JP5265036B2 - 走行車両のサスペンション装置 - Google Patents
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ところで、前記車体は荷重、衝撃等を受けることにより、揺動フレームは後部の支持軸を中心に上下に揺動するものであり、前車軸ケースに対する前フレームの高さが変化し得るものであるので、前フレームが低位置にあるときと高位置にあるときとでは、前車軸ケースが左右揺動した時に被揺動規制部に対する揺動規制部の高さが大きく変化する。
また、受け面が略水平面である場合には、揺動規制部の高さ変化は被揺動規制部との当接角度にそのまま反映され、前フレームが高いとき、即ち、前フレームと前車軸ケースとの間隔が大きいときには前車軸ケースが大きく揺動可能になり、大きく揺動したときに前輪とボンネットとの間のクリアランスが減少して干渉を起こす可能性があり、また、前フレームが低く、前フレームと前車軸ケースとの間隔が小さいときには前車軸ケースの左右揺動範囲が極端に小さくなり、左右サスペンションシリンダの緩衝作用が制限されたり、その制限を回避するために車高を上げ、前フレームと前車軸ケースとの間隔を必要量確保するという調整が必要になったりする。
本発明は、車体に後揺動フレーム及びサスペンションシリンダを残したまま、前車軸ケース及び前揺動フレームを分解可能にできるようにした走行車両のサスペンション装置を提供することを目的とする。
第1に、エンジンEの後部にミッションケースMを連結しかつエンジンEから前方へ前フレーム3を突設して車体2を構成し、この車体2の前部に揺動フレーム4の後部を左右方向の支持軸5廻り上下揺動自在に支持し、前記揺動フレーム4に前輪26を懸架した前車軸ケース6を前後方向のセンタ軸7廻り左右揺動自在に支持し、前記前フレーム3に前輪26用の左右サスペンションシリンダ8を設けており、
前記揺動フレーム4は前車軸ケース6の左右方向中央の上方を通って前部を支持する前揺動フレーム4Fと、この前揺動フレーム4Fの後部と着脱自在に連結されていて前車軸ケース6の後部を支持しかつ支持軸5に枢支された後揺動フレーム4Rとを有しており、
前記後揺動フレーム4Rは左右側部に左右サスペンションシリンダ8を枢支連結する連
結部4Raを設けていることを特徴とする。
第3に、前記連結部4Raとサスペンションシリンダ8とを連結する連結ピン41は、上下方向においてセンタ軸7の軸心7Sより低い位置で、前後方向において前車軸ケース6の後側のセンタ軸後部7Rの近傍でかつステアリングシリンダ34の後方に配置していることを特徴とする。
[作用]
前記特徴を有する走行車両のサスペンション装置は次のような作用を奏する。
前輪26用の左右サスペンションシリンダ8は、前輪26から前車軸ケース6を介して揺動フレーム4に加わる支持軸5廻りの上下方向の衝撃を緩衝する。荷重が変化したときに車体2の高さが変化するので、揺動フレーム4は支持軸5廻りに上下回動して、前フレームと前車軸ケース6との上下間隔が変化する。
前記揺動規制部36の受け面36Aと被揺動規制部37の当接面37Aとは共に下から上へ左右方向外向きに傾斜した傾斜面に形成されており、前フレーム3と前車軸ケース6との上下間隔が大きいときも小さいときも所要揺動角度範囲内で前車軸ケース6を揺動させるようにでき、前フレーム3の高さ変化度合いよりも前車軸ケース6の左右揺動の制限角度変化の度合いを小さくでき、前フレームが高いときは前車軸ケースの左右揺動過多を制限でき、前フレームが低いときは前車軸ケースの左右揺動を許容する角度範囲を拡大できる。
トラクタTの前部を示す図5、6において、トラクタTはエンジンEの後部に前ミッションケースM及び後ミッションケースを連結し、かつエンジンEから前方へ前フレーム3を突出して車体2を構成しており、前フレーム3に左右前輪26を懸架する前車軸ケース6を支持している。
前記後ミッションケースの後輪デフピニオン軸から取り出される前輪動力は、前ミッションケースMの内部伝動軸27から前輪変速機構28を介して外部伝動軸29に伝達され、この外部伝動軸29から自在継手軸30を介して前車軸ケース6の前輪デフピニオン軸31に伝達される。
前車軸ケース6は前輪デフ装置を内蔵している中央拡大部6aから左右外端へ次第に細くなっており、左右外端には終減速機構33を有し、中央拡大部6aの背面側には後部蓋兼軸受ケース6bが設けられかつステアリングシリンダ34が配置されている。
前記前フレーム3は、左右一対の外側板3aと左右一対の内側板3bと前板3cとを有し、対応する外側板3aと内側板3bとは左右に重合してボルトナット等の固定具又は溶接等により連結固定され、左右一対の外側板3a及び左右一対の内側板3bの前端間に前板3cが固定具又は溶接等により連結固定されており、前記内側板3bの内面が前フレーム3の左右側壁3Aを形成している。
前記サスペンション機構1は、前フレーム3に支持軸5廻り揺動(上下揺動)自在に支持されかつ前車軸ケース6をセンタ軸(軸心が前後方向)7廻り揺動(左右揺動)自在に支持する揺動フレーム4と、前フレーム3と揺動フレーム4との間に左右一対設けられたサスペンションシリンダ8と、この左右サスペンションシリンダ8と連通する油圧バルブ21及びアキュムレータ22等で構成されている。
また、前記センタ軸7の軸心7Sも支持軸5の軸心及び十字継手30aの回転中心と上下方向において同心又は可及的同心になるように配置されており、支持軸5を中心に前部が上下するように揺動可能であり、即ち、揺動フレーム4及び前車軸ケース6は支持軸5を中心に上下揺動可能になっており、上下揺動しても前輪デフピニオン軸31が正常に回
転できるようになっている。
後揺動フレーム4Rは、前記左右各支持軸5にそれぞれ嵌合する後部平面視二股形状の左右支持軸受部10と、この左右支持軸受部10の前側で前記前車軸ケース6のセンタ軸後部7Rに嵌合する後軸受部11と、左右支持軸受部10の前部から後軸受部11にかけてそれらの上面側に形成されていて平坦面を有する取付け部12とが形成されている。
前記上揺動規制体25Uには支持部14の上面に平坦に形成された当たり面14aが当接可能になっており、前輪26及び前車軸ケース6に対する前フレーム3の過剰な沈み込み(揺動フレーム4の過剰な浮き上がり)を防止している。
前記当たり面14a及び突起部14bがそれぞれ上下揺動規制体25U、25Dに当接することにより、揺動フレーム4がサスペンション機能時に過大に上昇又は下降しようとするのを規制するだけでなく、サスペンションシリンダ8に過大な引き抜き力又は圧縮力がかかるのを抑制できる。
前記左右一対のサスペンションシリンダ8は、シリンダ本体8Aの上端部が水平横軸状の支軸40を介して前フレーム3に枢支連結され、ピストンロッド8Bの下端部が連結ピン41を介して揺動フレーム4の連結部4Raに枢支連結されている。
また、左右のサスペンションシリンダ8からの作動油の流動をロックすると、揺動フレーム4及び前車軸ケース6は支持軸5廻りの上下揺動がロックされる。
アキュムレータ22は左右一対のサスペンションシリンダ8のヘッド側に接続されたヘッド側アキュムレータ22Hと、ロッド側に接続されたロッド側アキュムレータ22Lとを有し、前フレーム3の前板3cに装着された保護板38によって前下方から障害物と接触するのを防止されている。
トラクタTは、駆動時や制動をかけたときに車体2の重心Pにピッチングモーメントが発生し、車体2の前部が上昇するノーズリフト又は車体2の前部が沈むノーズダイブが発生するようになるが、前記支持軸5は前後方向において、ノーズリフトとノーズダイブとが発生し難い位置に配置されている。
る。
なお、水平線に対するアンチピッチング平衡線Y1のアンチピッチング角λ1は例えば42〜49°又はその前後角度であり、アンチピッチング平衡線Y2のアンチピッチング角λ2は24〜30°又はその前後角度である。
前記左右揺動規制手段Sは、前車軸ケース6がセンタ軸7廻りに左右揺動して被揺動規制部37が揺動規制部36に当接することにより、前車軸ケース6の過大な左右揺動を規制する。
前記前車軸ケース6の左右各被揺動規制部37は、下から上へ左右方向外向きに傾斜した傾斜面の当接面37Aを有し、この当接面37Aのセンタ軸7を通る左右水平の面に対する傾斜角度K2は例えば50〜63°前後に設定されており、受け面36Aの傾斜角度K1が当接面37Aの傾斜角度K2より6〜10°前後大きく設定されている。
図4において、前車軸ケース6が上下中央位(前フレーム3も上下中央位)にあるときに左右揺動すると、6〜8°前後の揺動角度θ1で当接面37Aが受け面36Aと当接する。この上下中央位当接角度θ1を同一にして、当接面37Aと受け面36Aとが水平状態である場合と比較すると、次のようになる。
6の左右揺動角度を必要角度採ることができる。
前記前車軸ケース6が上下中央位(前フレーム3も上下中央位)にあるとき、当接面37Aの当接最上部位37uが受け面36Aの上下中央部位と当接し、前車軸ケース6が最下位(前フレーム3が最上位)にあるとき、当接面37Aの当接最上部位37uが受け面36Aの受け最下部位36dと当接し、前車軸ケース6が最上位(前フレーム3が最下位)にあるとき、当接面37Aの全面と受け面36Aの全面とが面接触するようになっている。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜8に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
2 車体
3 前フレーム
3A 側壁
4 揺動フレーム
4F 前揺動フレーム
4R 後揺動フレーム
5 支持軸
6 前車軸ケース
7 センタ軸
8 サスペンションシリンダ
26 前輪
36 揺動規制部
36A 受け面
37 被揺動規制部
37A 当接面
K1 受け面の水平線に対する傾斜角度
K2 当接面の水平線に対する傾斜角度
S 左右揺動規制手段
Claims (4)
- エンジン(E)の後部にミッションケース(M)を連結しかつエンジン(E)から前方へ前フレーム(3)を突設して車体(2)を構成し、この車体(2)の前部に揺動フレーム(4)の後部を左右方向の支持軸(5)廻り上下揺動自在に支持し、前記揺動フレーム(4)に前輪(26)を懸架した前車軸ケース(6)を前後方向のセンタ軸(7)廻り左右揺動自在に支持し、前記前フレーム(3)に前輪(26)用の左右サスペンションシリンダ(8)を設けており、
前記揺動フレーム(4)は前車軸ケース(6)の左右方向中央の上方を通って前部を支持する前揺動フレーム(4F)と、この前揺動フレーム(4F)の後部と着脱自在に連結されていて前車軸ケース(6)の後部を支持しかつ支持軸(5)に枢支された後揺動フレーム(4R)とを有しており、
前記後揺動フレーム(4R)は左右側部に左右サスペンションシリンダ(8)を枢支連結する連結部(4Ra)を設けていることを特徴とする走行車両のサスペンション装置。 - 前記前車軸ケース(6)は背面側にステアリングシリンダ(34)を設けていることを特徴とする請求項1に記載の走行車両のサスペンション装置。
- 前記連結部(4Ra)とサスペンションシリンダ(8)とを連結する連結ピン(41)は、上下方向においてセンタ軸(7)の軸心(7S)より低い位置で、前後方向において前車軸ケース(6)の後側のセンタ軸後部(7R)の近傍でかつステアリングシリンダ(34)の後方に配置していることを特徴とする請求項2に記載の走行車両のサスペンション装置。
- 前記後揺動フレーム(4R)と前フレーム(3)の内面との間に、前フレーム(3)の昇降位置を検出する昇降検出センサ(19)を設けていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の走行車両のサスペンション装置。
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