JP5282356B2 - 分光データ分類方法、分光データ分類装置、並びに分光データ分類プログラム - Google Patents
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先ず、可視光波長領域にわたり、透過波長帯の異なる複数の狭帯域フィルタを用いて順次撮影を行う分光画像撮影技術が広く知られている。この方法では、単色の画像入力機器を使用し、画像入力機器、または照明光源の前面に狭帯域フィルタを順次設置しながら撮影することにより、数十チャンネルの画像を取得し、そこから被写体の分光反射率の推定を行う。しかしながら、この方法では、狭帯域フィルタを用いるため画像入力機器に入射する光量が不足すること、あるいは、画像入力時に使用する照明光の光量を増やすと、光や熱が被写体に悪影響を及ぼす可能性があることが問題となっていた。
<1.低次元線形モデル>
先ず、分光データの低次元線形モデルについて説明する。計算の便宜上、分光データを離散データとして扱い、例えば、可視光域380nmから730nmの範囲において10nm間隔でサンプリングした場合、分光データrは式(1)の形で36次元ベクトルとして表現することができる。
式(2)における基底ベクトルbiは、分光反射率データrと同じ範疇に属する複数の分光データから、主成分分析等の手法によって算出する。例えば、分光データrが印刷物のある一つの色の分光反射率を表す場合、biの算出には、その印刷物と同じ紙、同じインクで印刷された複数の色の分光反射率データを用いる。
式(2)による分光データの低次元近似を十分な精度で行うためには、基底ベクトルの算出に使用する複数の分光データが、近似対象となる分光データと同じ範疇に属することが重要となる。しかしながら、範疇を細分化しすぎると、膨大な数の基底ベクトル群が生じ、データ管理が煩雑なものとなってしまうと同時に、利用者にとっては、ある対象物に対してどの基底ベクトル群を選択すれば良いか分かり難いものとなってしまう。この問題を解決するためには、同一の基底ベクトル群を使用しても近似精度が損なわれない複数の範疇については、範疇を統合し、範疇を必要かつ十分な数に分類すればよい。以下に、その分類方法について詳細に説明する。
次に、図1および図2を参照し、複数の異なる範疇に対して導出した低次元線形モデルの分類について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る分光データ分類装置の構成を示すブロック図である。図2は、本発明の実施の形態に係る分光データ分類装置の動作を示すフローチャートである。図1に示す分光データ分類装置、図2に示すフローチャートにおいては、簡単のため、2つの範疇を統合するか否かの判定方法を示しているが、分類する範疇の数が3以上の場合には、それぞれの範疇について他のいずれかの範疇と統合できるかどうかの判定を統合できる範疇が無くなるまで繰り返すことにより、範疇の分類を行うことができる。
本実施の形態の分光データ分類装置は、図1に示すように、複数の分光データ1、分光データ特徴抽出手段2、範疇一致度算出手段3および範疇分類手段4を備えている。
複数の分光データのうちの一方の分光データ1は範疇Aに属する分光データ、他方の分光データ1は範疇A’に属する分光データである。
分光データ特徴抽出手段2は、一つの範疇に含まれる複数の分光データから、分光データを特定の次元の線形結合で表現するための分光空間における基底関数をその範疇に含まれる分光データの特徴として算出する。
範疇一致度算出手段3は、複数の範疇のそれぞれについて、分光空間内で基底関数によって決定される部分空間を算出し、それぞれの部分空間が成す角度に基づき、範疇間の一致度を算出する。
範疇分類手段4は、範疇間の一致度に基づき、複数の範疇を同一範疇に統合するか、または異なる範疇とするかを決定する。
ステップs1においては、主成分分析により、n個の基底ベクトルから成る基底ベクトル群を導出する。図2の例では、範疇Aに属する分光データから基底ベクトル群(v1、v2、・・・、vn)を導出し、範疇A’に属する分光データから基底ベクトル群(v1’、v2’、・・・、vn’)を導出している。
続くステップs2においては、基底ベクトル群(v1、v2、・・・、vn)により規定される波長空間内の部分空間と、基底ベクトル群(v1’、v2’、・・・、vn’)により規定される部分空間との一致度を、式(3)により算出する。
ステップs3では、二つの部分空間の一致度の評価を行う。分光データの測定誤差等の影響で、一致度aが完全に0になることは稀である。そこで、ここでは一致度aの許容誤差をathresholdとし、一致度aがathreshold以上であるかどうかの判定を行う。なお、athresholdの値としては、求める低次元線形モデルの近似精度に応じて、0.95や0.98等の数値を適切に設定する。
一致度aがathreshold以上であれば、範疇Aに属する分光データと範疇A’に属する分光データは分光空間内でほぼ同一の部分空間内に存在し、従って同一の基底ベクトル群を使用することができるものと判断し、ステップs4において両範疇を統合して、ひとつの範疇とする。
マルチバンド撮影では、被写体をデジタルスチルカメラで撮影する際に、4チャンネル以上の画像データを取得する。チャンネル数をmとしたとき、ある画素におけるカメラのセンサ応答値d1、d2、・・・、dmは、式(4)で表される。
Claims (6)
- 物体の分光反射率や照明光源の分光強度等の分光データを特徴毎に分類する分光データ分類方法であって、
一つの範疇に含まれる複数の分光データから、分光データを特定の次元の線形結合で表現するための分光空間における基底関数をその範疇に含まれる分光データの特徴として算出する分光データ特徴抽出ステップと、
複数の範疇のそれぞれについて、分光空間内で基底関数によって決定される部分空間を算出し、それぞれの部分空間が成す角度に基づき、範疇間の一致度を算出する範疇一致度算出ステップと、
範疇間の一致度に基づき、複数の範疇を同一範疇に統合するか、または異なる範疇とするかを決定する範疇分類ステップと、を有し、
前記分光データ特徴抽出ステップでは、前記特定の次数と同数の範疇からそれぞれ前記基底関数を算出し、
前記範疇分類ステップでは、範疇間の一致度が所定値以上の場合に複数の範疇を同一範疇に統合し、前記所定値は前記特定の次元の次数に基づいて決定することを特徴とする分光データ分類方法。 - 前記分光データ特徴抽出ステップは、分光データが印刷物の分光反射率である場合、前記印刷物と同等な紙、同等なインクで印刷された複数の色についての分光反射率データから、前記基底関数を算出することを特徴とする請求項1記載の分光データ分類方法。
- 物体の分光反射率や照明光源の分光強度等の分光データを特徴毎に分類する分光データ分類装置であって、
一つの範疇に含まれる複数の分光データから、分光データを特定の次元の線形結合で表現するための分光空間における基底関数をその範疇に含まれる分光データの特徴として算出する分光データ特徴抽出手段と、
複数の範疇のそれぞれについて、分光空間内で基底関数によって決定される部分空間を算出し、それぞれの部分空間が成す角度に基づき、範疇間の一致度を算出する範疇一致度算出手段と、
範疇間の一致度に基づき、複数の範疇を同一範疇に統合するか、または異なる範疇とするかを決定する範疇分類手段と、を有し、
前記分光データ特徴抽出手段は、前記特定の次数と同数の範疇からそれぞれ前記基底関数を算出し、
前記範疇分類手段は、範疇間の一致度が所定値以上の場合に複数の範疇を同一範疇に統合し、前記所定値は前記特定の次元の次数に基づいて決定することを特徴とする分光データ分類装置。 - 前記分光データ特徴抽出手段は、分光データが印刷物の分光反射率である場合、前記印刷物と同等な紙、同等なインクで印刷された複数の色についての分光反射率データから、前記基底関数を算出することを特徴とする請求項3記載の分光データ分類装置。
- 物体の分光反射率や照明光源の分光強度等の分光データを特徴毎に分類する分光データ分類装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
一つの範疇に含まれる複数の分光データから、分光データを特定の次元の線形結合で表現するための分光空間における基底関数をその範疇に含まれる分光データの特徴として算出する分光データ特徴抽出処理と、
複数の範疇のそれぞれについて、分光空間内で基底関数によって決定される部分空間を算出し、それぞれの部分空間が成す角度に基づき、範疇間の一致度を算出する範疇一致度算出処理と、
範疇間の一致度に基づき、複数の範疇を同一範疇に統合するか、または異なる範疇とするかを決定する範疇分類処理と、を有し、
前記分光データ特徴抽出処理では、前記特定の次数と同数の範疇から前記基底関数を算出し、
前記範疇分類処理では、範疇間の一致度が所定値以上の場合に複数の範疇を同一範疇に統合し、前記所定値は前記特定の次元の次数に基づいて決定することを特徴とする分光データ分類プログラム。 - 前記分光データ特徴抽出処理は、分光データが印刷物の分光反射率である場合、前記印刷物と同等な紙、同等なインクで印刷された複数の色についての分光反射率データから、前記基底関数を算出することを特徴とする請求項5記載の分光データ分類プログラム。
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JP2006224948A JP5282356B2 (ja) | 2006-08-22 | 2006-08-22 | 分光データ分類方法、分光データ分類装置、並びに分光データ分類プログラム |
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