JP5256321B2 - 放射検出器及び電磁波を検出する方法 - Google Patents

放射検出器及び電磁波を検出する方法 Download PDF

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本発明は、異方熱電効果を利用した放射検出器及び電磁波を検出する方法に関する。
熱電変換材料の両端に温度差が生じると、その温度差に比例して起電力(熱起電力)が発生する。熱電変換材料において、熱エネルギーが電気エネルギーに変換される現象は、ゼーベック効果として知られている。発生する起電力Vは、温度差ΔTと、材料固有のゼーベック係数Sとを用いて、V=SΔTで表される。
一般的に、等方的な物性を示す熱電変換材料において、ゼーベック効果によって発生する起電力は、温度差が生じた方向と同じ方向にのみ生じる。一方、電気輸送特性に異方性を示す熱電変換材料においては、結晶軸の傾斜配置により、温度差の方向と直交する方向に起電力が発生する。なお、電気輸送特性とは、電荷をもつ電子や正孔が物質中を移動する振舞いをいう。このように、材料の結晶軸の傾斜配置により、温度差の方向(熱流方向)とは異なる方向に起電力が発生する現象を、異方熱電効果あるいは非対角熱電効果という。
図10は、異方熱電効果を説明するための座標系の図である。図10に示すように、試料100の結晶軸abcは、空間軸xyzに対して傾斜している。試料100において、z軸方向に沿った方向に温度差ΔTzを与えると、z軸と直交する方向であるx軸に沿った方向に起電力Vxが発生する。起電力Vxは、式(1)により表される。
Figure 0005256321
ただし、lは試料100の幅、dは試料100の厚さ、αは試料100の表面(xy面)に対するab面の傾斜角度、ΔSはc軸方向のゼーベック係数Scとab面内のゼーベック係数Sabとの差(異方性による差)を表す。
このように、熱電変換材料において、異方性の基準となる結晶面(以下、異方性基準結晶面という。図10に示す試料100では、ab面が異方性基準結晶面に相当する。)を熱電変換材料の表面(図10に示す試料100では、その表面(xy面)に相当する。)に対して傾斜配置させることで、異方熱電効果が得られる。
従来、このような効果を利用した熱電変換デバイスとして、基板上に配置された熱電変換材料からなる薄膜であって、異方性基準結晶面が基板平面(基板の主面)に対して傾斜して配置されている薄膜(以下、「傾斜薄膜」という。)を用いた熱電変換デバイスが提案されている。さらに、このような構成の熱電変換デバイスを放射検出器として利用することも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
図11に、異方熱電効果を利用した熱電変換デバイスの基本構造を示す。この熱電変換デバイスは、傾斜基板111と、傾斜基板111上に配置された傾斜薄膜112と、傾斜薄膜112上に配置された電極対113,114とから構成されている。なお、傾斜基板とは、基板を構成する材料の結晶の低指数面(図11に示す傾斜基板111では、面116)が、基板平面に対して傾斜している基板を指す。また、傾斜薄膜とは、上記説明のとおりであり、図11に示す基本構造においては、傾斜薄膜112の異方性基準結晶面115は傾斜基板111の表面に対して傾斜している。図11中、119は異方性基準結晶面115が傾斜して並んでいる方向を示しており、120は傾斜基板111の面116が傾斜して並んでいる方向を示している。
このような構成を有する熱電変換デバイスを利用する放射検出器では、傾斜薄膜112の表面から電磁波が入射すると、傾斜薄膜112の表面から裏面方向に向かって温度勾配117が発生する。その結果、上述した異方熱電効果によって、傾斜薄膜112の表面と平行な方向118に起電力が発生する。ここで発生する起電力を読み取ることで、電磁波の検出が可能となる。
しかしながら、従来の技術では、放射検出器の実用化のための十分な感度が達成されていなかった。
この方式の放射検出器の感度向上に対する課題として、入射する電磁波のエネルギーが有効に利用されていない(熱起電力に変換されていない)点が挙げられる。入射された電磁波のエネルギーのうち、熱起電力に変換される割合は、傾斜薄膜で吸収される電磁波の割合に依存する。傾斜薄膜における電磁波の吸収を増大させるには、傾斜薄膜の膜厚を厚くすればよい。しかしながら、上記式(1)によると、異方熱電効果によって発生する起電力は、温度差が一定の場合、傾斜薄膜の膜厚を厚くするほど小さくなる。したがって、放射検出器の感度を上げるには、傾斜薄膜の膜厚を薄くすることが望まれるが、その反面、膜厚を薄くすれば、傾斜薄膜で吸収される電磁波の割合が減り、電磁波のエネルギーは有効に熱起電力に変換されないことになる。すなわち、放射検出器としての感度向上のためには、入射される電磁波をより有効に熱起電力に変換する技術が必要となる。
特開平8−247851号公報
本発明の目的は、この技術分野における放射検出器の検出感度を改善することにある。前述の通り、従来の構造からなる熱電変換デバイスを利用した放射検出器では、より多くの用途で実用に足るだけの十分な検出感度を得ることができない。放射検出器としての感度を向上させるためには、デバイスに入射される電磁波を有効に熱起電力に変換して、大きな熱起電力を発生させる必要がある。したがって、本発明は、入射される電磁波を有効に熱起電力に変化して、大きな熱起電力を発生させることができる放射検出器を提供することを課題とする。また、本発明は、放射検出器を用いた電磁波を検出する方法を提供することも課題とする。
本発明者らは、実用的な性能を持つ放射検出器を実現するため、傾斜薄膜を備えた熱電変換デバイスの構成に関して鋭意研究を重ねてきた。その結果、傾斜薄膜/基板のへテロ構造から構成される基本構造(図11参照)において、連続的な電磁波が傾斜薄膜側から入射した場合でも、基板側から入射した場合でも、傾斜薄膜表面に発生する起電力の極性は同一であることを見出した。これは、前記基本構造を有する熱電変換デバイスに連続的な電磁波が入射されると、その入射方向に関わらず、傾斜薄膜内部では、傾斜薄膜と基板との界面が、空気と傾斜薄膜との界面に対して、温度が低くなることを意味している。本発明者らは、この意外な知見に基づいて、本発明の放射検出器の構成に至った。なお、「傾斜薄膜/基板」との表記は、傾斜薄膜と基板とがこの順番に上から積層されるヘテロ構造を表している。以下、同様の表記は同様の意味を表す。
本発明の放射検出器は、薄膜、基板、電磁波反射膜、第1電極、および第2電極を具備し、
前記基板は、前記薄膜および前記電磁波反射膜の間に挟まれており、
前記薄膜は、結晶体であり、ゼーベック係数に異方性を有し、かつ前記異方性を発現させる基準となる結晶面を有し、
前記基板は結晶体であり、
前記薄膜の前記結晶面と前記基板の表面とが形成する角度αは、10°以上80°以下であり、
前記基板の低指数面と前記基板の表面とが形成する角度βは、10°以上80°以下であり、
前記第1電極および前記第2電極は前記薄膜に電気的に接続される。
本発明は、電磁波を検出する方法であって、以下の工程を具備する:
放射検出器を準備する工程、
ここで、前記放射検出器は、薄膜、基板、電磁波反射膜、第1電極、および第2電極を具備し、
前記基板は、前記薄膜および前記電磁波反射膜の間に挟まれており、
前記薄膜は、結晶体であり、ゼーベック係数に異方性を有し、かつ前記異方性を発現させる基準となる結晶面を有し、
前記基板は結晶体であり、
前記薄膜の前記結晶面と前記基板の表面とが形成する角度αは、10°以上80°以下であり、
前記基板の低指数面と前記基板の表面とが形成する角度βは、10°以上80°以下であり、
前記第1電極および前記第2電極は前記薄膜に電気的に接続され、
および
前記第1電極と前記第2電極との間の電位差を検出し、前記電位差が検出されれば前記放射検出器に電磁波が照射されたことが決定される工程。
本発明の放射検出器は、傾斜薄膜/基板の基本構造に加えて、基板の傾斜薄膜が配置されていない主面上に電磁波反射膜が設けられた構造を有している。この構造によれば、電磁波により薄膜内に温度勾配を生じさせて、傾斜薄膜内に熱起電力を生じさせる場合に、薄膜側から入射した電磁波のうち薄膜で吸収されなかった電磁波が、電磁波反射膜で反射されて再び薄膜に入射するので、薄膜の電磁波吸収効率が向上する。薄膜に電磁波が入射されると、その入射方向に関わらず、薄膜内部では、薄膜と基板との界面が、空気と薄膜との界面に対して温度が低くなる。この現象により、放射検出器に入射した電磁波の吸収によって薄膜内部に生じる起電力の方向と、電磁波反射膜で反射した電磁波の吸収によって薄膜内部に生じた起電力の方向とが同じになる。これにより、放射検出器に入射する電磁波のパワーを効率よく熱起電力に変換することができ、電磁波の検出感度を向上させることができる。
本発明の電磁波を検出する方法は、前記放射検出器を用いる方法であるため、高い感度での電磁波の検出が可能となる。
本発明の実施の形態1における放射検出器の一構成例を示す断面図である。 本発明の実施の形態1における放射検出器の別の構成例を示す断面図である。 本発明の実施の形態2における放射検出器の一構成例を示す断面図である。 図4Aは、本発明の実施の形態3における放射検出器において、第1傾斜薄膜が形成された面を示す平面図であり、図4Bは、本発明の実施の形態3における放射検出器において、第2傾斜薄膜が形成された面を示す平面図である。 基板の片面だけを利用して形成された放射検出器において、傾斜薄膜の直列接続構造を説明するための平面図である。 本発明の実施の形態3における放射検出器において、第1傾斜薄膜のラインと第2傾斜薄膜のラインとが重なり合わないように配置された構成例を示す断面図である。 本発明の実施の形態3における放射検出器において、第1傾斜薄膜のラインと第2傾斜薄膜のラインとが重なり合うように配置された構成例を示す断面図である。 図8Aは、本発明の実施の形態4における放射検出器において、傾斜薄膜が形成された面を示す平面図であり、図8Bは、本発明の実施の形態4における放射検出器の接続電極(電磁波反射膜)が形成された面を示す平面図である。 本発明の実施例の予備的実験において、傾斜薄膜/基板の基本構造を有するデバイスに関し、電磁波が傾斜薄膜側から入射した場合と、電磁波が基板側から入射した場合とについて、傾斜薄膜内に生じた起電力の経時変化を示すグラフである。 異方熱電効果を説明するための座標系の図である。 異方熱電効果を利用した熱電変換デバイスの基本構造を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されない。また、以下の実施の形態では、同一部材に同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における放射検出器の一構成例を示す断面図である。本実施の形態の放射検出器1は、傾斜基板11と、傾斜基板11の第1主面上に配置された第1傾斜薄膜12と、傾斜基板11の第1主面と反対側の第2主面上に配置された第2傾斜薄膜13と、を備えている。すなわち、放射検出器1は、傾斜基板11の表裏面の両方に傾斜薄膜が設けられた、傾斜薄膜/基板/傾斜薄膜のヘテロ構造を有している。
傾斜基板11の低指数面14は、基板表面に対して角度βで傾斜している。第1傾斜薄膜12は、異方性の基準となる結晶面(以下、基準結晶面と略記する。)15を有している。基準結晶面15は、傾斜基板11の第1主面に対して傾斜していて、互いに平行に並んでいる。第2傾斜薄膜13は、基準結晶面16を有している。基準結晶面16は、傾斜基板11の第2主面に対して傾斜していて、互いに平行に並んでいる。
第1傾斜薄膜12上には、基準結晶面15が傾斜して並んでいる方向20について互いに対向する、第1取り出し電極17及び接続電極18が配置されている。第1取り出し電極17は、方向20における第1傾斜薄膜12の一方の端部側に配置されており、接続電極18は、方向20における第1傾斜薄膜12の他方の端部側に配置されている。接続電極18は、第1傾斜薄膜12上から放射検出器1の側面を伝って、第2傾斜薄膜13上の端部まで延びる構成を有する。さらに、第2傾斜薄膜13上には、接続電極18の位置から基準結晶面16が傾斜して並んでいる方向21に沿って第2傾斜薄膜13の端部まで進んだ位置に、第2取り出し電極19が配置されている。すなわち、本実施の形態では、第1取り出し電極17と接続電極18とが、本発明の放射検出器における第1電極対に相当し、接続電極18と第2取り出し電極19とが、本発明の放射検出器における第2電極対に相当する。
第1傾斜薄膜12に電磁波22が入射すると、第1傾斜薄膜12内には厚さ方向に温度勾配が発生する。その結果生じる起電力の方向は、基準結晶面15が傾斜して並んでいる方向20、すなわち第1電極対を構成する第1取り出し電極17と接続電極18とが対向する方向となる。基準結晶面15は、第1取り出し電極17と接続電極18とが対向する方向に対して、傾斜角α1で傾斜している。
一方、第2傾斜薄膜13に電磁波22が入射すると、第2傾斜薄膜13内には厚さ方向に温度勾配が発生する。その結果生じる起電力の方向は、基準結晶面16が傾斜して並んでいる方向21、すなわち第2電極対を構成する接続電極18と第2取り出し電極19とが対向する方向となる。基準結晶面16は、接続電極18と第2取り出し電極19とが対向する方向に対して、傾斜角α2で傾斜している。
第1傾斜薄膜12の基準結晶面15の傾斜角α1と、第2傾斜薄膜13の基準結晶面16の傾斜角α2とは、傾斜基板11の低指数面14の傾斜角βに応じて決定され、α1,α2=β±θ(θ:0〜10度)となる。放射検出器1においては、傾斜角α1及び傾斜角α2は、10°以上80°以下であればよく、好ましくは25°以上80°以下である。これにより、検出感度の高い放射検出器1を実現できる。なお、第1傾斜薄膜12と第2傾斜薄膜13とが同じ熱電変換材料からなる場合、角度α1と角度α2とは同じ角度となる。
以上のような構成により、放射検出器1において、第1取り出し電極17から、第1傾斜薄膜12、接続電極18、第2傾斜薄膜13、第2取り出し電極19へと、電流が流れる経路をたどると、その経路において、第1傾斜薄膜12の基準結晶面15と第2傾斜薄膜13の基準結晶面16とは、単一方向に傾斜していることになる(電流が流れる経路において、基準結晶面が下がっていく方向(又は上がっていく方向)が単一である。)。すなわち、第1傾斜薄膜12と第2傾斜薄膜13とは、基準結晶面が単一の傾斜方向からなる直列接続を形成する。
このような放射検出器1に、第1傾斜薄膜12の表面から電磁波22が入射すると、電磁波22は第1傾斜薄膜12で一部が吸収された後、透過波として、傾斜基板11、第2傾斜薄膜13へと入射される。透過波として第2傾斜薄膜13へと入射された電磁波22は、第2傾斜薄膜13でさらにその一部が吸収される。詳細は後述する実施例で述べるが、傾斜薄膜12,13で電磁波22が吸収されると、電磁波22の進行方向に関わらず、傾斜薄膜12,13内に生じる温度勾配は、空気と傾斜薄膜12,13との界面23側が高く、傾斜薄膜12,13と傾斜基板11との界面24側が低くなるように発生する。従って、上記構造において、第1傾斜薄膜12の表面から電磁波22が入射すると、第1傾斜薄膜12及び第2傾斜薄膜13のいずれにおいても、空気と傾斜薄膜12,13との界面23が、傾斜薄膜12,13と傾斜基板11との界面24に対して高温になる。その結果発生する熱起電力により、第1傾斜薄膜12内では、接続電極18側が第1取り出し電極17側に対して高電位になり、一方、第2傾斜薄膜13内では、第2取り出し電極19側が接続電極18側に対して高電位になる。ただし、この起電力の向きは、第1傾斜薄膜12及び第2傾斜薄膜13がp型材料の場合である。放射検出器1による電磁波の検出は、第1取り出し電極17と第2取り出し電極19との間の電位差を測定することによって行われる。すなわち、放射検出器1では、第1傾斜薄膜12と第2傾斜薄膜13との両方で発生した起電力の合計が、電磁波の検出に用いられることになる。
放射検出器1では、入射される電磁波22によって発生する熱起電力を第1取り出し電極17及び第2取り出し電極19を介して読み取ることで、電磁波の検出を行う。したがって、基板の両主面上に傾斜薄膜が設けられた構成を有する放射検出器1は、基板の一方の主面のみに傾斜薄膜が設けられた従来の構成と比較して、第2傾斜薄膜13において発生する起電力の分だけ、電磁波に対する感度が向上することになる。
次に、放射検出器1の各構成要素の材料及びその作製方法について、具体的に説明する。
傾斜基板11には、Al23基板(サファイア基板)、SrTiO3、MgO、LaAlO3、SiO2及びSiなどが使用できる。
第1傾斜薄膜12及び第2傾斜薄膜13は、ゼーベック係数に異方性がある材料(異方熱電効果を有する材料)であれば、特に限定されない。具体的には、CaxCoO2、SrxCoO2、NaxCoO2、Ca3Co49及びSr3Co49などの層状コバルト酸化物(ただし、xは、CaxCoO2及びSrxCoO2においては0.15≦x≦0.5を満たし、NaxCoO2においては0.15≦x≦1を満たす。)や、YBa2Cu37-δなどの層状ペロブスカイト構造を持つ材料(ただし、δは酸素欠損量で、0≦δ≦0.7を満たす。)が好適に用いられる。なお、第1傾斜薄膜12と第2傾斜薄膜13とは、同じ熱電変換材料から形成されていてもよいし、異なる熱電変換材料から形成されていてもよい。
第1傾斜薄膜12及び第2傾斜薄膜13を作製する方法は、特に限定されない。スパッタ法、蒸着法、レーザーアブレーション法及び化学的気相成長法などの気相成長によるもの、あるいは液相からの成長など、種々の方法が適用可能である。
放射検出器1における第1取り出し電極17、接続電極18及び第2取り出し電極19は、電気伝導の良い材料であればよく、その材料は特に限定されない。具体的には、Cu、Ag、Mo、Al、Ti、Cr、Au、Pt及びInなどの金属、TiNなどの窒化物、及び、スズ添加酸化インジウム(ITO)及びSnO2などの酸化物が好適に用いられる。また、はんだや導電性ペーストを用いることもできる。
第1取り出し電極17及び第2取り出し電極19の作製方法は、蒸着法及びスパッタ法などの気相成長による方法他に、導電性ペーストの塗布、めっき、溶射、はんだによる接合など、様々な方法を用いることができる。
接続電極18の作製方法は、蒸着法及びスパッタ法などの気相成長による方法他に、導電性ペーストの塗布、めっき、溶射、はんだによる接合、板材や箔材又は線材の圧接や溶接など、様々な方法を用いることができる。さらに、接続電極18による第1傾斜薄膜12と第2傾斜薄膜13との接続経路は、傾斜基板11の側面に限定されるものではない。例えば傾斜基板11に設けられたスルーホールを介して第1傾斜薄膜12と第2傾斜薄膜13とが接続されるように接続電極18を設けることもできるし、接続電極18が線材のような自立可能な形態であれば中空に配置することもできる。
本実施の形態の放射検出器の別の構成例についても説明する。図2に示す放射検出器2は、図1に示した放射検出器1に対して、第2傾斜薄膜13の表面上に配置された絶縁膜25と、絶縁膜25上に配置された電磁波反射膜26とをさらに設けた構成を有する。なお、電磁波反射膜26とは、被測定電磁波に対して高い反射率(例えば75%以上の反射率)を有する膜である。この構成によれば、放射検出器2に対して第1傾斜薄膜12の表面から入射された電磁波22をさらに効率よく利用できる。すなわち、入射された電磁波22のうち、第1傾斜薄膜12、傾斜基板11及び第2傾斜薄膜13で吸収されなかった余剰の電磁波は、電磁波反射膜26で反射されて、再度、第2傾斜薄膜13及び第1傾斜薄膜12へと入射される。第2傾斜薄膜13及び第1傾斜薄膜12において、反射された電磁波がさらに熱起電力に変換される。その結果、放射検出器2では、電磁波反射膜26が設けられていない構成に比べて、放射検出器としての感度がさらに向上する。なお、電磁波反射膜26が絶縁体で構成されている場合は、絶縁膜25は特に設ける必要はない。すなわち、放射検出器2のように電磁波22が第1傾斜薄膜12側から入射される構成の場合、電磁波反射膜26は、第2傾斜薄膜13に対して第1傾斜薄膜12側と反対側に配置されればよい。
絶縁膜25は、電気伝導の悪い材料であれば特に限定されない。具体的には、Si及びGeなどの半導体でもよいし、あるいは、Al23、SiO2、MgO及びSrTiO3などの酸化物絶縁体でもよい。ただし、被測定電磁波に対して透過率の高い材料であることが望ましい。また、電磁波反射膜26は、被測定電磁波に対して反射率の高い材料からなる膜であればよく、材料は特に限定されない。絶縁膜25及び電磁波反射膜26の作製方法としては、蒸着法及びスパッタ法などの気相成長による方法の他に、めっき及び溶射など、様々な方法を用いることができる。
本実施の形態の放射検出器の製造方法は、傾斜薄膜/基板/傾斜薄膜のヘテロ構造を実現できる方法であればよく、上記方法に特に限定されない。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における放射検出器の一構成例を示す断面図である。本実施の形態の放射検出器3は、傾斜基板31と、傾斜基板31の第1主面上に配置された傾斜薄膜32と、傾斜基板31の第1主面と反対側の第2主面上に配置された電磁波反射膜33と、を備えている。
傾斜基板31の低指数面34は、基板表面に対して角度βで傾斜している。傾斜薄膜32は、基準結晶面35を有している。基準結晶面35は、傾斜基板31の第1主面に対して傾斜していて、互いに平行に並んでいる。
傾斜薄膜32上には、電極対として、第1取り出し電極36と第2取り出し電極37とが設けられている。第1取り出し電極36と第2取り出し電極37とは、傾斜薄膜32の基準結晶面35が第1主面に対して傾斜して並んでいる方向40について、互いに対向している。
傾斜薄膜32に電磁波22が入射すると、傾斜薄膜32内には厚さ方向に温度勾配が発生する。その結果生じる起電力の方向は、基準結晶面35が傾斜して並んでいる方向40、すなわち電極対を構成する第1取り出し電極36と第2取り出し電極37とが対向する方向となる。基準結晶面35は、第1取り出し電極36と第2取り出し電極37とが対向する方向に対して、傾斜角αで傾斜している。
傾斜薄膜32の基準結晶面35の傾斜角αは、傾斜基板31の低指数面34の傾斜角βに応じて決定され、α=β±θ(θ:0〜10度)となる。放射検出器3においては、傾斜角αは、10°以上80°以下であればよく、好ましくは25°以上80°以下である。これにより、検出感度の高い放射検出器3を実現できる。
傾斜基板31は、実施の形態1で説明した傾斜基板11と同様の構成を有しており、同様の基板を利用できる。
傾斜薄膜32は、実施の形態1で説明した第1傾斜薄膜12及び第2傾斜薄膜13と同様の構成を有し、同様の材料及び作製方法を利用できる。
電磁波反射膜33は、被測定電磁波に対して高い反射率(例えば75%以上の反射率)を有する膜であればよく、材料は特に限定されない。電磁波反射膜33の作製方法としては、蒸着法及びスパッタ法などの気相成長による方法の他に、めっき及び溶射など、様々な方法を用いることができる。
第1取り出し電極36及び第2取り出し電極37は、実施の形態1で説明した第1取り出し電極17及び第2取り出し電極19と同様の材料及び作製方法を利用できる。
実施の形態1でも説明したように、傾斜薄膜32で電磁波22が吸収されると、電磁波22の進行方向に関わらず、傾斜薄膜32内の温度勾配は、空気と傾斜薄膜32との界面38側が高く、傾斜薄膜32と傾斜基板31との界面39側が低くなるように発生する。したがって、傾斜薄膜32と空気との界面38側から入射して傾斜薄膜32で吸収された電磁波22に起因して生じる温度勾配方向は、傾斜薄膜32及び傾斜基板31を透過して電磁波反射膜33で反射され、傾斜薄膜32と傾斜基板31との界面39側から再び傾斜薄膜32に入射して傾斜薄膜32で吸収された電磁波に起因して生じる温度勾配方向と同じ方向になる。したがって、これらの温度勾配によって生じる熱起電力は同じ方向となる。このように、放射検出器3では、一旦は傾斜薄膜32を透過した余剰の電磁波が、電磁波反射膜33によって反射されて再び傾斜薄膜32に入射して有効に利用される。そのため、放射検出器3は、電磁波反射膜33が設けられていない従来の放射検出器と比較して、感度が向上する。放射検出器3よる電磁波の検出は、第1取り出し電極36と第2取り出し電極37との間の電位差を測定することによって行われる。
(実施の形態3)
実施の形態3における放射検出器は、実施の形態1と同様の方法で作製される、傾斜薄膜(第1傾斜薄膜)/基板/傾斜薄膜(第2傾斜薄膜)の構造を有している。さらに、第1傾斜薄膜及び第2傾斜薄膜が共に、複数の独立したライン状にパターニングされている。ライン状のパターンは、互いに平行となっている。図4Aは、実施の形態3における放射検出器において、第1傾斜薄膜が形成された面を示す平面図であり、図4Bは、実施の形態3における放射検出器において、第2傾斜薄膜が形成された面を示す平面図である。なお、第1傾斜薄膜及び第2傾斜薄膜の基準結晶面は、傾斜基板による傾斜方向の制限があるため、すべて単一方向に傾斜する。
図4Aに示すように、傾斜基板11の第1主面上に配置される第1傾斜薄膜は、第1ライン41−1、第2ライン41−2、第3ライン41−3、…と、複数の独立したラインとして形成されている。第1ライン41−1上には、第1ライン41−1の基準結晶面が前記第1主面に対して傾斜して並んでいる方向46について、互いに対向する第1電極対(第1取り出し電極43と第1接続電極44−1)が配置されている。第2ライン41−2上には、第2ライン41−2の基準結晶面が前記第1主面に対して傾斜して並んでいる方向46について、互いに対向する第1電極対(第2接続電極44−2と第3接続電極44−3)が配置されている。第3ライン41−3、第4ライン41−4、…についても同様に、各ライン上には、基準結晶面が傾斜して並んでいる方向46について互いに対向する第1電極対が配置されている。本実施の形態では、第1傾斜薄膜の最終ラインである第7ライン41−7上には、第1電極対として、第12接続電極44−12と取り出し電極45とが配置されている。
図4Bに示すように、傾斜基板11の第2主面上に配置される第2傾斜薄膜は、第1ライン42−1、第2ライン42−2、第3ライン42−3、…と、複数の独立したラインとして形成されている。第1ライン42−1上には、第1ライン42−1の基準結晶面が前記第2主面に対して傾斜して並んでいる方向47について、互いに対向する第2電極対(第1接続電極44−1と第2接続電極44−2)が配置されている。第2ライン42−2上には、第2ライン42−2の基準結晶面が前記第2主面に対して傾斜して並んでいる方向47について、互いに対向する第2電極対(第3接続電極44−3と第4接続電極44−4)が配置されている。第3ライン42−3、第4ライン42−4、…についても同様に、各ライン上には、基準結晶面が傾斜して並んでいる方向47について互いに対向する第2電極対が配置されている。
図4A及び図4Bに示すように、第1傾斜薄膜の第1ライン41−1は、第1接続電極44−1を介して、第2傾斜薄膜の第1ライン42−1に接続される。第1接続電極44−1は、第1傾斜薄膜の第1ライン41−1上から放射検出器の側面を伝って、第2傾斜薄膜の第1ライン42−1上の端部まで延びる構成を有する。さらに、第2傾斜薄膜の第1ライン42−1は、第2接続電極44−2を介して、第1傾斜薄膜の第2ライン41−2に接続される。第2接続電極44−2は、第1接続電極44−1とは逆側の側面を伝って、第1傾斜薄膜の第2ライン41−2上の端部まで延びる構成を有する。このように、第1傾斜薄膜のラインと第2傾斜薄膜のラインとは、直列接続を繰り返し、最終的には、直列接続体の両端に配置される第1取り出し電極43及び第2取り出し電極45を介して、電磁波の入射に伴って発生する起電力を取り出す。
異方熱電効果によって発生する起電力の大きさは、傾斜薄膜のライン幅には依存せず、測定端子間における傾斜薄膜ラインの全長に依存する。したがって、本実施の形態の放射検出器のように、基準結晶面が単一方向に傾斜した傾斜薄膜の複数個(N個)のラインを直列に接続することで、1個の傾斜薄膜のラインからなる放射検出器と比較して、起電力をN倍増大させることができる。
また、本実施の形態の放射検出器は、傾斜基板11の表裏面の両方に傾斜薄膜が設けられる構成であるため、第1接続電極44−1、第2接続電極44−2、…のように、放射検出器の側面を利用して傾斜薄膜のラインの直列接続を実現できる。これにより、限られた面積内で接続電極を配置するために傾斜薄膜のライン数を少なくする必要がないので、従来の構成と比較して直列接続されるラインの本数を増やすことができ、大きい起電力を確保できる。
詳しく説明すると、複数のラインを直列接続する構成を傾斜基板の一つの主面上で実現するには、傾斜基板上に作製した傾斜薄膜を平行なライン状にパターニングし、隣り合うラインを、それぞれ起電力が打ち消し合わないように接続する必要がある。一方、傾斜薄膜の基準結晶面の傾斜方向は、通常、図11に示すように、傾斜基板111の低指数面116の傾斜方向(面116が傾斜して並んでいる方向120)に依存する(非特許文献2参照)。したがって、傾斜基板の同一面上に作製した傾斜薄膜を互いに平行なライン状にパターニングすると、傾斜基板上において、すべてのラインは、その基準結晶面が同一方向に傾斜するように配置される。この状態で、すべてのラインを起電力が打ち消し合わないように直列接続するには、図5に示すように、傾斜薄膜のライン51の間を縫う形で、接続電極52を傾斜基板53の表面上に形成する必要がある。その結果、接続電極52の幅だけ、傾斜薄膜のライン51が取り得るスペースが小さくなる。したがって、傾斜基板53上でパターニング可能となる傾斜薄膜のライン51の総数(直列接続されるラインの総数)が制限される。さらに、図5に示すような直列接続体に電磁波が入射する場合を考える。この場合、傾斜薄膜のライン51が覆う部分に照射される電磁波は熱起電力に変換されるものの、それ以外の部分(電極部分、間隙部分)に照射される電磁波は、熱起電力に変換されない。
図4A及び図4Bと、図5とを比較するとわかるように、傾斜基板の表裏面を利用して傾斜薄膜のラインの直列接続体を実現すると、傾斜基板の片面だけを利用して直列接続体を実現した場合に比べ、直列接続される傾斜薄膜のライン数を大幅に増大させることができる。具体的には、傾斜基板の片面だけを利用した場合に比べ、直列接続の総数を約4倍増やすことができ、大幅な感度向上が達成できる。
なお、図4A及び図4Bに示す放射検出器のI−I線断面において、第1傾斜薄膜のライン41−1、41−2、…と、第2傾斜薄膜のライン42−1、42−2、…とが重なり合わないように配置すると(図6参照)、重なり合う配置(図7参照)に比べて、素子に入射した電磁波22は効率良く利用され、感度の向上が得られる。これは、第1傾斜薄膜と第2傾斜薄膜のラインが重なり合う配置にした場合、隣り合うラインの間隙に入射した電磁波22の成分は、熱起電力に変換されないためである。なお、第1傾斜薄膜と第2傾斜薄膜のラインは完全に重なり合わない設計にする必要はなく、わずかでも重なり合わない面積があれば、完全に重なり合う配置に比べて、電磁波は効率よく利用されることになる。
また、ライン状の傾斜薄膜を直列接続する本実施の形態の放射検出器においても、図2に示すような、第2傾斜薄膜の表面上に絶縁膜を介して電磁波反射膜を設ける構成を適用できる。電磁波反射膜を設けることにより、入射した電磁波がより有効に利用されるので、さらなる感度の向上が得られる。なお、実施の形態1で説明したのと同様に、電磁波反射膜が絶縁性を有する場合は、絶縁膜を設けずに、第2傾斜薄膜上に電磁波反射膜を直接配置してもよい。
本実施の形態の放射検出器における第1傾斜薄膜のライン41−1、41−2、…は、実施の形態1で説明した第1傾斜薄膜12と同様の材料及び作製方法を利用できる。
本実施の形態の放射検出器における第2傾斜薄膜のライン42−1、42−2、…は、実施の形態1で説明した第2傾斜薄膜13と同様の材料及び作製方法を利用できる。
本実施の形態の放射検出器における第1取り出し電極43、接続電極(第1接続電極44−1、第2接続電極44−2、…)及び第2取り出し電極45は、実施の形態1で説明した第1取り出し電極17、接続電極18及び第2取り出し電極19と、それぞれ同様の材料及び作製方法を利用できる。さらに、接続電極の構成も、実施の形態1の接続電極18の構成と同様に、傾斜基板11に設けたスルーホールを利用する構成などが利用できる。
(実施の形態4)
実施の形態4における放射検出器は、実施の形態2と同様の方法で作製される傾斜薄膜/基板/電磁波反射膜の構造を有している。さらに、傾斜薄膜が複数の独立したライン状にパターニングされている。ライン状のパターンは、互いに平行となっている。傾斜薄膜の複数のラインは、傾斜基板の裏面(第2主面)に引き回された接続電極によって直列接続されており、傾斜基板の裏面上の接続電極は、電磁波反射膜としても機能している。
図8Aは、実施の形態4における放射検出器において、傾斜薄膜が形成された面を示す平面図であり、図8Bは、実施の形態4における放射検出器において、接続電極(電磁波反射膜)が形成された面を示す平面図である。なお、傾斜薄膜の基準結晶面は、傾斜基板による傾斜方向の制限があるため、すべて単一方向に傾斜する。
図8Aに示すように、傾斜基板31の第1主面上に配置される傾斜薄膜は、第1ライン81−1、第2ライン81−2、第3ライン81−3、…と、複数の独立したラインとして形成されている。第1ライン81−1上には、第1ライン81−1の基準結晶面が前記第1主面に対して傾斜して並んでいる方向85について、互いに対向する電極対(第1取り出し電極82と第1接続電極83−1)が配置されている。第2ライン81−2上には、第2ライン81−2の基準結晶面が前記第1主面に対して傾斜して並んでいる方向85について、互いに対向する電極対(第1接続電極83−1と第2接続電極83−2)が配置されている。第3ライン81−3、第4ライン81−4、…についても同様に、各ライン上には、基準結晶面が傾斜して並んでいる方向85について互いに対向する電極対が配置されている。本実施の形態では、傾斜薄膜の最終ラインである第7ライン81−7上には、電極対として、第6接続電極83−6と第2取り出し電極84とが配置されている。
図8Bに示すように、傾斜基板31の第2主面上には、傾斜薄膜のラインを直接接続するために引き回された第1接続電極83−1、第2接続電極83−2、…が配置されている。これらの接続電極は、電磁波反射膜としても機能する。したがって、本実施の形態における接続電極は、電気伝導の良い材料から形成されていることに加え、被測定電磁波に対して高い反射率(例えば75%以上の反射率)を有する膜であることが必要となる。したがって、接続電極には、被測定電磁波に対して高い反射率を有する金属のような材料を用いることが望ましい。
本実施の形態によると、傾斜薄膜のライン(第1ライン81−1、第2ライン81−2、…)を透過した余剰の電磁波は、裏面の接続電極(第1接続電極83−1、第2接続電極83−2、…)で反射され、再度傾斜薄膜に入射されることになる。これにより、入射電磁波を効率よく熱起電力に変換できるので、放射検出器の感度を向上させることができる。
以上の実施の形態1〜4では、傾斜薄膜/基板/傾斜薄膜、あるいは、傾斜薄膜/基板/電磁波反射膜の構造を有する本発明の熱電変換デバイスの構成を利用した本発明の放射検出器の実施の形態について説明したが、これらの説明は、本発明の熱電変換デバイスの実施の形態としても適用できる。なお、本発明の熱電変換デバイスの構成は、放射検出器だけでなく、例えば、熱発電素子及びレーザーパワーメーターなどにも利用できる。
以下、本発明のより具体的な実施例を説明する。
(予備的実験)
傾斜薄膜/基板のへテロ構造から構成される放射検出器の基本構造(図11参照)において、傾斜薄膜に対する電磁波の入射方向と、傾斜薄膜に発生する起電力の極性との関係を確認するための予備的実験を行った。
Al23−n面基板の一方の主面上に、膜厚が150nmのCaxCoO2薄膜を作製した。
Al23−n面基板は、Al23(11−23)面が表面に切り出されており、Al23(0001)面が表面に対して61°傾斜している(β=61°)。CaxCoO2は、導電性のCoO2層((001)面に対応)と絶縁性のCaxブロック層とが交互に積層した結晶構造を有することから、CoO2面内のゼーベック係数Sabと、その垂直方向(CaxCoO2のc軸方向に対応)のゼーベック係数Scに異方性を有する。したがって、CaxCoO2における基準結晶面は、(001)面になる。なお、CaxCoO2のΔS(ΔS=Sc-Sab)は、約35μV/Kである。
CaxCoO2薄膜の作製には、高周波(RF:radio frequency)マグネトロンスパッタを使用した。スパッタのターゲットには、CaとCoのモル比が1:1になるように混合したターゲットを使用した。成膜チャンバー内を1.0×10-3Pa以下まで排気した後、アルゴン(96%)、酸素(4%)の混合ガスを導入してチャンバー内のガス圧を5Paに固定した。この状態で抵抗加熱ヒーターによりAl23基板を450℃に加熱した後、RFパワー100WでAl23基板上にCaxCoO2薄膜をスパッタ蒸着した。薄膜の堆積後は、前記と同様のアルゴン及び酸素の混合ガスの導入下(5Pa)で、60分かけて室温まで冷却した。
作製したCaxCoO2薄膜の陽イオン組成比をエネルギー分散型X線分析装置で評価したところ、Ca、Coの組成比は、ほぼ1:2(x≒0.5に対応)であった。X線回折測定により、CaxCoO2薄膜の配向性を調べたところ、CaxCoO2の(001)面は基板表面に対して62度傾斜して積層していることがわかった。すなわちCaxCoO2薄膜の傾斜角αは62°であった。
このようにして得られた傾斜薄膜であるCaxCoO2薄膜の表面に、真空蒸着法により、Auからなる1組の電極対を形成して、図11に示すような放射検出器の基本構造を作製した。Au電極対は、CoO2面の基準結晶面が傾斜して並んでいる方向と平行な方向について互いに対向するように配置し、電極間の幅は6mmにした。ただし、この電極間の幅は用途や設置場所などに応じて最適化でき、6mmに限定されるものではない。
上記構成からなる放射検出器の基本特性を評価するため、赤外線ランプ(波長800〜2000nm)から発生される電磁波を2つの方法で入射し、Au電極対間で生じる起電力を測定した。2つの方法とは、(i)空気とCaxCoO2薄膜との界面側から放射検出器に入射した場合、及び、(ii)空気とAl23基板との界面側から放射検出器に入射した場合である。図9に、赤外線ランプのパワーを300mWとして、膜厚150nmのCaxCoO2薄膜に対して測定した結果を示す。図9は、電磁波の入射及び遮断による起電力の経時変化を示すグラフである。
図9に示す結果から、赤外線ランプをいずれの方向から入射しても、ランプを照射している間、共に正の値の起電力が発生していることがわかった。通常、ある熱電変換材料からなる試料に電磁波が入射されると、電磁波の吸収量は、電磁波入射面近傍で最も大きくなり、試料に侵入するに従って小さくなる。したがって、試料内部における温度勾配は、電磁波の入射方向に一致することが予想される。一方、異方熱電効果によって発生する起電力の極性は、キャリアの種類(p型かn型か)及び基準結晶面の傾斜方向が同一であれば、温度勾配の方向に依存する。したがって、上記測定条件では、電磁波の入射方向が逆転すると、異方熱電効果によって発生する起電力の極性も反転することが予想される。
しかしながら、図9に示すように、本発明者らは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造において、CaxCoO2薄膜に入射する電磁波が、空気とCaxCoO2薄膜との界面から入射する場合でも、CaxCoO2薄膜とAl23基板との界面(空気とAl23基板との界面)側から入射する場合でも、発生する起電力の極性が同一になることを見出した。すなわち、いずれの方向から電磁波を入射しても、CaxCoO2薄膜内部において定常的に発生する温度勾配は同一方向になり、空気とCaxCoO2薄膜との界面側が、CaxCoO2薄膜とAl23基板との界面側に対して高温になることを見出した。
本発明者らは、この特性を利用して、Al23基板の両主面上に、CaxCoO2のような熱電変換材料からなる傾斜薄膜を配置した、図1に示すような構造を考案した。
(実施例1及び比較例1)
実施例1の放射検出器として、図1に示す構造と同様の構造を有するサンプルを作製した。
傾斜基板として、上記予備的実験の場合と同様のAl23−n面基板を用いた。Al23−n面基板の両主面上に、第1傾斜薄膜12及び第2傾斜薄膜13として、上記予備的実験と同様の方法でCaxCoO2薄膜を形成した。第1傾斜薄膜12及び第2傾斜薄膜13の膜厚は互いに同一とし、10nm、70nm、150nm、400nm、600nm、1100nmの膜厚を有するCaxCoO2薄膜を、それぞれ作製した。X線回折測定によって結晶配向性を調べたところ、第1傾斜薄膜12としてのCaxCoO2薄膜(以下、第1CaxCoO2薄膜という。)及び第2傾斜薄膜13としてのCaxCoO2薄膜(以下、第2CaxCoO2薄膜という。)共に、CaxCoO2(001)面が、基板表面に対して62度傾斜して積層していることがわかった。すなわち、第1傾斜薄膜12の傾斜角α1及び第2傾斜薄膜13の傾斜角α2は、共に62°であった。
このようにして得られた第1CaxCoO2薄膜の表面に、真空蒸着法により、Auからなる第1取り出し電極17及び接続電極18を形成した。第1取り出し電極17と接続電極18は、基準結晶面であるCaxCoO2(001)面が傾斜して並んでいる方向について互いに対向し、且つ両者の間の距離が6mmになるように形成した。接続電極18を素子(傾斜薄膜/基板/傾斜薄膜の構造体)の側面に形成する際は、Auターゲットに対して素子を傾斜させた。同様の方法で、第2CaxCoO2薄膜の表面に、素子の側面から連続する接続電極18と第2取り出し電極19とを形成した。接続電極18と第2取り出し電極19とは、基準結晶面であるCaxCoO2(001)面が傾斜して並んでいる方向について互いに対向し、且つ両者の間の距離が6mmになるように形成した。なお、これらの電極パターンは、Au蒸着時にAl23基板表面にメタルマスクを被せることでパターニングした。
このように作製したCaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜のヘテロ構造を有する放射検出器のサンプルを、実施例1のサンプルとした。
一方、予備的実験の場合と同様の方法で、傾斜薄膜(CaxCoO2薄膜)の膜厚が10nm、70nm、150nm、400nm、600nm、1100nmである、図11に示す構成の放射検出器のサンプルをそれぞれ作製し、比較例1のサンプルとした。
実施例1のサンプルに対して、それぞれ赤外線ランプ(波長800〜2000nm)から発生される電磁波を第1CaxCoO2薄膜側から入射して、第1取り出し電極17と第2取り出し電極19との間で生じる起電力を測定した。一方、比較例1のサンプルに対しても、それぞれ赤外線ランプ(波長800〜2000nm)から発生される電磁波をCaxCoO2薄膜側から入射して、Au電極対間で生じる起電力を測定した。赤外線ランプのパワーは480mWであった。結果は、表1に示すとおりである。
Figure 0005256321
実施例1及び比較例1について、同じ膜厚のCaxCoO2薄膜で構成されるサンプル同士を比較すると、CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜のヘテロ構造を有する実施例1のサンプルは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例1のサンプルに比べて、最大1.36倍の感度向上が確認された。
(実施例2及び比較例2)
実施例2の放射検出器として、Al23−n面基板の代わりにAl23−s面基板を用いた以外は、実施例1と同様の方法で各サンプルを作製した。また、実施例2と比較するために、Al23−n面基板の代わりにAl23−s面基板を用いた以外は比較例1と同様の方法で作製された、比較例2のサンプルも準備した。実施例2及び比較例2のサンプルに対しても、実施例1及び比較例1の場合と同様の方法で、電磁波の入射によって発生する起電力を測定した。なお、Al23−s面基板は、Al23(10−11)面が表面に切り出されており、Al23(0001)面が表面に対して72°傾斜している(β=72°)。また、Al23−s面基板上に作製したCaxCoO2薄膜の陽イオン組成比をエネルギー分散型X線分析装置で評価したところ、Ca、Coの組成比は、ほぼ1:2(x≒0.5に対応)であった。X線回折測定により、第1CaxCoO2薄膜及び第2CaxCoO2薄膜の配向性を調べたところ、CaxCoO2(001)面は基板表面に対して70°傾斜して積層していることがわかった。すなわち、第1傾斜薄膜12の傾斜角α1及び第2傾斜薄膜13の傾斜角α2は、共に70°であった。結果を表2に示す。
Figure 0005256321
Al23−n面基板を利用した実施例1及び比較例1の結果と同様、Al23−s面基板を利用した実施例2及び比較例2の場合でも、実施例2のサンプルは、比較例2のサンプルと比較して、1.3倍程度の感度向上が実現できた。一方、実施例2の結果と、Al23−n面基板を利用した実施例1の結果との間で、それぞれのヘテロ構造で得られる起電力の絶対値を比較すると、実施例2の結果は、すべての値が実施例1の結果の約0.75倍になっていた。これは、式(1)に表されるように、この構成からなる素子によって得られる起電力が、実際にsin2αに比例していることを示している。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で、Al23−n面基板を使用して、CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜のヘテロ構造を作製した。CaxCoO2薄膜の膜厚は10nm、70nm、150nm、400nm、600nm、1100nmとし、それぞれの膜厚について、第1CaxCoO2薄膜の膜厚と第2CaxCoO2薄膜の膜厚とを同じにした。上記構造を作製した後、第2CaxCoO2の表面に、厚さ10nmのAl23膜からなる絶縁膜と、厚さ100nmのAu膜からなる電磁波反射膜を形成し、図2に示す構成と同様の構成を有するサンプルを作製した。Al23膜は、スパッタ法により、Al23ターゲットを用いて作製した。一方、Au膜は、真空蒸着法によって作製した。
このように作製した、CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜/Al23膜/Au膜のヘテロ構造を有する実施例3のサンプルの起電力を、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例1のサンプルの起電力と比較した。それぞれのサンプルについての起電力の測定は、実施例1及び比較例1の場合と同様の方法を用いた。その結果を表3に示す。
Figure 0005256321
同じ膜厚のCaxCoO2薄膜で構成されるサンプル同士を比較すると、CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜/Al23膜/Au膜のヘテロ構造を有する実施例3のサンプルでは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例1のサンプルに比べて、最大2.5倍の起電力の増大が確認された。
(実施例4)
実施例2と同様の方法で、Al23−s面基板を使用して、CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜のヘテロ構造を作製した。CaxCoO2薄膜の膜厚は10nm、70nm、150nm、400nm、600nm、1100nmとし、それぞれの膜厚について、第1CaxCoO2薄膜の膜厚と第2CaxCoO2薄膜の膜厚とを同じにした。上記構造を作製した後、さらに一方のCaxCoO2薄膜の表面に、厚さ10nmのAl23膜からなる絶縁膜と、厚さ100nmのAu膜からなる電磁波反射膜を形成し、図2に示す構成と同様の構成を有するサンプルを作製した。Al23膜は、スパッタ法により、Al23ターゲットを用いて作製した。一方、Au膜は、真空蒸着法によって作製した。
このように作製した、CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜/Al23膜/Au膜のヘテロ構造を有する実施例4のサンプルの起電力を、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例2のサンプルの起電力と比較した。それぞれのサンプルについての起電力の測定は、実施例1及び比較例1の場合と同様の方法を用いた。その結果を表4に示す。
Figure 0005256321
Al23−n面基板を利用した実施例3及び比較例1の結果と同様、同じ膜厚のCaxCoO2薄膜で構成されるサンプル同士を比較すると、CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜/Al23膜/Au膜のヘテロ構造を有する実施例4サンプルでは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例2サンプルに比べて、2.5倍程度の感度向上が実現できた。一方、実施例4の結果と、Al23−n面基板を利用した実施例3の結果との間で、それぞれのヘテロ構造で得られる起電力の絶対値を比較すると、実施例4の結果は、すべての値が実施例3の結果の約0.75倍になっていた。これは、式(1)に表されるように、この構成からなる素子によって得られる起電力が、実際にsin2αに比例していることを示している。
(実施例5及び比較例3)
Al23−n面基板を使用し、実施例1と同様の方法で、CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜のヘテロ構造を作製した。なお、CaxCoO2薄膜の膜厚は10nm、70nm、150nm、400nm、600nm、1100nmとし、それぞれの膜厚について、第1CaxCoO2薄膜の膜厚と第2CaxCoO2薄膜の膜厚とを同じにした。さらに、第1及び第2CaxCoO2薄膜を共に平行なライン状にパターニングした。その後、Al23基板の一方の主面上に形成されたCaxCoO2薄膜のラインと、Al23基板の他方の主面上に形成されたCaxCoO2薄膜のラインとを交互に直列接続させて、図4A及び図4Bに示す構成と同様の構成を有するサンプルを作製した。
CaxCoO2薄膜を平行なライン状にパターニングするために、幅100μm、長さ8mmの長方形の開口が100μm間隔で40本平行に並んだメタルマスクを使用した。上記メタルマスクをAl23基板上に被せてCaxCoO2薄膜のスパッタ蒸着を行うことで、一本が幅100μm、長さ8mmからなるCaxCoO2薄膜のラインが、Al23基板の両主面上にそれぞれ40本ずつ配置されるように形成した。真空蒸着法により、Auからなる取り出し電極と接続電極とを作製し、図4A及び図4Bに示すような直列接続体を作製した。なお、各CaxCoO2薄膜ライン上における電極間の距離が6mmになるように、各電極を形成した。このように作製されたサンプルは、受光部面積が8mm×8mm程度の大きさで、80本の長さ6mmのCaxCoO2薄膜ラインが直列接続された構成であった。
このような方法で、第1CaxCoO2薄膜のラインが、第2CaxCoO2薄膜のラインと重なるように配置したサンプルと、重ならないように配置したサンプルとの、2種類のサンプルを作製した。第1CaxCoO2薄膜のラインと第2CaxCoO2薄膜のラインとが重なるように配置したサンプルを実施例5aのサンプルとした。実施例5aのサンプルは、図7に示された構成を有していた。また、重ならないように配置したサンプルを実施例5bのサンプルとした。実施例5bのサンプルは、図6に示された構成を有していた。CaxCoO2薄膜のそれぞれの膜厚において前記2種類のサンプルを作製したため、合計12種類のサンプルを作製した。
一方、比較のために、比較例3のサンプルも作製した。まず、比較例1と同様の方法でCaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を作製した。なお、CaxCoO2薄膜の膜厚は、10nm、70nm、150nm、400nm、600nm、1100nmとした。さらに、CaxCoO2薄膜を平行なライン状にパターニングし、CaxCoO2薄膜のラインを直列接続させて、図5に示す構成と同様の構成を有する比較例3のサンプルを作製した。
比較例3では、実施例5と同じ受光部面積(8mm×8mm)でCaxCoO2薄膜の直列接続を実現するために、幅100μm、長さ8mmの長方形の開口が20本、300μm間隔で平行に並んだメタルマスクを使用して、ライン状のパターニングを行った。CaxCoO2薄膜の平行ラインの形成後、それらの直列接続を実現するために、図5に示すように隣り合うCaxCoO2薄膜ラインの間に、両方のラインから100μm離れた位置に、100μmの幅を有するAuからなる接続電極を形成した。このように作製された比較例3のサンプルは、受光部面積が8mm×8mm程度の大きさで、20本の長さ6mmのCaxCoO2薄膜ラインが直列接続された構成であった。
CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜のヘテロ構造を有する実施例5(実施例5a、実施例5b)のサンプルと、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例3のサンプルとについて、起電力を測定した。それぞれのサンプルについての起電力の測定は、実施例1及び比較例1の場合と同様の方法を用いた。その結果を表5に示す。
Figure 0005256321
同じ膜厚のCaxCoO2薄膜で構成されるサンプル同士を比較すると、CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜のヘテロ構造を有する実施例5のサンプルのうち、基板の表裏面のラインが重なる実施例5aのサンプルでは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例3のサンプルに比べて、最大2.7倍の起電力の増大が確認された。また、基板の表裏面のラインが重ならない実施例5bのサンプルでは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例3のサンプルに比べて、最大3.9倍の起電力の増大が確認された。
(実施例6及び比較例4)
Al23−s面基板を使用し、実施例2と同様の方法で、CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜のヘテロ構造を作製した。なお、CaxCoO2薄膜の膜厚は10nm、70nm、150nm、400nm、600nm、1100nmとし、それぞれの膜厚について、第1CaxCoO2薄膜の膜厚と第2CaxCoO2薄膜の膜厚とを同じにした。さらに、実施例5と同様の方法で、両方のCaxCoO2薄膜を平行なライン状にパターニングした。その後、Al23基板の一方の主面上に形成されたCaxCoO2薄膜のラインと、Al23基板の他方の主面上に形成されたCaxCoO2薄膜のラインとを交互に直列接続させて、図4A及び図4Bに示す構成と同様の構成を有するサンプルを作製した。
このような方法で、第1CaxCoO2薄膜のラインが、第2CaxCoO2薄膜のラインと重なるように配置したサンプルと、重ならないように配置したサンプルとの、2種類のサンプルを作製した。第1CaxCoO2薄膜のラインと第2CaxCoO2薄膜のラインとが重なるように配置したサンプルを、実施例6aのサンプルとした。実施例6aのサンプルは、図7に示された構成を有していた。また、重ならないように配置したサンプルを、実施例6bのサンプルとした。実施例6bのサンプルは、図6に示された構成を有していた。CaxCoO2薄膜のそれぞれの膜厚において前記2種類のサンプルを作製したため、合計12種類のサンプルを作製した。
一方、比較のために、比較例4のサンプルも作製した。まず、比較例2と同様の方法でCaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を作製した。なお、CaxCoO2薄膜の膜厚は、10nm、70nm、150nm、400nm、600nm、1100nmとした。さらに、比較例3と同様の方法で、CaxCoO2薄膜を平行なライン状にパターニングし、CaxCoO2薄膜のラインを直列接続させて、図5に示す構成と同様の構成を有する比較例4のサンプルを作製した。
CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜のヘテロ構造を有する実施例6(実施例6a、実施例6b)のサンプルと、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例4のサンプルとについて、起電力を測定した。それぞれのサンプルについての起電力の測定は、実施例1及び比較例1の場合と同様の方法を用いた。その結果を表6に示す。
Figure 0005256321
Al23−n面基板を利用した実施例5及び比較例3の結果と同様、同じ膜厚のCaxCoO2薄膜で構成されるサンプル同士を比較すると、CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜のヘテロ構造を有する実施例6のサンプルのうち、基板の表裏面のラインが重なる実施例6aのサンプルでは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例4のサンプルに比べて、最大3.0倍の起電力の増大が確認された。また、基板の表裏面のラインが重ならない実施例6bのサンプルでは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例4のサンプルに比べて、最大3.8倍の起電力の増大が確認された。一方、実施例6の結果と、Al23−n面基板を利用した実施例5の結果との間で、それぞれのヘテロ構造で得られる起電力の絶対値を比較すると、実施例6の結果は、すべての値が実施例5の結果の約0.75倍になっていた。これは、式(1)に表されるように、この構成からなる素子によって得られる起電力が、実際にsin2αに比例していることを示している。
(実施例7)
実施例5と同様の構造を有するサンプルに対し、一方のCaxCoO2薄膜の表面上に、厚さ10nmのAl23膜からなる絶縁膜、さらに厚さ100nmのAu膜からなる電磁波反射膜を配置して、実施例7のサンプルとした。実施例5と同様に、CaxCoO2薄膜の膜厚が10nm、70nm、150nm、400nm、600nm、1100nmのサンプルをそれぞれ作製した。Al23膜及びAu膜は、それぞれ、室温において、スパッタ法及び真空蒸着法で作製した。実施例5と同様に、第1CaxCoO2薄膜のラインが、第2CaxCoO2薄膜のラインと重なるように配置したサンプルと、重ならないように配置したサンプルとの、2種類のサンプルを作製した。第1CaxCoO2薄膜のラインと第2CaxCoO2薄膜のラインとが重なるように配置したサンプルを、実施例7aのサンプルとした。実施例7aのサンプルは、図7に示された構成を有していた。また、重ならないように配置したサンプルを、実施例7bのサンプルとした。実施例7bのサンプルは、図6に示された構成を有していた。CaxCoO2薄膜のそれぞれの膜厚において前記2種類のサンプルを作製したため、合計12種類のサンプルを作製した。
このように作製した実施例7のサンプルを、比較例3のサンプルと比較した。CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜/Al23膜/Au膜のヘテロ構造を有する実施例7(実施例7a、実施例7b)のサンプルと、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例3のサンプルとについて、起電力を測定した。それぞれのサンプルについての起電力の測定は、実施例1及び比較例1の場合と同様の方法を用いた。その結果を表7に示す。
Figure 0005256321
同じ膜厚のCaxCoO2薄膜で構成されるサンプル同士を比較すると、CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜/Al23膜/Au膜のヘテロ構造を有する実施例7のサンプルのうち、基板の表裏面のラインが重なる実施例7aのサンプルでは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例3のサンプルに比べて、最大5.0倍の起電力の増大が確認された。また、基板の表裏面のラインが重ならない実施例5bのサンプルでは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例3のサンプルに比べて、最大5.3倍の起電力の増大が確認された。
(実施例8)
実施例6と同様の構造を有するサンプルに対し、一方のCaxCoO2薄膜の表面上に、厚さ10nmのAl23膜からなる絶縁膜、さらに厚さ100nmのAu膜からなる電磁波反射膜を配置して、実施例8のサンプルとした。実施例6と同様に、CaxCoO2薄膜の膜厚が10nm、70nm、150nm、400nm、600nm、1100nmのサンプルをそれぞれ作製した。Al23膜及びAu膜は、それぞれ、室温において、スパッタ法及び真空蒸着法で作製した。実施例6と同様に、第1CaxCoO2薄膜のラインが、第2CaxCoO2薄膜のラインと重なるように配置したサンプルと、重ならないように配置したサンプルとの、2種類のサンプルを作製した。第1CaxCoO2薄膜のラインと第2CaxCoO2薄膜のラインとが重なるように配置したサンプルを、実施例8aのサンプルとした。実施例8aのサンプルは、図7に示された構成を有していた。また、重ならないように配置したサンプルを、実施例8bのサンプルとした。実施例8bのサンプルは、図6に示された構成を有していた。CaxCoO2薄膜のそれぞれの膜厚において前記2種類のサンプルを作製したため、合計12種類のサンプルを作製した。
このように作製した実施例8のサンプルを、比較例4のサンプルと比較した。CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜/Al23膜/Au膜のヘテロ構造を有する実施例8(実施例8a、実施例8b)のサンプルと、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例4のサンプルとについて、起電力を測定した。それぞれのサンプルについての起電力の測定は、実施例1及び比較例1の場合と同様の方法を用いた。その結果を、表8に示す。
Figure 0005256321
Al23−n面基板を利用した実施例7及び比較例3の結果と同様、同じ膜厚のCaxCoO2薄膜で構成されるサンプル同士を比較すると、CaxCoO2薄膜/Al23基板/CaxCoO2薄膜/Al23膜/Au膜のヘテロ構造を有する実施例8のサンプルのうち、基板の表裏面のラインが重なる実施例8aのサンプルでは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例4のサンプルに比べて、最大5.5倍の起電力の増大が確認された。また、基板の表裏面のラインが重ならない実施例8bのサンプルでは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例4のサンプルに比べて、最大5.7倍の起電力の増大が確認された。一方、実施例8の結果と、Al23−n面基板を利用した実施例7の結果との間で、それぞれのヘテロ構造で得られる起電力の絶対値を比較すると、実施例8の結果は、すべての値が実施例7の結果の約0.75倍になっていた。これは、式(1)に表されるように、この構成からなる素子によって得られる起電力が、実際にsin2αに比例していることを示している。
(実施例9)
実施例9の放射検出器として、図3、図8A及び図8Bに示す構造と同様の構造を有するサンプルを作製した。
Al23−n面基板を使用して、比較例1と同様の方法で、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を作製した。なお、CaxCoO2薄膜の膜厚は、10nm、70nm、150nm、400nm、600nm、1100nmとした。さらに、CaxCoO2薄膜を平行なライン状にパターニングして、図8A及び図8Bに示すように接続電極を傾斜基板の裏面に引き回すことで、CaxCoO2薄膜のラインが直列接続したサンプルを作製した。
CaxCoO2薄膜を平行なライン状にパターニングするために、幅100μm、長さ8mmの長方形の開口が100μm間隔で40本平行に並んだメタルマスクを使用した。上記メタルマスクをAl23基板上に被せてCaxCoO2薄膜のスパッタ蒸着を行うことで、一本が幅100μm、長さ8mmからなるCaxCoO2薄膜のラインが、Al23基板の一方の主面上に40本配置されるように形成した。真空蒸着法により、Auからなる取り出し電極と接続電極とを作製し、図8A及び図8Bに示すような直列接続体を作製した。なお、CaxCoO2薄膜ライン上における電極間の距離が6mmになるように、各電極を形成した。このように作製されたサンプルは、受光部面積が8mm×8mm程度の大きさで、40本の長さ6mmのCaxCoO2薄膜ラインが直列接続された構成であった。
このように作製した実施例9のサンプルを、比較例3のサンプルと比較した。CaxCoO2薄膜/Al23基板/Au膜(接続電極、兼、電磁波反射膜)のヘテロ構造を有する実施例9のサンプルと、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例3のサンプルとについて、起電力を測定した。それぞれのサンプルについての起電力の測定は、実施例1及び比較例1の場合と同様の方法を用いた。その結果を、表9に示す。
Figure 0005256321
同じ膜厚のCaxCoO2薄膜で構成されるサンプル同士を比較すると、CaxCoO2薄膜/Al23基板/Au膜(接続電極、兼、電磁波反射膜)のヘテロ構造を有する実施例9のサンプルでは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例3のサンプルに比べて、最大4倍の起電力の増大が確認された。
(実施例10)
Al23−n面基板の代わりにAl23−s面基板を用いた点以外は、実施例9と同様の構成を有するサンプルを同様の方法で作製し、実施例10のサンプルとした。
このように作製した実施例10のサンプルを、比較例4のサンプルと比較した。CaxCoO2薄膜/Al23基板/Au膜(接続電極、兼、電磁波反射膜)のヘテロ構造を有する実施例10のサンプルと、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例4のサンプルとについて、起電力を測定した。それぞれのサンプルについての起電力の測定は、実施例1及び比較例1の場合と同様の方法を用いた。その結果を、表10に示す。
Figure 0005256321
Al23−n面基板を利用した実施例9及び比較例3の結果と同様、同じ膜厚のCaxCoO2薄膜で構成されるサンプル同士を比較すると、CaxCoO2薄膜/Al23基板/Au膜(接続電極、電磁波反射膜)のヘテロ構造を有する実施例10のサンプルでは、CaxCoO2薄膜/Al23基板のヘテロ構造を有する比較例4のサンプルに比べて、最大4.5倍の起電力の増大が確認された。一方、実施例10の結果と、Al23−n面基板を利用した実施例9の結果との間で、それぞれのヘテロ構造で得られる起電力の絶対値を比較すると、実施例10の結果は、すべての値が実施例9の結果の約0.75倍になっていた。これは、式(1)に表されるように、この構成からなる素子によって得られる起電力が、実際にsin2αに比例していることを示している。
本発明にかかる放射検出器は、優れた放射検出特性を有しており、温度センサーや、レーザー光のパワーメーターなど電磁波の放射を伴う各種対象物の検出に利用可能である。

Claims (4)

  1. 連続的な電磁波を検出する方法であって、以下の工程を具備する:
    放射検出器を準備する工程、
    ここで、前記放射検出器は、薄膜、基板、電磁波反射膜、第1電極、および第2電極を
    具備し、
    前記基板は、前記薄膜および前記電磁波反射膜の間に挟まれており、
    前記薄膜は、結晶体であり、ゼーベック係数に異方性を有し、かつ前記異方性を発現さ
    せる基準となる結晶面を有し、
    前記基板は結晶体であり、
    前記薄膜の前記結晶面と前記基板の表面とが形成する角度αは、10°以上80°以下
    であり、
    前記基板の低指数面と前記基板の表面とが形成する角度βは、10°以上80°以下で
    あり、
    前記第1電極および前記第2電極は前記薄膜に電気的に接続され、
    および
    前記第1電極と前記第2電極との間の電位差を検出し、前記電位差が検出されれば前記
    放射検出器に連続的な電磁波が照射されたことが決定される工程。
  2. 連続的な電磁波を検出する放射検出器であって、
    前記放射検出器は、薄膜、基板、電磁波反射膜、第1電極、および第2電極を具備し、
    前記基板は、前記薄膜および前記電磁波反射膜の間に挟まれており、
    前記薄膜は、結晶体であり、ゼーベック係数に異方性を有し、かつ前記異方性を発現さ
    せる基準となる結晶面を有し、
    前記基板は結晶体であり、
    前記薄膜の前記結晶面と前記基板の表面とが形成する角度αは、10°以上80°以下
    であり、
    前記基板の低指数面と前記基板の表面とが形成する角度βは、10°以上80°以下で
    あり、
    前記第1電極および前記第2電極は前記薄膜に電気的に接続される、
    放射検出器。
  3. 前記第1電極および前記第2電極が、Al、Cu、Ag、またはAuからなる、請求項
    2に記載の放射検出器。
  4. 前記薄膜が、CaxCoO2、SrxCoO2、NaxCoO2、Ca3Co49、Sr3Co
    49又はYBa2Cu37-δ(ただし、xは、CaxCoO2及びSrxCoO2においては
    0.15≦x≦0.5を満たし、NaxCoO2においては0.15≦x≦1を満たし、δ
    は酸素欠損量で、0≦δ≦0.7を満たす。)からなる、
    請求項2に記載の放射検出器。
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