JP5266851B2 - 溶射皮膜形成方法および溶射皮膜形成装置 - Google Patents

溶射皮膜形成方法および溶射皮膜形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、ワークの表面に溶射皮膜を形成する溶射皮膜形成方法および溶射皮膜形成装置に関する。
内燃機関の出力・燃費・排気性能向上あるいは小型・軽量化といった観点から、アルミシリンダブロックのシリンダボア部に適用しているシリンダライナを廃止することへの設計要求は極めて高く、その代替技術の一つとして、アルミシリンダボア内面に鉄系材料からなる溶射皮膜を形成する溶射技術の適用が進められている。
この際、例えば下記特許文献1には、溶射皮膜の密着度を高めるために、シリンダボア内面に対しねじ状の凹凸部をあらかじめ加工して粗面に形成する技術が開示されている。
特開2002−155350号公報
ところで、上記した溶射皮膜を形成する技術を製品のシリンダボア部に適用して量産技術として確立するためには、シリンダライナを有する既存の製品と同等以上の品質と生産性を確保することが必須であり、特に生産技術としては、仕損率の低減による生産性の向上が量産化に向け課題となっている。
このような溶射技術は、複数層の多孔質皮膜を積層させて所要の皮膜厚さを得る技術であるため、溶射下地に付着あるいは溶射加工中に混入した異物(前工程から持ち込んだ切粉・自工程で発生した皮膜片・スパッタなど)を核として皮膜層中に突起物が不可避的に生成される。
このような突起物は、溶射後の後工程でシリンダボアの製品形状に仕上げ加工(ホーニング加工・研磨など)する際に脱落し、従来の鋳鉄製のシリンダライナでの巣穴に相当するボア表面の粗大な窪み(ピット)の発生原因となっている。
このピットのサイズが大きく、また、多数存在すると、(1)オイル溜まり容積増大によりオイル消費量が増加してエンジン性能の悪化を招き、(2)ピストンリングのシール性低下によりブローバイガスが噴き抜けてエンジン性能の悪化を招き、(3)ピストンリング摺動時の引っかかりにより溶射皮膜が剥離してエンジン機能耐久性が悪化する、などの商品性を損なう問題が発生する。
しかしながら、上記欠陥の発生源である異物自体の発生を抑えることは、製造工程上困難であって発生源対策のみでは不充分であり、また、溶射後仕上げ加工にてピットが生成された後に欠陥を発見したのでは、仕損物が発生することとなり、生産性の著しい悪化を招くものとなる。
そこで、本発明は、溶射皮膜層中に異物が混入した場合であっても、該異物を除去して仕損率を抑え、生産性を向上させることを目的としている。
本発明は、ワークの表面に溶融材料を噴射して溶射皮膜を形成する際、溶射皮膜の表面を仕上げ加工する前に、溶射皮膜中に混入する異物を除去する溶射皮膜形成方法であって、溶射皮膜を形成する第1溶射工程と、該第1溶射工程における溶射皮膜の形成を一旦停止した状態で、溶射皮膜中に混入する異物を除去する異物除去工程と、該異物除去工程の後、記溶射皮膜の形成を再開して溶射皮膜を形成する第2溶射工程とを有することを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、溶射皮膜が最終的な規定の膜厚となる前に、溶射皮膜中に混入する異物を除去することで、規定の膜厚となる溶射皮膜の形成過程で、皮膜層中に突起状の塊が発生するのを抑え、その後の仕上げ加工での突起状の塊の脱落による窪み発生を抑制して生産性を高めることができる。
また、溶射作業を一旦停止した状態で、異物を除去するようにしているので、異物の除去作業をより確実に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる溶射皮膜形成方法を示す簡略化した動作説明図であり、ワークとしての被加工物であるエンジンのシリンダブロック1におけるシリンダボア3の内面3aに溶射皮膜5を形成している。
溶射皮膜5の形成は、例えば図2に示すような溶射皮膜形成装置を使用する。この溶射皮膜形成装置は、溶射手段としての溶射ガン7が、図2中で下端側に対応する先端側に溶射ノズル部9を備えており、この溶射ガン7内に、溶射用の鉄系金属からなるワイヤ11を、図2中の上端から挿入して溶射ノズル部9まで供給する。
溶射ガン7は、溶射ノズル部9側から回転部12,ガス配管接続部13,ワイヤ送給部15をそれぞれ備えている。回転部12のガス配管接続部13近傍の外周には従動プーリ17を設ける一方、回転駆動モータ19には駆動プーリ21を連結し、これら各プーリ17,21を連結ベルト23によって互いに連結する。回転駆動モータ19は、規定の回転数信号の入力を受けるコントローラ25によって駆動制御され、回転部12をその先端の溶射ノズル部9とともに回転させる。
これら回転部12および溶射ノズル部9は、溶射ガン7内のワイヤ11を中心軸線として回転し、その際ワイヤ11が回転することはない。
また、本溶射皮膜形成装置は、溶射ガン7を図2の状態でシリンダボア3内を上下方向に往復移動させるための溶射ガン送り機構26を備えている。この溶射ガン送り機構26は、例えばモータによってピニオンを回転させ、該回転するピニオンに溶射ガン7側に設けたラックを噛合させるなどの構造でよい。この際溶射ガン7は、図示しないガイド部に沿って図2中で上下方向に移動することになる。このような溶射ガン送り機構26は、前記したコントローラ25によって駆動制御されるものとする。
前記したガス配管接続部13には、ガス供給源27から、水素とアルゴンとの混合ガスを供給する混合ガス配管29と、アトマイズエア(空気)を供給するアトマイズエア配管31とをそれぞれ接続する。混合ガス配管29によってガス配管接続部13内に供給された混合ガスは、その下部の回転部12内に形成してある図示しない混合ガス通路を通って溶射ノズル部9まで供給される。同様にして、アトマイズエア配管31によってガス配管接続部13内に供給されたアトマイズエアは、その下部の回転部12内に形成してある図示しないアトマイズエア通路を通って溶射ノズル部9まで供給される。
ここで、ガス配管接続部13内の図示しない混合ガス通路およびアトマイズエア通路と、ガス配管接続部13に対して回転する回転部12内の図示しない混合ガス通路およびアマイズエア通路とをそれぞれ連通させる必要がある。この場合の連通構造としては、例えばガス配管接続部13内の混合ガス通路およびアトマイズエア通路の各下端部を環状通路とし、この環状通路に、回転部12内の上下に延びる混合ガス通路およびアトマイズエア通路の上端をそれぞれ連通させることが考えられる。これにより、回転部12がガス配管接続部13に対して回転しても、回転部12内の混合ガス通路およびアトマイズエア通路とガス配管接続部13内の混合ガス通路およびアトマイズエア通路とがそれぞれ常時連通することになる。
ワイヤ送給部15は、規定の回転数信号の入力を受けて回転してワイヤ11を溶射ノズル部9に向けて順次送給する一対の送りローラ33を備えている。また、ワイヤ11は、ワイヤ収納容器35に収納してあり、ワイヤ収納容器35の上部の引出口35aから引出したワイヤ11を、一対の送りローラ37を備える容器側ワイヤ送給部39により、ガイドローラ41を経て溶射ガン7に向けて送り込む。
溶射ノズル部9は、内部に図示しないカソード電極を備え、このカソード電極とアノード電極となるワイヤ11の先端11aとの間に電圧を印加するとともに、ガス供給源27から溶射ガン7に供給した混合ガスを図示しない混合ガス放出口から放出することで、図示しないアークを発生させて点火し、アークの熱によってワイヤ11の先端11aを溶融させる。
この際ワイヤ11を、その溶融に伴って、容器側ワイヤ送給部39およびワイヤ送給部15を駆動して前方に順次送給する。これとともに、ガス供給源27から溶射ガン7に供給したアトマイズエアを、上記した混合ガス放出口の近傍にある図示しない開口からワイヤ11の先端11a付近に向けて放出し、上記したワイヤ11の溶融物、すなわち溶融材料を、噴霧44として前方へ向けて移動させて付着させた後固化させることで、シリンダボア3の内面3aに溶射皮膜5を形成する。
また、ワイヤ11は、図示していないが、回転部12の下端に設けてある円筒形状の上部ワイヤガイド内に移動可能に挿入されている。
このように構成した溶射皮膜形成装置は、溶射ガン7を、シリンダボア3内に対し回転させつつ挿入することで、被加工物の表面であるシリンダボア内面3aに向けて、噴霧44を噴射して図1(a)に示すような溶射皮膜5を形成する。この際、溶射ガン7は、溶射皮膜5が規定の膜厚となるよう上下に複数回往復移動させる。
なお、ここでは、溶射皮膜5を形成する前に、溶射皮膜5のシリンダボア内面3aに対する密着度を高めるために、図3に示すように、ボーリング加工装置のボーリングバー45の先端外周に、切削工具(切刃)47を装着し、ボーリングバー45を回転させつつ軸方向下方に移動させることで、シリンダボア3の内面3aをねじ状に形成している。
上記したような溶射皮膜5の形成過程において、図1(a)に示すように、溶射下地(シリンダボア内面3a)に付着あるいは溶射加工中に皮膜中に混入した異物(前工程から持ち込んだ切粉・自工程で発生した皮膜片・スパッタなど)を核として皮膜層中に、異物としての突起物49が発生することがある。
このため、本実施形態では、図4の作業工程図で示すように、溶射開始(S1)後、溶射皮膜5が規定の厚さになる前に、溶射作業を一旦停止する(S2)。この停止時期としては、例えば溶射ガン7を20往復させて規定の膜厚とする場合には、16往復した時点とする。
上記のようにして溶射作業を停止した状態で、目視により上記した突起物49を検出し(S3)、突起物49が見つかった場合には、鏨(たがね)やマイナスドライバなどの工具を利用して手作業で突起物49を除去する(S4)。
そして、突起物49を除去した後は、図1(b)のように、溶射作業を再開し、溶射ガン7を残りの4往復分移動させて溶射皮膜5が規定の膜厚となるようにする(S5)。この際、突起物49を除去した部位も溶融材料が付着して固化し、規定の膜厚とほぼ同等となる。
その後は、図5に示すように、ホーニングヘッド51の外周に砥石53を備えたホーニングツール55を回転させつつ軸方向に往復移動させることで、溶射皮膜5の表面を研削して仕上げ加工を行い(S6)、図1(c)の状態となる。
なお、溶射皮膜5における突起物49が存在していた部位は、溶射皮膜5の膜厚が他の部位よりも多少薄くなり、図1(b)のように僅かな凹部57が形成される。このため、上記のホーニング加工にて該凹部57を取り去る位置まで切削加工を行って、最終的なボア内径が確保できるような規定の膜厚となるように溶射皮膜5を形成する。
以上によりシリンダボア3の内面3aに対する加工が完了し、最後に溶射皮膜5の表面にピットが発生しているか否かの欠陥検査を実施する(S7)。なお、ホーニング加工では、使用する砥石の粒度を変更することで、荒工程や仕上げ工程を順次実施する。
また、特に図示はしていないが、上記したホーニングヘッド51の外周には、内径測定用のエア吐出口を備え、ホーニング加工を行う際に、エア吐出口からエアを吐出し、その吐出圧を検出して電気信号に変換するエアマイクロメータを備え、該エアマイクロメータによって内径を測定しており、この測定値が規定の値に達した時点でホーニング加工を終了する。
上記したような仕上げ加工を行う際には、突起物49をあらかじめ除去しているので、突起物49の脱落による窪み(ピット)の発生を抑制することができ、仕損物の発生を抑えて生産性を高めることができる。
この際、本実施形態では、溶射作業を一旦停止した状態で、突起物49を目視により検出して除去するようにしているので、突起物49の検出除去作業をより確実に行うことができる。
また、ピットの発生を抑制することで、オイル溜まりの容積増大によるオイル消費量増加を抑制するとともに、ピストンリングのシール性低下によるブローバイガスの噴き抜けを抑制してエンジン性能の悪化を抑制し、またピストンリング摺動時の引っかかりによる溶射皮膜の剥離を抑制して、エンジン機能耐久性悪化を抑制できるなど、商品性を損なう問題を解消することができる。
さらに異物は、シリンダボア内面3aに突出して形成された突起物4を含むことから、この突起物49を鏨(たがね)やマイナスドライバなどの工具によって容易に除去することができる。
図6は、本発明の第2の実施形態に係わる溶射皮膜形成方法を示す動作説明図である。この実施形態は、図7に作業工程図を示すように、溶射開始(S1)後、溶射作業を停止させずに、溶射ガン7が溶融材料の噴射を継続して行って溶射作業を継続している間に突起物49を除去しつつ、溶射皮膜5を規定の膜厚となるまで、溶射作業を継続して行う(S10)。
具体的には、図6に示すように、溶射手段である溶射ガン7の先端外周における噴霧44の噴出方向と反対側に、換言すれば、噴霧44の噴出方向に対して円周方向に180度ずれた位置に、異物除去手段としての異物除去具59をシリンダボア3の内面3aに向けて突出して設けている。
上記した異物除去具59は、例えば板ばね状の金属片や、前記図3に示したようなボーリングバー45の先端外周に設けた切削工具(切刃)47などでよい。また、溶射ガン7をシリンダボア3内に挿入して溶射を行う状態で、異物除去具59の先端は、規定の膜厚となる溶射皮膜5の表面から離れた位置にあり、これら両者間には、150μm〜200μmのクリアランスCを設定する。
第2の実施形態においては、図7の作業工程図で示すように、溶射開始後、第1の実施形態と同様な突起物49が発生し、該突起物49が規定膜厚の溶射皮膜5の二点鎖線で示す表面より突出すると、回転中の溶射ガン7の外周に設けてある異物除去具59の先端が、突起物49に接触して突起物49を掻き落とし除去することになる。
この際、溶射ガン7は溶射開始から溶射作業を停止せずに継続して行っており、突起物49の除去後も、突起物49の除去した部位の凹部61を含むボア内面3aに対して溶射を行い、全体の溶射皮膜を規定の膜厚となるようにする。なお、第2の実施形態においても、溶射皮膜5を規定の膜厚とする際に溶射ガン7を例えば20往復させるものとする。
その後は、第1の実施形態と同様にしてホーニング加工などによる仕上げ加工を行った後(S6)、溶射皮膜5の表面にピットが発生しているか否かの欠陥検査を実施する(S7)。
このように、第2の実施形態においては、溶射作業を継続して行っている間に突起物49の除去を行っているので、第1の実施形態のように溶射作業を一旦停止する場合に比較して、生産性が向上する。
その際、本実施形態では、溶射ノズル部9の外周部に異物除去手段である異物除去具59を設けているので、溶射ノズル部9を回転させつつ軸方向に移動させて溶射作業を継続している間に突起物49の除去を容易に行うことができる。
また、本実施形態では、溶射皮膜5が規定の膜厚となった状態では、異物除去具59の先端が溶射皮膜5の表面から離れた位置に設定され、互いに接触していないので、溶射皮膜5に影響を与えることなく突起物49のみを除去することができる。
さらに、本実施形態では、異物除去具59を溶射ガン7における噴霧44の噴出方向と反対側に設けてあるので、溶射作業中に除去した突起物49が、反対側で噴出している噴霧44に混入しにくくなり、除去した突起物49による溶射皮膜5への二次的な突起物の生成を回避することができる。
なお、第2の実施形態では異物除去具59を溶射ガン7に一体化して設けているが、図3のようなボーリングバー45を用いて、溶射ガン7とは別に異物除去手段を設けてもよい。
この場合には、溶射ガン7により前記した16往復分だけ溶射作業を行った後、溶射ガン7をシリンダボア3から引き抜いた状態で、異物除去手段をシリンダボア3内に回転させつつ挿入して行う。異物除去後は、異物除去手段をシリンダボア3から引き抜いた状態で、溶射ガン7により溶射作業を再開して溶射皮膜5が規定の膜厚となるようにする。
図8(a)は、本発明の第3の実施形態に係わる溶射皮膜形成方法を示す動作説明図である。この実施形態は、溶射ノズル部9の先端外周に切削工具65を取り付けるとともに先端面に、突起物67を検出する突起物検出手段としてのレーザセンサ69を設けている。
レーザセンサ69は、レーザ光をシリンダボア内面3aに向けて照射し、その反射光を受光して突起物67の有無を検出する。レーザセンサ69の検出信号は、前記図2に示したコントローラ25が取り込込み、コントローラ25はこの取り込んだ信号に基づいて溶射ガン送り機構26を駆動制御して溶射ガン7の軸方向移動速度を制御する。
図9は、第3の実施形態による作業工程図で、前記図4に示した第1の実施形態における突起物49の目視による検出(S3)及び突起物の除去(S4)に代えて、突起物67のレーザセンサ69による検出・切削工具65による除去工程(S20)を設けている。
この突起物67の検出・除去工程(S20)は、コントローラ25の制御動作を示す図10のフローチャートのようになる。すなわち、前記図2に示した溶射皮膜形成装置によって溶射皮膜5を形成した後、図8に示した切削工具65によって突起物67を除去するのであるが、その際、溶射ノズル部9を、その中心軸線Qをシリンダボア3の中心軸線Pに合わせた状態として一定速度で回転させつつシリンダボア3内に挿入して軸方向に移動させる(S201)。
図8(b)は、溶射ノズル部9を回転させたときの切削工具65の回転軌跡71を示しており、シリンダボア3の中心軸線Pを中心とした円形となる。
このときレーザセンサ69からレーザ光をシリンダボア内面3aに向けて照射し、突起物67を検出したかどうかを判断する(S202)。突起物67を検出したら、溶射ノズル部9を含む溶射ガン7全体の軸方向の移動速度、すなわち切削工具65の送り速度を、突起物67を検出する前までの送り速度に比較して遅くする(S203)。このときの切削工具65の送り速度は、切削工具65が大きな負荷を受けることなく、効率よく突起物67を切削により除去できる程度とする。
その後、切削工具65が受ける負荷が、突起物67を研削しているときよりも所定量低下したかどうかを判断し(S204)、低下していたら突起物67の除去が完了したとする。続いて、レーザセンサ69によりシリンダボア3の端部を検出したら(S205)、シリンダボア3の軸方向全長にわたり、突起物67の検出作業が完了したとして終了する。
前記ステップS202で突起物67を検出しない場合には、上記したステップS205のレーザセンサ69によるシリンダボア3の端部検出に移行する。
なお、上記ステップS204での切削工具65が受ける負荷の検出は、溶射ノズル部9が回転する際の抵抗を、例えば溶射ノズル部9の適宜部位の歪みとして検出することで可能となる。また、突起物67の除去完了の判断を、切削工具65が受ける負荷検出の代わりに、所定時間経過したかどうかで行ってもよい。すなわち、突起物67の除去に要する時間を経験からあらかじめ設定しておき、その設定時間を超えたときに、突起物67の除去が完了したとする。
このようにして突起物67の検出及び除去を行った後は、前記図9に戻り、溶射ガン7を再度往復移動させて溶射皮膜5が規定の膜厚となるようにする(S5)など、第1の実施形態と同様の作業を行う。
このように第3の実施形態においては、突起物67を検出したときに、溶射ガン9の送り速度をそれまでより遅くして、切削工具65により突起物67を除去するようにしている。このため、突起物67を検出するまでは、溶射ガン7の軸方向の移動速度を可及的に速く設定しておいて、検出後に突起物67を除去するときのみ遅くすればよいので、突起物67の検出及び除去作業を効率よく行うことができる。
なお、上記第3の実施形態では、突起物67を除去する工程の前に、溶射ガン7を16往復という複数回往復移動させ、突起物67を除去する工程の後にも、溶射ガン7を4往復という複数回往復移動させている。
しかしながら、この突起物47を除去する工程の後には、溶射ガン7を、溶融材料を噴射しつつシリンダボア3の内面3aに沿って一方向に少なくとも1回移動させるだけでもよい。
すなわち、この場合には、溶射ガン7を図8中の最下端まで移動させて突起物67の検出作業が完了した後、その状態から溶射ガン7を上方に向けて1度移動させる際に溶射ノズル部9から溶融材料を噴出するだけでよい。これにより、突起物67の検出作業完了後に溶射ガン7をシリンダボア3内から引き抜く動作を利用して溶射皮膜5を形成でき、極めて効率よく作業を行うことができる。
なお、上記した第3の実施形態では、切削工具65の送り速度を遅くしたが、切削工具65(溶射ノズル部9)の回転速度を遅くしてもよく、また送り速度と回転速度の両方を遅くしてもよい。
図11(a)は、本発明の第4の実施形態に係わる溶射皮膜形成方法を示す動作説明図である。この実施形態は、溶射ノズル部9の直径(太さ)を図8に示した第3の実施形態に対してほぼ半分とし、かつ溶射ノズル部9の中心軸線Qをシリンダボア3の中心軸線Pに対してオフセットさせている。
この状態で溶射ノズル部9を、その中心軸線Qを中心として回転(自転)させると同時に、溶射ガン7の全体を、シリンダボア3の中心軸線Pを中心として回転(公転)させる。なお、このときの中心軸線Qを中心とした回転方向と、中心軸線Pを中心とした回転方向は、図11(b)中で例えば時計回り方向として同方向とし、かつ中心軸線Qを中心とした回転速度を、中心軸線Pを中心とした回転速度より速くする。
また、この実施形態では、溶射ガン7の全体を回転(公転)させる機構はかなり複雑になるので、シリンダブロック1をシリンダボア3の中心軸線Pを中心として回転させたほうがよい。この場合のシリンダブロック1の回転方向は、中心軸線Qを中心とした回転方向とは逆方向となる。
したがって、この実施形態における溶射ノズル部9を回転させたときの切削工具65の回転軌跡は、図11(b)に示すように、中心軸線Qを中心とした切削工具65の回転軌跡73がシリンダボア3の中心軸線Pを中心として回転した形状となる。
上記した第4の実施形態の作業工程としては前記図9に示した第3の実施形態と同様であり、また図9の突起物67の検出・除去工程でのコントローラ25の制御動作は、図10のフローチャートと同様である。
ただし、第4の実施形態では、切削工具65により突起物67を研削除去するに従って、溶射ノズル部9をシリンダボア3の内面3aに向けて径方向に徐々に移動させるようにすることで、突起物67を、切削工具65が大きな負荷を受けることなく効率よく除去することができる。
また、第4の実施形態では、溶射ノズル部9の外径(太さ)を第3の実施形態に比較して小さくし、その中心軸線Qをシリンダボア3の中心軸線Pに対してオフセットさせているので、シリンダボア3の内径が各種異なる場合であっても対応でき、汎用性に優れている。
なお、上記した各実施形態においては、図11の第4の実施形態に限らず、溶射ガン7を回転させずに、シリンダブロック1をシリンダボア3の中心軸線Pを中心として回転させてもよく、また、溶射ガン7を軸方向に移動させずにシリンダブロック1を軸方向に移動させてもよい。すなわち、溶射ノズル部9をシリンダボア3に対して軸方向に沿って相対移動させつつ相対回転させることになる。
本発明の第1の実施形態に係わる溶射皮膜形成方法を示す動作説明図であり、(a)は溶射皮膜中に突起物が生成された状態、(b)は突起物を除去した後溶射を行っている状態、(c)は規定膜厚に形成した溶射皮膜を仕上げ加工した状態、をそれぞれ示す。 溶射皮膜形成装置の全体構成図である。 溶射皮膜形成前のシリンダボア内面に対する下地処理加工を行っている状態を示す断面図である。 第1の実施形態おける作業工程図である。 シリンダボアに対し溶射皮膜形成後の仕上げ加工を行っている状態を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係わる突起物を除去している状態を示す動作説明図である。 第2の実施形態おける作業工程図である。 (a)は、本発明の第3の実施形態に係わる溶射皮膜形成方法を示す動作説明図、(b)は、第3の実施形態の溶射ノズル部を回転させたときの切削工具の回転軌跡図である。 第3の実施形態による作業工程図である。 第3の実施形態の突起物検出及び除去作業を示すフローチャートである。 (a)は、本発明の第4の実施形態に係わる溶射皮膜形成方法を示す動作説明図、(b)は、第4の実施形態の溶射ノズル部を回転させたときの切削工具の回転軌跡図である。
符号の説明
1 シリンダブロック(ワーク)
5 溶射皮膜
7 溶射ガン(溶射手段)
49,67 突起物(異物)
59,65 異物除去具(異物除去手段)
69 レーザセンサ(突起物検出手段)

Claims (13)

  1. ワークの表面に向けて溶融材料を噴射し、前記表面に前記溶融材料が固化してなる溶射皮膜を形成する際、前記溶射皮膜の表面を仕上げ加工する前に、前記溶射皮膜中に混入する異物を除去する溶射皮膜形成方法であって、
    前記溶射皮膜を形成する第1溶射工程と、該第1溶射工程における溶射皮膜の形成を一旦停止した状態で、前記溶射皮膜中に混入する異物を除去する異物除去工程と、該異物除去工程の後、前記溶射皮膜の形成を再開して溶射皮膜を形成する第2溶射工程とを有することを特徴とする溶射皮膜形成方法。
  2. 前記第1溶射工程は、前記溶融材料を噴射する溶射手段を、前記溶融材料を噴射しつつ前記ワークの表面に沿って相対的に複数回往復移動させ、前記第2溶射工程は、前記溶射手段を、前記溶融材料を噴射しつつ前記ワークの表面に沿って一方向に相対的に少なくとも1回移動させることを特徴とする請求項に記載の溶射皮膜形成方法。
  3. 前記ワークの表面は円筒内面であり、この円筒内面に対して異物除去手段を円筒内における軸方向に沿って相対移動させつつ相対回転させて前記異物を除去し、前記異物を除去するときに、前記異物除去手段の相対移動速度と相対回転速度との少なくとも一方を、前記異物を除去する前後に比較して遅くすることを特徴とする請求項1または2に記載の溶射皮膜形成方法。
  4. 前記ワークはエンジンのシリンダブロックであり、該シリンダブロックのシリンダボア内面に前記溶射皮膜を形成することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の溶射皮膜形成方法。
  5. 前記異物は、前記溶射皮膜の表面に突出して形成された突起物を含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の溶射皮膜形成方法。
  6. ワークの表面に向けて溶融材料を噴射しつつ前記表面に沿って相対移動する溶射手段と、該溶射手段により前記ワークの表面に形成した溶射皮膜中に混入する異物を除去する異物除去手段と、を有し、
    前記溶射手段は、第1溶射工程で溶射被膜を形成した後に、第2溶射工程でさらに溶射被膜を形成し、
    前記異物除去手段は工具であって、前記第1溶射工程での溶射皮膜の形成が一旦停止された状態で、前記工具により前記異物を除去することを特徴とする溶射皮膜形成装置。
  7. 前記ワークの表面は円筒内面であり、前記溶射手段は、前記円筒内面を有するワーク内にて相対回転しながら軸方向に相対移動するもので、前記溶射手段の外周部に前記異物除去手段を設けたことを特徴とする請求項に記載の溶射皮膜形成装置。
  8. 前記異物除去手段を、前記溶射手段による溶融材料の噴出方向と反対側の外周部に設けたことを特徴とする請求項に記載の溶射皮膜形成装置。
  9. 前記異物除去手段の先端は、前記溶射皮膜の表面から離れた位置に設定されていることを特徴とする請求項またはに記載の溶射皮膜形成装置。
  10. 前記溶射手段の回転中心軸線を前記ワークの円筒の中心軸線に対して直径方向にずらしたことを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載の溶射皮膜形成装置。
  11. 前記溶射手段に前記突起物を検出する突起物検出手段を設け、この突起物検出手段が前記突起物を検出したときに、前記異物除去手段の相対移動速度と相対回転速度との少なくとも一方を、前記異物を検出する前に比較して遅くすることを特徴とする請求項ないし10のいずれか1項に記載の溶射皮膜形成装置。
  12. 前記ワークはエンジンのシリンダブロックであり、該シリンダブロックのシリンダボア内面に前記溶射皮膜を形成することを特徴とする請求項ないし11のいずれか1項に記載の溶射皮膜形成装置。
  13. 前記異物は、前記溶射皮膜の表面に突出して形成された突起物を含むことを特徴とする請求項ないし12のいずれか1項に記載の溶射皮膜形成装置。
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