JP5258832B2 - 拠点分析システム - Google Patents

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Description

本発明は、店舗、病院、工場等の拠点を分析するシステムに係り、特に、複数の拠点について各々分析してポートフォリオを生成し、ポートフォリオの事象毎にレポートを作成する拠点分析システムに関する。
[従来の技術]
従来の商圏分析システム等において、店舗等の拠点における売上や利益を分析するものがあった。
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献として、特開2003−167880号公報「統計情報集計装置」(花王株式会社)[特許文献1]、特開2003−345962号公報「店舗情報の収集提供装置、店舗情報の収集提供方法とそれを記述したプログラム」(エヌイーシーシステムテクノロジー株式会社)[特許文献2]がある。
特許文献1には、地図上の店舗を指定して店舗の売上額等のデータを地図情報と共に表示する装置であり、POSシステムが持つデータを取得して表示用ファイルを作成し、当該表示用ファイルで表示したいデータを指定すると、地図上に表示して分析作業を支援することが記載されている。
また、特許文献2には、店舗について立地評価し、解析結果を提供する装置であり、店舗位置情報を情報提供者から受信し、ユーザに店舗情報を送信すると共にユーザから応答情報を受信し、情報入手希望者に店舗位置に対応するユーザの評価を送信し、ユーザからの応答情報に基づきユーザの反応行動を数値化して集計し、店舗位置に対するユーザの評価を算出することが記載されている。
特開2003−167880号公報 特開2003−345962号公報
しかしながら、上記従来の分析システムでは、個別の店舗等の分析を行うものではあるが、複数の店舗等について特性をグループ化し、拠点の状況を容易に把握可能とするレポートを生成する機能を備えていないという問題点があった。
本発明は上記実状に鑑みて為されたものであり、複数の拠点についてポートフォリオを生成し、ポートフォリオの事象毎に拠点の状況を把握可能とするレポートを作成できる拠点分析システムを提供することを目的とする。
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、拠点分析システムにおいて、処理プログラムを読み込んで処理を実行する制御部と、表示画面を有する表示装置と、処理プログラムを記憶する記憶部と、当該記憶部に地図情報を記憶する地図情報記憶部と、統計情報を記憶する統計情報記憶部と、拠点の位置情報と拠点に関連する実績値を含む拠点属性情報を記憶する拠点属性情報記憶部とを備え、制御部が処理プログラムを記憶部から読み込んで実現される処理手段として、地図情報記憶部から地図情報を読み込み、当該地図情報に対応する統計情報を統計情報記憶部から読み込み、拠点属性情報記憶部における拠点属性情報の拠点の位置情報から地図情報に対応する複数の拠点を特定し、複数の拠点に対する拠点属性情報について条件により複数の拠点を絞り込んで分析対象拠点を抽出し、当該分析対象拠点について重回帰分析処理を行って重回帰分析の計算式を分析モデルとして生成し、当該分析モデルによって各分析対象拠点の予測値を算出するモデル作成手段と、拠点属性情報記憶部の拠点属性情報に含まれる拠点に関連する実績値と予測値を用い、分析モデルについて、表示画面に縦軸を実績値とし、横軸を予測値とし、縦線と横線で区分けされた4つの事象に複数の分析対象拠点を表示してポートフォリオを生成する既存拠点分析手段とを有することを特徴とする。
本発明は、上記拠点分析システムにおいて、分析モデル別にポートフォリオの事象毎にアクションプランの情報を記憶するアクションプラン記憶部を備え、既存拠点分析手段が、モデル作成手段で作成された分析モデルについて、アクションプラン記憶部から事象毎にアクションプランを読み込み、レポートを作成することを特徴とする。
本発明は、上記拠点分析システムにおいて、既存拠点分析手段が、新規モデルについてアクションプラン記憶部にアクションプランが記憶されていない場合には、アクションプラン記憶部から近似する分析モデルを検索し、検索された分析モデルのアクションプランを読み込むことを特徴とする。
本発明は、上記拠点分析システムにおいて、既存拠点分析手段が、事象毎に拠点をランキングすることを特徴とする。
本発明は、上記拠点分析システムにおいて、既存拠点分析手段が、4つの事象を区分けする縦線と横線をシフトさせ、事象毎の拠点数を調整するポートフォリオ調整手段を備えることを特徴とする。
本発明は、上記拠点分析システムにおいて、モデル作成手段が、重回帰分析処理の前に、投入変数の単位と正規化の種類を特定する正規化処理と、多重共線性が高い変数を選別して除外する多重共線性チェック処理とを行うことを特徴とする。
本発明は、上記拠点分析システムにおいて、モデル作成手段が、多重共線性チェック処理と重回帰分析処理との間に、変数を集約する主成分分析処理又は/及びデータのグループ化を行うクラスター分析処理を行うことを特徴とする。
本発明は、上記拠点分析システムにおいて、多重共線性チェック処理では、拠点間の変数の相関演算を行い、相関係数又は相関係数の絶対値の合計が高いものを除外する処理を行うことを特徴とする。
本発明は、上記拠点分析システムにおいて、モデル作成手段で作成された分析モデルを利用し、不動産情報から拠点に関する拠点属性情報を擬似的に設定し、更に分析モデルで使用する統計情報又は/及び他の拠点の拠点属性情報を集計することで、拠点を新設した場合の予測値を算出し、当該拠点に関するレポートを生成する新規拠点分析手段を有することを特徴とする。
本発明は、上記拠点分析システムにおいて、拠点属性情報には、拠点の位置情報に加えて、複数の顧客の住所情報が含まれており、モデル作成手段が、拠点の位置情報と複数の顧客の住所情報から拠点と複数の顧客との間の距離又は当該距離の所要時間を求め、距離を平均化した平均距離又は所要時間を平均化した平均時間に基づき実商圏を求め、地図情報記憶部から読み込んで表示画面に表示した地図情報上に当該実商圏を表示することを特徴とする。
本発明は、上記拠点分析システムにおいて、拠点属性情報には、拠点の位置情報に加えて、複数の顧客の住所情報が含まれており、モデル作成手段が、拠点の位置情報と複数の顧客の住所情報から拠点と複数の顧客との間の距離又は当該距離の所要時間を求め、距離又は所要時間についての最頻値、最大値、最小値、分散、4分位値、若しくは、外れ値の指標に基づき実商圏を求め、地図情報記憶部から読み込んで表示画面に表示した地図情報上に当該実商圏を表示することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか記載の拠点分析システム。
本発明は、上記拠点分析システムにおいて、モデル作成手段が、地図情報の表示とは別に、拠点と複数の顧客との間の距離又は当該距離の所要時間について、ヒストグラム又は箱ひげ図を表示画面に表示可能とすることを特徴とする。
本発明は、上記拠点分析システムにおいて、拠点が店舗の場合、拠点属性情報には、店舗の位置情報、売上、利益の実績値、従業員数、競合店数が含まれることを特徴とする。
本発明によれば、モデル作成手段が、地図情報記憶部から地図情報を読み込み、当該地図情報に対応する統計情報を統計情報記憶部から読み込み、拠点属性情報記憶部における拠点属性情報の拠点の位置情報から地図情報に対応する複数の拠点を特定し、複数の拠点に対する拠点属性情報について条件により複数の拠点を絞り込んで分析対象拠点を抽出し、当該分析対象拠点について重回帰分析処理を行って重回帰分析の計算式を分析モデルとして生成し、当該分析モデルによって各分析対象拠点の予測値を算出し、既存拠点分析手段が、拠点属性情報記憶部の拠点属性情報に含まれる拠点に関連する実績値と予測値を用い、分析モデルについて、表示画面に縦軸を実績値とし、横軸を予測値とし、縦線と横線で区分けされた4つの事象に複数の分析対象拠点を表示してポートフォリオを生成する拠点分析システムとしているので、複数の拠点から分析対象拠点を抽出し、抽出した分析対象拠点についてポートフォリオを生成し、ポートフォリオの事象毎に分析対象拠点の状況を把握可能とするレポートを作成できる効果がある。
本発明の実施の形態に係る拠点分析システムの構成図である。 処理手段及び記憶部の構成図である。 分析モデルを生成するための概略図である。 モデル作成処理のフローチャートである。 既存拠点分析処理のフローチャートである。 ポートフォリオの概略を示す表示画面の例である。 実商圏ロジックを説明する図である。 拠点の地図表示例を示す図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る拠点分析システムは、モデル作成手段が、地図情報、統計情報、拠点属性情報に基づき複数の拠点を分析対象拠点として抽出し、当該抽出した分析対象拠点に対して各々重回帰分析処理を行って重回帰分析の計算式を分析モデルとして作成し、既存拠点分析手段が、当該分析モデルに対するポートフォリオを作成し、ポートフォリオの事象別に拠点をランキングしてアクションプランを作成するようにしているので、ポートフォリオの事象毎に既存拠点の状況を把握でき、適切なアクションプランをレポートできるものである。
[本システムの全体構成:図1]
本発明の実施の形態に係る拠点分析システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る拠点分析システムの構成図である。
本発明の実施の形態に係る拠点分析システム(本システム)は、図1に示すように、コンピュータで構成されており、制御部1と、記憶部2と、インタフェース部3とを備え、インタフェース部3を介してネットワークと周辺機器である表示装置4、印刷装置5、入力装置6が接続されている。
図1の構成は、単体のコンピュータを想定しているが、処理を実行するコンピュータであるサーバと、当該サーバにネットワークを介して接続するコンピュータであるクライアント(端末)とを備え、クライアントの入力部からの指示によりサーバにアクセスし、サーバでの処理結果をクライアントの表示部に表示させるようにしてもよい。
また、ネットワークとしてインターネットを利用し、サーバをWebサーバとする構成であってもよい。
[本システムの各部:図2]
本システムの各部について図1及び図2を参照しながら説明する。図2は、処理手段及び記憶部の構成図である。
[記憶部2]
記憶部2は、地図情報記憶部2aと、統計情報記憶部2bと、拠点属性情報記憶部2cと、アクション情報記憶部2dを備えている。また、記憶部2には、処理プログラムも記憶されている。
地図情報記憶部2aは、地図情報(地図データ)を記憶する。
統計情報記憶部2bは、各種統計情報(統計データ)を記憶する。
拠点属性情報記憶部2cは、拠点の属性(住所等の位置情報等の地域情報、拠点に関連する実績のデータ)に関する情報を記憶するものであり、拠点が店舗であれば店舗の属性情報やPOS(Point Of Sale)情報(売上、利益等の実績値を含む)、病院であれば医療設備や患者情報、工場であれば工場設備情報等を記憶するものである。
アクション情報記憶部2dは、分析モデル別にポートフォリオの事象毎にアクション情報(対応情報)を記憶しており、レポート作成に利用される。
尚、アクション情報記憶部2dは、学習型ナレッジDBとなっている。学習型ナレッジDBとは、業種毎にユーザが作成したレポートを蓄積しておき、ユーザが新たな分析モデルについてレポートを作成する際に、対応のアクションプランが記憶されていない場合は、業種毎に近似する分析モデルを検索し、当該分析モデルのレポートをサンプルとして参照可能とするものである。
[表示装置4、印刷装置5、入力装置6]
表示装置4は、後述する分析モデルの作成、拠点の分析等を行うための画面が表示され、更に分析モデル、分析結果、レポートが表示され、印刷装置5で印刷も可能である。
また、入力装置6は、分析モデルの作成、拠点の分析等の指示を入力する。
[制御部1]
制御部1は、記憶部2に記憶されている処理プログラムを読み込み、分析モデル作成手段11と、既存拠点分析手段12と、新規拠点分析手段13とを実現している。
以下、各処理手段について説明する。
[モデル作成手段11]
モデル作成手段11は、地図情報記憶部2aの地図情報、統計情報記憶部2bの統計情報、拠点属性情報記憶部2cの拠点属性情報(店舗であれば、店舗の地域特性の情報、売上・利益情報(実績値)等)を用いて分析モデルを作成する。
具体的には、モデル作成手段11は、ユーザにより指定された地域の地図情報とユーザ指定の統計情報、更に拠点属性情報の地域情報における位置情報を用いて特定エリアにおける複数の拠点を特定し、拠点属性情報について条件で拠点を絞り込んで分析対象拠点を抽出し、抽出した各拠点について重回帰分析処理を行って重回帰分析の計算式を分析モデルとして作成し、当該分析モデルから各拠点のポテンシャル(拠点が店舗であれば売上予測値)を算出し、拠点属性情報について各拠点の総当たりの相関を取り、近似するものを除外して最終的な分析対象拠点とするものである。
つまり、モデル作成手段11は、拠点属性情報から複数の要素を抽出して絞り込みと分析を行う。具体的には、正規化処理、多重共線性チェック処理、重回帰分析処理を行うものである。尚、多重共線性チェック処理の後に主成分分析処理、クラスター分析処理を行ってもよい。
[正規化処理]
正規化処理は、投入変数の前準備として、正規化の方法を自動判別又は目視確認により選択する。具体的には、投入変数の単位と正規化の種類を特定するものである。
投入変数の単位は、金額、人数、面積、体積、効率等であり、その単位と桁数によって正規化の種類を選択する。選択される正規化の種類は、実数、対数、逆数、加算+log、比率等である。
また、正規化処理は、欠損値の処理方法を自動判別又は候補を与えるにより選択する。具体的には、欠損値を、捨てる、0にする、平均にする、logのために欠損値に10又は100を足す等となる。
尚、正規化処理では、平均、標準偏差、分散、歪み、尖り、変動係数等の指標や、ヒストグラム、箱ひげ図等のグラフも利用可能である。
[多重共線性チェック処理]
多重共線性チェック処理は、多重共線性が高い変数を選別して除外するためのものであり、相関係数や相関係数の絶対値の合計が高いものから足切りする等の自動で変数を選ぶことができる。ここで、相関係数とは、拠点毎の拠点属性情報について数値データを変数として総当たりの相関演算を行って得られた相関値のことである。
また、多重共線性チェック処理は、VIF(Variance Inflation Factor)の指標も利用可能である。
[主成分分析処理]
主成分分析処理は、変数を集約し、多重共線性を抑える効果も期待できる。例えば、50個の変数を15個に集約するものである。
具体的には、固有値が1以上の因子を自動的に抽出し、1未満の変数を使用しないことで、集約を図ることができる。
尚、主成分分析の代わりに因子分析を行ってもよい。主成分分析は、観測データから合成スコアを構築することが目的であるのに対し、因子分析は観測データが合成量であると仮定し、個々の構成要素を得ようとすることが目的である。
[重回帰分析処理]
重回帰分析処理は、予測モデルを作成するためのものであり、多変量解析の一つであり、回帰分析の独立変数が複数になったものである。適切な変数を複数選択することで、計算しやすく誤差の少ない予測式(重回帰分析の計算式)を作ることができる。一般的によく使われているのは、最小二乗法、線形モデルの重回帰である。
また、重回帰分析は、ステップワイズ法で多重共線性を抑えることが可能である。
具体的に、モデル作成手段11は、重回帰分析処理により予測値(店舗の場合は売上予測値)を算出する。
[クラスター分析処理]
モデル作成手段11は、ポートフォリオを作成する前に、クラスター分析によりグループ化を行うようにしてもよい。
クラスター分析処理は、与えられたデータを外的基準なしに自動的に分類する手法であり、ここでは、データの分類が階層的になされる階層型手法を用いている。
また、クラスター分析としてクロスセグメントクラスター分析を利用してもよい。クロスセグメントクラスター分析は、クラスター分析で新たに明らかとなったセグメントを集計軸としたクロス集計を行うものであり、これにより、より広く、深くクラスターを理解可能とる。
[分析モデル:図3]
分析モデル、つまり、重回帰分析の計算式の求め方について、図3を参照しながら説明する。図3は、分析モデルを生成するための概略図である。
重回帰分析処理によって生成される重回帰分析の計算式は、簡単にすると、例えば、以下の式で表現される。
y=b0 +b1 ・x1 +b2 ・x2 +b3 ・x3
ここで、yは売上等のポテンシャルを示し、b0 〜b3 は係数であり、x1 〜x3 は重回帰分析の計算式に用いられる拠点属性情報における要素である。
従って、拠点属性情報における要素をどのように選択するかによって、重回帰分析の計算式(分析モデル)が異なるものになる。
図3では、例えば、拠点を店舗とした場合に、店舗A〜Zについて、要素x1 を従業員数とし、要素x2 を駐車場の駐車台数とし、要素x3 を競合店数としたものを示している。
ここで、横軸の要素を集約したり、縦軸の要素をグループ化したりすることができ、横軸の要素を集約するのが、主成分分析であり、縦軸の店舗をグループ化するのが、クラスター分析である。
[既存拠点分析手段12]
既存拠点分析手段12は、拠点属性情報における実績値とモデル作成手段11の重回帰分析処理により得られた予測値のポートフォリオを生成する。ポートフォリオは、表示画面において、縦軸が実績値であり、横軸が予測値(ポテンシャル)であり、画面上に複数の拠点を点等で表示したものである。更に、画面上の複数の拠点を横線と縦線で4つの事象に分類している。
更に、既存拠点分析手段12は、ポートフォリオの事象別に拠点のランキングを行い、アクション記憶部2dから事象毎にアクション情報を読み込み、アクションプランをレポートとして作成する。ここで、ランキングとは、縦線と横線の交点から遠い程、上位ランク(急ぎ対応しなければならないもの)とする。
また、新規のモデルについてアクション記憶部2dに当該新規モデルのアクション情報が記憶されていない場合は、既存拠点分析手段12は、近似(類似)するモデルを検索し、検索されたモデルのアクション情報を参照可能としている。
尚、ポートフォリオを作成しなくても、Zスコア化して全体のランキングを行うようにしてもよい。
また、既存拠点分析手段12は、クラスター分析によりグループ化されたグループ内でポートフォリオを生成して事象毎のランキングとアクションプラン作成を行ってもよい。
既存拠点分析手段は、ポートフォリオ調整手段を備えている。
[ポートフォリオ調整手段]
ポートフォリオ調整手段は、作成したポートフォリオの縦線と横線の位置をスクロールさせて移動(シフト)させ、各事象の拠点数を調整するものである。
ポートフォリオ調整手段は、条件設定により縦線と横線を自動調整するようにしてもよい。
[新規拠点分析手段13]
新規拠点分析手段13は、モデル作成手段11で作成された分析モデル(重回帰分析の計算式)を利用し、不動産情報から拠点に関する情報を擬似的に設定し、更に拠点属性情報の値も擬似的に設定することで、拠点を新設した場合の評価を行う。ここで、評価は、新設予定の拠点について重回帰分析の計算式(分析モデル)を用いた演算を行い、レポート作成を行うものである。
つまり、新規拠点分析手段13は、図3の例では、モデル作成手段11で作成された分析モデル(重回帰分析の計算式)に要素x1 (従業員数)を想定値で設定し、要素x2 (駐車台数)を不動産情報から設定し、要素x3 (競合店数)を拠点属性情報から設定して、演算を行うことで、売上予測値(売上ポテンシャル)が得られるものである。
次に、本システムの処理フローについて説明する。
[モデル作成処理:図4]
モデル作成手段11におけるモデル作成処理について図4を参照しながら説明する。図4は、モデル作成処理のフローチャートである。
まず、モデル作成手段11は、図4に示すように、地図情報記憶部2aからユーザによって指定された地域の地図情報を読み込み(S1)、更に当該地域に関連する統計情報についてユーザ指定の統計情報を統計情報記憶部2bから読み込む(S2)。
次に、モデル作成手段11は、拠点属性情報記憶部2cにおける拠点属性情報を用いて条件による拠点の絞込みを行う(S3)。具体的には、拠点属性情報の地域情報(住所等の位置データ)を用いて、読み込んだ地図情報の地域に対応する拠点を特定し、更に拠点属性情報を条件により選別し、拠点の絞り込みを行う。
そして、絞り込んだ複数の拠点を分析対象拠点とし(S4)、上述した正規化処理を行い(S5)、次に多重共線性チェック処理を行う(S6)。更に、主成分分析処理を実行することが設定されているか否かを判定し(S7)、設定されていれば(Yesの場合)、主成分分析処理を行う(S8)。主成分分析実行が設定されていなければ(Noの場合)、処理S9に移行する。
次に、クラスター分析処理を実行することが設定されているか否かを判定し(S9)、設定されていれば(Yesの場合)、クラスター分析処理を行う(S10)。クラスター分析実行が設定されていなければ(Noの場合)、処理S11に移行する。
そして、重回帰分析処理(S11)を行い、分析対象拠点についての重回帰分析の計算式が分析モデルとして作成されることになる。
尚、重回帰分析処理で得られた拠点の予測値は、既存拠点分析手段12に出力され、既存拠点分析処理に用いられる。
[既存拠点分析処理:図5]
既存拠点分析手段12における既存拠点分析処理について図5を参照しながら説明する。図4は、既存拠点分析処理のフローチャートである。
既存拠点分析手段12は、図5に示すように、モデル作成処理の重回帰分析処理において得られた予測値と拠点属性情報記憶部2cに記憶されている実績値に基づいてポートフォリオを生成する(S21)。
次に、既存拠点分析手段12は、ポートフォリオの事象別に拠点のランキングを行い(S22)、アクション記憶部2dから事象毎に対応又は近似するアクション情報を読み込み(S23)、アクションプランのレポートを作成する(S24)。レポートは、アクション記憶部2dのアクション情報をそのまま利用してもよいし、ユーザがアクション情報に追加修正してレポートを完成させるようにしてもよい。
作成されたレポートは、アクション記憶部2dに記憶される。
次に、表示画面について説明する。
[ポートフォリオ表示画面:図6]
ポートフォリオの概略について図6を参照しながら説明する。図6は、ポートフォリオの概略を示す表示画面の例である。
ポートフォリオの概略は、図6に示すように、縦軸が実績値で、横軸がポテンシャル値(予測値)である。図6では、縦横軸に実績値とポテンシャル値を用いたが、実績値同士やポテンシャル値同士を縦横軸に用いることもある。
そして、表示画面を縦線と横線で分類し、右上を事象A、左上を事象B、右下を事象C、左下を事象Dとする。
以下、各事象について、拠点を店舗とした場合の特色を説明する。
[事象A]
事象Aの店舗は、実績値(利益)が高く、ポテンシャル値も高い花形店舗である。
レポートにおけるポイントは、例えば、「市場性が高く安定した利益が見込める店舗で、費用をかけず現状維持を目指す」ものである。
また、アクションプランの解説は、例えば、「市場性が高く、高い利益も上げられる花形店舗。投資をしなくても顧客が集まる王道的店舗であり、利益を他の店舗群への投資にするためにも投資は積極的に行わない。ポテンシャルに見合った利益を上げているので、さらなる成長を目指すよりも現状維持に注力することが多い。」となる。
[事象B]
事象Bの店舗は、実績値(利益)が高く、ポテンシャル値が低い金の成る木の店舗である。
レポートにおけるポイントは、例えば、「市場性が低いが高い利益を生む効率の良い優良店舗で、最低限の投資をしながら現状維持を目指す」ものとなる。
また、アクションプランの解説は、例えば、「市場規模に対して高い利益も上げる優良店舗。店舗運営が良い店舗が多く、店舗ポテンシャルを最大限に引き出している。現状維持を基本とするが、市場性が低いため店舗のライフサイクルでは衰退に向かう傾向があるため、それを食い止めるためには最低限の投資が必要。また高付加価値をつけるためにブランド化戦略も有効。」となる。
[事象C]
事象Bの店舗は、実績値(利益)が低く、ポテンシャル値が高い問題店舗である。
レポートにおけるポイントは、例えば、「市場性が高いが利益が上がらない問題を抱えた店舗で、ポテンシャルが高いので積極的な投資や構造改革を行い、高成長を目指す」ものとなる。
また、アクションプランの解説は、例えば、「高いポテンシャルを持ちながら利益が上がらない問題を抱えた店舗。店舗の内的要素に問題を抱えていることも多く、最も注力すべき店舗群。ポテンシャルが高く、大きな成長も期待できるのでプロモーションや店舗改装、店舗運営の見直し、人的改革など思い切ったテコ入れが必要。来店客数を上げるためにキャンペーンなどの価格戦略が有効となるため、客単価が下落することもある。」となる。
[事象D]
事象Bの店舗は、実績値(利益)が低く、ポテンシャル値も低い撤退検討店舗である。
レポートにおけるポイントは、例えば、「市場性、利益ともに低い店舗で、投資に対する効率的な費用対効果が見込めず、撤退の検討にあがる店舗」となる。
また、アクションプランの解説は、例えば、「市場性、利益とも低く、投資しても大きな効果が見込めない。有効な施策が少ないため撤退の検討にあがる店舗。」となる。
[オプション(応用技術)]
次に、応用技術として、実商圏ロジックの内容と地図表示について説明する。
[実商圏ロジック:図7]
モデル作成手段11で、変数を作成する場合、施設の実商圏という概念に対する指標となる変数を作成するロジックである。
仮に、拠点を店舗とした場合に、その店舗と来店する顧客の距離(店舗の住所地点と顧客の住所地点とを結ぶ距離)又は各顧客の来店までの所要時間を求め、当該距離又は当該所要時間から平均距離又は平均時間を算出する。
その値を実商圏として指標にし、地図上に表示して実商圏の把握を行う。
この場合、単に平均を求めるのではなく、平均、標準偏差、分散、歪み、尖り、変動係数等の指標を数値により、または、ヒストグラム、箱ひげ図等のグラフにより、顧客の分散の具合や偏りを把握するようにしてもよい。
具体的には、例えば、図7に示すように、顧客A〜Eと店舗との距離や所要時間を求め、距離又は時間を合計して平均を求める。店舗を中心に描画した円商圏は、例えば、平均距離を半径として描画したものである。また、平均時間から徒歩、自動車又は電車商圏を描画したのが、不定形のエリア(破線で囲んだエリア)の図である。つまり、時間の場合、地形、道路の状態により歪んだ形のエリアが形成される。
尚、図7は、実商圏ロジックを説明する図である。
[拠点の地図表示:図8]
重回帰分析によるポートフォリオにより、分析された事象をアイコンで表示し、また、実商圏ロジックにより得られた平均距離による円商圏や平均時間による徒歩、自動車又は電車の商圏を地図上の店舗に重ねて表示するようにしてもよい。
尚、図8は、拠点の地図表示例を示す図である。図8では、拠点の中心に事象の種類が記入され、更に平均距離による円商圏が描画されている例を示している。
また、平均距離や平均時間を求めて描画するだけでなく、最頻値、最大値、最小値、分散、4分位値、外れ値等の指標を距離又は時間に基づいて地図に描画(距離の場合は円形、時間の場合は不定形のエリアを描画)したり、地図とは別枠でヒストグラムや箱ひげ図を表示して参考にしてもよい。
[実施の形態の効果]
本システムによれば、モデル作成手段11が、地図情報、統計情報、拠点属性情報に基づき複数の拠点に対して各々重回帰分析処理を行って分析モデル(重回帰分析の計算式)を作成し、既存拠点分析手段12が、当該分析モデルに対するポートフォリオを作成し、ポートフォリオの事象別に拠点をランキングしてアクションプランを作成するようにしているので、ポートフォリオの事象毎に既存拠点の状況を把握でき、適切なアクションプランをレポートできる効果がある。
また、本システムによれば、新規拠点分析手段13が、作成された分析モデルに基づいて拠点新設した場合の評価を行うことができ、新設の可否を容易に判断できる効果がある。
本発明は、複数の拠点についてポートフォリオを生成し、ポートフォリオの事象毎に拠点の状況を把握可能とするレポートを作成できる拠点分析システムに好適である。
1…制御部、 2…記憶部、 2a…地図情報記憶部、 2b…統計情報記憶部、 2c…拠点属性情報記憶部、 2d…アクション情報記憶部、 3…インタフェース部、 4…表示装置、 5…印刷装置、 6…入力装置、 11…分析モデル作成手段、 12…既存拠点分析手段、 13…新規拠点分析手段

Claims (13)

  1. 処理プログラムを読み込んで処理を実行する制御部と、表示画面を有する表示装置と、処理プログラムを記憶する記憶部と、前記記憶部に地図情報を記憶する地図情報記憶部と、統計情報を記憶する統計情報記憶部と、拠点の位置情報と拠点に関連する実績値を含む拠点属性情報を記憶する拠点属性情報記憶部とを備え、
    前記制御部が前記処理プログラムを前記記憶部から読み込んで実現される処理手段として、
    前記地図情報記憶部から地図情報を読み込み、当該地図情報に対応する統計情報を前記統計情報記憶部から読み込み、前記拠点属性情報記憶部における前記拠点属性情報の拠点の位置情報から前記地図情報に対応する複数の拠点を特定し、前記複数の拠点に対する拠点属性情報について条件により複数の拠点を絞り込んで分析対象拠点を抽出し、当該分析対象拠点について重回帰分析処理を行って重回帰分析の計算式を分析モデルとして生成し、当該分析モデルによって各分析対象拠点の予測値を算出するモデル作成手段と、
    前記拠点属性情報記憶部の拠点属性情報に含まれる拠点に関連する実績値と前記予測値を用い、前記分析モデルについて、前記表示画面に縦軸を実績値とし、横軸を予測値とし、縦線と横線で区分けされた4つの事象に前記複数の分析対象拠点を表示してポートフォリオを生成する既存拠点分析手段とを有することを特徴とする拠点分析システム。
  2. 分析モデル別にポートフォリオの事象毎にアクションプランの情報を記憶するアクションプラン記憶部を備え、
    既存拠点分析手段が、モデル作成手段で作成された分析モデルについて、前記アクションプラン記憶部から事象毎にアクションプランを読み込み、レポートを作成することを特徴とする請求項1記載の拠点分析システム。
  3. 既存拠点分析手段は、新規モデルについてアクションプラン記憶部にアクションプランが記憶されていない場合には、前記アクションプラン記憶部から近似する分析モデルを検索し、検索された分析モデルのアクションプランを読み込むことを特徴とする請求項2記載の拠点分析システム。
  4. 既存拠点分析手段は、事象毎に拠点をランキングすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の拠点分析システム。
  5. 既存拠点分析手段は、4つの事象を区分けする縦線と横線をシフトさせ、事象毎の拠点数を調整するポートフォリオ調整手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の拠点分析システム。
  6. モデル作成手段は、重回帰分析処理の前に、投入変数の単位と正規化の種類を特定する正規化処理と、多重共線性が高い変数を選別して除外する多重共性チェック処理とを行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の拠点分析システム。
  7. モデル作成手段は、多重共性チェック処理と重回帰分析処理との間に、変数を集約する主成分分析処理又は/及びデータのグループ化を行うクラスター分析処理を行うことを特徴とする請求項6記載の拠点分析システム。
  8. 多重共性チェック処理では、拠点間の変数の相関演算を行い、相関係数又は相関係数の絶対値の合計が高いものを除外する処理を行うことを特徴とする請求項6又は7記載の拠点分析システム。
  9. モデル作成手段で作成された分析モデルを利用し、不動産情報から拠点に関する拠点属性情報を擬似的に設定し、更に前記分析モデルで使用する統計情報又は/及び他の拠点の拠点属性情報を集計することで、拠点を新設した場合の予測値を算出し、当該拠点に関するレポートを生成する新規拠点分析手段を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか記載の拠点分析システム。
  10. 拠点属性情報には、拠点の位置情報に加えて、複数の顧客の住所情報が含まれており、
    モデル作成手段は、前記拠点の位置情報と前記複数の顧客の住所情報から前記拠点と前記複数の顧客との間の距離又は当該距離の所要時間を求め、前記距離を平均化した平均距離又は前記所要時間を平均化した平均時間に基づき実商圏を求め、当該実商圏を地図情報記憶部から読み込んで表示画面に表示した地図情報上に表示することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか記載の拠点分析システム。
  11. 拠点属性情報には、拠点の位置情報に加えて、複数の顧客の住所情報が含まれており、
    モデル作成手段は、前記拠点の位置情報と前記複数の顧客の住所情報から前記拠点と前記複数の顧客との間の距離又は当該距離の所要時間を求め、前記距離又は所要時間についての最頻値、最大値、最小値、分散、4分位値、若しくは、外れ値の指標に基づき実商圏を求め、当該実商圏を地図情報記憶部から読み込んで表示画面に表示した地図情報上に表示することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか記載の拠点分析システム。
  12. モデル作成手段は、地図情報の表示とは別に、拠点と複数の顧客との間の距離又は当該距離の所要時間について、ヒストグラム又は箱ひげ図を表示画面に表示可能とすることを特徴とする請求項10又は11記載の拠点分析システム。
  13. 拠点が店舗の場合、拠点属性情報には、店舗の位置情報、売上、利益の実績値、従業員数、競合店数が含まれることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか記載の拠点分析システム。
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