JP5283042B2 - ディスプレイシステム - Google Patents

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本発明はディスプレイシステムに関する。
鏡の中の虚像として結像する鏡映像、つまり、面対称位置に結像する像を、空間に実像として結像できるマイクロミラーを備えた透過型の光学素子がすでに提案されている(特許文献1参照)。この光学素子を用いると、素子上に歪がない等倍の空中像(実像)を観察者の至近距離に作ることができる。
詳しくは、従来の光学素子X’は、図7に示すように、多数の2面コーナーリフレクタ20’(以下、「マイクロミラー20’」という場合がある)をマトリクス状に並べたマイクロミラーアレイ構造を備える。マイクロミラー20’のそれぞれは、互いに直交する微小な2枚の鏡面21’、22’からなり、素子面S’に対して垂直に立設して配されている。
これにより、光学素子X’は、各マイクロミラー20’への入射光の素子面S’に対する面内方向成分が再帰反射して、入射光の素子面S’に対する垂直方向成分がそのまま透過するので、面対称結像特性を有する。このため、光学素子X’では、素子面S’の裏面側の空間に配された被投影物Oの実像が、素子面S’の表面側の空間における当該素子面S’に対する面対称位置に、3次元の鏡映像P(空中像P)として結像するという作用を有している。
WO2007/116639号パンフレット
本件発明者は、上述の光学素子を用いて3次元の鏡映像(実像)を再現する際に、この鏡映像に重畳する映像を表示できると、映像の表現性の向上が図れて好都合であると考えている。
例えば、基板上の空間に3次元の物体像を作り出す場合に、この物体像の影を重畳的に(同時に)表示すると、従来のディスプレイシステムと比較してリアリティに富む映像を表現できる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光学素子のマイクロミラーによって3次元の鏡映像(実像)を再現する際に、この鏡映像(実像)と重畳的に1以上の映像を表示できるディスプレイシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、素子面に対して立設する複数のマイクロミラーによって光の鏡面反射が起こる光学素子を備え、
前記光学素子の裏面側の空間に配された被投影物から発せられた光が前記素子面を透過する際に、前記光の鏡面反射により、前記光学素子の表面側の空間に前記被投影物の実像を結像でき、前記被投影物の実像と重畳的に1以上の映像を表示できる映像表示手段を更に備えるディスプレイシステムにおいて、
前記映像表示手段は、複数の画素が配列された画素領域を備え、
前記マイクロミラーのそれぞれが、前記光学素子を構成する基板に垂直に形成された複数の光学的な穴の内壁面に設けられ、
前記穴以外の前記基板の表面に対応する領域が、前記画素領域に用いられ、
前記画素領域内の前記複数の画素によって構成される平面画像が、前記被投影物の実像と重畳的に表示されるディスプレイシステムを提供する。
これにより、本発明のディスプレイシステムにおいて、映像の表現性の向上を図れる。
例えば、基板上の空間に3次元の物体像(実像)を作り出す場合に、物体像の影を重畳的に(同時に)表示すると、従来のディスプレイシステムと比較してリアリティに富む映像を表現できる。
以上の構成により、本実施形態のディスプレイシステムにおいて、光学機能を有しなかった従来の光学素子のマイクロミラーのデットスペースを、平面映像の表示用の複数の画素が配列された画素領域(映像表示手段)として有効に活用できる。
なお、ここで、前記素子面を平面視した場合、前記画素領域を、矩形状の前記光学的な穴の、互いに直交する幅方向に沿ってストライプ状に延在させ、前記画素領域の延在方向において、異なる色の前記画素を、交互に配列させてもよい。
これにより、赤、青、緑の3原色の各色を発光できる赤色画素、青色画素および緑色画素を適切に配列できて、任意の映像のカラー表示を行える。
また、本発明のディスプレイシステムにおいて、前記映像表示手段は、表示画面が前記光学素子と対向するように配された表示パネルと、前記表示パネルと前記光学素子との間の空間に配されたハーフミラーと、を備えてもよい。これにより、前記表示パネルの虚像を前記被投影物の実像と重畳的に表示できる。
以上の構成により、表示パネルの虚像を、ハーフミラーの主面に対して面対称位置に結像させることができる。このように、被投影物の実像と重畳的に表示パネルの虚像を表示できるので、映像の表現性の向上を図れる。
例えば、基板上の空間に3次元の物体像(実像)を作り出す場合に、この物体像の足元近くに、物体像の影を表す虚像を、表示パネルの表示画面中に重畳的に(同時に)表示できるので、更にリアリティに富む映像を表現できる。
本発明によれば、光学素子のマイクロミラーによって3次元の鏡映像(実像)を再現する際に、この鏡映像(実像)と重畳的に1以上の映像を表示できるディスプレイシステムが得られる。
本発明の第1実施形態によるディスプレイシステムの全体構成を模式的に示した斜視図である。 図1の光学素子の基板端部での拡大斜視図である。 図2のIII-III線に対応する赤色発光素子Rの断面を示した断面図である。 本発明の第2実施形態によるディスプレイシステムの全体構成を模式的に示した斜視図である。 本発明の第3実施形態によるディスプレイシステムの全体構成を模式的に示した斜視図である。 本発明の変形例によるディスプレイシステムに用いる光学素子の基板端部での拡大斜視図である。 従来の光学素子を含むシステムを模式的に示した斜視図である。
以下、本発明の第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるディスプレイシステムの全体構成を模式的に示した斜視図である。図2は、図1の光学素子の基板端部での拡大斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のディスプレイシステム100は、光学素子Xを備える。
この光学素子Xを構成する基板10は、図2に示すように、マイクロミラー領域S1および画素領域S2(映像表示手段)によって区画されている。
まず、マイクロミラー領域S1の構成について述べ、画素領域S2の構成については後述する。
光学素子Xの基板10では、島状に点在する多数のマイクロミラー領域S1毎に2面コーナーリフレクタ20(以下、「マイクロミラー20」という場合がある)が、高密度に敷詰されてマトリクス状に配列されている。
これらのマイクロミラー20のそれぞれが、マイクロ光学素子(単位光学素子)として機能しており、図1に示すように、光学素子Xの裏面側の空間に配された被投影物Oから発せられた光200が光学素子Xの素子面Sを透過する際に、マイクロミラー領域S1での各マイクロミラー20による光200の鏡面反射によって、光学素子Xの表面側の空間に被投影物Oの実像(鏡映像P)を結像できる。
なお、本明細書では、図2に示しように、薄いシート状の基板10の厚みの中央部を通り、かつ、基板10の主面に平行な面(換言すると、マイクロミラー20を形成する後述の内壁面21、22と直交する面)を、便宜上「素子面S」と定義するが、このような素子面Sは、本技術を具体化した製品に実在するものではなく、あくまで仮想面に過ぎない。但し、光学素子Xの基準面として、素子面Sを上述の如く選ぶと、光学素子Xの構成の説明において都合がよい。また、本技術を具体化した製品では、基板10に微小なマイクロミラー20が多数形成されているが、図面の図示では、マイクロミラー20の大きさを誇張して表し、マイクロミラー20の個数を図示できる程度に略している。
ところで、マイクロミラーアレイ構造(マイクロミラー20)の形成では、図2に示すように、基板10に垂直に形成された「光学的な穴」を用いることができる。例えば、基板10の厚み方向に、基板10の主面に対して垂直に貫通する複数の矩形状の貫通穴H(ここでは、正方形の貫通穴H)を形成するとよい。つまり、マイクロミラー20は、貫通穴Hを区画する4つの内壁面21〜24の内の内壁面21、22に形成されて、直角に折れた2面コーナーリフレクタ(光の鏡面反射が起こる反射面)になっている。一方、鏡面仕上げが行われた内壁面21、22のそれぞれに対向する内壁面23、24では、光の多重散乱による迷光を抑制する観点から反射不能な面に仕上げるか、あるいは、これらの内壁面23、24を素子面Sに対して直角とならないよう傾けて形成して、鏡面と平行にならないようにするとよい。
なお、ここでは、「光学的な穴」として上述の中空状態の貫通穴Hを例示したが、本明細書において、「光学的な穴」とは、必ずしも、これに限らず、光を透過できる部分であればよい。例えば、このような貫通穴Hの中空部に透明な矩形状の固体を配設させること、あるいは、貫通穴Hの中空部に透明な気体や液体を充填させること、によっても、「光学的な穴」の機能が発揮され、これにより、貫通穴Hの中空部の屈折率を適切に調整できる。あるいは2面コーナーリフレクタは、光学的な穴として、透明なガラスや樹脂のような固体によって形成された筒状体を利用するものであってもよい。なお、固体によって個々の筒状体が形成されている場合、これらの筒状体は、相互に密着させて素子の支持部材として働かせてもよく、基盤を具備するものとして当該基盤の表面から突出した態様をとってもよい。また筒状体の形状についても、その内壁(当該基盤の表面から突出した態様をとっている時は外壁内側)に2面コーナーリフレクタとして働くための1枚もしくは複数の同一平面に含まれない鏡面を具備し、かつ鏡面で反射した光が筒状体を透過できる限り、任意の形状を取ることが可能であり、筒状体と称してはいるが各筒状体が連結していたり、一部が欠損している複雑な形状であってもよい。
次に、マイクロミラーアレイ構造の設計スペックの一例を説明する。
以上のマイクロミラーアレイ構造では、マイクロミラー20に用いる貫通穴Hの2方向の幅を例えば、50μm以上、1000μm以下の範囲内に設定するとよい。本実施形態では、その幅を100μm程度に設定している。また、貫通穴Hの高さ(基板10の厚みに相当)を例えば、50μm以上、1000μm以下の範囲内に設定するとよい。本実施形態では、厚みを100μm程度に設定している。上述の貫通穴Hの幅は、マイクロミラー20に用いる2つの鏡面の幅を規定し、上述の貫通穴Hの高さは、マイクロミラー20に用いる2つの鏡面の高さを規定する。よって、本実施形態では、これらの鏡面は、幅と高さとがほぼ等しい正方形となっている。このようにして、本実施形態では、微小なマイクロミラー20を、約5cm角の基板10に敷詰め、これにより、数万個ないし数十万個のマイクロミラー20が、基板10内に組み込まれている。
次に、マイクロミラーアレイ構造の製造方法の一例を説明する。
まず、ナノ加工によって金属製の金型に整列した筒状体を作成する。そして、上述の内壁面21、22に対応する筒状体の側面に、面粗さを50nm以下とした平滑な鏡面形成を行う。次いで、上述の金型を用いてナノインプリント工法または電鋳工法により反転転写を行い、これにより、所定ピッチの複数の貫通穴Hを利用した各マイクロミラー20を形成する。
電鋳工法を用いて基板10をアルミやニッケルなどの金属製とした場合、内壁面21、22は、金型の面粗さが充分に小さければ、それによって自然に鏡面となる。また、ナノインプリント工法を用いて基板10を樹脂製とした場合、内壁面21、22に、スパッタリング法によって鏡面コーティングを施すとよい。
以上に述べたマイクロミラーアレイ構造によれば、基板10の一方側(表面側或いは裏面側)から貫通穴Hに入った光を一方の鏡面(内壁面21、22のうちの一方)によって鏡面反射させ、更にその反射光を他方の鏡面(内壁面21、22のうちの他方)によって鏡面反射させて、基板10の他方側(裏面側或いは表面側)へ通過させる機能を有する。
つまり、本実施形態の光学素子Xでは、素子面Sのマイクロミラー領域S1を光が透過する際に、素子面Sに対して垂直に立設している鏡面(内壁面21、22)による光の鏡面反射が2回起こる。これにより、素子面Sは、基板10の一方側にある被投影物Oの実像を、その他方側の面対称位置に鏡映像Pとして結像させる面となる。
なお、このようなマイクロミラーアレイ構造の光学的な機能(2回反射光による光学特性)は、上述の特許文献1においてすでに詳細に説明されている。よって、ここでは、このマイクロミラーアレイ構造の機能の詳細な説明は省略する。
次に、本実施形態のディスプレイシステム100の特徴部である画素領域S2の構成について述べる。
本実施形態の光学素子Xでは、図2に示すように、貫通穴H以外の基板10の表面に対応する領域が、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色を発光できる自発光型の画素(発光素子)が配列された画素領域S2に用いられている。詳しくは、素子面Sを平面視した場合、この画素領域S2は、矩形状の貫通穴Hの幅方向に沿って、互いに直交する2方向にストライプ状に延びている(以下、画素領域S2の延在方向をそれぞれ、便宜上、「第1方向」および「第2方向」という;図2参照)。
画素領域S2の第1方向では、緑色発光素子Gおよび青色発光素子Bが、図2に示す如く、交互に配列されている。つまり、第1方向に間隔を隔てて連なる、異なる色の素子配列では、青色発光素子Bが、貫通穴Hの幅方向の中心に置かれ、緑色発光素子Gが、この青色発光素子Bを挟むように位置している。
また、画素領域S2の第2方向では、緑色発光素子Gおよび赤色発光素子Bが、図2に示す如く、交互に配列されている。つまり、第2方向に間隔を隔てて連なる、異なる色の素子配列では、赤色発光素子Rが、貫通穴Hの幅方向の中心に置かれ、緑色発光素子Gの端が、この赤色発光素子Rを挟むように位置している。
このように、画素領域S2の第1方向と第2方向との間の交差部には、緑色発光素子Gが配されている。これにより、第1方向における素子配列のうちの一つ置きの連なりを構成する緑色発光素子Gが、第2方向における素子配列のうちの一つ置きの連なりをも構成している。
但し、以上に述べた赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bの配列はあくまで一例に過ぎず、赤、緑、青の3原色のそれぞれの発光素子を上述と異なる方法で配列してもよい。
以上の構成により、本実施形態の光学素子Xでは、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bのそれぞれを、赤、緑、青の3原色の画素の一つとして用いることができ、これらの画素によって構成される平面映像P1を基板10上に表示できる。つまり、このような3原色の多数の画素の点灯および非点灯の適宜の組合せにより、基板10の表面上に任意の平面映像P1を、鏡映像Pに重畳的に(同時に)表示できる。このため、本実施形態の光学素子Xでは、従来の光学素子X’において光学機能を有しなかったマイクロミラー20間のデットスペースを、平面映像P1の表示用の赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bが配列された画素領域S2(映像表示手段)として有効に活用できる。
なお、本実施形態の光学素子Xでは、マイクロミラー領域S1は100μm程度の微小な正方形領域なので、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bを用いた平面映像P1の視認性において、マイクロミラー領域S1の存在は問題とならない。
次に、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bの構造の一例を説明する。
ここでは、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bを、有機EL素子を用いて形成する例を述べるが、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bとして、他の自発光型の発光素子(例えば、PDPの発光素子)を用いてもよい。
図3は、図2のIII-III線に対応する赤色発光素子Rの断面を示した断面図である。
この赤色発光素子Rは、図3に示すように、赤色の発光層43を含む有機EL膜およびこの有機EL膜を挟む一対の電極41、45が積層された有機EL(Organic Electro-Luminescence)素子を用いて形成することができる。
なお、発光層43の発光材料を変更することにより、緑色および青色発光素子G、Bを容易に形成できるので、ここでは、緑色および青色発光素子G、Bの図示は省略する。
本実施形態では、有機EL膜の積層構造として、正孔輸送層44/発光層43/電子輸送層42の3層型を例示しているが、他の積層構造(例えば、単層型や2層型)を用いてもよい。また、有機EL膜の電子輸送層42側の電極41(陰極)には、金属(例えば、アルミニウム)や合金(例えば、マグネシウム・銀の合金)が用いられ、有機EL膜の正孔輸送層44側の電極45(陽極)には、透明な導電部材(例えば、インジウム−スズ酸化物)が用いられている。このように、赤色発光素子Rに用いる有機EL素子は、サンドイッチ状のヘテロ構造を有している。
また、以上の赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bについては、真空蒸着法を中心として公知のドライプロセスによって、図2に示す如く、ガラス基板46(図3参照)上に島状に配して製造できる。そして、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bを画素領域S2内に適切に配列できるように、ガラス基板46を基板10の適所に張り合わせるとよい。なお、赤色、緑色および青色発光素子R、G、B(有機EL素子)の性能安定化を図るには、ガラス基板46と基板10との間の張り合わせの端部に封止材を施すとよい。
また、以上の赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bの両電極の間に、適宜の直流の駆動電圧(例えば、3V〜10V程度)を印加すると、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bは、有機EL膜に注入された電子と正孔との再結合によって生じる励起子によって発光する。
すると、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bによる赤、青、緑の3原色の発光が、透明な電極45および透明なガラス基板46を透過して平面映像P1のカラー表示に利用される。このような平面映像P1の解像度は、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bの配列ピッチに支配されるので、これらの赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bを高密度(微小ピッチ)に敷詰めると、平面映像P1の高解像度化が期待できる。
特に、本実施形態では、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bの有機EL膜および電極のトータルの厚み(図3では、赤色発光素子Rのトータルの厚みLを例示)を、1μm以下と極薄に形成できるので、上述のマイクロミラー領域S1での透過光の進行が、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bの不透明膜よって妨げられずに都合がよい。また、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bの駆動方法としてパッシブ型を用いると、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bの素子構造が簡略化できて好ましい。
以上のとおり、本実施形態のディスプレイシステム100では、素子面Sに対して立設する多数のマイクロミラー20によって光の鏡面反射が起こる光学素子Xを備える。これにより、光学素子Xの裏面側の空間に配された被投影物Oから発せられた光が素子面Sを透過する際に、光の鏡面反射により、光学素子Xの表面側の空間に被投影物Oの実像(鏡映像P)を結像できる。
また、本実施形態のディスプレイシステム100は、被投影物Oの実像(鏡映像P)に重畳する映像を表示できる映像表示手段の一例として、自発光型の画素である多数の赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bが配された画素領域S2を備える。これにより、基板10上の画素領域S2に、被投影物Oの実像と重畳的に(同時に)平面映像P1を表示できる。
このようにして、本実施形態のディスプレイシステム100では、映像の表現性の向上を図れる。例えば、基板10上の空間に3次元の物体像(実像)を作り出す場合に、基板10の表面上の画素領域S2に、物体像の影を同時に表示すると、従来のディスプレイシステムと比較してリアリティに富む映像を表現できる。そして、以上の映像の表現性の向上により、エンターテイメント立体映像、立体映像によるミュージアムでの展示、立体映像による商品広告などの様々な用途へのディスプレイシステム100の利用拡大を期待できる。
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態によるディスプレイシステムの全体構成を模式的に示した斜視図である。
なお、図4に示すように、本実施形態のディスプレイシステム101は、図1の光学素子Xを備えるが、光学素子Xの構成説明、および、光学素子Xによる被投影物Oの実像(鏡映像P)の結像方法の詳細説明、並びに、画素領域S2での平面映像P1の形成方法の詳細説明については、第1実施形態と同じ内容なので、省略する。
本実施形態のディスプレイシステム101は、図4に示すように、表示画面(図示せず)が光学素子Xと対向するように配された表示パネル50と、表示パネル50と光学素子Xとの間の空間に挿入されたハーフミラー51と、を備える。
この表示パネル50としては、液晶表示パネル、PDP、有機EL表示パネルなどの既存の表示デバイスを用いるとよい。また、ハーフミラー51は、ガラス板に金属薄膜や誘電体多層膜のコーティング(真空蒸着)を施して、透過光強度と反射光強度が等しくなるようにした公知の光学素子である。
以上の表示パネル50とハーフミラー51とを組合せが、映像表示手段を構成している。つまり、本実施形態のディスプレイシステム101では、表示パネル50の虚像50Aが、ハーフミラー51の主面に対して面対称位置に結像する。
よって、本実施形態のディスプレイシステム101は、以下に述べる3種類の性質が異なる映像P、P1、50Aを重畳的に(同時に)表示できる。
<平面映像P1>
第1実施形態で述べたように、平面映像P1は、基板10上の画素領域S2に配列された有機EL素子(図2の赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bを参照)を用いて表示された2次元映像である。この平面映像P1の解像度は、上述のとおり、赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bの配列ピッチに支配されるので、これらの赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bを高密度(微小ピッチ)に敷詰めると、平面映像P1の高解像度化が期待できる。
なお、基板10の表面に置かれた実体物(例えば、映像へのインタラクションを行う手指や物体;以下、同じ)が、平面映像P1を隠してしまうという特徴がある。
<被投影物Oの実像(鏡映像P)>
第1実施形態で述べたように、被投影物Oの実像は、素子面S(図2参照)に対して面対称位置に、鏡映像Pとして空中に結像しており、ハーフミラー51の上面に結像させることもできる。よって、3次元物体でも結像できるが、この場合、凹凸が反転する。鏡映像Pの解像度は、マイクロミラー20の回折の影響を受けて悪化する場合がある。
なお、上述の平面映像P1と同様に、基板10の表面に置かれた実体物が、鏡映像Pを隠してしまうという特徴がある。
<表示パネル50の虚像50A>
表示パネル50の虚像50Aは、表示パネル50をハーフミラー51の主面に対して面対称位置にした鏡映像である。この鏡映像は、虚像なので、必ずハーフミラー51の下方位置(表示パネル50と反対側の位置)において結像する。虚像50Aを光学素子Xの基板10の下方位置(表示パネル50と反対側の位置)において結像させることもできる。通常の鏡に写る像と同様に、虚像50Aの高解像度化を実現できる。
なお、ハーフミラー51の下方に置かれた実体物は、この虚像50Aを隠さず、ハーフミラー51の上方に置かれた実体物は、この虚像50Aを隠してしまうという特徴がある。
以上のとおり、本実施形態のディスプレイシステム101では、素子面Sに対して立設する多数のマイクロミラー20によって光の鏡面反射が起こる光学素子Xを備える(詳細は第1実施形態の説明参照)。これにより、光学素子Xの裏面側の空間に配された被投影物Oから発せられた光が素子面Sを透過する際に、光の鏡面反射により、光学素子Xの表面側の空間に被投影物Oの実像(鏡映像P)を結像できる。
また、本実施形態のディスプレイシステム101は、被投影物Oの実像(鏡映像P)に重畳する映像を表示できる映像表示手段の一例として、自発光型の画素である多数の赤色、緑色および青色発光素子R、G、Bが配された画素領域S2を備える(詳細は第1実施形態の説明参照)。これにより、基板10上の画素領域S2に、被投影物Oの実像と重畳的に(同時に)平面映像P1を表示できる。
更に、本実施形態のディスプレイシステム101は、被投影物Oの実像(鏡映像P)に重畳する映像を表示できる映像表示手段の他の例として、表示パネル50およびハーフミラー51を備える。これにより、ハーフミラー51の下方位置に、被投影物Oの実像と重畳的に(同時に)表示パネル50の虚像50Aを結像できる。
特に、本実施形態のディスプレイシステム101では、図4に示すように、表示パネル50の虚像50Aを、基板10から離して鏡映像P(実像)に近接させた位置に結像できるという効果がある。このため、被投影物Oの実像に関連する映像を、虚像50Aを用いて表示すると有益な場合がある。
例えば、基板10上の空間に3次元の物体像(実像)を作り出す場合に、この物体像の足元近くに、物体像の影を表す虚像50A(図4の網掛け図示参照)を、表示パネル50の表示画面中に重畳的に(同時に)表示できるので、更にリアリティに富む映像を表現できる。
以上のとおり、本実施形態のディスプレイシステム101では、投影物Oの実像(鏡映像P)に重畳する様々な性質の映像を表示できるので、映像の表現性の向上を図れる。そして、この映像の表現性の向上により、エンターテイメント立体映像、立体映像によるミュージアムでの展示、立体映像による商品広告などの様々な用途へのディスプレイシステム101の利用拡大を期待できる。
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態によるディスプレイシステムの全体構成を模式的に示した斜視図である。
図5に示すように、本実施形態のディスプレイシステム102では、第2実施形態のディスプレイシステム101(図4)において、光学素子Xを、従来(特許文献1)の光学素子X’に置き換えて構成されている。
なお、本実施形態のディスプレイシステム102の構成要素のうち、第2実施形態のディスプレイシステム101と同じ構成要素については、同一の付号を付し、両者に共通する構成要素の説明、および、これらの構成要素により実現される映像(具体的には、表示パネル50の虚像50A)の詳細説明は省略する。
また、従来の光学素子X’の構成説明、および、光学素子X’による被投影物Oの実像(鏡映像P)の結像方法の詳細説明についても、ここでは、省略する。
以上のとおり、本実施形態のディスプレイシステム102では、被投影物Oの実像と重畳的に映像を表示するディスプレイシステムの構成を簡素化できる。これにより、本実施形態のディスプレイシステム102では、映像の表現性の向上を簡易な手法により行える。
特に、本実施形態のディスプレイシステム102では、図5に示すように、虚像50Aを、基板10’から離して鏡映像P(実像)に近接させた位置に結像できるという効果がある。このため、被投影物Oの実像に関連する映像を、虚像50Aを用いて表示すると有益な場合がある。
例えば、基板10上の空間に3次元の物体像(実像)を作り出す場合に、この物体像の足元近くに、物体像の影を表す虚像50A(図5の網掛け図示参照)を、表示パネル50の表示画面内に同時に表示できるので、更にリアリティに富む映像を表現できる。
(変形例)
第1および第2実施形態の光学素子Xでは、上述のとおり、中空状態の貫通穴Hの内壁面21、22にマイクロミラー20が形成されている(図示を省略しているが、第3実施形態の光学素子X’でも同じ)。
本変形例の光学素子XXにおいては、このようなマイクロミラー20に代えて、図6に示すように、基板110の表面から基板110の厚み方向に突出してマトリクス状に配された透明な矩形体Dを用いてマイクロミラー120が形成されている。この場合、マイクロミラー120は、矩形体Dを区画する4つの側壁面121〜124の内の側壁面121、122に形成されて、直角に折れた2面コーナーリフレクタ(光の鏡面反射が起こる反射面)になっている。
一方、鏡面仕上げが行われた側壁面121、122のそれぞれに対向する側壁面123、124では、光の多重散乱による迷光を抑制する観点から反射不能な面に仕上げるか、あるいは、これらの側壁面123、124を素子面(図示せず)に対して直角とならないよう傾けて形成して、鏡面と平行にならないようにするとよい。
また、画素領域(図6では図示せず)の形成では、矩形体Dの間の2方向に延びるストライプ状の空間に適宜の充填部材(図示せず)で埋めて、この充填部材の表面上に、有機EL素子などの発光素子(画素)を配列させるとよい。
本発明は、光学素子のマイクロミラーによって3次元の鏡映像(実像)を再現する際に、この鏡映像(実像)と重畳的に1以上の映像を表示できるディスプレイシステムを提供する。
よって、本発明は、エンターテイメント立体映像、立体映像によるミュージアムでの展示、立体映像による商品広告などの様々な用途に利用できる。
10、110 基板
20、120 2面コーナーリフレクタ(マイクロミラー)
41 電極(陰極)
42 電子輸送層
43 発光層
44 正孔輸送層
45 電極(陽極)
46 ガラス基板
50 表示パネル
50A 虚像
51 ハーフミラー
100、101、102 ディスプレイシステム
B 青色発光素子
G 緑色発光素子
D 矩形体
H 光学的な穴
O 被投影物
P 鏡映像(空中像)
P1 平面映像
R 赤色発光素子
S 素子面
S1 マイクロミラー領域
S2 画素領域
X、XX 光学素子

Claims (3)

  1. 素子面に対して立設する複数のマイクロミラーによって光の鏡面反射が起こる光学素子を備え、
    前記光学素子の裏面側の空間に配された被投影物から発せられた光が前記素子面を透過する際に、前記光の鏡面反射により、前記光学素子の表面側の空間に前記被投影物の実像を結像でき、前記被投影物の実像と重畳的に1以上の映像を表示できる映像表示手段を更に備えるディスプレイシステムにおいて、
    前記映像表示手段は、複数の画素が配列された画素領域を備え、
    前記マイクロミラーのそれぞれが、前記光学素子を構成する基板に垂直に形成された複数の光学的な穴の内壁面に設けられ、
    前記穴以外の前記基板の表面に対応する領域が、前記画素領域に用いられ、
    前記画素領域内の前記複数の画素によって構成される平面画像が、前記被投影物の実像と重畳的に表示されるディスプレイシステム
  2. 前記素子面を平面視した場合、前記画素領域は、矩形状の前記光学的な穴の、互いに直交する幅方向に沿ってストライプ状に延びており、
    前記画素領域の延在方向において、異なる色の前記画素が、交互に配列されている請求項に記載のディスプレイシステム。
  3. 前記映像表示手段は、表示画面が前記光学素子と対向するように配された表示パネルと、前記表示パネルと前記光学素子との間の空間に配されたハーフミラーと、を備え、
    前記表示パネルの虚像が、前記被投影物の実像と重畳的に表示される請求項1または2に記載のディスプレイシステム。
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