JP5263543B2 - ダイナミックスピーカーの歪低減方式 - Google Patents

Description

本発明はスピーカーの音質改善を図った歪低減に関する。

従来の可聴帯域外の高域信号印加によるスピーカーの歪低減方式において、高域信号を印加する方法は、オーディオ信号を増幅する過程でオーディオ信号に電気的接続で高域信号を重畳し、スピーカーに印加する方式がとられていた。［特許文献１参照］

以下図２により従来の歪低減方式について、２ウエイシステムの例で説明する。
オーディオ入力信号に歪低減のための可聴帯域外の高域信号が重畳され、プリメインアンプ１で増幅した後ディバイディングネットワーク２，３を経由して各スピーカー５，６に印加される構成になっているが、中低音スピーカー用のディバイディングネットワーク３は高域信号を遮断する特性を有しているため歪低減のために重畳した高域信号が中低音用スピーカー６に印加されなくなり、中低音用スピーカーの歪低減効果が発揮されないという問題があった。
特開２００８−１９３６４６

以上述べた従来のダイナミックスピーカーの歪低減方式では、多くの高性能スピーカーシステムに採用されている中低音スピーカー用ディバイディングネットワークが歪低減用に重畳した可聴帯域外の高域信号を遮断してしまうため、歪低減効果を発揮させるにはディバイディングネットワークに歪低減用高域信号を通過させる手段を設けなければ歪低減効果が発揮出来ないという問題があった。このため既存のスピーカーシステムでの歪低減効果の発揮は、ディバイディングネットワークによって高域信号が遮断されない高音用スピーカーだけとなり、音質に及ぼす影響の大きい中低音スピーカーに対してはその改善効果は得られないという問題があった。
また重畳した信号を増幅する際、増幅器の特性によっては混変調歪を発生させたり、高い周波数の高域信号を増幅出来ない特性の場合、歪低減用に重畳した高域信号をスピーカーに印加出来ないという問題もあわせて解決する事を目的とするものである。

本発明はこのような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、電磁誘導作用でスピーカーのボイスコイル又はスピーカーの接続線に電気的接続無しに直接高域信号を誘起させる手段を設けることにより、ディバイディングネットワークによる影響を受けずに既存のスピーカーシステムの歪の低減を可能にしたものである。

そして本発明の第一の課題解決手段は電磁誘導による起電力をボイスコイルに発生させるため、高域信号の磁束を発生する磁束発生装置（コイル又はコイルと磁性材料により構成される）をスピーカー前面の中央付近に、ポールピースのダストキャップから適度の空間（ボイスコイルの動きで接触しない距離）を置いて取り付け可能な取り付け部材により取り付けた構成とするものである。

また第二の課題解決手段は、スピーカー接続線の片方に電磁誘導作用により可聴帯域外の高域信号の起電力が誘起されるように、一次に高域信号が供給され、２次がスピーカー接続線の片方になるように構成されたトロイダルコイル等の中空部分をスピーカー接続線の片方が通るようにしたものである。

上記第一の課題解決手段による作用は次の通りである。
すなわち磁束発生装置から発生される可聴帯域外の高域信号の磁束は、ポールピース、マグネット、ヨーク、を経由して磁束発生器に戻る経路で、ボイスコイルの中心部分を高域信号の磁束が通過する事でボイスコイルに高域信号の起電力を発生させ、この高域信号がボイスコイルに印加されるオーディオ信号に重畳される事によりスピーカーの歪を低減する事が出来る。

また第二の課題解決手段による作用は、スピーカーの接続線の片方に直接トロイダルコイル等により可聴帯域外の高域信号の起電力が誘起しボイスコイルに印加されるため、磁束発生器を取り付ける部材等も不要で簡単に取り付け出来る。

上述したように本発明の可聴帯域外の高域信号重畳方式は、既存のマルチウエイスピーカーシステムへの取り付けも可能であると共に、使用アンプの性能に左右される事無くダイナミックスピーカーの歪低減が可能になるので、既存システムにもその効果を発揮出来る。

発明を発揮出来る最良の形態

本発明の第１の実施の形態を図１、図４、図５で示す。図１は構成を示したブロック図で図４は磁束発生装置を取り付けたスピーカーの断面図、図５は磁束の流れを示す図で、１はプリメインアンプ、３は中低音スピーカー用ディバイディングネットワーク、４は高域信号発生器、６は中低音用スピーカー、７は磁束発生装置、９はヨーク、１０はマグネット、１１はポールピース、１２はボイスコイル、１３はスピーカーの振動板、１７は磁束発生装置のコイルで１８は磁性材料よりなるコアである。

以下、上記構成の動作を説明する。
磁束発生装置１７，１８の一方の極からの磁束は図の点線矢印２０で示したように、スピーカーのポールピース１１、マグネット１０、ヨーク９を通って磁束発生装置１７，１８のもう一方の極に戻ってくる。この時ポールピース１１を通過する磁束によりボイスコイル１２に起電力を誘起し、ボイスコイル１２に印加されているオーディオ信号にこの起電力による可聴帯域外の高域信号が重畳されることになり、中低音用スピーカー６の歪を低減する。

尚、磁束発生装置の代わりに超音波発生装置で直接スピーカーの振動系（振動板、ボイスコイル他）を振動させて歪を低減させる方法も考えられるが、振動系が重い中低音用スピーカーには大パワーの超音波の印加が必要になり現実的ではない。

また第二の手段による動作は、図３に示すように中低音用スピーカー６の接続線の片方が高域信号発生器に接続されたトロイダルコイル８等の誘導起電力を発生するコイルの中空部分を通す事により、接続線に起電力を誘起し、中低音用スピーカー６に印加されているオーディオ信号にこの起電力による可聴帯域外の高域信号が重畳されることになり、中低音用スピーカー６の歪を低減する。

本発明の第１の実施形態を示すブロック図 従来の歪低減方式の形態を示すブロック図 本発明の第２の実施形態を示すブロック図 磁束発生装置を取り付けたスピーカー断面図 磁束発生装置の磁束の流れを示す説明図

１． プリメインアンプ
２． 高音用スピーカーのディバイディングネットワーク
３． 中低音用スピーカーのディバイディングネットワーク
４． 高域信号発生器
５． 高音用スピーカー
６． 中低音用スピーカー
７． 磁束発生装置
８． トロイダルコイル
９． ヨーク
１０． マグネット
１１． ポールピース
１２． ボイスコイル
１３． 振動板
１４． ダストキャップ
１５． エッジ
１６． 磁束発生装置取付け部材
１７． 磁束発生装置のコイル
１８． 磁束発生装置のコア
１９． フレーム
２０． 磁束の流れを示す点線

Claims (3)

1. ダイナミックスピーカーの歪みを低減するために、オーディオ信号に重畳する可聴帯域外の高域信号を、電磁誘導作用によりスピーカーに印加するようにしたスピーカーの歪低減方式。
2. ダイナミックスピーカーのボイスコイルに直接電磁誘導作用により高域信号を印加するために、ダイナミックスピーカーの前面中央付近に、ポールピースのダストキャップとの間に適度の空間を設けて高域信号の磁束発生装置を配置した請求項１の歪低減方式。
3. ダイナミックスピーカーの接続線の片方に電磁誘導作用による起電力が誘起するように、１次が高域信号発生器に接続され、２次がスピーカー接続線の片方になるように、高域信号発生器に接続されたトロイダルコイル等の中空部分を接続線が貫通するよう構成し、接続線に可聴帯域外の高域信号の誘導起電力が誘起されるようにした請求項１の歪低減方式。

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