JP5257744B2 - ポリジアセチレンを半導体層とする有機薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents
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Description
結晶中で原子や分子が最小の動きを伴って反応は進行し、結晶の対称性(空間群)は反応の前後で変化しないことから、一般に生成物は一定の空間配向を有している。ゆえに、トポケミカル重合により生成されるポリマー結晶は立体規則性が高く、非特許文献2では、立体規則性の高いポリジアセチレン薄膜をトランジスタの半導体層に用いることで、高い移動度を実現できることを示している。
しかし、上記非特許文献2に記載されている有機薄膜トランジスタの半導体層の作製には、真空蒸着工程が用いられている。そのため、この方法は、塗布法や印刷法などの簡便なプロセスで薄膜を形成できるという有機薄膜トランジスタへの期待に応えるものではない。
(1)「有機薄膜トランジスタにおいて、ポリジアセチレンを半導体層とするトランジスタの作製プロセスであって、少なくとも、液状でジアセチレン化合物を基板上に展開する工程と、該ジアセチレン化合物の結晶状態を形成する工程と、外部からエネルギーを付与することにより該ジアセチレン化合物をトポケミカル重合させてポリジアセチレンを形成する工程を経ること特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法」、
(2)「前記ジアセチレン化合物の結晶状態を形成する工程を、該ジアセチレン化合物が溶解する溶媒蒸気または温度が制御された環境で行なうことを特徴とする前記第(1)項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法」、
(3)「前記ジアセチレン化合物をトポケミカル重合させてポリジアセチレンを形成するために外部から付与されるエネルギーが、熱エネルギーまたは輻射エネルギーであることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法」。
本発明で作製されるポリジアセチレン薄膜が設けられる基板としては、金属基板、ガラス基板、プラスチック基板、シリコン基板等が挙げられる。一連の製造工程において寸法変化が少ない基板は製造工程を容易にすることができる。金属薄膜や、折り曲げ可能なPES基板、ポリイミド基板、PET基板等のプラスチック基板を用いると、完成するデバイスにフレキシビリティを与えることができる。
絶縁膜の材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の無機絶縁膜の他、有機絶縁膜としてポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリエステル、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、ポリアクリロニトリル、シアノエチルプルラン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
絶縁膜の作製方法には特に制限はなく、例えば、CVD法、プラズマCVD法、プラズマ重合法、蒸着法、スピンコーティング法、ディッピング法、印刷法、インクジェット法などを用いることができる。
本発明の有機薄膜トランジスタには、基板(6)上で空間的に分離された第一の電極(3)と第二の電極(4)および第三の電極(5)が設けられており、第三の電極(5)への電圧印加により、本発明のポリジアセチレン有機薄膜(1)中に流れる電流を制御することができる。
第一の電極(3)および第二の電極(4)は、本発明の有機薄膜とオーミック接触できる材料で形成することが望ましい。しかし、ショットキー接触となる材料であっても、そのエネルギー障壁が低いものであれば使用することができる。具体的には、金、白金、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、チタンなどの金属、または、ポリ(スチレンスルホネート)、ポリ〔2,3−ジヒドロチエノ(3,4−b)−1,4−ジオキシン〕(PEDOT)、ポリアニリンなどの有機導電性材料等が挙げられる。
絶縁膜(2)によって半導体層と隔てられた第三の電極(5)も上記の金属または有機導電性材料を用いることができる。さらに、n型半導体またはp型半導体などを用いて形成することもできる。第三の電極材料に半導体を用いる場合は、あらかじめ不純物によるキャリアドーピングをしたものを用いて電極を形成してもよく、ゲート電極を形成した後、不純物のドーピングを行なってもよい。さらに、第三の電極(5)が基板を兼ねていてもよい。
たとえば、液晶、有機電界発光、電気泳動などの画像表示素子を駆動するための素子として利用でき、これらを集積化することにより、いわゆる「電子ペーパー」と呼ばれるディスプレイを製造することが可能である。また、ICタグ等の電子デバイスとして、本発明の機能性有機薄膜を集積したICを利用することも可能である。
〔実施例1〕
10、12−ペンタコサジイン酸(東京化成工業株式会社製)のテトラヒドロフラン溶液(0.1重量%)を熱酸化膜(200nm)付きシリコン基板に展開し、テトラヒドロフラン蒸気で満たされた容器中に保管した。その後、ホットプレートで加熱処理を施してジアセチレンモノマー膜を得た。
得られた膜に紫外光(254nm)を照射することでジアセチレンモノマーをトポケミカル重合させ、ポリジアセチレン薄膜を作製した。図3は、このポリジアセチレン薄膜の偏光顕微鏡写真である。
次いで、真空蒸着法により、第一の電極および第二の電極として金膜を形成し、図1の構造を有する薄膜トランジスタを作製した。
この有機薄膜トランジスタについて電界効果移動度を測定したところ、5.0×10−3cm2/Vsであった。
加熱処理を施すことを除いて、実施例1と同様にポリジアセチレン薄膜を作製した。図4は、このポリジアセチレン薄膜の偏光顕微鏡写真である。
次いで、真空蒸着法により、第一の電極および第二の電極として金膜を形成し、図1の構造を有する薄膜トランジスタを作製した。
この有機薄膜トランジスタについて電界効果移動度を測定したところ、1.0×10−3cm2/Vsであった。
10、12−ペンタコサジイン酸(東京化成工業株式会社製)のテトラヒドロフラン溶液(0.1重量%)を熱酸化膜(200nm)付きシリコン基板に展開しただけのジアセチレン薄膜を作製した。図5はこのジアセチレン薄膜の偏光顕微鏡写真である。
得られた膜に紫外光(254nm)を照射後、真空蒸着法により、第一の電極および第二の電極として金膜を形成し、図1の構造を有する薄膜トランジスタを作製した。
この有機薄膜トランジスタについて電界効果移動度を測定したところ、動作しなかった。
一方、比較例1では、本発明に係るジアセチレン化合物の結晶状態を形成する工程を経ていないため、トランジスタの半導体層の全体に渡って立体規則性の高いポリジアセチレン薄膜が形成できず、トンランジスタ動作しない。
2 絶縁膜
3 第一の電極
4 第二の電極
5 第三の電極
6 基板
Claims (3)
- 有機薄膜トランジスタにおいて、ポリジアセチレンを半導体層とするトランジスタの作製プロセスであって、少なくとも、液状でジアセチレン化合物を基板上に展開する工程と、該ジアセチレン化合物の結晶状態を形成する工程と、外部からエネルギーを付与することにより該ジアセチレン化合物をトポケミカル重合させてポリジアセチレンを形成する工程を経ること特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記ジアセチレン化合物の結晶状態を形成する工程を、該ジアセチレン化合物が溶解する溶媒蒸気または温度が制御された環境で行なうことを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記ジアセチレン化合物をトポケミカル重合させてポリジアセチレンを形成するために外部から付与されるエネルギーが、熱エネルギーまたは輻射エネルギーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
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