JP5279304B2 - 3−デオキシアントシアニジン配糖化酵素遺伝子とその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、グルコシル基を3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へ転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子及びその利用に関する。
アントシアニンは植物で幅広く分布している色素であり、赤色から青色までの多様な色を呈する。植物にとって色は重要な形質の一つである。また園芸作物類においては、花色の多様化、果実の発色の向上、着色の安定化や均一化などの急速な進歩に見られるように、色は大きな経済的要因ともなっている。一方、フラボノイド色素であるアントシアニンには抗酸化作用等があることが知られており、健康増進のための機能性成分としても注目されている。
アントシアニン生合成の解明に向けては多くの研究が実施されており、トウモロコシ、ソルガムなどの穀物類、ペチュニア、キンギョソウの花き類やリンゴ、ブドウなどの果実類、ナス、シソ等の野菜類において、分子生物学的研究により生合成経路の解明、生合成関連遺伝子の単離等が進められている。
アントシアニンは、アントシアニジン(アグリコンとも呼ばれる)に糖や有機酸が結合した物質である。これまでに500種近くのアントシアニンが様々な植物種から報告されているが、一般の植物に存在するアントシアニンの基本骨格(アントシアニジン)のほとんどはペラルゴニジン、シアニジン、デルフィニジン、ペオニジン、ペチュニジン、マルビジンの6種類に分類される。その他にも希なタイプのアントシアニジンが少数種確認されているが、天然からこれまでに見出されているアントシアニジンは18種類にすぎない。植物体内ではアントシアニジンはそのままの形態では存在せず、多くの場合、配糖体化されてアントシアニンとして存在する。アントシアニジンは通常不安定な化合物であるが、配糖体化により安定化されるだけでなく、場合により無毒なアントシアニンになり、また水溶性が増すことで細胞の液胞内に輸送されて溶解状態で蓄積されるようにもなる。
これまで詳細に研究されているアントシアニンは、ほとんどが3-ヒドロキシアントシアニンに属し、アントシアニジンの3位の水酸基のみ又は3位と5位の水酸基の両方で配糖体化されている。しかしながら、これ以外にも3-デオキシアニジンの配糖体である3-デオキシアントシアニンといわれる希なアントシアニン色素が特定のコケ、シダ類や植物種に存在していることが知られている(非特許文献1及び2)。また3-デオキシアントシアニンや3-デオキシアントシアニジンは、ストレス環境において穀物類のトウモロコシやソルガム、果実類のリンゴ等で蓄積することも知られている(非特許文献3〜5)。また3-デオキシアントシアニンは、イワタバコ科の一群の植物においては花弁のオレンジ色の着色に関与していることが分かっている(非特許文献6)。アントシアニンの色調は一般にB環の水酸基の数によって変化し、その水酸基が多いほど青色(深色)にシフトし紫色に近づくことが知られているが、一方で、C環の3位がデオキシ化された3-デオキシアントシアニンは赤色にシフトして橙色になることも知られている。またアントシアニンの色調はpH、結合している糖や有機酸の種類によっても変動を受けることが分かっている。
これまでの知見では、3-デオキシアントシアニンの合成経路は、アントシアニン生合成経路から分岐していると考えられているが、その生合成に関与する酵素についてはよく分かっていない。ナリンゲニンからフラバノン4-還元酵素(FNR)により、3-デオキシアントシアニン生合成が分岐することがトウモロコシの遺伝的解析から示唆されている。さらに、アントシアニジン合成酵素(ANS)により3-デオキシアントシアニジンが合成されると考えられている。いずれにせよ、最終的に生合成された3-デオキシアントシアニジンは植物界に広く存在する3-ヒドロキシアントシアニジンと同様に、配糖体の形態で細胞内の液胞に蓄積すると考えられる。
3-ヒドロキシアントシアニジンではC環の3位の水酸基に糖を転移されるが、3-デオキシアントシアニジンはC環の3位がデオキシ化されているため糖の転移が行われず、代わりにA環の5位の水酸基に糖が転移される。このように配糖化される水酸基の位が異なるため、既知の配糖化酵素とは異なる酵素が存在し、触媒していると考えられるが、その活性や酵素、遺伝子については未同定である。
3-ヒドロキシアントシアニジンに糖を転移する活性を有する酵素遺伝子は多数報告されている。3-ヒドロキシアントシアニジンの3位水酸基へ糖残基を転移させる反応を触媒する酵素(糖転移酵素(配糖化酵素とも呼ばれる))の遺伝子はトウモロコシからトランスポゾンを用いて初めて単離された(非特許文献7)。その後、この遺伝子をプローブとして他の植物種から、同種の糖転移酵素の遺伝子が単離されている(非特許文献8〜10)。一方、3-ヒドロキシアントシアニンの5位水酸基にグルコース残基を転移させる反応を触媒する酵素の遺伝子が赤シソからディファレンシャル・ディスプレイ法を用いて初めて単離された(非特許文献11)。また、同種類の酵素遺伝子はこの遺伝子を用いてペチュニアからも見つけられた(非特許文献10)。上記以外に、バラ特有のアントシアニジン(シアニジン)に対して5位から3位の水酸基へ逐次的に糖残基を転移させる反応を触媒する酵素も報告されている(特許文献1、非特許文献12)。しかしながら、3-デオキシアントシアニジンに対する糖転移活性を示す酵素はこれまでのところ知られておらず、どのような機構により配糖化されるのかもよく分かっていない。配糖化酵素は1つの植物体内に多数存在し(例えばシロイヌナズナでは100種類以上存在)、それぞれ異なる役割を果たしていると考えられるため、配糖化酵素の基質に対する作用機構も様々と思われる。
特開2006−149293号公報 Crowden and Jarman (1947) Phytochemistry 13: p.1947-1948 Harborne (1966) Phytochemistry 5: p.589-600 Halbwirth et al., (2003) Plant Sci. 164: p.489-495 Whaorton and Nicholson (2000) New Phytol. 145: p.457-469 Fischer et al. (2003) Archives of Biochemistry and Biophysics 412: p.223-230 Stich and Forkmann(1988) Phytochemistry 27: p.785-789 Fedoroff et al.,(1984) PNAS 81: p.3825-3829 Wise et al., (1990) Plant Mol. Biol. 14: p.277-279 Ford et al., (1998) J. Biol. Chem. 273: p.9224-9233 Yamazaki et al., (2002) Plant Mol. Biol. 48: p.401-411 Yamazaki et al., (1999) J. Biol. Chem. 274: 7405-7411 Ogata et al., (2005) Nature 435: p.757-758
本発明は、3-デオキシアントシアニジンへのグルコシル基転移活性を有する酵素、及びそれをコードする遺伝子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、植物シンニンギア(Sinningia cardinalis)由来のある種のグルコシルトランスフェラーゼが3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へグルコシル基を転移する活性を有することを見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
[1] 以下の(a)〜(e)のいずれかのDNAからなる、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するグルコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子:
(a) 配列番号1に示される塩基配列上の少なくとも129位〜1565位を含む塩基配列からなるDNA
(b) 配列番号3に示される塩基配列上の少なくとも7位〜1434位を含む塩基配列からなるDNA
(c) (a)若しくは(b)のDNAの塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するタンパク質をコードするDNA
(d) 配列番号2又は4に示されるアミノ酸配列をコードするDNA
(e) 配列番号2若しくは4に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するタンパク質をコードするDNA。
[2] 以下の(a)又は(b)である、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するグルコシルトランスフェラーゼタンパク質:
(a) 配列番号2又は4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号2若しくは4に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するタンパク質
[3] 上記[1]の遺伝子を含む組換えベクター。この組換えベクターの1つの態様として、植物の花色改変用である組換えベクターも好ましい。
[4] 上記[1]の遺伝子又は[3]の組換えベクターで形質転換された宿主細胞。
[5] 上記[1]の遺伝子又は[3]の組換えベクターを含むトランスジェニック植物。
[6] 上記[4]の宿主細胞において前記遺伝子を発現させてタンパク質を産生させることを含む、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するグルコシルトランスフェラーゼタンパク質の製造方法。
[7] 上記[1]の遺伝子又は[3]の組換えベクターを用いて無細胞タンパク質合成系でタンパク質を産生させることを含む、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するグルコシルトランスフェラーゼタンパク質の製造方法。
[8] 上記[2]のグルコシルトランスフェラーゼタンパク質を3-デオキシアントシアニジンと反応させることを含む、3-デオキシアントシアニジンを配糖化する方法。
[9] 上記[1]の遺伝子又は上記[3]の組換えベクターを用いて植物を形質転換することを含む、該植物の花色を改変する方法。
本発明のグルコシルトランスフェラーゼタンパク質は、グルコシル基を3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へ転移する活性を有する。この本発明のタンパク質の3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を利用すれば、3-デオキシアントシアニジン色素を配糖化することにより安定化及び可溶化することができる。このような3-デオキシアントシアニジングルコシルトランスフェラーゼタンパク質は、本発明の遺伝子を用いて容易に製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.本発明のグルコシルトランスフェラーゼ
植物体内には多くの種類のグルコシルトランスフェラーゼが存在するが、その一部はアントシアニジンにグルコシル基を転移(配糖体化)して、アントシアニンを生成する働きを担っている。
アントシアニンの基本骨格であるアントシアニジンは下記式(I):
Figure 0005279304
のような化学式で表される化合物であるが、最も一般的なアントシアニジンはC環の3位(式(I)中のR3)に水酸基を有する3-ヒドロキシアントシアニジンである。主たるアントシアニジンであるペラルゴニジン、シアニジン、デルフィニジン、ペオニジン、ペチュニジン、マルビジンは、いずれもC環の3位(式(I)中のR3)、A環の5位(式(I)中のR5)、及びA環の7位(式(I)中のR7)に水酸基を有する。
一方、3-デオキシアントシアニジンは希なアントシアニジンであり、A環の5位(式(I)中のR5)、及びA環の7位(式(I)中のR7)に水酸基を有するが、C環の3位(式(I)中のR3)はデオキシ化されており水酸基を有しない。
本発明のタンパク質は、このような3-デオキシアントシアニジンを主たる基質としてその水酸基にグルコシル基を転移する活性を有する配糖化酵素である。本発明のタンパク質は、特に3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へグルコシル基を転移する活性を有する。本発明のタンパク質は、3-デオキシアントシアニジンに対して、その5位の水酸基へのグルコシル基転移活性のみを示すものでもよいし、その活性以外に3-デオキシアントシアニジンの他の水酸基へのグルコシル基転移活性も示してもよい。本発明のタンパク質が基質としうる3-デオキシアントシアニジンの例としては、限定するものではないが、アピゲニニジン、ルテオリニジン及びトリセチニジン、並びにそれらの誘導体(メチル化、アシル化等の修飾を受けたもの等)が挙げられる。
本発明のグルコシルトランスフェラーゼタンパク質は、典型的には、配列番号2又は4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質でありうる。さらに本発明のタンパク質は、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有する限り、配列番号2又は4に示されるアミノ酸配列において1若しくは複数個(好ましくは1〜50個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは数個(1〜10個))のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよい。例えば、本発明のタンパク質は、必要に応じて分泌シグナルペプチドや精製用のヒスチジンタグ等を含んでもよい。なお本明細書全体において、本発明のタンパク質が、シグナルペプチドや標識ペプチド等を含むときは、それを除去したときに3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を発揮する場合も、本発明のタンパク質が「3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有する」範囲に含まれるものとするが、これは当業者には当然認識されることである。
本発明のグルコシルトランスフェラーゼタンパク質は、限定するものではないが、例えば、後述のような本発明の遺伝子を用いた組換え発現法により、容易に製造することができる。
本発明のグルコシルトランスフェラーゼタンパク質が有する3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性は、限定するものではないが、例えば後述の実施例1又は4のような酵素活性測定を行って確認することができる。簡単に説明すると、まず、本発明のタンパク質の精製溶液又は本発明のタンパク質を含む粗タンパク質抽出液(粗酵素液)を調製し、その溶液(例えば50μl)に、基質として3-デオキシアントシアニジン(例えば、2μlの1.25 mg/mlアピゲニニジン又はルテオリニジン)及びUDP-グルコース(例えば、1μlの0.1M UDP-グルコース)を加え、25〜35℃(好ましくは約30℃)で反応させる(例えば、30分間)。次いで1%塩酸を含むメタノール(例えば50μl)を加えて反応を停止させ、遠心し上清を採取し、それをHPLC分析及び分光分析する。その結果、基質とした3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基にグルコシル基が転移された配糖体(例えば、アピゲニニジン5-O-グルコシド、ルテオリニジン5-O-グルコシド等)が反応産物として検出されれば、試験したタンパク質が3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有すると判断することができる。3-デオキシアントシアニジン-5-O-グルコシド等の3-デオキシアントシアニジンの配糖体を分光学的分析で検出する際には、400〜550nmで吸光度を測定することが好ましい。
本発明のタンパク質は、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性に加えて、後述の実施例の通り、3-デオキシアントシアニジン又は3-デオキシアントシアニンの他の位置の水酸基へのグルコシル基転移活性を有しうる。中でも、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、そして配列番号2に示されるアミノ酸配列において1若しくは複数個(好ましくは1〜50個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは数個(1〜10個))のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するタンパク質は、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性に加えて3-デオキシアントシアニジンの他の位置の水酸基へのグルコシル基転移活性をより低い活性レベルで有するものであってよい。一方、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、並びに配列番号4に示されるアミノ酸配列において1若しくは複数個(好ましくは1〜50個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは数個(1〜10個))のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するタンパク質は、3-デオキシアントシアニジンに対しては、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性のみを有することも好ましい。
さらに本発明のグルコシルトランスフェラーゼタンパク質は、3-デオキシアントシアニジン及び3-デオキシアントシアニンだけでなく、他のアントシアニジンやアントシアニンを含む各種フラボノイドに対するマイナーな配糖化活性をも有していてもよい。一般に、配糖化酵素の基質特異性は幅広く、主たる基質とは異なる類似骨格の基質に対してもごく低い活性を示すことがよくある。本発明のタンパク質も他の配糖化酵素と同様に幅広い基質特異性を有する配糖化酵素である。しかし本発明のタンパク質は、3-デオキシアントシアニジンに対して、さらに特に3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基に対して非常に高い基質特異性を有する点で、配糖化酵素の中でも独特の特性を有している。
2.本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子とその取得
本発明の遺伝子は、上述の3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するグルコシルトランスフェラーゼタンパク質をコードする遺伝子である。
従って本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、配列番号2又は4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAでありうる。本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子はまた、配列番号2又は4に示されるアミノ酸配列において1若しくは複数個(好ましくは1〜50個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは数個(1〜10個))のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するタンパク質をコードするDNAであってもよい。そのようなDNAとしては、限定するものではないが、例えば、配列番号2に示されるアミノ酸配列のアミノ末端又はカルボキシ末端にヒスチジンタグ(6〜10残基程度のヒスチジンからなる短いペプチド)が付加されたアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられる。
本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子はまた、後述の実施例でシンニンギア(Sinningia cardinalis)から単離された2つの3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するタンパク質の一方(実施例中、ScUGT4)をコードする完全長cDNA(配列番号1)のオープンリーディングフレームに相当する配列番号1の129位〜1565位の塩基配列からなるDNAであってもよいし、その完全長cDNA(配列番号1)の全体又は一部であって該オープンリーディングフレーム(129位〜1565位)を少なくとも含む領域の塩基配列からなるDNAであってもよい。本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子はまた、シンニンギア(Sinningia cardinalis)から単離されたもう一方のグルコシルトランスフェラーゼタンパク質の一方(実施例中、ScUGT5)をコードする完全長cDNA(配列番号3)のオープンリーディングフレームに相当する配列番号3の7位〜1434位の塩基配列からなるDNAであってもよいし、その完全長cDNA(配列番号3)の全体又は一部であって該オープンリーディングフレーム(7位〜1434位)を少なくとも含む領域の塩基配列からなるDNAであってもよい。
あるいは本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、(a) 配列番号1に示される塩基配列上の少なくとも129位〜1565位を含む塩基配列(これは配列番号1の塩基配列の全体又は一部である)又は(b) 配列番号3に示される塩基配列上の少なくとも7位〜1434位を含む塩基配列(これは配列番号3の塩基配列の全体又は一部である)に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するタンパク質をコードするDNAであってもよい。ここでストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的な核酸ハイブリッドが形成される条件を指し、その具体的な例としては、ナトリウム塩濃度が好ましくは50〜750mM、より好ましくは300〜750mM、反応温度が好ましくは50℃〜70℃、より好ましくは55〜65℃、ホルムアミド濃度が好ましくは20〜50%、より好ましくは35〜45%でハイブリダイゼーション反応を行う条件を言う。さらにハイブリダイゼーション後のフィルターの洗浄条件が、ナトリウム塩濃度が好ましくは50〜600mM、より好ましくは300〜600mM、温度が好ましくは55〜70℃、より好ましくは60〜65℃での条件である場合も、本発明における「ストリンジェントな条件」に含めることができる。
あるいは、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、配列番号1又は3に示される塩基配列と50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上の同一性を示す塩基配列からなり、かつ3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するタンパク質をコードするDNAであってもよい。本発明の遺伝子はまた、配列番号2又は4に示されるアミノ酸配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の同一性を示すアミノ酸配列からなり、かつ3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するタンパク質をコードするDNAであってもよい。
本発明においてDNAには少なくともゲノムDNA、cDNA、修飾塩基を一部に含むDNA等が含まれる。本発明において「遺伝子」は、開始コドン及び終止コドンを含まない塩基配列を有する核酸断片であってもよい。本発明の「遺伝子」は、非翻訳領域(UTR)の配列などを含んでもよい。
本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、実施例のようにシンニンギア(Sinningia cardinalis)から単離することができるが、それ以外のイワタバコ科の植物、特にシンニンギア属植物から単離してもよい。そのようなイワタバコ科の植物としては、Sinningia cardinalisの他、例えばSinningia leucotricha、Sinningia sellovii、Sinningia macropodaなどが挙げられる。
本発明の遺伝子は、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ又はその遺伝子の配列(例えば、配列番号1若しくは3の塩基配列又は配列番号2若しくは4のアミノ酸配列)に基づいて、常法により単離することができる。例えば、シンニンギア(Sinningia cardinalis)又は他のイワタバコ科植物(シンニンギア属植物など)から、常法により調製された全mRNA、全RNAからRT-PCRにより得られたcDNA、cDNAライブラリー等の核酸を鋳型とし、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ又はその遺伝子の配列に基づいて設計されるプライマーセットを用いたPCR法によって、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子をDNA増幅断片として取得することができる。得られたDNA増幅断片は、常法により抽出・精製することが好ましい。あるいは、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子(例えば、配列番号1又は3の塩基配列からなるDNA)又はその一部を用いてプローブを作製し、それをシンニンギア(Sinningia cardinalis)又は他のイワタバコ科植物(シンニンギア属植物など)から、常法により調製された全mRNA、全RNAからRT-PCRにより得られたcDNA、cDNAライブラリー等の核酸に対してハイブリダイズさせることにより、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子をクローンとして取得することもできる。本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子はまた、化学合成法を利用して合成してもよい。
また本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、天然源から得られた遺伝子又は合成した遺伝子を、部位特異的突然変異誘発法等の変異導入法を用いて改変することにより作製してもよい。遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法、Gapped duplex法等の公知の手法又はこれに準ずる方法を採用することができる。これらの変異導入は、例えば市販の部位特異的突然変異誘発キット(例えばMutan(R)-K、Mutan(R)-Super Express Km、PrimeSTAR(R) Mutagenesis Basal Kit(いずれもTAKARA BIO INC.社製))などを用いて当業者であれば容易に行うことができる。
なお、得られたグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子のDNAについては、塩基配列決定によりその配列を確認することが好ましい。塩基配列決定はマキサム-ギルバートの化学修飾法、ジデオキシヌクレオチド鎖終結法等の公知手法により行うことができるが、通常は自動塩基配列決定装置(例えばABI社製DNAシークエンサー)を用いて行えばよい。
3.組換えベクターの作製
上記のようにして単離される本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、ベクター中にクローニングして組換えベクターを作製することが好ましい。
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに本発明の遺伝子を連結することにより得ることができる。本発明の遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミドDNA、ファージDNA等が挙げられる。例えばプラスミドDNAとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えばpET22b(+)、pBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19、pBluescript、pET100/D-TOPO等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13、YCp50、pPICZαA等)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP、λZAPII等)などが挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。ベクター中に本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を組み込むには、例えば、その遺伝子を含むDNA断片を適当な制限酵素で切断し、ベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトにインフレームで挿入し連結すればよい。
本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含む組換えベクターは、本発明の遺伝子を宿主細胞内で発現させるため、組換え発現ベクターとして作製することも好ましい。この組換え発現ベクターを作製するためには、ベクターの中でも発現ベクターを選択して用いればよい。発現ベクターには、プロモーター、ターミネーター、リボソーム結合部位などの宿主生物における発現に必要な各種エレメントが含まれることが好ましい。また発現ベクターにはプロモーターを制御する遺伝子がさらに含まれてもよい。プロモーターは、その発現ベクターを導入すべき宿主細胞中でその制御下の遺伝子の発現を誘導できる任意のものであってよい。例えば細菌中で発現させるのであれば、T7プロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、lacプロモーター等が使用でき、酵母中で発現させるのであれば、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター、PH05プロモーター、MFα1プロモーター等が使用でき、糸状菌中で発現させるのであれば、アミラーゼプロモーター、trpCプロモーター等が使用でき、動物細胞中で発現させるのであれば、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター等が使用でき、植物で発現させるのであれば、CaMV35Sプロモーター、ユビキチンプロモーター等が利用できる。本発明で使用する発現ベクターには、ベクターが細胞内に保持されていることを示す選択マーカーやベクター内に簡単に正しい向きで遺伝子を挿入するためのポリリンカー、エンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、分泌シグナル配列、精製用のヒスチジンタグ配列等の有用な配列が必要に応じて含まれていてもよい。選択マーカーとしては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子(CAT遺伝子)等が挙げられる。
本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を植物に導入して発現させる目的では、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を、植物用過剰発現プロモーターの下流に連結した状態で組換え発現ベクターに組み込んでもよい。その場合、例えば、グルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含むDNA断片を適当な制限酵素で切断してから、それをベクター中の過剰発現プロモーター下流の適当な制限酵素部位にイン・フレームとなるように挿入して連結すればよい。植物に遺伝子導入するためにアグロバクテリウム法を用いる場合には、アグロバクテリウム由来のプラスミドベクター若しくはそれをベースとする発現ベクター、又はバイナリーベクターなどのアグロバクテリウム法に適したベクター(例えば、pBI121、pBIN19、pSMAB704、pCAMBIA、pGreenなど)に本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を組み込むことが好ましい。例えば、アグロバクテリウム法で遺伝子導入を行うのに好適なベクターを作製するために、発現ベクター中のCaMV 35Sプロモーターの制御下の遺伝子を本発明の遺伝子で置換することにより本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を過剰発現(高発現)プロモーターであるCaMV 35Sプロモーターの制御下に置いてもよい。
本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子はまた、相同組換え法により宿主生物のゲノムに直接導入するためのターゲティングベクターの形態として作製してもよい。このために使用可能なベクターとしては、例えばCre-loxP等の公知のジーンターゲティング用ベクターが挙げられる。本明細書においては、本発明の遺伝子を組み込んだこれらのターゲティングベクターも、本発明の組換えベクターに包含されるものとする。
4.形質転換体の作製
本発明では、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を宿主に導入することにより形質転換体を作製することができる。具体的には、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子又はその遺伝子を含む組換えベクター(好ましくは組換え発現ベクター)を宿主細胞に導入することにより宿主細胞を形質転換することができる。
宿主細胞は、原核細胞であっても真核細胞であってもよい。より具体的には、宿主細胞には、大腸菌や枯草菌等の細菌、酵母細胞、昆虫細胞、動物細胞(例えば、哺乳動物細胞)、植物細胞等の任意の細胞(好ましくは培養細胞)が含まれる。本発明においては、例えば本発明のグルコシルトランスフェラーゼを生産する目的では、大腸菌(E.coli)やバチルス・スブチルス(Bacillus subtillis)、特に大腸菌(例えば、DH5α株、Rosetta(DE3)LysS株など)を宿主細胞として好適に使用することができる。一方、トランスジェニック植物を作製するためには、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子は植物細胞に導入する必要がある。
本発明の遺伝子又はそれを含む組換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換するには、一般的に行われている遺伝子導入法、例えば、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、パーテイクルガン法、ポリエチレングリコール(PEG)法、アグロバクテリウム法、プロトプラスト融合法等を用いればよい。形質転換体の選択は、常法に従って行うことができるが、通常は使用した組換えベクターに組み込まれた選択マーカー又はリポータータンパク質を利用して行うことができる。
本発明では、得られた形質転換体において、導入された本発明の遺伝子を発現させて、グルコシルトランスフェラーゼタンパク質を産生させることにより、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するグルコシルトランスフェラーゼを製造することができる。限定するものではないが、導入したグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を発現させる際は、通常は、形質転換された宿主細胞(形質転換細胞)を培養することが好ましい。形質転換細胞の培養は、宿主生物の培養に用いられる通常の方法に従って行えばよい。例えば、大腸菌や酵母細胞等の微生物を宿主細胞として得られた形質転換細胞は、宿主微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有する培地中に接種して培養すればよい。培地は、形質転換細胞の培養を効率的に行える培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。培地には、必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を添加してもよい。
誘導性プロモーターを含む発現ベクターで形質転換した宿主細胞を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、Lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した宿主細胞を培養するときにはイソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトシド(IPTG)等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した宿主細胞を培養するときにはインドールアクリル酸(IAA)等を培地に添加することができる。培養条件は特に限定されないが、好ましくは形質転換に用いる宿主細胞に適した条件下で行われる。
培養後、産生されたグルコシルトランスフェラーゼタンパク質が細胞内に蓄積される場合にはその細胞を破砕して該タンパク質を採取することが好ましい。一方、そのタンパク質が細胞外に分泌される場合には、培養物から該タンパク質を直接採取してもよいし、培養物から遠心分離等により細胞を除去することにより培養上清として該タンパク質を採取してもよい。本発明は、このような形質転換された宿主細胞を用いた3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するグルコシルトランスフェラーゼタンパク質の製造方法にも関する。
本発明では、形質転換細胞を用いる代わりに、無細胞タンパク質合成系を使用して本発明のグルコシルトランスフェラーゼを製造することもできる。「無細胞タンパク質合成系」とは、大腸菌や酵母細胞等の宿主生物の細胞構造を機械的に破壊して得た懸濁液に、翻訳に必要なアミノ酸などの試薬を加え、試験管中などのin vitro転写翻訳系又はin vitro翻訳系を構成したものである。無細胞タンパク質合成系としては、多くの報告が為されている他、各社(島津製作所、Roche、Invitrogen等)より無細胞タンパク質合成キットも市販されている。例えば本発明の遺伝子又は組換えベクターをそれらキットの使用説明書に従って用いて、本発明の遺伝子からmRNAを合成し、それをタンパク質合成反応液中で翻訳させることにより、本発明のグルコシルトランスフェラーゼタンパク質を産生させることができる。本発明では、そのように本発明の遺伝子又は組換えベクターを用いて無細胞タンパク質合成系でタンパク質を産生させることにより、本発明のグルコシルトランスフェラーゼタンパク質を製造する方法も提供する。
産生された本発明のタンパク質は、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより単離精製することができる。しかしながら、場合により、遠心分離や限外濾過型フィルター等を用いて採取又は濃縮した培養上清や溶菌液上清、あるいはそれらの上清をさらに硫安分画後に透析にかけるなどして得た溶液を、粗酵素液としてそのまま使用してもよい。
本発明では、本発明の遺伝子又は組換えベクターを用いて植物を形質転換して、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子が導入されたトランスジェニック植物を作製することもできる。本発明の遺伝子を植物に導入することにより、植物体内で3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するグルコシルトランスフェラーゼを産生させることができる。このような本発明のトランスジェニック植物では、植物体内に3-デオキシアントシアニジンが存在する場合には、3-デオキシアントシアニジンが配糖体化されて3-デオキシアントシアニンが生成される。また本発明のトランスジェニック植物において本発明のグルコシルトランスフェラーゼを過剰発現させることにより、植物体内でアントシアニンを増加させ、それにより耐病性や環境ストレス耐性が向上することも考えられる。また植物体内のアントシアニン組成を変化させることも可能になる。
本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を導入する植物としては、特に限定されないが、例えば、バラ、キク、キンギョソウ、リンドウ、スターチス、シクラメン、ラン、トルコギキョウ、フリージア、ガーベラ、グラジオラス、カスミソウ、ユリ、ペラルゴニウム、ゼラニウム、ペチュニア、トレニア、アルストロメリア、スイートピー、チューリップ、タバコ、ミヤコグサ、イネ、オオムギ、コムギ、ナタネ、ポテト、トマト、ポプラ、バナナ、ユーカリ、サツマイモ、ダイズ、アルファルファ、ルーピン、トウモロコシ、カリフラワー、ロベリア、リンゴ、ブドウ、モモ、カキ、スモモ、柑橘類が挙げられる。とりわけ植物の花色や果実色を改変する目的では、橙色〜赤色系色素である3-デオキシアントシアニンを天然では合成しない青色系の花色や果実色を呈する植物(例えば、リンドウ、デルフィニウム、ブドウ、ブルーベリーなど)に本発明の遺伝子を導入することが特に好ましい。
本発明の遺伝子を植物に導入する方法としては、植物の形質転換に一般的に用いられる方法、例えばアグロバクテリウム法、パーティクルガン法、エレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール(PEG)法、マイクロインジェクション法、プロトプラスト融合法などを用いることができる。これらの植物形質転換法の詳細は、『島本功、岡田清孝 監修 「新版 モデル植物の実験プロトコール 遺伝学的手法からゲノム解析まで」(2001) 秀潤社』などの一般的な教科書の記載や、Hiei Y. et al., "Efficient transformation of rice (Oryza sativa L.) mediated by Agrobacterium and sequence analysis of the boundaries of the T-DNA." Plant J. (1994) 6, 271-282; Hayashimoto, A. et al., "A polyethylene glycol-mediated protoplast transformation system for production of fertile transgenic rice plants." Plant Physiol. (1990) 93, 857-863等の文献を参照すればよい。
アグロバクテリウム法を用いる場合は、アグロバクテリウム法に適したベクターに本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を組み込んだ組換え発現ベクターを、適当なアグロバクテリウム、例えばアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に導入し、この菌株を植物細胞又はカルスに接種して感染させることにより、形質転換細胞を含むカルスを得ることができる。
パーティクルガン法やエレクトロポレーション法では、導入するグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子をプロモーター制御下に含む直鎖状のDNA断片をそのまま用いてもよいし、該遺伝子を組み込んだ発現ベクターを用いてもよい。遺伝子導入対象の試料としては、植物の切片を使用してもよく、プロトプラストを調製して使用してもよい(Christou P, et al., Biotechnology 9: 957 (1991))。例えばパーティクルガン法では、遺伝子導入装置(例えばPDS-1000/He(BIO-RAD社)等)を製造業者の説明書に従って使用して、グルコシルトランスフェラーゼ遺伝子をまぶした金属粒子をこのような試料に打ち込むことにより、その遺伝子を植物細胞内に導入し、形質転換植物細胞を得ることができる。操作条件は、通常は450〜2000psi程度の圧力、4〜12cm程度の距離で行う。
次いで、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を導入した植物細胞を、例えば従来知られている植物組織培養法に従って選択培地で培養し、生存したカルスを再分化培地(適当な濃度の植物ホルモン(オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン、ブラシノライド等)を含む)で培養することにより、本発明の遺伝子が導入されたトランスジェニック植物体を再生することができる。
本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子が植物中に確実に導入されたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法、ウェスタンブロット法等を利用して行うことができる。例えば、トランスジェニック植物の葉から全RNAを調製し、そのRNA又はそこから合成したcDNAについて、本発明のグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子特異的プライマーを用いてPCR増幅を行えばよい。その増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして増幅産物を1本のバンドとして検出することにより、本発明の遺伝子の導入を確認することができる。マイクロプレート等の固相にPCR増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応等により増幅産物を確認することもできる。予め蛍光色素等により標識した本発明の遺伝子に特異的なプローブを用いて、トランスジェニック植物由来の全RNA又はそれから合成したcDNAに対してノーザンブロッティングにより検出を行ってもよい。作製したトランスジェニック植物について、導入した遺伝子が発現されていることを確認することも好ましい。生育させ花を付けたトランスジェニック植物から花弁又は花冠を採取し、そこから常法によって抽出した可溶性画分をHPLC法により分析して、植物体の花弁中に3-デオキシアントシアニンが蓄積されていることを確認することにより、間接的に導入遺伝子の発現を確認してもよい。本発明は、このようにして得られるトランスジェニック植物も提供する。本発明において「トランスジェニック植物」とは、本発明の遺伝子が植物ゲノムに組み込まれて保持されているか又は組換え発現ベクター等に組み込まれた状態でその細胞内に安定的に保持されている植物をいう。本発明において「トランスジェニック植物」には、形質転換された宿主細胞の培養物(カルス)から再生された植物体の他、そこから得られる切り花等の部分、器官、組織、種子、細胞、培養細胞等を包含する。また本発明の「トランスジェニック植物」には、再生された植物体から得られた子孫であって、本発明の遺伝子がその植物ゲノムに組み込まれて保持されているか又は組換え発現ベクター等に組み込まれた状態でその細胞内に安定的に保持されている植物も包含する。
本発明の遺伝子が導入されたトランスジェニック植物においては、植物体内に存在する3-デオキシアントシアニジンは配糖体化されて3-デオキシアントシアニンとなる。その場合、安定化され可溶化された3-デオキシアントシアニンは橙色〜暗赤色を呈して液胞に蓄積されると考えられる。さらに本発明のグルコシルトランスフェラーゼは他のアントシアニジンに対する低レベルの反応活性も同時に示すため、3-デオキシアントシアニン以外のアントシアニンも生成し、液胞に蓄積されることになる。本発明では、このようにして液胞中のアントシアニンの組成を変更することにより、植物の花色や果実の色を改変(例えば、赤味を増加させるように改変)することができる。本発明の遺伝子を導入する植物が3-デオキシアントシアニジン合成能を有しない場合には、例えば、内在性のフラバノン水酸化酵素遺伝子を抑制し、フラバノン4-リダクターゼ遺伝子を遺伝子導入することにより3-デオキシアントシアニジン合成能を付与することができると考えられる。本発明は、このように本発明の遺伝子又は組換えベクターを用いて植物を形質転換することにより、該植物の花色や果実色を改変する方法も提供する。ここで植物の花色とは、花弁、花冠、がく、花被を含む植物の花の色を意味する。
5.本発明のグルコシルトランスフェラーゼタンパク質を用いた3-デオキシアントシアニンの配糖化
本発明では、本発明のタンパク質の3-デオキシアントシアニジングルコシルトランスフェラーゼ活性を利用することにより、3-デオキシアントシアニジンを配糖化することができる。本発明はそのような3-デオキシアントシアニジンを配糖化する方法も提供する。
この配糖化に用いる3-デオキシアントシアニジンとしては、限定するものではないが、アピゲニニジン、ルテオリニジン及びトリセチニジン並びにそれらの誘導体等を用いることができる。3-デオキシアントシアニジンは、フナコシ株式会社等から入手可能な市販の標品であってもよいし、コウリャン色素(アピゲニニジンとルテオリニジンを主成分とする色素)等の混合物であってもよい。
具体的には、本発明のグルコシルトランスフェラーゼタンパク質を含む溶液に、UDP-グルコース等の糖供与体の存在下で、3-デオキシアントシアニジンを基質として添加することにより、該タンパク質を3-デオキシアントシアニジンと酵素的に反応させて、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基にグルコシル基を転移させる結果、3-デオキシアントシアニジンを配糖化することができる。好ましくは、本発明のグルコシルトランスフェラーゼタンパク質溶液と3-デオキシアントシアニジンを含む混合液を、UDP-グルコース等の糖供与体の存在下で、25℃〜35℃(好ましくは30℃)でインキュベートすればよい。反応時間は、少なくとも5分、好ましくは10分〜12時間、より好ましくは20分〜3時間が好ましい。
反応後の溶液には、残存する3-デオキシアントシアニジンの他、反応産物として3-デオキシアントシアニジン-5-O-グルコシド、及び場合により他の3-デオキシアントシアニジンモノグルコシド等の3-デオキシアントシアニンが含まれる。これらの3-デオキシアントシアニンは、反応前の3-デオキシアントシアニジンと比較して、幅広いpH条件下でも安定化され、かつ可溶性が向上している。従って本発明のタンパク質を用いた3-デオキシアントシアニジンの配糖化方法は、3-デオキシアントシアニジンの安定性及び可溶性を向上させるために用いることができる。
生成された3-デオキシアントシアニンの反応液からの分離は、慣用のフラボノイド抽出・精製法を用いて行えばよい。
本発明において用いるmRNAの調製、cDNAの作製(RT-PCR)、PCR、ライブラリーの作製、ベクター中へのライゲーション、細胞の形質転換、DNA塩基配列決定、プライマーの合成、突然変異誘発、タンパク質の抽出などの分子生物学的・生化学的実験操作は、基本的には通常の実験書の記載に従って行うことができる。そのような実験書としては、例えば、SambrookらのMolecular Cloning, A laboratory manual, 2001, Eds., Sambrook, J. & Russell, DW. Cold Spring Harbor Laboratory Pressを挙げることができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]花弁粗タンパク質抽出液における、3-デオキシアントシアニジンへのグリコシル基転移酵素活性の検出
(1)花弁粗タンパク質の抽出
シンニンギア(Sinningia cardinalis)、リンドウ(Gentiana triflora)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ペチュニア(Petunia hybrida)、トレニア(Torenia hybrida)の花弁から粗タンパク質を抽出した。具体的には、それぞれ1gの花弁を液体窒素で粉砕し、粗タンパク質抽出バッファー(0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、1mM DTT)と500mg イオン交換樹脂DOWX(ムロマチテクノス株式会社)を加え磨砕した。こうして得た花弁抽出液を、15,000×rpm、10分、4℃で遠心分離して上清を回収した。この上清をバッファー交換カラム(PD-10、GEヘルスケア)で精製後、Amicon Ultra-4遠心式フィルターユニット30K(日本ミリポア)で濃縮することにより、粗タンパク質抽出液を得た。
(2)酵素活性測定
(1)で得られた各植物由来の花弁粗タンパク質抽出液について、以下の通り、3-デオキシアントシアニジンへのグルコシル基転移酵素活性の測定を行った。酵素反応基質としては、3-デオキシアントシアニジンの一種であるアピゲニニジン(フナコシ株式会社から購入した標品)を使用した。酵素反応産物等の同定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析による標準物質とのコクロマトグラフィーおよび分光学的手法により行った。標準物質として用いたアピゲニニジン5-O-グルコシドはシンニンギア(Sinningia cardinalis)の花弁から抽出した。
まず、50μlの粗タンパク質抽出液(2.5μg/μl)に、2μlの1.25 mg/mlアピゲニニジン、1μlの0.1M UDP-グルコースを加え、30℃で30分間反応させた。次いで1%塩酸を含むメタノール50μlを加えて反応を停止させ、遠心し上清を分析サンプルとした。
分析サンプルのHPLC分析は、逆層カラムAsahipak ODP-50(φ4.6mm×250mm、昭和電工)を用い、カラム温度40℃で行った。流速0.6ml/minにて0.1%TFA溶液に対して10%から60%の、0.1%TFA含有アセトニトリル溶液による直線的濃度勾配で20分間溶出した後、10分間60%の0.1%TFA含有アセトニトリル溶液で維持し、PDA(フォトダイオードアレイ)を用いて検出した。
その結果、シンニンギア由来粗タンパク質抽出液では、アピゲニニジンを基質として反応させた場合、反応産物としてアピゲニニジン5-O-グルコシドが同定された(図1)。それに対し、調べた他の植物ペチュニア、タバコ、リンドウ、トレニア由来の各粗タンパク質抽出液を用いてアピゲニニジンを基質と反応させた場合は、配糖体を含む反応産物(アピゲニニジン5-O-グルコシド等)は全く検出されなかった。トレニア由来の粗タンパク質抽出液を用いて行って得た結果を図2に例示する。
このようにシンニンギア花弁抽出物では、調べた他の植物では検出されなかった3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基に対するグルコシル基転移活性が、検出された。従ってシンニンギア花弁中には、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基に対するグルコシル基転移活性を有する酵素が、植物特異的に存在すると考えられた。
[実施例2]3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基に対するグルコシル基転移活性を有する酵素をコードするシンニンギア遺伝子の単離
(1)RNAの調製
シンニンギア(Sinningia cardinalis)の花弁から、Fast RNA pro Kit(フナコシ)を用いて、製造業者の使用説明書に従って全RNAの抽出及び精製を行うことにより、全RNAを調製した。
(2)縮合PCR
調製した全RNAを鋳型として、GeneRacer kit(Invitrogen)を用い、製造業者の使用説明書に従ってcDNAを合成した。合成したcDNAを鋳型として、植物二次代謝産物配糖化酵素のサブファミリーであるUGT88に属する配糖化酵素遺伝子の保存アミノ酸配列を基に設計した縮重プライマー(UGT88U1: 5'-GTIRTITWYHTNTGYTTYGG-3'(I:イノシン)、UGT88L2: 5'-CCANCCRCARTGNSWNACRAA-3'(N:A、T、G又はC))を用い、PCR反応を行った。PCR反応液は、1μl cDNA、1 x Exバッファー、0.2mM dNTPs、5 μM各プライマー、0.5単位 Ex Taqポリメラーゼ(タカラバイオ)を含む総体積50μlとして調製した。PCRは、94℃で1分30秒反応させた後、94℃で20秒、45℃で40秒、72℃で1分の反応を35サイクル行い、最後に72℃で10分間保持することにより行った。得られた反応産物を1.6%アガロースゲルで電気泳動し、予想されるサイズ(約300bp)のDNA断片を回収した。回収したDNA断片を常法によりpCR4 TAベクター(Invitrogen)中にクローニングした。このようにして得られたプラスミドのいくつかのクローンをABI BigDye Terminator cycle sequencing reaction ver.1.1(Applied Biosystems Japan)を用いたシークエンス反応に供し、DNA Sequencer model 3130(Applied Biosystems Japan)を用いて、クローニングしたDNA断片の塩基配列を決定した。
決定した塩基配列についてはその後BLASTX検索を行ったところ、既知の糖転移酵素遺伝子に相同性の認められるクローンを複数個見出した。そのうち2つのクローンを選択し、それらに対応する全長遺伝子(ScUGT4、ScUGT5)の単離を以下の通り行った。
(3)RACE法による全長遺伝子の単離
ScUGT4とScUGT5の部分cDNAの増幅をRACE法に従って行った。まず上記で調製したシンニンギア花弁由来の全RNAを鋳型として、ScUGT4とScUGT5のそれぞれの3'及び5'RACE cDNA断片を、GeneRacer kit(Invitrogen)を製造業者の説明書に従って用いて合成した。次いで、合成したcDNA断片を鋳型として、以下に示すプライマーとGeneRacerキットに添付のアダプタープライマーを組み合わせてPCRを行った。ScUGT4に対しては、3'RACE用プライマーとしてScUGT88-4_U14(5'-TTCACCGCAGCTCAATTACACGAAACAG-3')、5'RACE用プライマーとしてScUGT88-4_L58(5'-CACCACCCAAATGAAATCTTGCCCTGAG-3')を、またScUGT5に対しては、3'RACE用プライマーとしてScUGT88-5_U43(5'-AAAAGGGTTGGAAAGAAGTGGTCAGAGG-3')、5'RACE用プライマーとしてScUGT88-5_L178(5'-CTCCACCACCATTCCCCTGTCTTTAGTC-3')を、それぞれの縮合PCR断片の内部配列に基づいて設計した。用いたPCR反応液は、1μl cDNA、1 x High Fidelity PCR Buffer(Invitrogen)、0.2mM dNTPs、0.6μM GeneRacer primer(アダプタープライマー)、0.2μM 各RACE用プライマー、2mM MgSO4、2.5 unit Platinum Taq DNA Polymerase High Fidelityを含む総体積50μlとして調製した。PCRは、94℃で2分反応させた後、94℃で30秒、72℃で2分の反応を5サイクル;94℃で30秒、70℃で2分の反応を5サイクル;94℃で30秒、60℃で30秒、68℃で2分の反応を25サイクルのタッチダウンPCRを行い、最後に68℃で10分間保持することにより行った。PCR完了後の反応液を1.0%アガロース電気泳動にかけ、増幅産物のバンドを切り出し、GeneCleanII(フナコシ)を用いて増幅産物(DNA断片)を回収した。回収したDNA断片をpCR4 TAベクター(Invitrogen)中に常法によりクローニングした。このようにして得られたプラスミドのいくつかのクローンをABI BigDye Terminator cycle sequencing reaction ver.1.1(Applied Biosystems Japan)を用いたシークエンス反応に供し、DNA Sequencer model 3130を用いて各クローンの塩基配列を決定した。次いで、決定した塩基配列から、GENETYX-MAC Ver.12.0(ジェネティックス社)を用いてScUGT4及びScUGT5遺伝子の完全長cDNA配列を構築し、さらに該遺伝子にコードされる推定アミノ酸配列を決定した。
その結果、ScUGT4の完全長cDNA配列(配列番号1)は、その129番目(129位)〜1565番目(1565位)の配列(1,437塩基対;すなわち、オープンリーディングフレーム;なお1563位〜1565位は終止コドン)に478アミノ酸残基からなるタンパク質(配列番号2)をコードすることが示された(図3)。
一方、ScUGT5の完全長cDNA配列(配列番号3)は、その7番目の塩基(7位)〜1434番目の塩基(1434位)の配列(1,428塩基対;すなわち、オープンリーディングフレーム;1432位〜1434位は終止コドン)に475アミノ酸残基からなるタンパク質(配列番号4)をコードすることが示された(図4)。
ScUGT4とScUGT5のタンパク質コード領域間の塩基配列相同性は49.2%、アミノ酸配列間の相同性は28.7%であった。
[実施例3]ScUGT4およびScUGT5遺伝子から発現された組換えタンパク質の発現及び調製
(1)ScUGT4およびScUGT5のタンパク質コード領域のクローニング
前述の実施例で得たシンニンギア花弁由来の全RNAを鋳型として、GeneRacer Kit(Invitrogen)を製造業者の説明書に従って用いて逆転写反応を行い、cDNAを合成した。次いで合成したcDNAを鋳型として、ScUGT4及びScUGT5の各タンパク質コード領域全長をPCR増幅した。このPCRでScUGT4増幅用に用いたプライマーScUGT88_4start-U(CACC)(5'-caccATGGGTCAATTACATATTGTCTTTCTTC-3')は、大腸菌発現用pETベクターへのクローニングに利用するためのDirectional cloning用配列(小文字で示す)とScUGT4遺伝子の開始コドン部位から始まる部分配列とからなるように設計した。ScUGT4増幅用に用いたもう一つのプライマーScUGT88_4stop-L(5'-TTAATCTTGTTTTCTTGAAAGTGGATAG-3')は、終止コドン部位で終わる部分配列を含むように設計した。PCRでScUGT5増幅用に用いたプライマーScUGT88_5start-U(CACC)(5'-caccATGGAAGACACAATAGTCTTGTATCC-3')とScUGT88_5stop-L(5'-TTAATTTCCAAACCAGACATGGACTAC-3')も同様に設計した。PCR反応液は、1μl cDNA、1 x High Fidelity PCR Buffer(Invitrogen)、0.2mM dNTPs、0.2μM 各プライマー、2mM MgSO4、2.5 unit Platinum Taq DNA Polymerase High Fidelityを含む総体積50μlとして調製した。PCRは、94℃で2分反応させた後、94℃で30秒、55℃で30秒、68℃で2分の反応を30サイクル行い、最後に68℃で10分間保持することにより行った。得られた反応産物を0.8%アガロースゲル電気泳動で確認した。目的のサイズのDNA断片を回収し、それをChampion pET Directional TOPO Expression Kit(Invitrogen)中の大腸菌発現用pETベクターであるpET100/D-TOPOベクター(Hisタグ含む)中に連結した後、大腸菌DH5αに導入して形質転換した。こうして得られたプラスミドのクローンを鋳型として、BigDye Terminator Ver. 1.1を用いたサイクルシークエンシング反応を行い、ABI3130 Genetic Analyzerを用いて塩基配列決定を行うことにより、クローニングしたDNA断片の塩基配列が前記実施例で決定したScUGT4及びScUGT5の当該塩基配列と一致することが確認された。そこで、大腸菌発現用pETベクター中にScUGT4のタンパク質コード領域、ScUGT5のタンパク質コード領域を組み込んだものを、それぞれpET-ScUGT4とpET-ScUGT5と名付けた。
(2)組換えタンパク質の発現
pET-ScUGT4及びpET-ScUGT5をそれぞれ用いて、大腸菌Rosetta(DE3)LysS(Novagen)に導入し形質転換した。形質転換株は、アンピシリン100 ppm及びクロラムフェニコール30 ppmを含む3ml Rich培地+グルコース(10g トリプトン、5g 酵母エキス、5g NaCl、2g グルコース)中で37℃にて一晩、振盪培養した。得た培養物2.5mlを、アンピシリン100 ppm及びクロラムフェニコール30 ppmを含む250 ml Rich培地+グルコースに接種し、それを600 nmにおける吸光度が0.6に達するまで30℃で振盪培養し、次いでイソプロピル-β-D-チオガラクトシド(IPTG)を最終濃度1mMになるように添加して30℃で5時間にわたり振盪培養した。その後、培養物を冷却遠心(8000rpm、4℃、20分間)することにより菌体をペレット化して回収した。
(3)組換えタンパク質の単離精製
組換えタンパク質を菌体から抽出するために、回収した菌体のペレットを、2mlの14mM 2-メルカプトエタノールを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に再懸濁し、超音波破砕機により破砕し、それを冷却遠心(7000rpm、4℃、10分間)して、上清を分離した。その上清をHis-GraviTrap(GEヘルスケア)に供して、Hisタグ融合タンパク質として生成された組換えタンパク質を精製した。Hisタグ精製したタンパク質は、Slide-A-Lyzer(MW=7,000、フナコシ)を用いて1 x PBS緩衝液で透析した後、Amicon Ultra-4遠心式フィルターユニット30K(日本ミリポア)により限外濾過した。得られた溶液の濃度は2.5μg/μlに調整した。この溶液を組換えタンパク質溶液とし、下記の酵素活性測定に用いた。こうして得た2種の組換えタンパク質溶液には、組換えタンパク質ScUGT4、ScUGT5がそれぞれ含まれるはずである。
[実施例4]ScUGT4及びScUGT5遺伝子から発現された組換えタンパク質の酵素活性測定と酵素反応産物の同定
実施例3で得られた組換えタンパク質液のそれぞれについて、以下の通り酵素活性測定を行った。組換えタンパク質液4μl(組換えタンパク質10μg)に5μl 1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、2μlの1.25 mg/mlアピゲニニジン又はルテオリニジン(フナコシ株式会社)、1μlの0.1M UDP-グルコースを含む総体積50μlの反応液を、30℃で30分間反応させた。次いで1%塩酸を含むメタノール50μlを加えて反応を停止させ、遠心し上清を分析サンプルとした。ネガティブコントロールとして、Champion pET Directional TOPO Expression Kit(Invitrogen)に添付されているpET-LacZを形質転換したRosetta (DE3) pLysSからScUGT4及びScUGT5組換えタンパクと同様の条件で精製したLacZタンパク質を用いた。
分析サンプルのHPLC分析は、逆層カラムAsahipak ODP-50(φ4.6mm×250mm、昭和電工)を用い、カラム温度40℃で行った。流速0.6ml/minにて0.1%TFA溶液に対して10%から60%の、0.1%TFA含有アセトニトリル溶液による直線的濃度勾配で20分間溶出した後、10分間60%の0.1%TFA含有アセトニトリル溶液で維持し、PDAを用いて検出した。
こうして得た、各組換えタンパク質を用いた基質別の酵素反応結果を図5及び6に示す。図5に示される通り、組換えタンパク質ScUGT4に、3-デオキシアントシアニジンに属するアピゲニニジンを基質として反応させた場合には、反応産物として2つの配糖体が検出された(図5、上段)。標準物質とのコクロマトグラフィー分析により、検出された反応産物の1つはアピゲニニジン5-O-グルコシドであることが示され、もう1つについては、この実験で配糖化位は特定されなかったもののアピゲニニジン5-O-グルコシドとは異なるアピゲニニジンモノグルコシドであることが示唆された。
組換えタンパク質ScUGT4に対してルテオリニジンを基質として反応させた場合も同様に、反応産物としてルテオリニジン5-O-グルコシドと他の複数のルテオリニジングルコシドが同定された(図5)。
一方、図6に示される通り、組換えタンパク質ScUGT5に、3-デオキシアントシアニジンに属するアピゲニニジンを基質として反応させた場合には、反応産物としてアピゲニニジン5-O-グルコシドのみが生成された(図6)。組換えタンパク質ScUGT5に対し、ルテオリニジンを基質として用いた場合も、反応産物としてほぼルテオリニジン5-O-グルコシドのみが検出された(図6)。
さらに、比較実験として、バラ由来の既知のアントシアニジングルコシルトランスフェラーゼタンパク質(特許文献1)について、基質としてアピゲニニジン及びルテオリニジンを用いて同様の方法で酵素活性測定を行ったが、アピゲニニジン及びルテオリニジンに対する配糖体化活性は検出されなかった。
以上の結果より、ScUGT4及びScUGT5遺伝子がコードするタンパク質ScUGT4及びScUGT5は、いずれもUDP-グルコース:3-デオキシアントシアニジン5-O-グリコシルトランスフェラーゼ活性(すなわち、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基に対してグリコシル基を転移する酵素活性)を少なくとも有する、3-デオキシアントシアニジングリコシルトランスフェラーゼであることが示された。さらにタンパク質ScUGT4は、3-デオキシアントシアニジンに対して5位以外の水酸基へのグリコシル基転移活性も有していた。
本発明のグリコシルトランスフェラーゼを用いて、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基にグリコシル基を転移(配糖体化)することにより、高い安定性や水溶性を有する3-デオキシアントシアニンを製造することが可能になる。これにより、3-デオキシアントシアニジン色素の赤色系の発色を安定化することもできる。また本発明のグリコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を植物等の非ヒト生物に導入して発現させることにより、生物体内に蓄積するフラボノイド化合物の種類を改変することができる。例えば、植物(特に青色系の花弁や果実を有する植物)に該遺伝子を導入することにより、植物の花色や果実の発色を改変したり、植物体内に蓄積される機能性成分を改変したりすることが可能になる。また植物体に3-デオキシアントシアニンを蓄積させることにより、植物に耐病性やストレス耐性を付与することもできる。
図1は、シンニンギア花弁からの粗タンパク質抽出液におけるアピゲニニジンに対するグルコシル基転移活性(配糖化活性)の検出結果を示す図である。上段は花弁由来粗タンパク質抽出液での反応産物、下段は標準物質の検出結果を示す。 図2は、トレニア花弁からの粗タンパク質抽出液におけるアピゲニニジンに対するグルコシル基転移活性(配糖化活性)の検出結果を示す図である。 ScUGT4遺伝子の塩基配列とそれにコードされる推定アミノ酸配列を示す図である。 ScUGT5遺伝子の塩基配列とそれにコードされる推定アミノ酸配列を示す図である。 組換えタンパク質ScUGT4の、アピゲニニジン(A)及びルテオリニジン(B)に対するグルコシル基転移活性(配糖化活性)の検出結果を示す図である。(A)及び(B)の上段は組換えタンパク質での反応産物、下段はLacZでの対照サンプルの検出結果を示す。 組換えタンパク質ScUGT5の、アピゲニニジン(A)及びルテオリニジン(B)に対するグルコシル基転移活性(配糖化活性)の検出結果を示す図である。(A)及び(B)の上段は組換えタンパク質での反応産物、下段はLacZでの対照サンプルの検出結果を示す。
配列番号5〜14はプライマーである。

Claims (8)

  1. 以下の(a)〜(d)のいずれかのDNAからなる、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するグルコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子。
    (a) 配列番号1に示される塩基配列上の少なくとも129位〜1565位を含む塩基配列からなるDNA
    (b) 配列番号3に示される塩基配列上の少なくとも7位〜1434位を含む塩基配列からなるDNA
    (c) 配列番号2又は4に示されるアミノ酸配列をコードするDNA
    (d) 配列番号2若しくは4に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するタンパク質をコードするDNA
  2. 以下の(a)又は(b)である、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するグルコシルトランスフェラーゼタンパク質。
    (a) 配列番号2又は4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b) 配列番号2若しくは4に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するタンパク質
  3. 請求項1に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
  4. 請求項1に記載の遺伝子又は請求項3に記載の組換えベクターで形質転換された宿主細胞。
  5. 請求項1に記載の遺伝子又は請求項3に記載の組換えベクターを含むトランスジェニック植物。
  6. 請求項に記載の宿主細胞において前記遺伝子を発現させてタンパク質を産生させることを含む、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するグルコシルトランスフェラーゼタンパク質の製造方法。
  7. 請求項1に記載の遺伝子又は請求項3に記載の組換えベクターを用いて無細胞タンパク質合成系でタンパク質を産生させることを含む、3-デオキシアントシアニジンの5位の水酸基へのグルコシル基転移活性を有するグルコシルトランスフェラーゼタンパク質の製造方法。
  8. 請求項2に記載のグルコシルトランスフェラーゼタンパク質を3-デオキシアントシアニジンと反応させることを含む、3-デオキシアントシアニジンを配糖化する方法。
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