を供給する燃焼部を有する改質装置と、前記水素含有ガス及び酸化剤ガスとの反応により発電を行う燃料電池本体と、前記燃焼部及び前記燃料電池本体の排ガスから凝縮水を回収して貯水する水タンクと、前記凝縮水を脱イオン処理する電気式脱イオン装置と、を備えた燃料電池発電装置であって、前記電気式脱イオン装置は、陽極と陰極との間に、イオン交換膜によって区画された脱塩室と濃縮室とを有し、前記脱塩室にはイオン交換樹脂が充填されており、前記電気式脱イオン装置の前記濃縮室から、六価クロムを還元する還元手段が配設された濃縮水排水ラインが伸びて、前記水タンクの上流側に接続していることを特徴とする。
本発明によれば、凝縮水の流通ライン、凝縮水の排水ライン及び水タンクから選ばれる1ヶ所以上に、凝縮水中に含まれる六価クロムを還元する還元手段を配置したことで、六価クロムを還元してほとんど毒性のない三価クロムや金属クロムにすることができる。このため、六価クロムが系内で濃縮されるのを防止でき、排水処理に要するコストや手間を軽減できる。
本発明の燃料電池発電装置の前記還元手段は、前記電気式脱イオン装置の上流側に配置されていることが好ましい。この態様によれば、凝縮水に含まれる六価クロムを還元した際に生成された三価クロムを、後段の電気式脱イオン装置で除去できるので、よりイオン濃度の低い水を効率よく得られる。
本発明の燃料電池発電装置の水タンクは、該水タンクの水位が所定高さを超えたときに系外に水を排水する排水管を備え、該排水管に前記還元手段が配置されていることが好ましい。この態様によれば、系外に排水される凝縮水中の六価クロム濃度を効率よく低減できるので、排水処理に要する手間やコストを低減できる。
本発明の燃料電池発電装置は、前記電気式脱イオン装置の濃縮水排水口側から伸びた濃縮水排水ラインの下流側が前記水タンクの上流側に接続しており、該濃縮水排水ラインに前記還元手段が配置されていることが好ましい。電気式脱イオン装置から排出される濃縮水には、六価クロムが比較的高濃度で含まれているので、濃縮水排水ライン上に還元手段を配置することで、効率よく六価クロムを還元して低減できる。
本発明の燃料電池発電装置は、前記還元手段が、アニオン交換膜により、陰極が配置された陰極室と、陽極が配置された陽極室とに区画された、直流電圧印加方式の電解析出セルであることが好ましい。六価クロムは、陰極室側で、電荷を受け取り、三価クロムないし金属クロムに還元される。また、陰極室と陽極室とがアニオン交換膜によって区画されているので、陰極室側で還元された三価クロムが陽極側に移行することを防止でき、より効率よく六価クロムを低減できる。また、印加電圧を増加することで、凝縮水に含まれるクロム以外の金属イオンも析出させて除去することができるので、電気式脱イオン装置にかかる負荷をより低減できる。
本発明の燃料電池発電装置は、前記還元手段が、活性炭であることが好ましい。六価クロムは、活性炭を酸化分解するが、その際に三価クロムに還元される。また、活性炭は、表面積が大きく、またその表面には、水酸基が存在しており、この水酸基に六価クロムが反応し、活性炭の表面に化学的に吸着する。このため、還元作用に加え吸着作用も得られるので、より効率よく六価クロムを低減できる。また、活性炭は、六価クロム以外の金属イオンも吸着することができるので、凝縮水に含まれる金属イオン濃度を低減でき、電気式脱イオン装置にかかる負荷をより低減できる。
本発明の燃料電池発電装置は、前記改質装置で生成した水素含有ガスを前記燃料電池本体に供給するラインが分岐して、前記活性炭が配置された場所又はその近傍に接続していることが好ましい。この態様によれば、六価クロムが水素と反応して還元されるので、活性炭による還元作用が相乗的に向上し、六価クロムをより効率的に三価クロムに還元して、低減できる。
本発明によれば、六価クロムが系内で濃縮されるのを防止でき、排水処理に要するコストや手間を軽減できる。
以下、図面に基づいて本発明の燃料電池発電装置の実施形態を説明する。図1に、本発明の燃料電池発電装置の第一の実施形態の概略構成図を示す。
図中の1は、燃料電池本体であって、電解質1cを挟持するアノード電極1a及びカソード電極1bと、これらからなる単位セルの複数個を重ねる毎に配設される冷却管を有する冷却系1dとで構成されている。
アノード電極1aの改質ガス供給側は、改質装置3から伸びた改質ガス供給ラインL1が連結している。この改質ガス供給ラインL1には、改質ガスドレントラップQ1が配置されており、改質ガスドレントラップQ1の凝縮水貯留部からは、改質ガス凝縮水供給ラインL2が伸びて、脱炭酸装置5に連結している。
アノード電極1aのアノードオフガス排出側からは、アノードオフガス排出ラインL3が伸びており、その先端側は、燃焼用燃料供給ラインL12に連結している。また、アノードオフガス排出ラインL3には、途中にアノードオフガスドレントラップQ2が配置されており、アノードオフガスドレントラップQ2の凝縮水貯留部からは、アノードオフガス凝縮水供給ラインL4が伸びて、脱炭酸装置5に連結している。
カソード電極1bの空気供給側は、空気供給源から伸びた空気供給ラインL5が連結している。この空気供給ラインL5には、加湿器2が配置されている。
カソード電極1bの排空気排出側からは、カソードオフガス排出ラインL6が伸びて、水タンク4に連結している。このカソードオフガス排出ラインL6には、カソードオフガス熱交換器Q3が配置されている。
冷却系1dの冷却水供給側は、電池冷却水タンク12から伸びた電池冷却水供給ラインL7が連結している。
冷却系1dの冷却水排出側からは、電池冷却水排出ラインL8が伸びて、電池冷却水タンク12に接続している。
改質装置3は、水蒸気改質触媒が充填された改質触媒層3aと、バーナが配置された燃焼部3bとを備え、バーナで燃焼用燃料を燃焼した際に発生する燃焼熱及び燃焼排ガスで前記改質触媒層3aを加熱するように構成されている。
改質触媒層3aの改質原料の投入側は、原燃料源から伸びた原燃料供給ラインL9と、電池冷却水タンク12から伸びた改質水供給ラインL10が連結している。
改質触媒層3aの改質ガス吐出側からは、改質ガス供給ラインL1が伸びてアノード電極1aに連結している。
燃焼部3bの燃焼燃料導入口側は、燃焼用燃料供給ラインL12と、燃焼空気供給ラインL11とが連結しており、燃焼部3bに配置されたバーナに燃料用燃料と燃焼用空気とを供給できるように構成されている。燃焼用燃料供給ラインL12の上流側は、アノードオフガス排出ラインL3及び原燃料供給ラインL9が接続している。
燃焼部3bの燃焼排ガス排出側からは、燃焼排ガスラインL13が伸びて、脱炭酸装置5に接続している。燃焼排ガスラインL13には、途中燃焼排ガス熱交換器Q4が配置されている。
脱炭酸装置5は、水タンク4の上部に隣接して配設されており、ドレン口6を介して連通している。脱炭酸装置5の上部には、改質ガス凝縮水供給ラインL2、アノードオフガス凝縮水供給ラインL4、燃焼排ガスラインL13、及び、後述する電気式脱イオン装置10の濃縮室から伸びた濃縮水排出ラインL21が連結している。また、脱炭酸装置5からは、排気ラインL17が伸びている。
脱炭酸装置5としては特に限定はなく、凝縮水と脱炭酸用空気とを接触させて凝縮水中の炭酸ガスを気中拡散して脱気できるような構成のものが好ましく用いることができる。このような構成の脱気装置としては、SUS等のラッシヒリングが充填された脱気部を備え、該脱気部の上部に凝縮水を供給すると共に、脱気部の下部から脱炭酸用空気を供給し、凝縮水を重力落下させながら脱炭酸用空気と接触させて脱炭酸処理するような構成のものや、例えば、特開2007−323969号に開示されているような、多孔質材料で構成された傾斜板が配置された脱気部を備え、傾斜板の下部側から上部側へ脱炭酸用空気を流通させると共に、傾斜板の上部側から下部側へ向けて凝縮水を流下させて、凝縮水を脱炭酸処理するような構成のものなどが一例として挙げられる。
この実施形態では、水タンク4の内部に、還元手段20が配置されている。還元手段20としては、六価クロムを還元できるものであれば特に限定はなく、活性炭や、後述する電解析出セル等が好ましく用いることができる。
活性炭は、六価クロムと反応して酸化分解されるが、その際、六価クロムは三価クロムに還元される。また、活性炭の表面には、水酸基が存在しており、この水酸基に六価クロムが反応し、化学的に吸着するので、還元作用に加え吸着作用も得られるので、六価クロムを効率よく低減できる。また、活性炭は、六価クロム以外の金属イオンも吸着することができるので、凝縮水に含まれる金属イオン濃度を低減でき、後段に配置された金属イオン除去装置9や電気式脱イオン装置10などにかかる負荷をより低減できる。
活性炭の原料としては、特に限定はなく、木炭、竹炭、ヤシガラ炭、樹皮などが挙げられる。また、活性炭の形状としては、特に限定はなく、粒状、微粉末状、フレーク状、多孔質状、フィルタ状などの形状が挙げられる。活性炭の比表面積としては、100〜1000m/gが好ましい。
活性炭を水タンク4の内部に設置するには、例えば、活性炭の粒径よりも細かい目開きのネットなどに活性炭を充填して、底部に配置する方法等が挙げられる。
また、電解析出セルは、アニオン交換膜31により、陰極32が配置された陰極室33と、陽極34が配置された陽極室35とに区画され、陰極室33側に被処理水を供給すると共に、それぞれの電極に直流電圧を印加して、六価クロムを電解処理する装置であって、例えば、図2に示すようなバッチ型の電解析出セル30や、図3に示すようなフロー型の電解析出セル30aが好ましく挙げられる。また、フロー型の電解析出セルにあっては、陰極32と陽極34との間の液抵抗による過電圧の影響を少なくするため、陰極32と陽極34は、平行に配置されていることが好ましい。また、陰極32の表面積は、陽極34の表面積よりも大きいことが好ましい。
上記電解析出セルの陰極室33側では、直流電圧を印加することで、下記(1)の反応により、六価クロムが三価クロムに還元される。そして、水素発生電圧まで印加電圧を増加させると、下記(2)の反応が進行し、陰極32に金属クロムが析出するので、六価クロム濃度を低減できる。また、水素過電圧の電圧を印加すると、鉄等の六価クロム以外の金属イオンも陰極32に析出させることができるので、凝縮水に含まれる金属イオンをより低減でき、後段の金属イオン除去装置9や電気式脱イオン装置10にかかる負荷をより低減できる。
Cr6++3e → Cr3+ ・・・(1)
Cr3++3e → Cr ・・・(2)
一方、陽極室35側では、下記(3)の反応が生じることが予測されるが、陰極室33と陽極室35とをアニオン交換膜31で区画することにより、陰極室33で生成したCr3+が、陽極室35側に移動するのを防止でき、六価クロムを効率よく還元できる。
Cr3+ → Cr6++3e ・・・(3)
水タンク4には、カソードオフガス排出ラインL6と、電池冷却水タンク12から伸びた電池冷却水オーバフローラインL18が接続している。また、水タンク4の側壁には、タンク水オーバフローラインL19が伸びて、タンク内の水位が一定水位を超えないようにされている。また、水タンク4の下部からは、回収水供給ラインL20が伸びて、電池冷却水タンク12に接続している。回収水供給ラインL20には、上流側から、入口フィルタ8、回収水ポンプP1、金属イオン除去装置9、電気式脱イオン装置10、水処理樹脂11が配置されている。
上記回収水供給ラインL20と、後述する濃縮水排出ラインL21とが、本発明の「凝縮水の流通ライン」をなしている。また、上記タンク水オーバフローラインL19が、本発明の「凝縮水の排水ライン」をなしている。
入口フィルタ8としては、水タンク4で回収した回収水に含まれている煤や粉塵等の不純物を除去するものであれば特に限定はなく、金属除去フィルタ、微粒子除去フィルタ等が好ましく挙げられる。
金属イオン除去装置9としては、凝縮水中に含まれる金属イオン吸着樹脂や、キレート樹脂などが好ましく挙げられる。
電気式脱イオン装置10は、陽極と陰極との間に、イオン交換膜によって区画された脱塩室と濃縮室とを有し、脱塩室にはイオン交換樹脂が充填された水処理装置である。脱塩室に流入したイオンはその親和力、濃度及びイオン強度に基いてイオン交換樹脂と反応し、電位の傾きの方向に樹脂中を移動し、イオン交換膜まで達する。そして、カチオンはカチオン交換膜を透過し、アニオンはアニオン交換膜を透過して、それぞれ濃縮室に移動する。これによって回収水を、脱イオン水と濃縮水に分離することができ、電気式脱イオン装置の脱塩室からは、イオン濃度が低減された脱イオン水を回収でき、電池冷却水タンク12に供給できる。また、電気式脱イオン装置10の濃縮室からは、濃縮水排出ラインL21が伸びて脱炭酸装置5に連結しており、濃縮水を水タンク4の上流側に還流するように構成されている。
水処理樹脂11は、電気式脱イオン装置10で除去しきれなかったイオンを除去するものであって、イオン交換樹脂などが好ましく挙げられる。
次に、本発明の燃料電池発電装置の動作について説明する。
まず、改質装置3にて、原燃料供給ラインL9から供給される原燃料を、改質水供給ラインL10から供給される改質水と混合して、改質触媒層3aに供給し、水蒸気改質反応により水素に富む改質ガスを生成させる。水蒸気改質反応は、吸熱反応であることから、改質装置3の燃焼部3bに、燃焼用燃料供給ラインL12から燃焼用燃料と、燃焼空気供給ラインL11から燃焼空気を供給し、これらを燃焼して改質触媒層3aを加熱する。なお、燃料電池発電装置の起動時においては、燃焼用燃料としては、原燃料供給ラインL9から供給される原燃料を主体として用いられ、燃焼部3bでの燃焼状態が安定し、改質触媒層3aが十分加熱されたら、アノードオフガスが主体として用いられる。
そして、改質装置3で生成された改質ガスは、改質ガス供給ラインL1を通ってアノード電極1aに供給される。改質ガスに含まれる凝縮水は、改質ガス供給ラインL1の途中に配置された改質ガスドレントラップQ1にて回収され、改質ガス凝縮水供給ラインL2を通って脱炭酸装置5に供給される。
燃料電池本体1では、アノード電極1aに供給された改質ガスと、カソード電極1bに供給された空気とを電解質1cの界面で電気化学反応させて発電し、この発電出力を電力系統に供給する。
カソード電極1bから排出されるカソードオフガスは、カソードオフガス熱交換器Q3で冷却されて、カソードオフガス凝縮水とカソードガスと共に、カソードオフガス排出ラインL6を通って水タンク4に供給される。
アノード電極1aから排出されるアノードオフガスは、アノードオフガス排出ラインL3を通って燃焼部3bへと供せられ、燃焼用燃料として用いられる。アノードオフガスに含まれる凝縮水は、アノードオフガス排出ラインL3の途中に配置されたアノードオフガスドレントラップQ2にて回収され、アノードオフガス凝縮水供給ラインL4を通って脱炭酸装置5に供給される。
改質装置3の燃焼部3bから排出される燃焼排ガスは、燃焼排ガス熱交換器Q4で冷却されて、燃焼排ガスと共に脱炭酸装置5に供給される。
そして、水タンク4に回収された凝縮水は、入口フィルタ8にて煤や粉塵等の不純物除去が行われた後、金属イオン除去装置9にて金属イオンの除去処理が行われた後、電気式脱イオン装置10に送られて脱イオン処理がなされ、電気式脱イオン装置10の脱塩室から排出される処理水は、水処理樹脂11で更に脱イオン処理した後、電池冷却水タンク12に送られ、電池冷却水、加湿水、改質水などに使用される。一方、電気式脱イオン装置10の濃縮室から排出される濃縮水は、濃縮水排出ラインL21を通って脱炭酸装置5に還流される。
ところで、前述したように、燃料電池発電装置の配管などには、ステンレス部材が主に使用されているが、ステンレス部材からクロムが溶出して、燃焼部での燃焼工程などにより、六価クロムが生成することがあった。特に、燃焼排ガスから回収される凝縮水には、六価クロムが多量に含有している傾向にあった。六価クロムは、金属イオン除去装置9、電気式脱イオン装置10、水処理樹脂11などではほとんど除去できず、凝縮水を再利用し続けると、六価クロムが濃縮されるおそれが従来はあった。
しかし、本発明では、還元手段20を配置したことで、凝縮水中に含まれる六価クロムが、毒性の少ない三価クロムや金属クロムにすることができる。そして、三価クロムであれば、金属イオン除去装置9や、電気式脱イオン装置10での脱イオン処理により除去することができ、金属クロムでれば、入口フィルタ8などで除去できるので、六価クロムが系内で濃縮されるのを防止でき、排水処理に要するコストや手間を軽減できる。
また、この実施形態では、還元手段20を水タンク4内に配置したことで、還元手段20による凝縮水の還元処理時間を比較的長時間確保することができるので、六価クロムを効率よく低減できる。
本発明の燃料電池発電装置の第二の実施形態について、図4を用いて説明する。なお、第一の実施形態と同一箇所には、同一符号を付してその説明を省略する。
この実施形態では、水タンク4内に活性炭40が配置されており、かつ、改質ガス供給ラインL1の一部が分岐して配管L22が伸びて、この配管L22の先端が、水タンク4の下部又は底部に連結している点で、上記第一の実施形態と相違点している。
この実施形態によれば、改質装置3で生成された改質ガスの一部が、配管L22を通って水タンク4内の凝縮水に吹き込まれる。凝縮水中の六価クロムは、配管L22から吹き込まれた水素と反応して三価クロムに還元されるので、活性炭40による還元作用を相乗的に高めて、凝縮水に含まれる六価クロムをより効率よく低減できる。
水タンク4に吹き込まれた改質ガスは、水タンク4の上部に設けられた脱炭酸装置5の上部に設けられた排気ラインL17から系外に排気されるが、排ガス中の水素濃度が4vol%を超えると爆発の恐れがあるので、排ガス中の水素濃度が、爆発化限界以下の濃度である4vol%以下となるように水タンク4への改質ガスの供給量を調整することが好ましい。
水タンク4への改質ガスの供給量の調整は、配管L22の口径を調整して流量を調整する方法や、配管L22に弁を設けて弁の開閉により流量を調整する方法等が挙げられるが、装置構成を簡略化できるということから、配管L22の口径を調整して流量を調整する方法が好ましい。
本発明の燃料電池発電装置の第三の実施形態について、図5を用いて説明する。なお、第一の実施形態と同一箇所には、同一符号を付してその説明を省略する。
この実施形態では、還元手段20が、水タンク4と入口フィルタ8との間に配置されている点で上記第一の実施形態と相違点している。
この実施形態において、還元手段20として活性炭を用いる場合は、フィルタ状にして用いることが好ましい。また、還元手段20として電解析出セルを用いる場合は、図3に示すようなフロー型の電解析出セル30aを用いることが好ましい。
この実施形態によれば、回収水供給ラインL20に還元手段が配置されているので、水タンク4内に配置した場合よりも、活発な凝縮水の流通が期待でき、凝縮水の流量変動が生じにくくなる。また、金属イオン除去装置9よりさらに上流側に配置したことにより、六価クロムを還元して生成される三価クロムを、下流側の金属イオン除去装置9で効率よく除去することができる。
本発明の燃料電池発電装置の第四の実施形態について、図6を用いて説明する。なお、第一の実施形態と同一箇所には、同一符号を付してその説明を省略する。
この実施形態では、水タンク4と入口フィルタ8との間に活性炭40が配置されており、かつ、改質ガス供給ラインL1の一部が分岐して配管L22が伸びて、この配管L22の先端が、活性炭40の前段に連結している点で、上記第一の実施形態と相違点している。
この実施形態によれば、改質装置3で生成された改質ガスの一部が、配管L22を通って活性炭40の前段に送出されるので、活性炭40による還元作用が相乗的に高まり、凝縮水中の六価クロムを効率よく還元できる。
本発明の燃料電池発電装置の第五の実施形態について、図7を用いて説明する。なお、第一の実施形態と同一箇所には、同一符号を付してその説明を省略する。
この実施形態では、還元手段20が、濃縮水排出ラインL21に配置されている点で上記第一の実施形態と相違する。
この実施形態では、上記第二の実施形態同様、還元手段20として活性炭を用いる場合は、フィルタ状にして用いることが好ましい。また、還元手段20として電解析出セルを用いる場合は、図3に示すようなフロー型の電解析出セルを用いることが好ましい。
電気式脱イオン装置10の濃縮室から排出される濃縮水には、比較的高濃度の六価クロムが含まれているので、濃縮水排出ラインL21に還元手段20を配置することで、六価クロムを効率よく低減できる。また、還元手段20として電解析出セルを用いた場合においては、起動電力が比較的低電圧で済むので、運転コストを低減できる。
そして、この実施形態では、凝縮水の送液ライン上に還元手段20が配置されていないので、圧損が生じて凝縮水の流通が低下し難い。このため、電気式脱イオン装置10の各室への供給水量が変動しにくくなり、凝縮水を効率よく脱イオン処理できる。
本発明の燃料電池発電装置の第六の実施形態について、図8を用いて説明する。なお、第一の実施形態と同一箇所には、同一符号を付してその説明を省略する。
この実施形態では、濃縮水排出ラインL21に活性炭40が配置されており、かつ、改質ガス供給ラインL1の一部が分岐して配管L22が伸びて、この配管L22の先端が、活性炭40の前段に連結している点で、上記第一の実施形態と相違点している。
この実施形態によれば、改質装置3で生成された改質ガスの一部が、配管L22を通って活性炭40の前段に送出されるので、活性炭40による還元作用が相乗的に高まり、凝縮水中の六価クロムを効率よく還元できる。
本発明の燃料電池発電装置の第七の実施形態について、図9を用いて説明する。なお、第一の実施形態と同一箇所には、同一符号を付してその説明を省略する。
この実施形態では、還元手段20が、タンク水オーバフローラインL19に配置されている点で上記第一の実施形態と相違する。
この実施形態では、上記第三、五の実施形態同様、還元手段20として活性炭を用いる場合は、フィルタ状にして用いることが好ましい。また、還元手段20として電解析出セルを用いる場合は、図3に示すようなフロー型の電解析出セルを用いることが好ましい。
系内で六価クロムが濃縮されると、水タンク4からオーバフローして排水される凝縮水には、比較的高濃度の六価クロムが含まれていることがあるので、タンク水オーバフローラインL19上に還元手段20を配置することで、六価クロムを効率よく三価クロムないし金属クロムに還元して系外に排水できるので、系外に排水基準値を超えた六価クロムが流出するのを防止できる。
そして、この上記第五の実施形態と同様に、凝縮水の送液ライン上に還元手段20が配置されていないので、圧損が上昇しにくく、凝縮水の流通が悪化する恐れが少ない。
本発明の燃料電池発電装置の第八の実施形態について、図10を用いて説明する。なお、第一の実施形態と同一箇所には、同一符号を付してその説明を省略する。
この実施形態では、タンク水オーバフローラインL19に活性炭40が配置されており、かつ、改質ガス供給ラインL1の一部が分岐して配管L22が伸びて、この配管L22の先端が、活性炭40の前段に連結している点で、上記第一の実施形態と相違点している。
この実施形態によれば、改質装置3で生成された改質ガスの一部が、配管L22を通って活性炭40の前段に送出されるので、活性炭40による還元作用が相乗的に高まり、凝縮水中の六価クロムを効率よく還元できる。
本発明の燃料電池発電装置の第一の実施形態の概略構成図である。 バッチ型電解析出セルの概略構成図である。 フロー型電解析出セルの概略構成図である。 本発明の燃料電池発電装置の第二の実施形態の概略構成図である。 本発明の燃料電池発電装置の第三の実施形態の概略構成図である。 本発明の燃料電池発電装置の第四の実施形態の概略構成図である。 本発明の燃料電池発電装置の第五の実施形態の概略構成図である。 本発明の燃料電池発電装置の第六の実施形態の概略構成図である。 本発明の燃料電池発電装置の第七の実施形態の概略構成図である。 本発明の燃料電池発電装置の第八の実施形態の概略構成図である。
符号の説明
1:燃料電池本体
1a:アノード電極
1b:カソード電極
1c:電解質
1d:冷却系
2:加湿器
3:改質装置
3a:改質触媒層
3b:燃焼部
4:水タンク
5:脱炭酸装置
6:ドレン口
8:入口フィルタ
9:金属イオン除去装置
10:電気式脱イオン装置
11:水処理樹脂
12:電池冷却水タンク
20:還元手段
30、30a:電解析出セル
40:活性炭
L1:改質ガス供給ライン
L2:改質ガス凝縮水供給ライン
L3:アノードオフガス排出ライン
L4:アノードオフガス凝縮水供給ライン
L5:空気供給ライン
L6:カソードオフガス排出ライン
L7:電池冷却水供給ライン
L8:電池冷却水排出ライン
L9:原燃料供給ライン
L10:改質水供給ライン
L11:燃焼空気供給ライン
L12:燃焼用燃料供給ライン
L13:燃焼排ガスライン
L17:排気ライン
L18:電池冷却水オーバフローライン
L19:タンク水オーバフローライン
L20:回収水供給ライン
L21:濃縮水排出ライン
P1:回収水ポンプ
Q1:改質ガスドレントラップ
Q2:アノードオフガスドレントラップ
Q3:カソードオフガス熱交換器
Q4:燃焼排ガス熱交換器

Claims (4)

  1. 炭化水素を水蒸気改質して水素含有ガスを生成する改質触媒層及び該改質触媒層に反応熱を供給する燃焼部を有する改質装置と、前記水素含有ガス及び酸化剤ガスとの反応により発電を行う燃料電池本体と、前記燃焼部及び前記燃料電池本体の排ガスから凝縮水を回収して貯水する水タンクと、前記凝縮水を脱イオン処理する電気式脱イオン装置と、を備えた燃料電池発電装置であって、
    前記電気式脱イオン装置は、陽極と陰極との間に、イオン交換膜によって区画された脱塩室と濃縮室とを有し、前記脱塩室にはイオン交換樹脂が充填されており、
    前記電気式脱イオン装置の前記濃縮室から、六価クロムを還元する還元手段が配設された濃縮水排水ラインが伸びて、前記水タンクの上流側に接続していることを特徴とする燃料電池発電装置。
  2. 前記還元手段が、アニオン交換膜により、陰極が配置された陰極室と、陽極が配置された陽極室とに区画された、直流電圧印加方式の電解析出セルである、請求項に記載の燃料電池発電装置。
  3. 前記還元手段が、活性炭である、請求項1に記載の燃料電池発電装置。
  4. 前記改質装置で生成した水素含有ガスを前記燃料電池本体に供給するラインが分岐して、前記活性炭が配置された場所又はその近傍に接続している、請求項3に記載の燃料電池発電装置。
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