[第1実施形態]
本発明に係る通信機器の第1実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態における通信機器間で形成されるネットワークの一例を説明する概念図である。
第1実施形態においては携帯電話機1とPC2とをそれぞれ通信機器に適用して説明する。携帯電話機1は、PC2の通信網を利用してネットワークに接続したり、PC2が携帯電話機1の通信網を利用してネットワークを接続したり、携帯電話機1とPC2とが直接ネットワークを形成したりすることができる。なお、第1実施形態においてはネットワークを形成する通信機器に携帯電話機1、PC2を適用して説明する。しかし、例えば、PDA(PersonalDigitalAssistant)、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生機、携帯型動画再生機などの通信機能を備えた種々の通信機器を本発明の実施形態に適用することができる。
携帯電話機1は、W−CDMA方式を一例とする通信方式を用いて、移動通信網に収容される基地局3との間で音声などのデータの送受信を行う。基地局3は、所定の公衆回線網4を介して所定のサーバ5と接続される。携帯電話機1は、例えば無線LAN(Local Area Network)などの通信手段を利用してPC2を含む他の端末と通信を行う機能を備えた通信機器である。
PC2は、例えば無線LANなどの通信手段を利用して携帯電話機1を含む他の端末と通信を行う機能を備えた通信機器である。また、PC2は、ネットワーク6に接続されており、有線または無線でデータの送受信を行う。
図2は、第1実施形態における通信機器の一例である携帯電話機1のハードシステム構成図である。
図2においては、携帯電話機1がPC2との無線通信を実現するための構成を主に説明し、携帯電話機1が一般的に備える構成についての詳細な説明は基本的に省略する。
携帯電話機1は、移動通信モジュール11、WLAN通信モジュール12、CPU15、メモリ16、入力部17、表示部18、マイクロフォン19、スピーカ20、無線信号検知回路23および電源回路24を有する。携帯電話機1の各部は、バス25により接続される。
電源回路24は、バッテリの出力を基に所定の動作電源電圧を生成して動作電力を各回路部に供給する。携帯電話機1は、電源回路24から供給されるこの動作電力に基づいて動作する。
移動通信モジュール11は、基地局3との音声や電子メールなどのデータの送受信を実現する。移動通信モジュール11は、図示せぬアンテナを備え、移動体通信網に収容される基地局3から所定の通信処理システムで送信される無線信号を空間から受信する。また、移動通信モジュール11は、基地局3に対して所定の通信処理システムで無線通信できるようにアンテナを介して空間に所定の無線信号を放射する。移動通信モジュール11は、受信された信号に対して所定の処理を行った後、CPU15にデータを出力したり、スピーカ20より音声を出力したりする。また、移動通信モジュール11は、CPU15より出力されたデータやマイクロフォン19より集音された音声を所定の処理を行った後送信する。
WLAN通信モジュール12は、内蔵されたアンテナを介して通信規格IEEE802.11aやIEEE802.11bなどに準拠した無線LAN通信を行う。
CPU(central Processing Unit)15は、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより携帯電話機1を統括的に制御する。CPU15は、メモリ16としてのROM(Read Only Memory)に記憶されているプログラムまたはROMからRAM(Random Access Memory)にロードされた、オペレーティングシステム(OS)を含む各種アプリケーションプログラムや制御プログラム(ファームウェアなど)に従って各種処理を実行する。
メモリ16は、ROM、RAM、フラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などの記憶装置である。
入力部17は、例えば操作キータイプやタッチパネルタイプなどの入力手段を介して入力を受け付け、この入力信号をCPU15に出力する。表示部18は、CPU15の指示に基づいて文字や画像などからなるデータを出力する。この表示部18は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイなどにより構成される。
無線信号検知回路23は、PC2より送出された振幅変調(オンオフキーイング)された無線信号を検知するための回路である。無線信号検知回路23は、PC2より受信した無線信号の時間軸における電力値の大小のパターンおよび周期によって信号の種類を判定する。以下、無線信号検知回路23が受信した無線信号の時間軸における電力値の大小のパターンおよび周期を「特定パターン」という。無線信号検知回路23は、検知した特定パターンを照合した結果、予め記憶した待ち受ける無線信号の特定パターンであると判定した場合には、所定の制御信号を割り込み信号としてCPU15に出力したり、電源回路24に出力したりする。なお、無線信号検知回路23は、電源回路24に信号を出力する際、バス25を介してもよいし、無線信号検知回路23とWLAN通信モジュール12と電源回路24との三者間の専用線を用意してもよい。三者間の専用線を用意することで、他の機器の不要な起動を抑制することができ、低消費電力化を図ることができる。
無線信号検知回路23は、無線通信部としてのWLAN通信モジュール12がPC2より送出された無線信号を自ら監視する際の動作電力よりも低い動作電力によって、この無線信号を待ち受けることが可能な回路である。なお、無線信号検知回路23の各回路は、後述する各回路の説明毎に示す文献に記載された省電力化を実現することが可能な従来技術を適用しても構成することができる。しかし、無線信号検知回路23は、後述する文献に記載された構成に限らず、少なくともWLAN通信モジュール12がPC2より送出された無線信号を監視する際の動作電力より低い動作電力でこの無線信号を待ち受けることが可能であればいかなる構成であってもよい。
図3は、図2の無線信号検知回路23の回路構成図である。
無線信号検知回路23は、RF信号受信回路31、ダウンコンバータ(整流回路)32、ベースバンド(BB)信号増幅回路33、信号識別回路34、制御信号出力回路35を備える。
RF(Radio Frequency)信号受信回路31は、PC2などの通信機器より送出された検知感度に達する無線信号(電波)を受信すると、RF信号を出力する。
ダウンコンバータ(整流回路)32は、RF信号受信回路31より出力されたRF信号を整流および検波して復調信号を取得する。なお、省電力化のため、ダウンコンバータ(整流回路)32は局部発振器を有しない構成となっている。ダウンコンバータ(整流回路)32の構成については、例えば特許第4377946号公報(復調装置)に記載された技術を適用することができる。
なお、特許第4377946号公報に記載された復調回路は、クロック式バイアス印加系整流回路である。この復調回路は、具体的には、直流電圧を出力するバイアス回路と、ゲート端子とソース端子との間に直流電圧のみが印加される第1のMOSトランジスタと、ゲート端子とソース端子との間に直流電圧のみが印加されるとともにドレイン端子が第1のMOSトランジスタのソース端子に接続された第2のMOSトランジスタと、一端が第1のMOSトランジスタのソース端子に接続され他端が交流信号が入力される結合キャパシタとを具備する整流回路であって、バイアス電圧を所定のタイミングで供給する整流回路と、この整流回路によって整流された入力信号を所定のタイミングとは異なるタイミングで閾値と比較して2値信号を出力するクロックドコンパレータとを備えたものである。
BB信号増幅回路33は、ダウンコンバータ(整流回路)32から出力された復調信号を増幅し所定の信号を出力する。BB信号増幅回路33の構成については、例えば特開2009−89434号公報(トリガ信号発生装置)に記載された技術が適用可能である。
特開2009-89434号公報に記載されたトリガ信号発生装置は、カレントミラー回路および電流電圧変換回路を有する点を特徴とするものである。具体的には、トリガ信号発生装置は、復調信号の大きさに応じた振幅を持つ電流を生成する電流生成手段と、この電流生成手段が生成する電流の大きさに応じた振幅を有し、第一電源電位から第二電源電位に向かって流れる電流を出力する電流出力手段、およびこの電流出力手段が出力する電流を増幅するカレントミラー回路とを含む信号増幅手段と、カレントミラー回路の出力端に接続され、増幅された電流信号を電圧信号に変換してトリガ信号を生成するトリガ信号生成手段を備えたものである。
信号識別回路34は、BB信号増幅回路33において生成された信号を所定の比較基準電位と比較する。信号識別回路34は、この比較基準電位よりも高い信号が検出された場合にはハイレベル、比較基準電位よりも低い信号はローレベルと判断して、時間軸における電圧の大小のパターンおよび周期、すなわち特定パターンを取得する。信号識別回路34は、得られた信号が待ち受ける無線信号の特定パターンと一致するか否かを識別し、識別結果を制御信号出力回路35に出力する。
制御信号出力回路35は、信号識別回路34より出力された識別結果に基づいて割込み処理の発生を通知する旨の制御信号を生成し、生成されたこの制御信号をCPU15や電源回路24に出力する。
図4は、図3の信号識別回路34および制御信号出力回路35の詳細な構成を示す図である。なお、図中の一点鎖線より左側が図3の信号識別回路34、右側が制御信号出力回路35に該当する。
信号識別回路34の比較器36は、BB信号増幅回路33より供給された信号を比較基準電位と比較し、この比較基準電位よりも高い信号はハイレベル、基準電位よりも低い信号はローレベルとして検出し、振幅変調ユニークワード(UW)検出回路41の振幅変調復調回路42、WLAN信号検出回路43に各信号を出力する。WLAN信号検出回路43は、得られた信号が、PC2のWLAN通信モジュール(図8のWLAN通信モジュール112)が送出するビーコン信号やプローブ要求信号などの無線信号の特定パターンに合致するか否かの検出を行う。WLAN信号検出回路43は、待ち受ける無線信号と一致する特定パターンを検出した場合、制御信号出力回路35のWLAN信号検出信号生成回路45に通知する。
振幅変調UW検出回路41の振幅変調復調回路42は、得られた信号を復調する処理を行う。ここで復調される信号は、後述するPC2より送出されるユニークワード情報(UW)とコマンド情報とが含まれる信号である。振幅変調復調回路42は、これらのUWおよびコマンド情報を取得するために復調処理を行う。振幅変調復調回路42より出力された信号は、ユニークワード(UW)シフトレジスタ47およびコマンドシフトレジスタ48に供給される。コマンド信号生成回路49は、UWシフトレジスタ47に供給された信号といずれかのUW設定レジスタ51a、51b、51cに設定されたUWとの一致が検出された場合、CPU15が割り込み処理の中でインタフェース(I/F)部50を介して読み込むためのコマンド信号を生成する。
ユニークワード(UW)設定レジスタ51a、51b、51c(以下、単に「UW設定レジスタ51」という。)には、予め設定されたUWがそれぞれ記憶される。本実施形態においては、UW設定レジスタ51は、他の端末から送信される少なくとも一の無線信号の特定パターンを予め記憶する記憶部として機能する。UWシフトレジスタ47に供給された信号は、比較器52a、52b、52c(比較器52)においてそれぞれUW設定レジスタ51a、51b、51cに設定されたUWと一致する信号か否かが判定される。UW設定レジスタ51および対応する比較器52が複数(第1実施形態においては3つ)用意されることにより、携帯電話機1は複数の通信機器との間で設定されたUWを設定することができる。このため、異なる通信機器から送信されたUWを同時に待ち受けることができる。
UWシフトレジスタ47に信号を供給しUW設定レジスタ51に記憶されたUWとの比較を行う具体的な構成については、例えば特開2009−33445号公報(受信装置および方法)に記載された技術が適用可能である。
WLAN信号検出信号生成回路45により検出信号が生成された場合、およびUWシフトレジスタ47に供給された信号といずれかのUW設定レジスタ51に設定されたUWとの一致が検出された場合には、OR回路53に通知される。OR回路53はいずれかの信号が入力された場合、CPU15や電源回路24に対して信号を出力する。また、WLAN信号検出信号生成回路45および各比較器52は、割り込み信号を受け付けたCPU15が読み込むための信号をI/F部50に出力する。
図5は、第1実施形態における通信機器の一例である携帯電話機1のソフトウェアシステム構成図である。図5では、携帯電話機1が他の通信機器に係るPC2との間で無線通信を実現するための構成を主に説明し、携帯電話機1が一般的に備えるソフトウェアの構成についての詳細な説明は基本的に省略する。
通信プロトコルスタック64は、所定の無線LAN通信手順を実行する。無線WLAN(WLAN)ドライバ65は、通信プロトコルスタック64の実行する手順を実現するためにWLAN通信モジュール12を制御する。移動通信部66は、携帯電話機1の音声通話やデータ通信などの通信事業者ネットワークを利用した通信時に移動通信モジュール11を制御して無線通信を実現する。
通信プロトコルスタック64および移動通信部66は、それぞれ通信システムマネージャ68により管理される。通信アプリケーション69は、例えばユーザからの通信指示を受け付けて通信システムマネージャ68に通知を行う。
無線信号検知回路マネージャ70は、無線信号検知回路23を統括的に制御したり、各アプリケーションと連絡したりする。無線信号検知回路ドライバ71は、無線信号検知回路マネージャ70の制御に基づいて無線信号検知回路23を動作させる。無線信号検知回路アプリケーション72は、例えばユーザからの指示や入力データを受け付けて無線信号検知回路マネージャ70に通知する。
ユニークワード(UW)テーブル75には、ユーザにより設定されたUWやアプリケーション固有のUWが格納される。
図6は、UWテーブルの一例を示す。
図6(A)に示すように、UWテーブル75には無線通信接続処理を行う端末を識別する際に用いられる識別情報であるUW、無線通信接続により実行される処理を示すコマンド、およびUWとコマンドの組合せに割り当てられた起動されるアプリケーションがそれぞれ関連付けられて保存されている。また、図6(B)に示すように、UWテーブル75には無線信号検知回路アプリケーション72により生成された、端末間に固有なユーザ任意のUWである個人UWも保存される。アプリケーションの起動と関連づけられたUWには、アプリケーション固有のUWのみならず、ユーザにより任意に設定されたUWを用いることもできる。この場合には、図6(B)に保存された個人UWが用いられる。
図7は、携帯電話機1の無線信号検知回路23、WLAN通信モジュール12、CPU15および電源回路24の関係およびWLAN通信モジュール12の詳細な構成を示す図である。
WLAN通信モジュール12は、電源81に対して電源回路24より動作電力が供給されることにより動作する。無線モジュール82は図示しないアンテナを介してPC2より無線信号を受信すると、無線信号に含まれる識別情報であるSSID(Service Set Identifier)を照合部83に出力する。照合部83は、無線モジュール82より受け付けたSSIDが記憶部84に予め記憶された登録済みの他端末のSSIDと一致するか否かの照合を行う。記憶部84は、予め登録処理が行われた一または複数の他端末のSSIDを記憶する。IN/OUT(I/O)ポート85(I/O85)は、照合部83から得られる照合結果に基づきWLAN通信モジュール12が他端末との接続を行った場合にCPU15に対して接続通知を出力する。
このWLAN通信モジュール12は、PC2から受信した無線信号に含まれるSSIDを予め登録されたSSIDと照合し、SSIDが一致した場合にはPC2と接続処理を行う。すなわち、SSIDの照合にCPU15を介さないため、携帯電話機1が低電力状態であり、CPU15が動作していない場合であってもSSIDの照合およびPC2との接続処理を行うことができる。なお、携帯電話機1の低電力状態は、スリープ状態、スタンバイ状態、ハイバネーション状態を含むものである。
WLAN通信モジュール12には、例えば公知のWake On Wireless LAN(WOW)の機能を適用することができる。WOWは、アイドル状態が続いて省電力化のためにスリープ状態になった端末に無線LAN通信接続を介してアクセスし、その端末のスリープ状態を解除して起動状態にさせる機能である。
また、無線信号検知回路23は、I/Oポート85とCPU15とを接続する信号線91aに対して信号線91bで接続されており、WLAN通信モジュール12がCPU15に対して行う接続通知を監視する。
図8は、第1実施形態における他の通信機器の一例であるPC2のハードシステム構成図である。
PC2は、WLAN通信モジュール112、CPU115、メモリ116、入力部117、表示部118、電源回路119を有する。PC2の各部は、バス122により接続される。
電源回路119は、バッテリの出力を基に所定の動作電源電圧を生成して各回路部に動作電力を供給する。PC2は、電源回路119から供給されるこの動作電力に基づいて動作する。
WLAN通信モジュール112は、内蔵されたアンテナを介して通信規格IEEE802.11aやIEEE802.11bなどに準拠した無線LAN通信を行う。
CPU115は、種々の制御信号を生成し、各部に供給することによりPC2を統括的に制御する。CPU115は、メモリ116としてのROMに記憶されているプログラムまたはROMからRAMにロードされた、オペレーティングシステム(OS)を含む各種のアプリケーションプログラムや制御プログラムに従って各種処理を実行する。
メモリ116は、ROM、RAM、フラッシュメモリ素子やHDDなどの記憶装置である。
入力部117は、例えばキーボードやタッチパネルタイプなどの入力手段を介して入力を受け付け、この入力信号をCPU115に出力する。表示部118は、CPU115の指示に基づいて文字や画像などからなるデータを出力する。表示部118は、例えばLCD、有機ELディスプレイにより構成される。
図9は、第1実施形態における他の通信機器の一例であるPC2のソフトシステム構成図である。図9では、PC2が携帯電話機1との間で無線通信を実現するための構成を主に説明し、PC2が一般的に備えるソフトウェアの構成についての詳細な説明は基本的に省略する。
通信プロトコルスタック164は、所定の無線LAN通信手順を実行する。無線LAN(WLAN)ドライバ165は、通信プロトコルスタック164の実行する手順を実現するためにWLAN通信モジュール112を制御する。WLAN拡張ドライバ166は、UWテーブル175に格納されたUWおよびコマンドを振幅変調してWLAN通信モジュール112に発信させるための拡張されたドライバである。
通信プロトコルスタック164は、通信システムマネージャ168により管理される。
通信アプリケーション169は、例えばユーザからの通信指示を受け付け通信システムマネージャ168に通知を行う。無線信号検知回路アプリケーション172は、例えばユーザからのUW登録指示や入力データを受け付けWLAN拡張ドライバ166に通知する。
ユニークワード(UW)テーブル175には、図6に示したUWテーブルと同様に、ユーザにより設定されたUWが格納される。また、UW信号送信時にはアプリケーションが受け付けたユーザからの指示やアプリケーションの判断に基づいて任意のコマンドがUWと共に送出される。
なお、携帯電話機1とPC2とは、WLAN通信モジュール12、112を利用した通信に必要な機器認証設定が予め行われているものとする。
次に、携帯電話機1とPC2と無線LAN通信を行う際に取り得る動作のモードおよび各モードにおいて無線信号検知回路23が検知する信号の種類について説明する。
第1実施形態においては、携帯電話機1およびPC2は、無線LAN通信時には複数のモードで動作し得る。第1の動作モードは、携帯電話機1とPC2とがそれぞれアクセスポイント(以下、単に「AP」という。)モードのAP親機またはAP子機として動作するモードである。第2の動作モードは、携帯電話機1とPC2とがそれぞれアドホックモードの親機または子機として動作するモードである。
「APモード」は、AP親機であるAPとして動作する端末がAP子機である他の端末にビーコン信号を送信する動作モードである。APモードは、AP親機が実際にAPとしてデータ通信の中継基地局として機能する場合のみならず、APとして振る舞う場合(例えば、ビーコン信号の送信を行うが実際にはデータ通信の中継基地局として動作しない場合)を含むものとする。「アドホックモード」は、アドホック親機・子機として振舞う端末間で通信を行うアドホックネットワーク形成時の動作モードである。
なお、「AP親機」は、APとして動作し、ビーコン信号を送信する端末をいう。「AP子機」は、端末として動作しAPから送信されるビーコン信号をパッシブスキャンする端末またはAPに対してアクティブスキャンする端末をいう。「アドホック親機」は、アドホックモードで動作し他の端末にビーコン信号を送信する端末をいう。「アドホック子機」は、アドホックモードで動作する他の端末から送信されるビーコン信号をパッシブスキャンする端末またはアドホックモードで動作する他の端末をアクティブスキャンする端末をいう。
無線LAN通信接続時においては、第1の動作モードでAP子機として動作する携帯電話機1は、AP親機として動作するPC2が送信するビーコン信号をWLAN通信モジュール12において受信し得る。また、第1の動作モードでAP親機として動作する携帯電話機1は、AP子機として動作しアクティブスキャンを行うPC2が送信する信号(プローブ要求信号)をWLAN通信モジュール12において受信し得る。
また、第2の動作モードでアドホック子機として動作する携帯電話機1は、アドホック親機として動作するPC2が送信するビーコン信号をWLAN通信モジュール12において受信し得る。第2の動作モードでアドホック親機として動作する携帯電話機1は、アドホック子機として動作しアクティブスキャンを行うPC2が送信する信号(プローブ要求信号)をWLAN通信モジュール12において受信し得る。
WLAN通信モジュール12は、上述したように、受信したビーコン信号などに含まれるSSIDを予め登録されたSSIDと照合することで、CPU15を介すことなくPC2と無線LAN通信接続を行うことができる。また、携帯電話機1が低電力状態にあっても、WLAN通信モジュール12を介して起動状態にさせることができるようになっている。
ここで、第1実施形態における携帯電話機1は、各動作モードにおいてPC2からWLAN通信モジュール12に対して送信される各無線信号をWLAN通信モジュール12に代えて無線信号検知回路23において受信するようになっている。すなわち、携帯電話機1は、PC2から送信される無線信号を低消費電力で待ち受けることができる無線信号検知回路23を利用することで、WLAN通信モジュール12を常時起動状態とすることなく無線信号の待ち受けを行うことができる。
以下、第1実施形態における携帯電話機1とPC2との無線LAN通信接続処理を具体的に説明する。なお、以下の説明においては、PC2がビーコン信号を送信するAP親機、携帯電話機1がこのビーコン信号を受信するAP子機として動作する第1の動作パターンを適用して説明する。他の動作パターンを適用した場合には、無線信号検知回路23が検知する無線信号の特定パターンと、携帯電話機1とPC2との無線LAN通信接続時の手順および接続形態とが異なるのみであるため、他の動作パターンで動作する場合の説明は省略する。
図10は、第1実施形態における携帯電話機1により実行される無線LAN通信接続処理を説明するフローチャートである。
図11は、携帯電話機1とPC2との間で行われる無線LAN通信接続処理を示すシーケンス図である。
以下の携帯電話機1において実行される各処理の説明においては、主に無線信号検知回路23、電源回路24、WLAN通信モジュール12、CPU15を主語にして説明するが、各処理はそれぞれ所要のソフトウェアプログラムに基づいて実行される。なお、携帯電話機1は低電力状態であり、CPU15は処理開始時においては動作していない場合を例に説明する。
ステップS1において、携帯電話機1の無線信号検知回路23は、PC2より送信されたビーコン信号の特定パターンを検知したか否かの判定を行う。無線信号検知回路23は、ビーコン信号の特定パターンを検知していないと判定した場合、検知するまで待機する。
一方、無線信号検知回路23は特定パターンを検知したと判定した場合(図11のステップS25)、ステップS2において、電源回路24に対して通知を行う(ステップS26)。すなわち、無線信号検知回路23は、WLAN通信モジュール12に対する動作電力の供給を要求する。ステップS3において、電源回路24は、WLAN通信モジュール12の電源81に対する動作電力の供給を開始する(ステップS27、ステップS28)。ステップS4において、WLAN通信モジュール12は動作電力が供給されたことに伴い電源がONされ(ステップS29)、ビーコン信号が受信可能な状態となる。
ステップS5において、WLAN通信モジュール12はPC2より送信されたビーコン信号を受信したか否かの判定を行う。WLAN通信モジュール12はビーコン信号を受信しない場合、受信するまで待機する。一方、WLAN通信モジュール12はビーコン信号を受信した場合(ステップS30)、ステップS6においてSSIDの照合を行う(ステップS31)。具体的には、WLAN通信モジュール12の照合部83は、PC2より受信したビーコン信号に含まれるSSIDと記憶部84に記憶されたSSIDとを照合する。
ステップS7において、WLAN通信モジュール12は、SSIDを照合した結果、登録済みのSSIDと一致するか否かの判定を行う(ステップS32)。WLAN通信モジュール12は、受信したビーコン信号に含まれるSSIDが登録済みSSIDではないと判定した場合、検知判定ステップS1(ステップS25)に戻りPC2より送信されたビーコン信号の特定パターンを検知したか否かの判定を行う。
一方、WLAN通信モジュール12は、登録済みのSSIDと一致すると判定した場合、ステップS8において、ユーザにAPと接続を行い無線LAN通信を利用するか否かを問い合わせるための通知を行う(ステップS33)。または、あらかじめ自動的に無線LANに接続する設定がなされている場合には、WLAN通信モジュール12は自動的に接続処理を行う。WLAN通信モジュール12は、ユーザよりAPと接続を行う旨の入力を受け付けた場合、または自動的に接続処理を行う設定がなされている場合、ステップS9においてビーコン信号を送信したAPとしてのPC2との接続処理を行い(ステップS34)、PC2に対して接続通知を行う(ステップS37)。携帯電話機1とPC2との無線LAN通信接続処理の手順は、公知の方法(認証、アソシエーション)が用いられるためここでは詳細な説明を省略する。
ステップS10において、WLAN通信モジュール12は、PC2と接続した旨の通知をCPU15に対して行う(ステップS35)。ステップS11において、CPU15は動作し(ステップS36)、携帯電話機1は動作可能な状態となる。ステップS12において、WLAN通信モジュール12は、CPU15の指示に基づいてPC2との無線LAN通信処理を適宜行う。
一方、接続判定ステップS8においてWLAN通信モジュール12は、ユーザよりAPと接続を行わない旨の入力を受け付けた場合、無線信号検知回路23に通知を行う。ステップS13において、無線信号検知回路23は、ユーザより接続を行わない旨(否認)の入力を受け付けた回数が、あらかじめ設定された所定回数N1回より多いか否かの判定を行う(ステップS38)。無線信号検知回路23は、接続が否認された回数がN1回に満たないと判定した場合、直ちに検知判定ステップS1に戻りPC2より送信されたビーコン信号の特定パターンを検知したか否かの判定を行う。
無線信号検知回路23は、回数判定ステップS13において否認回数がN1回より多いと判定した場合、ステップS14において、所定時間のタイマーを設定しタイムアウトするまで待機する(ステップS39)。無線信号検知回路23は、タイムアウトした場合再び検知判定ステップS1に戻りPC2より送信されたビーコン信号の特定パターンを検知したか否かの判定を行う。
例えば、ユーザが接続処理を否認した回数が所定回数(N1回)以下である場合には再度別のタイミングでユーザが接続を所望する可能性が考えられる。このため、回数判定ステップS13の後直ちに検知判定ステップS1に戻りビーコン信号の待ち受けを行う。WLAN通信モジュール12はビーコン信号が再度検出された場合にはユーザに対する問い合わせを行うことで、ユーザの接続時の利便性を向上させる。一方、所定回数以上否認された場合には、無線信号検知回路23は、ユーザはこのタイミングではWLAN通信接続を行う意思がないとみなすようになっている。このため、待機ステップS14において所定時間待機した後にビーコン信号の待ち受けを行うことで、ビーコン信号が検出されるたびにユーザに入力を求める煩雑さや、不要な信号を検知することに対する携帯電話機1の消費電力の増加を抑制することができる。
なお、図10のステップS7においてビーコン信号に含まれるSSIDが登録済みのSSIDではないと判定された場合において、送信されたビーコン信号は接続を所望するPC2以外の端末から送信されたビーコン信号を受信してしまった場合が考えられる。
携帯電話機1はこのPC2以外の端末との接続を意図しないにも係わらず、ビーコン信号の送信が継続される限り無線信号検知回路23においてこのビーコン信号が検知され、その都度WLAN通信モジュール12に電力が供給されることになる。
そこで、携帯電話機1は、SSIDの照合に失敗した場合には、不要なWLAN通信モジュール12への電力供給を好適に防止するようになっている。
図12は、第1実施形態における携帯電話機1により実行される同期捕捉処理を説明するフローチャートである。
この同期捕捉処理は、無線信号検知回路23がビーコン信号の特定パターンを検知し、電源回路24に対して通知を行った後に実行される処理である。
ステップS51において、無線信号検知回路23は、WLAN通信モジュール12からCPU15へ無線LAN通信の接続通知が行われたか否かの判定を行う。無線信号検知回路23は接続通知が行われたと判定した場合、処理を終了する。
一方、無線信号検知回路23は例えば接続通知が行われないまま所定時間経過した場合や、CPU15またはWLAN通信モジュール12から接続が行われない旨の通知を受け付けた場合、ステップS52において、接続に失敗したビーコン信号の特定パターンの周期を捕捉し、このビーコン信号の特定パターンが再度検知された場合にはその検知を無視して電源回路24に通知を行わない。結果として、WLAN通信モジュール12への不要な電力供給およびWLAN通信モジュール12の不要な起動を防止することができる。
次に、PC2において実行されるPC側接続要求処理について説明する。
図13は、第1実施形態におけるPC2により実行されるPC側接続要求処理を説明するフローチャートである。
以下のPC2において実行される各処理の説明においては、主にOS、WLAN通信モジュール112を主語にして説明するが、各処理はそれぞれ所要のソフトウェアプログラムに基づいて実行される。
ステップS61において、PC2のOSはAPとしての無線LAN通信要求を受け付ける(図11のステップS21)。ステップS62において、WLAN通信モジュール112はOSの制御に基づいて起動する(ステップS22)。ここでは、WLAN通信モジュール112は、APモードのAP親機として起動する。
ステップS63において、WLAN通信モジュール112は、携帯電話機1にPC2のSSIDを含む種々の情報を報知するためのビーコン信号を送信する(ステップS23、ステップS24)。
ステップS64において、WLAN通信モジュール112は、所定時間内に携帯電話機1との無線LAN通信接続に成功したか否かの判定を行う(ステップS40)。WLAN通信モジュール112は、携帯電話機1との無線LAN通信接続に成功したと判定した場合、ステップS65において、APとしてデータ通信を開始する(ステップS41)。一方、WLAN通信モジュール112は、所定時間内に携帯電話機1との無線LAN通信接続に成功しない場合、接続処理を終了する。
図10〜図13で説明した無線LAN通信接続処理およびPC側接続要求処理においては、PC2のWLAN通信モジュール112から送信される信号の一例としてビーコン信号を送信し、このビーコン信号を携帯電話機1の無線信号検知回路23が受信する例を説明した。しかし、ビーコン信号に代えてPC2がPC2を示す識別情報であるUWを送信し、このUWを無線信号検知回路23が受信する場合に適用してもよい。以下、UWを用いたPC側接続要求処理について説明する。
図14は、第1実施形態におけるPC2により実行されるUWを用いたPC側接続要求処理を説明するフローチャートである。
図15は、携帯電話機1とPC2との間で行われるUWを用いた無線LAN通信接続処理を示すシーケンス図である。
ステップS71およびステップS72(図15のステップS81、ステップS82)については、図13のデータ通信要求ステップS61およびWLAN通信モジュールONステップS62(図11のステップS21、ステップS22)とほぼ同様であるため、ここでは説明を省略する。
ステップS73において、WLAN通信モジュール112は、携帯電話機1に対してUWを送信する(ステップS83、ステップS84)。具体的には、WLAN通信モジュール112は、PC2のUWテーブル175に予め記憶されたPC2の識別情報を示すUW(例えば図6(B)の個人UW)を、UWを振幅変調し発信する機能を有するWLAN拡張ドライバ166の制御に基づいて送信する。
ステップS74において、WLAN通信モジュール112は、所定時間が経過したか否かの判定を行う(ステップS85)。WLAN通信モジュール112は、未だ所定時間が経過していないと判定した場合、ステップS73に戻りUWの送信を継続する。
一方、WLAN通信モジュール112は所定時間が経過したと判定した場合、ステップS75において、ビーコン信号の送信を開始する(ステップS86、ステップS87)。
ステップS76およびステップS77(図15のステップS88、ステップS89)については、図13の接続判定ステップS64およびデータ通信ステップS65(図11のステップS40、ステップS41)とほぼ同様であるため、ここでは説明を省略する。
なお、携帯電話機1により実行されるUWを用いた無線LAN通信接続処理については、上述した図10の無線LAN通信接続処理の特定パターン検出判定ステップS1(図11のステップS25)で検出の有無を判定する対象がビーコン信号の特定パターンからUWの特定パターンに代わる他はほぼ同様であるためフローチャートを用いた説明、および図15におけるステップS90〜ステップS104の説明を省略する。
第1実施形態における携帯電話機1によれば、WLAN通信モジュール12に代えて低消費電力で待ち受け可能な無線信号検知回路23がビーコン信号やUWなどの無線信号を検知し、この検知をWLAN通信モジュール12の電源ONのトリガとすることができる。このため、第1実施形態における携帯電話機1が、WLAN通信モジュール12がCPU15を介すことなく受信したSSIDの照合を行い得る場合においても、さらにWLAN通信モジュール12が消費する電力を低減することができる。
また、PC2などの端末固有に設定され、無線信号検知回路23において識別可能なUWを用いることにより、接続可能な端末であるか否かを無線信号検知回路23が識別した上で電源回路24に通知を行うことができるため、不要なWLAN通信モジュール12への電力供給を低減することができる。
なお、第1の実施形態においては携帯電話機1と接続を行う端末にPC2を適用して説明した。しかし、ユーザが直接操作する可能性のあるPC2のような機器に設けられたAP機能であってもよいし、ユーザが直接操作する機会が少ないアクセスポイント(AP)のような定期的にビーコン波形を報知し続けるものであってもよい。また、図1におけるネットワークを構成する機器に必ずしも基地局3は必須ではなく、携帯電話機1とPC2との間の通信で完結していてもよい。
[第2実施形態]
本発明に係る通信機器の第2実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図16は、第2実施形態における携帯電話機201の無線信号検知回路23、WLAN通信モジュール212、メインCPU215、サブCPU216、および電源回路24の関係およびWLAN通信モジュール212の詳細な構成を示す図である。なお、携帯電話機201とPC2との他の構成については、第1実施形態の携帯電話機1とPC2とほぼ同様であるため、対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第2実施形態における通信機器の一例である携帯電話機201が第1実施形態における携帯電話機1と異なる点は、記憶部217を備えたサブCPU216を備えた点である。
サブCPU216は、メインCPU215(第1実施形態のCPU15に対応)よりも低消費電力で動作するCPUである。サブCPU216は、WLAN通信モジュール212と接続されており、所要のタイミングでWLAN通信モジュール212を起動させる。
記憶部217は、WLAN通信モジュール212の制御プログラムや識別情報としてのSSIDなどの所要のデータを記憶する。サブCPU216および記憶部217は、例えばワンチップ化されたマイクロコンピュータ(マイコン)などで構成され、メインCPU215よりも低消費電力で動作する。
WLAN通信モジュール212は、動作に必要な制御プログラム(ファームウェア)や照合に必要な登録済みのSSIDなどの所要のデータを記憶する記憶部84を有する。記憶部84は、RAMなどの揮発性メモリやEEPROMなどの書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。なお、WLAN通信モジュール212は、SSIDなどの所要のデータおよび制御プログラムの少なくとも一部が記憶部84に記憶される構成であればよい。
一部のデータが揮発性メモリに記憶される場合には、他のデータは揮発性メモリとは別に備えた不揮発性のメモリに記憶される。また、一部のデータが揮発性メモリに記憶される構成である場合には、サブCPU216の記憶部217に記憶されるデータは、その揮発性メモリに記憶された一部のデータに対応する。
ここで、WLAN通信モジュール212は、3つの動作状態を有する。第1の状態は、起動状態であり、電源回路24より動作電力が供給されて無線信号の受信が可能な状態である。第2の状態は、スリープモードであり、WLAN通信モジュール212はスリープ状態であるもののWLAN通信モジュール212の制御プログラムなどは既にダウンロードされており、起動状態に移行した場合にはすぐに無線信号の受信が可能な状態である。
第3の状態は、カットパワーモードであり、WLAN通信モジュール212に電力供給が行われておらず、電力供給後制御プログラムなどのダウンロードを行った後に無線信号の受信が可能な状態である。
第2実施形態における携帯電話機201は、特にWLAN通信モジュール212の状態が第3の状態であるカットパワーモードである場合に有効に作用する。以下、携帯電話機1とPC2との無線LAN通信接続処理を具体的に説明する。
図17は、第2実施形態における携帯電話機201により実行される無線LAN通信接続処理を説明するフローチャートである。
図18は、携帯電話機201とPC2との間で行われる無線LAN通信接続処理を示すシーケンス図である。
図19は、図18に続き携帯電話機201とPC2との間で行われる無線LAN通信接続処理を示すシーケンス図である。
なお、携帯電話機201は低電力状態であり、メインCPU215およびサブCPU216は処理開始時においては動作していない場合を例に説明する。
ステップS111において、携帯電話機201の無線信号検知回路23は、PC2より送信されたビーコン信号の特定パターンを検知したか否かの判定を行う。無線信号検知回路23は、ビーコン信号の特定パターンを検知していないと判定した場合、検知するまで待機する。
一方、無線信号検知回路23は特定パターンを検知したと判定した場合(図18のステップS135)、ステップS112において、WLAN通信モジュール212、サブCPU216および電源回路24に対して通知を行う(ステップS136〜ステップS138)。ステップS113において、WLAN通信モジュール212は、電源回路24より動作電力の供給が開始され、サブCPU216により起動される(ステップS139〜ステップS141)。
ステップS114(図18のステップS142)については、図10のWLAN通信モジュールONステップS4(図11のステップS29)とほぼ同様であるため、ここでは説明を省略する。
ステップS115において、WLAN通信モジュール212は、サブCPU216の記憶部217に記憶された制御プログラムなどをサブCPU216を介してダウンロードする(ステップS143、ステップS144)。これにより、WLAN通信モジュール212は動作可能となり、以後の無線信号の受信が可能となる。
ステップS116〜ステップS125(ステップS145〜ステップS154)は、図10のビーコン受信判定ステップS5〜待機ステップS14(図11のステップS30〜ステップS39)の処理とほぼ同様であるため、ここでは説明を省略する。なお、通知ステップS121(図19のステップS150)においては、WLAN通信モジュール212は接続完了後メインCPU215に通知する例を説明した。しかし、接続完了後、WLAN通信モジュール212はサブCPU216に通知を行うようにしてもよい。例えば、簡易な処理であればサブCPU216で処理を行い、扱うデータ量が大きい処理やユーザに対する通知や入力操作などを想定する場合にはメインCPU215で処理を行う。
なお、第2実施形態におけるPC2により実行されるPC側接続要求処理については、上述した図13のPC側接続要求処理とほぼ同様であるためフローチャートを用いた説明、および図18におけるステップS131〜ステップS134、ステップS155および156の説明を省略する。
第2実施形態における携帯電話機201によれば、上述したWOWの機能を有さない場合であっても、携帯電話機201全体の低消費電力化を図ることができる。すなわち、通常時WLAN通信モジュール212をカットパワーモードにしておき、必要に応じて低消費電力で動作するサブCPU216を介して起動、制御プログラムなどのダウンロードを行うことで、低消費電力でWOW同様の機能を実現することができる。
また、WOWの機能を有していてもWOWの機能を利用するために必要なWLAN通信モジュール212の消費電力(例えばスリープモード時の消費電力)が大きく低消費電力化に適さない場合についても、第2実施形態における携帯電話機201を適用することにより、消費電力の増加を抑制することができる。
なお、上記第1および第2実施形態は各々特徴点を示したものであり、必要に応じて上記第1および第2実施形態の各々を組み合わせて実施することができる。