JP5262301B2 - 溝型誘導加熱装置の急速冷却方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳鋼、鋳鉄、溶銑等の溶解又は温度維持に用いられる溝型誘導加熱装置の交換作業時における使用済み溝型誘導加熱装置の急速冷却方法に関する。
従来、鋳鋼、鋳鉄、溶銑等の溶解又は温度維持には、溝型誘導加熱装置を有する誘導炉(誘導加熱炉ともいう)が使用されている。
この誘導炉は、例えば、特許文献1に示すように、横倒しに配置された円筒型の誘導炉本体を備え、この誘導炉本体の片側に、2〜3基程度の溝型誘導加熱装置が取付けられている。即ち、誘導炉1基あたり4〜6基程度の溝型誘導加熱装置を持つことが多い。
この溝型誘導加熱装置の寿命は、一般に誘導炉本体よりも短いため、誘導炉の稼動中に、溝型誘導加熱装置の熱間交換作業が行われている。
溝型誘導加熱装置は、一般的に内径(内幅)が10〜25cm程度の湯道を有しており、この湯道を形成する耐火物として、マグネシア(MgO)、アルミナ(Al)、Al−MgO系スピネル等を主成分とするラミング材が広く用いられている。このラミング材は、高温に曝される稼動面近傍にて、必要な焼結強度を発現するものである。なお、この耐火物で構成される層を、一般に焼結層と称している。
この焼結層は、溝型誘導加熱装置の使用中に、加熱対象である溶融金属との摩擦による磨耗や、溶融金属に巻き込まれたスラグ成分等との化学反応による溶損等により損耗する。このため、溝型誘導加熱装置を交換する際に、使用済み溝型誘導加熱装置の焼結層を構成する耐火物の残存状況を正確に測定することが、誘導炉を安定に使用するために重要である。
この交換作業に際しては、誘導炉本体を傾動させることにより、一方の溝型誘導加熱装置を誘導炉本体内の溶融金属の湯面よりも上に配置して、湯道内の溶融金属を排出した後、他方の溝型誘導加熱装置の加熱機能を用いて、誘導炉本体内の溶融金属の温度を維持している。
なお、製鉄用の誘導炉においては、溝型誘導加熱装置の出力が1基あたり数メガワットと大きいため、溝型誘導加熱装置に設けられたケース、コイル、コア、及びブッシングの保護のため、この溝型誘導加熱装置が、これらに冷却水を循環させる水冷構造となっている。このため、誘導炉本体から取外された使用済みの溝型誘導加熱装置の冷却については、その耐火物が充分冷める(搬出可能になる)まで、例えば、概ね50℃を下回るまで水冷を継続していた。ここで、耐火物が充分冷める前に冷却水を停止すると、水冷中は比較的低温を維持しているケース及びブッシング近傍の耐火物に、湯道近傍の耐火物の残存熱が伝わり、この耐火物が熱膨張してケース又はブッシングが曲損し、遂にはコイル破損に至る場合がある。
なお、この水冷には、溝型誘導加熱装置を誘導炉本体から取外した後、概ね24時間程度を要していた。
従って、使用済みの溝型誘導加熱装置の耐火物を急速冷却することが可能であるならば、溝型誘導加熱装置の熱間交換の作業期間を短縮することが可能となる。
この急速冷却方法としては、例えば、溝型誘導加熱装置の耐火物を散水又は注水により冷却する方法があるが、この方法では、水分によって変質するマグネシア等の材料で構成されている耐火物を破損させ、耐火物の残存状況を正確に測定することが困難となるという問題があった。
そこで、ドライアイスを用いて耐火物の強制冷却を行なう技術が、特許文献2及び特許文献3に開示されていた。
この特許文献2には、精錬炉や溶融金属保持容器の耐火物及び耐火物表面の付着物に、ブラストマシン等を用いてドライアイスを吹付ける技術が開示されている。
また、特許文献3には、炉止め後の転炉炉底を取外してから、ウェア煉瓦を解体することにより、煙突効果を利用して冷却を行ない、更にその後、ドライアイスを炉底に投入してから、炉内に5〜20℃の冷風を送ることにより、炉内に残存するパーマネント煉瓦を冷却する技術が提案されている。
特開2004−218039号公報 特開2001−108377号公報 特開2007−64578号公報
しかしながら、特許文献2の技術では、ブラストマシン等の特殊な装置が必要となり、相応の設備投資が必要であるため経済的でない。
また、溝型誘導加熱装置の湯道は、転炉や溶鋼鍋等のように、直径が数mを超える大型の溶融金属保持容器とは異なり、その内径が10〜25cm程度の流路で構成されるのが普通であるため、ブラストノズルの運用が非常に困難である。更に、溝型誘導加熱装置の湯道は、途中で90度曲がっている箇所が存在するため、吹付けられたドライアイスの衝撃による耐火物の損耗が発生し、使用後の耐火物の残存状況調査の妨げになる懸念がある。
また、特許文献3の技術は、冷却対象の炉底にドライアイスを投入して冷風を吹き込むことにより、冷気を炉内上部にまで循環させ、炉底から炉内上部まで満遍なく効率的に冷却する技術であるが、溝型誘導加熱装置の湯道の内径は狭く、湯道内が概ね満たされるようにドライアイスを充填することは容易であるため、湯道へのドライアイスの充填に際しては、ドライアイスの投入と大量の冷風の吹き込み(300〜400Nm/時間)を併用することは無意味である。なお、湯道内に大量の冷風を吹き込む場合、その方法として、湯道内に湯道の内径よりも十分に細い吹込みパイプを挿入する方法があるが、このパイプにより吹き込まれた冷風に含まれる水分が、湯道内に充填されたドライアイス粒子間を架橋するように凍結するため、ドライアイスが棚掛け状態となってドライアイスの追加充填の妨げとなり、冷却効率が低下してしまうという問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、特別な装置を使用することなく、しかも使用済みの耐火物に損傷を与えることなく、短時間で効率的に急速冷却できる溝型誘導加熱装置の急速冷却方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る溝型誘導加熱装置の急速冷却方法は、湯道の最大内幅が6cm以上30cm以下である使用済みの溝型誘導加熱装置の急速冷却方法であって、
前記湯道内に、最大長さが3mm以上30mm以下のものを95質量%超と不可避的に混入する粉末を含んだドライアイスを充填して、該ドライアイスが充填された前記湯道内に0又は0を超え1.2Nm/時間以下の流量で空気を吹き込む。
本発明に係る溝型誘導加熱装置の急速冷却方法において、前記湯道内に前記ドライアイスを充填した後、前記ドライアイスを前記湯道内に複数回追加充填し、しかも追加充填の間隔を40分以内とすることが好ましい。
本発明に係る溝型誘導加熱装置の急速冷却方法において、前記追加充填の間隔は20分以上であることが好ましい。
請求項1〜3記載の溝型誘導加熱装置の急速冷却方法は、湯道内に充填するドライアイスとして、最大長さが3mm以上30mm以下のものを95質量%超含むドライアイスを使用し、更にこの湯道内に0又は0を超え1.2Nm/時間以下の流量で空気を吹き込むので、ドライアイスが湯道内に満遍なく充填され、溝型誘導加熱装置の耐火物を全域に渡って短時間で効率的に急速冷却(例えば、8時間以内に50℃以下まで冷却)できる。
また、このようにドライアイスを使用することで、湯道を形成する耐火物への散水が不要となるため、耐火物の損傷を抑えることができ、使用後の耐火物の残存状況調査を適切に実施できる。
特に、請求項2、3記載の溝型誘導加熱装置の急速冷却方法は、湯道内にドライアイスを充填した後、40分以内の間隔でドライアイスを湯道内に繰り返し追加充填するので、溝型誘導加熱装置を目標とする時間内で、作業性よく安定に冷却できる。通常は、湯道内に充填されたドライアイスが昇華により消費されていくごとに、この湯道内に更にドライアイスを追加充填することが、溝型誘導加熱装置の冷却効率維持の観点から望ましい。しかし、この場合、ドライアイスの充填作業を頻繁に行う必要があって作業性が悪く、しかもドライアイスの使用量の増加に比例して冷却効率を高めることができず不経済である。一方、所定の間隔でドライアイスの追加充填を行うことで、例えば、湯道内のドライアイスが昇華したか否かを頻繁に確認することなく、しかも目標とする時間内での冷却を達成できる。
請求項3記載の溝型誘導加熱装置の急速冷却方法は、ドライアイスの追加充填の間隔を20分以上とするので、溝型誘導加熱装置の冷却を、作業性よく経済的に実施できる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る溝型誘導加熱装置の急速冷却方法を使用する溝型誘導加熱装置の正断面図、図2(A)〜(C)はそれぞれ同溝型誘導加熱装置が設けられた誘導炉の正面図、平面図、側面図、図3は溝型誘導加熱装置の湯道内に充填するドライアイスの大きさと湯道の内幅が溝型誘導加熱装置の耐火物の冷却時間に及ぼす影響を示す説明図、図4は溝型誘導加熱装置の湯道内への冷風の吹き込み流量が溝型誘導加熱装置の耐火物の冷却時間に及ぼす影響を示す説明図、図5は溝型誘導加熱装置の湯道内へのドライアイスの充填間隔が溝型誘導加熱装置の耐火物の冷却時間に及ぼす影響を示す説明図である。
図1、図2(A)〜(C)に示すように、本発明の一実施の形態に係る溝型誘導加熱装置の急速冷却方法は、湯道10の最大内幅が6cm以上30cm以下である使用済みの溝型誘導加熱装置11の急速冷却方法であり、湯道10内にドライアイスを充填して、湯道10を形成する耐火物を、従来よりも短時間に冷却する方法である。
まず、本発明の一実施の形態に係る溝型誘導加熱装置の急速冷却方法を使用する溝型誘導加熱装置11と、この溝型誘導加熱装置11が設けられた誘導炉12について説明した後、本発明の一実施の形態に係る溝型誘導加熱装置の急速冷却方法について説明する。
図2(A)〜(C)に示すように、誘導炉12は、溶銑を貯留可能な横倒しに配置された円筒型の誘導炉本体13を有する装置である。
この誘導炉本体13の上部には、受銑口14と、複数(ここでは、3箇所)のスクラップ投入口15が設けられている。また、誘導炉本体13の下部には、複数(ここでは、下部片側に3基、合計6基)の溝型誘導加熱装置11が取付けられている。そして、誘導炉本体13の側部には、出銑口16が設けられている。
このように構成することで、誘導炉本体13へ溶銑を供給する際には、受銑口14を開き、ここから炉内へ溶銑(溶融金属)を注ぎ込む。
また、誘導炉本体13へスクラップや型銑等を投入する際には、複数のスクラップ投入口15のうちの1つを開き、ここから炉内へスクラップや型銑等を投入する。なお、投入されたスクラップや型銑等を溶解する熱源は、従来公知の溝型誘導加熱装置11である。
そして、誘導炉本体13内に保持された溶銑を出銑する際には、誘導炉本体13を傾動させることにより、出銑口16から炉内の溶銑を排出する。
図1に示すように、溝型誘導加熱装置11は、その上端部に取付け用フランジ17を有しており、この取付けフランジ17を介して、誘導炉本体13に取付けられている。
溝型誘導加熱装置11の外形は、水冷式ケース18によって形作られている。この水冷式ケース18の両側壁には、その幅方向に間隔を有して2つの貫通孔が形成され、この各部分に、貫通孔19が形成された筒状の水冷式ブッシング20が取付けられている。この水冷式ケース18と水冷式ブッシング20が、水冷式ケース18内の耐火物21を保持している。
この耐火物21には、水冷式ブッシング20を囲むように、溶銑が流れる湯道10が形成されている。
湯道10は、誘導炉本体13内と連通しており、誘導炉本体13内の溶銑が、溝型誘導加熱装置11の湯道10の中央部P1から流れ込んだ後、貫通孔19内に挿入されるコイルに印加される電力によって加熱されながら、湯道10の両側部P2、P3から誘導炉本体13内へ返流される。なお、ここでは、図1を簡略化するため、貫通孔19内に挿入されるコイル及びコアは、図示していない。
この湯道10は、その中央部P1の平断面視した最大内幅D1、及び両側部P2、P3の平断面視した最大内幅D2、D3が、それぞれ6cm以上30cm以下(ここでは、内径が10〜25cm程度)のものである。
続いて、本発明の一実施の形態に係る溝型誘導加熱装置の急速冷却方法について説明する。
稼動中の誘導炉12の溝型誘導加熱装置11を熱間交換するに際しては、まず、誘導炉本体13を傾動させることにより、交換対象である使用済みの溝型誘導加熱装置11を、誘導炉本体13内の溶融金属の湯面より上方に持ち上げ、湯道10内の溶銑を誘導炉本体13内へ排出する。この時点から、溝型誘導加熱装置11の実質的な冷却が開始される。
そして、この溝型誘導加熱装置11を、その水冷の機能を維持した状態で誘導炉本体13から取外し、誘導炉本体13近傍に設けた冷却場所へ降ろして、図1に示すように、誘導炉本体13への取付け面が上方を向くように置く。このとき、耐火物21の温度は、例えば、200〜500℃程度である。これは、片側3基の溝型誘導加熱装置11のうち、最初に取り外す溝型誘導加熱装置が400〜500℃であり、最後に取り外す溝型誘導加熱装置が200〜300℃程度であることによる。
次に、溝型誘導加熱装置11の誘導炉本体13への取付け面側から湯道10内へ、この湯道10内を概ね満たすようにドライアイスを充填する。なお、ドライアイスは、湯道10の全ての開口部から充填することが好ましいが、湯道10は連続しているため、その一部から充填してもよい。また、湯道10内へのドライアイスの充填に際しては、必要に応じて、ドライアイスを湯道10内に棒等で突き込んでもよい。
これにより、水冷式ケース18及び水冷式ブッシング20の冷却水による抜熱に加え、湯道10内面からの急速な抜熱ができ、耐火物21を目標とする時間内に所定の温度まで冷却できる。
ここで、目標とする時間は、本実施の形態では8時間以内としている。前記したように、溝型誘導加熱装置11の耐火物21の冷却に、従来は24時間程度を要していたが、8時間以内に短縮することで、耐火物21の冷却作業を含む溝型誘導加熱装置11の熱間交換工程を大幅に短縮できる。なお、8時間未満に設定しても、溝型誘導加熱装置11の熱間交換工程の他の作業が律速段階になってしまうため、8時間を上限としている。
また、所定の温度は、本実施の形態では50℃以下としている。これは、耐火物21の温度を十分に低下させることができ、溝型誘導加熱装置11の搬出可能な温度を考慮して設定した温度である。
上記した条件を達成するため、最大長さが3mm以上30mm以下の範囲内のペレット状のドライアイスを主体とし、不可避的に混入する粉末を含んだドライアイスを使用する。これは、溝型誘導加熱装置の湯道が、最大内幅が6cm以上30cm以下のものであり、特に10cm以上25cm以下程度のものが常用されるため、湯道内に塊状のドライアイスを充填することが困難なことによる。
なお、湯道内に装入するドライアイスは、例えば、粉状のドライアイスを型枠に押し込み、連続的に成形される円柱状のドライアイスを前記した長さに切断したものを使用できる。このため、使用するドライアイスには、不可避的に粉末が含まれる。なお、この粉末の量は、例えば、使用するドライアイスの全量の5質量%以下(ペレット状のドライアイスは、95質量%超)程度である。
また、ドライアイスとしては、塊状のドライアイスを粉砕処理することによって得られる破片状のドライアイスを使用することも効果的である。
上記したペレット状又は破片状のドライアイスであれば、湯道内に投入可能であり、更にその湯道が途中で90°折れ曲がっている場合でも、必要に応じて棒等で突き込ことにより、屈曲点の奥まで転がり込んで行くという利点がある。
なお、粉末状のドライアイスも湯道には投入可能であり、比表面積が大きいために冷却能力が大きいという利点があるが、湯道に対しては棚掛けし易いため、充填作業がしずらく、また屈曲点の奥への充填率も悪くなるという欠点がある。
ここで、溝型誘導加熱装置の湯道内に充填するドライアイスのサイズ(大きさ)が、溝型誘導加熱装置の耐火物の冷却時間に及ぼす影響について試験を行った結果を、図3に示す。なお、この試験は、湯道の内径を変化(●:6cm、○:15cm、▲:20cm、及び△:30cm)させて調査している。これは、溝型誘導加熱装置の使用により、例えば、湯道の内面に付着物が付着したり、また湯道を構成する耐火物が溶損したりして、湯道の内径が変化することによる。
この溝型誘導加熱装置の耐火物の温度測定は、誘導炉本体から取外した使用済みの溝型誘導加熱装置の耐火物内に熱電対を設置して測定している。なお、冷却開始前の温度が270〜330℃の耐火物の湯道内に冷気を吹き込むことなく(0Nm/時間)、ドライアイスを10分間隔で繰り返し追加投入している。
図3に示すように、ドライアイスのサイズが30mmを超える場合、耐火物の冷却時間が急激に長くなる傾向がある。これは、ドライアイスの比表面積が低下することと、湯道内へのドライアイスの充填率が悪くなることによる影響と考えられる。
一方、パウダー状(3mm未満)のドライアイスを用いる場合も、耐火物の冷却時間が長くなる傾向がある。これは、パウダー状のドライアイスが、比表面積が大きいために冷却効率に優れている反面、空気中の水分による棚掛けが発生し易く、また湯道のように、凹凸が多く細長いものに充填する場合、充填作業がしずらく、また屈曲点の奥への充填率も悪くするためと考えられる。
以上のことから、最大内幅が6cm以上30cm以下の湯道10が形成された耐火物21を、8時間内に50℃以下まで冷却するには、最大長さが3mm以上30mm以下(好ましくは、上限が20mm)のものを主体とするドライアイスを使用する。
なお、ドライアイスが充填された湯道内に、更に0又は0を超え1.2Nm/時間以下の流量で空気を吹き込む。
ドライアイスを投入した湯道内に空気を吹き込むための実質的な方法としては、湯道の内幅よりも細いパイプを湯道内へ差し込み、例えば、スポットクーラーにて発生させた冷気を吹き込む方法が考えられる。ただし、空気の飽和水蒸気量は、20℃の場合17.2g/m、10℃の場合9.3g/m、5℃の場合6.8g/mであり、この水蒸気が湯道内に充填されたドライアイスの粒子間を架橋するように凍結するため、ドライアイスが棚掛け状態となって、その後に引き続き行うドライアイスの追加充填の妨げとなる。
このため、湯道内に1.2Nm/時間を超える冷気を吹き込むと、冷却効率が低下してしまい、冷却時間を8時間にまで短縮することが不可能であるという問題がある。
また、湯道には、ペレット状のドライアイスが詰め込まれている状態であるため、湯道内に冷気を吹き込むことで、湯道内の空気を撹拌しても、耐火物の冷却時間を短縮する効果がないものと考えられる。
更に、ドライアイスは−79℃の極低温にて昇華するが、スポットクーラーによって吹き込まれる冷気は、+5℃から+10℃程度の範囲内の温度であり、ドライアイスの冷却能力を浪費させる欠点もある。
ここで、溝型誘導加熱装置の湯道内への冷風の吹き込み流量が、溝型誘導加熱装置の耐火物の冷却時間へ及ぼす影響について試験を行った結果を、図4に示す。この試験は、冷却開始前の温度が270〜330℃の耐火物に形成された内径が20cmの湯道内に、最大長さが16mmのドライアイスを充填した後、ドライアイスを10分間隔で繰り返し追加投入している。なお、冷気は、市販のスポットクーラーを用いて発生させた。また、溝型誘導加熱装置の耐火物の温度測定は、前記したように、誘導炉本体から取外した使用済みの溝型誘導加熱装置の耐火物内に熱電対を設置して測定している。
図4から明らかなように、ドライアイスが充填された湯道内へ冷風を吹き込んでも、冷却時間の改善効果はなく、かえって冷却時間が長くなる傾向があった。
特に、冷風の吹き込み流量が1.2Nm/時間を超える場合、目標である8時間以内に、耐火物の冷却ができなかった。これは、前記したように、空気中の水蒸気量、冷風の吹き込みによる撹拌、及び冷風の温度が、耐火物の急速冷却に好影響を及ぼさないことによるものと考えられる。
以上のことから、湯道が形成された耐火物21を、8時間内に50℃以下まで冷却するには、ドライアイスが充填された湯道10内へ、0を超え1.2Nm/時間以下の流量で空気を吹き込めばよいが、上限を1.0Nm/時間、更には0.5Nm/時間とすることが好ましい。
しかし、図4や前記した検討内容からも明らかなように、ドライアイスが充填された湯道内へ、冷風を吹き込まない(流量:0Nm/時間)のが最もよい。これにより、空気中の水蒸気量に起因するドライアイスの追加充填が妨げられることなく、ドライアイスによる冷却能力も維持でき、更に、冷風の吹き込み装置などの設備を別途使用する必要がなく経済的である。
以上に示した方法で、耐火物を冷却するに際しては、湯道内を概ね満たしたドライアイスが、耐火物21の残存熱量を奪いつつ昇華するため、このドライアイスをその都度追加充填することが必要である。特に、湯道10内にドライアイスを充填した後、40分以内の間隔で、ドライアイスを湯道10内に繰り返し追加充填することが好ましい。
ドライアイスの充填による耐火物21の冷却開始の当初は、昇華によるドライアイスの消費が早く、5〜15分程度で、湯道内に充填されたドライアイスの概ね1/4〜1/3程度が消費される。そのため、その都度ドライアイスを追加充填する必要があるが、ドライアイスの追加充填作業だけに専任作業員を担当させるのは非効率的である。
そこで、溝型誘導加熱装置の湯道内へのドライアイスの充填間隔が、溝型誘導加熱装置の耐火物の冷却時間に及ぼす影響について試験を行った結果を、図5に示す。この試験は、冷却開始前の温度が270〜330℃の耐火物に形成された内径が20cmの湯道内に、最大長さが16mmのドライアイスを充填した後、湯道内に冷気を吹き込むことなく(0Nm/時間)、ドライアイスの追加充填の間隔を変えて、繰り返し追加投入している。なお、溝型誘導加熱装置の耐火物の温度測定は、前記したように、誘導炉本体から取外した使用済みの溝型誘導加熱装置の耐火物内に熱電対を設置して測定している。
図5から明らかなように、ドライアイスの追加充填間隔が短いほど、耐火物の冷却時間を短くできる傾向がある。特に、ドライアイスの追加投入間隔を40分以内とした場合には、冷却時間の目標である8時間以内での冷却が可能であることが分かった。
従って、湯道10内にドライアイスを充填した後、40分以内(好ましくは、30分以内)の間隔で複数回、ドライアイスを湯道10内に追加充填することが好ましい。
また、ドライアイスの充填作業の作業性や、使用するドライアイスの経済性を考慮すれば、ドライアイスを追加充填する間隔を20分以上とすることが好ましい。
なお、ドライアイスの充填間隔は、前記した範囲内であれば、同一間隔で行ってもよく、また異なる間隔で行ってもよい。
以上に示したように、本発明の溝型誘導加熱装置の急速冷却方法を使用することで、従来のように、ブラストマシンなどの設備を別途使用することなく、しかも使用済みの耐火物に損傷を与えることなく、短時間で効率的に急速冷却できる。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の溝型誘導加熱装置の急速冷却方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、溝型誘導加熱装置の急速冷却方法を、誘導炉に設けられた溝型誘導加熱装置の急速冷却に適用した場合について説明した。しかし、溝型誘導加熱装置の急速冷却を行うのであれば、これに限定されるものではなく、他の溝型誘導加熱装置、例えば、薄板の溶融亜鉛めっきポットに設けられた溝型誘導加熱装置の急速冷却に適用することもできる。
本発明の一実施の形態に係る溝型誘導加熱装置の急速冷却方法を使用する溝型誘導加熱装置の正断面図である。 (A)〜(C)はそれぞれ同溝型誘導加熱装置が設けられた誘導炉の正面図、平面図、側面図である。 溝型誘導加熱装置の湯道内に充填するドライアイスの大きさと湯道の内幅が溝型誘導加熱装置の耐火物の冷却時間に及ぼす影響を示す説明図である。 溝型誘導加熱装置の湯道内への冷風の吹き込み流量が溝型誘導加熱装置の耐火物の冷却時間に及ぼす影響を示す説明図である。 溝型誘導加熱装置の湯道内へのドライアイスの充填間隔が溝型誘導加熱装置の耐火物の冷却時間に及ぼす影響を示す説明図である。
符号の説明
10:湯道、11:溝型誘導加熱装置、12:誘導炉、13:誘導炉本体、14:受銑口、15:スクラップ投入口、16:出銑口、17:取付け用フランジ、18:水冷式ケース、19:貫通孔、20:水冷式ブッシング、21:耐火物

Claims (3)

  1. 湯道の最大内幅が6cm以上30cm以下である使用済みの溝型誘導加熱装置の急速冷却方法であって、
    前記湯道内に、最大長さが3mm以上30mm以下のものを95質量%超と不可避的に混入する粉末を含んだドライアイスを充填して、該ドライアイスが充填された前記湯道内に0又は0を超え1.2Nm/時間以下の流量で空気を吹き込むことを特徴とする溝型誘導加熱装置の急速冷却方法。
  2. 請求項1記載の溝型誘導加熱装置の急速冷却方法において、前記湯道内に前記ドライアイスを充填した後、前記ドライアイスを前記湯道内に複数回追加充填し、しかも追加充填の間隔を40分以内とすることを特徴とする溝型誘導加熱装置の急速冷却方法。
  3. 請求項2記載の溝型誘導加熱装置の急速冷却方法において、前記追加充填の間隔は20分以上であることを特徴とする溝型誘導加熱装置の急速冷却方法。
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