JP5280214B2 - 炎症性腸疾患の診断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炎症性腸疾患への罹患の有無および/または炎症性腸疾患の活動性を判定するための方法及び診断薬に関する。
炎症性腸疾患は、クローン病、潰瘍性大腸炎などを含む、消化管各部の慢性炎症または潰瘍の存在で特徴付けられる疾患である。
クローン病は、主として若年層に発症し、口腔より肛門に至るまでの消化管において炎症および潰瘍を生じる疾患で、回腸末端部が病変の好発部位である。腸の病変部は縦走潰瘍および敷石状変化よりなり、病変が非連続性に散在するのが特徴的である。クローン病の罹患率は世界的にも増加傾向にあり、日本においても近年は患者数が顕著に増加しており、その原因のひとつとして食生活の欧米化が関与するとされている。クローン病は、再燃・再発を繰り返し慢性の経過をたどり、完全な治癒は困難である。
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜から粘膜下層にかけてびらんや潰瘍が形成される大腸の炎症性疾患である。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最も重症例では病変部は直腸から結腸全体におよぶ。潰瘍性大腸炎の日本における平成14年度の特定疾患医療受給者証交付件数は77073件であり、患者数は毎年約5000人増加している。また、米国においては約100万人の患者が存在するといわれている。潰瘍性大腸炎も、クローン病と同様に完治は困難な疾患であり再燃と寛解を繰り返す。
したがって、炎症性腸疾患の治療にあたっては、症状が安定している時期(寛解期)を長く維持することが患者のクオリティオブライフ(QOL)の向上を図る上で非常に重要である。そのためには、患者の病態を的確に把握することが治療方針を立てる上で重要である。炎症性腸疾患の活動性を判定するための血液検査としては、数ある炎症マーカーのうち最も有用なものとして、急性期C反応性タンパク(CRP)、白血球数、赤血球沈降速度(赤沈)が従来より用いられている。しかし、CRPは強度の炎症においては上昇するが、中等度の炎症ではしばしば上昇が認められず活動性を把握するための感度が十分ではない(非特許文献1)。また、炎症性腸疾患の治療のために通常処方されるステロイド薬投与の影響を受け、炎症が存在するにも関わらず正常値程度にまで下がる傾向があり、寛解期に至ったか否かを判断できないため治療方針の策定に利用することができない。逆に、白血球数はステロイド薬の投与により増加するので(非特許文献2)、こちらも治療の指標とすることはできない。赤沈は最も古典的な炎症マーカーの1つであるが、炎症が起きてから亢進するまで、炎症が沈静化してから正常値に戻るまでに時間を要するため、タイムリーに病態を把握することができない。
血液検査以外の炎症性腸疾患の診断方法として、内視鏡検査、問診が行われている。内視鏡検査は、確実性は高いが、時間・費用を多く要し、また、症状が激しい活動期においては病状の悪化や合併症を誘発するおそれがあるため実施することができない。問診もまた疾患の活動性を把握する手段であるが、時間を要し、客観性にやや欠けるという欠点がある。炎症性腸疾患の活動性の把握は、現在は先に挙げた血液検査項目、内視鏡検査、問診を適宜組み合わせることにより行われているが、患者への負担が少なく、簡便で客観的な炎症性腸疾患の診断方法および活動性の指標が求められていた。
PTX3は、Pentraxin、Pentaxin、TSG−14、MPTX3とも呼ばれ、インターロイキン1(IL−1)刺激を受けたヒト臍帯内皮細胞に発現しているものとして発見されたペントラキシン(Pentraxin)ファミリーに属する分泌タンパク質である(非特許文献3)。
ペントラキシンファミリーはLong PentraxinとShort Pentraxinに大別される。炎症性タンパクとして知られているC reactive protein(CRP)やserum amyloid P component(SAP)はShort Pentraxinに属し、炎症により生じるIL−6に反応して肝臓で産生される。しかし、PTX3はCRPやSAPと異なりIL−6による誘導を受けないことが知られている(非特許文献3、4)。
PTX3は、局所の炎症や組織の障害により、IL−1やTNF−α等の炎症性サイトカインの誘導により種々の細胞で産生が上昇するとされているが(非特許文献3、4)、炎症性腸疾患において、患部にPTX3が存在すること、血中PTX3を測定し診断に利用できること、さらには活動性の判定に利用できることを示唆する文献は知られていない。
Vermeir et al.:Inflamm Bowel Dis.,10(5),661-5(2004) 今日の臨床検査2005-2006(第9版)南江堂、30-33(2005) Breviario et al.:J.Biol.Chem.,267(31),22190-7(1992) Domyaku Koka(Arteriosclerosis),24(7-8),375-80(1996)
本発明の目的は、炎症性腸疾患の有無および/または活動性を診断する方法を提供することにある。
本発明者らは、抗PTX3モノクローナル抗体を用いて血中及び病変部のPTX3濃度を測定し、その濃度と種々の疾患との関係について検討してきたところ、全く意外にも炎症性腸疾患において、病変部および血中にPTX3が増加することを見出し、また、炎症性腸疾患の活動性を示すスコア(IOIBD、メイヨースコア)とPTX3濃度を対比した結果、炎症性腸疾患の活動性とPTX3濃度との間に明確な相関関係を認めた。PTX3濃度の測定により炎症性腸疾患の有無および炎症性腸疾患の活動性を判定することができ、患者毎に適切な治療指針を決定することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、被検試料中のPTX3を測定することを特徴とする、炎症性腸疾患の有無および/または炎症性腸疾患の活動性判定方法を提供するものである。
また、本発明は、PTX3測定試薬を含有する炎症性腸疾患の有無および/または炎症性腸疾患の活動性の診断薬を提供するものである。
また、本発明は、PTX3測定試薬の、炎症性腸疾患の有無および/または炎症性腸疾患の活動性の診断薬製造のための使用を提供するものである。
本発明によれば、炎症性腸疾患の有無および/または炎症性腸疾患の活動性を簡便に短時間で診断することができる。炎症性腸疾患の活動性の診断は、寛解期と活動期の鑑別、再燃の早期把握、活動性の重篤度を把握することにより、適切な治療方針を策定するために有用である。
活動期または寛解期の潰瘍性大腸炎患者およびクローン病患者の血漿PTX3濃度の濃度を示す。Nは健常人、UC−Aは潰瘍性大腸炎(活動期)、UC−Nは潰瘍性大腸炎(寛解期)、CD−Aはクローン病(活動期)、CD−Nはクローン病(寛解期)を意味する。縦軸に血漿PTX3濃度をng/mLの単位で示す。 炎症性腸炎患者大腸の免疫組織化学染色の結果を示す。A:対照(二次抗体のみ)、B:抗PTX3抗体による免疫組織化学染色 A:潰瘍性大腸炎患者の血漿PTX3濃度と部分的メイヨースコア(partial Mayo score)との相関を示す。B:潰瘍性大腸炎患者の血清CRP濃度と部分的メイヨースコア(partial Mayo score)との相関を示す。 A:クローン病患者の血漿PTX3濃度とIOIBDスコアとの相関を示す。B:潰瘍性大腸炎患者の血清CRP濃度とIOIBDスコアとの相関を示す。
本発明において測定とは、定量的または非定量的な測定を含み、例えば、非定量的な測定としては、単にPTX3タンパク質が存在するか否かの測定、PTX3タンパク質が一定の量以上存在するか否かの測定、PTX3タンパク質の量を他の試料(例えば、コントロール試料など)と比較する測定などを挙げることができる。定量的な測定としては、PTX3タンパク質の濃度の測定、PTX3タンパク質の量の測定などを挙げることができる。なおPTX3遺伝子の塩基およびアミノ酸配列の情報はGenbank等の公共データベースより得ることができ、例えばGenbankのアクセッション番号NM_002852に開示されている。
被検試料とは、PTX3のタンパク質が含まれる可能性のある試料であれば特に制限されないが、哺乳類などの生物の体から採取された試料が好ましく、さらに好ましくはヒトから採取された試料である。被検試料の具体的な例としては、例えば、血液、間質液、血漿、血管外液、脳脊髄液、滑液、胸膜液、血清、リンパ液、唾液、尿、腸組織などを挙げることができるが、好ましいのは血液、血清、血漿である。又、採取された腸組織の培養液などの、被検試料から得られる試料も本発明の被検試料に含まれる。
患者より被検試料を採取し、被検試料のPTX3濃度を測定し、健常人のPTX3濃度の分布より求められた基準値と比較して高値であれば炎症性腸疾患の存在が疑われる。
炎症性腸疾患の活動性とは、炎症性腸疾患の臨床症状の重症度および炎症の重篤度をいい、活動性を把握する方法の例としてクローン病においてはIOIBD、潰瘍性大腸炎においてはメイヨースコア(Mayo score)を用いることができる。以下にそれぞれのスコアの算出方法を示す。
<<メイヨースコアの算出方法>>
以下の4項目のサブスコアの合計とする
1.排便回数
・潰瘍性大腸炎になる前の1日排便回数と同程度(0点)
・潰瘍性大腸炎になる前の1日排便回数より1〜2回多い(1点)
・潰瘍性大腸炎になる前の1日排便回数より3〜4回多い(2点)
・潰瘍性大腸炎になる前の1日排便回数より5回以上多い(3点)
2.直腸からの出血
・血液なし(0点)
・少量の血液、排便回数の半分以下(1点)
・はっきりした血液、ほぼ毎回(2点)
・ほぼ血液ばかり(3点)
3.内視鏡所見
・正常もしくは寛解期粘膜(0点)
・軽症(発赤、血管透見の減少、軽度の脆弱性)(1点)
・中等症(著名な発赤、血管透見の消失、脆弱性、びらん)(2点)
・重症(自然出血、潰瘍)(3点)
4.医師による全般評価
・正常と区別がつかない状態(完全な寛解期)(0点)
・軽度の活動期(軽症)(1点)
・中等度の活動期(中等症)(2点)
・高度の活動期(重症)(3点)
注)内視鏡検査を実施することができなかった場合には「3.内視鏡所見」を除いた3項目のサブスコアの合計を算出し、それを部分的メイヨースコアとする。
<<IOIBDスコアの算出方法>>
以下の1項目を1点とし、合計点をスコアとする。スコアが0または1で、赤沈値、CRPが正常化した状態を「寛解」とする。また、スコアが2以上で、赤沈値、CRPが異常な状態を「再燃」とする。
1.腹痛
2.1日6回以上の下痢あるいは粘血便
3.肛門部病変
4.ろう孔
5.その他の合併症
6.腹部腫瘤
7.体重減少
8.38℃以上の発熱
9.腹部圧痛
10.10g/dL以下の血色素
本発明方法においては、PTX3の測定は、抗PTX3抗体を用いる免疫学的測定法が好ましい。以下、抗PTX3抗体を用いた測定法について詳細に説明する。
本発明で用いられる抗PTX3抗体はPTX3タンパク質に特異的に結合すればよい。好ましくは、PTX3の立体構造に高い結合親和性を示し、より好ましくはPTX3の立体構造に高い結合親和性を示し、且つ、CRPやSAPに交差反応しない抗体である。さらに好ましくは、PPMX0102(FERM BP−10326)、PPMX0104(FERM BP−10719)およびPPMX0105(FERM BP−10720)であり、最も好ましくは、PPMX0104(FERM BP−10719)およびPPMX0105(FERM BP−10720)である。
本明細書に記載したPPMX0102(FERM BP−10326)、PPMX0104(FERM BP−10719)およびPPMX0105(FERM BP−10720)は、産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(住所:茨城県つくば市東1−1−1 中央第6)に寄託したものである(PPMX0102:寄託日:平成17(2005)年2月10日、PPMX0104およびPPMX0105:寄託日:平成17(2005)年9月22日)。
抗体の由来、種類(モノクローナル、ポリクローナル)および形状を問わない。具体的には、マウス抗体、ラット抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト型化抗体などの公知の抗体を用いることができる。抗体はポリクローナル抗体でもよいが、モノクローナル抗体であることが好ましい。
また、免疫学的測定法において支持体に固定される抗PTX3抗体と標識物質で標識される抗PTX3抗体はPTX3分子の同じエピトープを認識してもよいし、異なるエピトープを認識してもよい。
本発明で使用される抗PTX3抗体は、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として得ることができる。本発明で使用される抗PTX3抗体として、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好ましい。哺乳動物由来のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマにより産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるものを含む。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、PTX3を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。
具体的には、モノクローナル抗体を作製するには次のようにすればよい。
まず、抗体取得の感作抗原として使用されるPTX3を、入手可能な細胞の培養上清から精製して得る。あるいは、特表2002−503642に開示された方法に従い得ることもできる。
次に、この精製PTX3タンパク質を感作抗原として用いる。あるいは、PTX3の部分ペプチドを感作抗原として使用することもできる。この際、当該部分ペプチドはヒトPTX3のアミノ酸配列より化学合成により得ることもできるし、PTX3遺伝子の一部を発現ベクターに組込んで得ることもでき、さらに天然のPTX3をタンパク質分解酵素により分解することによっても得ることができる。部分ペプチドとして用いるPTX3の部分および大きさは特に限定されない。
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげっ歯類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター、その他、ウサギ、サル等が使用される。
感作抗原の動物への免疫は公知の方法に従って行うことができる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内または皮下に注射することにより行われる。具体的には、感作抗原をPBS(Phosphate-Buffered Saline)や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものに所望により通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に4〜21日毎に数回投与する。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することもできる。特に分子量の小さい部分ペプチドを感作抗原として用いる場合には、アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン等の担体タンパク質と結合させて免疫することが望ましい。
このように哺乳動物を免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞を採取し、細胞融合に付されるが、好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。
前記免疫細胞と融合される他方の親細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞を用いる。このミエローマ細胞は、公知の種々の細胞株、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(J.Immnol.(1979)123,1548-1550)、P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81,1-7)、NS−1(Kohler.G.and Milstein,C.Eur.J.Immunol.(1976)6,511-519)、MPC−11(Margulies.D.H.et al.,Cell(1976)8,405-415)、SP2/0(Shulman,M.et al.,Nature(1978)276,269-270)、FO(de St.Groth,S.F.et al.,J.Immunol.Methods(1980)35,1-21)、S194(Trowbridge,I.S.J.Exp.Med.(1978)148,313-323)、R210(Galfre,G.et al.,Nature(1979)277,131-133)等が好適に使用される。
前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、基本的には公知の方法、たとえば、ケーラーとミルステインらの方法(Kohler.G.and Milstein,C.,Methods Enzymol.(1981)73,3-46)等に準じて行うことができる。
より具体的には、前記細胞融合は、例えば細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)等が使用され、さらに所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は任意に設定することができる。例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1〜10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温したポリエチレングリコール(PEG)(例えば平均分子量1000〜6000程度)溶液を通常30〜60%(w/v)の濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)を形成する。続いて、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去する。
このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。上記HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、数日〜数週間)継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングを行う。
目的とする抗体のスクリーニングおよび単一クローニングは、公知の抗原抗体反応に基づくスクリーニング方法で行えばよい。例えば、ポリスチレン等でできたビーズや市販の96ウェルのマイクロタイタープレート等の担体に抗原を結合させ、ハイブリドーマの培養上清と反応させ、担体を洗浄した後に酵素標識第2次抗体等を反応させることにより、培養上清中に感作抗原と反応する目的とする抗体が含まれるかどうか決定できる。目的とする抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法等によりクローニングすることができる。この際、抗原としては免疫に用いたものを用いればよい。
また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球をin vitroでPTX3に感作し、感作リンパ球をヒト由来の永久分裂能を有するミエローマ細胞と融合させ、PTX3への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1−59878号公報参照)。さらに、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物に抗原となるPTX3を投与して抗PTX3抗体産生細胞を取得し、これを不死化させた細胞からPTX3に対するヒト抗体を取得してもよい(WO94/25585号パンフレット、WO93/12227号パンフレット、WO92/03918号パンフレット、WO94/02602号パンフレット報参照)。
このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法に従い培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる方法がもちいられる。
また、これらの抗体は、PTX3遺伝子によってコードされる蛋白質の全長または一部を認識する特性を失わない限り、抗体断片(フラグメント)等の低分子化抗体や抗体の修飾物などであってもよい。抗体断片の具体例としては、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Diabodyなどを挙げることができる。このような抗体断片を得るには、ペプシンやパパインによりIgGのFc部分を消化する方法や、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させればよい(例えば、Co,M.S.et al.,J.Immunol.(1994)152,2968-2976; Better,M.and Horwitz,A.H.,Methods Enzymol.(1989)178,476-496; Pluckthun,A.and Skerra,A.,Methods Enzymol.(1989)178,497-515; Lamoyi,E.,Methods Enzymol.(1986)121,652-663; Rousseaux,J.et al.,Methods Enzymol.(1986)121,663-669;Bird,R.E.and Walker,B.W.,Trends Biotechnol.(1991)9,132-137参照)。
前記のように産生された抗体は、細胞、宿主動物から分離し均一にまで精製することができる。本発明で使用される抗体の分離、精製はアフィニティーカラムを用いて行うことができる。例えば、プロテインAカラムを用いたカラムとして、Hyper D、POROS、Sepharose F.F.(GEヘルスケア社製)等が挙げられる。その他、通常のタンパク質で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば、上記アフィニティーカラム以外のクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせることにより、抗体を分離、精製することができる(Antibodies A Laboratory Manual.Ed Harlow,David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988)。
抗体の修飾物として、標識物質等の各種分子と結合した抗PTX3抗体を使用することもできる。本発明における「抗体」にはこれらの抗体修飾物も包含される。このような抗体修飾物は、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。なお、抗体の修飾方法はこの分野においてすでに確立されている。
本発明において測定するPTX3は、特に限定されず、全長PTX3でも、その断片でもよい。
被検試料に含まれるPTX3タンパク質の検出方法は特に限定されないが、抗PTX3抗体を用いた免疫学的方法により検出することが好ましい。免疫学的方法としては、例えば、ラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ、発光イムノアッセイ、免疫沈降法、免疫比濁法、ウエスタンブロット、免疫染色、免疫拡散法などを挙げることができるが、好ましくはエンザイムイムノアッセイであり、特に好ましいのは酵素結合免疫吸着定量法(enzyme-linked immunosorbent assay:ELISA)(例えば、sandwich ELISA)である。ELISAなどの上述した免疫学的方法は当業者に公知の方法により行うことが可能である。
抗PTX3抗体を用いた一般的な検出方法としては、例えば、抗PTX3抗体を支持体に固定し、ここに被検試料を加え、インキュベートを行い抗PTX3抗体とPTX3タンパク質を結合させた後に洗浄して、抗PTX3抗体を介して支持体に結合したPTX3タンパク質を検出することにより、被検試料中のPTX3タンパク質の検出を行う方法を挙げることができる。
本発明において用いられる支持体としては、例えば、アガロース、セルロースなどの不溶性の多糖類、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネイト樹脂などの合成樹脂や、ガラスなどの不溶性の支持体を挙げることができる。これらの支持体は、ビーズやプレートなどの形状で用いることが可能である。ビーズの場合、これらが充填されたカラムなどを用いることができる。プレートの場合、マルチウェルプレート(96穴マルチウェルプレート等)やバイオセンサーチップなどを用いることができる。抗PTX3抗体と支持体との結合は、化学結合や物理的な吸着などの通常用いられる方法により結合することができる。これらの支持体はすべて市販のものを用いることができる。
抗PTX3抗体とPTX3タンパク質との結合は、通常、緩衝液中で行われる。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝液、などが使用される。また、インキュベーションの条件としては、すでによく用いられている条件、例えば、4℃〜室温にて1時間〜24時間のインキュベーションが行われる。インキュベート後の洗浄は、PTX3タンパク質と抗PTX3抗体の結合を妨げないものであれば何でもよく、例えば、Tween20等の界面活性剤を含む緩衝液などが使用される。
本発明のPTX3タンパク質測定方法においては、PTX3タンパク質を検出したい被検試料の他に、コントロール試料を設置してもよい。コントロール試料としては、PTX3タンパク質を含まない陰性コントロール試料やPTX3タンパク質を含む陽性コントロール試料などがある。この場合、PTX3タンパク質を含まない陰性コントロール試料で得られた結果、PTX3タンパク質を含む陽性コントロール試料で得られた結果と比較することにより、被検試料中のPTX3タンパク質を検出することが可能である。また、濃度を段階的に変化させた一連のコントロール試料を調製し、各コントロール試料に対する検出結果を数値として得て、標準曲線を作成し、被検試料の数値から標準曲線に基づいて、被検試料に含まれるPTX3タンパク質を定量的に検出することも可能である。
抗PTX3抗体を介して支持体に結合したPTX3タンパク質の測定の好ましい態様として、標識物質で標識された抗PTX3抗体を用いる方法を挙げることができる。
例えば、支持体に固定された抗PTX3抗体に被検試料を接触させ、洗浄後に、PTX3タンパク質を特異的に認識する標識抗体を用いて検出する。
抗PTX3抗体の標識は通常知られている方法により行うことが可能である。標識物質としては、蛍光色素、酵素、補酵素、化学発光物質、放射性物質などの当業者に公知の標識物質を用いることが可能であり、具体的な例としては、ラジオアイソトープ(32P、14C、125I、H、131Iなど)、フルオレセイン、ローダミン、ダンシルクロリド、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ホースラディッシュパーオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、ビオチンなどを挙げることができる。標識物質としてビオチンを用いる場合には、ビオチン標識抗体を添加後に、アルカリホスファターゼなどの酵素を結合させたアビジンをさらに添加することが好ましい。標識物質と抗PTX3抗体との結合には、グルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法、過ヨウ素酸法、などの公知の方法を用いることができる。
抗体の酵素標識法としては、ヒンジ法とノンヒンジ法の2つが挙げられるがこれに限定しない。ヒンジ法は、抗体IgGの抗原結合能を有するF(ab’)2部分との間のヒンジ部と呼ばれる部分にあるジルスフィド結合を還元して生成するチオール基を利用してFab’と酵素分子を結合する方法である。一方、ノンヒンジ法は、抗体のいずれの反応基を利用するかは特定しないが、多くの場合、抗体のアミノ基を利用して抗体分子と酵素分子を結合する方法である。
具体的には、抗PTX3抗体を含む溶液をプレートなどの支持体に加え、抗PTX3抗体を支持体に固定する。プレートを洗浄後、タンパク質の非特異的な結合を防ぐため、例えばBSA、ゼラチン、アルブミンなどでブロッキングする。再び洗浄し、被検試料をプレートに加える。インキュベートの後、洗浄し、標識抗PTX3抗体を加える。適度なインキュベーションの後、プレートを洗浄し、プレートに残った標識抗PTX3抗体を検出する。検出は当業者に公知の方法により行うことができ、例えば、放射性物質による標識の場合には液体シンチレーションやRIA法により検出することができる。酵素による標識の場合には基質を加え、基質の酵素的変化、例えば発色を吸光度計により検出することができる。基質の具体的な例としては、2,2−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩(ABTS)、1,2−フェニレンジアミン(オルソ−フェニレンジアミン)、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)などを挙げることができる。蛍光物質の場合には蛍光光度計により検出することができる。
本発明のPTX3タンパク質測定方法の特に好ましい態様として、抗体IgGの抗原結合能とは関係のないFc部分を除去し、一般的な酵素標識法記載の方法で標識をした抗体を用いる方法を挙げることができる。
具体的には、抗PTX3抗体を含む溶液をプレートなどの支持体に加え、抗PTX3抗体を固定する。プレートを洗浄後、タンパク質の非特異的な結合を防ぐため、例えばBSAなどでブロッキングする。再び洗浄し、被検試料をプレートに加える。インキュベートの後、洗浄し、ペルオキシダーゼ直接標識抗PTX3抗体を加える。適度なインキュベーションの後、プレートを洗浄し、酵素に対応した基質を加え、基質の酵素的変化などを指標にPTX3タンパク質を検出する。
本発明のPTX3タンパク質測定方法の他の態様として、PTX3タンパク質を特異的に認識する一次抗体を一種類以上、および該一次抗体を特異的に認識する二次抗体を一種類以上用いる方法を挙げることができる。
例えば、支持体に固定された一種類以上の抗PTX3抗体に被検試料を接触させ、インキュベーションした後、洗浄し、洗浄後に結合しているPTX3タンパク質を、一次抗PTX3抗体および該一次抗体を特異的に認識する一種類以上の二次抗体により検出する。この場合、二次抗体は好ましくは標識物質により標識されている。
本発明のPTX3タンパク質の測定方法の他の態様としては、凝集反応を利用した検出方法を挙げることができる。該方法においては、抗PTX3抗体を感作した担体を用いてPTX3を検出することができる。抗体を感作する担体としては、不溶性で、非特異的な反応を起こさず、かつ安定である限り、いかなる担体を使用してもよい。例えば、ラテックス粒子、ベントナイト、コロジオン、カオリン、固定羊赤血球等を使用することができるが、ラテックス粒子を使用するのが好ましい。ラテックス粒子としては、例えば、ポリスチレンラテックス粒子、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス粒子、ポリビニルトルエンラテックス粒子等を使用することができるが、ポリスチレンラテックス粒子を使用するのが好ましい。感作した粒子を試料と混合し、一定時間攪拌する。試料中に抗PTX3抗体が高濃度で含まれるほど粒子の凝集度が大きくなるので、凝集を肉眼でみることによりPTX3を検出することができる。また、凝集による濁度を分光光度計等により測定することによっても検出することが可能である。
本発明のPTX3タンパク質の測定方法の他の態様としては、例えば、表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーを用いた方法を挙げることができる。表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーはタンパク質−タンパク質間の相互作用を微量のタンパク質を用いてかつ標識することなく、表面プラズモン共鳴シグナルとしてリアルタイムに観察することが可能である。例えば、BIAcore(Pharmacia社製)等のバイオセンサーを用いることによりPTX3タンパク質と抗PTX3抗体の結合を検出することが可能である。具体的には、抗PTX3抗体を固定化したセンサーチップに、被検試料を接触させ、抗PTX3抗体に結合するPTX3タンパク質を共鳴シグナルの変化として検出することができる。
本発明の測定方法は、種々の自動検査装置を用いて自動化することもでき、一度に大量の試料について検査を行うことも可能である。
本発明は、免疫組織化学染色に用いることもできる。バイオプシーや手術によって得られた組織を当業者に公知の方法で抗PTX3抗体を用いて染色することができる。
本発明は、炎症性腸疾患の有無および/または炎症性腸疾患の活動性の判定に用いる診断薬の提供をも目的とするが、該診断薬は抗PTX3抗体を含むことが好ましい。ここで診断薬には、キットも含まれる。該診断薬がELISA法に基づく場合は、抗体を固相化する担体を含んでいてもよく、抗体があらかじめ担体に結合していてもよい。該診断薬がラテックス等の担体を用いた凝集法に基づく場合は抗体が吸着した担体を含んでいてもよい。また、該診断薬は、適宜、ブロッキング溶液、反応溶液、反応停止液、試料を処理するための試薬等を含んでいてもよい。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
<実施例1 ELISA系の構築と血中PTX3濃度の測定>
血中のPTX3タンパク質を検出するため、PTX3のサンドイッチELISA系を以下のように構築した。すなわち、96ウェルプレートにコートする抗体にはF(ab’)2化PPMX0104(FERM BP−10719)を5μg/mL、100μL/well、4℃、一晩インキュベーションし固相化を行った。
翌日300μL/wellの洗浄緩衝液(0.05%(v/v)Tween20,PBS)で3回洗浄後、ABI社のイムノアッセイスタビライザー(ABI #10−601−001)を150μL加え、ブロッキングを行い、4℃で一晩保管した。本ELISA法については、出願番号PCT/JP2006/322505に開示されている。潰瘍性大腸炎患者(活動期9名、寛解期6名)、クローン病患者(活動期7名、寛解期6名)、対照として健常人6名より血漿を採取しPTX3−ELISA法の測定試料とした。血漿を、動物血清などを含む希釈緩衝液(50mM Tris-Cl pH8.0, 0.15M NaCl)で適当に希釈したものを加え2時間室温でインキュベートした。次いで、動物血清などを含むPBS(−)で20μg/mLとなるように希釈したHRPO(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)標識Fab’化PPMX0105抗体を加え2時間室温でインキュベートした。反応液を捨てた後、300μL/wellの洗浄緩衝液で5回洗浄した後、添付のプロトコールに従いScytek社のTMB(Cat#TM4999)を用いて発色させ、マイクロプレートリーダーで吸光度を測定した。サンプル中のPTX3タンパク質濃度の換算には、表計算ソフトGlaphPad PRISM(GlaphPad software Inc.ver.3.0)を用いて解析した。
PTX3測定の結果、健常人の平均値±標準偏差(SD)は1.38±0.48ng/mL、潰瘍性大腸炎の活動期患者では7.98±1.4ng/mL、潰瘍性大腸炎の寛解期患者では1.88±0.2ng/mL、クローン病患者の活動期患者では5.31±0.74ng/mL、クローン病患者の寛解期患者では2.03±0.38ng/mLであった。
クルスカルワーリス検定の後、多重比較検定で分散分析したところ、潰瘍性大腸炎の活動期と寛解期、潰瘍性大腸炎の活動期と健常人との間には有意差が認められた(p<0.05)(図1)。マンーホイットニー検定では、潰瘍性大腸炎の活動期と、寛解期および健常人それぞれとの間、クローン病の活動期と、寛解期および健常人それぞれとの間に有意差が認められた(p<0.05)。
<実施例2 クローン病および潰瘍性大腸炎患者の生検検体におけるPTX3の免疫組織化学染色>
潰瘍性大腸炎患者3名、クローン病患者4名、対照として大腸癌患者3名より採取した大腸組織の免疫組織化学染色を行った。バイオプシーにより得た検体を、通常の方法により固定し、パラフィン包埋し、組織切片を作製した。一次抗体として、抗PTX3モノクローナル抗体(PPMX0102(BP−10326))、抗CD45RO(UCHL−1)モノクローナル抗体、抗CD20(L20)モノクローナル抗体、抗ミエロペルオキシダーゼモノクローナル抗体の4通りを用いた。二次抗体として、抗マウスIgGモノクローナル抗体を用いた。ABC法により反応を行い光学顕微鏡で観察した。対照として、一次抗体であるPPMX0102を使用せず、二次抗体であるマウスモノクローナルIgGのみを用いた染色を行った。
免疫組織化学染色の結果、PTX3は浸潤するリンパ球、好中球および炎症を有する腸管の血管に存在した(図2)。
<実施例3 疾患活動性の評価>
(A)潰瘍性大腸炎の活動性は治療薬の治験等においても疾患の活動性の指標として広く用いられているメイヨースコアを用いて評価した。
<<メイヨースコアの算出方法>>
以下の4項目のサブスコアの合計とする
1.排便回数
・潰瘍性大腸炎になる前の1日排便回数と同程度(0点)
・潰瘍性大腸炎になる前の1日排便回数より1〜2回多い(1点)
・潰瘍性大腸炎になる前の1日排便回数より3〜4回多い(2点)
・潰瘍性大腸炎になる前の1日排便回数より5回以上多い(3点)
2.直腸からの出血
・血液なし(0点)
・少量の血液、排便回数の半分以下(1点)
・はっきりした血液、ほぼ毎回(2点)
・ほぼ血液ばかり(3点)
3.内視鏡所見
・正常もしくは寛解期粘膜(0点)
・軽症(発赤、血管透見の減少、軽度の脆弱性)(1点)
・中等症(著名な発赤、血管透見の消失、脆弱性、びらん)(2点)
・重症(自然出血、潰瘍)(3点)
4.医師による全般評価
・正常と区別がつかない状態(完全な寛解期)(0点)
・軽度の活動期(軽症)(1点)
・中等度の活動期(中等症)(2点)
・高度の活動期(重症)(3点)
注)内視鏡検査を実施することができなかった場合には「3.内視鏡所見」を除いた3項目のサブスコアの合計を算出し、それを部分的メイヨースコアとする。
クローン病の活動性は、治療薬の治験等においても疾患の活動性の指標として広く用いられているIOIBDスコアを用いて評価した。
<<IOIBDスコアの算出方法>>
以下の1項目を1点とし、合計点をスコアとする。スコアが0または1で、赤沈値、CRPが正常化した状態を「寛解」とする。また、スコアが2以上で、赤沈値、CRPが異常な状態を「再燃」とする。
11.腹痛
12.1日6回以上の下痢あるいは粘血便
13.肛門部病変
14.ろう孔
15.その他の合併症
16.腹部腫瘤
17.体重減少
18.38℃以上の発熱
19.腹部圧痛
20.10g/dL以下の血色素
(B)疾患活動性指標と血中PTX3濃度との相関
潰瘍性大腸炎患者17名、クローン病患者25名について、血漿PTX3濃度と血清CRP濃度を測定した。PTX3は実施例1に記載の方法、CRPは免疫免濁法を用いて測定を行った。また、潰瘍性大腸炎患者15名の内視鏡所見を除く部分的なメイヨースコア、クローン病患者25名のIOIBDスコアを得た。
ピアソンの方法に従って、潰瘍性大腸炎患者の部分的なメイヨースコアと血漿PTX3濃度との間の相関を検討したところ、r=0.63、p<0.01と、血清CRP濃度との相関(r=0.51、p<0.05)より優れた相関を示した(図3A、B)。
PTX3の潰瘍性大腸炎患者における疾患活動性判定の感度は91%、特異性は75%であり、CRPでは感度は45%、特異性は100%であった(表1、表2)。
Figure 0005280214
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クローン病患者におけるIOIBDスコアと血漿PTX3濃度との相関はr=0.49、p<0.01であり、血清CRP濃度との相関(r=0.61、p<0.01)とほぼ同等であった(図4A、B)。
PTX3のクローン病患者における疾患活動性判定の感度は71%、特異性は62%であり、CRPでは感度は71%、特異性は56%であり、特異性に関してやや良好な結果を示した(表3、表4)。
Figure 0005280214
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Claims (12)

  1. 被検試料中のPTX3を測定することを特徴とする、炎症性腸疾患の有無および/または炎症性腸疾患の活動性の判定方法。
  2. PTX3の測定が、抗PTX3抗体を用いる免疫学的測定である請求項1記載の判定方法。
  3. 抗PTX3抗体が、抗PTX3モノクローナル抗体である請求項2記載の判定方法。
  4. 被検試料が、血液、血清または血漿である請求項1〜3のいずれか1項記載の判定方法。
  5. PTX3測定試薬を含有する炎症性腸疾患の有無および/または炎症性腸疾患の活動性の診断薬。
  6. PTX3の測定が、抗PTX3抗体を用いる免疫学的測定である請求項5記載の診断薬。
  7. 抗PTX3抗体が、抗PTX3モノクローナル抗体である請求項6記載の診断薬。
  8. 血液、血清または血漿中のPTX3濃度を測定するものである請求項5〜7のいずれか1項記載の診断薬。
  9. PTX3測定試薬の、炎症性腸疾患の有無および/または炎症性腸疾患の活動性の診断薬製造のための使用。
  10. PTX3の測定が、抗PTX3抗体を用いる免疫学的測定である請求項9記載の診断薬製造のための使用。
  11. 抗PTX3抗体が、抗PTX3モノクローナル抗体である請求項10記載の診断薬製造のための使用。
  12. 血液、血清または血漿中のPTX3濃度を測定するものである請求項9〜11のいずれか1項記載の診断薬製造のための使用。
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