本発明に係る通信端末の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る通信端末間で形成されるネットワークを説明する概念図である。
本実施形態においては、端末間で直接無線通信することによりローカルネットワークを形成するホスト側としての通信端末に携帯電話機1を、この携帯電話機1に接続を要求する通信端末にノート型パーソナルコンピュータ(以下、単に「パーソナルコンピュータ」という。)2を適用して説明する。なお、本実施形態においては携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2とを通信端末に適用して説明するが、パーソナルコンピュータ2がホスト側の通信端末となってもよいし、ホスト側の通信端末に他の通信端末を適用することもできる。例えば、PDA(PersonalDigitalAssistant)、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生機、携帯型動画再生機などの通信機能を備えた種々の通信端末を適用することができる。
携帯電話機1は、W−CDMA方式を一例とする通信方式を用いて、移動通信網に収容される基地局3との間で音声やデータの送受信を行う。基地局3は、所定の公衆回線網4を介して所定のサーバ5と接続される。
パーソナルコンピュータ2は、例えば無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(ブルートゥース(登録商標))などの通信手段を利用して他の端末としての携帯電話機1と通信を行う機能を備えた通信端末である。
携帯電話機1およびパーソナルコンピュータ2は、ローカルネットワークを形成し相互に無線信号の送受信を行うシステムを有する。携帯電話機1およびパーソナルコンピュータ2は、携帯電話機1が基地局3と行う無線通信とは異なる通信方式を用いた無線通信を行うものであり、例えば無線LAN、Bluetoothなどの通信手段を利用して通信を行う。なお、携帯電話機1およびパーソナルコンピュータ2は、消費電流の関係から数mの距離において無線通信を実現するのが好ましい。
図2は、本発明に係るホスト側としての通信端末の一例である携帯電話機1のハードシステム構成図である。
本実施形態における携帯電話機1においては、主に他の通信端末との無線通信を実現するための構成を主に説明し、携帯電話機が一般的に備えるハードシステム構成についての詳細な説明を省略する。
携帯電話機1は、携帯電話機無線通信モジュール11、Bluetooth通信モジュール12、無線LAN通信モジュール13、CPU15、メモリ18、入力部19、出力部20、無線信号検知回路21を有する。携帯電話機1の各部はバス22により接続されている。
携帯電話機無線通信モジュール11は、基地局3(図1参照)との音声やデータの送受信を実現する。携帯電話機無線通信モジュール11は、アンテナを備え、移動通信網に収容される基地局3から所定の通信処理システムで送信される無線信号を空間から受信する。また、携帯電話機無線通信モジュール11は、基地局3に対して所定の通信処理システムで無線通信できるようにアンテナを介して空間に所定の無線信号を放射する。携帯電話機無線通信モジュール11は、受信された信号に対して所定の処理を行った後CPU15にデータを出力したり、出力部20としてのレシーバより音声を出力したりする。また、携帯電話機無線通信モジュール11は、所定の処理を行った後CPU15より出力されたデータや入力部19としてのマイクロフォンより集音された音声を送信する。
Bluetooth(BT)通信モジュール12は、アンテナを介して携帯電話機1の近傍(数m〜十数m)に存在する他の通信端末などと無線通信を行う。
無線LAN(WLAN)通信モジュール13は、内蔵されたアンテナ(図示せず)を介してIEEE802.11a/b/gなどの所定の規格に準拠した無線LAN通信を行う。
後述する無線LAN通信を行う場合にはWLAN通信モジュール13のみ、Bluetooth通信による同期処理を行う場合にはBT通信モジュール12のみを備えてもよい。パーソナルコンピュータ2においても同様である。
CPU(Central Processing Unit)15は、メモリ18としてのROM(Read Only Memory)に記憶されているプログラムまたはROMからRAM(Random Access Memory)にロードされた、オペレーティングシステム(OS)を含む各種のアプリケーションプログラムや制御プログラムに従って各種処理を実行する。CPU15は、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより携帯電話機1を統括的に制御する。RAMは、CPU15が各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。また、メモリ18は電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)を有する。
入力部19は、例えば操作キータイプやタッチパネルタイプなどの入力手段を介して入力を受け付け、この入力信号をCPU15に出力する。また、音声通話時には、マイクロフォンを介してユーザの音声を集音する。出力部20は、CPU15の指示に基づいて文字や画像などからなるデータを出力する。この出力部20は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイにより構成される。また、音声通話時にはレシーバを介して通話相手の音声を出力する。
無線信号検知回路21は、パーソナルコンピュータ2(他の通信端末)より送出された振幅変調波形を有する無線信号を検知するための回路である。無線信号検知回路21は、パーソナルコンピュータ2より受信した信号の時間軸における電力値の大小のパターンおよび周期によって信号の種類を判定し、受信した無線信号に含まれる特定信号を検知した場合には所定の制御信号を割り込み信号生成回路14に出力する。割り込み信号生成回路14は、無線信号検知回路21より出力された信号に基づいて割り込み信号を生成し、CPU15に割り込み処理が発生した旨を通知する。
無線信号検知回路21は、ローカル通信部としてのWLAN通信モジュール13およびBT通信モジュール12がパーソナルコンピュータ2より送出された無線信号を監視する際の動作電力より低い動作電力によって、この無線信号を監視するようになっている。なお、無線信号検知回路21の各回路は、後述する各回路の説明毎に示す文献に記載された省電力化を実現することが可能な従来技術を適用して構成される。しかし、無線信号検知回路21は、後述する文献に記載された構成に限らず、少なくともローカル通信部としてのWLAN通信モジュール13およびBT通信モジュール12がパーソナルコンピュータ2より送出された無線信号を監視する際の動作電力より低い動作電力でこの無線信号を監視することが可能であればいかなる構成であってもよい。
図3は、図2の無線信号検知回路21の回路構成図である。
無線信号検知回路21は、RF信号受信回路31、ダウンコンバータ(整流回路)32、ベースバンド(BB)信号増幅回路33、信号識別回路34および制御信号出力回路35を備える。
RF(Radio Frequency)信号受信回路31は、パーソナルコンピュータ2などの他の通信端末より送出された検知感度に達する無線信号(電波)を受信すると、RF信号を出力する。
ダウンコンバータ(整流回路)32は、RF信号受信回路31より出力されたRF信号を整流および検波して復調信号を取得する。なお、省電力化のため、ダウンコンバータ(整流回路)32は局部発振器を有しない構成となっている。ダウンコンバータ(整流回路)32の構成については、例えば特許第4377946号公報(復調装置)に記載された技術を適用することができる。
具体的には、ダウンコンバータ(整流回路)32は、直流電圧を出力するバイアス回路と、ゲート端子とソース端子との間に直流電圧のみが印加される第1のMOSトランジスタと、ゲート端子とソース端子との間に直流電圧のみが印加されるとともにドレイン端子が第1のMOSトランジスタのソース端子に接続された第2のMOSトランジスタと、一端が第1のMOSトランジスタのソース端子に接続され他端が交流信号が入力される結合キャパシタとを具備する整流回路であって、バイアス電圧を所定のタイミングで供給する整流回路と、この整流回路によって整流された入力信号を所定のタイミングとは異なるタイミングで閾値と比較して2値信号を出力するクロックドコンパレータとを備えた、すなわちクロック式バイアス印加系整流回路である。
BB信号増幅回路33は、ダウンコンバータ(整流回路)32から出力された復調信号を増幅し所定の信号を出力する。BB信号増幅回路33の構成については、例えば特開2009−89434号公報(トリガ信号発生装置、受信機)に記載された技術が適用可能である。
具体的には、BB信号増幅回路33は、復調信号の大きさに応じた振幅を持つ電流を生成する電流生成手段と、この電流生成手段が生成する電流の大きさに応じた振幅を有し、第一電源電位から第二電源電位に向かって流れる電流を出力する電流出力手段、およびこの電流出力手段が出力する電流を増幅するカレントミラー回路とを含む信号増幅手段と、カレントミラーの出力端に接続され、増幅された電流信号を電圧信号に変換してトリガ信号を生成するトリガ信号生成手段を備えた、すなわちカレントミラー回路および電流電圧変換回路を有する回路である。
信号識別回路34は、BB信号増幅回路33において生成された信号に基づいて、受信した無線信号が待受け状態にある特定信号であるか否かを識別し、識別結果を制御信号出力回路35に出力する。
制御信号出力回路35は、信号識別回路34より出力された識別結果に基づいて割込み処理の発生を通知する旨の制御信号を生成し、割り込み信号生成回路14に出力する。また、CPU15が割込み処理の内容を必要に応じて読み込めるように書き込みを行う。
図4は、図3の信号識別回路34および制御信号出力回路35の詳細な構成図である。
なお、図中の一点鎖線より左側が図3の信号識別回路34、右側が制御信号出力回路35に該当する。
信号識別回路34の比較器36は、BB信号増幅回路33より供給された信号を比較基準電位と比較し、この比較基準電位よりも高い信号が検出された場合にはハイレベル、基準電位よりも低い信号はローレベルと判断し、振幅変調ユニークワード(UW)検出回路41の振幅変調復調回路42、無線LAN(WLAN)信号検出回路43およびBluetooth(BT)信号検出回路44にそれぞれ信号を出力する。
WLAN信号検出回路43は、得られた信号が、WLAN通信モジュールがアドホックモードを利用した通信を開始するために周辺機器に対して自機の存在を知らせる目的で送出する信号(以下、単に「WLAN信号」という。)の包絡線パタンに合致するか否かの検出を行う。
図5は、WLAN信号検出回路43が検出する信号の包絡線波形を示す図である。
WLAN信号検出回路43は、このWLAN信号の包絡線パタンを検出した場合、制御信号出力回路35の無線LAN(WLAN)信号検出信号生成回路45に通知する。
BT信号検出回路44は、得られた信号が、BT通信モジュールがInquiry(インクワイアリ)スキャン時に出力する信号(以下、単に「BT信号」という。)の包絡線パタンに合致するか否かの検出を行う。
図6は、BT信号検出回路44が検出する信号の包絡線波形を示す図である。
BT信号検出回路44は、このBT信号の包絡線パタンを検出した場合、制御信号出力回路35のBluetooth(BT)信号検出信号生成回路46に通知する。なお、Inquiryスキャンは、他のBluetooth対応端末を検索するために特定の信号を送出し、対応機器からの応答信号を受信する処理である。
振幅変調UW検出回路41の振幅変調復調回路42は、得られた信号を復調する処理を行う。ここで復調される信号は、後述するパーソナルコンピュータ2より送出されるユニークワード情報(UW)とコマンド情報とが含まれる信号(以下、単に「UW信号」という。)である。振幅変調復調回路42は、これらのUWおよびコマンドを取得するために復調処理を行う。
振幅変調復調回路42より出力された信号は、ユニークワード(UW)シフトレジスタ47およびコマンドシフトレジスタ48に供給される。コマンド信号生成回路49は、UWシフトレジスタ47に供給された信号といずれかのUW設定レジスタ51に設定されたUWとの一致が検出された場合、CPU15が割り込み処理の中でインタフェース(I/F)部50を介して読み込むためのコマンド信号を生成する。
ユニークワード(UW)設定レジスタ51a、51b、51c(UW設定レジスタ51)には、CPU15より設定されたUWがそれぞれ記憶される。UWシフトレジスタ47に供給された信号は、比較器52a、52b、52c(比較器52)においてそれぞれUW設定レジスタ51a、51b、51cに設定されたUWと一致するか否かが判定される。UW設定レジスタ51および対応する比較器52が複数(本実施形態においては3つ)用意されることにより、携帯電話機1は複数の通信端末との間で設定されたUWを設定することができるため、異なる端末からの接続要求信号を同時に待ち受けることができる。
UWシフトレジスタ47に信号を供給しUW設定レジスタ51に記憶されたUWとの比較を行う具体的な構成については、例えば特開2009−33445号公報(受信装置および方法)に記載された技術が適用可能である。
WLAN信号検出信号生成部45、BT信号検出信号生成回路46により各検出信号が生成された場合、およびUWシフトレジスタ47に供給された信号といずれかのUW設定レジスタ51に設定されたUWとの一致が検出された場合には、OR回路53に通知される。OR回路53はいずれかの信号が入力された場合、割り込み信号生成回路14に対して信号を出力する。また、WLAN信号検出信号生成回路45、BT信号検出信号生成回路46、各比較器52は、割り込み信号を受け付けたCPU15が読み込むための信号をI/F部50に出力する。
図7は、本発明に係る通信端末の一例である携帯電話機1のソフトシステム構成図である。
本実施形態における携帯電話機1においては、主に他の通信端末との無線通信を実現するための構成を主に説明し、携帯電話機が一般的に備えるソフトシステム構成についての詳細な説明を省略する。
Bluetooth(BT)通信スタック61は、所定のBT通信手順を実行する。Bluetooth(BT)ドライバ62は、BT通信スタックの実行する手順を実現するためにBT通信モジュール12を制御する。
無線LAN(WLAN)通信スタック64は、所定のWLAN通信手順を実行する。無線LAN(WLAN)ドライバ65は、WLAN通信スタックの実行する手順を実現するためにWLAN通信モジュール13を制御する。
携帯電話機無線通信部66は、携帯電話機1の音声通話やデータ通信などの通信事業者ネットワークを利用した通信時に携帯電話機無線通信モジュール11を制御し無線通信を実現する。
BT通信スタック61、WLAN通信スタック64および携帯電話機無線通信部66は、それぞれ通信システムマネージャ68により管理される。通信アプリケーション69は、例えばユーザからの通信指示を直接受け付け通信システムマネージャ68に通知を行う。
無線信号検知回路マネージャ70は、無線信号検知回路21を統括的に制御したり、各アプリケーションと連絡したりする。無線信号検知回路ドライバ71は、無線信号検知回路マネージャ70の制御に基づいて無線信号検知回路21を動作させる。無線信号検知回路アプリケーション72は、例えばユーザからの指示や入力データを受け付け無線信号検知回路マネージャ70に通知する。
ユニークワード(UW)テーブル75には、ユーザにより設定されたUWやアプリケーション固有のUWが格納される。 図8は、UWテーブルの一例を示す図である。
図8(A)に示すように、UWテーブル75にはローカル通信処理を行う端末を認識する際に用いられる識別情報であるUW、ローカル通信処理により実行される処理を示すコマンド、およびUWとコマンドの組合せに割り当てられた起動されるアプリケーションがそれぞれ関連付けられて保存されている。また図8(B)に示すように、UWテーブル75には無線信号検知回路アプリケーション72により生成された端末間に固有でユーザ任意に設定されるUWである個人UWも保存される。アプリケーションの起動に割り当てられるUWには、アプリケーション固有のUWのみならず、ユーザにより任意に設定されたUWを用いることもできる。この場合には、図8(B)に保存された個人UWが参照される。
図9は、本発明に係る通信端末の一例であるパーソナルコンピュータ2のハードシステム構成図である。
パーソナルコンピュータ2は、Bluetooth通信モジュール112、無線LAN通信モジュール113、CPU115、メモリ118、入力部119、出力部120を有する。パーソナルコンピュータ2の各部はバス122により接続されている。
Bluetooth(BT)通信モジュール112は、内蔵されたアンテナ(図示せず)を介してパーソナルコンピュータ2の近傍(数m〜十数m)に存在する他の通信端末などと無線通信を行う。
無線LAN(WLAN)通信モジュール113は、内蔵されたアンテナ(図示せず)を介してIEEE802.11a/b/gなどの所定の規格に準拠した無線LAN通信を行う。
CPU(Central Processing Unit)115は、メモリ118としてのROM(Read Only Memory)に記憶されているプログラムまたはROMからRAM(Random Access Memory)にロードされた、オペレーティングシステム(OS)を含む各種のアプリケーションプログラムや制御プログラムに従って各種処理を実行する。CPU115は、種々の制御信号を生成し、各部に供給することによりパーソナルコンピュータ2を統括的に制御する。RAMは、CPU115が各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。また、メモリ118は電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)を有する。
入力部119は、例えばキーボードやタッチパネルタイプなどの入力手段を介して入力を受け付け、この入力信号をCPU115に出力する。出力部120は、CPU115の指示に基づいて文字や画像などからなるデータを出力する。
図10は、本発明に係る通信端末の一例であるパーソナルコンピュータ2のソフトシステム構成図である。
本実施形態におけるパーソナルコンピュータ2においては、主に他の通信端末との無線通信を実現するための構成を主に説明し、パーソナルコンピュータが一般的に備えるソフトシステム構成についての詳細な説明を省略する。
Bluetooth(BT)通信スタック161は、所定のBT通信手順を実行する。Bluetooth(BT)ドライバ162は、BT通信スタックの実行する手順を実現するためにBT通信モジュール112を制御する。Bluetooth(BT)拡張ドライバ180は、UWテーブル175に格納されたUWおよびコマンドを振幅変調してUW信号としてBT通信モジュール112に発信させるための拡張されたドライバである。BT拡張ドライバ180は、BT通信モジュール112の起動パラメータに応じて起動直後に1回あるいは複数回UWおよびコマンドを振幅変調してBT通信モジュール112に発振させる。
無線LAN(WLAN)通信スタック164は、所定のWLAN通信手順を実行する。無線LAN(WLAN)ドライバ165は、WLAN通信スタック164の実行する手順を実現するためにWLAN通信モジュール113を制御する。無線LAN(WLAN)拡張ドライバ181は、UWテーブル175に格納されたUWおよびコマンドを振幅変調してBT通信モジュールに発信させるための拡張されたドライバである。WLAN拡張ドライバ181は、WLAN通信モジュール113の起動パラメータに応じて起動直後に1回あるいは複数回UWおよびコマンドを振幅変調してWLAN通信モジュール113に発振させる。
BT通信スタック161およびWLAN通信スタック164は、それぞれ通信システムマネージャ168により管理される。通信アプリケーション169は、例えばユーザからの通信指示を直接受け付け通信システムマネージャ168に通知を行う。
無線信号検知回路アプリケーション172は、例えばユーザからのUW登録指示や入力データを受け付けBT拡張ドライバ180およびWLAN拡張ドライバ181に通知する。ユニークワード(UW)テーブル175には、ユーザにより設定されたUWが格納される。また、UW信号送信時にはアプリケーションが受け付けたユーザからの指示やアプリケーションの判断に基づいて任意のコマンドがUWとともに送出される。
次に、携帯電話機1の無線信号検知回路21におけるWLAN信号の受信にローカル通信としての無線LAN通信の接続確立要求が割り当てられている場合の処理について説明する。なお、WLAN信号の受信にWLAN通信の接続確立要求が割り当てられている例を説明するが、BT信号の受信に接続確立要求を割り当ててもよい。
図11は、本実施形態における携帯電話機1により実行される無線LAN通信処理を説明するフローチャートである。
図12は、携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2との間の無線通信処理を示すシーケンス図である。
ステップS1において、携帯電話機1の無線信号検知回路21は、パーソナルコンピュータ2から送出される無線LAN通信を利用したローカル通信の接続確立要求を示す無線信号であるWLAN信号を待ち受けている状態である(図12のステップS11)。このとき、携帯電話機1のWLAN通信モジュール13はオフ状態となっている。
ステップS2において、携帯電話機1は、WLAN信号が検出されたか否かの判定を行う。具体的には、無線信号検知回路21のWLAN信号検出回路43に出力された包絡線パタンからWLAN信号が検出されたか否かの判定を行う。WLAN信号が検出されると、制御信号出力回路35より割り込み信号生成回路14に制御信号が出力され、割り込み信号生成回路14は割り込み信号をCPU15に出力する。携帯電話機1は、WLAN信号が検出されていないと判定した場合、検出するまで待機する。
携帯電話機1は、WLAN信号が検出されCPU15が割り込み信号を受け付けた場合(図12のステップS12)、ステップS3において、割り込み要因の読み込みを行う(図12のステップS13)。ここでは、携帯電話機1のCPU15は、無線信号検知回路21がWLAN信号を検出したことにより発生した割り込み信号であり、割込み処理はWLAN通信モジュール13の起動であると認識する。
ステップS4において、携帯電話機1は、WLAN通信モジュール13を起動させる(図12のステップS14)。ステップS5において、携帯電話機1のWLAN通信モジュール13は他の通信端末としてのパーソナルコンピュータ2との無線LAN通信を確立するための機器認証を行う(図12のステップS15)。携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2との間で行われる機器認証は、無線LANの接続確立時に一般的に実行される処理であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
ステップS6において、携帯電話機1は、パーソナルコンピュータ2との機器認証に成功したか否かの判定を行う。携帯電話機1は、機器認証に成功したと判定した場合、ステップS7においてパーソナルコンピュータ2との無線LAN通信を開始する(図12のステップS16)。また、ステップS8において、携帯電話機1は、パーソナルコンピュータ2に携帯電話機1の携帯電話機無線通信モジュール11を用いた通信を行わせるモデムとして動作する(図12のステップS17)。
ステップS9において、携帯電話機1は、パーソナルコンピュータ2との無線LAN通信が終了またはタイムアウトしたか否かの判定を行う。携帯電話機1は、無線LAN通信が終了またはタイムアウトしたと判定するまでモデム動作を継続する。携帯電話機1は、無線LAN通信が終了またはタイムアウトしたと判定した場合、待受けステップS1に戻りWLAN通信モジュール13をオフ状態にして待受け状態に移行する。
一方、携帯電話機1は認証判定ステップS6において認証に失敗したと判定した場合、待受けステップS1に戻り以降の処理を繰り返す。ここで携帯電話機1は認証に失敗した場合には再度パーソナルコンピュータ2との認証処理を行うことなく、WLAN通信モジュール13をオフ状態に移行させて無線信号検知回路21におけるWLAN信号の待受け状態に移行させる。これは、無線信号検知回路21がWLAN信号ではない信号を誤検出した場合に無用な認証ステップS5を繰り返すことによる消費電力量の増加を抑制するためである。
次に、パーソナルコンピュータ2が携帯電話機1にWLAN信号を送出することにより無線LAN通信の接続確立要求を行う処理を説明する。
図13は、本実施形態におけるパーソナルコンピュータ2により実行される無線LAN通信処理を説明するフローチャートである。
ステップS21において、パーソナルコンピュータ2は、通信アプリケーション169において通信要求を受け付ける(図12のステップS31)。ステップS22において、パーソナルコンピュータ2は、予め登録された通信手段のうち携帯電話機1をモデムとして動作させて行うよりも優先度が高い通信手段が利用可能であるか否かの判断を行う。通信手段の優先度は、予めユーザが設定またはパーソナルコンピュータ2が自動で付与する情報である。
ステップS23において、パーソナルコンピュータ2は、携帯電話機1をモデムとして動作させて行うよりも優先度が高い通信手段が利用可能であるか否かの判定を行う。パーソナルコンピュータ2は、優先度が高い他の通信手段が利用可能であると判定した場合、ステップS24において、利用可能であると判定した通信手段で通信を行なう。例えば、携帯電話機1をモデムとして動作させる通信よりも優先度の高いアクセスポイントを利用した通信が利用可能であると判定した場合には、このアクセスポイントを利用することにより通信要求に応えるようになっている。
一方、パーソナルコンピュータ2は、利用可能な優先度が高い通信手段が存在しないと判定した場合、ステップS25において、WLAN通信モジュール113を起動させる(図12のステップS32)。ステップS26において、パーソナルコンピュータ2は、WLAN通信モジュール113よりWLAN信号を送出する(図12のステップS33)。
ステップS27において、パーソナルコンピュータ2のWLAN通信モジュール113は携帯電話機1との無線LAN通信を確立するための機器認証を行う(図12のステップS15)。
ステップS28において、パーソナルコンピュータ2は、携帯電話機1との機器認証に成功したか否かの判定を行う。パーソナルコンピュータ2は、機器認証に成功したと判定した場合、ステップS29において携帯電話機1との無線LAN通信を開始する(図12のステップS16)。これにより、パーソナルコンピュータ2は携帯電話機1をモデムとして動作させて携帯電話機1の携帯電話機無線通信モジュール11を介した通信事業者ネットワークが利用可能となる。
ステップS30において、パーソナルコンピュータ2は、携帯電話機1との無線LAN通信が終了またはタイムアウトしたか否かの判定を行う。パーソナルコンピュータ2は、無線LAN通信が終了またはタイムアウトしたと判定するまで待機する。パーソナルコンピュータ2は、無線LAN通信が終了またはタイムアウトしたと判定した場合、処理を終了する。
なお、パーソナルコンピュータ2は、信号送出ステップS26において携帯電話機1におけるWLAN信号の誤検出や検出漏れを防止するため、WLAN信号を複数回送出するようにしてもよい。以下のWLAN信号、BT信号およびUW信号を送出する処理においても同様である。
次に、携帯電話機1の無線信号検知回路21におけるBT信号の受信にローカル通信としてのBluetooth通信を用いた同期処理が割り当てられている場合の処理について説明する。なお、同期処理は、例えばスケジュールや電子メール、所定のフォルダコンテンツなどが携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2との間で同期される処理である。なお、BT信号の受信にBluetooth通信を用いた同期処理要求が割り当てられている例を説明するが、WLAN信号の受信に同期処理要求を割り当ててもよい。
図14は、本実施形態における携帯電話機1により実行されるBluetooth通信による同期処理を説明するフローチャートである。
図15は、Bluetooth通信を用いた携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2との間の同期処理を示すシーケンス図である。
ステップS41において、携帯電話機1の無線信号検知回路21は、パーソナルコンピュータ2から送出されるBluetooth通信を利用したローカル通信の接続要求(同期処理要求)を示す無線信号であるBT信号を待ち受けている状態である(図15のステップS51)。このとき、携帯電話機1のBT通信モジュール12はオフ状態となっている。
ステップS42において、携帯電話機1は、BT信号が検出されたか否かの判定を行う。具体的には、無線信号検知回路21のBT信号検出回路44に出力された包絡線パタンからBT信号が検出されたか否かの判定を行う。BT信号が検出されると、制御信号出力回路35より割り込み信号生成回路14に制御信号が出力され、割り込み信号生成回路14は割り込み信号をCPU15に出力する。携帯電話機1は、BT信号が検出されていないと判定した場合、検出するまで待機する。
携帯電話機1は、BT信号が検出されCPU15が割り込み信号を受け付けた場合(図15のステップS52)、ステップS43において、割り込み要因の読み込みを行う(図15のステップS53)。ここでは、携帯電話機1のCPU15は、無線信号検知回路21がBT信号を検出したことにより発生した割り込み信号であり、割込み処理はBT通信モジュール12の起動であると認識する。
ステップS44において、携帯電話機1は、BT通信モジュール12を起動させる(図15のステップS54)。ステップS45において、携帯電話機1のBT通信モジュール12は他の通信端末としてのパーソナルコンピュータ2とのBluetooth通信を確立するための機器認証を行う(図15のステップS55)。なお、携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2との間で行われる機器認証は、Bluetooth通信の接続確立時に一般的に実行される処理であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
ステップS46において、携帯電話機1は、パーソナルコンピュータ2との機器認証に成功したか否かの判定を行う。携帯電話機1は、機器認証に成功したと判定した場合、ステップS47においてパーソナルコンピュータ2との同期処理を行う(図15のステップS56)。
ステップS48において、携帯電話機1は、パーソナルコンピュータ2との同期処理が終了またはタイムアウトしたか否かの判定を行う。携帯電話機1は、同期処理が終了またはタイムアウトしたと判定するまで同期処理を継続する。携帯電話機1は、同期処理が終了またはタイムアウトしたと判定した場合、待受けステップS41に戻りBT通信モジュール12をオフ状態にして待受け状態に移行する。
一方、携帯電話機1は認証判定ステップS46において認証に失敗したと判定した場合、待受けステップS41に戻り以降の処理を繰り返す。携帯電話機1は認証に失敗した場合には再度パーソナルコンピュータ2との認証処理を行うことなく、BT通信モジュール12をオフ状態に移行させて無線信号検知回路21におけるBT信号の待受け状態に移行する。これは、BT信号ではない信号を誤検出した場合に無用なBT機器認証ステップS45を繰り返すことによる消費電力の増加を抑制するためである。
次に、パーソナルコンピュータ2が携帯電話機1にBT信号を送出することによりBT通信を利用した同期処理要求を行うための処理を説明する。
パーソナルコンピュータ2において行われる携帯電話機1との同期処理では、同期処理を実行するアプリケーション(図示せず)により所定の間隔でバックグラウンドで実行される場合と、ユーザより受け付けた同期処理を開始する指示に基づいて実行される場合とを説明する。
図16は、本実施形態におけるパーソナルコンピュータ2により実行されるBluetooth通信を利用したアプリケーションにより実行される同期処理を説明するフローチャートである。
ステップS61において、パーソナルコンピュータ2の同期処理を行うアプリケーション(同期アプリケーション、図示せず)は、同期処理が実行される所定の間隔に基づいてタイマをセットする。同期処理の間隔は、例えば同期成功直後においては60分、それ以外においては10分とするなど状況に応じて間隔を調整するのが好ましい。同期が行われた直後においては同期されるデータの変化量は少ないと考えられるため、間隔を大きくすることで消費電力を低減させるためである。
ステップS62において、パーソナルコンピュータ2の同期アプリケーションは、タイマが満了したか否かの判定を行う。タイマが満了していないと判定された場合、パーソナルコンピュータ2はタイマが満了するまで待機する。一方、タイマが満了したと判定された場合(図15のステップS71)、ステップS63において、パーソナルコンピュータ2は、BT通信モジュール112を起動させる(図15のステップS72)。
ステップS64において、パーソナルコンピュータ2は、BT信号を送出する(図15のステップS73)。ステップS65において、パーソナルコンピュータ2のBT通信モジュール112は携帯電話機1とのBluetooth通信を確立するための機器認証を行う(図15のステップS55)。
ステップS66において、パーソナルコンピュータ2は、携帯電話機1との機器認証に成功したか否かの判定を行う。パーソナルコンピュータ2は、機器認証に成功したと判定した場合、ステップS67において携帯電話機1との同期処理を開始する(図15のステップS56)。
ステップS68において、パーソナルコンピュータ2は、携帯電話機1との同期処理が終了またはタイムアウトしたか否かの判定を行う。パーソナルコンピュータ2は、同期処理が終了またはタイムアウトしたと判定するまで同期処理を継続する。パーソナルコンピュータ2は、同期処理が終了またはタイムアウトしたと判定した場合、タイマセットステップS61に戻り以降の処理を繰り返す。
次に、ユーザの同期処理を開始する指示を受け付けた場合に実行される同期処理を説明する。
図17は、本実施形態におけるパーソナルコンピュータ2により実行されるBluetooth通信を利用したユーザの開始指示に基づいて実行される同期処理を説明するフローチャートである。
ステップS81において、パーソナルコンピュータ2は、携帯電話機1との同期処理を開始する指示を受け付けたか否かの判定を行う。同期処理の開始指示は、例えばパーソナルコンピュータ2の入力部119より受け付ける。パーソナルコンピュータ2は、同期処理を開始する指示を受け付けていないと判定した場合、指示を受け付けるまで待機する。
一方、パーソナルコンピュータ2は同期処理を開始する指示を受け付けたと判定した場合(図15のステップS71)、ステップS82において、BT通信モジュール112を起動させる(図15のステップS72)。なお、起動ステップS82〜認証判定ステップS85の処理は、図16のBluetooth通信による同期処理における起動ステップS63〜認証判定ステップS66の処理とほぼ同様であるため、詳細な説明を省略する。
パーソナルコンピュータ2は、認証判定ステップS85において認証に失敗したと判定した場合、ステップS88に進む。認証判定ステップS85において認証が成功したと判定された場合、パーソナルコンピュータ2は同期処理を開始する(図15の同期処理ステップS56)。同期処理ステップS86および終了判定ステップS87は、図16のBluetooth通信による同期処理における同期処理ステップS67および終了判定ステップS68の処理とほぼ同様であるため、詳細な説明を省略する。
パーソナルコンピュータ2は、終了判定ステップS87において同期処理が終了またはタイムアウトしたと判定した場合、ステップS88においてユーザに対して同期処理の結果を表示して処理を終了する。
以上で、パーソナルコンピュータ2から送出されたWLAN信号およびBT信号の検出に基づき携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2との間でローカルネットワークを形成する処理の説明を終了する。
次に、パーソナルコンピュータ2より送信されたUW信号およびコマンド信号に基づいて携帯電話機1で実行される処理について説明する。
まず、携帯電話機1およびパーソナルコンピュータ2の無線信号検知回路アプリケーション72、172により実行される個人UWの登録処理を説明する。なお、個人UWは携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2と間の認証を行うために二端末間で共通して保有する固有の識別情報であればよい。このため、以下に説明するUW登録処理は一例であり他の方法(例えばどちらかの端末のMACアドレスの利用)を用いて個人UWを決定してもよい。
図18は、本実施形態における携帯電話機1で実行されるUW登録処理を説明するフローチャートである。
ステップS91において、携帯電話機1は入力部19などを介してニックネームの入力を受け付ける。ニックネームはユーザにより任意に決定される文字列であり、UWを生成する以外にもアプリケーション上においてID情報として用いることができる。
ステップS92において、携帯電話機1は、入力されたニックネームに基づいて個人UWを生成し、図8(B)のUWテーブル75に保存する。個人UWは、ハッシュ関数を利用してニックネームのハッシュ値を求めることにより生成される。
図19は、本実施形態におけるパーソナルコンピュータ2で実行される図18のUW登録処理に対応するUW登録処理を説明するフローチャートである。
ステップS101において、パーソナルコンピュータ2は携帯電話機1において入力されたニックネームと同一のニックネームの入力を受け付ける。
ステップS102において。パーソナルコンピュータ2は、入力されたニックネームに基づいて個人UWを生成し、図8(B)のUWテーブル175に保存する。個人UWは、ハッシュ関数を利用してニックネームのハッシュ値を求めることにより生成される。すなわち、携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2とのニックネームは同一であるため、生成されるハッシュ値も同一の値となる。
なお、携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2とで入力されるニックネーム(UW)は同一であればよく、いずれの端末において先にニックネームの入力(個人UWの生成)が行われてもよい。
次に、携帯電話機1およびパーソナルコンピュータ2において実行される他の個人UWの登録処理を説明する。図18および図19において説明したUW登録処理は入力されたニックネームに基づいて個人UWが生成される。しかし、ローカル通信を意図しない他の端末においても同じニックネームが入力された場合には、個人UWにコンフリクトが生じてしまう。以下に説明する他のUW登録処理は、より固有の個人UWを生成することができる点で有効である。なお、パーソナルコンピュータ2において個人UWの生成を行い、生成されたUWを携帯電話機1にコピーすることで携帯電話機1側にUWの登録を行う例を説明するが、携帯電話機1において個人UWの生成を行い、生成された個人UWをパーソナルコンピュータ2にコピーするようにしてもよい。
図20は、本実施形態における携帯電話機1で実行される他のUW登録処理を説明するフローチャートである。
ステップS111において、携帯電話機1は、特定の記憶領域における個人UWの保存の確認を行う。特定の記憶領域は、例えば予め無線信号検知回路アプリケーション72により指定されたメモリ18内の記憶領域である。
ステップS112において、携帯電話機1は、個人UWが保存されているか否かの判定を行う。携帯電話機1は、個人UWが保存されていると判定した場合、ステップS113において図8(B)の個人UWをUWテーブル75にコピーする。一方、携帯電話機1は個人UWが保存されていないと判定した場合、ステップS114において、連動させたい機器を接続しその機器においてUW登録を促す表示を出力部20より行う。
図21は、本実施形態におけるパーソナルコンピュータ2で実行される図20のUW登録処理に対応するUW登録処理を説明するフローチャートである。
ステップS121において、パーソナルコンピュータ2は入力部19などを介してニックネームの入力を受け付ける。ニックネームはユーザにより任意に決定される文字列である。
ステップS122において、パーソナルコンピュータ2は、入力されたニックネームに基づいて個人UWを生成し、ニックネームおよび個人UWをUWテーブル175に保存する。個人UWは、ハッシュ関数を利用してニックネームに乱数を加えた文字列のハッシュ値を求めることにより生成される。ニックネームに乱数を加えた文字列のハッシュ値を個人UWとすることで、重複した文字列に基づくハッシュ値の生成を回避し、個人UWのコンフリクトを抑制するようになっている。
ステップS123において、パーソナルコンピュータ2は、保存された個人UWを携帯電話機1の特定記憶領域に特定ファイルネームで保存する。パーソナルコンピュータ2は、例えばUSB(Universal Serial Bus)インタフェースを介して携帯電話機1と接続したり、無線LAN通信、Bluetooth通信を利用して個人UWを送信したりすることにより携帯電話機1に個人UWの保存を行う。なお、図20のUW登録処理における表示ステップS114において、ユーザに対して連動したい機器に対して接続を行うよう促す旨の表示を行っているため、保存ステップS123においては携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2とは接続状態であることが好ましい。
次に、携帯電話機1においてUW信号が検出された場合に実行される具体的な処理について説明する。以下に説明する図22〜24の各処理においては、コマンドとして無線LAN通信の接続確立要求がパーソナルコンピュータ2より送信された例を適用して説明する。また図25〜図27の各処理においては、コマンドとしてBluetooth通信を用いた同期処理要求がパーソナルコンピュータ2より送信された例を適用して説明する。
図22は、本実施形態における携帯電話機1により実行されるUW信号の検出に基づく無線LAN通信処理を説明するフローチャートである。
図23は、携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2との間のUW信号の検出に基づく無線LAN通信処理を示すシーケンス図である。
ステップS131において、携帯電話機1のCPU15は、UWテーブル75に保存されたUWを無線信号検知回路21のUW設定レジスタ51に設定する(図23のステップS141)。なお、UWが設定されている通信端末数に応じて各UW設定レジスタ51にUWが設定される。
ステップS132において、携帯電話機1の無線信号検知回路21は、パーソナルコンピュータ2から送出されるUW信号を待ち受けている状態である(図23のステップS142)。このとき、携帯電話機1のWLAN通信モジュール13およびBT通信モジュール12はオフ状態となっている。
ステップS133において、携帯電話機1は、受信したUW信号からUWが検出されたか否かの判定を行う。具体的には、無線信号検知回路21の振幅変調UW検出回路41において復調された信号から得られたUWとUW設定レジスタ51に設定されたUWとの比較を行い、UW設定レジスタ51に設定されたUWと一致するUWが検出されたか否かの判定を行う。UWの一致が検出されると、制御信号出力回路35より割り込み信号生成回路14に制御信号が出力され、割り込み信号生成回路14は割り込み信号をCPU15に出力する。携帯電話機1は、UWが検出されていないと判定した場合、検出するまで待機する。
一方、UWが検出されCPU15が割り込み信号を受け付けた場合(図23のステップS143)、ステップS134において、CPU15はUWおよびコマンドを無線信号検知回路21のI/F部50を介して読み込む(図23のステップS144)。ここでは、パーソナルコンピュータ2との無線LAN通信を利用したローカル通信の実行を示すUWおよびコマンドが読み込まれた。
起動ステップS135〜終了判定ステップS140(図23の起動ステップS145〜モデム動作ステップS148)の処理は、図11の起動ステップS4〜終了判定ステップS9(図12の起動ステップS14〜モデム動作ステップS17)の処理とほぼ同様であるため、詳細な説明を省略する。
次に、パーソナルコンピュータ2が携帯電話機1にUW信号を送出することにより無線LAN通信を確立するための処理を説明する。
図24は、本実施形態におけるパーソナルコンピュータ2により実行されるUW信号の検出に基づく無線LAN通信処理を説明するフローチャートである。
通信要求ステップS151〜起動ステップS155の処理(図23の通信要求ステップS161および起動ステップS162)は、図13の通信要求ステップS21〜起動ステップS25(図12の通信要求ステップS31および起動ステップS32)の処理とほぼ同様であるため、詳細な説明を省略する。
ステップS156において、パーソナルコンピュータ2は、UW信号を送出する(図23のステップS163)。UW信号は、携帯電話機1との間で予め設定されたUWおよびコマンド(ここでは携帯電話機1との無線LAN通信処理)に関する情報を含み、WLAN拡張ドライバ181またはBT拡張ドライバ180によって振幅変調され、WLAN通信モジュール113またはBT通信モジュール112より送信される。なお、UW信号は、BT通信モジュール112およびWLAN通信モジュールのどちらから送出してもよい。
機器認証ステップS157〜終了判定ステップS160の処理(図23の機器認証ステップS146および通信開始ステップS147)は、図13の機器認証ステップS27〜終了判定ステップS30(図12の機器認証ステップS15および通信開始ステップS16)の処理とほぼ同様であるため、詳細な説明を省略する。
図25は、本実施形態における携帯電話機1により実行されるUW信号の検出に基づくBluetooth通信による同期処理を説明するフローチャートである。
図26は、Bluetooth通信を用いた携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2との間の同期処理を示すシーケンス図である。
ステップS171において、携帯電話機1のCPU15は、UWテーブル75に保存されたUWを無線信号検知回路21のUW設定レジスタ51に設定する(図26のステップS181)。
ステップS172において、携帯電話機1の無線信号検知回路21は、パーソナルコンピュータ2から送出されるUW信号を待ち受けている状態である(図26のステップS182)。このとき、携帯電話機1のBT通信モジュール12およびWLAN通信モジュール13はオフ状態となっている。
ステップS173において、携帯電話機1は、UW信号からUWが検出されたか否かの判定を行う。携帯電話機1は、UWが検出されCPU15が割込み信号を受け付けた場合(図26のステップS183)、ステップS174において、携帯電話機1はUWおよびコマンドを無線信号検知回路21のI/F部50を介して読み込む(図26のステップS184)。
起動ステップS175〜終了判定ステップS179(図26の起動ステップS185〜同期ステップS187)の処理は、図14の起動ステップS44〜終了判定ステップS48(図15の起動ステップS54〜同期ステップS56)の処理とほぼ同様である。
次に、パーソナルコンピュータ2が携帯電話機1にUW信号を送出することによりBT通信を利用した同期処理を確立するための処理を説明する。
図27は、本実施形態におけるパーソナルコンピュータ2により実行されるUW信号の検出に基づくBluetooth通信を利用した処理であって、アプリケーションにより実行される同期処理を説明するフローチャートである。
タイマセットステップS191〜起動ステップS193(図26のタイマ満了ステップS201および起動ステップS202)は、図16のタイマセットステップS61〜起動ステップS63(図15のタイマ満了処理ステップS71および起動ステップS72)とほぼ同様の処理である。
ステップS194において、パーソナルコンピュータ2は、UW信号を送出する(図26のステップS203)。UW信号は、UWおよびコマンド(ここでは携帯電話機1とのBluetooth通信を利用した同期処理)に関する情報を含み、BT拡張ドライバ180またはWLAN拡張ドライバ181により振幅変調され、BT通信モジュール112またはWLAN通信モジュール113より送信される。
機器認証ステップS195〜終了判定ステップS198(図26の機器認証ステップS186および同期処理ステップS187)の処理は、図16の機器認証ステップS65〜終了判定ステップS68(図15の機器認証ステップS55および通信開始ステップS56)の処理とほぼ同様であるため、詳細な説明を省略する。
図28は、本実施形態におけるパーソナルコンピュータ2により実行されるUW信号の検出に基づくBluetooth通信を利用した処理であって、ユーザの開始指示に基づいて実行される同期処理を説明するフローチャートである。
指示判定ステップS211および起動ステップS212(図26の指示受付ステップS201および起動ステップS202)は、図17の指示判定ステップS81および起動ステップS82(図15の指示受付ステップS71および起動ステップS72)とほぼ同様の処理である。
ステップS213において、パーソナルコンピュータ2は、UW信号を送出する(図26のステップS203)。UW信号送出ステップS213は、図27のUW信号送出ステップS194(図26のUW信号送出ステップS203)とほぼ同様の処理である。
また、機器認証ステップS214〜表示ステップS218(図26の機器認証ステップS186および同期処理ステップS187)は、図17の機器認証ステップS84〜表示ステップS88(図15の機器認証ステップS55および通信開始ステップS56)の処理とほぼ同様である。
以上で、パーソナルコンピュータ2から送出されたUW信号の検出に基づき携帯電話機1とパーソナルコンピュータ2との間でローカルネットワークを形成する処理の説明を終了する。
なお、無線LAN通信処理およびBluetooth通信を用いた同期処理以外のコマンドが送られてきた場合には、それぞれ携帯電話機1のCPU15が無線信号検知回路21でコマンドを読み込んだ後に実行する処理が変わる。例えば、図22のWLAN通信モジュール起動ステップS135以降の処理が、コマンドに応じた処理に変更される。具体的に、CPU15は、図8(A)に示すUWテーブル75を参照し、保存されたUWとコマンドとの組み合わせに関連付けられた所定のアプリケーションアプリケーションを起動する。
ここで、アプリケーションに割り当てられたUWおよびコマンドを登録する際に実行される処理を説明する。本処理が実行されるアプリケーションは、予め携帯電話機1にインストールされているものや、ダウンロードなどを行うことにより追加されたアプリケーションであって、他の端末がローカル通信を使用して起動・操作可能なアプリケーションが該当する。また、これらのアプリケーションには予めUWおよびコマンドが割り当てられているものとする。ここで、上述したとおりアプリケーションに割り当てられるUWが図8(B)に示す「個人UW」である場合もある。
詳細な説明は省略するが、他の端末(本実施形態においてはパーソナルコンピュータ2)においても同様にアプリケーションを起動・操作するためのUWがUWテーブルに格納されているものとする。
図29は、本実施形態における携帯電話機1においてアプリケーション初回起動時において実行されるUW登録処理を説明する図である。
ステップS221において、携帯電話機1の無線信号検知回路21は、アプリケーションが保持する、他の端末からの呼び出し処理(起動・操作処理)が割り当てられたUWとコマンドとをUWテーブル75に登録する。すると、図8(A)に示すUWテーブル75には、アプリケーションより取得したUW、コマンド、起動アプリケーション情報が登録される。アプリケーションに割り当てられたUWが、「個人UW」であった場合、図18のUW登録処理におけるUW生成・保存ステップS92や図20の他のUW登録処理におけるUWコピーステップS113によって図8(B)に格納された個人UW値を図8(A)のUWとして用いる。UWなどがUWテーブル75に登録された後においては、他の端末より受信したUWおよびコマンドが登録されたUWおよびコマンドと一致した場合には、CPU15はUWテーブル75に従ってアプリケーションを制御する。
ステップS222において、携帯電話機1は、アプリケーション起動後に行われる所定の処理を実行する。
このように、UWおよびコマンドを種々のアプリケーションに割り当てることにより、ローカル通信処理を利用した例えば他の端末とのアドレス交換処理や、企業などが設置した端末からの広告コンテンツの配布処理などを簡易にかつ低消費電流で行うことができる。すなわち、WLANおよびBT通信モジュールなどの消費電流が大きいモジュールを待受け状態とさせたり、ユーザがこれら通信モジュールを起動させる操作を省略させたりすることができる。
また、UWの他の利用法としては、UWを事業者に割り当て事業用途に用いられるようにしてもよい。
図30は、UWが用途毎に割り当てられたテーブルを示す図である。
例えば、携帯電話機1にはユーザがサービスの提供を受けることを所望する事業者のUWを任意に登録したり、予め携帯電話機1のUWテーブル75に登録したりしておく。例えば、事業者はコンテンツを提供する端末を駅などの所定箇所に設置する。ユーザはこの端末に近接することにより事業者の端末からのUW信号を受信する。携帯電話機1は、UWテーブルに保存された所定のアプリケーションを起動し、事業者の端末よりコンテンツの提供などを受けることができる。
なお、本実施形態においては、パーソナルコンピュータ2に振幅変調処理が可能なBT拡張ドライバ180およびWLAN拡張ドライバ181を設け、BT通信モジュール112およびWLAN通信モジュール113にUW信号の発信機能を持たせた。しかし、これに限らずパーソナルコンピュータ2に専用のUW発信器を設けるようにしてもよい。
図31は、本発明に係る通信端末の変形例であるパーソナルコンピュータ2aのハードシステム構成図である。
図32は、本発明に係る通信端末の変形例であるパーソナルコンピュータ2aのソフトシステム構成図である。
なお、図9および図10と共通する部分についてはそれぞれ同一の符号を付して詳細な説明を省略した。
図31のパーソナルコンピュータ2aが図9のパーソナルコンピュータ2と異なる点は、USBインタフェース150を介してユニークワード(UW)発信器151が接続された点である。
図32のパーソナルコンピュータ2aが図10のパーソナルコンピュータ2と異なる点は、UW発信器ドライバ152が設けられた点である。
UW発信器151は、UWおよびコマンドを振幅変調して送出するための専用の発信器である。また、UW発信器ドライバ152は、UWテーブル175に格納されたUWおよびコマンドを振幅変調してUW信号としてUW発信器151に発信させる。
このように、USBインタフェース150などを介してUW発信器151を接続可能にすることで、UW発信機能を備えない通信端末であっても本実施形態において説明した各種処理を実現することもできる。
以上説明したホスト側として通信機器としての携帯電話機1およびこの携帯電話機1に接続要求を行うパーソナルコンピュータ2によれば、端末間のローカル通信の接続確立要求を待ち受ける際の携帯電話機1の消費電流を好適に抑制することができる。また、UWとコマンドとの組合せに応じて携帯電話機1で実行される処理を制御することができ、携帯電話機1およびパーソナルコンピュータ2においてローカル通信の接続を確立する操作、実行したいアプリケーションを起動する操作を省略することができる。このため、ユーザに対する操作性も向上させることができる。
なお、本発明の実施形態において説明した一連の処理は、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。