JP5282872B2 - 銃の伸縮式銃床 - Google Patents

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本発明は、銃床の長さを変更可能な伸縮式銃床に関する。
従来、銃床の長さを変更可能な伸縮式銃床は、特許文献1,2に記載のように、前端部を銃の機関部に装着可能な銃床前部体(支持筒)に後方に開口する前後方向の嵌挿孔を設け、その嵌挿孔に銃床後部体の挿入杆(支持ロッド)を前後方向へ移動可能に挿入し、挿入杆(支持ロッド)を嵌挿孔に所定量挿入することで銃床長さを変更するようにしたものが知られている。そして、特許文献1では、銃床後部体に備えた操作部材の移動によって作動する一対の係合ピンを挿入杆の前端部に設け、前記一対の係合ピンを係脱させる一対のピン嵌合孔を嵌挿孔の前後方向に複数設け、挿入杆を嵌挿孔に所定量挿入させ、一対の係合ピンを一対のピン嵌合孔に係合させることで、銃床前部体の嵌装孔に所定量挿入させた挿入杆を固定するようになっている。また、特許文献2では、支持筒の後端部に螺合された螺子を支持ロッドに形成された係止溝に係合させることで、支持筒に所定量挿入させた支持ロッドを固定するようになっている。
特開2008−8525号公報 米国特許第6560911号明細書
上記の特許文献1では、挿入杆に設けた一対の係合ピンに係合した操作棒を銃床後部体に備えた操作部材によって前後移動させるようになっている。ところが、操作棒と操作部材とをボルト部材で連結する構成のため、銃の落下等による衝撃が繰り返されるとボルト部材が緩んでしまい操作部材から操作棒が外れ、確実に一対の係合ピンを作動させることができないおそれがあった。また、一対の係合ピンを挿入杆の前端部に形成したカム溝に沿って移動させるために、カム溝が磨耗することで係合ピンを滑らかに移動させることが出来ず、銃床の長さの変更が速やかに行えないおそれがった。特許文献2では、螺子を係止溝に係合させるので、上記同様、銃の落下等による衝撃が繰り返されると螺子が緩んでしまい支持ロッドが移動してしまうおそれがあった。また、螺子が支持筒の外側に備えてあるので螺子が破損しやすく、銃床の長さの変更が行えないおそれがあった。
そこで本発明の課題は、上記問題点に鑑み、簡単な構成で、銃の落下等による衝撃が繰り返されても確実に銃床前部体に銃床後部体を固定するようにした銃の伸縮式銃床を提供することを目的とする。
本発明は、前端部を銃の機関部に装着可能な銃床前部体に後方に開口する前後方向の嵌挿孔を設け、その嵌挿孔に銃床後部体の挿入杆を前後方向へ移動可能に挿入し、挿入杆を嵌挿孔に所定量挿入した状態で挿入杆を銃床前部体に固定するようにしてある銃の伸縮式銃床において、前記挿入杆に前後方向に間隔をあけて複数のピン嵌合孔を設け、その挿入杆には前方に開口する前後方向の収納孔が設けられ、銃床前部体の嵌挿孔端面と収納孔端面との間にバネ部材を介在させ、銃床前部体に設けたピン孔に前記ピン嵌合孔に係合する係合ピンを嵌挿し、銃床前部体には前記係合ピンを手動によりピン孔に沿って移動させるレバー部材を備え、嵌挿孔に所定量挿入した挿入杆のピン嵌合孔にレバー部材の揺動により係合ピンを係脱させ、係合ピンの係合状態が解除された挿入杆を、前記バネ部材により後方へ移動させるようにしたことを特徴とする。
本発明では、挿入杆に前後方向に間隔をあけて複数のピン嵌合孔を設け、その挿入杆には前方に開口する前後方向の収納孔が設けられ、銃床前部体の嵌挿孔端面と収納孔端面との間にバネ部材を介在させ、銃床前部体に設けたピン孔に前記ピン嵌合孔に係合する係合ピンを嵌挿し、銃床前部体には前記係合ピンを手動によりピン孔に沿って移動させるレバー部材を備え、嵌挿孔に所定量挿入した挿入杆のピン嵌合孔にレバー部材の揺動により係合ピンを係脱させ、係合ピンの係合状態が解除された挿入杆を、前記バネ部材により後方へ移動させるようにしたことで、銃の落下等による衝撃が繰り返されても、係合ピンに係合したレバー部材により確実に係合ピンを移動させることが可能となる。また、レバー部材の作動により係合ピンがピン孔に沿って移動することから、レバー部材と係合ピンとの係合部分が磨耗しても係合ピンをピン孔に沿って移動させることが可能となる。更に、銃床前部体の嵌挿孔と挿入杆の収納孔との間にバネ部材を介在させ、バネ部材により銃床後部体が後方へ移動するので銃床後部体を前方へ移動させるだけでよく、速やかに銃床の長さを変更することが可能となる。
図1に示す銃の伸縮式銃床1は、前端部を図示しない銃の機関部に装着可能な銃床前部体2と、銃床前部体2に前後方向へ伸縮可能に装着される銃床後部体3とから成る。銃床前部体2について説明する。銃床前部体2には後方に開口する前後方向の嵌挿孔4が設けられている。また、銃床前部体2には、前端部に図示しない機関部の嵌合部に嵌合可能な嵌合凹部5が形成され、嵌合凹部5と嵌挿孔4との間の仕切壁6に取付ねじ7が抜け止めされた状態で回転自在に保持されている。銃床前部体2の後端部には、下方に突起するように突起部8が形成され、その突起部8に前記嵌挿孔4に開口する上下方向のピン孔9が設けられている。そのピン孔9には突起部8下面に開口する貫通孔10が連設されている。ピン孔9には後述するピン嵌合孔24に係脱させる係合ピン11が嵌挿されている。係合ピン11は係合部体12と軸部13とから成り、前記貫通孔10を介して突起部8の外方に軸部13先端が突出している。また、係合部体12とピン孔9下面との間に第1バネ部材14を介在させ、バネ力により係合ピン11の係合部体12先端が嵌挿孔4内側に突出するようになっている。
次に銃床後部体3について説明する。銃床後部体3は、周知の形状に形成されている樹脂製または金属製の肩当本体15と、その肩当本体15から前方へ突設されている樹脂製または金属製の挿入杆16とで構成されている。肩当本体15は、複数の装着孔17aを有すると共に中心部に取付孔17bを有する硬質樹脂製の基板17と、基板17の後側に装着孔17aを用いて一体に装着されている軟質樹脂製の肩当部材18と、基板17の前側に取付孔17bに挿入された取付ねじ19によって取着されている樹脂製の肩当前部材20とで構成されている。肩当前部材20の両側の中間部側壁には係止窓20aが形成され、これらの係止窓20aにねじ孔21aを備えた金属製の取付金具21が抜止状態に架設され、取付金具21のねじ孔21aに取付ねじ19が螺合されて肩当前部材20が基板17に固着されている。前記挿入杆16には、前方に開口する前後方向の収納孔22が設けられている。挿入杆16に形成された長溝23内に前後方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4個)のピン嵌合孔24が設けられている。銃床前部体2の嵌挿孔4に挿入された挿入杆16の収納孔22端面と前記嵌挿孔4端面(仕切壁6)との間に第2バネ部材25を介在させ、バネ力により挿入杆16(銃床後部体3)を後方へ移動させるようになっている。尚、本実施形態では前記バネ部材25の一方は取付ねじ7の頭部7aに支持されている。
銃床前部体2には、前記係合ピン11を手動によりピン孔9に沿って移動させる操作手段26が備えられている。その操作手段26は、銃床前部体2に備えた軸部材27に軸支されたレバー部材28である。レバー部材28は、突起部8を覆うように左右両側を上方に突出させ、縦断面がへの字形状となるようにしたものであり、一方には前記係合ピン11の軸部材13を貫通させる長孔である係合孔29が設けられている。その係合孔29を貫通した係合ピン11の軸部材13に抜け止め部材30を取付けることで、係合ピン11とレバー部材28が係合されている。よって、操作手段26のレバー部材28を作動して一方を下方(図3の状態)へ揺動すると、係合ピン11がバネ力に抗して下方へ移動するので、係合ピン11の係合部体12が嵌挿孔4からピン孔9内に移動する。また、レバー部材28を作動して一方を上方(図2の状態)へ揺動すると、係合ピン11がバネ力により上方へ移動するので、係合ピン11の係合部体12がピン孔9内から嵌挿孔4内に移動するようになっている。また、レバー部材28を作動して一方を下方へ揺動したときに、図3に示すように、係合ピン11の係合部体12の先端部が前記長溝23から離脱しないように抜け止め部材30の取付位置が調整されている。更に、銃の落下等によってレバー部材28の他方が地面等にある凸部(図示しない)に当接しても、レバー部材28の一方が下方へ揺動しないように第1バネ部材14のバネ力が決められている。
次に、上記構成の伸縮式銃床1の作動について説明する。伸縮式銃床1(以下銃床という)は、銃床前部体2の前端部の嵌合凹部5を図示しない銃の機関部の嵌合部に嵌合させて取付ねじ7によって銃床前部体2が銃の機関部に固着されている。
図2の状態から銃床1の長さを変更するために、銃を所持している者が銃床後部体3の肩当本体15を肩に当てた状態で、銃を支えた手と異なる手により操作手段26のレバー部材28を作動して一方を下方へ揺動させ、係合ピン11をバネ部材14のバネ力に抗して下方に移動させる。すると、銃床後部体3の挿入杆16のピン嵌合孔24と係合ピン11との係合状態が解除されると共に、第2バネ部材25により挿入杆16が後方へ移動することになる。こうして銃床前部体2に対して銃床後部体3が前後方向に移動可能となるので、銃を所持している者は適した銃床1の長さとなるように銃床後部体3を前方へ移動させる(図3の状態)。本発明では、第2バネ部材25により銃床後部体3が後方へ移動するので銃床後部体3を前方へ移動させるだけでよく、速やかに銃床1の長さを変更することが可能となる。また、挿入杆16に設けた長溝23と係合ピン11との係合状態により銃床後部体3が銃床前部体2から外れないようになっている。その後、適した銃床1の長さとなると、前記した手により操作手段26のレバー部材28を作動して一方を上方へ揺動させ、係合ピン11がバネ力により上方へ移動して係合ピン11の係合部体12が挿入杆16のピン嵌合孔24に係合するので、挿入杆16を嵌挿孔4に所定量挿入した状態で挿入杆16を銃床前部体2に固定することができる。
従って、銃の落下等による衝撃が繰り返されても、従来のように、係合ピン11を作動させる複数の部品の係合状態が解除されることなく、係合ピン11に係合したレバー部材28により確実に係合ピン11を移動させることができる。また、レバー部材28の作動により係合ピン11がピン孔9に沿って移動することから、レバー部材28と係合ピン11との係合部分が磨耗しても係合ピン11をピン孔9に沿って移動させることができる。更に、銃床前部体2に設けたピン孔9に嵌挿した係合ピン11を挿入杆16のピン嵌合孔24に係合させるようにしたので、従来のように、螺子が緩むことで支持ロッドが移動してしまうことがないから、確実に銃床前部体2に銃床後部体3を固定することができる。また、係合ピン11が銃床前部体2に設けたピン孔9に嵌挿されているので、従来のように係合ピン11が破損することがないから、確実に銃床1の長さを変更することができる。
本発明の銃の伸縮式銃床を示す図である。 図1の伸縮式銃床の縦断面図である。 レバー部材を作動し、銃床後部体を前方へ移動させた状態を示す図である。 図1のIV視図である。
符号の説明
1 伸縮式銃床
2 銃床前部体
3 銃床後部体
4 嵌挿孔
9 ピン孔
11 係合ピン
16 挿入杆
22 収納孔
24 ピン嵌合孔
25 第2バネ部材
26 操作手段
27 軸部材
28 レバー部材

Claims (1)

  1. 前端部を銃の機関部に装着可能な銃床前部体に後方に開口する前後方向の嵌挿孔を設け、その嵌挿孔に銃床後部体の挿入杆を前後方向へ移動可能に挿入し、挿入杆を嵌挿孔に所定量挿入した状態で挿入杆を銃床前部体に固定するようにしてある銃の伸縮式銃床において、前記挿入杆に前後方向に間隔をあけて複数のピン嵌合孔を設け、その挿入杆には前方に開口する前後方向の収納孔が設けられ、銃床前部体の嵌挿孔端面と収納孔端面との間にバネ部材を介在させ、銃床前部体に設けたピン孔に前記ピン嵌合孔に係合する係合ピンを嵌挿し、銃床前部体には前記係合ピンを手動によりピン孔に沿って移動させるレバー部材を備え、嵌挿孔に所定量挿入した挿入杆のピン嵌合孔にレバー部材の揺動により係合ピンを係脱させ、係合ピンの係合状態が解除された挿入杆を、前記バネ部材により後方へ移動させるようにしたことを特徴とする銃の伸縮式銃床。
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