JP3160105U - 浮体水車発電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】水車用水路のみならず一般河川に設置が可能で、コンパクトにして、さらに暴風雨等で増水し水位が上昇した時には、簡単に避難させることのできる浮体水車発電機を提供する。【解決手段】中空筒状ドラム20のドラム両端面22からドラム軸25をそれぞれ突出し且つドラム20の外周筒面21aに複数の羽根24を固着して、浮力で水面に浮くことのできる浮体水車2と、前記ドラム軸25を先端部で軸支して浮体水車2を保持する一方、架台1に回動自在に支持されて、該架台1に吊設される一対のアーム3と、該アーム3に固着される発電機4と、ドラム軸25の回動を発電機4の電動軸42に伝達する伝動手段5とを具備して、水面90に浮体水車2が浮いて水の流れで回転し、且つ上下変動する水面90に対し、アーム3が回動して浮体水車2が水面90に浮く状態を保ち、伝動手段5を介して、流水9から浮体水車2が得た機械的エネルギを発電機4で電力にする。【選択図】図1

Description

本考案は、流水から電気エネルギを得る浮体水車発電機に関する。
流水には位置エネルギ,運動エネルギ,圧力エネルギがあり、水力発電は位置エネルギの落差を専ら利用する。一方、潮の流れや河川の水の流れが有する運動エネルギから浮体水車を用いて電気エネルギを得る浮体水車発電機がある。小規模発電装置としてこれまで使用され、この種の浮体水車発電機に関しては、改良発明も提案されている(例えば特許文献1,2)。
特開2006−46152号公報 特開2007−205342号公報
しかし、特許文献1は、水車用水路8を流れる流水に適用される水平式流水発電装置で、水位変動のある一般的河川に直接設置するのは難しくなっている。さらに、「二つのフロート2,3を桟4,5,6で結合して成る」浮き台1を設けて、該浮き台1に水車本体や、発電機12,変速機13を載せる構成で、装置全体が大掛かりになっていた。
特許文献2は、水車が水位に応じて浮き上がり稼働できる小型水力発電用の浮き水車型発電装置を開示する。しかし、その図面を見る限りでは、水位変動に対し伝動手段たるチェンが弛む虞がある。また、浮き子6を取付けて水車本体が水に浮かぶようにするもので、特許文献1と同様、装置が大掛かりになっていた。さらに、河川が増水したときの避難対策は、労力をかけて装置全体を陸揚げするしかない構成で、大きな負担になっている。
本考案は上記問題点を解決するもので、水車用水路のみならず一般河川に設置が可能で、コンパクトにして、さらに暴風雨等で増水し水位が上昇した時には、装置を簡単に避難させることのできる浮体水車発電機を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の考案の要旨は、中空筒状ドラム(20)のドラム両端面(22)からドラム軸(25)をそれぞれ突出し且つ該ドラム(20)の外周筒面(21a)に複数の羽根(24)を固着して、浮力で水面に浮くことのできる浮体水車(2)と、前記ドラム軸(25)を先端部(35)で軸支して前記浮体水車(2)を保持する一方、架台(1)に回動自在に支持されて、該架台(1)に吊設される一対のアーム(3)と、該アーム(3)に固着される発電機(4)と、前記浮体水車(2)のドラム軸(25)の回動を発電機(4)の電動軸(42)に伝達する伝動手段(5)と、を具備して、
水面(90)に前記浮体水車(2)が浮いて水の流れで回転し、且つ上下変動する水面(90)に対し、前記アーム(3)が回動して該浮体水車(2)が水面(90)に浮く状態を保ち、前記伝動手段(5)を介して、流水(9)から浮体水車(2)が得た機械的エネルギを前記発電機(4)で電力にすることを特徴とする浮体水車発電機にある。
請求項2の考案たる浮体水車発電機は、請求項1で、蓄電池(60)をさらに具備し、前記発電機(4)の電力を充電できるようにしたことを特徴とする。
請求項3の考案たる浮体水車発電機は、請求項1又は2で、架台(1)に巻揚げ機(65)がさらに設けられ、該巻揚げ機(65)の胴に巻いたロープ(66)の先端(66a)を前記アーム(3)に引っ掛けて、該アーム(3)を引き揚げることができるようにしたことを特徴とする。
本考案の浮体水車発電機は、水位変動を常とする一般河川等の川の流れを利用して電力をつくることができ、しかもコンパクト化,低コスト化を図り、機能的に優れ、さらに暴風雨等で水位上昇した際にはいとも簡単に水面から持ち上げることができるなど数々の優れた効果を発揮する。
本考案の浮体水車発電機の一形態で、その一部破断概略正面図である。 図1のII-II線矢視図である。 図2の状態から、水位が上昇した時の浮体水車,アームの動きを図示した説明図である。 図3の別態様図で、架台に巻き上げ機を設置してアームを引き上げる様子を示す説明図である。 電動機を図1〜図4の電動機位置とは異なるアーム位置に取付けた別態様図である。
以下、本考案に係る浮体水車発電機について詳述する。図1〜図5は本考案の浮体水車発電機の一形態で、図1はその一部破断正面図、図2は図1のII-II線矢視図で、一部破断概略側面図になっている。図3は図2の状態から水位が上昇した時の一部破断概略側面図を示す。図4は巻き上げ機を設けた別態様図、図5は図1〜図3の発電機が設置された場所を変更する別態様図である。尚、図面を判り易くするため、図2〜図5は各支軸地点での支柱の図示を省き、各軸受は断面を表すハッチングを省く。
浮体水車発電機は、架台1と浮体水車2とアーム3と発電機4と伝動手段5と蓄電池60と、を具備する(図1)。
架台1は水路8を跨ぐようにして設置される。ここでの水路8は底壁81の両サイドに側壁82が立設する横断面ほぼU字形で、図1の紙面垂直方向に等断面形状で設けられている。符号9は流水、符号90は水面を示す。
本実施形態の架台1は金属製で、図1のごとく一対の支柱11が水路8の両側壁82近くの地表GLに立設し、両支柱11の上部を梁15が連結して正面視冂形フレームを形成する。梁15が地表GLから高い所定位置に設けられる。冂形フレームは水路8の水流方向(図2の白抜き矢印方向)に一定間隔をおいて複数設置され、さらに、各冂形フレームの上部両角部を補強部材14が連結して、頑強な立体的架台1とする。各梁15の下縁側には一対の突片16が固着され、両突片16にそれぞれアーム3を吊設する支軸75が固着される。
アーム3は長尺の帯板状又は棒状の金属製腕状部材である。アーム3は一対設けられ、各基端部31を前記架台1に回動自在に支持させて、架台1に吊設される。ここでのアーム3は長尺の帯板状体で、基端部31に設けた通孔32に前記支軸75を挿通して、アーム3が支軸75に回動自在に支持される。
尚、図2〜図4は図面を簡略化して、棒状の椀状部材からなるアーム3とする。さらに基端部31をフック状体にして、該フック状体を支軸75に引っ掛けてアーム3を支軸75に回動自在に支持させる。このような構成でも勿論よいが、実際のアーム3は図5のような長尺の帯板状体で、基端部31に通孔32を設け、支軸75を該通孔32に通して、アーム3が支軸75に回動自在に支持される。符号73aは軸受を示す。
アーム3の主部30には貫通孔30aが設けられる。該アーム3に固着された発電機4の電動軸42を挿通させるためである。そして、アーム3の先端部35で浮体水車2のドラム軸25を軸支して該浮体水車2を保持する。
浮体水車2は中空ドラム20と羽根24とドラム軸25とを備える。中空ドラム20は内部に中空部20aを有する筒形密封ドラムで、ここでの中空ドラム20は円筒部21の両端面22に蓋がされた有蓋有底円筒部21になっている。羽根24は図1,図2のごとく外周筒面21aに一定間隔で立設する板片である。各羽根24は、図2のように、外周筒面21aに垂直起立する根元部分24aと、該根元部分24aの先端で、白抜き矢印方向に流れる水流の上流側へ屈曲延設する先端部分24bと、を有する。該羽根24に水流をあててその運動エネルギによって中空ドラム20を効率良く回転させるためである。水面90に浮体水車2の下部が浸かり、水流の流れを羽根24が受けて浮体水車2が回転する。流水9(90)が有する運動エネルギから浮体水車2が回転する機械的エネルギを得る。
ドラム軸25は中空ドラム20の軸心を通って、その両端面22から外方へそれぞれ突出する心棒である。既述のごとく、ドラム軸25をアーム先端部35で軸支して前記浮体水車2を保持する。具体的には、軸受73bを介して、一対のアーム3の先端部35に設けた各透孔36に両ドラム軸25をそれぞれ挿通して、浮体水車2がアーム3に回動自在に取付けられる。そして、この浮体水車2が、中空部20aを有する筒形密封ドラムの構造から、浮力で水面90に浮かぶようになっている。尚、本実施形態はドラム軸25が中空ドラム20の中空部20aを貫通するが、円筒部21の両端面22からドラム軸25を外方へ突出させてもよい。
発電機4は機械的エネルギから電力を得る公知品である。電磁誘導の法則にしたがって、機械的エネルギから電気エネルギに作り変える。本体部41が前記アーム3の主部30に取着され、発電機4の電動軸42が前記ドラム軸25と平行にして、貫通孔30aを通ってアーム3の外方へ突出する。
伝動手段5は前記浮体水車2の動力を前記発電機4へ伝える機械装置である。ここでは鎖車52,54とチェン55とからなるチェン伝動手段である。前記浮体水車2のドラム軸25に鎖車52が固着されると共に、発電機4の電動軸42に鎖車54が固着され、さらに両鎖車52,54にチェン55が巻掛けされる。浮体水車2の回動が、鎖車52,チェン55,鎖車54の伝動手段5を介して、電動軸42を回動させ、電気エネルギに作り変えられる。伝動手段5は、図1〜図4に示した鎖車52,チェン55,鎖車54に限定されず、浮体水車2の動力を前記発電機4へ伝えることのできる機械装置であればよい。例えば鎖車52,54に代えて歯付きプーリとし、チェン55に代えて歯付きベルトとするベルト伝動手段や、ロープを用いたロープ伝動手段等とすることができる。
かくのごとくして、水面90に浮体水車2が浮いて水の流れで回転し、且つ上下変動する水面90に対し、アーム3が回動して浮体水車2が水面90に浮く状態を保ち、伝動手段5を介して、流水9から浮体水車2が得た機械的エネルギを発電機4で電力にすることができる構成にある。詳しくは、図2の状態から例えば水位が上昇した図3の状態(鎖線位置から実線位置に水面90が上昇した状態)になると、アーム3が架台1に回動自在に支持されているため、水位の上昇に応じて、浮力で水面90に浮く浮体水車2が、アーム3の抵抗を受けることなく上昇する。浮体水車2の上昇に伴ってアーム3が回動し、浮体水車2を保持するアーム先端部35も上昇する。
本実施形態は、各冂形フレームの各梁15に図2,図3のごとく、浮体水車2とアーム3と発電機4と伝動手段5を備えて、浮体水車2から発電機4で電力をつくることのできる浮体水車発電機のユニットを形成している。ここでは、3ユニットの浮体水車発電機を設ける。
また、本実施形態は蓄電池60を具備し、前記発電機4の電力を充電できるようにしている。
蓄電池60は公知機器で、発電機4が得た電気的エネルギを化学的エネルギの形に変化させて蓄えることのできる機器である。蓄電池60はその蓄えた化学的エネルギを必要に応じて、再び起電力として取り出すことができる。発電機4が得た電気エネルギは配線61を通じて蓄電池60へ送られ、該蓄電池60で化学的エネルギに変換して保存される。水の流れによって得られる電力は、自然に左右されるため、電力供給が安定しない。そこで、水流から得た電気的エネルギを、さらに蓄電池60で化学的エネルギに変換させて蓄えることで、電力を安定供給できるようにする。
本実施形態は、浮体水車発電機の各ユニットに蓄電池60をそれぞれセットする。
図4には、架台1に巻揚げ機65がさらに設けられる別態様図を示す。図4の浮体水車発電機は、架台1に設置した巻揚げ機65の胴に巻いたロープ66の先端66aをアーム3の主部30の中央部位に引っ掛けて、該アーム3を引き揚げることができるようにしている。暴風雨等で浮体水車2の避難が必要になった時、巻揚げ機65でロープ66を巻き取れば、浮体水車2を水面90から引き上げ、浮体水車発電機の陸揚げを簡単に行えるようになる。
また、図5に図1〜図3で設置されていた発電機4の位置を変更した他態様図を示す。発電機4は重量があり、架台1に吊設されるアーム3に浮体水車2と一緒に取付けると、浮体水車2が水面90に浮くのが困難になる場合がある。図5は架台1に吊設されるアーム先端部35で浮体水車2を保持する一方、アーム3が回動自在に支持される支軸75のポイント(基端部31)を越えて延びる張出し部39を有して、該張出し部39に発電機4を固着する。シーソーのように、発電機4が浮体水車2と重量バランスをとって、浮体水車2が浮力で水面90に浮きやすくする。本考案でいう「浮力で水面90に浮くことのできる浮体水車2」とは、浮体水車2がその浮力だけで水面90に浮く場合のみならず、発電機4が浮体水車2と重量バランスをとって、図5のごとく、浮体水車2が浮力で水面90に浮く場合も含むものとする。尚、図5の支軸75は金属製丸鋼等からなり、梁15の役割も担っている。
このように構成した浮体水車発電機は、浮力で水面90に浮くことのできる浮体水車2を有し、且つアーム3が架台1に回動自在に支持されて該架台1に吊設され、さらにアーム先端部35でドラム軸25を軸支して該浮体水車2を保持するので、水位の上下変動に対して、アーム3が回動して、浮体水車2が水面90に浮く状態に追随させることができる。特許文献1の水平式流水発電装置のごとく、水車用水路8を流れる流水9に適用できるだけでなく、雨天等で川の増水で水位が変動する一般河川等に設置することができ、適用範囲が広く、極めて有用な浮体水車発電機となる。自然界の河川では、天候に左右されて水位が変動するのが常であり、水位変動しても、流水9から浮体水車2で機械的エネルギを効果的に得ることができる。水位変動しても浮体水車2がもつ機能を有効に発揮できる。そして、その機械的エネルギを前記発電機4で電力にすることができ、浮体水車発電機の活躍できる場が断然広がる。
しかも、浮体水車発電機は、自然界の川の流れの運動エネルギを電力に変えて有効活用を図るので、環境に優しい装置になっている。
また、浮体水車2は内部を中空部20aとした中空ドラム20を設けて、浮力で水面90に浮くことのできる構造になっているので、特許文献1,2等のような大掛かりな浮き台や浮き子を必要とせず、装置がコンパクト化し、低コスト化にもつながる。浮体水車2が流水9から機械的エネルギを得る役目と同時に、浮き台の役目をも果たす。
さらに、蓄電池60が設けられると、電力を安定供給できるようになる。大規模な電力設備を要せず、手軽に電気を利用できる。送電線等で電気が届かない地域などでも、河川の流れがあるところでさえ在れば、電気の安定供給が可能になるので、非常に便利且つ有益な装置となる。
加えて、巻揚げ機65が設置され、該巻揚げ機65の胴に巻いたロープ66の先端66aを前記アーム3に引っ掛けて、該アーム3を引き揚げることができると、暴風雨等で、浮体水車発電機が陸揚げを余儀なくされる場合に、いとも簡単に水面90から持ち上げて避難させることができる。
かくのごとく、本浮体水車発電機は、浮体水車2,アーム3,発電機4,伝動手段5,蓄電池60,巻揚げ機65等の各構成要素が、有機的に結合して、上述した種々の優れた効果を発揮し多大な効を奏する。
尚、本考案においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本考案の範囲で種々変更できる。架台1,浮体水車2,アーム3,発電機4,伝動手段5,蓄電池60,巻揚げ機65,軸受73a,73b等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。
1 架台
2 浮体水車
20 中空ドラム
21a 外周筒面
22 端面
24 羽根
25 ドラム軸
3 アーム
35 先端部
4 発電機
42 電動軸
5 伝動手段
60 蓄電池
65 巻揚げ機
66 ロープ
66a 先端
9 流水
90 水面

Claims (3)

  1. 中空筒状ドラム(20)のドラム両端面(22)からドラム軸(25)をそれぞれ突出し且つ該ドラム(20)の外周筒面(21a)に複数の羽根(24)を固着して、浮力で水面に浮くことのできる浮体水車(2)と、
    前記ドラム軸(25)を先端部(35)で軸支して前記浮体水車(2)を保持する一方、架台(1)に回動自在に支持されて、該架台(1)に吊設される一対のアーム(3)と、
    該アーム(3)に固着される発電機(4)と、
    前記浮体水車(2)のドラム軸(25)の回動を発電機(4)の電動軸(42)に伝達する伝動手段(5)と、を具備して、
    水面(90)に前記浮体水車(2)が浮いて水の流れで回転し、且つ上下変動する水面(90)に対し、前記アーム(3)が回動して該浮体水車(2)が水面(90)に浮く状態を保ち、前記伝動手段(5)を介して、流水(9)から浮体水車(2)が得た機械的エネルギを前記発電機(4)で電力にすることを特徴とする浮体水車発電機。
  2. 蓄電池(60)をさらに具備し、前記発電機(4)の電力を充電できるようにした請求項1記載の浮体水車発電機。
  3. 前記架台(1)に巻揚げ機(65)がさらに設けられ、該巻揚げ機(65)の胴に巻いたロープ(66)の先端(66a)を前記アーム(3)に引っ掛けて、該アーム(3)を引き揚げることができるようにした請求項1又は2に記載の浮体水車発電機。
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