JP5265567B2 - 乗物を運行させる方法 - Google Patents

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Description

(関連出願)
本願は、2006年12月18日に出願された同時継続中の米国出願第60/870,562号に関連すると共に、その出願からの優先権を主張するものである。また、2006年3月20日に出願された同時継続中の米国出願第11/385,354号の一部継続出願である。
本発明の分野は、車両の運行を最適化することに関し、より詳細には、車両の運行を監視および制御して、スケジュールの制約条件を満たしながら効率を改善することに関する。
機関車は、多数のサブシステムを有し、各サブシステムが他のサブシステムに相互依存する複雑なシステムである。オペレータは、機関車に搭乗して、機関車および連結貨車群の適切な運行を確実に行う。また、オペレータは、機関車の適切な運行を確実に行うことのほか、列車の運行速度を決定するとともに、機関車が一部を占める列車内の力を許容値に制限する責を負う。この役割を実行するため、オペレータは通常、特定の地形における機関車および様々な列車の操作経験がなければならない。この知識は、軌道に沿った列車位置によって異なる指示可能な運行速度を遵守するために必要となる。また、オペレータは、列車内の力が許容範囲内にあることを確認しなければならない。
ただし、安全な運行を保証する知識があったとしても、オペレータは通常、各走行で燃料の消費量を最小限に抑えるように列車を運転することはできない。たとえば、考慮しなければならない他の要因には、排出物出力と、騒音/振動のようなオペレータの環境条件と、燃料消費および排出物出力の重み付けされた組み合わせなどがある。これらを考慮することは、たとえば、列車の大きさおよび荷重はさまざまであり、機関車とその燃料/排出特性が異なることに加え、天候および走行条件も多様であるため、困難である。変動の原因が何であれ、できるだけ少量の燃料を使用しながら、求められているスケジュール(到着時刻)に合った、所定の日の列車運転について最適な方法を決定する手段がオペレータに提供されれば、オペレータはより効率的に列車を運転できるようになる。
単一の燃料タイプで動作する機関車を持つ列車に加え、少なくとも1種類のディーゼル燃料と少なくとも1種類の代替燃料を含んだ複数の燃料で動作するエンジンを持つ列車/機関車、およびOHV(オフハイウェイ車両)と航海用船舶を含む他の車両を利用すると有利である。代替燃料のコストおよび利用しやすさの利点に加え、各車両の動作における燃料とその関連混合物の各タイプの特性を組み込んで、たとえば、燃料の合計使用量を削減、または合計排出物出力を抑制しながら、必要なスケジュールに合うように各車両を運行させる最適な方法を決定することができる。
米国特許出願公開第2002/0059075号 米国特許出願公開第2003/0213875号 米国特許出願公開第2004/0133315号 米国特許出願公開第2004/0245410号 米国特許出願公開第2005/0120904号 米国特許第6,144,901号公報 米国特許第6,691,957号公報 米国特許第7,092,801号公報 米国特許第7,092,800号公報 米国特許第7,079,926号公報 米国特許第7,036,774号公報 米国特許第7,024,289号公報 米国特許第6,996,461号公報 米国特許第6,978,195号公報 米国特許第6,957,131号公報 米国特許第6,903,658号公報 米国特許第6,865,454号公報 米国特許第6,863,246号公報 米国特許第6,853,888号公報 米国特許第6,845,953号公報 米国特許第6,824,110号公報 米国特許第6,609,049号公報 米国特許第6,112,142号公報 米国特許第6,915,191号公報 欧州特許第1297982号
本発明の一実施形態は、各機関車構成が1つ以上の機関車からなり、その機関車構成を1つ以上持つ列車を運行させるシステムを開示する。例示する一実施形態において、本システムは、列車の位置を特定する位置探索要素を含む。また、軌道についての情報を提供する軌道特徴付け要素も提供される。本システムは、前記位置探索要素および軌道特徴付け要素から情報を受信することができるプロセッサも含む。また、アルゴリズムも提供される。このアルゴリズムは、前記プロセッサ内に組み込まれ、前記情報にアクセスして、前記列車に対する1つ以上の運行基準に従って、機関車構成の性能を最適化する走行計画を作成する。
また、本発明の他の実施形態は、各機関車構成が1つ以上の機関車からなり、その機関車構成を1つ以上持つ列車を運行させる方法も開示する。本方法は、軌道上の列車の位置を特定することを含む。また、本方法は軌道の特徴を特定する。本方法は、前記列車に対する少なくとも1つの運行基準に従って、列車の位置と、軌道の特徴と、機関車構成の運行状態に基づいた走行計画を生成することも含む。
また、本発明の他の実施形態は、コンピュータプロセッサと、各機関車構成が1つ以上の機関車からなる機関車構成1つ以上を持つ列車を運行させる、コンピュータソフトウェアコードを開示する。このコンピュータソフトウェアコードは、前記列車に対する少なくとも1つの運行基準に従って、列車の位置と、軌道の特徴と、機関車構成の運行状態に基づいた走行計画を生成するソフトウェアモジュールを含む。
本発明の他の実施形態は、さらに、各機関車構成が1つ以上の機関車からなる機関車構成を1つ以上持った列車を運行させる方法であって、前記列車に対して既に走行計画が提示されている場合の運行方法を開示する。本方法は、前記走行計画に基づいて前記機関車構成の出力設定を決定することを含む。また、本方法は、前記出力設定において、前記機関車構成を運行させる。列車の実速度、機関車構成の実際の出力設定、および列車位置の少なくともいずれかが収集される。列車の実速度、機関車構成の実際の出力設定、および列車位置の少なくともいずれかは、前記出力設定と比較される。
本発明の他の実施形態は、さらに、各機関車構成が1つ以上の機関車からなる機関車構成を1つ以上持つ列車の運行方法であって、前記列車に対して、当該列車と前記機関車構成に想定されている運行パラメータに基づいた走行計画が既に提示されている場合の運行方法を開示する。本方法は、列車の運行パラメータと機関車構成の運行パラメータを推算することを含む。本方法はさらに、推算された列車の運行パラメータおよび機関車構成の運行パラメータを、前記想定されている列車の運行パラメータおよび機関車構成の運行パラメータと比較することを含む。
本発明の他の実施形態はさらに、各機関車構成が1つ以上の機関車からなる機関車構成を1つ以上持つ列車の運行方法であって、所望のパラメータに基づいた走行計画が前記列車に対して既に提示されている場合の運行方法を開示する。本方法は、列車および機関車構成の運行パラメータを特定することと、決定された前記運行パラメータに基づいて所望のパラメータを決定することと、決定されたパラメータを前記運行パラメータと比較することを含む。前記決定された前記パラメータと前記運行パラメータの比較により差異が顕現した場合、本方法は、前記走行計画を調整することをさらに含む。
本発明の他の実施形態は、さらに、各機関車構成が1つ以上の機関車からなる機関車構成を1つ以上有する鉄道システムの運行方法を開示する。本方法は、軌道上の列車位置を決定することと、前記軌道の特徴を決定することを含む。また、本方法は、鉄道システムの位置、軌道の特徴、および機関車構成の運行状態に基づいて、前記機関車のうちの少なくとも1つに対する運行計画を生成し、前記鉄道システムによる燃料消費を最小限に抑えることをさらに含む。
本発明の他の実施形態はさらに、各機関車構成が1つ以上の機関車からなる機関車構成を1つ以上有する鉄道システムの運行方法を開示する。このため、本方法は、軌道上の列車の位置を決定することと、軌道の特徴を判定することを含む。本方法はさらに、前記機関車構成に対する推力制御を提供して、前記鉄道システムによる燃料消費を最小限に抑えることを含む。
本発明の他の実施形態において、少なくとも1種類の燃料で動作するエンジンを持つ車両の運行システムが提供される。本システムは、車両の位置を決定する位置探索要素と、前記車両の走行地形についての情報を提供する軌道特徴付け要素を含む。特に、本システムは、燃焼の種類ごとの特性情報を格納するデータベースと、前記位置探索要素と、前記軌道特徴付け要素と、前記データベースから情報を受信することができるプロセッサを含む。アルゴリズムは前記プロセッサに組み込まれ、前記情報にアクセスすることによって前記車両に対する1つ以上の運行基準に従って、当該車両の性能を最適化する走行計画を生成する。
本発明の他の実施形態において、少なくとも1種類の燃料で動作するエンジンを持つ車両の運行方法が提供される。本方法は、車両の位置を決定することと、車両の走行地形についての情報を提供することと、燃料の種類ごとの特性情報を格納することを含む。特に、本方法は、前記車両に関する1つ以上の運行基準に従って、当該車両の性能を最適化する走行計画を生成することを含む。
本発明の他の実施形態において、車両の運行方法に関するプログラム命令を含む、コンピュータ可読媒体が提供される。車両は、少なくとも1種類の燃料で動作するエンジンを含む。本方法は、車両の位置を決定することと、車両の走行地形についての情報を提供することと、燃料の種類ごとの特性情報を格納することを含む。特に、前記コンピュータ可読媒体は、車両に対する1つ以上の運行基準に従って、当該車両の性能を最適化する走行計画を生成するコンピュータプログラムコードを含む。
本発明に一致する実施形態について詳細に説明する。実施形態の各種の例は、添付の図面に示されている。特に支障がない限り、図面全体で使用されている同一の参照番号は、同一または同様の構成要素を示す。
本発明の実施形態は、前述した分野の問題を解決するものである。その解決策として、機関車構成を持つ列車の運転戦略であって、列車の運行を監視および制御する手法を決定して、スケジュールおよび速度の制約条件を満たしながら、目的とする決定の運行基準パラメータ要件を改善する運転戦略を決定および実施するシステム、方法、およびコンピュータに実装された方法を提供する。本発明の実施形態はまた、機関車構成が分散動力駆動式である場合にも実施できる。本発明の例示的な実施形態によれば、列車の運行改善に用いる軌道車パラメータを識別するシステム、方法、およびコンピュータソフトウェアコードを提供することによって、当該技術の問題点が解決される。当業者であれば、CPU、メモリ、I/O、プログラム記憶装置、接続バス、およびその他の適当な構成要素を含むデータ処理システム等の装置をプログラミングもしくは設計することによって、本発明の例示的な一実施形態に係る方法を容易に実行可能であることが分かる。このようなシステムは、本発明の例示的な実施形態を実行するための適当なプログラム手段を含む。
また、予め記録されたディスクまたは同様のコンピュータプログラム製品など、データ処理システムでの用途に対応した製造品は、記録媒体およびその記録媒体に記録されたプログラム手段とを含み、前記データ処理システムに命令して、本発明の方法の実施形態を実行させるものである。このような装置と製造品も、本発明の実施形態の精神および範囲に含まれるものである。
概略を述べると、本発明の実施形態は、機関車構成を持つ列車の運転戦略であって、列車の運行を監視および制御する手法を決定して、スケジュールと速度の制約条件を満たしながら、目的とする決定の運行規準のパラメータ要件を改善する運転戦略を決定および実施する方法、装置、およびプログラムを提供する。本発明の実施形態について容易に理解できるようにするため、下記では、各実施形態の具体的な実施内容を参照しながら説明を行う。本発明の実施形態については、コンピュータによって実行される、プログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令という大まかな文脈の中で説明する。また、プログラムモジュールは通常、特定のタスクの実行または特定の抽象データ型の実装を行うルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む構成であってもよい。例えば、本発明の例示的な実施形態の基礎となるソフトウェアプログラムは、様々な計算プラットフォームでの使用を意図して、種々言語によりコーディングすることができる。下記の説明において、本発明の実施形態の例については、ウェブブラウザを採用するウェブポータルという文脈の中で説明する。ただし、当然のことながら、本発明の例示的な実施形態の基礎となる原理は、他のコンピュータソフトウェア技術とも併せて実装可能である。
さらに、当業者にとっては当然のことであるが、本発明は、携帯型装置、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサを用いた家庭用電化製品またはプログラム可能な家庭用電化製品、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ等のコンピュータシステム構成によって実施してもよい。また、本発明は、通信ネットワークを介して接続された遠隔処理装置によってタスクを実行する分散コンピュータ環境において実施してもよい。分散コンピュータ環境においては、メモリ記憶装置を含む局所コンピュータ記憶媒体および遠隔コンピュータ記憶媒体の両者にプログラムモジュールを配置してもよい。これらのローカルおよびリモートのコンピュータ処理環境は、その全体が機関車または構成内の隣接する機関車内に搭載されても、あるいは、非車載で、無線通信を利用する沿線のオフィスや中央オフィス内に設けられてもよい。
本明細書では、機関車構成という用語を用いる。本明細書においては、相互接続によって運動および/または制動を可能にする連続した1または複数の機関車を有するものとして、機関車構成を説明することができる。機関車は、車両を一切挟まない状態で相互接続される。また、列車は、2つ以上の機関車構成を有する構成とすることもできる。具体的には、先導構成と、車列の中間や列車の最後部等における2つ以上の離間構成とが考えられる。各機関車構成は、先頭の機関車および後続の機関車を有する構成であってもよい。通常、先頭の機関車は先導機関車と見なされるが、当業者であれば、多機関車構成における先頭の機関車を物理的な後続位置に配してもよいことが容易に分かる。通常、機関車構成は連続した機関車と見なされるが、当業者であれば、機関車構成が動力分散運行用に設定され、少なくとも1台の車両が機関車群を分離することによって、スロットルおよび制動コマンドが無線リンクまたは物理ケーブルによって先導機関車から遠隔車両に中継される場合であっても、機関車構成群を一構成と見なしてもよいことが容易に分かる。この目的で、機関車構成という用語は、同一列車における複数の機関車を論じる際の限定要因と解釈されるべきではない。
次に図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。本発明は、システム(コンピュータ処理システムを含む)、方法(コンピュータ実装方法を含む)、装置、コンピュータ読み込み可能な媒体、コンピュータプログラム製品、Webポータルを含むグラフィカルユーザインターフェース、またはコンピュータ読み込み可能なメモリに明確に定義されたデータ構造等、様々な方法で実施可能である。以下では、本発明のいくつかの実施形態について論じる。
図1は、本発明の例示的な一実施形態に係るフローチャートの例を示したものである。図示の通り、走行の計画に特化した命令は、車内または運行指令センター10等の遠隔地から入力される。このような入力情報としては、列車の位置、構成の説明(機関車モデル等)、機関車動力の説明、機関車牽引トランスミッションの性能、出力の関数としてのエンジン燃料消費、冷却特性、所望の走行経路(マイル標の関数としての有効な軌道勾配および曲率、または実際の標準的な鉄道路線に準ずる曲率を反映した「有効勾配」成分)、有効抗力係数とともに車両編成および荷重によって表された列車、ならびに、出発時刻と位置、到着位置、所望の移動時間、乗員(ユーザおよび/またはオペレータ)の識別、乗員交代満了時刻、および経路を含む走行目標パラメータ等が挙げられるが、これらには限定されない。
このデータは、オペレータが車載ディスプレイを介して手動で機関車42に入力する方法、データを含むハードカードおよび/またはUSBドライブ等のメモリ素子を機関車のレセプタクルに挿入する方法、軌道信号装置および/または路側装置等の中央位置または路側位置41(図3に示す)から機関車42に無線通信を介して情報伝達する方法等、およびこれらには限定されない様々な方法で機関車42に提供可能である。また、機関車42および列車31の荷重特性(例えば、抗力等)は、経路上(例えば、標高、気温、レールと軌道車の状態等)で変更してもよく、また、上述の任意の方法および/または機関車や列車の状態を実時間で自律収集することにより、必要に応じて、これらの変更を反映するように計画を更新してもよい。このような変更としては、例えば、機関車42内外の機器を監視することによって検出した機関車または列車の特性の変更が挙げられる。
軌道信号システムは、列車の許容速度を決定する。軌道信号システムおよび各信号に関連する運行規則には、様々な種類が存在する。例えば、信号灯(オン/オフ)、複数色を有する単一レンズ、および複数の明るさと色を有する信号がそれぞれ存在する。これらの信号は、軌道に障害物がなく、列車が許容最高速度で進行してもよいことを示唆することができる。また、減速または停止が必要であることを示唆することもできる。この減速は、即座の実行または特定の位置(例えば、次の信号または踏切の前等)での実行が必要となる場合がある。
信号の状態は、様々な手段を介して列車および/またはオペレータに伝達される。軌道内に回路を有するとともに、機関車上に誘導ピックアップコイルを有するシステムもあれば、無線通信システムを有するシステムもある。また、信号システムは、オペレータに対して、信号を視覚的に監視し、適切な措置を講じるよう要求することもできる。
信号システムは、車載信号システムと連動するとともに、入力および適切な運行規則に従って機関車の速度を調整する構成であってもよい。オペレータに対して信号の状態を視覚的に監視するよう要求する信号システムにおいては、オペレータが列車の位置に基づいた入力を行う適当な信号オプションがオペレータ用画面に表示される。位置の関数としての信号システムおよび運行規則の種別は、車載データベース63に格納してもよい。
本発明の例示的な実施形態に入力された指定データに基づいて、所望の出発・到着時刻で経路沿いの速度規制の制約を受けた状態での燃料消費量および/または排出量を最小限に抑える最適計画を計算することにより、走行プロファイル12を生成する。このプロファイルは、距離および/または時間の関数として表現された列車が準ずるべき最適速度と動力(ノッチ)設定、ならびに、最大ノッチ動力と制動設定、位置の関数としての速度規制、および予想燃料消費量と生成排出量を含む列車運行規制等を含むが、これらには限定されない。例示的な一実施形態において、ノッチ設定の値は、およそ10〜30秒に1回の頻度でスロットル変更決定が行われるように選択する。当業者であれば、最適速度プロファイルに準ずることの必要性および/または要望に応じて、スロットル変更決定が長周期または短周期で発生することが容易に分かる。より広い意味で、当業者にとっては、上記プロファイルによる列車の動力設定が列車レベル、構成レベル、および/または個別の列車レベルのいずれかで規定されることは明らかである。動力には、制動力、原動力、およびエアブレーキ力が含まれる。別の好適な実施形態においては、従来の離散的なノッチ動力設定で運行する代わりに、本発明の例示的な実施形態によれば、選択したプロファイルに最適と判断された連続的な動力設定を選択可能である。したがって、例えば、ノッチ設定7で運行する代わりに、最適なプロファイルによってノッチ設定6.8を規定する場合、機関車42は6.8で動作可能である。このような中間の動力設定を可能にすることによって、後述のような付加的な効率性の利益がもたらされる可能性がある。
以下に要約するように、最適なプロファイルの計算に用いる手順は、列車31を駆動する動力シーケンスを計算する任意数の方法によって、機関車の運行およびスケジュールの制約を受ける燃料消費量および/または排出量を最小限に抑えることができる。場合によっては、列車構成、経路、および環境条件が類似することにより、要求された最適なプロファイルが過去に決定したものと十分に近くなることがある。この場合は、データベース63の走行軌跡を参照して、その軌跡に追随するようにすれば十分である。過去に計算した計画が適さない場合は、新たな計画を計算する方法として、列車の運動物理学を近似する微分方程式モデルを用いて最適なプロファイルを直接計算する方法等が挙げられるが、これらには限定されない。構成としては、燃料消費と排気生成の比に対応するモデル変数の加重和(積分)に対して、スロットルの過度の変動にペナルティを科す項を加えた形式が一般的な、定量的な目的関数の選択が含まれる。
速度規制や最小・最大動力(スロットル)設定等、およびこれらには限定されない制約を受ける定量的な目的関数を最小化するため、最適制御の定式化を行う。任意の時点での計画目標に応じて、問題の設定を柔軟に行い、排出量および速度規制の制約を受ける燃料消費量もしくは燃料消費量および到着時刻の制約を受ける排出量を最小限に抑えることも可能である。また、例えば、総排出量または燃料消費量の制約を緩和することが任務上可能もしくは必要となる目標を設定することにより、そのような制約を受けずに総移動時間を最小限に抑えることも可能である。
本明細書では、機関車の燃料消費量を最小限に抑える例示的な数式および目的関数を提示する。これらの数式や関数は、説明のために用いたに過ぎず、別の数式や目的関数を使用して、燃料消費量またはその他の機関車/列車運行パラメータを最適化することも可能である。
解決すべき問題は、数学的に、より正確に記述可能である。基本的な物理的過程は、以下のように表される。
Figure 0005265567
ここで、xは列車の位置、vは列車の速度、tは時間(必要に応じて、マイル、マイル/時、および分または時間で表す)、uはノッチ(スロットル)コマンド入力である。さらに、Dは移動距離、Tは軌道に沿った距離Dでの所望の到着時刻、Tは機関車構成によって生成された牽引力、Gは列車の長さ、列車編成、および列車位置の地形によって決まる重力による抗力、Rは機関車構成と列車の組み合わせの正味速度によって決まる抗力をそれぞれ示す。初期速度および最終速度の規定も可能であるが、一般性を失わないように、ここではゼロとする(列車は、最初と最後に停止状態となる)。最後に、スロットルuの変更とそれによって生じる牽引力または制動との時間差等その他の重要な動力学を含むようにモデルを直ちに修正する。このモデルを用いて最適制御の定式化を行うことにより、速度規制や最小・最大動力(スロットル)設定等、およびこれらには限定されない制約を受ける定量的な目的関数を最小化する。任意の時点での計画目標に応じて、問題の設定を柔軟に行い、排出量および速度規制の制約を受ける燃料消費量もしくは燃料消費量および到着時刻の制約を受ける排出量を最小限に抑えることも可能である。
また、例えば、総排出量または燃料消費量の制約を緩和することが任務上可能もしくは必要となる目標を設定することにより、そのような制約を受けずに総移動時間を最小限に抑えることも可能である。これらすべての性能尺度は、以下のいずれかの線形結合により表すことができる。
Figure 0005265567
Figure 0005265567
Figure 0005265567
Figure 0005265567
上記(1)の燃料項Fを排気生成に対応する項に置き換えると、例えば、排気に関しては
Figure 0005265567
となる。この式におけるEは、各ノッチ(または動力設定)に対してグラム/馬力時(gm/hphr)で表された排出量である。また、最小化は、燃料消費および排気の加重総量に基づいて行うことも可能である。
以上から、一般的かつ代表的な目的関数は以下の通りである。
Figure 0005265567
この線形結合の係数は、各項の重要度(加重)によって決まる。複数の燃料タイプで車両が動作する場合、燃料項Fは、下記でさらに詳しく説明するように、車両によって使用される各燃料タイプの燃料効率の算術和の組み合わせである。なお、式(OP)におけるu(t)は、連続的なノッチ位置を表す最適化変数である。例えば、旧式の機関車において離散的なノッチが必要な場合は、式(OP)の解を離散化することになるが、燃料の節約は低減する可能性がある。最小時間解の探索(αおよびαをゼロに設定)を利用して下限を求める。好ましい実施形態は、α3をゼロに設定して、Tのさまざまな値について数式(OP)を解くものである。このような最適化問題の解に精通した者にとっては、例えば、以下のような経路に沿った速度規制等の制約が必要となる場合がある。
Figure 0005265567
一方、端点制約の下で最小時間を目的として用いる場合、総燃料消費量は、例えば、以下のようにタンク内の量を下回る必要がある。
Figure 0005265567
ここで、WはTにおけるタンク内の燃料残量である。当業者であれば、式(OP)が別の形式でも記述可能であって、上記の形式は、本発明の例示的な実施形態で用いる例示的な数式であることが容易に分かる。
本発明の例示的実施形態の文脈における排出物に対する参照は、実際には、窒素酸化物(NOx)、酸化炭素(COx)、不燃炭化水素(HC)、および粒子状物質(PM)などの形式で生成される蓄積性排出物に対するものである。ただし、他の排出物は、特に限定するものではないが、機関車によって放射される個別の周波数に対応した電磁放射の最大値、たとえば、ワットで測定される無線周波数(RF)の動力出力の限界など、を含んでよい。さらに別の放出形態としては、通常デシベル(dB)単位で測定される機関車からの騒音がある。排出に関する要件は、時刻、時期、および/または天候や大気中の汚染物質レベル等の大気条件に基づいて、可変であってもよい。また、排出規制は、鉄道路線システムの全域で地理的に異なってもよいことが知られている。例えば、都市や州等の運行区域には特定の排出目標を設け、隣接する運行区域には、例えば、低許容排出量または所与の排出水準に対して課される高額な排出料等の異なる排出目標を設けてもよい。
したがって、特定の地理的区域の排出プロファイルは、当該プロファイルに含まれる各規定排出量の最大排出値を含むように調整することによって、当該区域に要求された所定の排出目標を満足することも可能である。これらの排出パラメータは、機関車に関しては通常、動力(ノッチ)、大気状態、エンジン制御方法等によって決定される。設計上、すべての機関車はEPA排出基準に準拠する必要があるため、排出物を最適化する本発明の実施形態において、排出物はミッション合計の排出物を意味するが、このミッション合計排出物についての現行のEPA規定は存在しない。最適化された走行計画に応じた機関車の運行は、いかなる時点においてもEPA排出基準に準拠したものである。他の用途においてはディーゼルエンジンが利用されるため、他の規制も適用できることは、当業者であれば容易に理解されるであろう。たとえば、CO2の排出は、国際協定で検討されている。走行動作中の主要な目的が排出量の低減である場合は、最適制御の定式化である式(OP)を修正して、この走行目的を考慮に入れる。最適化構成における柔軟性のポイントは、任意またはすべての走行目的が地理的範囲または任務に応じて変更可能なことである。例えば、優先度の高い列車については、最小時間の優先度が高く、1つの経路上での唯一の目的となる。別の例では、列車の計画経路に沿った州ごとに排気出力が異なることもある。
結果として得られた最適化問題を解くため、本発明の例示的な一実施形態においては、時間領域での動的最適制御問題を、N個の決定変数を有する等価な静的数理計画問題に置き換える。ここで、Nは、スロットル調整と制動調整を行う頻度および走行時間によって決まる値であり、標準的な問題の場合は数千となる。例えば、例示的な一実施形態においては、列車が米国南西部の172マイルの軌道を走行しているものとする。本発明の例示的な実施形態により決定・実行した走行とオペレータが決定した走行の実際のスロットル/速度履歴とを比較した場合、例えば、燃料消費量を7.6%節約可能である。この節約の改善は、本発明の例示的な実施形態により実現した最適化によって、オペレータの走行計画よりも抗力損失が少なく制動損失も殆どまたは一切ない走行方法が得られたため、実現できたものである。
上述の最適化をコンピュータで扱えるようにするため、図2や上述の数式に示すような列車の単純化モデルを採用してもよい。最適なプロファイルの主要な改良は、他の熱的・電気的・機械的な制約が侵害されたか否かを確認するため、最適な動力シーケンスが生成されたより詳細なモデルを用いることによってもたらされる。この結果、機関車や列車設備に悪影響を及ぼすことなく実現可能な走行に最も近い速度対距離を有する修正プロファイルが得られる。すなわち、列車の機関車および車両間力に対する熱的・電気的な制限等の付加的な暗黙の制約を満足可能である。
ここで図1に戻って、走行開始12が指示されると、駆動コマンドの生成14によって計画が進行する。そして、本発明の例示的な実施形態に係る運行設定に応じて、1つのコマンドが機関車に送られ、最適速度を実現するように最適駆動コマンドへの追随16が行われる。本発明の例示的な実施形態では、列車の機関車構成からの実速度・動力情報の取得18が行われる。なお、最適化に用いたモデルの近似性が避けられないため、最適動力の補正に関する閉ループ演算を行うことによって、所望の最適速度に追従するものとする。列車運行制限に関するこのような補正は、自動的に実施可能である。あるいは、列車の管理を常に支配するオペレータによって実施可能である。
場合によっては、最適化に用いたモデルが実際の列車とは大幅に異なることがある。これは、余分な貨物の積載または搭載、機関車の経路外れ、および初期のデータベース63またはオペレータによるデータ入力の誤り等を含む様々な理由で起こり得ることであるが、これらの理由には限定されない。これらの理由により、実時間列車データを用いて実時間での機関車および/または列車パラメータの推定20を行う監視システムが設けられている。推定したパラメータは、最初に走行計画を生成した際に用いた仮のパラメータとの比較22を行う。そして、仮定値および推定値間の任意の差異に基づいて走行の再計画24を行うことにより、新たな計画から十分な節約が得られるようにしてもよい。
走行の再計画を行う別の理由としては、運行指令センター等の遠隔地からの指令および/またはオペレータがより広範囲の移動計画目標に合致した目的への変更を求める場合等が挙げられる。より広範囲の移動計画目標としては、他の列車のスケジュール、トンネルから排気を除去可能である点、保守業務等が挙げられるが、これらには限定されない。さらに別の理由として、車載構成品の故障も考えられる。再計画の方法は、以下に詳述するように、混乱の重大性に応じて付加的な調整および大幅な調整に分類可能である。「新たな」計画は通常、上述した最適化問題の式(OP)の解から得られなければならないが、本明細書に記載の通り、高速の近似解が得られる場合が多い。
機関車42は運用上、システム効率を継続的に監視するとともに、走行性能の改善があるたびに、実際に測定した効率に基づいて走行計画を継続的に更新する。再計画の計算は、機関車ですべて行ってもよい。あるいは、無線技術を用いて計画を機関車42に伝達する運行指令センターまたは路側処理施設等の遠隔地に全部または一部を移管してもよい。本発明の例示的な実施形態では、効率伝達関数に関する機関車フリートデータの構築に利用可能な効率動向を生成してもよい。フリート全体のデータは、初期走行計画の決定に際して用いてもよく、また、複数の列車の位置を考慮する際のネットワーク全体の最適化トレードオフに用いてもよい。例えば、図4に示す移動時間と燃料消費量のトレードオフグラフは、同一経路上の多数の類似列車について収集した集合体平均により更新した、現在時刻における特定経路上の列車の能力を反映している。したがって、多数の機関車から図4のようなグラフを収集している中央送信施設は、この情報を用いて、全体的な列車の移動をより適切に協調させることによって、燃料消費量またはスループットにおけるシステム全体の利益を実現可能である。
日常の運行における様々な事象によって、現在実行中の計画の生成または修正が必要となることがある。ここで、他の列車との交錯または通過が予定通りではなくなって、列車の遅れを取り戻す必要がある場合にも、同じ走行目的を維持することが望まれる。機関車の実際の速度、動力、および位置を用いて、計画した到着時刻と現在の推定(予測)到着時刻の比較25を行う。そして、(運行指令センターまたはオペレータが検出または変更した)時間ならびにパラメータの差異に基づいて、計画の調整26を行う。この調整は、上記のような計画からの逸脱の取り扱い方法に関する鉄道会社の要望に従って自動的に行ってもよい。あるいは、車上のオペレータと通信指令係が計画回復の最善策を連帯して決定する代替案を手動で提案してもよい。計画が更新されたものの、到着時刻等およびこれらには限定されない当初の目的が変更されない場合はいつでも、将来の新たな速度規制変更等、当初計画の回復の実現可能性に影響を及ぼしかねない付加的な変更を同時に織り込んでもよい。このような事例で、当初の走行計画を維持できない場合、すなわち、列車が当初の走行計画目標を満足できない場合は、本明細書に記載の通り、オペレータおよび/または遠隔施設、あるいは運行指令センターに対して他の走行計画を提示してもよい。
当初目的の変更が望まれる場合は、再計画を実行してもよい。このような再計画は、予め計画された定刻、オペレータまたは通信指令係の自由裁量、または列車運行規制等の所定の制限を超えた場合に独立して行うことができる。例えば、現在の計画の実行が特定の閾値(例えば、30分等)以上遅れている場合、本発明の例示的な実施形態においては、走行の再計画を行って、上述のような燃料消費量の増加により遅れを調整することができる。あるいは、どれほどの遅れを取り戻すことができるか(すなわち、残された最小時間または時間制約下で節約可能な燃料の最大値)をオペレータと通信指令係に知らせることができる。また、再計画のその他の誘因は、到着時刻、機器の故障および/または機器の一時的な機能不全(例えば、過加熱または過冷却運転等)に起因する馬力の損失、および/または列車荷重の想定等における全体的な設定誤りの検出等、およびこれらには限定されない燃料消費量または動力構成の状態に基づいて想定することができる。すなわち、上記の変更によって、現在の走行に対する機関車性能の低下が見られる場合は、最適化に用いたモデルおよび/または数式にこれらの誘因を織り込んでもよい。
計画目標の変更は、1台の列車の計画によって、別の列車が目的および異なる水準でのアービトレーションを満足する能力が制限される場合に、例えば、運行指令センターに対する要求として事象間の調整を行う必要性から生じることもある。例えば、交錯と通過の調整は、列車間の通信によってさらなる最適化を行ってもよい。したがって、例えば、交錯および/または通過位置への到達が遅れていることを列車側で把握している場合は、他方の列車からの伝達によって遅延列車(および/または運行指令センター)への通知が可能である。そして、オペレータは、遅延に関する情報を本発明の例示的な実施形態に入力可能であって、この実施形態により、列車の走行計画の再計算が行われる。本発明の例示的な実施形態は、高レベルまたはネットワークレベルで用いることによって、予定した交錯および/または通過の時間制約が満たされない場合に、運行指令センターによる減速または加速すべき列車の判定を可能にすることができる。これは、本明細書に記載の通り、運行指令センターにデータを送信して各列車の計画目標の変更に優先順位をつける列車によって実施可能である。選択の判断は、その状況により、スケジュールまたは燃料節約の利点のいずれかに基づいて行う。
本発明の例示的な実施形態では、手動または自動で開始された再計画のいずれについても、オペレータに対して2つ以上の走行計画を提示可能である。本発明の例示的な一実施形態においては、異なるプロファイルがオペレータに提示されるため、オペレータは、到着時刻を選択可能であるとともに、対応する燃料および/または排気の影響を把握可能となる。このような情報は、代替案の単純リストまたは図4に示すような複数のトレードオフグラフとして運行指令センターに提供することにより、同様な検討が可能である。
本発明の例示的な実施形態は、現在の計画および/または将来の計画に組み込み可能な列車と動力構成の主要な変更を把握して適応することができる。例えば、上述した誘因の1つに、馬力の損失がある。馬力の損失または走行の開始後においても時間とともに馬力を上げる場合は、所望の馬力が得られるタイミングを判定するために遷移論理を利用する。この情報は、馬力の損失が再発した場合に将来の走行または現在の走行を最適化するための機関車データベース61に保存可能である。
図3は、例示的なシステムの一部をなす要素の例示的な一実施形態を示したものであって、列車31の位置を決定する位置検索要素30が設けられている。位置検索要素30は、列車31の位置を決定するGPSセンサまたはセンサシステムによって構成可能である。このような他のシステムの例としては、無線周波数自動装置識別(RFAEI)タグ等の路側装置、運行指令センター、および/またはビデオ測定装置等が挙げられるが、これらには限定されない。別のシステムとしては、機関車に搭載され、基準点からの距離計算を行うタコメータが挙げられる。また、前述の通り、列車間の通信および/または運行指令センター等の遠隔地との通信を可能にする無線通信システム47を設けてもよい。移動位置に関する情報は、他の列車から転送する構成であってもよい。
また、軌道に関する情報のうち、主に勾配、標高、および曲率に関する情報を提供する軌道特性解析要素33が設けられている。軌道特性解析要素33は、車載の統合軌道データベース36を含む構成であってもよい。機関車構成42の牽引により生じた牽引力40、機関車構成42のスロットル設定、機関車構成42の構成情報、機関車構成42の速度、個々の機関車の構成、および個々の機関車の性能等の測定には、センサ38を使用する。例示的な一実施形態においては、センサ38を用いずに機関車構成42の構成情報を取り込んでもよいが、上述のような別の方法で入力するものとする。さらに、機関車構成の各機関車の状態を考慮に入れてもよい。例えば、機関車構成のうちの1台の機関車が動力ノッチレベル5以上で動作不可能な場合、走行計画の最適化にはこの情報が用いられる。
位置検索要素からの情報は、列車31の適切な到着時刻の決定に用いてもよい。例えば、列車31が軌道34に沿って目的地に向かっており、後続列車が存在せず、さらに従うべき到着期限が規定されていない場合は、無線周波数自動装置識別(RFAEI)タグ、運行指令センター、および/またはビデオ測定装置等、あるいはこれらに限定されない位置検索要素を用いて列車31の正確な位置の測定を行ってもよい。さらに、これらの信号システムからの入力を用いて、列車の速度調整を行ってもよい。本発明の例示的な実施形態では、後述の車載軌道データベースおよびGPS等の位置検索要素を用いることにより、所与の機関車位置における信号システムの状態を反映するオペレータのインターフェースを調整することができる。計画器は、信号状態が前方の速度制限を示す状況では、燃料消費量を節約するために列車を減速する選択を行ってもよい。
位置検索要素30からの情報は、目的地までの距離の関数としての計画目標の変更に用いてもよい。例えば、経路上の混雑に関する必然的な不確定要素があることから、後で統計的に発生する遅延の回避策として、経路の初期段階における「高速」時間目標を採用してもよい。遅延が発生しない特定の走行で変更を行った場合は、経路後半の目標を修正して、初期に蓄積した固有の余裕時間を用いることにより、燃料効率を回復することができる。同様の方法は、例えば、市街地に接近している場合等の排出制限のある目標に関しても行使することができる。
上記回避策の一例として、ニューヨークからシカゴへの走行を計画する場合、走行の初期、中間、または終盤のいずれかに列車を低速で運行するシステムの選択肢があってもよい。本発明の例示的な実施形態では、気象条件や軌道の保守等、およびこれらには限定されない未知の制約が走行中に発生して明らかとなる場合があるため、走行の終盤に低速運行を行えるように走行計画を最適化する。その他の検討事項として、従来から混雑する区域が既知の場合は、これらの混雑区域の周辺でより柔軟に対応可能な選択肢を用いて計画を改良する。これにより、本発明の例示的な実施形態では、将来に向けた時間/距離の関数として、および/または、既知/過去の経験に基づいて、加重/ペナルティを考慮に入れてもよい。当業者であれば、気象条件、軌道状態、および軌道上の他の列車等を考慮に入れた上記の計画や再計画を走行中常に考慮して、走行計画を適宜に調整可能であることが容易に分かる。
図3は、本発明の例示的な実施形態の一部をなす他の要素をさらに開示しており、位置検索要素30、軌道特性解析要素33、およびセンサ38からの情報を受信可能なプロセッサ44が設けられている。プロセッサ44内では、アルゴリズム46が機能する。アルゴリズム46は、上述のような機関車42、列車31、軌道34、および任務の目的に関するパラメータに基づいて最適な走行計画を計算する際に用いられる。例示的な一実施形態においては、アルゴリズムに規定された簡素化条件を有する物理的過程から導かれた非線形微分方程式の解として、列車31が軌道34に沿って移動する際の列車の動作モデルに基づいて走行計画の構築が行われる。アルゴリズム46は、位置検索要素30、軌道特性解析要素33、および/またはセンサ38からの情報を利用して、機関車構成42の燃料消費量の最小化、機関車構成42の排出量の最小化、所望の走行時間の規定、および/または機関車構成42上における乗務員の適正な作業時間の確保を可能にする走行計画を生成することができる。例示的な一実施形態においては、運転または制御要素51も設けられている。制御要素51は、本明細書に記載の通り、走行計画に対する列車の追従制御を行うためのものである。本明細書に記載する別の例示的な実施形態において、制御要素51は、列車運行に関する決定を独立して行う。また、別の例示的な実施形態においては、列車が走行計画に追従するように、オペレータが指示を行ってもよい。
本発明の例示的な実施形態では、任意の計画を初めに作成し、実行中に素早く修正できることが必要となる。これは、計画最適化アルゴリズムが複雑なことから、長距離が含まれる場合の初期計画の作成を含む。走行プロファイルの全長が所与の距離を超える場合は、アルゴリズム46により中間地点で任務を分割してもよい。なお、単一のアルゴリズム46のみを論じているが、当業者であれば、2つ以上のアルゴリズムを用いて、これらのアルゴリズムを相互に関連付けてもよいことが容易に分かる。中間地点としては、単線上での対向列車との交錯または後続列車の通過が予定されている待避線、もしくは車両の連結および切り離しを行う操車場または工場の側線、および計画作業位置等、列車31が停止する自然な位置が挙げられるが、これらには限定されない。このような中間地点では、列車31に対して、予定時刻に到着すること、および指定範囲内の速度で停止または移動することを要求してもよい。中間地点での到着から出発までの時間は、滞留時間と称する。
本発明の例示的な一実施形態においては、特別な系統立った方法により、長距離の走行を小さな区分に分割可能である。各区分は、長さを多少なりとも任意に設定可能であるが、通常は、停留所や大幅な速度制限がある区域または他の経路との分岐合流を規定する主要なマイル標等の自然な位置が選択される。このように選択した区画や区分により、図4に示すように、独立変数として選定した移動時間の関数として、軌道の各区分の走行プロファイルを作成する。各区分に関する燃料消費量/移動時間トレードオフは、列車31が軌道の当該区分に到達する前に計算可能である。そして、各区分について作成した走行プロファイルから、全体の走行計画を生成することができる。本発明の例示的な実施形態では、要求された総走行時間を満足するとともに、全区分に渡る総燃料消費量を最大限抑えられるように、最適な方法で移動時間を全走行区分に割り振る。また、例示的な3区分の走行について、図6に開示するとともに以下に論じる。ただし、複数の区分を論じているが、当業者であれば、走行全体を表す単一の区分で走行計画を構成してもよいことが分かる。
図4は、燃料消費量/移動時間グラフの例示的な一実施形態を示したものである。前述の通り、各区分に対する様々な移動時間の最適な走行プロファイルを計算することにより、このようなグラフ50が作成される。すなわち、所与の移動時間51に対して、上述のように計算した詳細な走行プロファイルの結果が燃料消費量52となる。各区分の移動時間を割り振ると、過去に計算した解から各区分の動力/速度計画が決定される。速度規制の変更等およびこれらには限定されない各区分間での速度に関する任意の中間地点制約がある場合は、最適な走行プロファイルの作成中に調整する。速度制限が単一の区分でのみ変更となる場合は、変更のあった区分に対してのみ燃料消費量/移動時間グラフ50を再計算すればよい。これにより、多数の走行区域や区分の再計算に要する時間を短縮することができる。例えば、機関車の損害または車両の連結や切り離しによって、機関車構成または列車が経路に沿って大幅に変化する場合、その後の全区分の走行プロファイルは、グラフ50の新たな事例を作成することによって再計算しなければならない。そして、これらのグラフ50を新たなスケジュール目標と併せて用いることにより、残りの走行を計画する。
上述のように走行計画を生成すると、速度・動力対距離の軌跡を用いることによって、所要の走行時間および最小限の燃料および/または排出量で目的地に到達することができる。ここで、走行計画の実行には複数の方法がある。以下でより詳細に記載する通り、例示的な一実施形態において、指導モードでは、最適な走行計画に従って決定された所要の動力と速度を達成するための情報がオペレータに対して表示される。このモードでは、オペレータが利用すべき運行条件等の運行情報が提示される。別の例示的な実施形態においては、加速と定速維持が行われる。ただし、列車31の減速が必要な場合、オペレータは、制動システム52を適用する責を負う。本発明の別の例示的な実施形態において、駆動および制動のコマンドは、所望の速度対距離の軌跡をたどるように、必要に応じて提供される。
また、向かい風および/または追い風の変動に起因する列車の負荷変動等およびこれらには限定されない事象を補正するため、フィードバック制御方法を用いて、プロファイルの動力制御シーケンスの補正を行う。このような誤差としては、最適な走行計画の条件と比較した場合の列車の質量および/または抗力等、およびこれらには限定されない列車パラメータの誤差に起因するものが考えられる。さらに、第3の誤差は、軌道データベース36に含まれる情報によって生じる可能性がある。その他の生じ得る誤差としては、機関車エンジン、トラクションモータの熱持続時間、および/または他の要因に起因する非モデル化性能の差が挙げられる。フィードバック制御方法では、位置の関数としての実速度と所望の最適プロファイルにおける速度との比較が行われる。この差に基づいて、最適な動力プロファイルの補正を行い、上記実速度を最適プロファイルに加味する。安定した調整ができるように、動力補正のためのフィードバック速度をフィルタリングする補償アルゴリズムを設けて、閉じた性能安定を確保してもよい。補償としては、制御システム設計の当業者が性能目標を満足するために用いる標準的な動的補償が挙げられる。
本発明の例示的な実施形態においては、鉄道路線の運行における例外というよりは習慣として、最も単純で最も早い手段により走行目的の変更を調整可能である。例示的な一実施形態においては、経路に沿った停留所があるA点からB点までの燃料消費最適走行を決定するとともに、走行の開始後に残りの走行に対する更新を行うため、準最適な分解方法を用いて最適な走行プロファイルを求めることができる。この計算方法は、モデリング手法を用いることにより、特定の移動時間、初期速度、および最終速度を有する走行計画を求めることができるため、停留所がある場合は、速度規制と機関車性能の制約をすべて満足することができる。以下の考察は、燃料消費量を最適化するためのものであるが、排出量、スケジュール、乗務員の快適性、負荷の影響等、およびこれらには限定されないその他の要因の最適化にも適用可能である。また、この方法は、当初は走行計画の構築に利用するが、さらに重要なこととして、走行開始後の目的の変更に適応するために用いてもよい。
本明細書に記載の通り、本発明の例示的な実施形態では、図5の例示的なフローチャートに示した設定、ならびに図6に詳しく示した例示的な3区分の走行等の設定を採用してもよい。走行は、図示の通り、2つ以上の区分T1、T2、およびT3に分割してもよい。本明細書に記載の通り、走行は単一の区分と見なすことができ、また、区分の境界によって均等な区分が得られなくてもよく、その代わりに、自然な境界または任務特有の境界を区分に用いる。また、各区分についての最適な走行計画は、事前に計算される。満足すべき走行目的が燃料消費量対走行時間である場合は、各区分についての燃料消費量対走行時間グラフが形成される。このグラフは、本明細書に記載の通り、走行計画で満足すべき目的としてのその他の要因に基づくものであってもよい。走行時間が決定対象のパラメータである場合は、走行時間の制約全体を満足しつつ、各区分の走行時間が計算される。図6は、例示的な3区分に渡る200マイルの走行の速度規制97を示したものである。さらに、200マイルの走行に渡る勾配変化98も示されている。また、複合図99には、各走行区分における移動時間に対する燃料消費量のグラフも示してある。
本計算方法は、前述の最適な制御設定を用いることにより、特定の移動時間、初期速度、および最終速度を有する走行計画を求めることができるため、停留所がある場合は、速度規制と機関車性能の制約をすべて満足することができる。以下の詳細な考察は、燃料消費量を最適化するためのものであるが、本明細書に記載の排出量等およびこれらには限定されないその他の要因の最適化にも適用可能である。柔軟性のポイントは、停留所において所望の滞留時間を調整するとともに、例えば、待避線に待機または通過する時間が重要となる単線運行において、ある位置での最早の到着と出発に関する制約を必要に応じて検討することである。
本発明の例示的な実施形態では、M−1箇所の中間停留所D、・・・、DM−1を有するとともに、以下によって規定された各停留所での到着時刻と出発時刻を有し、距離D〜Dを時間Tで移動する燃料消費最適走行が求められる。
Figure 0005265567
ここで、tarr(D)、tdep(D)、およびΔtはそれぞれ、i番目の停留所における到着時刻、出発時刻、および最小停留時間である。燃料消費最適性が停留時間の最小化を示すものと仮定すると、tdep(D)=tarr(D)+Δtとなって、上記2番目の不等式が除外される。また、各i=1、・・・、Mに対する移動時間t(Tmin(i)≦t≦Tmax(i))のDi−1〜Dにおける燃料消費最適走行が既知であると仮定して、F(t)をこの走行に対応する燃料消費量とする。Dj−1〜Dの移動時間をTで表す場合、Dへの到着時刻は以下で与えられる。
Figure 0005265567
ここで、Δtはゼロと定義する。そして、移動時間TでのD〜Dの燃料消費最適走行は、以下を最小化するT(i=1、・・・、M)を求めることによって得られる。
Figure 0005265567
ただし、以下を前提とする。
Figure 0005265567
Figure 0005265567
走行開始後の課題は、移動中の残りの走行(当初は、時間TでD〜D)の燃料消費最適解を再決定することであるが、障害によって燃料消費最適解への追従が阻害される。現在の距離と速度をそれぞれx、v(ただし、Dj−1<x≦D)とし、走行開始からの現在時間をtactとする。その結果、x〜Dにおける残りの走行の燃料消費最適解は、Dへの当初の到着時刻を保持するものとして、以下を最小化する
Figure 0005265567
を求めることにより得られる。
Figure 0005265567
ただし、以下を前提とする。
Figure 0005265567
Figure 0005265567
Figure 0005265567
ここで、
Figure 0005265567
は、xでの初期速度をvとして、x〜Dを時間tで移動する最適走行の燃料消費量である。
上述の通り、より効率的な再計画を可能にする例示的な方法は、分割区分から停留所間走行の最適解を構築することである。Di−1〜Dを時間Tで移動する走行について、一連の中間地点Dij(j=1、・・・、N−1)を選択し、Di0=Di−1、DiNi=Dとする。そして、Di−1〜Dの最適走行の燃料消費量を以下のように表す。
Figure 0005265567
ここで、fij(t、vi,j−1、vij)は、初期速度と最終速度をvi,j−1、vijとして、Di,j−1〜Dijを時間tで移動する最適走行の燃料消費量である。さらに、tijは、距離Dijに対応する最適走行の時間である。また、tiNi−ti0=Tと定義する。列車はDi0とDiNiで停止するため、vi0=viNi=0である。
上式によれば、最初に関数fij(・)(1≦j≦N)を決定し、次に以下を最小化するτij(1≦j≦N)およびvij(1≦j<N)を算出することによって、関数F(t)を選択的に決定することができる。
Figure 0005265567
ただし、以下を前提とする。
Figure 0005265567
Figure 0005265567
Figure 0005265567
ij(例えば、速度制限区域または交錯点等)を選択することによって、vmax(i、j)−vmin(i、j)が最小化可能であるため、fij()の把握が必要な範囲を最小限に抑えることができる。
上記の分割に基づいて、上述した手法よりも簡単な準最適再計画手法は、列車が距離Dij(1≦i≦M、1≦j≦N)に存在する時間に再計画を制限することである。Dijでは、以下を最小化するτik(j<k≦N)、vik(j<k<N)、τmn(i<m≦M、1≦n≦N)、およびvmn(i<m≦M、1≦n<N)を求めることによって、Dij〜Dの新たな最適走行を決定することができる。
Figure 0005265567
ただし、以下を前提とする。
Figure 0005265567
Figure 0005265567
Figure 0005265567
ここで、以下を用いる。
Figure 0005265567
距離Dに到達するまでは、T(i<m≦M)の再計算を行うことによって、さらなる単純化が可能である。このように、Di−1とD間の距離Dijにおいては、τik(j<k≦N)およびvik(j<k<N)においてのみ上記の最小化を行えばよい。Tは、計画よりも長くなったDi−1〜Dijの実移動時間を調整するために、必要に応じて増加させる。この増分は、可能であれば、距離DでのT(i<m≦M)の再計算により、後で補償する。
上掲の閉ループ構成に関して、列車31をA点からB点まで移動させるのに必要な総入力エネルギーは、4つの成分の合計から成る。具体的には、A点とB点間の運動エネルギーの差と、A点とB点間の位置エネルギーの差と、摩擦および他の抗力損失に起因するエネルギー損失と、制動によって消失するエネルギーとがある。初期速度と最終速度が同じである(例えば、静止状態)と仮定すると、第1の成分はゼロになる。さらに、第2の成分は、走行方法と無関係である。したがって、残り2つの成分の合計を最小化すれば十分である。
抗力損失は、定速プロファイルに従えば、最小限に抑えられる。また、定速維持に制動が不要な場合は、総エネルギー入力も最小限に抑えられる。ただし、定速維持に制動が必要な場合は、定速維持のために制動を行うと、制動によって消失したエネルギーを補充する必要があるため、総所要エネルギーが増大する可能性が高い。制動によって結果的に抗力損失が少なくなり、付加的な制動損失がオフセット以上となる場合は、速度変化を抑えることによって総エネルギー使用量を実質的に低減可能な制動方法もある。
上述の事象の収集によって再計画を完了した後は、本明細書に記載の閉ループ制御を用いて、新たな最適ノッチ/速度計画を実施可能である。ただし、状況によっては、上述の区分分解計画を実施するのに十分な時間を確保できないことがある。特に、遵守すべき重要な速度制限が存在する場合は、代替案が必要である。本発明の例示的な実施形態では、「スマートクルーズコントロール」と称するアルゴリズムを用いて、この課題を達成する。スマートクルーズコントロール・アルゴリズムは、既知の地形上で列車31を走行させるためのエネルギー効率(すなわち、燃料消費)に優れた準最適な規定を即座に生成するための効率的な方法である。このアルゴリズムは、軌道34に沿った列車31の位置を常に把握しておくとともに、位置に対する軌道の勾配と曲率を把握しておくことが前提となる。この方法は、列車31の運動の質点モデルに基づいており、そのパラメータは、前述のような列車運動のオンライン測定によって適応的に推定可能である。
スマートクルーズコントロール・アルゴリズムは、3つの主要な要素を有する。具体的には、速度規制の緩和に関してエネルギー効率の良い指針となる修正速度規制プロファイルと、速度変化の最小化と制動の均衡を意図した理想的なスロットルプロファイルまたは動的制動設定プロファイルと、実態パラメータとの比較によりモデル化パラメータの不整合を補償するために速度フィードバックループを備え、上記2つの要素を組み合わせてノッチコマンドを生成する機構とがある。スマートクルーズコントロールは、動的制動を行わない(すなわち、運転者が合図を受けて必要な制動を提供する)本発明の例示的な実施形態における方法、もしくは、動的制動を行う変形方法を調整可能である。
動的制動の制御を行わないクルーズコントロール・アルゴリズムに関して、4つの例示的な要素としては、速度規制の緩和に関してエネルギー効率の良い指針となる修正速度規制プロファイルと、制動のタイミングをオペレータに知らせる通知信号と、速度変化の最小化とオペレータに対する制動の通知の均衡を意図した理想的なスロットルプロファイルと、実態パラメータに対するモデル化パラメータの不整合を補償するためにフィードバックループを備えた機構とがある。
また、本発明の例示的な実施形態には、列車31の主要なパラメータ値を特定する手法も含まれている。例えば、列車質量の推定に関しては、カルマンフィルタと再帰的最小二乗法を用いて、時間とともに増大する誤差を検出してもよい。
図7は、本発明に係る例示的なフローチャートを示したものである。前述の通り、情報は、運行指令センター60(図3に示す)等の遠隔施設から提供可能である。このような情報は、図示の通り、実行制御要素62に提供される。その他、実行制御要素62に供給されるものとしては、機関車モデリング情報データベース63、軌道勾配情報や速度規制情報等、およびこれらには限定されない軌道データベース36からの情報、列車重量や抗力係数等、およびこれらには限定されない推定列車パラメータ、ならびに燃料比推定部64からの燃料比テーブル等が挙げられる。実行制御要素62は、図1でより詳細に示した計画器12に情報を供給する。そして、走行計画の計算が行われると、走行アドバイザ、運転者、または制御要素51に対して計画が供給される。この走行計画は、別の新しいデータが提供された場合に比較できるよう、実行制御要素62にも供給される。
走行アドバイザ51は、上述の通り、所定のノッチ設定または最適な連続ノッチ動力のいずれかを自動的に設定可能である。速度コマンドは、機関車31に供給されるほか、ディスプレイ68にも供給されるため、オペレータは、計画器の推奨内容を確認することができる。オペレータは、コントロールパネル69も利用可能である。オペレータは、コントロールパネル69を介して、推奨されたノッチ動力を適用するか否かを決定することができる。この目的で、オペレータは、目標動力または推奨動力の制限を行ってもよい。すなわち、オペレータは、機関車構成が動作する動力設定に関する最終的な権限を常に有する。これには、走行計画が列車31の減速を推奨している場合における、制動を行うか否かについての決定も含まれる。例えば、暗い場所や、路側装置からの情報を列車に対して電子的に送信できず、代わりに、オペレータが路側装置からの視覚信号を確認するような場所を運行している場合に、オペレータは、軌道データベースに含まれる情報および路側装置からの視覚信号に基づいてコマンド入力を行う。また、列車31の動作状態に基づいて、燃料測定に関する情報を燃料比推定部64に供給する。通常、機関車構成においては、燃料流量を直接測定することができないため、走行中の燃料消費量および最適計画に従った将来予測に関するすべての情報は、最適計画の構築に利用したモデル等の校正した物理過程モデルを用いることによって得られる。例えば、このような予測としては、測定した総馬力と既知の燃料特性を用いた累積燃料消費量の導出等が挙げられるが、これらには限定されない。
また、列車31は、上述の通り、GPSセンサ等のロケータ装置30を有する。情報は、列車パラメータ推定部65に供給される。このような情報としては、GPSセンサデータ、牽引力/制動力データ、制動状態データ、速度データ、および速度データの任意の変更等が挙げられるが、これらには限定されない。勾配情報および速度規制情報と併せて、車両重量および抗力係数の情報も実行制御要素62に供給される。
本発明の例示的な実施形態においては、最適化計画および閉ループ制御の実施に際して、連続可変の動力を用いてもよい。従来の機関車では、動力は通常、8つのレベルに離散化されているが、最新の機関車は、馬力の連続変化を実現可能であって、前述の最適化方法に組み込んでもよい。機関車42は、連続的な動力により、例えば、副次的な負荷や動力伝達損失を最小限に抑えるとともに、最適効率のエンジン馬力領域または排出余裕の増加点を微調整することによって、運行条件をさらに最適化することができる。例えば、冷却系統の損失の最小化、オルタネータ電圧の調整、エンジン速度の調整、および駆動アクスル数の削減等が挙げられるが、これらには限定されない。さらに、機関車42は、車載の軌道データベース36および予測性能要件を用いて、副次的な負荷や動力伝達損失を最小限に抑えることにより、目標燃料消費量/排出量に対する最適効率の規定を行ってもよい。例えば、平坦な地形上での駆動アクスル数の削減およびトンネル進入前の機関車エンジンの事前冷却等が挙げられるが、これらには限定されない。
また、本発明の例示的な実施形態においては、車載の軌道データベース36および予測性能要件を用いて、列車が丘陵および/またはトンネルに十分な速度で接近することを保証する等の機関車性能の調整を行ってもよい。これは、例えば、式(OP)を解いて得られる最適計画の一部をなす特定位置での速度制限として表すこともできる。さらに、本発明の例示的な実施形態には、牽引力ランプ速度や最大制動力ランプ速度等の列車操作規則を組み込んでもよいが、これらには限定されない。これらは、最適な走行プロファイルの定式化に直接組み込んでもよい。あるいは、動力を制御して目標速度を実現するのに用いられる閉ループ調整器に組み込んでもよい。
本発明は、好適な一実施形態において、列車構成の先導機関車にのみ組み込まれている。本発明の例示的な実施形態は、データまたは他の機関車との相互作用に依存したものではないが、米国特許第6,691,957号および特許出願第10/429596号(権利譲受人が保有しており、いずれも参照により援用)に開示の通り、構成管理機能および/または構成最適化機能と統合することによって効率を改善してもよい。なお、本明細書に記載の2つの「独立に最適化された」列車のアービトレーションを行う運行指令センターの例に示すように、複数の列車との相互作用は除外されていない。
動力系統が分散した列車は、異なるモードで運行可能である。その1つは、列車のすべての機関車が同じノッチコマンドで動作するモードである。したがって、先導機関車がN8駆動を指示している場合は、列車のすべての構成に対して、N8駆動の動力を生成するよう指示が行われる。運行のもう1つのモードは、「独立」制御である。このモードでは、列車全体に分散した機関車または機関車群を異なる駆動力または制動力で動作させることができる。例えば、列車が山頂に到達した場合、(山の下り斜面にある)先導機関車には制動をかける一方、(山の上り斜面にある)列車の中間または最後部の機関車には駆動をかけてもよい。これは、車両と機関車を接続する機械的な連結器の張力を最小化するために行われる。従来、分散した動力系統を「独立」モードで運行する場合、オペレータは、遠隔の各機関車または機関車群に対する指示を先導機関車内のディスプレイを介して手動で行う必要があった。本システムは、物理的過程に基づく計画モデル、列車設定情報、車載軌道データベース、車載運行規則、位置判定システム、実時間閉ループ動力/制動制御、およびセンサフィードバックを用いることによって、分散した動力系統を「独立」モードで自動運行するものとする。
動力分散運行の場合、先導機関車のオペレータは、分散動力制御要素等の制御システムを介して、遠隔の機関車構成の運行機能を制御することができる。したがって、動力分散運行の場合、オペレータは、個別の各機関車が同じノッチ動力で動作している各機関車構成に対して、異なるノッチ動力レベルで動作するように(または、1つの構成を駆動し、他の構成を制動するように)指示を与えることができる。例示的な一実施形態においては、遠隔の機関車構成のノッチ動力レベルを最適な走行計画の推奨に応じたものとすることが望まれる場合、列車に導入した本発明の例示的な一実施形態を用いて、好ましくは分散動力制御要素との通信により、この動力設定が遠隔の機関車構成に伝達・実装される。後述の通り、同じことが制動についても当てはまる。
本発明の例示的な実施形態は、例えば、1または複数の機関車が列車の前部にあって、その他が中間と後部に設けられている場合等、機関車が連続していない構成に用いてもよい。このような構成は動力分散型と称し、機関車間の標準的な接続は、機関車を外部接続するための無線リンクまたは補助ケーブルによって置き換えられる。動力分散運行の場合、先導機関車のオペレータは、分散動力制御要素等の制御システムを介して、遠隔の機関車構成の運行機能を制御することができる。特に、動力分散運行の場合、オペレータは、個別の各機関車が同じノッチ動力で動作している各機関車構成に対して、異なるノッチ動力レベルで動作するように(または、1つの構成を駆動し、他の構成を制動するように)指示を与えることができる。
例示的な一実施形態においては、遠隔の機関車構成のノッチ動力レベルを最適な走行計画の推奨に応じたものとすることが望まれる場合、列車に導入した本発明の例示的な一実施形態を用いて、好ましくは分散動力制御要素との通信により、この動力設定が遠隔の機関車構成に伝達・実装される。後述の通り、同じことが制動についても当てはまる。動力分散運行の場合は、前述の最適化問題を改善することによって、先導部分が各遠隔部分を独立制御可能となるように自由度を増すことができる。このことの重要性は、列車内の力を示すモデルが含まれるものと仮定すれば、その力に関連する付加的な目的または制約を評価関数に組み込んでもよいことである。したがって、本発明の例示的な実施形態は、複数のスロットル制御を用いることによって、燃料消費量と排出量のみならず列車内の力も良好に管理できるような構成であってもよい。
構成管理器を用いた列車において、機関車構成の先導機関車は、その構成内の他の機関車と異なるノッチ動力設定で動作可能である。構成内の他の機関車は、同じノッチ動力設定で動作する。構成内の機関車に対するノッチ動力設定の指示を行うため、本発明の例示的な実施形態をこの構成管理器と併用してもよい。このように、本発明の例示的な実施形態に基づけば、構成管理器は、機関車構成を先導機関車と残りの部分の2グループに分割するため、先導機関車が特定のノッチ動力で動作するよう指示を受ける一方、残りの機関車は、別のノッチ動力で動作するよう指示を受ける。例示的な一実施形態において、分散動力制御要素は、この作用を内蔵したシステムおよび/または装置であってもよい。
同様に、機関車構成に構成最適化器を用いる場合は、機関車構成の各機関車のノッチ動力を決定するため、本発明の例示的な実施形態をこの構成最適化器と併用することも可能である。例えば、走行計画による推奨として、機関車構成に対するノッチ動力設定4が考えられる。構成最適化器は、列車の位置に基づいて、この情報を取得した後、構成内の各機関車のノッチ動力設定を決定する。この実施においては、列車内通信チャネルにおけるノッチ動力の設定効率が改善される。さらに、上述の通り、この構成は、分散制御システムを用いて実装してもよい。
また、前述の通り、構成内の各機関車が異なる制動の選択肢を必要とする踏切、勾配変化、接近中の待避線、接近中の操車場、接近中の燃料補給所等、およびこれらには限定されない接近中の対象物に基づく列車の制動タイミングに関して、本発明の例示的な実施形態を用いた連続的な補正および再計画を行ってもよい。例えば、列車が丘陵に差し掛かっている場合、先導機関車を制動状態に移行させる必要がある一方、丘陵の頂上に到達していない遠隔の機関車は、駆動状態に保つ必要性が考えられる。
図8、図9、および図10は、オペレータが利用する動的な表示を例示的に示したものである。図8に示す通り、走行プロファイル72が提供されており、プロファイル中には、機関車の位置73が与えられている。さらに、列車の長さ105や列車の車両数106といった情報も提供されている。軌道の勾配107、カーブ・路側108に関する要素、ならびに、橋の位置109、列車速度110等も提供されている。オペレータは、ディスプレイ68を介して、これらの情報を確認することができるとともに、経路に沿った列車の位置を確認することができる。さらには、踏切112、信号114、速度変化116、ランドマーク118、および目的地120等の位置までの距離および/または到着予定時刻に関する情報も提供されている。到着時刻管理ツール125も設けられており、ユーザは、走行中に実現する燃料の節約を決定することができる。オペレータは、到着時刻の変更127が可能であり、燃料の節約にどのような影響があるかを把握することができる。本明細書に記載の通り、当業者であれば、燃料の節約が管理ツールで精査可能な唯一の目的の例に過ぎないことが分かる。この目的で、確認対象のパラメータによっては、オペレータが確認可能な管理ツールを用いて、本明細書に記載の他のパラメータを確認・評価することができる。また、オペレータには、乗務員の列車作業時間に関する情報も提供される。例示的な実施形態において、時間情報と距離情報は、特定の事象および/または位置までの時間および/または距離を示すものであってもよい。あるいは、総経過時間を与えるものであってもよい。
図9に示すとおり、例示的なディスプレイでは、構成データ130に関する情報、事象・状態図132、到着時刻管理ツール134、および動作キー136が提供される。また、上述の類似情報もこのディスプレイにて提供される。このディスプレイ68は、動作キー138も提供することによって、オペレータによる再計画を可能にするほか、本発明の例示的な実施形態の無効化140も可能にする。
図10は、ディスプレイの別の例示的な実施形態を示したものであり、エアブレーキ状態72、デジタル表示付きアナログ速度計74、および重量ポンド単位での牽引力(または、DC機関車用の牽引増幅)に関する情報等、最新の機関車に特有のデータが可視化されている。速度計74は、実行中の計画における現在の最適速度のほか、mph/分単位で読み出しを補完する加速度計グラフを示すものである。最適計画を実行するための重要な新規データは、画面の中心にあって、現在までの履歴との比較による最適速度対距離およびノッチ設定対距離を表す周期的なストリップチャート76を含んでいる。例示的な本実施形態において、列車の位置は、位置検索要素を用いて導出される。図示の通り、この位置は、列車と最終目的地の離間距離、絶対位置、初期の目的地、中間地点、および/またはオペレータの入力を特定することによって与えられる。
ストリップチャートは、最適計画の追従に必要な速度の変化を先読みして、手動制御に役立てることができる。また、自動制御中の計画対実状を監視する。本明細書に記載の通り、オペレータは、指導モード等において、本発明の例示的な実施形態が提示するノッチまたは速度のいずれかに従うことができる。垂直バーは、所望かつ実際のノッチを図示したものであって、ストリップチャートの下にもデジタル表示されている。上述のような連続的なノッチ動力を用いる場合は、単純に四捨五入を行って、最も近い離散等価値を表示する。また、アナログの等価値、百分率、または実際の馬力/牽引力が表示されるように、アナログ表示を用いてもよい。
画面上には、走行状態に関する重要な情報が表示されており、列車が現在走行中の勾配88が、先導機関車の位置、列車に沿った別の位置、または列車全長の平均として表示される。また、計画による現在までの移動距離90、累積燃料消費量92、次の停留所の計画位置または離間距離94、ならびに次の停留所における現在および計画上の到着予定時刻96も表示される。さらに、ディスプレイ68には、利用可能な算出計画から考えられる目的地までの最大時間も表示される。なお、到着の遅延が必要な場合は、再計画を実施する。差分計画データは、燃料の状態と現在の最適計画に対するスケジュールの進み具合または遅れ具合を表示したものである。負数は、燃料消費が少ないか、または、計画よりも進んでいることを意味する。正数は、燃料消費が多いか、または、計画よりも遅れていることを意味する。ただし、通常は、相対する方向にトレードオフの関係となる(燃料節約のために減速すると列車が遅れ、逆も同様である)。
ディスプレイ68は常に、現在実行中の走行計画に対する位置のスナップショットをオペレータに与える。このディスプレイは、説明のために用いたに過ぎず、オペレータおよび/または運行指令センターに対して情報を表示/伝達する方法は、ほかにも多く存在する。この目的で、上掲の情報を混合することによって、開示のものと異なる表示を提供することができる。
本発明の例示的な実施形態に包含可能な他の機能としては、データログおよびレポートの生成等が挙げられるが、これらには限定されない。この情報は、列車に格納し、ある時点で車外のシステムにダウンロードしてもよい。また、ダウンロードは、手動および/または無線伝送で行ってもよい。さらに、この情報は、オペレータが機関車のディスプレイを介して確認可能であってもよい。データには、オペレータの入力、運用時間方式、燃料節約量、列車の機関車間の燃料不均衡、針路をそれた列車運行、およびGPSセンサ故障時等のシステム診断の課題等の情報が含まれるが、これらには限定されない。
走行計画には、乗務員の許容作業時間も考慮に入れなければならないため、本発明の例示的な実施形態においては、走行の計画時に上記のような情報を考慮に入れてもよい。例えば、乗務員の作業可能最大時間が8時間の場合は、現在の乗務員と新たな乗務員が交代するための停止位置を含むように走行を構築するものとする。このような特定の停止位置としては、車両基地や交錯/通過位置等が挙げられるが、これらには限定されない。走行が進むにつれて走行時間が超過する場合、オペレータは、自身が決定した基準を満足するように、本発明の例示的な実施形態を無効化してもよい。最終的には、高負荷、低速度、列車伸縮状態等、およびこれらには限定されない列車の運行条件に拘らず、オペレータは、列車の速度および/または運行条件の指示を支配し続けることになる。
列車は、本発明の例示的な実施形態を用いることによって、複数の運用で動作可能である。ある運用概念においては、本発明の例示的な一実施形態によって、推進と動的制動を指示するコマンドを規定してもよい。この場合、オペレータは、その他すべての列車機能を操作する。別の運用概念においては、本発明の例示的な一実施形態によって、推進のみを指示するコマンドを規定してもよい。この場合、オペレータは、動的制動およびその他すべての列車機能を操作する。さらに別の運用概念においては、本発明の例示的な一実施形態によって、推進、動的制動、およびエアブレーキの適用を指示するコマンドを規定してもよい。この場合、オペレータは、その他すべての列車機能を操作する。
本発明の例示的実施形態について鉄道車両、特にディーゼルエンジンを有する列車および機関車を参照しながら説明したが、本発明の例示的実施形態は、特に限定するものではないが、たとえば、オフハイウェイ車両や、航海用船舶や、固定式ユニットなどの他の用途にも適用でき、これらの各用途には、ディーゼルエンジンが利用されていてよい。このため、指定のミッションについて説明する場合、そのミッションは、ディーゼル駆動式システムで実行されることになるタスクまたは要件を含む。したがって、鉄道車両、航海用船舶、またはオフハイウェイ車両の用途に関して、指定のミッションは、予め設定された場所から目的地までのシステムの移動を意味することになる。特に限定するものではないが、たとえば、固定式動力生成ステーションや動力生成ステーションネットワークなどの固定式用途の場合、指定のミッションは、ワット数(たとえば、MW/hr)または他のパラメータの大きさ、またはディーゼル駆動式システムが満たすべき要件を意味することになる。同様に、ディーゼル燃料式動力生成ユニットの動作条件は、速度、負荷、燃料補給値、およびタイミングなどのうちの1つ以上を含んでよい。
航海用船舶に関する1つの例示的実施形態において、複数の引船は一緒に動作してよく、その際に、すべての引船が同一の大型船舶を動かすことに加え、各引船は進行速度に関して連動されて、大型船舶を移動するミッションを達成する。例示する他の例において、単一の航海用船舶は複数のエンジンを搭載することができる。オフハイウェイ車両(OHV)は、地上で、A地点からB地点に移動するという同一のミッションを持つ車両の隊列に関係してよく、その場合に、各OHVは、進行速度に関して連動されてミッションを達成する。
また、本発明の例示的な実施形態を用いることによって、対応すべき接近中の対象物をオペレータに知らせることができる。具体的には、本発明の例示的な実施形態に係る予想論理、最適な走行計画の継続的な補正および再計画、軌道データベース等によって、接近中の踏切、信号、勾配変化、制動作動、待避線、車両基地、および燃料補給所等をオペレータに通知することができる。この通知は、音声および/またはオペレータのインターフェースを介して行ってもよい。
特に、本システムは、物理的過程に基づく計画モデル、列車設定情報、車載軌道データベース、車載運行規則、位置判定システム、実時間閉ループ動力/制動制御、およびセンサフィードバックを用いることによって、必要な対応をオペレータに提示および/または通知するものとする。この通知は、視覚および/または音声によって行うことができる。例えば、オペレータが機関車の警笛および/またはベルを作動させる必要がある踏切の通知や、オペレータが機関車の警笛やベルを作動させる必要がない「無音の」踏切の通知等が挙げられる。
本発明の別の例示的な実施形態においては、上述の物理的過程に基づく計画モデル、列車設定情報、車載軌道データベース、車載運行規則、位置判定システム、実時間閉ループ動力/制動制御、およびセンサフィードバックを用いることにより、図9に示すような様々な位置に列車が到着するタイミングを確認可能な情報がオペレータに対して提示される。このシステムでは、オペレータが走行計画(目標到着時刻)を調整可能であるものとする。また、この情報(実際の到着予定時刻または車外から得る必要のある情報)を運行指令センターに伝達することによって、通信指令係または送信システムが目標到着時刻を調整可能となる。これにより、システムは、適切な目的関数(例えば、速度と燃料消費のトレードオフ)を迅速に調整・最適化可能となる。
図11は、車両31’を運行するシステム10’を含む、本発明の他の実施形態を示す図である。この車両は、図11に示すような1つ以上の機関車構成42’、オフハイウェイ車両(OHV)、航海用船舶、または複数の燃料タイプで動作するエンジンを有する任意の同様の車両を持つ列車31’を含んでよい。前記複数の燃料タイプは、1つ以上のディーゼルベースの燃料と、1つ以上の代替燃料とを含む。特に、各代替燃料は、バイオディーゼル、パーム油、および菜種油のうちの1つを含んでよい。従って、図11〜14は、1つ以上の機関車構成42’を備える列車31’を運行するシステム10’を示しているが、本システムは、OHVおよび航海用船舶にも同様に適用することができる。
例示する本発明の実施形態について、鉄道車両、特に、ディーゼルエンジンを搭載した列車および機関車を参照しながら説明するが、本発明の例示的実施形態は、他の用途、たとえば、特に限定するものではないが、オフハイウェイ車両、航海用船舶、および固定ユニットなどにも適用でき、これらの車両、船舶、ユニットは、それぞれディーゼルエンジンを利用できる。このため、指定のミッションについて説明する場合、そのミッションは、ディーゼル駆動式システムで実行されるタスクまたは要件を含む。したがって、鉄道車両、航海用船舶、またはオフハイウェイ車両の用途に関して、前記指定のミッションは、現在位置から目的までのシステムの移動を意味することになる。特に限定するものではないが、たとえば、固定式動力生成ステーションや動力生成ステーションネットワークなどの固定式用途の場合、指定のミッションは、ワット数(たとえば、MW/hr)や他のパラメータの大きさ、またはディーゼル駆動式システムが満たすべき要件を意味することになる。同様に、ディーゼル燃料式動力生成ユニットの動作条件は、速度、負荷、燃料補給値、タイミングなどのうちの1つ以上を含んでよい。
航海用船舶に関して例示する一例において、複数の引船は一緒に動作してよく、その際に、すべての引船が同一の大型船舶を動かすことに加え、各引船は進行速度に関して連動されて、大型船舶を移動するミッションを達成する。例示する他の例において、単一の航海用船舶は複数のエンジンを搭載することができる。オフハイウェイ車両(OHV)は、地上で、A地点からB地点に移動するという同一のミッションを持つ車両の隊列に関係してよく、その場合に、各OHVは、進行速度に関して連動されてミッションを達成する。
本システムは、機関車構成42’の位置を決定する位置探索要素30’を含む。この位置探索要素30’は、列車31’の位置を決定するGPSセンサー、またはセンサーシステムであってよい。このような他のシステムの例は、特に限定するものではないが、無線周波数自動装置識別(RF AEI)タグなどの沿線の装置、運行指令部、およびビデオ判定処理のすべてまたはそのいずれかを含んでよい。他のシステムは、機関車に搭載された1つまたは複数の回転速度計と、基準点からの距離計算部とを含んでよい。無線通信システム47’を設けて、列車間の通信と、運行指令部などの遠隔地との通信のいずれかまたはその両方に対応してもよい。また、移動位置に関する情報が、他の列車から送信されてもよい。
前記システム10’は、さらに、機関車構成42’の走行地形34’(すなわち、軌道)についての情報を提供する特徴付け要素33’を含む。軌道の特徴付け要素33’は、車両搭載型の軌道整合性データベース36’を含んでよい。センサー38’を利用して、機関車構成42’によって運搬される牽引動力40’、機関車構成42’のスロットル設定、機関車構成42’の構成情報、機関車構成42’の速度、個々の機関車の構成、個々の機関車の性能などを測定する。例示する実施形態において、機関車構成42’の構成情報は、センサー38’を利用せずに登録されてよく、その場合は、入力装置から構成情報を登録できる。この入力装置は、プロセッサ44’と接続されて、前記複数の燃料タイプに含まれる各燃料タイプの特性情報を前記プロセッサに送信することができ、送信される情報は、燃料効率、排出特性、個々のタンク容量、利用可能なコスト、および利用可能な場所のうちの少なくとも1つを含む。前記入力装置は、リモート地点、走行路沿いの装置、および手動入力を行うユーザーのいずれか1つを介して、前記複数の燃料タイプそれぞれの特性情報を提供してよい。また、前記複数の燃料タイプそれぞれの特性情報に加え、構成内の機関車の健全性も考慮できる。たとえば、構成内の1つの機関車が、(特定タイプの燃料の使用時に)動力ノッチレベル5より上で動作できない場合、この情報は、運行計画を最適化する際に利用される。
位置探索要素30’からの情報は、列車31’の適切な到着時間を決定する際にも利用できる。たとえば、列車31’が軌道34’に沿って目的地に向けて移動し、その後ろに続いている列車は存在せず、さらに、前記列車31’には、頓首すべき所定の到着時刻が設定されていない場合、特に限定するものではないが、無線周波数自動装置識別(RF AEI)タグ、運行指令部、およびビデオ判定処理のうちの少なくともいずれかを含む位置探索要素30’を利用して、列車31’の正確な位置を測定できる。さらに、これらの信号送信システムからの入力を利用して、列車の速度を調整することもできる。後述する列車搭載式の軌道データベースと、GPSなどの位置探索要素を利用することで、本発明の実施形態では、オペレータインターフェースを調整して、所定の機関車位置における信号送信システムの状態を反映させることができる。信号状態が制限速度より進んでいることを示していれば、計画立案部は、燃料消費を抑えるために列車を減速させることを選択してよい。
また、位置探索要素30’からの情報を利用して、目的地までの距離との関連で計画目標を変更することもできる。たとえば、経路における混雑状況については当然ながら不確実性が存在するため、経路の初期部分には、「より速い」時間目標を採用して、統計的に後の方で生じる遅延の対策とすることができる。特定の走行行程にそのような遅延が生じなかった場合には、初期段階で蓄積された組み込み済みの緩み時間を活用するように、行程の後半部分の目標を修正できるため、幾分かの燃料効率を取り戻すことができる。同様の戦略は、たとえば、市街地に近づいた場合などの排出規制目標に関して採用される場合もある。
予防戦略の例として、ニューヨークからシカゴへの走行行程を計画する場合、本システムには、その走行行程の開始初期、走行行程の中期、または走行行程の最後において、より低速で列車を運行させるという選択肢がある。本発明の実施形態では、走行行程の最後における低速運行を考慮して、走行計画を最適化することになるが、これは、特に限定するものではないが、たとえば、天候状態や軌道整備などの不可知の制約が走行行程の中で生じて明らかになる可能性があるためである。他の考慮事項として、慣習的に混雑する領域が知られている場合、そのような慣習的に混雑する領域の付近に、より柔軟性を持たせるという選択肢を用いて計画を策定する。したがって、本発明の実施形態では、時間/距離の関数として、重み付け/ペナルティを将来の計画に考慮し、また、既知および過去の経験に基づいて考慮したりできる。天候状態や、軌道状態や、軌道上の他の列車などを考慮するための計画立案および再計画立案は、走行行程の任意の時点で策定でき、その策定内容に応じて走行計画を調整できることは、当業者であれば容易に理解されるであろう。
図11に示したデータベース36’は、また、複数の燃料タイプそれぞれの特性情報を保存することにも利用できる。各機関車構成の燃料のタイプごとの特性情報は、燃料効率、排出率、個々のタンク容量、利用可能なコスト、利用可能な場所、および機関車構成の性能の最適化に関連のある、燃料の各タイプの他の特性のうちの1つ以上を含む。
また、図11には、位置探索要素30’と、軌道特徴付け要素33’と、データベース36’とから情報を受信できるプロセッサ44’も示されている。このプロセッサ44’が前記情報を受信すると、プロセッサ44’に実装されたアルゴリズム46’は、その情報にアクセスして、機関車構成に対する1つ以上の運行基準に従って、前記機関車構成42’の性能を最適化する走行計画を生成する。このような運行基準には、出発時刻と、到着時刻と、機関車構成の軌道上の制限速度規定と、機関車構成の軌道上の走行マイル数レート規定と、走行行程に関連のある他の基準とが含まれていてよい。アルゴリズム46’を利用して、機関車42’と、列車31’と、軌道34’と、ミッションの目的とに関わるパラメータに基づいて最適化された走行計画を算出する。アルゴリズム46’は、列車31’が軌道34’上を移動するときの列車の動作に対応するモデルに基づいて走行計画を生成してよく、この走行計画は、アルゴリズム内に提供される想定を単純化することで物理学から導出される非線形微分方程式の解として得られる。アルゴリズム46’は、位置探索要素30’、軌道特徴付け要素33’、データベース36’およびセンサー38’からの情報にアクセスする機能を持つ。
航海用船舶に関して、プロセッサ44’は、軌道特徴付け要素33’からの情報を考慮しないが、これは、航海用船舶の経路に軌道の地形学を適用できないためである。ただし、データベース36’は、位置探索要素30’からの位置情報に基づいて、港湾地域および港以外の地域を含む各位置の音排出規定を包含できる。航海用船舶のためのアルゴリズム46’は、たとえば、各領域内の音排出規定を条件として、すべての燃料タイプで消費される合計燃料を最小限に抑える走行計画を生成できる。オフハイウェイ車両に関して、特徴付け要素33’は、オフハイウェイ車両の所定の経路の地形に関する情報を提供してよく、データベース36’は、前述した機関車の場合と同様に、各位置における排出および走行マイル数の規定を含んでよい。
例示する一実施形態において、アルゴリズム46’は、たとえば、走行行程全体の排出率制限を含む、機関車構成に対する運行基準を条件として、機関車構成42’の燃料タイプすべての合計燃料消費を最小限に抑える走行計画を生成する。たとえば、アルゴリズム46’は、前述した運行基準に加え、5.5g/HP−hrの最大排出率を条件として、機関車構成42’の複数の燃料タイプに含まれる燃料タイプそれぞれの合計燃料消費を最小限に抑える走行計画を生成できる。具体的には、アルゴリズム46’が生成する、複数の燃料タイプに含まれる燃料タイプそれぞれの合計燃料消費を最小限に抑える走行計画において、前記合計燃料消費は、燃料の個別タイプごとの個々の燃料消費の重み付け係数を用いた加重和を含む。前述の実施形態で開示した数式に従って、合計燃料消費は、下記のような、合計燃料走行マイル数レートの式を用いて計算できる。
Figure 0005265567
前式において、Fは、複数の燃料タイプすべてについての合計燃料効率(時間比率)、FおよびFは、燃料#1および燃料#2それぞれの燃料効率、そして、kおよびkは、燃料#1および燃料#2それぞれの重み付け係数である。上式では燃料効率の時間比率が得られるが、これは燃料効率の距離比率に換算できるため、合計燃料消費は、走行行程全体を構成する距離にFを組み込むことで算出することができる。
各燃料タイプの合計燃料消費の削減において、アルゴリズム46’は、機関車構成42’の複数タイプの燃料の合計燃料消費を最小化する走行計画に関して、燃料の個々のタイプそれぞれに個別の重み付け係数を決定する。たとえば、機関車構成42’が、燃料#1および燃料#2で駆動される場合、アルゴリズム46’は、燃料#1の重み付け係数を0.3、燃料#2の重み付け係数を0.7に設定して、機関車構成42’の合計燃料消費を最小化する計画を生成することができる。燃料の各タイプの重み付け係数は、それぞれ、個々の燃料排出率と、季節と、利用可能なコストと、各タイプの燃料で駆動した場合のシステムの信頼性と、個々の燃料タンク容量と、利用可能な場所を含む各種の要因に左右される。特定の走行行程および運行基準は、場所を基準とした、排出率の特定の上限または下限に関連する可能性があるため、重み付け係数は燃料排出率に応じて変動する。そのため、個々の燃料排出率は、重み付け係数を評価する際に考慮される。利用可能な場所および季節が考慮されるのは、ある特定の燃料が、特定の季節または特定の領域においては十分な量があるが、他の季節または領域では希少である可能性があるためである。図3に示すように、個々のタンク容量が考慮されるのは、燃料がそれぞれ個々の燃料タンク27,37に収容され、そのタンク内の個別の容量レベル29,39を走行マイル数レートと組み合わせると、燃料それぞれについての残存燃料範囲を示すためである。アルゴリズム46’は、各重み付け係数の算出時に、特定の燃料の残存範囲と、機関車構成の先の停留所までの距離を比較し、さらに、該当する燃料が特定の各停留所で補給できるかどうかと比較する。
例示する実施形態において、アルゴリズム46’は、機関車構成42’の複数の燃料タイプに含まれる各燃料タイプの合計排出物出力を最小化する走行計画を、たとえば、走行行程全体の走行マイル数レート制限を含む、機関車構成の運行基準に基づいて生成する。たとえば、アルゴリズム46’は、前述した他の運行基準に加え、10mpgの最大走行マイル数レートを条件として、機関車構成42’の複数の燃料タイプに含まれる燃料タイプそれぞれの排出物出力を最小限に抑える走行計画を生成してよい。具体的には、アルゴリズム46’が生成する、前記複数の燃料タイプに含まれる燃料タイプそれぞれの合計排出物出力を抑制する走行計画において、前記合計排出物出力は、燃料の個別タイプそれぞれの排出物出力に対する重み付け係数を用いた加重和を含む。前述の実施形態で開示した数式に従って、合計排出物出力は、下記のように表される、合計排出率を求める数式を使用して計算できる。
Figure 0005265567
前式において、Eは、複数の燃料タイプすべての合計排出率(時間比率または距離比率)、EおよびEは、燃料#1および燃料#2それぞれの個別の排出率、そして、lおよびlは、燃料#1および燃料#2の個々の重み付け係数である。
各燃料タイプの合計排出物出力の削減において、アルゴリズム46’は、機関車構成42’の複数の燃料タイプの合計排出物出力を最小限に抑える走行計画に関して、燃料の個別タイプごとにそれぞれ個別の重み付け係数を決定する。たとえば、機関車構成42’が、燃料#1および燃料#2で駆動される場合、アルゴリズム46’は、燃料#1の重み付け係数を0.8、燃料#2の重み付け係数を0.2に設定して、機関車構成42’の合計排出物出力を最小化する走行計画を生成することができる。燃料のタイプそれぞれの重み付け係数は、それぞれ、個々の燃料走行マイル数レートと、季節と、利用可能なコストと、燃料の信頼性と、個々の燃料タンク容量と、各場所での正味の利用可能性および各場所における排出物規定を含む地域的規制事項の観点から見た利用可能な場所を含む各種の要因に左右される。特定の走行行程および運行基準は、燃料走行マイル数の特定の上限または下限に関連するため、重み付け係数は、燃料走行マイル数レートに応じて変化する。したがって、個別の燃料走行マイル数レートは、重み付け係数を評価する際に考慮される。利用可能な場所および季節が考慮されるのは、ある特定の燃料が、特定の季節または特定の領域においては十分な量があるが、他の季節または領域では希少である可能性があるためである。図11に示すように、個々のタンク容量が考慮されるのは、個別の燃料がそれぞれ個別の燃料タンク27’,37’に収容され、そのタンク内の個別の容量レベル29’,39’を走行マイル数レートと組み合わせると、燃料それぞれについての残存範囲を示すためである。アルゴリズム46’は、各重み付け係数の算出時に、特定の燃料の残存範囲と、機関車構成の先の停留所までの距離を比較し、さらに、該当する燃料が特定の各停留所で補給できるかどうかと比較する。
図11には、個別の燃料タイプそれぞれに用いる個々の燃料タンク27’,37’が示されているが、各燃料タンク27’,37’を利用して、機関車の走行行程の異なる時点において、異なる燃料タイプを収容してもよい。各燃料タンク27’,37’は、燃料のタイプ別のセンサーを搭載してもよい。例示する実施形態において、各センサーを利用して、異なる時点においていずれのタイプの燃料が各燃料タンク27’,37’内にあるのかを識別することができる。このセンサーは、機関車10’に提供されている情報に基づいて、各燃料タンク27’,37’の中の燃料タイプを識別するセンサーを含んでよく、前述の情報には、手動センサーと、鉄道または隣接する機関車などの燃料供給元から電子的に送信された燃料タイプの情報と、燃料タンク27’,37’が補給された場所の情報と、が含まれる。プロセッサ44’は、燃料補給を行う各場所についての燃料タイプ情報を含んでよい。前述のセンサーは、さらに、機関車によって検出された各タンク27’,37’内の燃料タイプの特性に基づいて、各燃料タンク27’,37’内の燃料タイプを識別してもよい。このような特性は、たとえば、粘度および濃度などの各燃料タイプの物理的特性や、たとえば燃料値などの各燃料タイプの化学的特性を含んでよい。各燃料タイプのこのような特性は、機関車内のセンサーまたは装置によって検出できる。またセンサーは、たとえば、機関車のエンジン性能などの機関車性能特徴に基づいて、エンジンに対する各燃料タイプの入出力特性を評価することで、各燃料タンク27’,37’内の燃料タイプを識別してもよい。たとえば、1000馬力を出力する機関車のエンジンに関して、燃料調整器は、収容されている燃料Aに対する200ガロンという入力要求量を持ち、一方で、燃料Bに対する250ガロンという要求量を含んでいてもよい。したがって、各タンク27’,37’内の燃料タイプは、たとえば機関車のエンジン特徴によって、収容されている燃料の入出力特性を評価することで識別されてもよい。
アルゴリズム46’が走行計画を生成し、複数の燃料タイプについて、特定の燃料それぞれの各重み付け係数を決定した後、各重み付け係数は、機関車構成42’が走行を再開したときに後で検索できるようにするため、データベース36’内に保存されてよい。また、重み付け係数は、合計燃料消費を削減するため、同様の走行行程に加わっている、同じ複数の燃料を有する他の同様の機関車構成で共有されてもよい。
また、アルゴリズム46’は、所望の走行時間を確立すること、および機関車構成42’に乗車している乗員の適正な運転時間を保証することの少なくともいずれかを実現する走行計画を生成できる。例示する一実施形態において、運転士、または、コントローラ要素51’も提供される。ここで説明するように、コントローラ要素51’は、列車が走行計画に従うように列車を制御する目的で利用される。ここでさらに詳しく説明する例示的実施形態において、コントローラ要素51’は、列車運行の決定を自動で行う。例示する他の実施形態において、列車が走行計画に従うように仕向けることに、オペレータが関与してもよい。
本発明の例示的実施形態の特徴は、実行すべき計画を最初に生成し、実行されている任意の計画を行程の途中で迅速に修正する機能である。この機能は、計画の最適化アルゴリズムが複雑になるため、距離が長くなる場合に当初計画を生成することを含む。走行行程概要の全体長さが所定の距離を越える場合に、アルゴリズム46’を利用してミッションを細分化でき、その際、ミッションは途中通過目標地点で分割されるとよい。単一のアルゴリズム46’のみについて説明したが、1つ以上のアルゴリズムを利用し、その各アルゴリズムを互いに結合できることは当業者であれば容易に理解できるであろう。途中通過目標地点は、列車31’が停止する固有の場所、たとえば、特に限定するものではないが、単一軌道のレール上で対向する車両の流れと出会う、または現行の列車の後から来る列車に追い越されることが予定されている場所である待避線、および車の搬入搬出が行われる構内待避線または作業場、作業が予定されている場所など、を含んでよい。このような途中通過目標地点において、列車31’には、予定の時刻にその場所に所在することが求められ、また、所定範囲の速度での停止または移動が求められる。途中経過目標地点における到着から出発までの間の時間は、停留時間と呼ばれる。
例示する実施形態において、本発明は、特別な分類方式で、長距離の走行行程をより小さい区画に分割できる。各区画は任意の長さであってよいが、通常は、停止場所や大幅な速度規制などの固有の場所において、または、他の経路との分岐合流地点を画定するマイルポストにおいて分割される。アルゴリズム46’が各区画内の走行行程の概略を生成する際に、各区画における、複数の燃料に含まれる各燃料の合計燃料消費または合計排出物出力に対応した重み付け係数は、その区画の長さによって変動する。
また、図12〜14に示すように、ユーザーインターフェース要素68’は、プロセッサに接続されており、複数の燃料タイプに含まれる各燃料タイプの個別の容量を選択的に表示する。図12において、ユーザーインターフェース要素68’は、選択ボタン123’を用いて燃料の各種タイプの中から選択し、表示装置68’の到着時刻管理部125’に、特定の燃料それぞれのコスト節約分を表示することができる。図13において、ユーザーは、選択ボタン139’を用いて燃料の各種タイプの中から選択して、表示装置68’の到着時刻管理部134’に、特定の燃料それぞれについての予想コスト節約分を表示できる。また、図14においてユーザーは、複数の燃料タイプのうち、いずれの燃料を主燃料とし、いずれを副燃料とするのかを選択できる。主燃料と副燃料の指定後、ユーザーは主燃料選択ボタン79’を押すことで、デルタ燃料部82’に、主燃料用個別タンク内の主燃料の予測残留走行マイル数81’と、行程計画の後方/前方の主燃料の量を表示できる。またユーザーは、副燃料選択ボタン80’を押して、デルタ燃料部82’に、副燃料用個別タンク内の副燃料の予測残留走行マイル数81’と、走行計画の後方/前方の副燃料の量を同様に表示できる。主燃料と副燃料を混合した予測を表示する場合、ユーザーは、燃料混合選択ボタン78’を押せばよい。ここでは説明しない、基本表記で示したシステム10’の他の要素は、前述した実施形態の要素と同様であるため、さらに詳しい説明は行わない。
本発明のシステム10’の実施形態で言及しない他の要素は、基本表記を用いて先に説明した本発明のシステム10の実施形態の要素と同様であるため、さらに詳しい説明は行わない。
本発明の他の実施形態は、車両を運行させる方法を開示する。車両は、図11に示すような1つ以上の機関車構成42’を持つ列車31’、オフハイウェイ車両(OHV)、航海用船舶、または複数種類の燃料で動作するエンジンを持つ任意の同様の車両を含んでよい。前記複数種類の燃料は、1つ以上のディーゼルベースの燃料と、1つ以上の代替燃料を含む。特に各代替燃料は、バイオディーゼル、パーム油および菜種油のうちの1つを含んでよい。したがって、1つ以上の機関車構成42’を有する列車31’の運行方法は、OHVおよび航海用船舶にも同様に適用されてよい。
各機関車構成42’は、複数の燃料タイプで動作するエンジンを含む。本方法は、機関車構成42’の位置を特定することと、機関車構成42’の走行地形(すなわち、軌道)34’についての情報を提供することと、燃料の各タイプの特性情報を保存することを含む。特に本方法は、機関車構成についての1つ以上の運行基準に従って、機関車構成の性能を最適化する走行計画を生成することを含む。
各機関車構成用燃料の各タイプの特性情報は、燃料効率、排出効率、個々のタンク容量、利用可能なコスト、および利用可能な場所のうちの少なくとも1つを含む。
走行計画の生成は、機関車構成の燃料のタイプそれぞれの合計燃料消費を最小限に抑えることを含む。特に、各燃料タイプの合計燃料消費の削減は、複数の燃料タイプの各燃料消費に対する重み付け係数を持つ加重和を、最小化することを含む。また、本方法は、機関車構成の各燃料タイプの合計燃料消費を最小限に抑える走行計画に関して、個別の重み付け係数を決定することを含む。
図15に、車両31’がそれぞれ少なくとも1つのタイプの燃料で動作するエンジンを含む、少なくとも1つの車両31’を運行させる方法200の実施形態を示す。本方法は、(ブロック201から)車両の位置を特定すること(ブロック202)で始まり、次に、各車両の走行地形についての情報を提供する(ブロック204)。また、方法200は、各燃料タイプの特性情報を保存し(ブロック206)、車両に対する1つ以上の運行基準に従って、各車両の性能を最適化する走行計画を生成すること(ブロック208)を含み、その後終了する(ブロック210)。
前述した本明細書の記載に基づいて、本発明の例示的実施形態は、コンピュータプログラミングまたはエンジニアリング技術を用いて実施されてよく、この技術は、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアおよびこれらの任意の組み合わせまたはそのサブセット含み、1つ以上の運行基準に従って車両の性能を最適化する技術的効果を持つ。結果的に得られる、コンピュータ可読コード手段を持つこのようなプログラムは、1つ以上のコンピュータ可読媒体内に実装または提供されることで、本発明の実施形態に係るコンピュータプログラム製品、すなわち製造品を作製できる。コンピュータ可読媒体は、たとえば、固定(ハード)ドライブ、ディスケット、光ディスク、磁気テープ、読み取り専用メモリ(ROM)などの半導体メモリ、または任意の送受信媒体、たとえば、インターネット、他の通信ネットワークまたは通信リンクなどであってよい。前記コンピュータコードを含む製造品は、1つの媒体から直接コードを実行することによって、あるいは、1つの媒体から他の媒体にコードをコピーすることによって、あるいは、ネットワークを通じてコードを送信することによって、作製および利用されてもよい。
コンピュータ科学の分野の当業者であれば、前述したように作製されたソフトウェアを、適切な汎用または特殊用途向けコンピュータハードウェア、たとえば、マイクロプロセッサなどと組み合わせて、本発明の一実施形態に係る方法を具現するコンピュータシステムまたはコンピュータサブシステムを容易に作製できるであろう。本発明の一実施形態を実現、利用、または販売する装置は、特に限定するものではないが、中央演算処理装置(CPU)、メモリ、記憶装置、通信リンク、通信装置、サービス、入出力装置、またはその処理システムの任意のサブコンポーネントを含む1つ以上の処理システムであってよく、前記1つ以上の処理システムは、本発明の例示的実施形態を具現する、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはこれらの組み合わせまたはその一部を含む。
本発明の実施形態について、現在のところ好ましい実施形態と考えられるものを記載したが、各種の変形または修正については、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の実施形態は、例示した具体的な実施形態に限定されるものではなく、添付の請求項の精神および範囲の全体の中で解釈されるべきものである。
本発明に係るフローチャートの例を示す図である。 採用可能な列車の単純化モデルを示す図である。 本発明に係る要素の例示的な一実施形態を示す図である。 燃料消費量/移動時間グラフの例示的な一実施形態を示す図である。 走行計画のための区分分解の例示的な一実施形態を示す図である。 区分例の例示的な一実施形態を示す図である。 本発明に係る例示的なフローチャートを示す図である。 オペレータが利用する動的な表示の例を示す図である。 オペレータが利用する動的な表示の別の例を示す図である。 オペレータが利用する動的な表示の別の例を示す図である。 本発明の一実施形態の要素を示す図である。 オペレータに利用される動的な表示の例示的説明図を示す図である。 オペレータに利用される動的な表示の別の例示的説明図を示す図である。 オペレータに利用される動的な表示の別の例示的説明図を示す図である。 本発明の方法の一実施形態を示す図である。
符号の説明
30 位置検索要素
31 列車
33 軌道特性解析要素
34 軌道
36 車載軌道データベース
38 センサ
41 路側位置
42 機関車(構成)
44 プロセッサ
46 アルゴリズム
47 無線通信システム
51 制御要素
52 制動システム
60 運行指令センター
61 機関車データベース
62 実行制御要素
63 機関車モデリング情報データベース
64 燃料比推定部
65 列車パラメータ推定部
68 ディスプレイ
69 コントロールパネル
200 軌道車
205 車両基地
210 軌道
215 軌道車パラメータ測定システム
220 車載センサ
225 車外センサ
230 データ収集装置
235 送受信機
240 中央制御装置
245 携帯型データ収集装置
250 機関車
255 機関車送受信機
260 路側電子装置
265 ネットワーク
270 プロセッサ
280 軌道車識別子
300 痕跡解析システム
310 国立センター
320 全国データベース

Claims (4)

  1. 各乗物が複数の種類の燃料で動作するエンジンを含む、少なくとも1つの乗物を運行させる方法であって、
    a)前記乗物の位置を特定することと、
    b)前記少なくとも1つの乗物の走行地形についての情報を提供することと、
    c)前記複数の種類の燃料それぞれについての特性情報を保存することと、
    d)前記走行地形についての情報、および燃料の種類ごとの前記特性情報に基づいた、前記少なくとも1つの乗物に用いる前記複数の燃料の合計燃料消費を最小限に抑えること含む走行計画であって、前記少なくとも1つの乗物の1つ以上の運行基準に従って、前記少なくとも1つの乗物の性能を最適化する走行計画を生成することと
    を含み、
    前記複数の燃料の合計燃料消費を最小限に抑えることは、プロセッサによって実行され、加重和を最小化することを含み、該加重和は、前記複数の種類の燃料それぞれについての項の和であり、該項のそれぞれは、前記複数の燃料のうちの消費燃料のそれぞれに対するそれぞれの燃料効率とそれぞれの重み付け係数との積である、
    方法。
  2. 前記乗物は、1つ以上の機関車構成を持つ列車、オフハイウェイ車両(OHV)、および航海用船舶のうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 各乗物に用いる前記複数の燃料それぞれについての前記特性情報は、燃料効率、排出効率、個々のタンク容量、利用可能なコスト、および利用可能な場所のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1つの乗物に用いる前記複数の燃料それぞれの合計燃料消費を最小限に抑える前記走行計画に対して、前記それぞれの重み付け係数を決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
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