以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明に従った気相成長装置である処理装置の実施の形態1の断面模式図である。図2は、図1に示した処理装置のサセプタおよびヒータを示す部分断面模式図である。図1および図2を参照して、本発明による処理装置1を説明する。
図1および図2に示すように、本発明による処理装置1は、反応管2と、反応管2の底壁に設置されたサセプタ5と、反応管2の内部に反応ガスなどを供給するためのガス供給部11と、反応管2の内部から反応済みのガスや雰囲気ガスなどを排出するためのガス排気部13と、サセプタ5を介して当該サセプタ5上に搭載される基板を加熱するためのヒータ9と、これらのヒータ9、サセプタ5、ガス供給部11およびガス排気部13などを制御するための制御部(図示せず)とを備える。反応管2は、たとえば図1の主面に垂直な方向における断面が四角形状であって、筒状の形状を有している。
反応管2の底壁には、サセプタ5を配置するための開口部が形成されている。当該開口部に配置されたサセプタ5は、円板状のベース部材20と、このベース部材20に形成された開口部22に嵌め込まれて固定されている均熱部材18と、ベース部材20の基板7が搭載される側である表面とは反対側の裏面の中央部に接続された軸16とからなる。サセプタ5は、軸16を中心として回転可能になっている。軸16には、サセプタ5を回転させるための駆動部材が接続される。駆動部材としては、任意の構成を用いることができるが、たとえばモータなどを用いることができる。
ベース部材20に形成された開口部22の平面形状は任意の形状とすることができる。たとえば、開口部22の平面形状を円形状としてもよい。この場合、開口部22に埋込まれる均熱部材18の平面形状も円形状とすることが好ましい。この開口部22および均熱部材18の平面形状は、サセプタ5の均熱部材18上に搭載される基板7の平面形状と実質的に同じ形状とすることが好ましい。なお、開口部22は、ベース部材20において、軸16が接続された中央部を中心とした円周上に複数個形成されている。
ベース部材20を構成する材料としては、たとえば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素やそれらの混合物などを用いることができる。また、均熱部材18を構成する材料としては、ベース部材20を構成する材料よりも熱伝導率の大きな材料を用いる。たとえば、均熱部材18を構成する材料として、グラファイト、炭化ケイ素などを用いることができる。
また、図2に示すように、サセプタ5では、ベース部材20の厚みTよりも、均熱部材18の厚みT1の方が大きくなっている。また、ベース部材20の主表面(基板7を搭載する側の面である表面)の位置と、均熱部材18の上部表面(基板7を搭載する表面)の位置とは一致している。このため、ベース部材20の主表面と反対側の面である裏面側では、均熱部材18がベース部材20の裏面から突出した状態になっている。このようにすれば、ベース部材20の厚みTと均熱部材18の厚みT1とが同じ場合よりも、均熱部材18のヒータ9に対向する面(裏面)とヒータ9の表面との間の距離を小さくすることができる。この結果、ヒータ9と均熱部材18との間の熱抵抗を小さくすることができる。したがって、ヒータ9から発生した熱を効率的に均熱部材18に伝えることができる。このため、均熱部材18を介して基板7を効率的に加熱することができる。
また、均熱部材18を構成する材料として、ベース部材20よりも熱伝導率の大きな材料を用いているので、均熱部材18を構成する材料の熱伝導率がベース部材20を構成する材料の熱伝導率と同じである場合に比べて、均熱部材18からベース部材20へと伝わる熱量を少なくできる。したがって、均熱部材18に加えられた熱量のうち基板7の加熱に用いられない熱量を少なくすることができるので、基板7の加熱を効率的に行なうことができる。
次に、図1および図2に示した処理装置における基板7の処理方法を、図1〜図3を参照しながら簡単に説明する。
図3は、図1および図2に示した処理装置を用いた気相成長方法である基板の処理方法を説明するためのフローチャートである。図1〜図3を参照して、図1および図2に示した処理装置1を用いた基板の処理方法では、まず基板準備工程(S100)を実施する。具体的には、サセプタ5の基板搭載面である主表面(上部表面)上に処理対象物である基板7を搭載する。基板7は、均熱部材18上に搭載される。また、基板7は任意の固定具によってその位置を固定されていてもよい。たとえば、ベース部材20の上部表面の位置よりも、均熱部材18の上部表面の位置をヒータ9側に後退させてもよい。このようにして、均熱部材18の上部表面を底壁とする凹部を形成しておき、当該凹部の中に基板7を配置してもよい。
次に、成膜工程(S200)を実施する。この成膜工程(S200)においては、まず、ガス排気部13を動作させることにより、反応管2の内部から矢印14に示すように雰囲気ガスを排気する。この結果、反応管2の内部の圧力が所定の圧力にセットされる。その後、ヒータ9に電力を投入する。この結果、基板7がサセプタ5の均熱部材18を介して加熱されることになる。そして、軸16を回転させることにより、サセプタ5を回転させる。なお、図示しない測温部材により基板7の温度は測定される。
上述のように基板7を加熱することにより、基板7の温度が所定の処理温度になったところで、基板7と対向する領域に原料ガスをガス供給部11から矢印12に示すように供給する。供給された原料ガスが反応管2の内部において分解されることにより、基板7の表面に膜が形成される。そして、所定の膜厚の膜が基板7の表面に形成された時点で、原料ガスの反応管2への供給を停止する。このようにして、成膜工程(S200)が実施される。
図4は、図1および図2に示した処理装置の実施の形態1の変形例を示す部分断面模式図である。図4を参照して、本発明による処理装置の実施の形態1の変形例を説明する。なお、図4は図2に対応する。
図4に示すように、本発明による処理装置の実施の形態1の変形例は、基本的には図1および図2に示した処理装置1と同様の構造を備えるが、均熱部材18とベース部材20との間に断熱層24が形成されている点が異なる。すなわち、図4に示すように、均熱部材18の側面とベース部材20の開口部22の内周側面との間に断熱層24が形成されている。断熱層24としては、均熱部材18からベース部材20へと伝達される熱量を低減することができれば任意の構造を採用することができる。たとえば、断熱層24として、均熱部材18およびベース部材20のいずれよりも熱伝導率の小さい素材からなる層を形成してもよい。断熱層24は、均熱部材18の側面上に形成してもよいし、ベース部材20の開口部22の内周側面上に形成してもよい。また、断熱層24を構成する材料としては、石英、アルミナ、窒化ホウ素などを用いることができる。このような構成とすることにより、均熱部材18からベース部材20へと伝わる熱量を低減することができるので、基板7の加熱に用いられることなく均熱部材18からベース部材20へと伝達される熱量を低減できる。この結果、基板7の加熱をより効率的に行なうことができる。
また、断熱層24が形成されていることにより均熱部材18の外周部からベース部材20へと与えられる熱量を低減できるので、均熱部材18の基板7の裏面と平行な方向における断面内での熱の分布のばらつきをより低減することができる。この結果、基板7をより均一に加熱することができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明による処理装置の実施の形態2を示す部分断面模式図である。図5を参照して、本発明による処理装置の実施の形態2を説明する。なお、図5は図2に対応する。
図5に示した処理装置は、基本的には図1および図2に示した処理装置1と同様の構造を備えるが、均熱部材28の厚みT2がベース部材20の厚みTよりも小さくなっている点が図1および図2に示した処理装置とは異なっている。すなわち、均熱部材28の上部表面(基板7を搭載する表面)の位置が、ベース部材20の上部表面の位置と一致する一方、均熱部材28の裏面(ヒータ9と対向する面)がベース部材20の裏面の位置よりベース部材の内側へ後退した状態になっている。このようにすれば、均熱部材28の厚みT2をベース部材20の厚みTと同じにした場合に比べて、均熱部材18自体の熱抵抗(均熱部材18のヒータ9に対向する裏面から基板7を搭載する上部表面までの伝熱経路における熱抵抗)の絶対値を小さくすることができる。この結果、ヒータ9から均熱部材18までの距離が十分小さく、ヒータ9と均熱部材18の裏面との間の熱抵抗が大きな問題とならない場合には、基板7をより効率的に加熱することができる。
また、図5に示した処理装置では、図1および図2に示した処理装置と同様に、均熱部材28を構成する材料として、ベース部材20よりも熱伝導率の大きな材料を用いているので、均熱部材28を構成する材料の熱伝導率がベース部材20を構成する材料の熱伝導率と同じである場合に比べて、均熱部材28からベース部材20へと伝わる熱量を少なくできる。したがって、均熱部材28に加えられた熱量のうち基板7の加熱に用いられない熱量を少なくすることができるので、基板7の加熱を効率的に行なうことができる。
図6は、図5に示した処理装置の実施の形態2の変形例を示す部分断面模式図である。図6を参照して、本発明による処理装置の実施の形態2の変形例を説明する。
図6に示した処理装置は、基本的には図5に示した処理装置と同様の構造を備えるが、均熱部材28の側面とベース部材20の開口部22の内周側面との間に断熱層24が形成されている点が異なる。このようにすれば、図5に示した処理装置によって得られる効果に加えて、断熱層24が形成されているため、均熱部材28からベース部材20への熱伝達を抑制することができる。この結果、均熱部材28にヒータ9から入力された熱量に対する、基板7を加熱するために用いられる熱量の割合を大きくすることができる。このため、基板7の加熱をより効率的に行なうことができる。
また、均熱部材28の外周部からベース部材20へと与えられる熱量を低減できるので、均熱部材28の基板7の裏面と平行な方向における断面内での熱の分布のばらつきをより低減することができる。この結果、基板7をより均一に加熱することができる。
(実施の形態3)
図7は、本発明による処理装置の実施の形態3を示す部分断面模式図である。図7を参照して、本発明による処理装置の実施の形態3を説明する。なお、図7は図2に対応する。
図7を参照して、本発明による処理装置の実施の形態3は、基本的には図1および図2に示した処理装置と同様の構成を備えるが、サセプタ5における均熱部材38およびベース部材20の形状が異なっている。具体的には、ベース部材20では、ヒータ9に対向する側の表面である裏面側から基板7を搭載する側の面である主表面側に向けて開口部22の幅が徐々に広がるように当該開口部22が形成されている。また、この開口部22の形状に沿うように、均熱部材38の形状も調整されている。具体的には、均熱部材38のヒータ9と対向する側の表面である裏面から、均熱部材38の基板7を搭載する側の面である表面(基板搭載面)に向けて、均熱部材38の幅が徐々に広がるように均熱部材38が形成されている。また、均熱部材38の厚さとベース部材20の厚さとは実質的に同一になっている。
このようにすれば、ヒータ9表面の比較的狭い領域と均熱部材38の裏面とが対向することになる。このため、ヒータ9において温度分布の不均一が発生しているような場合であっても、均熱部材38の裏面と対向する比較的狭い領域について見れば温度分布の均一性がある程度確保されているような場合に、そのような温度分布の比較的均一なヒータ9の領域からの熱を、均熱部材38の裏面を介して均熱部材38に伝えることができる。そして、均熱部材38においては、裏面側から基板7が搭載されている表面側に向けて熱が伝わっていく過程において、均熱部材38中での温度分布の均一性(基板7が搭載されている表面に平行な断面内における温度分布の均一性)を高めることができる。これは、均熱部材38が相対的に熱伝導率の大きな材料によって構成されているためである。この結果、基板7の均熱部材38と接触する表面全体をほぼ均一に加熱することができるので、基板7の温度の均一化を促進することができる。
また、図7に示した処理装置では、図1および図2に示した処理装置と同様に、均熱部材38を構成する材料として、ベース部材20よりも熱伝導率の大きな材料を用いているので、均熱部材38を構成する材料の熱伝導率がベース部材20を構成する材料の熱伝導率と同じである場合に比べて、均熱部材38からベース部材20へと伝わる熱量を少なくできる。したがって、均熱部材38に加えられた熱量のうち基板7の加熱に用いられる熱量の割合を大きくすることができるので、基板7の加熱を効率的に行なうことができる。
図8は、図7に示した本発明による処理装置の実施の形態3の第1の変形例を示す部分断面模式図である。図8を参照して、本発明による処理装置の実施の形態3の第1の変形例を説明する。
図8に示した処理装置は、基本的には図7に示した処理装置と同様の構造を備えるが、均熱部材38とベース部材20の開口部22の内周側面との間に断熱層24を配置している点が図7に示した処理装置とは異なっている。このような断熱層24を配置することによって、図7に示した処理装置と同様の効果を得ることができるとともに、図6に示した処理装置と同様に、均熱部材38からベース部材20に伝えられる熱量を低減することができる。この結果、ヒータ9から均熱部材38に入力された熱量のうち、基板7の加熱に用いられずにベース部材20へと伝達される熱量を低減できる。この結果、基板7の加熱をより効率的に行なうことができる。
また、均熱部材38の外周部からベース部材20へと与えられる熱量を低減できるので、均熱部材38の基板7の裏面と平行な方向における断面内での熱の分布のばらつきをより低減することができる。この結果、基板7をより均一に加熱することができる。
図9は、図7に示した本発明による処理装置の実施の形態3の第2の変形例を示す部分断面模式図である。図9を参照して、本発明による処理装置の実施の形態3の第2の変形例を説明する。
図9に示した処理装置は、基本的には図8に示した処理装置と同様の構成を備えるが、均熱部材38およびベース部材20の形状が異なっている。すなわち、図9に示した処理装置では、均熱部材38の厚みT2がベース部材20の厚みTよりも小さくなっている。また、ベース部材20において均熱部材38を挿入固定するための開口部22は、均熱部材38と接触する側壁(上部側壁)についてはヒータ9側から基板7が搭載される表面側に向けて開口部22の幅が広がるように傾斜した側面を有するように形成されている。一方、開口部22のヒータ9と対向する側の端部に位置する下部側壁23は、ベース部材20の裏面に対して垂直な方向に延びるように形成されている。このようにすれば、図8に示した処理装置と同様の効果が得られるとともに、均熱部材38厚みT2をベース部材20厚みTと同じ程度の厚みとした場合よりも、図5や図6に示した処理装置と同様に均熱部材38の底面から上面までの間のトータルの熱抵抗を小さくできる。このため、基板7をより効率的に加熱することができる。
また、ベース部材20の開口部22について、下部側壁23をベース部材20の表面に対して垂直となるように形成しているので、下部側壁23が開口部22の他の側壁部分と同様にベース部材20の表面に対して傾斜している場合のように下部側壁23によって均熱部材38の底壁の外周部が覆われることはない。そのため、ヒータ9からの均熱部材38の底壁外周部への熱の伝達が下部側壁23によって妨げられるといった問題の発生を抑制できる。
図10は、本発明による処理装置の実施の形態3の第3の変形例を示す部分断面模式図である。図10を参照して、本発明による処理装置の実施の形態3の第3の変形例を説明する。
図10に示した処理装置は、基本的には図8に示した処理装置と同様の構造を備えるが、均熱部材38の形状が図8に示した処理装置とは異なっている。具体的には、図10に示した処理装置では、均熱部材38の厚みT1がベース部材20の厚みTよりも大きくなっている。このため、図1、図2、図4などに示した処理装置と同様に、均熱部材38の底面とヒータ9との間の距離が、ベース部材20の裏面とヒータ9との間の距離より小さくなっている。このようにすれば、図8に示した処理装置によって得られる効果に加えて、ヒータ9から均熱部材38に入熱される経路(均熱部材38の底面とヒータ9との間の空間)の熱抵抗を小さくすることができる。この結果、効果的に均熱部材38を加熱することができる。
(実施の形態4)
図11は、本発明による処理装置の実施の形態4を示す部分断面模式図である。図11を参照して、本発明による処理装置の実施の形態4を説明する。
図11に示した処理装置は、基本的には図7に示した処理装置と同様の構造を備えるが、均熱部材48およびベース部材20の形状が異なっている。すなわち、図11に示した処理装置では、均熱部材48のヒータ9に対向する側である裏面側から、基板7を搭載する側の面である表面に向けて均熱部材48の幅が徐々に狭くなっている。このようにすれば、ヒータ9の相対的により広い面積から放出される熱を均熱部材48の裏面で受取ることができる。そして、均熱部材48において裏面側から表面側に向けて熱が伝わる過程で、均熱部材48の断面積が徐々に小さくなることにより、均熱部材48の裏面に入力された熱がより狭い面積に集中することになる。この結果、基板7をより効率的に加熱することができる。また、均熱部材48において裏面側から入力された熱が徐々により狭い面積へと集中していく過程で、均熱部材48の裏面において入熱量の局所的なばらつきがある場合であっても、このばらつきが平均化される。この結果、基板7をより均一に加熱することができる。
また、図11に示した処理装置では、図1および図2に示した処理装置と同様に、均熱部材48を構成する材料として、ベース部材20よりも熱伝導率の大きな材料を用いているので、均熱部材48を構成する材料の熱伝導率がベース部材20を構成する材料の熱伝導率と同じである場合に比べて、均熱部材48からベース部材20へと伝わる熱量を少なくできる。したがって、均熱部材48に加えられた熱量のうち基板7の加熱に用いられない熱量を少なくすることができるので、基板7の加熱を効率的に行なうことができる。
図12は、図11に示した本発明による処理装置の実施の形態4の第1の変形例を示す部分断面模式図である。図12を参照して、本発明による処理装置の実施の形態4の第1の変形例を説明する。
図12に示した処理装置は、基本的には図11に示した処理装置と同様の構造を備えるが、均熱部材48とベース部材20との間に断熱層24が形成されている点が異なる。このようにすれば、図11に示した処理装置に得られる効果に加えて、断熱層24が形成されることによって均熱部材48からベース部材20へと伝えられる熱量を低減できる。この結果、均熱部材48の裏面側から入力された熱量に対する、基板7の加熱に用いられる熱量の割合を向上させることができる。この結果、基板7をより効率的に加熱することができる。
また、均熱部材48の外周部からベース部材20へと与えられる熱量を低減できるので、均熱部材48の基板7の裏面と平行な方向における断面内での熱の分布のばらつきをより低減することができる。この結果、基板7をより均一に加熱することができる。
図13は、本発明による処理装置の実施の形態4の第2の変形例を示す部分断面模式図である。図13を参照して、本発明による処理装置の実施の形態4の第2の変形例を説明する。
図13に示した処理装置は、基本的には図12に示した処理装置と同様の構造を備えるが、均熱部材48の厚みT2がベース部材20の厚みTよりも小さくなっている点が異なる。このようにすれば、均熱部材48の裏面から表面に向けてのトータルの熱抵抗を低減できる。この結果、基板7をより効率的に加熱することができる。
図14は、本発明による処理装置の実施の形態4の第3の変形例を示す部分断面模式図である。図14を参照して、本発明による処理装置の実施の形態4の第3の変形例を説明する。
図14に示した処理装置は、基本的には図12に示した処理装置と同様の構造を備えるが、均熱部材48の厚みT1がベース部材20の厚みTよりも厚くなっている点が図12に示した処理装置とは異なっている。このようにすれば、図12に示した処理装置によって得られる効果に加えて、ヒータ9から均熱部材48への入熱をより効果的に行なうことができる。すなわち、均熱部材48の厚みT1をベース部材20の厚みTと同じにした場合に比べて、均熱部材48のヒータ9と対向する面である裏面とヒータ9との間の距離を小さくすることができる。この結果、ヒータ9から均熱部材48の裏面までの間の熱抵抗を小さくすることができる。
なお、上述した実施の形態2〜4に示した処理装置を用いても、図3に示した気相成長方法を実施することができる。
上述した本発明の実施の形態と一部重複する部分もあるが、以下日本発明の特徴的な構成を列挙する。
この発明に従った気相成長装置としての処理装置1は、図1、図2、図4〜図6、図9、図10、図13、図14に示すように、処理対象物としての基板7を搭載する保持部材としてのサセプタ5を備える。サセプタ5は、保持部材本体としてのベース部材20と均熱部材18、28、38、48とを含む。ベース部材20には、主表面から当該主表面と反対側の裏面にまで到達する貫通孔としての開口部22が形成されている。均熱部材18、28、38、48は、ベース部材20に形成された開口部22に配置され、ベース部材20を構成する材料より熱伝導率の大きい材料からなる。開口部22の延在方向における均熱部材18、28、38、48の長さは、開口部22の延在方向における開口部22の長さと異なっている。
このようにすれば、ベース部材20の主表面側における均熱部材18、28、38、48の表面に基板7を配置し、裏面側に加熱部材としてのヒータ9を配置することにより、均熱部材18、28、38、48を介してヒータ9から発生する熱を基板7に確実に伝えることができる。また、均熱部材18、28、38、48を構成する材料よりベース部材20を構成する材料の方が熱伝導率は小さいので、ヒータ9から均熱部材18、28、38、48に伝えられた熱はベース部材20へ放散されるよりも、裏面側から主表面側へ均熱部材18、28、38、48内部をそのまま伝わりやすい。つまり、均熱部材18、28、38、48からベース部材20へ放散される熱量を低減できる。そのため、均熱部材18、2、38、48に伝えられた熱量に対する、基板7の昇温に利用される熱量の割合を高めることができる。
また、均熱部材18、28、38、48がベース部材20より熱伝導率の大きな材料により構成されるので、均熱部材18、28、38、48中ではベース部材20中よりも熱の拡散、均一化がより促進される。そのため、サセプタ5がベース部材20を構成する材料により一体として形成された場合より、基板7を均一に加熱することができる。
また、均熱部材18、28、38、48の長さが開口部22の延在方向における長さ(ベース部材20の厚みT)と異なっているため、均熱部材18、28、38、48の長さが開口部22の長さと同じ場合に比べて、均熱部材18、28、38、48の裏面とヒータ9との距離を変更することで均熱部材18、28、38、48とヒータ9との間の熱抵抗を変更できる。そのため、基板7の温度を均一化するために当該熱抵抗を調整することができる。
上記処理装置において、開口部22の延在方向における均熱部材18、38、48の長さは、図1、図2、図4、図10、図14に示すように、開口部22の延在方向における開口部22の長さより長くなっていてもよい。また、ベース部材20の主表面側では、均熱部材18、38、48の表面の位置がベース部材20の主表面の位置と一致している。この場合、ベース部材20の裏面側では、均熱部材18、38、48の表面をベース部材20の裏面より突出した状態にできる。そのため、ベース部材20の裏面側において、ヒータ9に均熱部材18、38、48の表面をより近づけることができる。このため、ヒータ9から均熱部材18、38、48までの熱抵抗を低減できる。その結果、ベース部材20の主表面側において均熱部材18、38、48の表面上に搭載される基板7を効率的に加熱することができる。
上記処理装置において、図5、図6、図9、図13に示すように、開口部22の延在方向における均熱部材28、38、48の長さは、開口部22の延在方向における開口部22の長さより短くなっていてもよい。また、ベース部材20の主表面側では、均熱部材28、38、48の表面の位置がベース部材20の主表面の位置と一致している。この場合、ベース部材20の裏面側に位置する均熱部材28、38、48の表面から、主表面側に位置する均熱部材28、38、48の表面までの熱伝達経路におけるトータルの熱抵抗を低減できる。なお、上記のような構成は、均熱部材28、38、48の材料の熱伝導率が十分大きく、均熱部材自体の熱の分布の均質化を短い距離で可能な場合に特に有効である。
上記処理装置において、図9、図10に示すように、均熱部材38は、開口部22の延在方向に対して垂直な方向における断面積がベース部材20の裏面側から主表面側に向けて徐々に大きくなるように形成されていてもよい。この場合、ベース部材20の裏面側に加熱部材としてのヒータ9を配置すると、当該ヒータ9の比較的狭い範囲と均熱部材38の表面とが対向することになる。そのため、ヒータ9の温度分布に偏りなどがあっても、当該ヒータ9の表面の比較的狭い範囲(局所的に見ると温度分布が比較的均一化している範囲)からの熱を均熱部材38に取り込むことができる。そのため、基板7を均一に加熱することができる。
上記処理装置において、図13、図14に示すように、均熱部材48は、開口部22の延在方向に対して垂直な方向における断面積がベース部材20の裏面側から主表面側に向けて徐々に小さくなるように形成されていてもよい。この場合、ベース部材20の裏面側に加熱部材としてのヒータ9を配置すると、当該ヒータ9の比較的広い範囲と均熱部材48の裏面とが対向することになる。そのため、ヒータ9の広い範囲から均熱部材48へ熱を伝えるとともに、均熱部材48中で熱分布をある程度平均化した上で基板7へ熱を伝えることができるため、基板7の加熱を均一かつ効率的に行なうことができる。
この発明に従った気相成長装置としての処理装置は、図7〜図14に示すように、処理対象物としての基板7を搭載する保持部材としてのサセプタ5を備える。サセプタ5は、保持部材本体としてのベース部材20と均熱部材38、48とを含む。ベース部材20には、主表面から当該主表面と反対側の裏面にまで到達する貫通孔としての開口部22が形成されている。均熱部材38、48は、ベース部材20に形成された開口部22に配置され、ベース部材20を構成する材料より熱伝導率の大きい材料からなる。均熱部材38、48は、開口部22の延在方向に対して垂直な方向における断面積がベース部材20の裏面側端部と主表面側端部とで異なる。具体的には、図7〜図10に示すように、均熱部材38は、開口部22の延在方向に対して垂直な方向における断面積がベース部材20の裏面側から主表面側に向けて徐々に大きくなるように形成されていてもよい。あるいは、図11〜図14に示すように、均熱部材48は、開口部22の延在方向に対して垂直な方向における断面積がベース部材20の裏面側から主表面側に向けて徐々に小さくなるように形成されていてもよい。
このようにすれば、ベース部材20の裏面側に加熱部材としてのヒータ9を配置したときに、当該ヒータ9と対向する均熱部材38、48の表面の面積を変更することになる。そのため、基板7の加熱条件に応じて、ヒータ9から均熱部材38、48へ伝えられる熱量を調整することができる。
上記処理装置では、図4、図6、図8〜図10、図12〜図14に示すように、均熱部材18、28、38、48とベース部材20との間に断熱層24が形成されていてもよい。この場合、断熱層24によって均熱部材18、28、38、48からベース部材20へ伝えられる熱量を低減できるので、均熱部材18、28、38、48のベース部材20と対向する外周部の温度が均熱部材18、28、38、48の中央部に比べて低下する程度を小さくできる。このため、均熱部材18、28、38、48における熱分布の均一性を向上させることができる。この結果、ベース部材20の主表面側における均熱部材の表面上に基板7を配置した場合に、基板7を均一に加熱することができる。
この発明に従った気相成長方法は、上記処理装置を用いる気相成長方法であって、図3に示すように、サセプタ5の主表面側に露出する均熱部材18、28、38、48の表面上に処理対象物としての基板7を搭載する工程(図3の基板準備工程(S100))と、基板7に対向する領域に反応ガスを供給することにより、基板7の表面上に膜を成長させる工程(図3の成膜工程(S200))とを備える。このようにすれば、基板7を均一に加熱した状態で成膜を行なうことができるので、形成される膜の膜質を向上させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。