以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観斜視図である。尚、図1の画像形成装置は、プリンタであるが、他の実施形態において、コピー機、ファクシミリ、これらの機能を備える複合機やシートに画像を形成可能な他の装置であってもよい。
画像形成装置1は、略直方体形状の主筐体2と、主筐体2の正面側に突出するトレイ510と、トレイ510の下方に配設されるカセット300とを備える。主筐体2は、シートに画像を形成するのに必要な様々な機器(例えば、後述される画像形成部を構成する要素)を収容する。トレイ510は、トレイ510の下縁を軸に、主筐体2に回動可能に取り付けられる。図1に示されるトレイ510は、上述の如く、主筐体2から突出する突出位置にある。使用者は、突出位置にあるトレイ510上にシートを載置することができる。トレイ510上のシートは、後述される給紙構造体によって、シートに画像を形成する画像形成部に向けて給紙されることとなる。使用者が、トレイ510を突出位置から主筐体2に近づけるように回動させると、トレイ510は主筐体2に形成された凹領域21内に収容される。カセット300は、主筐体2に対して、挿脱可能に形成される。カセット300には、上方に開口した開口部が形成される。使用者は、カセット300を主筐体2から正面側に引き抜き、開口部を通じて、カセット300内にシートを収容することができる。カセット300内に所望のシートを収容した後、使用者はカセット300を主筐体2内に挿入することができる。
トレイ510の上方に操作パネル22が配設される。使用者は、操作パネル22を操作し、画像形成装置1に所望の動作をさせることができる。操作パネル22は、例えば、トナー画像の濃さを調節するためのボタンを含んでもよい。画像形成装置1は、操作パネル22への使用者による入力及び外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ)から送られる画像信号(印刷対象となる画像に関する情報を含む信号)に従って、シートにトナー画像を形成する。
トレイ510又はカセット300から給紙されたシートは、画像形成部によってトナー画像の形成がなされた後、主筐体2の上面に形成された排紙トレイ23上に排出されることとなる。排紙トレイ23の上側には、略三角柱状の空間が形成され、当該空間内に画像形成処理が施与されたシートが蓄積されることとなる。
図2は、画像形成装置1の内部構造を概略的に示す。図2と併せて、図1を参照しつつ、画像形成装置1が更に説明される。
トレイ510又はカセット300から搬送されたシートは、主筐体2内で形成された搬送路に案内されつつ、シートにトナー画像を形成する画像形成部410及びトナー画像をシートに定着させる定着部430へ搬送される。その後、シートは、排出部450を通じて、排紙トレイ23上に排出される。
搬送路は、画像形成部410に給紙する給紙構造体520を基端として、主筐体2の背面壁24に向けて延びる第1給紙搬送路530と、第1給紙搬送路530の下方に位置するカセット300の下流端(図2中、右端)から上方に向けて延びる第2給紙搬送路310とを含む。給紙構造体520は、トレイ510上のシートを主筐体2内へ引き込む。第1給紙搬送路530及び第2給紙搬送路310は、画像形成部410の画像形成工程とタイミングを合わせて、画像形成部410にシートを送るレジストローラ対320の上流で合流する。
搬送路は更に、レジストローラ対320から定着部430までの区間、シートを案内する主搬送路330と、定着部430から排出部450までの区間、シートを案内する排出搬送路340とを含む。主搬送路330に沿って移動するシートに画像形成部410はトナー画像を形成し、定着部430は、シートにトナー画像を定着させる。使用者が片面印刷を画像形成装置1にさせるとき、定着部430から排出搬送路340へ送り出されたシートを排出部450は主筐体2外へ排出する。排出されたシートは、排紙トレイ23上に積層されることとなる。
使用者が両面印刷を画像形成装置1にさせるとき、排出部450は、定着部430から排出搬送路340へ送り出されたシートを所定量だけ主筐体2外へ送り出した後、主筐体2内へ引き戻すスイッチバック動作を行う。搬送路は更に、排出部450によって引き戻されたシートを案内するための戻し搬送路350を含む。戻し搬送路350は、排出部450から主筐体2の背面壁24へ向かって延び、その後、下方に向けて延びる。更にその後、戻し搬送路350は、第2給紙搬送路310に向けて延び、第2給紙搬送路310と合流する。
第1給紙搬送路530、第2給紙搬送路310、主搬送路330、排出搬送路340及び戻し搬送路350の適所には、これら搬送路に案内されるシートを搬送するための搬送ローラ対360が配設される。
上述の如く、トレイ510上に載置されたシートは、給紙構造体520によって、第1給紙搬送路530に送り込まれる。給紙構造体520は、主筐体2に向けて下方に傾斜したトレイ510上のシートの先頭縁を押し上げるリフト板521と、リフト板521によって押し上げられたシートの先頭縁と接触可能に配設された給紙ローラ522と、給紙ローラ522の下方に配設された分離パッド523とを含む。給紙ローラ522が回転すると、シートは、給紙ローラ522と分離パッド523との間を通過し、第1給紙搬送路530内へ送り込まれる。分離パッド523は、給紙ローラ522と分離パッド523との間を通過するシートに対して摩擦力を与える。したがって、給紙ローラ522が複数枚のシートを第1給紙搬送路530へ送り込もうとするとき、分離パッド523は最上位にあるシート(給紙ローラ522と直接的に接触するシート)以外のシートに搬送方向と逆方向に作用する摩擦力を与え、第1給紙搬送路530内への搬送を妨げる。この結果、シートは1枚ずつ第1給紙搬送路530内へ送り込まれることとなる。
他のもう1つの給紙源として用いられるカセット300は、カセット300の内部に収容されたシートを支持するリフト板305を含む。リフト板305は、カセット300内のシートの先頭縁を上方に(カセット300の開口部及び/又は後述のピックアップローラ311に向けて)押し上げるように傾斜する。リフト板305の下流端の上方には、ピックアップローラ311が配設される。ピックアップローラ311は、リフト板305が押し上げたシートの先頭縁に接触する。この結果、ピックアップローラ311が回転すると、シートはカセット300から下流へ送り出される。
ピックアップローラ311の下流には、給紙ローラ312及び給紙ローラ312の下方に位置するリタードローラ313が配設される。ピックアップローラ311は、給紙ローラ312とリタードローラ313との間にシートを送り込む。給紙ローラ312は、シートを更に下流へ送り出すように回転する。リタードローラ313の回転は、トルクリミッタにより制御される。ピックアップローラ311が2以上のシートを給紙ローラ312とリタードローラ313との間に送り込んだとき、トルクリミッタが作動し、リタードローラ313を回転不能にする。この結果、リタードローラ313は、最上位にあるシート(給紙ローラ312と直接的に接触するシート)以外のシートの搬送に抗する摩擦力を与えることとなる。ピックアップローラ311が1枚のシートを給紙ローラ312とリタードローラ313との間に送り込んだとき、トルクリミッタは作動せず、リタードローラ313はシートの搬送に従って回転する。したがって、この結果、シートは1枚ずつ第2給紙搬送路310へ送り込まれることとなる。
第2給紙搬送路310へ送り込まれたシートは、第2給紙搬送路310に設けられた搬送ローラ対360によってレジストローラ対320に向けて送り出される。上述の戻し搬送路350は、第2給紙搬送路310の搬送ローラ対360の上流で合流する。したがって、第2給紙搬送路310の搬送ローラ対360は、戻し搬送路350を通じて第2給紙搬送路310に供給されたシートも同様にレジストローラ対320へ送り出す。レジストローラ対320の上流で、第1給紙搬送路530及び第2給紙搬送路310は合流する。したがって、レジストローラ対320は、第1給紙搬送路530又は第2給紙搬送路310を通じて搬送されたシートを画像形成部410へ供給する。
画像形成部410は、イエロー用トナーコンテナ900Y、マゼンタ用トナーコンテナ900M、シアン用トナーコンテナ900C、ブラック用トナーコンテナ900Bkを含む。これらコンテナの下方には、YMCBk各色に対応する現像装置10Y、10M、10C、10Bkがそれぞれ配設される。画像形成部410は、これらトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Bkに収容されたトナーを用いて、シートに画像を形成する。
画像形成部410は、各色のトナー像を担持する像担持体として用いられる感光体ドラム17(電子写真方式で潜像が形成される感光体)を含む。感光体ドラム17の周面は、トナー画像を担持するための表面として用いられる。感光体ドラム17として、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。各感光体ドラム17には、トナーコンテナ900Y、900M、900C、900Bkからそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが供給される。
感光体ドラム17の周囲には、帯電器16、現像装置10(10Y、10M、10C、10Bk)、転写器19及びクリーニング装置18が配置される。帯電器16は、感光体ドラム17の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム17の表面は、光走査装置600によって露光され、静電潜像が形成される。光走査装置600は、例えば、外部装置からの画像信号(画像情報を含む信号)に基づき、帯電後の感光体ドラム17の表面にレーザ光を出射する。
現像装置10Y、10M、10C、10Bkは、それぞれトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Bkから供給される各色のトナーを供給し、各々の感光体ドラム17上に形成された静電潜像に合致するトナー画像を形成する。転写器19は、中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム17とニップ部を形成し、感光体ドラム17上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置18は、トナー像転写後の感光体ドラム17の周面を清掃する。
各現像装置10Y、10M、10C、10Bkは、現像筐体20を備える。現像筐体20の内部には、磁性キャリアとトナーとを有する2成分現像剤が収納される。また、現像筐体20内には、現像筐体20の底部近傍に長手方向を軸方向として並列に2本の攪拌ローラ11、12が回転可能に配置される。
現像筐体20の内部底面には、現像剤の循環経路が設定されており、攪拌ローラ11、12は循環経路内に配設される。攪拌ローラ11、12の間の軸方向には、現像筐体20の底部から立設された仕切り壁201が設けられる。仕切り壁201は、循環経路を区画する。仕切り壁201の周囲を周回するように、循環経路が形成される。2成分現像剤は、循環経路を攪拌ローラ11及び12によって攪拌、搬送されながら帯電される。
2成分現像剤は、攪拌ローラ11及び12によって攪拌されつつ現像筐体20内を循環し、トナーが帯電される。攪拌ローラ11上の2成分現像剤は、上側に位置する磁気ローラ14に吸引されて搬送される。吸引された2成分現像剤は、磁気ローラ14上に磁気ブラシ(図示せず)を形成する。磁気ブラシは、ドクターブレード13によって層厚規制される。現像ローラ15上のトナー層は、磁気ローラ14と現像ローラ15との間の電位差によって形成される。トナー層によって感光体ドラム17上の静電潜像が現像される。
光走査装置600は、レーザ光線を出射する光源、光源からのレーザ光線の光路の方向を定めるミラーとして用いられるポリゴンミラー、ポリゴンミラーとともにレーザ光線の光路を形成する他のミラー群といった光学素子を含む光学ユニットと、光学ユニットを収容する内部空間を形成する筐体とを有する。光走査装置600は、画像形成部410の各々に設けられた感光体ドラム17の周面に、画像信号に基づく光を出射して、静電潜像を形成する。
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラ922及び従動ローラ923を備える。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム17からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。重ね塗りされたトナー像は、カセット300又はトレイ510から供給されるシートに二次転写部98において二次転写される。中間転写ベルト921を周回駆動させる駆動ローラ922及び従動ローラ923は、主筐体2によって回転自在に支持される。
レジストローラ対320から送り出されたシートは、二次転写部98を構成する中間転写ベルト921及び転写ローラ981との間に供給される。その後、シートは二次転写部98によって転写されたトナー画像を担持しつつ、定着部430へ送り出される。
定着部430は、ヒータ431を内蔵する加熱ローラ432と、加熱ローラ432に圧接される加圧ローラ433とを含む。二次転写部98から送り出されたシートは、加熱ローラ432と加圧ローラ433との間に送り込まれる。シート上のトナーは加熱ローラ432からの熱エネルギを受け溶融し、加圧ローラ433からの圧力を受けることにより、シートに定着されることとなる。定着部430は、シートにトナーを定着した後、排出搬送路340を介してシートを排出部450へ送る。
排出部450は、排出ローラ対451を含む。排出ローラ対451は正転・逆転可能に形成される。これにより、上述のスイッチバック動作が達成されることとなる。
図3は、光走査装置600及び光走査装置600を支持する枠体の斜視図である。図3と併せて、図1及び図2を参照しつつ、光走査装置600及び枠体が説明される。
略矩形状の外形輪郭を有する枠体610は、4つの光走査装置600を支持するための支持体として用いられる。枠体610は、画像形成装置1の主筐体2の内壁面に取り付けられる。図3中、最も左方に配設される光走査装置600Yは、イエローのトナーを用いてトナー画像を形成する感光体ドラム17にレーザ光線を出射する。光走査装置600Yの右側の光走査装置600Mは、マゼンタのトナーを用いてトナー画像を形成する感光体ドラム17にレーザ光線を出射する。光走査装置600Mの右側の光走査装置600Cは、シアンのトナーを用いてトナー画像を形成する感光体ドラム17にレーザ光線を出射する。図3中、最も右方に配設される光走査装置600Bkは、ブラックのトナーを用いてトナー画像を形成する感光体ドラム17にレーザ光線を出射する。
光走査装置600は、略直方体形状の筐体620を備える。筐体620内には、レーザ光線を作り出すための光源や光源から出射されたレーザ光を感光体ドラム17まで結ぶ光路を形成するための光学ユニットが収容される。
筐体620は、防塵ガラスから形成される略矩形状の窓部621を含む。窓部621は、筐体620の上面の右縁に沿い、光走査装置600の主走査方向に延びる。筐体620内に配設された光源からのレーザ光線は、窓部621を透過し、感光体ドラム17の周面に照射される。
光走査装置600は、窓部621の左縁に沿って延びるスクリュシャフト631と、スクリュシャフト631に接続される清掃部632とを含む。清掃部632は、スクリュシャフト631に取り付けられるリング部633と、リング部633から延出し、窓部621に接触するワイパ部634とを含む。リング部633はスクリュシャフト631の回転によって、主走査方向に往復移動可能である。かくして、窓部621はワイパ部634によって好適に清掃される。
枠体610は、連設された4つの光走査装置600を支持する第1支持部611と、第1支持部611に対して反対側に配設されるとともに第1支持部611に対して略平行に延びる第2支持部612とを含む。筐体620は、第1支持部611に沿う第1壁622と、第1壁622に対して反対側に位置する第2壁623とを含む。第2支持部612は第2壁623に沿うように形成される。第1支持部611には、筐体620内の光学素子の角度設定を調整するための調節穴641が設けられる。使用者は、調節穴641に所定の工具を挿入して、光学素子の角度設定を変更することができる。したがって、第1支持部611が配設される側は、調節側と称される。第2支持部612の外面には、スクリュシャフト631を駆動するための駆動機構635の一部を収容する駆動ハウジング637が取り付けられる。駆動ハウジング637と第2壁623との間には、スクリュシャフト631を駆動するための駆動機構635の一部が露出する。したがって、第2支持部612が配設される側は、駆動側と称される。枠体610の角隅部には、駆動機構635を駆動するための駆動源(モータ)636が取り付けられる。
図4は、光走査装置600の外観斜視図である。図4と併せて、図3を参照しつつ、光走査装置600が説明される。
光走査装置600の筐体620は、レーザ光線の光路を形成する光学ユニットを収容するための内部空間を形成する容器部671と、容器部671の上部に形成された開口部を閉塞する蓋部672とを備える。蓋部672は、光走査装置600の上面を形成し、容器部671は、光走査装置600の他の外面を形成する。
蓋部672には、上述されたスクリュシャフト631、スクリュシャフト631に取り付けられた清掃部632、筐体620内部の光学ユニットから出射されたレーザ光線を透過させる窓部621が接続される。
容器部671は、枠体610の第1支持部611に沿う第1壁622と、第2支持部612に沿う第2壁623とを備える。第1壁622及び第2壁623それぞれは、第1支持部611及び第2支持部612に支持される突出部624を含む。突出部624が第1支持部611及び第2支持部612に係合されることにより、筐体620は枠体610に支持される。第1壁622に形成された一対の突出部624の間には、筐体620と第1支持部611とを接続するための固定具(例えば、ねじやビス)が螺合される取付穴626が形成される。取付穴626の下方には、筐体620の内部空間に連通する連通穴627が形成される。使用者は、上述の如く、調節穴641及び連通穴627を通じて、筐体620の内部に工具の先端を挿入することによって、筐体620内部の光学素子の角度設定を調整可能となる。
図5は、主走査方向に対して直交する方向における筐体620の断面図である。図5と併せて、図4を参照しつつ、筐体620が説明される。
筐体620の容器部671は、容器部671の内部空間を上下に仕切る仕切部673を含む。仕切部673には、必要に応じて(例えば、レーザ光線の光路を形成するために)、適宜開口部が設けられる。本実施形態において、仕切部673の上方に形成される内部空間は、第1空間674と称される。また、仕切部673の下方に形成される空間は、第2空間675と称される。第1空間674の上部開口部は、上述の如く、蓋部672によって閉塞される。容器部671は、第2空間675を閉塞し、筐体620の外面を形成する支持板676を含む。本実施形態において、筐体620の外面を形成する支持板676の下面は、第1面678と称される。また、第2空間675を形成する支持板676の上面(第1面678と反対側の面)は、第2面679と称される。また、第1空間674を形成する仕切部673の上面は、第3面688と称される。
図6は、蓋部672が除去された筐体620の斜視図である。図7は、図6に示される筐体620の平面図である。図6及び図7と併せて、図5を参照しつつ、筐体620の内部構造が説明される。
筐体620の第2壁623の外面には、光学ユニット680の光源として用いられるAPC基板751が取り付けられる。APC基板751は、レーザ光線を生成するとともに第2壁623に形成された貫通穴を通じて、筐体620の第1空間674内にレーザ光線を出射する。
仕切部673の第3面688には、APC基板751から出射されたレーザ光線の光路に沿う凹領域が形成される。凹領域内には、平行光を得られるように収差補正を行うコリメータレンズ752、平行光の径を調整する第1アパチャ部753、径調整がなされた平行光を集光させるシリンダレンズ754、集光処理されたレーザ光の径を調整する第2アパチャ部755が略一直線上に配設される。第2アパチャ部755を通過したレーザ光は、仕切部673に形成された開口部を通じて、第2空間675内に配設されたポリゴンミラー681に至る。本実施形態において、ポリゴンミラー681は、レーザ光線を反射させる回転多面鏡として用いられる。コリメータレンズ752、第1アパチャ部753、シリンダレンズ754、第2アパチャ部755及びポリゴンミラー681は、光学ユニット680の光学素子として用いられる。
図8は、筐体620内部に配設された光学ユニット680を概略的に示す光走査装置600の断面図である。図9は、ポリゴンミラー681及びポリゴンミラー681を回転させるモータの概略的な斜視図である。図8と併せて、図2、図5乃至図7を参照しつつ、光学ユニット680が説明される。
光学ユニット680は、更にポリゴンミラー681の中心を通過する鉛直軸周りに回転させ、レーザ光線を走査するための駆動源として用いられるモータ682とを備える。モータ682は、外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ)から送られる画像信号(印刷対象となる画像に関する情報を含む信号)に従って、所定角速度でポリゴンミラー681を回転させる。ポリゴンミラー681及びモータ682は、第2空間675中に配設される。モータ682としては、エア動圧式の軸受を備えるポリゴンモータが好適に用いられる。
モータ682は、モータ682の回転の制御並びにモータ682への電力供給を司る回路が形成された基板702上に配設される。ポリゴンミラー681は、モータ682の回転シャフト769に同心に取り付けられる。かくして、ポリゴンミラー681は回転シャフト769と同心回転する。ポリゴンミラー681上に略台形円錐状のバネ部材768が配設される。バネ部材768は、ポリゴンミラー681を下方に押さえつける役割を担う。
第2空間675中には、更に、ポリゴンミラー681からのレーザ光線の光路角度を調整する第1fθレンズ683、第1fθレンズ683からのレーザ光線を上方に向けて反射する第1ミラー684が配設される。仕切部673には、第1ミラー684によって反射されたレーザ光線の光路の形成を可能とするための開口部677が形成される。かくして、レーザ光線は、第2空間675の上方に形成される第1空間674に至る。
第1空間674には、第1ミラー684からのレーザ光線を更に略水平方向に反射させる第2ミラー685と、第2ミラー685によって反射されたレーザ光線の光路角度を更に調整する第2fθレンズ686が配設される。第2fθレンズ686を通過したレーザ光線は、第1空間674内に配設された第3ミラー687によって、反射され筐体620外へ出射される。図3に関連して説明された如く、第3ミラー687によって反射されたレーザ光線は、窓部621(図5参照)を透過し、感光体ドラム17(図2参照)の周面に至る。第3ミラー687の角度設定は、上述の如く、調節穴641を通じて挿入された所定の工具によって調整される。図5に示される如く、第3ミラー687は、窓部621の下方に位置する。第1fθレンズ683、第1ミラー684、第2ミラー685、第2fθレンズ686及び第3ミラー687は、光学ユニット680の光学素子として用いられる。
図10は、第3ミラー687が除去された筐体620の平面図である。図10と併せて、図8を参照しつつ、モータ682からの放熱が説明される。
仕切部673には、第1空間674と第2空間675とを連通させる開口部760が形成される。モータ682からの熱を第1空間674に逃がすために、開口部760は、モータ682の上方に形成される。ポリゴンミラー681が回転すると、第2空間675内で、第1壁622へ向かう気流及び/又は第2壁623へ向かう気流が発生する。かくして、モータ682からの熱が第2空間675内で好適に拡散される。更に、モータ682周囲の空気が暖められること、第2空間675内での対流及びポリゴンミラー681の回転によって、開口部760を通じて、第1空間674内へ流入する気流が発生する。この結果、第2空間675内のみならず、第1空間674内においても、モータ682からの熱が好適に拡散されることとなる。かくして、筐体620の内部空間において、局所的な温度上昇が好適に抑制される。
図11は、開口部760周囲の拡大斜視図である。図11と併せて、図8及び図10を参照しつつ、開口部760が説明される。
モータ682の基板702が配設される。また、開口部760の直径に沿って、架橋部761が開口部760を跨ぐように形成される。架橋部761は、意図せず、筐体620が上下反転されたとき(例えば、画像形成装置1が搬送されている間や光走査装置600の交換及び/又は取付作業時)、モータ682が第1空間674内に進入することを妨げる。したがって、モータ682と基板702との間の取付構造を比較的簡素化することが可能となる。尚、架橋部761は、直線状に限らず、モータ682の第1空間674への進入を妨げるように開口部760を部分的に閉塞するように形成された任意の形状であってもよい。
図8に示される如く、架橋部761の下面には、半球状の突起部762が形成される。突起部762は、モータ682の回転中心軸上に配設される。半球状の突起部762をモータ682の回転シャフト769の中心に一致するように形成することによって、第1空間674内に進入しようとするモータ682との接触面積が不必要に増大することが避けられることとなる。
図12は、筐体620の底面図である。図12と併せて、図8を参照しつつ、モータ682に対する放熱構造が説明される。
モータ682を支持する支持板676の第2面679と反対側の第1面678には、放熱部として用いられるヒートシンク705が取り付けられる。略矩形状のヒートシンク705は、主走査方向へ延びる複数のリブ811を含む。ヒートシンク705は、例えば、アルミニウム板といった熱伝導率の高い金属から形成される。
モータ682の下部の円柱形状の突出部812は、ヒートシンク705に形成された貫通穴に嵌合される。かくして、モータ682の熱は、ヒートシンク705への熱伝導によって、直接的に筐体620外部へ放熱される。また、図8に示される如く、ヒートシンク705の上面は、薄い基板702を介して、第2空間675に臨む。したがって、第2空間675内の熱も好適にヒートシンク705から筐体620の外部へ放熱されることとなる。
本実施形態の筐体620の構造は、上述の如く、筐体620内部における局所的な温度上昇を好適に抑制することが可能である。更に、モータ682の上方に形成される仕切部673並びに蓋部672は上方に向かうモータ音の伝播も好適に抑制する。したがって、本実施形態の筐体620の構造は、使用者に知覚されるモータ音も好適に抑制することができる。