JP5282282B2 - 内側絨毛膜由来の間葉系幹細胞 - Google Patents

内側絨毛膜由来の間葉系幹細胞 Download PDF

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本発明は、胎児付属物のひとつである内側絨毛膜由来の間葉系幹細胞、およびその分離方法、並びに内側絨毛膜由来間葉系幹細胞を含む再生医療用材料に関する。
再生医療・再生医学における治療では、幹細胞を用いることが広く検討されている。生体内にはさまざまな幹細胞が存在している。幹細胞は、再生および分化の双方の能力を有する細胞集団である。これらの細胞は、正常な細胞の老化や損傷などにより失われた細胞や組織などの補充に利用することができる。間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell、以下「MSC」ともいう。)は骨、軟骨、脂肪、筋等に分化能を有し、更に心筋、神経、皮膚、肝臓等にも分化可能である。MSCは、骨髄間質に存在する多分化能を有する細胞として知られていたが、近年では胎盤などの胎児付属物にも存在することが知られている。
胎児組織は、その多様性、増殖能のため、ヒトに対してヒト胎児由来の細胞を利用することは免疫原性の問題がないために自家移植片移植および同種移植片移植、および組織再生医療工学研究のために過去に使用されてきた。例えば、羊膜から作製した移植片、並びにそのような移植片を外科で分離、保存および使用する方法について開示がある(特許文献1)。ここでは、胎児付属物のうち、羊膜を分離し、溶液中で凍結および解凍する間に羊膜上の細胞を死滅させて、羊膜自体を再生医療に利用している。
胎児組織由来の幹細胞を得るために、絨毛膜絨毛、羊水および胎盤に由来する多能性ヒト胎児由来幹細胞を取得する方法が開示されている(特許文献2)。本文献ではこれらの細胞をフローサイトメトリーによりc-kit陽性細胞を選択することで、c-kit陽性幹細胞を取得している。ここで、c-kit受容体タンパク質は、CD117としても知られており、造血幹細胞、マスト細胞、生殖細胞、メラノサイト、ある種の基底上皮細胞、胸部の管腔上皮、および胃腸間のCajalの間質細胞において構成的に発現される(特許文献2)。
胎児付属物由来幹細胞は、胎盤などの胎児付属物である組織を細切し、トリプシンやコラゲナーゼ等の、細菌や家畜由来の分解酵素を用いて調製していた(非特許文献1、2)。しかしながら、細菌や家畜由来の分解酵素を用いる方法では経済的ではなく、更に得られた幹細胞をヒトの再生医療に用いる場合には、安全性の面で問題があった。また、これらの方法により取得した幹細胞は胎児付属物を細切し、胎児付属物の内容物を混合した状態から分離するので、例えば羊膜や絨毛膜などの構成物に特異的な効果のある幹細胞を取得することはできなかった。
特表2002−515899号公報 特表2005−509422号公報 Cytotherapy Vol.6, No.6, 543-553 (2004) Biochemical and Biophysical Communications 340, 944-952 (2006)
本発明は、胎児付属物由来であって、安全性が高く再生医療に適したMSCを提供することを課題とし、さらに経済的なMSCの取得方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、羊膜と絨毛膜を分離し、前記分離して得た絨毛膜を、羊膜に面していた部分を基材に向けて培地とともに基材上に配置することで、組織を細切することも、分解酵素も用いることなくMSCを効果的に取得できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下よりなる。
1.胎児付属物由来であり、胎児付属物の一種である絨毛膜と羊膜を分離し、該絨毛膜を基材上で培養した後、分解酵素を用いることなく得られる絨毛膜由来のMSC。
2.さらに、前記分離して得た絨毛膜を、羊膜側に面していた部分を基材表面に向けて培地とともに基材上に配置し、培養することにより得られる、前項1に記載のMSC。
3.前記基材上に配置した絨毛膜を37±1℃で少なくとも3日間培養し、その後絨毛膜を基材から剥離することで前記基材上に分離される前項2に記載のMSC。
4.MSCが、CD117(-)である前項1〜3のいずれか1に記載のMSC。
5.以下の工程を含む胎児付属物由来のMSCの分離方法:
1)胎児付属物の一種である卵膜から、絨毛膜と羊膜を分離する工程;
2)前記分離して得た絨毛膜のうち、羊膜側に面していた部分を基材に向けて配置し、培養する工程。
6.前記2)の培養する工程が、37±1℃で少なくとも3日間培養する工程であり、その後、前記絨毛膜を基材から剥離して基材上に残存したMSCを分離・培養する工程を含む、前項5に記載のMSCの分離方法。
7.前項1〜4のいずれか1に記載のMSCを有効成分として含むことを特徴とする再生医療用材料。
本発明の内側絨毛膜由来のMSCは、従来の胎児付属物由来のMSCに比べ、トリプシンやコラゲナーゼ等の細菌や家畜由来の分解酵素を用いることなく分離して得られたものであるので、細菌や家畜由来に起因する不純物が混入するおそれがなく、安全性が高いものである。さらに、このような分解酵素を用いることなく分離して得られたものであるので、経済的に優れたMSCということができる。本発明の内側絨毛膜由来MSCは、羊膜や外側絨毛膜由来のMSCに比べ、再生医療の材料として必要なHGFやIGF−1の存在が有意に高いことが確認された。これにより、本発明のMSCは、再生医療の材料として非常に優れたものということができる。
本発明において胎児付属物とは、いわゆる当業者により認識されているものをいい、具体的には卵膜、胎盤、臍帯および羊水をいう。胎児付属物の一種である卵膜は、胎児の羊水を含む胎嚢で、脱落膜、絨毛膜および羊膜からなる。これらのうち絨毛膜は、脱落膜と羊膜の間にあり、羊膜と共に胎児に属する。羊膜は、卵膜の最内層にある血管に乏しい透明薄膜で、内壁は分泌機能のある1層の上皮細胞で覆われ羊水を分泌する。絨毛膜のうち、羊膜側に面しているものを内側絨毛膜といい、羊膜側に面していない部分を外側絨毛膜という。
本発明の絨毛膜由来MSCは、より詳しくは内側絨毛膜由来MSCである。本発明において、MSCは分解酵素を用いずに取得することができる。ここにおいて、胎児付属物からの卵膜の分離は、自体公知の方法に従うことができる。
得られた卵膜は、一般的に用いられる緩衝液、例えばPBS(−)溶液を用いて複数回洗浄することができる。複数回洗浄した卵膜は、容器内で上記緩衝液に浸し、室温で羊膜と絨毛膜とを分離可能な状態までおくことで、羊膜と絨毛膜を分離することができる。分離は、例えばピンセットを用いて羊膜を剥がす等の方法により達成される。前記卵膜から絨毛膜を分離する段階では、分解酵素を用いる必要はない。
上記により得られた絨毛膜から、本発明のMSCを取得することができる。得られた絨毛膜を、羊膜側、すなわち内側絨毛膜の側を基材面に向けて配置し、培養する。絨毛膜からMSCを効果的に取得するために、前記絨毛膜を0.5〜2.0cm角の大きさに切断しても良い。切断することにより、絨毛膜の切断面面積が増加し、より効果的にMSCを得ることができる。しかしながら、従来法のように、絨毛膜をミンチ状態に細切する必要はない。絨毛膜をミンチ状に細切すると、羊膜側に接していた部分を基材上に効果的に配置することが困難となるからである。ここにおいて、基材とは、細胞培養可能な材質であれば良く特に限定されないが、自体公知の基材を用いることができる。例えば、市販されている細胞培養ディッシュなどが好適に用いられる。
前記基材上に配置した絨毛膜は、基材上で培地を用いて培養することができる。ここにおいて、培地とは絨毛膜由来の細胞を培養可能な培地であれば良く、特に限定されないが、例えば市販の培地に10%v/vの胎児ウシ血清(FCS)を加えたものを用いることができる。さらに、ペニシリンやストレプトマイシンなどの抗生物質を加えても良い。培地は、内側絨毛膜の基材への接触部分が逆転しないように、基材を含む容器内に静かに注ぐことが好ましい。配置した絨毛膜は、温度37±1℃で少なくとも3日間培養することができる。少なくとも3日間培養することで、基材表面に細胞が付着するのを観察することができる。培地は、必要に応じて、適宜交換することができる。
基材表面に細胞が付着することが観察された後、基材上に配置した絨毛膜を剥がすことができる。絨毛膜を剥がした後、基材表面で培養される細胞を、本発明のMSCということができる。絨毛膜を除去した後、培養液の交換は2〜3日毎、特に3日毎に行うのが好ましい。本発明のMSCの性質は、自体公知の方法により確認することができる。例えば、細胞に発現される表面抗原を観察することで、本発明の細胞の特質を詳しく分析することができる。細胞の表面抗原としては、特に制限されないが、例えばCD14, CD31, CD34, CD45, HLA-ABC, HLA-DR, CD29, CD44, CD90, CD117などを調べることができる。ここにおいて、CD117はc-kit受容体タンパク質としても知られている。本発明により得られたMSCは、CD117(-)であり、特許文献2に記載の幹細胞とは、明確に区別される。
本発明は、絨毛膜由来のMSCの他、該絨毛膜由来のMSCの取得方法にも及ぶ。さらに、本発明のMSCは、血管、心筋、骨、軟骨、脂肪、皮膚、神経、骨格筋、肝臓および/または腎臓などの間葉系器官に分化可能であるため、これらの器官の再生に利用することができ、特に骨形成、脂質形成のための再生医療用材料として利用することができる。したがって、本発明は、絨毛膜由来MSCを含む再生医療用材料にも及ぶ。
以下に従来技術により得られた羊膜、内側絨毛膜および外側絨毛膜の三膜由来のMSCの表面抗原および分化能を調べた結果を記載する。
例えばBiochemical and Biophysical Communications 340, 944-952 (2006)(非特許文献2)に記載された方法により得た、羊膜、内側絨毛膜および外側絨毛膜の三層膜由来のMSCについて、表面抗原を調べた。各種表面抗原について、蛍光活性化細胞分類(FACS Calibur、ベクトン・ディキンソン社製)を用いてフローサイトメトリー分析を行った。
上記方法により得られたMSCを3回継代培養したものを、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)若しくはフィコエリトリン(PE)を付加した各抗ヒト抗原マウスモノクローナル抗体(CD14(クローンM5E2)、CD29(クローンMAR4)、CD31(クローンWM59)、CD34(クローン581)、CD44(クローンG46-26)、CD45(クローンHI30)、CD90(クローン5E10)、CD117(クローンYB5.B8)、HLA-ABC(G46-2.6)またはHLA-DR(クローンG46-6(L243)(ベクトン・ディキンソン販売))とともに培養した。アイソタイプの抗体をコントロールとした。
上記MSCについては、CD29、CD44、CD90およびHLA-ABCの各表面抗原が陽性であったが、CD14、CD31、CD34、CD45、CD117およびHLA-DRは、ネガティブコントロールと同等であった。これにより、本発明の内側絨毛膜由来MSCについても、CD14、CD31、CD34、CD45、CD117およびHLA-DRについては、ネガティブコントロールと同等であるといえる。
次に、上述の三層膜由来のMSCの骨細胞への分化の確認を行った。
10%v/vFCSを含むα−MEM培地中に三層膜由来MSC(5×10個/ml)を懸濁したものを6ウェルプレートの各ウェルに2ml播種し、37℃にて約24時間、細胞が40〜50%コンフルエントとなるまで培養した。骨細胞への分化を誘導させるために、上記MSC(5×10個/ml)を骨形成促進剤(大日本住友製薬製)を含むα−MEM培地内で指示書に従って培養した。14〜17日培養後、細胞を固定し、アリザリンレッドS(シグマ製)で染色した。上記MSCのアリザリンレッドSの染色結果を図2に示した。その結果、濃い灰色で示す染色部分が認められ、上記MSCは骨細胞へ分化することが確認された。
更に、上述の三層膜由来のMSCの脂肪細胞への分化の確認を行った。
上記と同様に、10%v/vFCSを含むα−MEM培地中に三層膜由来MSCを6ウェルプレートに播種し、37℃にて約24時間、細胞が40〜50%コンフルエントとなるまで培養した。脂肪細胞への分化を誘導させるために、三層膜由来MSC(5×10個/ml)を、0.5mM 3-イソブチル-1-methylxanthine(和光純薬工業製)、1μMデキサメタゾン(和光純薬工業製)、50μMインドメタシン(和光純薬工業製)および10μg/mlのインシュリン(シグマ製)を含むα−MEM培地を用いて指示書に従って培養した。21日培養後、脂肪細胞はオイル・レッドO(シグマ製)で染色した。上記MSCのオイル・レッドOの染色結果を図3に示した。その結果、濃い灰色で示す染色部分が認められ、MSCは脂肪細胞へ分化することが確認された。
これにより、三層膜由来MSCは、骨細胞および脂肪細胞に分化しうることが確認された。
以下、本発明の理解を深めるために、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではないことはいうまでもない。
(実施例1)絨毛膜由来のMSC
胎児付属物由来卵膜は、インフォームドコンセントを得た妊婦の出産後の胎児付属物より分離して得た。
得られた卵膜10cm×10cmを容器にとり、20mlのPBS(−)で2〜3回洗浄した。卵膜を洗浄した後に、卵膜から羊膜が剥がれ始めるまで、室温で15分程度PBS(−)内に浸した。その後、羊膜をピンセットでつまんで剥離し、絨毛膜を分離した。
前記分離した絨毛膜を約1cm角に切り、該絨毛膜の羊膜に付着していた面を、基材(組織培養用ディッシュ底面)に向けて配置した。直径10cmのディッシュ1枚に対して、5〜7枚程度の絨毛膜を配置することができる。その後、10%v/vFCS含むα−MEM(α-Minimal Essential Medium)培地10mlを、絨毛膜の向きが反転しないようにディッシュ上に静かに加えた。その後すぐに培地を吸引し、10分間放置した。さらに、上述の培地を絨毛膜が剥がれないように静かに加え、5%COを含むインキュベーター内で、37℃で3日間培養した。
培養後、細胞がディッシュ上に接着しているのを確認したのち、絨毛膜をディッシュ表面から静かに剥がした。ディッシュ上の細胞を継続して培養し、3日毎に培地の交換も行った。得られた細胞を、MSCとして以下の実験に供した。
なお、以下の実験例で比較するために、羊膜および絨毛膜の羊膜に付着していた面とは反対側の面(外側絨毛膜)についても、同様にMSCを取得した。
(実験例1)酵素免疫アッセイ(ELISA)
実施例1の方法により得た、羊膜、内側絨毛膜および外側絨毛膜の各種膜由来のMSCについて、10%v/vFCSを含むα−MEM培地(完全培地)を用いて各MSCを培養した後の培養上清について、インシュリン様増殖因子−1(IGF−1)、肝細胞成長因子(HGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)および血管内皮成長因子(VEGF)の各種成長因子の分泌をELISAにより調べた。培養上清は24時間(各n=6)培養したMSCの完全培地から取得した。完全培地をコントロール(n=5)とした。成長因子の濃度は、ELISAキット(IGF−1、HGF、bFGF、VEGF(R&Dシステムズ製))を用いて指示書に従い測定した。
その結果、図4〜7に示すように、HGFおよびIGF−1は主として内側絨毛膜由来MSCから分泌され、VEGFおよびbFGFは、主として外側絨毛膜および羊膜由来MSCからそれぞれ分泌されることが確認された。これにより、内側絨毛膜由来のMSCは、再生医療用材料として優れていることが確認された。
(実験例2)TUNEL分析
実施例1の方法により得た、羊膜、内側絨毛膜および外側絨毛膜の各種膜由来のMSCについて、ターミナルデオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ(TdT)仲介dUTPニック末端ラベリング(TUNEL)法を用いて、血清奪取および/または酸素低下によって引き起こされる細胞のアポトーシスを評価した。
血管内皮細胞(HUVEC)(5×10個/ml)を、血清を奪取した無血清α−MEM培地またはMSC培養後の無血清培養上清に37℃で12時間さらした。また、ラット新生児の心筋細胞(5×10個/ml)についても低酸素圧(1%O)で、無血清培地またはMSC培養後の無血清培養上清に37℃で12時間さらした。HUVECおよびラット新生児の心筋細胞を1%のパラホルムアルデヒドで固定し、ApopTag蛍光・キット(Chemicon、Temecula製)を用いて指示書に従ってTUNEL分析を行った。その後、細胞を4'6-diamidino-2-フェニルインドール(DAPI)を含む培地にマウントした。
その結果、TUNEL陽性細胞はコントロール群に比べて各種MSCの培養上清群では減少傾向にあった。これによりMSCからの分泌タンパクによる細胞保護の可能性が示唆された。
(実験例3)カスパーゼ3(caspase-3)アッセイ
血管内皮細胞(1×10個/ml)をコラーゲンでコートした100mmのディッシュに播種し、20%v/vFCSを含む199培地内で、ラット新生児の心筋細胞(1×10個/ml)を、ラミニンをコートした60mmのディッシュに播種し、10%v/vFCSを含むα−MEM培地内で、各々37℃で24時間培養した。
血管内皮細胞(1×10個/ml)を無血清α−MEM培地または実施例1の方法により得た、羊膜、内側絨毛膜および外側絨毛膜の各種膜由来MSC(各n=8)培養後の無血清培養上清に37℃で12時間おいた。また、ラット新生児の心筋細胞(1×10個/ml)は、低酸素圧(1%O)で、無血清α−MEM培地または羊膜、内側絨毛膜および外側絨毛膜の各種膜由来MSC(各n=5)培養後の無血清培養上清に37℃で12時間おいた。
カスパーゼ3アッセイは、CaspACETM定量法(比色定量)キット(Promega社製)を用いて、指示書に従って測定した。
その結果、図9および10に示すように、内側絨毛各由来のMSCは、血管内皮細胞および心筋細胞についてカスパーゼ3活性が有意に低いことが確認された。これにより、内側絨毛各由来のMSCは、細胞保護作用に優れていることが確認された。
以上詳述したように、本発明の内側絨毛膜由来のMSCは羊膜や外側絨毛膜由来のMSCに比べ、再生医療の材料として必要なHGFやIGF−1の存在が有意に高いことが確認された。また、アポトーシスの指標となるカスパーゼ3活性が低いことより、細胞保護機能も優れていることが確認された。これにより、本発明のMSCは、再生医療の材料として優れていることが確認された。従って、本発明は再生医療の分野において効果的に使用することができる。
従来法によるMSCの各種表面抗原の観察を示す図である。 従来法によるMSCの骨分化能を示す図である。 従来法によるMSCの脂肪分化能を示す図である。 各種膜由来MSCのHGF分泌能を示す図である。(実験例1) 各種膜由来MSCのIGF−1分泌能を示す図である。(実験例1) 各種膜由来MSCのVFGF分泌能を示す図である。(実験例1) 各種膜由来MSCのbFGF分泌能を示す図である。(実験例1) ラットの血管内皮細胞および心筋細胞について、各種膜由来MSCを用いた場合のTUNEL分析結果を示す図である。(実験例2) ラットの血管内皮細胞について、各種膜由来MSCを用いた場合のカスパーゼ3測定結果を示す図である。(実験例3) ラットの心筋細胞について、各種膜由来MSCを用いた場合のカスパーゼ3測定結果を示す図である。(実験例3)

Claims (1)

  1. 以下の工程を含む胎児付属物由来の内側絨毛膜由来間葉系幹細胞の分離方法:
    1)胎児付属物の一種であり、絨毛膜と羊膜を含む卵膜を緩衝液に浸して室温におき、卵膜中の羊膜を剥がして、分解酵素を用いることなく絨毛膜と羊膜を分離する工程;
    2)前記分離して得た絨毛膜を絨毛膜片に切り、羊膜側に面していた部分を基材に向けて配置し、基材表面に細胞が付着するまで37±1℃で少なくとも3日間培養する工程;
    3)培養後、絨毛膜を基材から剥がし、基材上に残存した細胞を分離・培養する工程。
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