JP5278942B2 - タンパク質短寿命化ペプチドをコードする遺伝子及びその使用方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タンパク質を不安定化し、生体内でのタンパク質の寿命を短縮する技術に関する。より詳細には、本発明はタンパク質短寿命化ペプチドを標的タンパク質(例えば、ルシフェラーゼ等のレポータータンパク質)に融合し、標的タンパク質の生体内での寿命を短縮する技術、及びそれを利用して生体内での遺伝子発現をより正確に観察する技術に関する。
生命科学の分野では、細胞内カルシウム量の変動、細胞内タンパクのリン酸化、エネルギーであるATPの分布或いは遺伝子の転写活性の測定など、細胞内に起きるさまざまな現象を解析することが大変重要である。発光甲虫発光酵素ルシフェラーゼプローブは、レポーター遺伝子として細胞に与える外来因子の影響の評価、細胞内情報伝達の伝播、或は個々のタンパク群の発現解析等に用いられている。例えば、ルシフェラーゼ遺伝子に転写活性領域を挿入し、それを導入した培養細胞を一定時間、薬剤等で処理した後、細胞を集め、発光基質を加えることで、細胞内で合成されたルシフェラーゼ量を測定、転写活性を評価するシステム等が知られている。ルシフェラーゼをレポータータンパク質として用いた分析系は、発光量から転写活性を評価するので定量性に優れており、既にルシフェラーゼの発光量測定を利用したシステム関連製品が多く開発され、市販化されている。
ルシフェラーゼ等のレポータータンパク質を用いて、遺伝子発現の経時的な変化(例えば、プロモーター転写活性のダイナミックな増減変動)をモニターする場合、比較的安定で長いレポータータンパク質の活性型としての寿命によって、正確な測定が阻害される場合がある。これは、レポータータンパク質が、その発現が検出された後も安定に存在し、シグナルを発し続けるため、その後のモニタリングにおけるバックグラウンドを増大させる結果となるためである。よって、ある刺激に対する生体の反応をレポータータンパク質の発現量の変化によって正確且つ適切に(タイムラグなく)観察・評価するためには、レポータータンパク質が発現し、そのシグナルが検出された後、迅速に分解(不活性化)されることが重要である。
従来、ルシフェラーゼ蛋白質又はそのmRNAを不安定化するために、ポリAシグナルを欠如させたり、c‐fos、c‐jun、c‐myc、GM‐CSF、IL‐3、TNF‐α、IL‐2、IL‐6、IL‐8、IL‐10、ウロキナーゼ、bcl‐2、Cox‐2、PAI‐2、等の種々の遺伝子由来の配列をルシフェラーゼ遺伝子に連結させたり試みがなされている。もっとも一般的な方法として、ルシフェラーゼ蛋白質を不安定化するPEST配列を利用することが多く、既に市販されたルシフェラーゼベクターの中に組み込まれた例もある。タグとして使用されるPEST配列は、オルニチンデカルボキシラーゼの3’末端又はその変異体が好ましい。特には哺乳類由来のものが好ましく、一般的によく使用されるのはマウス由来のものである。なお、PESTは、プロリン(P)、グルタミン酸(E)、セリン(S)及びスレオニン(T)の豊富なアミノ酸配列を指し、PEST配列を含むタンパク質は半減期が短いことが知られている。しかしながら、細胞内の安定性の高いコメツキムシ由来ルシフェラーゼでは、PEST配列を付加しても、半減期は5時間以上であり、また、通常のホタルルシフェラーゼでも1時間以上である。
細胞内での早い遺伝子応答、例えば、化学物質に応答する免疫系細胞や体内時計評価細胞内の応答を的確に評価するために、より半減期の短いルシフェラーゼの構築が必要である。外来因子が生体に与える影響を評価することは、薬剤を評価し新薬を開発する上で、或いは化学物質の毒性を評価する上でも大変に重要である。従来、マウスなどの生物個体を用いた計測・評価から、細胞組織・集団を用いた計測・評価が、さらに一つの細胞レベルで細胞間、細胞内の情報変化より外来因子を評価することが行われつつある。よって外来因子を評価する上で、細胞間、細胞内を評価するための細胞内で速やかに合成され、壊される、いわゆる半減期の短い分子プローブが重要となっている。
一方、ルシフェラーゼを短寿命化するには、酵素活性をできるだけ阻害せず、また、ベクターとして大きなサイズになることをできるだけ避けるため、適切なペプチド配列のタグとして挿入することが望ましい。
これに対して、タンパク質の安定性を評価するため、レポータータンパク質の一つである緑色蛍光タンパク質GFPと対象タンパク質の融合構築物を作成し、蛍光の減衰より不安定タンパク質をスクリーニングした結果、カルパイン、ATP合成酵素、CGI89タンパク質などが安定性の低いタンパク質であることが明らかになった。しかしながら、GFPはルシフェラーゼの半分の大きさであり、短寿命化ルシフェラーゼを構築するためには、単に不安定タンパク質を融合するだけでは答えとはならない。ここでも不安定タンパク質の適切なペプチド配列をタグとして挿入することが望ましい。
WO2004/99421 Sala-Newby GB et al.: Imaging bioluminescent indicators shows Ca2+ and ATP permeability thresholds in live cells attacked by complement. Immunology. 1998 Apr;93(4):601-9. Ozawa T et al.: Split luciferase as an optical probe for detecting protein-protein interactions in mammalian cells based on protein splicing. Anal Chem. 2001 Jun 1;73(11):2516-21. BaggettB et al.: Thermostability of firefly luciferases affects efficiency of detection by in vivo bioluminescence. Mol Imaging. 2004 Oct;3(4):324-32. Xin Jiang et al.: Development of a method for screening short-lived proteins using green fluorescent protein. Genome Biology 2004, 5:R81.
本発明は、標的のタンパク質と融合させることによって標的タンパク質を短寿命化することができるペプチドをコードする遺伝子、及びその遺伝子を用いたタンパク質の短寿命化方法を提供することを標的とする。また、本発明は前記の方法を用いて短寿命化されたレポータータンパク質を利用して、より正確にプロモーター活性分析をする方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑みて検討を重ねた結果、カルパインのC末端領域の一部のペプチド配列をレポータータンパク質であるルシフェラーゼと融合することで、ルシフェラーゼの細胞内寿命が、PEST配列と融合した場合と比較して1/3以下になることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下のタンパク質短寿命化ペプチドをコードする遺伝子、それを用いたタンパク質短寿命化方法、及びプロモーター活性の分析方法を提供する。
項1. 以下の(1)〜(4)のいずれか塩基配列を有する、タンパク質短寿命化ペプチドをコードする遺伝子:
(1) 配列番号1の第1105〜1230番目の塩基で表される塩基配列;
(2) 配列番号2の第369〜410番目のアミノ酸で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列;
(3) 配列番号2の第369〜410番目のアミノ酸で表されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が置換、付加、欠失若しくは挿入され、且つ配列番号2の第369〜410のアミノ酸で表されるペプチドと実質的に同一のタンパク質短寿命化活性を有するペプチドをコードする塩基配列;
(4) 上記(1)〜(3)の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つ配列番号2の第369〜410番目のアミノ酸で表されるペプチドと実質的に同一のタンパク質短寿命化活性を有するペプチドをコードする塩基配列。
項2. プロモーター配列と、前記プロモーターの制御下にレポータータンパク質をコードする塩基配列及び項1に記載の遺伝子の塩基配列とを有する遺伝子構築物。
項3. レポータータンパク質がルシフェラーゼである、項2に記載の遺伝子構築物。
項4. 項2又は3のいずれかに記載の遺伝子構築物を含む発現ベクター。
項5. 項2〜4のいずれかに記載の遺伝子構築物を、一過的又は安定的に発現するように導入された生物又はその一部。
項6. 項5に記載の生物又はその一部を異なる条件下で培養し、レポータータンパク質のシグナルを測定し、プロモーターの転写活性を比較することからなる、プロモーター活性の分析方法。
項7. 項6に記載の生物又はその一部を被検化合物の存在下及び非存在下で培養し、レポータータンパク質のシグナルを測定し、プロモーターの転写活性を比較することからなる、前記被検化合物のプロモーターに対する影響を評価する方法。
項8. 以下の工程を含む、標的タンパク質を短寿命化させる方法:
(1) 項1に記載の遺伝子を、標的タンパク質をコードする遺伝子と連結させる工程、
(2) 工程(1)で得た組換え遺伝子を、発現ベクターに取り込む工程、
(3) 工程(2)で得た発現ベクターを宿主細胞に導入し、発現させる工程。
本発明によれば、標的タンパク質の生体内での寿命を有意義に短縮化することができる。例えば、本発明の短寿命化ペプチドを融合することにより、ルシフェラーゼの生体内での寿命はPEST配列を融合させた場合と比較して、1/3以下になる。このようにして本発明の短寿命化ペプチドを融合させて短寿命化させたレポータータンパク質は、例えば免疫系細胞や体内時計評価細胞内での比較的早い遺伝子応答等を的確に評価する際に特に有用である。これは、短い期間で変化する遺伝子発現を正確に測定するためには、遺伝子発現に伴って新たに発現されるレポーターからのシグナルだけを検出する必要性があり、バックグラウンドとして残る既に測定したレポーターによるシグナルの排除が求められるところ、レポーターの寿命が短いことでそのような重複したレポーターシグナルの検出を避け、バックグラウンドを低減することができるからである。従って、本発明によれば、外的因子による刺激に対する細胞の遺伝的応答(例えばプロモーター活性の変化)を、より正確且つ定量的に測定することができる。このような評価ないし測定は、病態の治療及び検査、並びに新薬開発に利用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、「タンパク質短寿命化」とは、タンパク質を不安定化し、生体内におけるタンパク質の半減期を短縮することを意味する。本発明におけるタンパク質の短寿命化は、短寿命化ペプチドを標的タンパク質に融合することにより、標的タンパク質を含む融合タンパク質のペプチダーゼに対する感受性高め、結果としてより迅速に標的タンパク質がペプチダーゼによって分解されることによると考えられる。タンパク質が短寿命化されることによって、活性型タンパク質はより早く不活性型となる。
本発明における「タンパク質短寿命化ペプチド」とは、上記のように標的タンパク質と融合することによって標的タンパク質の生体内における寿命を短縮する機能を有するペプチドを意味する。一実施形態において本発明のタンパク質短寿命化ペプチドは、配列番号2の369〜410番目のアミノで表されるペプチド、又は前記ペプチドの1又は複数個のアミノ酸が置換、付加、欠失若しくは挿入され、且つ前記ペプチドと実質的に同一のタンパク質短寿命化活性を有するタンパク質である。一実施形態において、本発明の好ましいタンパク質短寿命化ペプチドは、配列番号2の第369〜410番目のアミノ酸で表されるタンパク質短寿命化ペプチドの一部のペプチド断片又は前記ペプチドを含むより大きなペプチド断片あって、配列番号2の第369〜410番目で表される短寿命化ペプチドと実質的に同程度の活性を有するペプチド断片である。このようなペプチド断片としては、例えば、配列番号2の第208〜410番目、第94〜410番目、第379〜410番目のアミノ酸で表される断片である。
本発明における「タンパク質短寿命化ペプチドをコードする塩基配列」とは、上記タンパク質短寿命化ペプチドをコードする任意の塩基配列を含む塩基配列であり、例えば、(1)配列番号1の第1105〜1230番目の塩基で表される塩基配列、(2)配列番号2の第369〜410番目のアミノ酸で表される塩基配列、(3)配列番号2の第369〜410番目のアミノ酸で表されるアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、付加、欠失若しくは挿入され、且つ配列番号2の第369〜410番目のアミノ酸で表されるペプチドと実質的に同一のタンパク質短寿命化活性を有するペプチドをコードする塩基配列、又は前記(1)〜(3)の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を云う。
本発明において、「実質的に同一のタンパク質短寿命化活性」とは、タンパク質短寿命化タンパク質のタンパク質短寿命化活性が、配列番号2の第369〜410番目のアミノ酸で示されるペプチドの有する活性と比較して、実験誤差の範囲内であるか、又はそれ以上の活性を有することを意味する。
本発明において、「ストリンジェントな条件」とは、特異的なハイブリダイゼーションのみが起き、非特異的なハイブリダイゼーションが起きないような条件をいう。このような条件は、通常「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度であり、好ましくは「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」程度であり、更に好ましくは「0.2×SSC、0.1%SDS、65℃」程度である。このようなストリンジェントな条件下で上記(1)〜(3)の塩基配列とハイブリダイズする配列は通常前記(1)の配列と高い相同性を有する。ここで、高い相同性とは、60%以上の相同性、好ましくは、75%以上の相同性、更に好ましくは90%以上の相同性、特に好ましくは95%以上の相同性を意味する。
置換、付加、欠失又は挿入により変異したアミノ酸の数は、配列番号2の第369〜410番目のアミノ酸で示されるペプチドと同程度のタンパク質短寿命化活性を有する限りその個数は制限されないが、好ましくは20アミノ酸以下であり、より好ましくは15アミノ酸以下、更に好ましくは10アミノ酸以下、最も好ましくは5アミノ酸以下である。
本発明において、「レポータータンパク質」とは、その遺伝子が発現して活性型タンパク質が形成されるとシグナルを発し、そのシグナルを介して遺伝子発現を検出することを可能にするタンパク質をいう。よって、本発明のレポータータンパク質は、そのようなシグナルを発する性質を有するタンパク質であれば特に制限されないが、例えば蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、ベータガラクトシダーゼ、ジアホラーゼ、アルカリホスファターゼ、パーオキシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)及びエクオリン等を挙げることができる。好ましくは、ルシフェラーゼであり、より好ましくはホタルルシフェラーゼ、鉄道虫ルシフェラーゼ、ヒカリコメツキルシフェラーゼ、及びイリオモテボタルルシフェラーゼであり、より最も好ましくはヒカリコメツキルシフェラーゼである。
本発明の一実施形態は、プロモーター配列並びに前記プロモーター配列の制御下にレポータータンパク質をコードする塩基配列及び本発明のタンパク質短寿命化ペプチドをコードする塩基配列を有する遺伝子構築物である。ここで云うプロモーター配列とは、短寿命化されたレポータータンパク質からのシグナルを利用して、その性質シグナルが解析される対象となるものである。本発明におけるプロモーター配列とは、プロモーター、エンハンサー及びサイレンサー等のシス作用性遺伝子発現制御配列、或いはその可能性があると考えられる塩基配列を意味し、そのような作用を有する配列であれば特に限定されない。本発明によりレポータータンパク質の寿命が短縮されるため、それを利用して機能を解析する好ましいプロモーターとしては、マウスBmal1プロモーターなど時計遺伝子や化学物質の影響を探る薬剤応答遺伝子のプロモーターなどが挙げられる。
本発明の遺伝子ないし遺伝子構築物を宿主に導入し、発現させることにより、プロモーターの機能や転写活性の変動を測定することができる。本発明の遺伝子構築体を細胞へ導入する方法としては、リン酸カルシウム法、DEAE‐デキストラン法、カチオニックリポソーム法などの化学的手法、アデノウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクターやレトロウイルスベクター、HVJリポソームなどの生物学的手法、エレクトロポレーション、DNA直接注射、遺伝子銃などの物理的手法など、いずれの方法であってもよい。化学的手法やエレクトロポレーション法が一般に手軽で用いられるが、遺伝子導入効率は細胞によって大きく変わる。
本発明における一過的な遺伝子導入とは、対象となる細胞にルシフェラーゼ遺伝子構築物、例えばプラスミド状のもの、を前記方法で遺伝子導入し、導入された細胞・導入されなかった細胞を分離する(安定的に染色体に組み込まれた細胞を選択する)工程を実施することなく、細胞試験に用いることを指す。安定的な遺伝子導入とは、導入された遺伝子が宿主の染色体に組み込まれるように導入することを意味する。
好ましい本発明の一実施形態は、本発明のタンパク質短寿命化遺伝子を含む遺伝子構築物が導入された生物又はその一部である。本発明のタンパク質短寿命化タンパク質をコードする遺伝子を生物に導入することで、特定のタンパク質の寿命が短縮されたトランスジェニック生物を作成することができる。ここで、本発明の遺伝子又は遺伝子構築物を導入する生物とは、特に制限されないが、微生物、植物、動物から必要に応じて選択される。好ましくは、ウシ、ウマ、ヒツジ、サル、ブタ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ等である。また、生物の一部とは、器官、組織、細胞等を意味する。
本発明の遺伝子又は遺伝子構築物を導入する宿主細胞は、特に制限なく原核細胞、真核細胞(例えば、酵母、植物、動物(哺乳類、鳥類、昆虫等))等から必要に応じて適宜選択することができる。好ましくは、ヒト、ウシ、ウマ、ヒツジ、サル、ブタ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ等の哺乳類細胞であり、より好ましくはヒト由来の細胞である。遺伝子導入効率の高い細胞は勿論であるが、遺伝子導入効率の低い細胞を用いての生細胞転写活性測定試験に好ましく適用される。遺伝子導入効率の低い細胞としては、浮遊細胞や正常細胞、初代細胞が挙げられる。特に、ヒト初代細胞は、ドラッグディスカバリーのプロセスにおいてさまざまな治療分野におけるin vitroシステムとして用いられ、生物学的に生物個体に非常に近い細胞アッセイモデルとして、かつオートメーションやハイスループット解析になじみ易いスクリーニングツールとして重要視されている。ヒト初代細胞の例としては、ヒト皮膚微小内管内皮細胞(HMVEC)、ヒト表皮角化細胞(HEK)、ヒト表皮メラニン細胞(HEM)、ヒト皮膚繊維芽細胞(HDF)、ヒト骨格筋細胞(HSkMC)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、ヒト臍帯動脈内皮細胞(HUAEC)、ヒト胎盤上皮細胞(HPIEpC)、ヒト臍帯静脈平滑筋細胞(HUVSMC)、ヒト臍帯動脈平滑筋細胞(HUASMC)、ヒト冠動脈内皮細胞(HCAEC)、ヒト肺動脈内皮細胞(HPAEC)、ヒト大動脈内皮細胞(HAOEC),ヒト心繊維芽細胞(HCF)、ヒト内胸動脈内皮細胞(HITAEC)、ヒト鎖骨化動脈内皮細胞(HScAEC)、ヒト冠動脈平滑筋細胞(HCASMC)、ヒト肺動脈平滑筋細胞(HPASMC)、ヒト大動脈平滑筋細胞(HAOSMC)、ヒト内胸動脈平滑筋細胞(HITASMC)、ヒト鎖骨化動脈平滑筋細胞(HScASMC)、ヒト軟骨細胞(HC)、ヒト骨芽細胞(HOb)、ヒト滑膜細胞(HFLS、HFLS−OA、HFLS−RA)、ヒト気管支上皮細胞(HBEpC)、ヒト胚繊維芽細胞(HLF)、ヒト頭髪毛乳頭細胞(HFDPC)、ヒト前駆脂肪細胞(HPA)、ヒト乳腺上皮細胞(HMEpC)などが挙げられるが、これに限られるものではない。
本発明のタンパク質短寿命化ペプチドを融合させて、標的タンパク質を短寿命化させる場合、本発明のタンパク質短寿命化ペプチドは標的タンパク質のN末端側とC末端側のいずれに融合されてもよいが、好ましくはC末端側である。本発明のタンパク質短寿命化ペプチドと標的タンパク質は、リンカー配列などを解して融合されてもよく、そのような配列を介在なく連続的に融合されていてもよい。
本発明のタンパク質短寿命化ペプチドは、単独で標的タンパク質と融合しても良いが、標的タンパク質の寿命を短縮するという機能を発揮する限りにおいて、他のペプチドと組み合せて標的タンパク質と融合しても良い。他のタンパク質としては、例えば、PEST配列などのタンパク質不安定化配列を挙げることができる。また、本発明のタンパク質短寿命化ペプチドは、2つ以上が連結された状態で標的タンパク質と融合されてもよい。
本発明の好ましい一実施形態は、タンパク質短寿命化タンパク質をコードした遺伝子又はそれを含む遺伝子構築物が導入された生物又はその一部を異なる条件下で培養して、レポータータンパク質のシグナルを測定し、プロモーターの転写活性を比較することから成る、プロモーター活性の分析方法である。ここで、異なる条件とは、例えば、温度、光、撹拌等によるストレスに関する条件、または化学物質、環境ホルモン、薬剤等による液性因子に関する条件等である。
レポータータンパク質のシグナルとは、レポータータンパク質又はレポータータンパク質と他の物質とが反応して発せられる検出可能な信号である。例えば、ルシフェラーゼであれば、ルシフェリンと反応して発せられる蛍光がシグナルとなる。発せられた蛍光は、ルミノメーターを用いて測定可能である。条件の変化に対応して発せられるシグナルを検出し、分析することによって、レポータータンパク質遺伝子の発現を制御しているプロモーターの性質を調べることが可能である。本発明の短寿命化タンパク質によってレポーターの寿命が短縮されているため、比較的短い間隔で変化する条件に対応するプロモーターの応答も正確に測定することが可能である。
本発明の別の好ましい実施形態は、タンパク質短寿命化遺伝子若しくはそれを含む遺伝子構築物が導入された生物又はその一部を被検化合物の存在下及び非存在下で培養し、レポータータンパク質のシグナルを測定し、プロモーターの転写活性を比較することからなる、前記被検化合物のプロモーターに対する影響の評価方法である。ここで、被検化合物とは、特に制限はないが、好ましくは公知の又は新規な薬物であり、目的に応じて適宜選択される。被検化合物の存在下及び非存在下とは、被検化合物の量的な変化をも含む意味である。
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明する。
実施例1
ヒカリコメツキルシフェラーゼcDNAと、カルパイン蛋白質のうち60bpから951bpに分割したペプチド配列部分を連結したルシフェラーゼ群を作製した(図1)。なお、コントロール実験としてマウスオルニチンデカルボキシラーゼのPEST配列を連結した短寿命型ルシフェラーゼを用いた。これらを時計遺伝子マウスBmal1プロモーター下流に挿入したベクター群(Luc‐hCAPN‐C1、‐C2、‐C3、‐C4、‐C5、‐C6、 ‐C7、‐C8、‐C9、‐C12)を作製した。
実施例2
各ベクター群1μgを、35mm培養ディッシュに播種した培養繊維芽細胞NIH3T3にリポフェクション法(リポフェクトアミンプラス)により導入し、24時間37℃で培養後、100μMのシクロヘキシミドを含むDMEM培地を加え、アトー社製AB2500クロノスにセットし、1分間隔で発光量を測定した。PEST配列を連結した短寿命型ルシフェラーゼをコントロールとして同様な方法で測定した。図2は測定した結果の例である。コントロールであるPEST配列を連結した短寿命型ルシフェラーゼは、最大発光強度から徐々に発光量が減衰し、約5時間で半分の発光量となった。代表的な発光の短い融合物としてLuc‐hCAPN‐C2、‐C9があるが、これらの場合、PEST配列を導入したものに比べ、3倍以上早くの発光活性が現象した。
発光量が半分となる時間を半減期(時間)とし、最大発光量の値をその融合物の発光活性とした。図3は、すべての結果をまとめたものである。PEST配列を導入したコントロール融合物に対して、Luc‐hCAPN‐C1(アミノ酸残基94〜410番目)、‐C2(アミノ酸残基203〜410番目)、‐C9(アミノ酸残基369〜410番目)、‐C10(アミノ酸残基379〜410番目)において、より短い半減期を示した。特にLuc‐hCAPN‐C9はアミノ酸残基42個ではあるが、短い半減期を達成することができた。一方、Luc‐hCAPN‐C10の半減期はPEST配列を導入したコントロール融合物と同程度の半減期であるが、発光活性は2倍程度に増加した。
図1は、ヒカリコメツキルシフェラーゼと融合されたカルパインのペプチド断片を示す。 図2は、断片化されたカルパイン配列によるタンパク質短寿命化能を示す。 図3は、カルパインの部分配列とヒカリコメツキルシフェラーゼとの融合タンパク質の半減期及び発行活性を示す。

Claims (8)

  1. 以下の(1)〜()のいずれか塩基配列を有する、タンパク質短寿命化ペプチドをコードする遺伝子:
    (1) 配列番号1の第1105〜1230番目の塩基で表される塩基配列;
    (2) 配列番号2の第369〜410番目のアミノ酸で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列;
  2. プロモーター配列と、前記プロモーターの制御下にレポータータンパク質をコードする塩基配列及び請求項1に記載の遺伝子の塩基配列とを有する遺伝子構築物。
  3. レポータータンパク質がルシフェラーゼである、請求項2に記載の遺伝子構築物。
  4. 請求項2又は3のいずれかに記載の遺伝子構築物を含む発現ベクター。
  5. 請求項2〜4のいずれかに記載の遺伝子構築物を、一過的又は安定的に発現するように導入された非ヒト生物又はその一部あるいはヒトの培養細胞
  6. 請求項5に記載の非ヒト生物又はその一部あるいはヒトの培養細胞を異なる条件下で培養し、レポータータンパク質のシグナルを測定し、プロモーターの転写活性を比較することからなる、プロモーター活性の分析方法。
  7. 請求項に記載の非ヒト生物又はその一部あるいはヒトの培養細胞を被検化合物の存在下及び非存在下で培養し、レポータータンパク質のシグナルを測定し、プロモーターの転写活性を比較することからなる、前記被検化合物のプロモーターに対する影響を評価する方法。
  8. 以下の工程を含む、標的タンパク質を短寿命化させる方法:
    (1) 請求項1に記載の遺伝子を、標的タンパク質をコードする遺伝子と連結させる工程、
    (2) 工程(1)で得た組換え遺伝子を、発現ベクターに取り込む工程、
    (3) 工程(2)で得た発現ベクターを宿主細胞に導入し、発現させる工程。
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