JP5278726B6 - 流水の運動エネルギーを利用するための装置 - Google Patents
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Description
本発明は、特に海の潮流を用いた発電を目的として、流水の運動エネルギーを利用するための装置に関するものであり、この装置は、共通の回転子軸を中心に回転し且つ回転子軸から間隔をおいて回転子軸に対して平行に配置された各スイベル軸を中心に揺れ動く複数の圧力面部材を有し、圧力面部材は振子のようにスイベル軸に固定され、回転子軸とスイベル軸との間のラジアル平面上には圧力面部材用のストップエレメントが配置されている。
潮力発電所は、潮の干満によって発生する水の位置エネルギーと運動エネルギーを発電のために利用する水力発電所であり、一般的には河口や海湾に設置される。潮力発電所を設置するのに適している湾は、例えば、堰と機械室の備わった堤防で仕切られる。
潮が満ちてくると、湾は堰が開いた状態で潮で満たされ、最高の水レベルに達すると堰が閉じられる。落下高さが最高に達して潮が引いた時、湾にたまった水を発電に利用する。
この種の装置は、流水のエネルギーを利用するために、川筋を使用することも可能である。川筋で使用する場合には、流れが一定であるため、潮の干満間の待機時間を顧慮する必要がないという利点がある。
この種の装置は、特許文献1に開示されている。この従来の装置では、圧力面部材が夫々の回転軸を通じて、回転子軸から径方向に伸びる支持アームに固定されている。
ドイツ特許第10061450号
本発明の主たる課題は、上述の如き種類の汎用な装置を提供することにある。更に、この種の装置は、それ自体浮力を有し、全体として軽量に設計されていなければならない。
本発明に基づく最初の提案によれば、この課題は、回転子軸の両端近傍に回転子軸に対して径方向に延びるように配置された支持盤に、圧力面部材のスイベル軸の両端を固定し、支持盤を少なくとも二重壁構造として構成することにより達成される。
上述した如く、特許文献1に開示されている従来の装置においては、圧力面部材が夫々の回転軸を通じて、回転子軸から径方向に伸びる支持アームに固定されている。これに対し、本発明では、支持アームの代わりに、少なくとも二重壁構造として構成した支持盤を用いることが提案されている。
本発明の特徴をより明らかにするべく、本発明の実施形態を示した図面を用いて、本発明について以下の通り詳細に説明する。
本発明に係る装置は、同装置を水底2に設置するための、または二つの固定点の間でロープ等を介して固定するための台1と、台1に支持された回転子11とを有している。茲で、水底2とは、例えば、海底や川底等である。台1は、互いに連結された複数の形鋼から構成されており、それの軸受4には回転子11の回転子軸3が水平方向に支持されている。回転子軸3には、少なくとも二重壁構造に構成された二つの中空状支持盤5が回転子軸3と一体となって回転できるように固定されている。両支持盤5は、互いに平行に間隔を置いて回転子軸3の両端近傍に配置されて、回転子軸3に対して径方向に延びている。
支持盤5には、複数の圧力面部材6が複数のスイベル軸7を介して支持されている。各圧力面部材6は、対応のスイベル軸7を中心として振り子のように揺れ動くように対応のスイベル軸7に支持されている。複数のスイベル軸7は、回転子軸3から放射方向に離間配列され、回転子軸3と平行に且つ支持盤5の面に対して垂直になった状態で支持盤5間を伸びて、両端部で支持盤5に支持されている。また、圧力面部材6用の複数のストップエレメント10が、回転子軸3とスイベル軸7との間で放射状に離間配列され、それらストップエレメント10の両端部は支持盤(5)に支持されている。図示実施例においては、各ストップエレメント10は、両端部を支持盤5に支持されたバーにて構成されている。
図3に示したように、各圧力面部材6も、少なくとも二重壁構造の中空状に形成され、スイベル軸7から遠ざかるにつれて尖った形状に形成されている。また、図1及び図3に示したように、圧力面部材6の各々の、スイベル軸7から見て圧力面部材6の反対側には補助圧力面部材8が設けられている。
支持盤5の回転円に対して非対称で且つ水流の流動方向に横向きになって配列されるように第二の補助圧力面部材を支持盤5に設けてもよい。回転子軸3は、水中発電装置のローターシャフトとして構成することもできる。
台1には、例えば、本発明に係る装置を川底またはフィヨルドに固定できるように、ロープを打ちつけることができる。
本発明による装置の支持盤5は高強度に構成されている。支持盤5の二重壁構造は、例えば空気などの気体を入れ込むことによって、支持盤5を軽量化させることを可能にする。この支持盤5は金属製であり、それの中空部が周辺から遮断されていない場合に、支持盤5の内側に水が浸入することが可能となる。そこで、支持盤5に電流を流すことによって、支持盤5の二重構造の内側壁と外側壁との間の空間内で酸素を生成する電解プロセスを引き起こさせるように支持盤5を構成することができる。それによっても、支持盤5の重量を軽くすることができる。酸素の生成は、整備の目的で装置を浮揚させるためにも利用できる。
支持盤5を圧力面部材6の支持手段として構成することによって、従来の装置におけるような別々の支持アームと比較して、支持盤5の水に対する抵抗が少なくなるため、支持手段が流体力学的に最適なものとなる。支持盤5は機械的に安定しているので、例えば、直径が10mの支持盤5を実現することができ、しかも、支持手段としての支持盤の製造が簡略化される。更に、装置の二つの支持盤5の間に水流を導くことができる。
一つの支持盤5には、両側から圧力面部材を付けることができる。このようにして、例えば、多数の圧力面部材がある軸に沿って、複数の支持盤が配置されるという形態の装置を構成してもよい。この場合、圧力面部材はそれぞれグループで配置され、各グループは隣り合う二つの支持盤の間に位置する。
また、各圧力面部材6は、例えば、金属製の平面部材を用いて二重構造に構成し、圧力面部材内の電解プロセスで酸素を生成することができる。生成される酸素によって、浮力を発生させることができるため、圧力面部材6がスイベル軸7に対する回転位置であまり垂れ下がらなくなる。圧力面部材6は一層軽くなるため、水流によって生じる回転運動がより起こりやすくなる。
二重壁構造の圧力面部材6と、圧力面部材6の支持手段となる二重壁構造の支持盤5という、本願発明の本質的な特徴を組み合わせることが可能である。
上述した如く、圧力面部材6の、スイベル軸7から見て圧力面部材6の反対側に、補助圧力面部材8が設けられており、それによって、圧力面部材がスイベル軸を越えて延長される。この補助圧力面部材によって、圧力面部材6の表面積が拡大するので、水流に対する圧力面部材6の抵抗が高まる。しかし、表面積が拡大しても、圧力面部材6の回転は妨げられない。
本発明による装置は、例えば、水中発電装置の如き発電装置の駆動装置として利用することができ、回転子が垂直な状態又は水平な状態になるように装置を設置することができ、海底又は川底に設置される土台に着脱自在に固定することができる。支持盤5は、水中発電装置の正面に配置してもよい。尚、茲で言う垂直・水平の向きは、必ずしも正確である必要はない。本発明に係る装置は、多数のユニットで、海底又は川底の地形に幅広く合わせて設置することができる。潮流のある領域の場合には、潮の干満間の転流による停止時間が比較的短く、また、川底に設置する場合には、停止時間が無いため、地理的に異なる個所に設置される多数の装置を連結することによって、全体として経済的に利用することができる。数個の大きなユニットのみならず、多数の小さいユニットを用いても経済的な利用を実現することができる。ここでは、設計が非常に簡単で非常に安価に製造することができることと、設備不要であることが条件となる。本発明による装置は、これらの要請に応えることができる。
本発明に係る装置は、回転子軸を中心として完全に対称に構成されており、潮水の転流の際の始動特性を向上させる措置を講じることが好ましい。設計全体の枠内で、この措置は技術上なるべく簡単でなければならない。そのため、回転子に作用する始動モーメントを生成するべく、水中発電装置をモーター運転に切り替えることができれば、十分な措置と考えられる。発電装置の回転方向は自由である。代替として、始動支援手段としての第二の補助圧力面部材を用いることができる。この第二の補助圧力面部材は、支持盤の回転円に対して非対称に配列されるように、上述した如く、支持盤の外側に固定することができる。
また、本発明による装置は、上述した如く回転子11を支持する支持台1を有している。この支持台1は、水底にある土台に固定してもよいし、支持台1を別の手段で設置場所に固定することもできる。例えば、複数の固定点の間に取り付けることができる。固定手段としては、上述した如く、ロープ等を挙げることができる。
こうして、ロープ等を用いて、川底やフィヨルド等に装置を簡単に且つ速やかに固定することができる。この場合には、土台の建設も不要で、大規模な建設作業や廃棄の際の取り除き作業も不要である。本発明に係る装置は、なるべく安定して配置できる表面に設置され、ロープ等で固定することができる。本発明に係る装置を、海底又は川底の表面に直接配置した場合には、設置高さが高くならないので、水レベルが低くても利用することができる。本発明に係る装置をロープ等で固定することができるので、フィヨルド等の深い水の中にも設置することができる。例えば、フィヨルドの両壁から垂れ下がる形で配置することも可能である。
Claims (13)
- 流水の運動エネルギーを利用するための装置であって、回転子(11)を有し、
前記回転子(11)が、
互いに離間配列された一対の支持盤(5)と、
前記一対の支持盤(5)間を伸びて両端部が前記一対の支持盤(5)を貫通し、前記一対の支持盤(5)と一体となって回転するように前記一対の支持盤(5)に支持された回転子軸(3)と、
前記回転子軸(3)から放射方向に離間配列されて、前記回転子軸(3)と平行に前記一対の支持盤(5)間を伸びて、両端部で前記一対の支持盤(5)に支持された複数のスイベル軸(7)と、
夫々対応のスイベル軸(7)に該対応のスイベル軸を中心として振子のように揺れ動くように支持された複数の圧力面部材(6)と、
前記スイベル軸(7)と前記回転子軸(3)との間で放射状に配列されて、両端部で前記一対の支持盤(5)に支持された、前記圧力面部材(6)用の長尺な複数のストップエレメント(10)と、
前記スイベル軸(7)から見て前記圧力面部材(6)の反対側に配置された第一の補助圧力面部材(8)と、
流水の流動方向に対して横向きになって配列されるように前記一対の支持盤(5)に設けられた第二の補助圧力面部材を有し、
前記一対の支持盤(5)の各々が二重壁構造に形成され、該各支持盤(5)に電流が流された時に前記二重壁構造の内側壁と外側壁との間の空間内で酸素を生成する電解プロセスが引き起こされることにより、前記各支持盤(5)が水中で軽量化されるように構成されていることを特徴とする、流水の運動エネルギーを利用するための装置。 - 流水の運動エネルギーを利用するための装置であって、回転子(11)を有し、
前記回転子(11)が、
互いに離間配列された一対の支持盤(5)と、
前記一対の支持盤(5)間を伸びて両端部が前記一対の支持盤(5)を貫通し、前記一対の支持盤(5)と一体となって回転するように前記一対の支持盤(5)に支持された回転子軸(3)と、
前記回転子軸(3)から放射方向に離間配列されて、前記回転子軸(3)と平行に前記一対の支持盤(5)間を伸びて、両端部で前記一対の支持盤(5)に支持された複数のスイベル軸(7)と、
夫々対応のスイベル軸(7)に該対応のスイベル軸を中心として振子のように揺れ動く
ように支持され且つ少なくとも二重壁構造に構成されて中空内部を形成している複数の圧力面部材(6)と、
前記スイベル軸(7)と前記回転子軸(3)との間で放射状に配列されて、両端部で前記一対の支持盤(5)に支持された、前記圧力面部材(6)用の長尺な複数のストップエレメント(10)を有し、
前記一対の支持盤(5)の各々が二重壁構造に形成され、該各支持盤(5)に電流が流された時に前記二重壁構造の内側壁と外側壁との間の空間内で酸素を生成する電解プロセスが引き起こされることにより、前記各支持盤(5)が水中で軽量化されるように構成されていることを特徴とする、流水の運動エネルギーを利用するための装置。 - 前記複数の圧力面部材(6)の各々の、前記スイベル軸(7)から見て前記圧力面部材(6)の反対側に配置された補助圧力面部材(8)を更に有している、請求項2に記載の装置。
- 前記回転子軸(3)が水平に配置され、前記一対の支持盤(5)が前記回転子軸(3)に対して垂直に配置されている、請求項1〜3の何れかに記載の装置。
- 前記装置が水中発電装置の駆動装置として用いられ、前記回転子(3)が前記水中発電装置のローターシャフトとして構成されている、請求項1〜4の何れかに記載の装置。
- 前記回転子(11)を支える支持台(1)を更に有し、前記回転子軸(3)が回転自在にその両端部で前記支持台(1)に支持されている、請求項1〜5の何れかに記載の装置。
- 前記支持台(1)が固定手段を用いて設置場所に取り付けられるようになっている、請求項6に記載の装置。
- 前記固定手段がロープを含んでいる、請求項7に記載の装置。
- 前記装置が、前記回転子(11)に作用する始動モーメントを生成するために、瞬時に前記水中発電装置をモーター運転に切り替えることができるよう構成されている、請求項5に記載の装置。
- 前記回転子(11)を支える支持台(1)を更に有し、前記回転子軸(3)が回転自在にその両端部で前記支持台(1)に支持されている、請求項9に記載の装置。
- 前記支持台(1)が固定手段を用いて設置場所に取り付けられるようになっている、請求項10に記載の装置。
- 前記固定手段がロープを含んでいる、請求項11に記載の装置。
- 流水の流動方向に対して横向きになって配列されるように前記一対の支持盤(5)に設けられた補助圧力面部材を更に有している、請求項2〜12の何れかに記載の装置。
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