JP5285801B2 - 間口用防災枠体及びこの間口用防災枠体と併設する防災用ドア - Google Patents
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Description
特許文献2に記載の発明は、建築物の間口にドアを取り付ける枠体を確実かつ精度よく組み付ける方法が提案されているが、この発明にも枠体の変形防止については触れられていない。
また、外観は、従来のものと変わらなくても、特に、垂直方向の機械的強度を高めることができる。
本発明は、少なくとも前記上枠13と左右の立枠14に補強材21を付加して機械的強度を持たせたもので、さらに必要に応じて下枠15、扉等のドア10にも機械的強度を持たせたものである。
このようにして、上枠13を構成する。
この上枠13の内部には、レール支持材25によりレール17が取り付けられる。このレール17の上面には、吊り枠19に設けた戸車18が移動自在に乗せられ、また、レール17の下面には、吊り枠19に設けた浮上り防止車24が臨ませて設けられる。前記吊り枠19は、金属薄板22の底部隙間26に臨ませた引き戸12の上框28に取り付けられている。
これらの図2(a)(b)(c)において、左右の立枠14は、間口16を構成する両側の構造物45に添ってそれぞれ垂直に取り付けられるものである。
この立枠14は、片開き戸37の場合、図2(b)に示すように、金属薄板27で断面が段差のある角筒状に形成される。また、嵌め殺し戸11の場合、図2(c)に示すように、金属薄板27で断面が中間に溝のある角筒状に形成される。
背面には溝38が形成され、内部の両側にアングル材20を溶着し、このアングル材20間で、この溝38の両側の端縁部39間に、図2(a)に示すように、補強材21cが所定間隔で、かつ、交互に30〜60度程度の角度をもって向きを変えて配置して、両端を両側の端縁部39に溶接又はボルト止めすることによりトラス構造とする。この補強材21cは、例えば、幅50×厚さ5mmのスチールが用いられる。
アングル材20の間の補強材21の取り付けピッチは、図1及び図2では、p1、p2と表したが、具体的には、p1=10cm、p2=30cmとする。しかし、この例に限られるものではなく、ピッチは、狭くすればそれだけ強度が増す。また、補強材21の板厚と幅は、前記の例示した板厚5mm、幅は50mmに限られず、適宜設定される。
そこで、図8(a)(b)(c)(d)に示すように、前記上枠13と左右の立枠14と下枠15における構造物45への取り付け面側に、への字状に屈曲した弾性アンカー47を所定間隔で取り付け、構造物45から突出した鉄筋46に溶接等で固着する。この溶接個所には、変形やずれ等に追随するためにクッション材48を充填する。
このようにして取り付けた上枠13と左右の立枠14と下枠15の枠内に扉等のドア10が据え付けられる。
扉等のドア10そのものをも図9又は図10に示すようなトラス構造としてアルミハニカム充填同等の強度とすることができる。
このうち、図9(a)(b)に示すように、扉等のドア10は、防火だけでなく、変形に対する強度をも兼ね備えたものとするため、金属製の左右の立框29と上框28と下框30とで枠組みをするが、さらに金属製の中框31を組み込み、両面に板材の補強材21dを溶接又はボルト止めしてトラス構造を施し、その上から難燃性と機械的強度のある化粧板32を貼着して構成する。
他の例としては、図10(a)(b)(c)に示すように、扉等のドア10は、金属製のチャンネル材からなる左右の立框29と上框28と下框30とで枠組みをするが、さらに2本のチャンネル材を背中合わせに溶接した金属製の中框31を組み込み、左右の立框29と上框28と下框30と下框30戸の間にチャンネル材からなる補強材21dを溶接又はボルト止めしてトラス構造を施し、その上から難燃性と機械的強度のある化粧板32を貼着して構成する。
・スチール鋼板:厚さ1.6〜2.3mm
・ステンレス鋼板:厚さ1.5〜2.0mm
・アルミニウム板:厚さ1.5〜2.0mm
しかし、これに限られるものではない。
2枚のドア10を具備する場合、トラス構造は、嵌め殺し戸11であってもよいし、引き戸(又は開き戸)12であってもよい。嵌め殺し戸11を有しない場合には、2枚以上の引き戸(又は開き戸)12のうち少なくとも1枚をトラス構造としてもよい。
また、4枚のドア10を具備する場合、トラス構造は、両側の嵌め殺し戸11であってもよいし、中央の引き戸(又は開き戸)12であってもよい。トラス構造のものとトラス構造でないものとの組合わせは、3:1又は1:3等適宜設定できる。
トラス構造のものとトラス構造でないものとの組合わせは、ドアの枚数が3枚や5枚以上などにも利用できる。
このような構成により、嵌め殺し戸11を回転軸44を支点として閉じ、かつ、引き戸12を閉じたとき、一方の立框29は、戸先が気密材33と接触し、他方の立框29の突条片(煙り返し)35が引き戸12の気密材33と接触し気密が保たれる。
なお、嵌め殺し戸11の立框29の角部に臨ませて立枠14の垂直面に気密材取付部材40を設けて気密材33を嵌め込めばより気密が保たれるが、引き戸12の開閉時に邪魔になるときは、立框29の角部に接触する気密材33は、取り付けない。
この図4において、嵌め殺し戸11は、戸先の立框29に開けやすいように一体に手掛け50が設けられている。
このような構成により、嵌め殺し戸11を回転軸44を支点として閉じたとき、一方の立框29は、角部で気密材33と接触し、他方の立框29が召し合せ立枠41の気密材33と接触し気密が保たれる。
なお、この図5における引き戸12の一方の立框29には、軟質材42が設けられ、他方の立框29には、手動開閉時や停電時に横方向にスムーズに開閉するための引き手43が設けられて開閉時の安全性を確保している。
また、引き戸12には、把手(押棒)をなくして立框29と一体の引き手43が設けられ、嵌め殺し戸11には、突起物(把手)をなくして立框29と一体の手掛け50が設けられている。
これらの例においても、図1〜図5、図9及び図10に示す構成はそのまま利用することができる。
自動開閉タイプとした場合、停電すると、自動的に閉鎖し、閉鎖後、手動で開閉できるようにすることができる。
前記ドア10において、開閉に要する引き手、押棒等の突起物は、災害時に人間や洋服が引っ掛かる恐れがあるのでなくして、突起物でない窪みなどとすることが望ましい。
本発明品Aは、図2と同様、厚さ1.6mmのスチール等の金属薄板27で外形が断面が段差のある角筒状に形成され、内部両側に厚さ2.3mmのスチール等のアングル材20を溶着し、このアングル材20の間に幅30mmで厚さが5mmの補強材21が約200mm間隔でジクザグに溶着したものである。47は、弾性アンカーである。
従来品aは、金属薄板27と弾性アンカー47だけで構成されており、外形は本発明品Aと同様であるが、アングル材20と補強材21を有しない。
本発明品Bは、厚さ1.6mmのスチール等の金属薄板22で外形が中央に溝のある凹形の角筒状に形成され、内部両側に厚さ2.3mmのスチール等のアングル材20を溶着し、このアングル材20の間に幅30mmで厚さが5mmの補強材21が約200mm間隔でジクザグに溶着したものである。47は、弾性アンカーである。
従来品aは、金属薄板22と弾性アンカー47だけで構成されており、外形は本発明品Aと同様であるが、アングル材20と補強材21を有しない。
従来品c(ドア10)は、両側の立框29、上框28、下框30からなる枠組みにおける両面の斜線部に、幅100mmで厚さ1.6mmのスチール等の金属薄板51を貼着して構成されており、外形は本発明品Cと同様であるが、補強材21を有しない。
図12(b)において、本発明品A(立枠14)に上端部と下端部から矢印方向に荷重をかけた。
同様に、図12(c)において、従来品a(立枠14)に上端部と下端部から矢印方向に荷重をかけた。
従来品aは、図15で点線特性で示すように、荷重をかけてゆくと、ストロークが約4mmで最大荷重が72.1kNとなり、それ以降は下降し始めた。
これに対し、本発明品Aは、図15で実線特性で示すように、荷重をかけてゆくと、ストロークが約4.5mmで最大荷重が140.9kNとなり、それ以降は下降し始めた。
このように、補強材21を入れた本発明品Aは、従来品aの約2倍の圧縮力であった。これは、補強材21が垂直な立枠14に対し、約30度と垂直に近い角度で設けたことによるものと思われる。
同様に、図13(c)において、従来品b(幅広の立枠14)に長手方向の上端部と下端部から矢印方向に荷重をかけた。
従来品bは、図16で点線特性で示すように、荷重をかけてゆくと、ストロークが約3.8mmで最大荷重が114.0kNとなり、それ以降は下降し始めた。
これに対し、本発明品Bは、図16で実線特性で示すように、荷重をかけてゆくと、ストロークが約5.0mmで略最大荷重になり、約6.7mmで最大荷重が143.6kNとなり、約7.0mm以降は下降し始めた。
このように、補強材21を入れた本発明品Bは、従来品bの約1.3倍の圧縮力であった。これは、補強材21が垂直な立枠14に対して約45度で設けたので、従来品bと比べて最大荷重はそれほど大きくないが、ストロークが長くなり、このことは、変形しても耐圧縮力が持続して低下しにくいことを表している。
同様に、図14(c)において、従来品c(ドア10)に縦方向に荷重をかけた(図17の特性線c−1)。
試験結果を示す図17において、従来品cは、縦方向の特性線c−1で示すように、荷重をかけてゆくと、ストロークが約5.5mmで最大荷重が143.6kNとなり、それ以降は急激に下降し始めた。
これに対し、本発明品Cは、縦方向の特性線C−1で示すように、荷重をかけてゆくと、ストロークが約4.5mmで最大荷重が158.1kNとなり、それ以降は少しずつ下降し始めた。
このように、補強材21を入れた本発明品Cは、従来品cの約1.1倍の圧縮力であった。縦方向の試験において、補強材21がある場合とない場合でそれほど差がないのは、ドア10の形状が高さに対する幅が大きいので、補強材の角度が小さくなる(垂直方向に対して約60度)ためと思われる。
同様に、図14(c)において、従来品c(ドア10)を横置きにして横方向に荷重をかけた(図17の特性線c−2)。
試験結果を示す図17において、従来品cは、横方向の特性線c−2で示すように、荷重をかけてゆくと、ストロークが約8.5mmで最大荷重が81.2kNとなり、それ以降は急激に下降し始めた。
これに対し、本発明品Cは、横方向の特性線C−2で示すように、荷重をかけてゆくと、ストロークが約6.5mmで略最大荷重になり、約8.5mmで最大荷重が128.1kNとなり、その後もストロークが約14.0mmまで120.0kNを持続した。。
このように、補強材21を入れた本発明品Cは、従来品cの約1.6倍の圧縮力であった。これは、横方向では、補強材21が垂直に対し約30度となることにより、従来品より大幅に耐圧縮力が増加したものと思われる。また、ドア10は、横向きにして横方向に圧縮力をかけると、幅が大きくなるため、ストロークが極めて長くなり、このことは、変形しても耐圧縮力が持続して低下しにくいことを表している。
Claims (6)
- ドアを据え付けるための構造物の間口に取り付けられる間口用防災枠体において、前記枠体は、少なくとも上枠と左右の立枠を具備し、これらの上枠と立枠は、長さ方向の2本以上の金属製アングル材間に複数本の金属製の補強材を用いてトラス構造とし前記アングル材の外周に、金属薄板を貼着して筒状に形成したことを特徴とする間口用防災枠体。
- 上枠は、略4角筒状体をなし、この筒状体の3箇所の角隅部にそれぞれアングル材を配置し、相隣りの2本のアングル材の間に、それぞれ複数本の補強材をトラス構造となるように固着し、前記上枠の上面、後面及び底面の一部に金属薄板の化粧板を貼着し、前面に開閉蓋を設けてなることを特徴とする請求項1記載の間口用防災枠体。
- ドアを据え付けるための構造物の間口の内側に取り付けられる間口用防災枠体において、前記枠体は、前記構造物の上部内側に取り付けられる断面が略4角筒状体の上枠と前記間口の左右内側に取り付けられる断面が略4角筒状体の左右の立枠を具備し、前記上枠は、略4角筒状体の3箇所の角隅部にそれぞれスチールのアングル材を配置し、相隣りの2本のアングル材の間に、それぞれ複数本のスチールの補強材を交互に30〜60度の角度を持って向きを変えて配置してトラス構造となるように固着し、前記上枠の上面、後面及び底面の一部に金属薄板の化粧板を貼着し、前面に開閉蓋を設けてなり、前記左右の立枠は、略4角筒状体の2箇所の角隅部にそれぞれスチールのアングル材を配置し、これらの2本のアングル材の間に、複数本のスチールの補強材を交互に30〜60度の角度を持って向きを変えて配置してトラス構造となるように固着し、前記立枠の外周に金属薄板の化粧板を貼着してなることを特徴とする間口用防災枠体。
- 枠体は、上枠と、左右の立枠と、下枠と、左右の立枠の中間の召し合せ枠とからなり、前記召し合せ枠は、略4角筒状体の2箇所の角隅部にそれぞれスチールのアングル材を配置し、これらの2本のアングル材の間に、複数本のスチールの補強材を交互に30〜60度の角度を持って向きを変えて配置してトラス構造となるように固着し、前記立枠の外周に金属薄板の化粧板を貼着してなることを特徴とする請求項3記載の間口用防災枠体。
- 上枠と左右の立枠における構造物への取り付け面側に、への字状に屈曲した弾性アンカーを所定間隔で取り付け、構造物から突出した鉄筋に固着し、固着個所にクッション材を充填したことを特徴とする請求項3又は4記載の間口用防災枠体。
- 請求項1乃至5記載のドアを据え付けるための間口用防災枠体において、前記ドアは、金属製の上框と立框と下框と中框で枠組みし、この枠組みの両面に複数本の補強材を用いてトラス構造とし、外面に化粧板を貼着したことを特徴とする間口用防災枠体と併設する防災用ドア。
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