JP6317940B2 - 高精度小地域シミュレーションシステム及びそのプログラム - Google Patents
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Description
従来、リサーチデータやID−POS(顧客ID付きPOS[Point of Sale])、ポイントカード会員などの個票データを多くの企業が保有している。蓄積された個票データは、顧客獲得、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)等の施策などに活用されている。LTVは、1人1人の顧客がある製品又は企業に対して付き合っている間に支払う金額合計から、その顧客を獲得、維持するための費用合計を差し引いた累積利益額のことである。
しかしながら、市町村より狭い小地域での品目別の消費支出額を知ることができないことが問題となっている。
特許文献1は、地図上の店舗等を示すPOI(Point of Interest)情報の履歴からユーザの嗜好性を抽出し、POI情報にユーザの嗜好性を反映した重み付けを行い、その重み付けに従ってPOI情報を表示する優先順位付けを行って、その優先順位でPOI情報を地図情報と合成して画面表示することが記載されている。
特許文献1及び非特許文献1には、小地域単位で嗜好性が高い統計データを推計することについて記載がない。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る高精度小地域シミュレーションシステムは、統計データをIPF(Iterative Proportional Fittin)法を用いて小地域クロスデータを作成し、個票データと小地域クロスデータに基づいてCO(Combinatorial Optimization)法にて最適な項目の組合せを算出し、最適な組合せの項目が保有する属性データを小地域における嗜好性のデータとして推計するものとしているので、小地域単位で嗜好性に関する推計データを高精度に得ることができるものである。
本発明の実施の形態に係る高精度小地域シミュレーションシステム(本システム)について図1を参照しながら説明する。図1は、本システムの構成ブロック図である。
本システムは、図1に示すように、情報処理装置1と、表示部2と、入力部3と、個票データ群データベース(個票データ群DB)21と、統計データデータベース(統計データDB)22と、小地域クロスデータデータベース(小地域クロスデータDB)23と、推計データデータベース(推計データDB)24とから構成されている。
また、情報処理装置1と各DBがネットワークに接続しており、コンピュータ等の端末装置がネットワークを介して情報処理装置1にアクセスし、端末装置からの指示入力によって処理結果を端末装置の表示部に表示させるようにしてもよい。
本システムの各部について説明する。
[情報処理装置1]
情報処理装置1は、制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13とを基本的に有している。
制御部11は、記憶部12に記憶された処理プログラムを読み込み、後述する処理を実行する。
記憶部12は、処理プログラムを記憶すると共に、処理に必要なデータを記憶する。
表示部2は、入力部3からの指示を表示し、処理結果を表示する。
入力部3は、制御部11に対する指示を入力する。
尚、上記各DBを単に記憶部と呼ぶようにしてもよい。
個票データ群DB21は、グループ毎の属性を有するデータを記憶する。
グループとしては、例えば、AグループとしてID−POSのデータであり、Bグループとしてネットリサーチ(アンケート)のデータであり、Cグループとして公共交通機関のICカードのデータであり、属性としては「年齢」「年収」等のデータである。
統計データDB22は、都道府県、市区町村等の行政界に関する統計データを記憶しており、例えば、行政界単位又は地図のメッシュ単位の年齢、年収の統計データを記憶している。
[小地域クロスデータDB23]
小地域クロスデータDB23は、統計データDB22から二種類の統計データを用いて制御部11でIPF法により生成された小地域のクロスデータを記憶する。
例えば、年齢の統計データと年齢の統計データを用いて行政界より小さい地域(小地域)の年齢×年収のクロスデータが記憶される。
推計データDB24は、小地域クロスデータDB23の小地域クロスデータに対して、個票データ群DB21の個票データを用いてCO法によりランダムにポイントを付与して推計した推計データを記憶する。
ここで、本システムで用いられるIPF法とCO法について説明する。
[IPF法]
IPF法は、周辺和の情報を利用して多次元のクロス表を推定する方法である。
本システムでは、2次元のクロス表を対象にするので、以下、2次元のクロス表の推定を説明する。2次元のクロス表を推定するためには以下の式2、式3を用いる。
つまり、IPF法とは、既知の周辺和と推定された周辺分布の比率を繰り返し適用することで、クロス表の収束値を得るもので、その終了条件が以下の式4となる。
CO法は、マイクロシミュレーションの一連の手続の中で、ミクロデータの生成を行うための一つの手法である。
CO法は、解を解析的に導出するのではなく、試行錯誤的に解の最適化を図るものである。
第3のステップとして、初期解と制約表との絶対誤差の合計を求める。
第4のステップとして、ランダムに初期解からサンプルを一つだけ取り出し、サンプルデータと交換し、初期解と少しだけ違った近傍解ができる。近傍解の方が良ければ、近傍解を採用し、悪ければ初期解を採用する。
第5のステップとして、事前に設定した終了条件を満たすまで、近傍解のランダム探索を繰り返す。
SA法を利用したCO法は、第4のステップで、近傍解の誤差から初期解の誤差を引いた絶対誤差が改善された場合には近傍解を採用し、改善されない場合には下記のSA法による判定式を満たす場合に限り近傍解を採用し、満たさない場合には初期解のままとする。
exp(−ΔE/T)>random
ΔEは、誤差の改悪値を意味し、改悪値が大きいと、左辺は小になり、不等式は満たされない可能性が高まる。
Tは、焼きなまし(annealing)における温度を意味し、初期状態では温度が大であり、左辺は大になり、不等式は満たされる可能性が高い。温度はステップ毎に冷却され、徐々に下がってくる。温度が下がるにつれて、左辺は小になり、不等式は満たされにくくなる。
TK+1=ηTK
ηは、温度更新パラメータ係数であり、指数型アニーリングでは、ステップ毎に温度更新パラメータを掛けて温度を更新する。
CO法の具体的な処理について図2〜13を参照しながら説明する。
[個票データ、小地域データ:図2]
図2は、個票データ、A町の小地域データを示す図である。
図2の個票データは、世帯のサンプルパターンとして、aパターンとして、人数(世帯人員)2人、その内訳が大人2人、子供0人、bパターンとして、人数(世帯人員)2人、その内訳が大人1人、子供1人、cパターンとして、人数(世帯人員)4人、その内訳が大人2人、子供2人、dパターンとして、人数(世帯人員)1人、その内訳が大人1人、子供0人、eパターンとして、人数(世帯人員)3人、その内訳が大人2人、子供1人とする。
尚、上記世帯の世帯人員と内訳が請求項における特定項目であり、特定項目を構成するサンプルパターンは、最適な組合せを得るための個票データの項目、つまり、請求項における小項目である。
世帯人員毎の世帯数のデータは、例えば、世帯人員1人で世帯数1、世帯人員4人で世帯数1、世帯人員2,3人で世帯数0、世帯人数5人以上で世帯数0であるとする。
また、A町の大人と子供の人数のデータは、例えば、大人3人、子供2人のデータである。
まず、個票データにおける世帯a,bのパターン(単にa,b)を抽出した場合について図3を参照しながら説明する。図3は、世帯a,bを抽出した場合の例を示す図である。
個票データの世帯aは、世帯人員2人、その内訳が大人2人、子供0人で、世帯bは、世帯人員2人、その内訳が大人1人、子供1人である。つまり、世帯人員2人が2世帯あるので、図3の個票には世帯人員2人に「2」を設定する。
そして、差異の欄には、個票と小地域の差異(差の絶対値)を設定し、それらの差を合計して、合計誤差「4」を求める。
次に、大人と子供の人数は、個票データの世帯aで大人2人、子供0人、bで大人1人、子供1人であるから、合計して大人「3」人、子供「1」人を設定し、A町の小地域データには、大人3人、子供2人を設定し、差異を計算して、合計差異「1」を求める。
世帯人員の合計差異と大人子供の合計差異を合計して「5(=4+1)」を算出する。
次に、個票データにおける世帯a,cのパターン(単にa,c)を抽出した場合について図4を参照しながら説明する。図4は、世帯a,cを抽出した場合の例を示す図である。
個票データの世帯aは、世帯人員2人、その内訳が大人2人、子供0人で、世帯cは、世帯人員4人、その内訳が大人2人、子供2人である。つまり、世帯人員2人が1世帯、世帯人員4人が1世帯あるので、図4の個票には世帯人員2人に「1」、世帯人員4人に「1」を設定する。
次に、大人と子供の人数は、個票データの世帯aで大人2人、子供0人、世帯cで大人2人、子供2人であるから、合計して大人「4」人、子供「2」人を設定し、A町の小地域データには、大人3人、子供2人を設定し、差異を計算して、合計差異「1」を求める。
世帯人員の合計差異と大人子供の合計差異を合計して「3(=2+1)」を算出する。
次に、個票データにおける世帯a,dのパターン(単にa,d)を抽出した場合について図5を参照しながら説明する。図5は、世帯a,dを抽出した場合の例を示す図である。
個票データの世帯aは、世帯人員2人、その内訳が大人2人、子供0人で、世帯dは、世帯人員1人、その内訳が大人1人、子供0人である。つまり、世帯人員1人が1世帯、世帯人員2人が1世帯あるので、図5の個票には世帯人員1人に「1」、世帯人員2人に「1」を設定する。
次に、大人と子供の人数は、個票データの世帯aで大人2人、子供0人、世帯dで大人1人、子供0人であるから、合計して大人「3」人、子供「0」人を設定し、A町の小地域データには、大人3人、子供2人を設定し、差異を計算して、合計差異「2」を求める。
世帯人員の合計差異と大人子供の合計差異を合計して「4(=2+2)」を算出する。
次に、個票データにおける世帯a,eのパターン(単にa,e)を抽出した場合について図6を参照しながら説明する。図6は、世帯a,eを抽出した場合の例を示す図である。
個票データの世帯aは、世帯人員2人、その内訳が大人2人、子供0人で、世帯eは、世帯人員3人、その内訳が大人2人、子供1人である。つまり、世帯人員2人が1世帯、世帯人員3人が1世帯あるので、図6の個票には世帯人員2人に「1」、世帯人員3人に「1」を設定する。
次に、大人と子供の人数は、個票データの世帯aで大人2人、子供0人、世帯eで大人2人、子供1人であるから、合計して大人「4」人、子供「1」人を設定し、A町の小地域データには、大人3人、子供2人を設定し、差異を計算して、合計差異「2」を求める。
世帯人員の合計差異と大人子供の合計差異を合計して「6(=4+2)」を算出する。
次に、個票データにおける世帯b,cのパターン(単にb,c)を抽出した場合について図7を参照しながら説明する。図7は、世帯b,cを抽出した場合の例を示す図である。
個票データの世帯bは、世帯人員2人、その内訳が大人1人、子供1人で、世帯cは、世帯人員4人、その内訳が大人2人、子供2人である。つまり、世帯人員2人が1世帯、世帯人員4人が1世帯あるので、図7の個票には世帯人員2人に「1」、世帯人員4人に「1」を設定する。
次に、大人と子供の人数は、個票データの世帯bで大人1人、子供1人、世帯cで大人2人、子供2人であるから、合計して大人「3」人、子供「3」人を設定し、A町の小地域データには、大人3人、子供2人を設定し、差異を計算して、合計差異「1」を求める。
世帯人員の合計差異と大人子供の合計差異を合計して「3(=2+1)」を算出する。
次に、個票データにおける世帯b,dのパターン(単にb,d)を抽出した場合について図8を参照しながら説明する。図8は、世帯b,dを抽出した場合の例を示す図である。
個票データの世帯bは、世帯人員2人、その内訳が大人1人、子供1人で、世帯dは、世帯人員1人、その内訳が大人1人、子供0人である。つまり、世帯人員1人が1世帯、世帯人員2人が1世帯あるので、図8の個票には世帯人員1人に「1」、世帯人員2人に「1」を設定する。
次に、大人と子供の人数は、個票データの世帯bで大人1人、子供1人、世帯dで大人1人、子供0人であるから、合計して大人「2」人、子供「1」人を設定し、A町の小地域データでは、大人3人、子供2人を設定し、差異を計算して、合計差異「2」を求める。
世帯人員の合計差異と大人子供の合計差異を合計して「4(=2+2)」を算出する。
次に、個票データにおける世帯b,eのパターン(単にb,e)を抽出した場合について図9を参照しながら説明する。図9は、世帯b,eを抽出した場合の例を示す図である。
個票データの世帯bは、世帯人員2人、その内訳が大人1人、子供1人で、世帯eは、世帯人員3人、その内訳が大人2人、子供1人である。つまり、世帯人員2人が1世帯、世帯人員3人が1世帯あるので、図9の個票には世帯人員2人に「1」、世帯人員3人に「1」を設定する。
次に、大人と子供の人数は、個票データの世帯bで大人1人、子供1人、世帯eで大人2人、子供1人であるから、合計して大人「3」人、子供「2」人を設定し、A町の小地域データでは、大人3人、子供2人を設定し、差異を計算して、合計差異「0」を求める。
世帯人員の合計差異と大人子供の合計差異を合計して「4(=4+0)」を算出する。
次に、個票データにおける世帯c,dのパターン(単にc,d)を抽出した場合について図10を参照しながら説明する。図10は、世帯c,dを抽出した場合の例を示す図である。
個票データの世帯cは、世帯人員4人、その内訳が大人2人、子供2人で、世帯dは、世帯人員1人、その内訳が大人1人、子供0人である。つまり、世帯人員1人が1世帯、世帯人員4人が1世帯あるので、図10の個票には世帯人員1人に「1」、世帯人員4人に「1」を設定する。
次に、大人と子供の人数は、個票データの世帯cで大人2人、子供2人、世帯dで大人1人、子供0人であるから、合計して大人「3」人、子供「2」人を設定し、A町の小地域データでは、大人3人、子供2人を設定し、差異を計算して、合計差異「0」を求める。
世帯人員の合計差異と大人子供の合計差異を合計して「0(=0+0)」を算出する。
次に、個票データにおける世帯c,eのパターン(単にc,e)を抽出した場合について図11を参照しながら説明する。図11は、世帯c,eを抽出した場合の例を示す図である。
個票データの世帯cは、世帯人員4人、その内訳が大人2人、子供2人で、世帯eは、世帯人員3人、その内訳が大人2人、子供1人である。つまり、世帯人員3人が1世帯、世帯人員4人が1世帯あるので、図11の個票には世帯人員3人に「1」、世帯人員4人に「1」を設定する。
次に、大人と子供の人数は、個票データの世帯cで大人2人、子供2人、世帯eで大人2人、子供1人であるから、合計して大人「4」人、子供「3」人を設定し、A町の小地域データでは、大人3人、子供2人を設定し、差異を計算して、合計差異「2」を求める。
世帯人員の合計差異と大人子供の合計差異を合計して「4(=2+2)」を算出する。
次に、個票データにおける世帯d,eのパターン(単にd,e)を抽出した場合について図12を参照しながら説明する。図12は、世帯d,eを抽出した場合の例を示す図である。
個票データの世帯dは、世帯人員1人、その内訳が大人1人、子供0人で、世帯eは、世帯人員3人、その内訳が大人2人、子供1人である。つまり、世帯人員1人が1世帯、世帯人員3人が1世帯あるので、図12の個票には世帯人員1人に「1」、世帯人員3人に「1」を設定する。
次に、大人と子供の人数は、個票データの世帯dで大人1人、子供0人、世帯eで大人2人、子供1人であるから、合計して大人「3」人、子供「1」人を設定し、A町の小地域データでは、大人3人、子供2人を設定し、差異を計算して、合計差異「1」を求める。
世帯人員の合計差異と大人子供の合計差異を合計して「3(=2+1)」を算出する。
採用されたc,dの個票の持つ様々な属性データを集計することで、公表されていない小地域データを推測することが可能となる。
ここで、推計データの例について図13を参照しながら説明する。図13は、推計データの例を示す図である。
個票データの世帯a〜dのパターンに対して、採用された世帯c,dの属性データを集計して図13に示すような小地域データを推計する。
また、世帯cが保有する車がワゴン車Bで、世帯dが保有する車が軽自動車であるから、小地域A町で保有されている車は、ワゴン車Bと軽自動車とする。
これにより、A町における平均年収、所有自動車の種類と台数の情報が推計されたものである。
次に、本システムにおける処理について図14〜図16を参照しながら説明する。図14は、本システムにおける処理の内容を示す概略図であり、図15は、個票データを集計した表を示す図であり、図16は、小地域クロスデータを示す図である。
図2〜13では、大人と子供の数とその合計を世帯人員とした個票データに対して、制約表の小地域データとして世帯人員の世帯数と、大人と子供の数を用いて推計を行ったが、図14〜16では、個票データとしてA〜Cの各グループで得られた年齢と年収のデータに対して、制約表の小地域データとして年齢と年収の小地域クロスデータを用いて推計するものである。
各グループ内の個票データには、小地域内の人のデータが含まれ、小地域の人数に対して各グループの人数が少なくなっている。
また、年齢と年収は、請求項における特定項目であり、その特定項目を構成する年齢の区分と年収の区分は、請求項における小項目である。
図14に示すように、情報処理装置1の制御部11は、個票データ群DB21から、例えば、Aグループの年齢と年収のデータを読み込み、年齢と年収のグループに分類して集計し、図15の個票データを集計した表を生成し、年齢と年収の特定項目を構成する小項目を特定する。
個票データを集計した表を生成する処理は、記憶部12に記憶された処理プログラムの実行によって実現されるものであり、機能実現手段を「個票データ集計手段」と称することができる。
尚、図14の例では、小地域クロスデータの人数に対して、Aグループのサンプル数が少ないため、図15の表を小地域クロスデータの人数と同数にするよう調整(拡張)する必要がある。
図15に示した年齢×年収の集計した表が、実際の個票データであるが、CO法で用いられる個票データは、後述する「拡張された個票データ」である。
そして、情報処理装置1の制御部11は、統計DB22から地域における年齢と年収の統計データを読み込み、その統計データを用いてIPF法によって、図16に示すように、年齢×年収の小地域クロスデータを生成する。
小地域クロスデータ生成の処理は、記憶部12に記憶された処理プログラムの実行によって実現されるものであり、機能実現手段を「小地域クロスデータ生成手段」と称することができる。
図16に示した年齢×年収の小地域クロスデータが、制約表の小地域データとなるものである。
次に、制御部11は、記憶部12に記憶された処理プログラムを動作させて、CO法による最適値演算処理を行う。
具体的には、図15に示した個票データの年齢の区分と年収の区分に対して、図16に示した小地域クロスデータの人数(例えば、100人)とすると、Aグループの個票データが20人分しかないため、以下のいずれかの方法で個票データを100人分に拡張する。
個票データを重複して使用する場合、単純に20人分を重複して選択してもよいが、20人分をそのまま残し、不足分(小地域クロスデータ(制約表)の人数と個票データのサンプル数の差分)の80人分を個票データの20人分から任意に選択するようにしてもよい。
尚、拡張された個票データに基づく集計表には、小項目が増えることも考えられるが、その増えた小項目を含む全体の小項目をCO法の対象とする。
そして、採用した100人のAグループの個票データにおける属性データ(属性a,b)を小地域の属性データとする。
また、Cグループの30人についても、上記と同様の処理を行い、採用した100人のCグループの個票データにおける属性データ(属性e,f)を小地域の属性データとする。
これにより、誤差が最小になった最適な小地域の人数の組合せが保有する属性データを小地域の嗜好性のデータとして推計できるので、小地域単位で嗜好性の高い推計データを適正に得ることができる効果がある。
小地域の嗜好性を推計する処理は、記憶部12に記憶された処理プログラムの実行によって実現されるものであり、機能実現手段を「小地域嗜好性推計手段」と称することができる。
本システムによれば、統計データからIPF法によって小地域クロスデータを生成し、個票データと小地域クロスデータに基づいてCO法によって合計差異が最小となる項目の組合せを採用して、当該採用した項目の属性データを小地域における嗜好性のデータとして推計するものとしているので、小地域単位での嗜好性の高い推計データを得ることができる効果がある。
Claims (12)
- 小地域単位での嗜好性を推計する高精度小地域シミュレーションシステムであって、
処理プログラムを記憶する記憶部と、前記処理プログラムを実行する制御部とを備える情報処理装置と、
個票データを記憶する個票データ記憶部と、
小地域の統計データを記憶する統計データ記憶部と、
小地域クロスデータを記憶する小地域クロスデータ記憶部と、
推計データを記憶する推計データ記憶部とを有し、
前記制御部が前記処理プログラムを読み込んで実行される手段として、
前記個票データに含まれる特定項目を用いて前記統計データ記憶部から小地域クロスデータを生成して前記小地域クロスデータ記憶部に記憶する小地域クロスデータ生成手段と、
前記個票データと前記小地域クロスデータに基づいて前記特定項目を構成する小項目の組合せについて、前記個票データをサンプルとし、前記小地域クロスデータを制約表として、前記サンプルからランダムに小項目の組合せを選択して初期解とし、前記初期解と前記制約表との絶対誤差の合計が最小となる小項目の組合せを、最適となる小項目の組合せとする最適化を行い、前記最適となる小項目の組合せを採用し、当該採用した小項目の組合せの個票データが保有する属性データを小地域の嗜好性として推計して前記推計データ記憶部に推計データとして記憶する小地域嗜好性推計手段とを有することを特徴とする高精度小地域シミュレーションシステム。 - 小地域クロスデータ生成手段は、マイクロシミュレーションのIPF法により小地域クロスデータを生成することを特徴とする請求項1記載の高精度小地域シミュレーションシステム。
- 小地域嗜好性推計手段は、最適化において、ミクロデータを生成するCO法を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の高精度小地域シミュレーションシステム。
- 小地域嗜好性推計手段は、小地域クロスデータの制約表における数より個票データのサンプルの数が少ない場合に、前記制約表における数と前記サンプルの数との差分については、前記小地域クロスデータの前記制約表における数と同数となるよう前記サンプルを重複して使用して最適化を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の高精度小地域シミュレーションシステム。
- 小地域嗜好性推計手段は、小地域クロスデータの制約表における数より個票データのサンプルの数が少ない場合に、前記制約表における数と前記サンプルの数との差分については、小地域を含む広い地域からサンプルを収集して前記サンプルの数が前記制約表における数と同数となるよう抽出して最適化を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の高精度小地域シミュレーションシステム。
- 個票データに含まれる特定項目で集計して前記特定項目を構成する小項目を特定する個票データ集計手段を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の高精度小地域シミュレーションシステム。
- 小地域単位での嗜好性を推計するコンピュータプログラムであって、
情報処理装置を、
個票データ記憶部に記憶された個票データに含まれる特定項目を用いて、小地域の統計データを記憶する統計データ記憶部から小地域クロスデータを生成して小地域クロスデータ記憶部に記憶する小地域クロスデータ生成手段として機能させ、
前記個票データと前記小地域クロスデータに基づいて前記特定項目を構成する小項目の組合せについて、前記個票データをサンプルとし、前記小地域クロスデータを制約表として、前記サンプルからランダムに小項目の組合せを選択して初期解とし、前記初期解と前記制約表との絶対誤差の合計が最小となる小項目の組合せを、最適となる小項目の組合せとする最適化を行い、前記最適となる小項目の組合せを採用し、当該採用した小項目の組合せの個票データが保有する属性データを小地域の嗜好性として推計して推計データ記憶部に推計データとして記憶する小地域嗜好性推計手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。 - 小地域クロスデータ生成手段は、マイクロシミュレーションのIPF法により小地域クロスデータを生成することを特徴とする請求項7記載のコンピュータプログラム。
- 小地域嗜好性推計手段は、最適化において、ミクロデータを生成するCO法を用いることを特徴とする請求項7又は8記載のコンピュータプログラム。
- 小地域嗜好性推計手段は、小地域クロスデータの制約表における数より個票データのサンプルの数が少ない場合に、前記制約表における数と前記サンプルの数との差分については、前記小地域クロスデータの前記制約表における数と同数となるよう前記サンプルを重複して使用して最適化を行うことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか記載のコンピュータプログラム。
- 小地域嗜好性推計手段は、小地域クロスデータの制約表における数より個票データのサンプルの数が少ない場合に、前記制約表における数と前記サンプルの数との差分については、小地域を含む広い地域からサンプルを収集して前記サンプルの数が前記制約表における数と同数となるよう抽出して最適化を行うことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか記載のコンピュータプログラム。
- 小地域単位での嗜好性を推計するコンピュータプログラムであって、
情報処理装置を、
個票データに含まれる特定項目で集計して前記特定項目を構成する小項目を特定する個票データ集計手段として機能させることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか記載のコンピュータプログラム。
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