JP5256206B2 - 後部外科アクセスのための横隔膜進入 - Google Patents

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Description

(発明の分野)
本発明の各実施形態は、低侵襲性手術のための方法と、このような方法に有用な装置とに関する。さらに詳細には、本願明細書に記載の方法および装置は、心臓への低侵襲性外科アクセス中に、外科的手順、例えば心臓組織の焼灼および/または凝固を実施するための、体腔内部でのアクセスの改善を可能にする。記載されている横隔膜アクセスは、胸腔内の解剖学的構造、例えば左心房後部、肺静脈の後側面、または他の何れか同様の解剖学的構造についての直接の視認を提供する。一部の変形例においては、この方法による胸腔へのアクセスは、心房細動、心房粗動、心室性頻拍症、または他の不整脈基質を引き起こし、そして持続させるウェーブレットの伝搬を防止できる曲線状の経壁損傷を確実に作り出すための凝固プローブの操作を容易にする。
(関連技術の記述)
現在、胸腔へのアクセスをもたらす手順は、胸壁の切開を伴う。例えば、このような手順は、胸骨正中切開、開胸、胸郭開口、またはミニ胸骨切開を含む。一般に、これらの手術手技は、胸部空間内の心臓および/または他の臓器にアクセスするために肺を収縮または陥凹させる必要がある。
胸骨正中切開は、医師に対して最大の露出を提供する。この手順において、外科医は、胸骨を通る正中切開により、骨に沿って切断し、胸骨を2つの部分に分ける。胸骨正中切開では、心臓を手で持ち上げて操作できるが、心臓をかなり回転させるか、または持ち上げない限り、心臓または他の臓器の後面は依然として容易には視認できない。しかしながら、心臓を大きく回転させるか、または持ち上げると、心拍動下手順中に望ましくない血流力学的な問題を引き起こし得る。この手順の後、外科医は胸骨正中切開部を大径の金属ワイヤで閉じる。再接合された組織は、治癒プロセス中に安定を保つ必要がある。これは、骨折のリハビリテーション中に不動に保持しなければならないのと同様である。咳または急激な動きは如何なるものであっても、胸が動くために、患者にとっては極めて大きな苦痛をもたらす。胸骨正中切開後のリハビリテーションは、かなりの期間を要することは明らかである。
開胸手技は、胸腔にアクセスするために肋骨の間を大きく切開する(あるいは、ミニ開胸手術では小さく切開する)。切開後、さまざまな器具を挿入するための空間を作るために、外科医は肋骨延展器を用いて肋骨を離隔する。開胸中には、胸を覆っている筋肉を切断する必要がある。リハビリテーションプロセス中の痛みの大半は、筋肉の切断によるものである。開胸術によってもたらされる心臓へのアクセスおよび視認は、内視鏡を用いない限り、限られたものである。しかも、内視鏡を使用したとしても、心臓および肺の後部領域へのアクセスは限られている。その理由は、これらの臓器は持ち上げることも回転することも簡単ではないからである。
胸郭開口手技は、開胸中に作り出した空間を通るポートを使用する。外科医は、胸腔にアクセスするためにトロカール(例えば、6〜10mmの)を用いる。心臓の前面へのアクセスは、通常、この手法で十分である。ただし、この手法は、心臓または他の臓器の後部領域への準備の整ったアクセスまたは視認を提供しない。
剣状突起下手技において、外科医は、剣状突起の下、かつ横隔膜の上を切開する。この手法は、心内膜液滲出またはタンポナーデ中に血液を心膜腔から除去する心膜穿刺術において一般的である。剣状突起下手技中に、心臓の操作または心臓後面へのアクセス時に、横隔膜は遮断壁および障害物となる。したがって、剣状突起下手技は、心室の前部または先端領域を対象とした手順に限られることが多い。
記載されている従来の手術手技では、医師は胸腔内の解剖学的構造を十分に視認できない。例えば、これらの手順では、心臓または肺の後面に沿って、または隣接して位置する解剖学的構造を十分に視認できない。このような視認を行うには、患者を簡易人工心肺装置上に配置する必要がある。次に、外科医は、患者の心臓および肺を持ち上げ、および/または回転させるために十分な大きさの切開部を患者の胸に作り出す必要がある。したがって、低侵襲手技では、対象領域を視覚的に観察できないため、外科医は、心臓または肺の後部に沿って、または隣接して、位置する組織の処置をためらいがちである。したがって、心臓胸郭部の低侵襲性手術は、心臓の前面に沿って位置する解剖学的構造に限られてきた。
心房細動の手術は、上記の手術手技に頼る一方で、胸腔内の臓器へのアクセスが不十分であることによる欠点をさらに伴う外科的手順の一例である。無線周波数、DC、マイクロ波、超音波、レーザまたは他のモードでの心房組織の熱焼灼を伴う心房細動の手術は、組織への接触が、1つまたは複数の電極の全長にわたって一定しないという制約がある。このような電極の接触むらは、焼灼/凝固対象組織の標的長の全体にわたってエネルギー伝達のばらつきを引き起こす。このむらは、生体組織に望ましくない隙間をさらに生じさせるため、心房細動を維持するウェーブレットの伝搬を促進するか、あるいは心房粗動、心房性頻拍、または他の不整脈基質を生じさせる。標的の組織領域が、心臓の後面に沿って存在することは、電極の接触むらをもたらす1つの要因である。上記のように、従来の外科用アクセス手段は、後面へのアクセスには最適ではない。
既存の熱焼灼プローブが完全な曲線状の経壁損傷を作り出せない別の要因は、心房の反対面における対流冷却の存在である。この対流冷却によってヒートシンクが生じて、表面の最大温度が低下するために、心房の壁全体にわたって経壁損傷をむらなく延在させることができない。この現象が特に著しいのは、心拍動下処置中に外科医が凝固/焼灼プローブを心外膜表面に当てるときである。ただし、血液は依然として心内膜に沿って流れているので、血液によって熱が除去される。熱対流は、心外膜に沿ったプローブ電極の直下の組織と心内膜の組織との間に、より大きな温度勾配を生じさせる。組織の接触を増やすと、組織の圧縮によってこの作用を低減することができる。すなわち、心房の壁厚が効果的に減少するので、1つまたは複数の電極の全長にわたって、一定の接触が確保されるため、心外膜から心内膜への熱伝導効率が増大して、より均一で確実な損傷が作り出される。
現在の各種アプローチの別の欠陥は、凝固を柔組織の正確な領域に導くときに、その下または近傍にある組織構造を避けて正確に導くことができないことである。例えば、心房細動の焼灼では、回旋枝、右冠状動脈、および冠状静脈洞の場所に近い弁輪まで損傷を延在させる必要があることもある。別の例では、心房細動の処置は、冠状動脈または冠状静脈の近くに存在する心室性頻拍症基質の焼灼を伴う。第3の例においては、左右の肺静脈の間に左心房後部に沿って食道が存在する。心房細動の処置中に食道を間違って加熱すると、高罹患率および死亡率を伴い得る食道瘻を生じさせることもある。従来のアプローチでは、保護すべき他の組織構造を対象領域から隔離しながら、所望の柔組織構造を選択的に焼灼することができない。
本願明細書に記載の改良された方法および装置は、体内の組織領域、特に胸腔内の臓器、へのアクセスの改善をもたらす。これらの方法および装置の変形例は、心房細動および心室性頻拍症の焼灼における上記の欠陥に対応する。さらに、各実施形態またはこれらの実施形態の各変形例は、選択された組織領域を正確な方法で凝固する必要がある他の用途において明白な同様の欠陥に対応し得る。
本願明細書に記載の各装置は、体内の臓器間に一時的空洞の作り出すことを可能にする。通常、各装置は、少なくとも1つのワーキングチャンネルが貫通延在する細長部材を含む。この細長部材は、体内への挿入に適した遠位部と近位部とを有する。この細長部材は、遠位部を臓器間に挿入するために十分な柱状部強度を有し、1つまたは複数のワーキングチャンネルが細長部材から出るときに通る開口部を遠位端に少なくとも1つ有し、遠位部に隣接する第1の拡張可能部材を有する。第1の拡張可能部材は細長部材の周囲に拡張するようになっており、第1の拡張可能部材を臓器間で拡張させることによって、臓器間を離隔し、開口部の周囲に一時的空洞を形成する。各装置は、体内での処置装置の配置および/または組織構造の操作を助けるレール部材をさらに有してもよい。
本発明の複数の変形例において、アクセス装置は、追加のワーキングチャンネル(ワーキングルーメンと呼ぶ)を有し得る。このワーキングルーメンの目的は、手術部位で装置(例えば、スコープ)をワーキングルーメン内に残しておき、主ワーキングチャンネル内のさまざまな装置の挿入および除去を、ワーキングルーメン内の装置を妨害せずに(すなわち、個別に)行えるようにすることである。
アクセス装置の複数の変形例は、細長部材の周囲に不均一に膨張するように構成された拡張可能部材を含む。以下に述べるように、この構成により、一時的空洞の形成を改良し得る。
別の変形例において、細長い本体を遠位部から近位部に向けて次第に先細りにすることもできる。この先細りによって、いくつかの利点がもたらされる。例えば、細長部材を臓器間にさらに前進させることによって、(ワーキングチャンネルの近位側の方がサイズが大きいことから)複数の器具を細長部材に通してより容易に操作できるので、細長部材内での器具の操作性が向上する。
各装置は、体外でのアクセス装置の操作を可能にする近位部を細長部材にさらに含めることもできる。例えば、この近位部は、医療装置において周知であり、一般に使用されているハンドルまたはグリップを1つ以上有し得る。
本願明細書に記載のアクセス装置は、長さが標準スコープの長さより多少長いように構成することもできる。このようにすると、装置内を前進させたスコープを一時的空洞に配置することによって、スコープが一時的空洞を通って前進し、意図せぬ損傷を引き起こす危険性が減る。
本装置の複数の変形例は、細長部材に結合された成形可能な1つ以上の支持部材をさらに含み、この成形可能な支持部材は細長部材の形状をこの成形可能な支持部材の形状にさせる。この成形可能な支持部材を支持ルーメン内に配置することもできる。一例において、成形可能な支持部材は、医師が本装置の外側で形成または成形することもできる。所望の形状になった支持部材を支持ルーメン内に前進させることによって、装置の形状を所望の形状にさせる。
本願明細書に記載の拡張可能部材は、バルーンまたはストランド状支持部材を含む。本装置上で使用する拡張可能部材の数は任意である。一部の変形例において、拡張可能な支持部材(またはその一部)は、細長部材の遠位端を越えて延在する。この特徴により、装置の先端と体内組織または流体との間に隙間がもたらされる。
本願明細書に記載のバルーンまたは支持部材は、下記のように如何なる形状にもし得る。さらに、拡張可能部材は、組織または臓器の離隔、持ち上げ、および/または安定化を助ける特徴(例えば、溝、被膜など)を複数含んでもよい。各拡張可能部材をそれぞれ個別に拡張させることも、あるいは一緒に拡張するように構成することもできる。
本願明細書に記載の装置は、装置のワーキングチャンネルの内部または先端に任意の数の吸引ポートを含み得る。さらに、本装置は、一時的空洞内の外科用プラットフォームの観察を助ける可視化素子を含み得る。
本願明細書に記載の装置は、体内での装置の固定を助ける係止用の特徴をさらに含むこともできる。例えば、本装置は、細長部材の近位側に配置された一組の係止用バルーンを含み得る。これらのバルーンは、装置を体内に、または切開部の間近に隣接する体の外面に、固定する。
アクセス装置の複数の変形例は、細長部材の内外への摺動が可能な拡張可能部材をさらに含む。これらの拡張可能部材は、臓器を離隔させて持ち上げることによって一時的空洞を作るアームセットをいくつでも有し得る。
本願明細書には複数の方法も記載されている。例えば、これらの方法は、低侵襲性手技によって、すなわち患者の開口部を通ってアクセス装置を前進させることによって、患者の体内の臓器へのアクセスを可能にする。このアクセス装置は、少なくとも1つのワーキングチャンネルと装置の外側の拡張可能部材とを備え、拡張可能部材を作動させて隣接する組織構造を離隔することによって一時的空洞を作り出し、アクセス装置に対して取り付けられた遠方区間を含むレール部材を一時的空洞内に配置し、レール部材の近傍区間をアクセス装置の遠方側に移動すると、レール部材の中間区間がアクセス装置の遠位側で、体内臓器に隣接して、または体内臓器上に、弧状プロファイルを形成する。
これらの方法は、横隔膜を通ってアクセス装置を前進させるステップを含み得る。このような場合、患者の腹部の第1の切開部を通って装置を前進させ、横隔膜に開口部を作り出し、アクセス装置を横隔膜を通して胸腔内に前進させる。これらの方法は、ワーキングチャンネルに結合された可視化システムを使用して、あるいはスコープ型装置をワーキングチャンネルに挿入して、臓器の後面への視認用アクセスをもたらす。
本願明細書に記載の各方法は、一時的空洞を心臓の複数の表面に作り出すステップを含む。この場合、アクセス装置は胸腔内の心臓と脊柱の間に配置される。一時的空洞を食道など他の臓器上に形成し、拡張可能部材を作動させて食道を食道の血管から離隔することもできる。
患者の腹部の第1の切開部を通って横隔膜にアクセスし、少なくとも1つの超音波振動子が結合された装置を横隔膜の表面に当てて、超音波エネルギーを横隔膜経由で胸腔内の組織に印加することによって、患者の胸腔内の臓器を低侵襲性手技によって処置する方法についても説明する。
本発明の別の変形例は、体内の組織を処置するためのシステムを含む。このシステムは、ワーキングチャンネルが貫通して延在する細長部材を有するアクセス装置を備える。この細長部材は、体内への挿入用に適合された遠位部と近位部とを有する。この細長部材は、臓器間への遠位部の挿入を可能にする柱状部強度を有し、ワーキングチャンネルが細長部材を出るときに通る開口部を細長部材の遠位端に有する。この細長部材は、遠方区間と、近傍区間と、その間に位置する中間区間とを有するレール部材を有し、遠方区間は細長部材に対して取り付けられ、近傍区間は細長部材に対して可動であり、近傍区間を遠位側に移動させると、開口部の遠位側でレール部材の中間区間の形状が弧状プロファイルになる。アクセス装置は、遠位部に配置されて細長部材の周囲に拡張するようになっている第1の拡張可能部材をさらに備える。この第1の拡張可能部材を臓器間で拡張させることによって臓器を離隔させて一時的空洞を開口部の周囲に形成する。アクセス装置は、体の一部を通って延在するガイドルーメンを有する凝固装置をさらに備える。凝固装置は電極を有する。ガイドルーメンはレール部材上を前進可能であり、ガイドルーメンを前進させると、凝固装置の形状がレール部材の中間区間の弧状プロファイルになる。
本願の主題に、以下の出願の主題を組み込むこともできる。すなわち、米国特許出願第11/208,465号、発明の名称「真空凝固および切開用プローブ(Vacuum Coagulation & Dissection Probes)」、米国特許出願第10/425,251号、発明の名称「真空凝固用プローブ(Vacuum Coagulation Probes)」、米国仮特許出願第60/726,342号、発明の名称「後部アクセス外科的手順のための横隔膜進入(Diaphragm Entry for Posterior Access Surgical Procedures)」、および米国特許第6,893,442号の主題を組み込むこともできる。
本願明細書に記載のアクセス装置および手順の複数の変形例は、上記のさまざまな実施形態の複数の特徴の組み合わせ、またはこれら実施形態自体の組み合わせを、可能な限り、含む。
図1Aは、凝固装置、切離装置、および可視化装置を操作するために横隔膜アクセスプロセスの一実施形態によって胸腔にアクセスされている患者の上面図を示す。 図1Bは、凝固装置、切離装置、および可視化装置を操作するために横隔膜アクセスプロセスの別の実施形態によって胸腔にアクセスされている患者の上面図を示す。 図1Cは、胸腔の部分側面図を示し、アクセス装置を腹腔内空間に挿入する例を示す。 図1Dは、胸腔の部分側面図を示し、アクセス装置を腹腔内空間に挿入し、最終的に胸腔に挿入する例を示す。 図2Aは、心臓を後部の解剖学的構造から離隔するためにアクセス装置の一変形例が用いられている胸腔の側断面図を示す。 図2Bは、心臓を後部の解剖学的構造から離隔するためにアクセス装置の別の変形例が用いられている胸腔の側断面図を示す。 図2Cは、心臓を後部の解剖学的構造から離隔するためにアクセス装置の別の変形例が用いられている胸腔の側断面図を示す。 図3Aは、外科的手順中に外科装置を通して操作し得る一時的空洞を画定する本願明細書に記載の装置と共に胸郭の側面図を示す。 図3Bは、外科的手順中に外科装置を通して操作し得る一時的空洞を画定する本願明細書に記載の装置と共に胸郭の側面図を示す。 図3Cは、外科的手順中に外科装置を通して操作し得る一時的空洞を画定する本願明細書に記載の装置と共に胸郭の側面図を示す。 図3Dは、肺静脈の周囲組織を切離することなく、心房後面の肺静脈の周囲にアクセスする方法を説明するために胸郭の側面図を示す。 図3Eは、肺静脈の周囲組織を切離することなく、心房後面の肺静脈の周囲にアクセスする方法を説明するために胸郭の側面図を示す。 図3Fは、肺静脈の周囲組織を切離することなく、心房後面の肺静脈の周囲にアクセスする方法を説明するために胸郭の側面図を示す。 図4Aは、超音波装置を横隔膜に当てるアクセス装置の一変形例を示す。 図4Bは、食道を関連の血管から離隔するアクセス装置の一例を示す。 図5Aは、凝固装置、切離装置、および可視化装置を操作するために胸腔にアクセスするプロセスと共に患者の側面図を示す。 図5Bは、凝固装置、切離装置、および可視化装置を操作するために胸腔にアクセスするプロセスと共に患者の側面図を示す。 図5Cは、凝固装置、切離装置、および可視化装置を操作するために胸腔にアクセスするプロセスと共に患者の側面図を示す。 図5Dは、手術台上に乗せられた、本発明の後部アクセスのための横隔膜進入手順中の患者の上面図を示す。 図6Aは、本発明の後部アクセスのための横隔膜進入プロセスの実施形態によって損傷が作り出された心臓後部の斜視図を示す。 図6Bは、本発明の後部アクセスのための横隔膜進入プロセスの実施形態によって損傷が作り出された心臓後部の斜視図を示す。 図6Cは、本発明の後部アクセスのための横隔膜進入プロセスの実施形態によって損傷が作り出された心臓後部の斜視図を示す。 図6Dは、本発明の後部アクセスのための横隔膜進入プロセスの実施形態によって損傷が作り出された心臓後部の斜視図を示す。 図7Aは、本願明細書に記載されているような用途のためのアクセス装置の一変形例の上面図を示す。 図7Bは、本願明細書に記載されているような用途のためのアクセス装置の一変形例の側断面図を示す。 図7Cは、本願明細書に記載されているような用途のためのアクセス装置の一変形例の断面図を示す。 図7Dは、先細りの細長部材を有するアクセス装置の別の変形例を示す。 図7Eは、先細りの細長部材を有するアクセス装置の別の変形例を示す。 図7Fは、ワーキングチャンネルと第2のワーキングルーメンとを有するアクセス装置の変形例を示す。 図7Gは、ワーキングチャンネルと第2のワーキングルーメンとを有するアクセス装置の変形例を示す。 図7Hは、ワーキングチャンネルと第2のワーキングルーメンとを有するアクセス装置の変形例を示す。 図7Iは、ワーキングチャンネルと第2のワーキングルーメンとを有するアクセス装置の変形例を示す。 図7Jは、ワーキングチャンネルと第2のワーキングルーメンとが装置の近位端で互いにずれているアクセス装置の変形例を示す。 図8Aは、アクセス装置の別の変形例の上面図を示す。 図8Bは、アクセス装置の別の変形例の側面図を示す。 図8Cは、アクセス装置の別の変形例の底面図を示す。 図9Aは、スタビライザ部材を用いるアクセス装置の正面図を示す。 図9Bは、スタビライザ部材を用いるアクセス装置の側断面図を示す。 図9Cは、バルーン内の安定化部材の正面図を示す。 図9Dは、バルーン内の安定化部材の側断面図を示す。 図10Aは、複数のスタビライザストランドを拡張およびスタビライザ部材として有するアクセス装置の上面図を示す。 図10Bは、複数のスタビライザストランドを拡張およびスタビライザ部材として有するアクセス装置の側面図を示す。 図10Cは、複数のスタビライザストランドを拡張およびスタビライザ部材として有するアクセス装置の底面図を示す。 図11Aは、スタビライザ部材が扁平構成に圧縮されたアクセス装置の上面図を示す。 図11Bは、スタビライザ部材が扁平構成に圧縮されたアクセス装置の正面図を示す。 図11Cは、図11Aおよび図11Bのアクセス装置の拡張構成の側面図を示す。 図11Dは、図11Aおよび図11Bのアクセス装置の拡張構成の正面図を示す。 図12Aは、複数のバルーンを有するアクセス装置の側面図を示す。 図12Bは、複数のバルーンを有するアクセス装置の端面図を示す。 図12Cは、複数のバルーンを有するアクセス装置の等角投影図を示す。 図12Dは、アクセス装置のさらなる変形例を示す。 図12Eは、アクセス装置のさらなる変形例を示す。 図12Fは、アクセス装置のさらなる変形例を示す。 図12Gは、アクセス装置のさらなる変形例を示す。 図12Hは、アクセス装置のさらなる変形例を示す。 図12Iは、アクセス装置のさらなる変形例を示す。 図12Jは、アクセス装置のさらなる変形例を示す。 図13Aは、器具を進入させて操作し得る空腔をさらに画定するために本発明の後部アクセスのための横隔膜進入プロセス中に操作される切離用器具の一実施形態の斜視図を示す。 図13Bは、器具を進入させて操作し得る空腔をさらに画定するために本発明の後部アクセスのための横隔膜進入プロセス中に操作される切離用器具の別の実施形態の斜視図を示す。 図13Cは、器具を進入させて操作し得る空腔をさらに画定するために本発明の後部アクセスのための横隔膜進入プロセス中に操作される切離用器具の別の実施形態の斜視図を示す。 図14Aは、切離用器具の実施形態の非作動時構成の側面図を示す。 図14Bは、図14Aの切離用器具の作動時構成の側面図を示す。 図14Cは、図14Aの切離用器具の断面A−Aに沿った断面図を示す。 図14Dは、図14Aの切離用器具の断面B−Bに沿った断面図を示す。 図14Eは、切離用ジョーの代替実施形態の側面図を示す。 図14Fは、切離用ジョーの代替実施形態の側面図を示す。 図14Gは、切離用ジョーの代替実施形態の側面図を示す。 図15Aは、切離用ジョーの代替実施形態の側面図を示す。 図15Bは、切離用ジョーの代替実施形態の側面図を示す。 図15Cは、切離用ジョーの代替実施形態の側面図を示す。 図15Dは、切離用ジョーの代替実施形態の側面図を示す。 図16Aは、心耳把持装置の実施形態の上面図を示す。 図16Bは、心耳把持装置の実施形態の側面図を示す。 図16Cは、心耳把持装置の実施形態の斜視図を示す。 図16Dは、心耳把持装置の実施形態の底面図を示す。 図17Aは、後部アクセスのための横隔膜進入プロセス中に閉じられた心耳の側面図を示す。 図17Bは、後部アクセスのための横隔膜進入プロセス中に閉じられた心耳の側面図を示す。 図17Cは、後部アクセスのための横隔膜進入プロセス中に閉じられた心耳の側面図を示す。 図18Aは、拡張可能部材が細長部材から外に摺動可能なアクセス装置のさらなる変形例を示す。 図18Bは、拡張可能部材が細長部材から外に摺動可能なアクセス装置のさらなる変形例を示す。 図18Cは、拡張可能部材が細長部材から外に摺動可能なアクセス装置のさらなる変形例を示す。 図19Aは、拡張可能部材が細長部材から外に摺動可能なアクセス装置のさらなる変形例を示す。 図19Bは、拡張可能部材が細長部材から外に摺動可能なアクセス装置のさらなる変形例を示す。 図20Aは、さまざまな従来の進入手順で使用されるように構成されたアクセス装置のさらなる変形例を示す。 図20Bは、さまざまな従来の進入手順で使用されるように構成されたアクセス装置のさらなる変形例を示す。 図21Aは、本願明細書に記載のアクセス装置のその他の特徴を示す。 図21Bは、本願明細書に記載のアクセス装置のその他の特徴を示す。 図21Cは、本願明細書に記載のアクセス装置のその他の特徴を示す。 図22Aは、アクセス装置から外に前進するアクセス装置のレール部材を示す。 図22Bは、アクセス装置から外に前進したアクセス装置のレール部材を示す。 図22Cは、アクセス装置から外に前進したアクセス装置のレール部材上を前進中の処置装置を示す。 図23Aは、レール部材を有するアクセス装置のさらなる変形例を示す。 図23Bは、レール部材を有するアクセス装置のさらなる変形例を示す。 図23Cは、使用者にアクセス装置に対するレール部材の選択的な配置を行わせるための複数の特徴を示す。 図24Aは、組織の処置のために処置装置をレール部材上を前進させることができるように標的部位まで前進させたレール部材と、弧状プロファイルまたは経路とを示す。 図24Bは、組織の処置のために処置装置をレール部材上を前進させることができるように標的部位まで前進させたレール部材と、弧状プロファイルまたは経路とを示す。 図24は、組織の処置のために処置装置をレール部材上を前進させることができるように標的部位まで前進させたレール部材と、弧状プロファイルまたは経路とを示す。 図25は、心膜翻転部位を切離せずに作り出された損傷パターンの一例を示す。
本願明細書に記載の方法および装置は、胸腔内での器具および/または臓器の操作の改善をもたらす。これらの方法および装置は、従来の胸郭アプローチでは到達不能な心臓および他の解剖学的構造の後部領域に沿って直接の視認を可能にし得る。一例においては、本願明細書に記載のアクセス装置にレール部材を組み合わせることによって、処置装置を組織上に正確に配置することができる。
さらに、本願明細書に記載の方法および装置は、本願明細書に記載の従来のアプローチと併用することも、代わりに使用することもできる。通常、本願明細書に記載の外科的アプローチおよび手順は、患者の後部領域にアクセスするためにその患者の横隔膜経由で進入することに係る(この手順を以降、「後部アクセスのための横隔膜進入(Diaphragm Entry for Posterior Access)」または単に「DEPA」と称する)。DEPA手順は、VAPS(ビデオ補助による心膜周囲の手術(Video−Assisted Pericardiac Surgery))またはTAPS(腹壁経由の心臓周囲の手術(Trans−Abdominal Pericardiac Surgery))と称されることもある。
図1Aから図1Bは、後部アクセスのための各方法でのアクセス装置182(本願明細書においては離隔器または挙上器とも呼ばれる)の配置例を示す。以下の例に記載のように患者を準備した後、アクセス装置182を少なくとも第1の、腹部の、切開部168から挿入する。次に、この装置を横隔膜(図示せず)を通して前進させ、臓器間に、または臓器に隣接させて、配置することによって、一時的空洞を作り出す。図1Aは一例を示す。この変形例において、外科医は、食道が心臓の後面から離隔されるように、アクセス装置182を心臓と脊柱の間に配置する。
図1Aに示すように、この方法を補強するために、胸腔内へのトロカール106の配置を可能にする1つまたは2つの胸郭開口用切開部を追加することもできる。トロカール106は、手術道具または可視化装置の挿入を可能にする。したがって、アクセス装置168は、右および/または左の胸郭開口用アクセスポート106を通って挿入された器具の操作中に、臓器後面の直接視認を可能にする。さらに、追加の胸郭開口用アクセス部位を使用することによって、外科医はアクセス装置168を用いて手順中の解剖学的構造の前面を視認することもできる。胸郭開口アクセスポート106経由の外科医の視野から手術部位が組織によって覆い隠された場合は、外科医はアクセス装置168を用いて手術部位の後面を見ることができる。図1Bに示すように、本願明細書に記載の各方法の変形例は、追加の胸郭開口アクセスポートなしにアクセス装置168を用いる後部アクセス手法を含む。
図1Cから図1Dは、DEPA手順の一般的原理を示すために、患者の胸腔および腹部の部分断面図を示す。明確にする目的で、一部の臓器はこれらの図に示されていない。図1Cは、患者が(本願明細書に記載のように)準備され、かつDEPA用の切開が腹部に行われた後の、DEPA手順を示す。図示のように、DEPA用切開部から腹腔にアクセス装置182を進入させ、横隔膜170に隣接させることができる。横隔膜の切開は、アクセス装置182に組み込まれた切断用の特徴構成を用いて行うことも、あるいはアクセス装置182を前進させた道具を用いて行うことも、あるいは別の腹部ポートまたは胸郭開口ポートを通して前進させた別の道具によって行うこともできる。
図1Dは、心臓の心室後面190を脊柱218および食道220から離隔させることによって胸腔内に一時的空間を作り出しているアクセス装置182の一例を示す。以下に説明するように、本願明細書に記載の各方法は、アクセス装置によって何れかの臓器の周囲に一時的空洞を作り出すことによって、その他の1つ以上の臓器を所望の手術空間から離隔することを考えている。図1Dは、隣接する複数の組織を離隔させて一時的空洞を形成するための拡張可能部材212(例えば、下記のように、膨張可能なブラダー、拡張可能なストランドなど)の拡張を示す。図示の変形例において、アクセス装置182は、一時的空洞を心臓の後面に作り出す。下記のように、この一時的空洞は、体内の他のさまざまな臓器および/または組織の表面など、必要な場所に形成し得る。この一時的空洞により、複雑な装置を用いずに、さまざまな組織表面への外科用および視認用アクセスを改善できる。通常、この改善されたアクセスにより、外科医は、他の方法では困難であるか不可能である、さらなる手順を実施できるようになる。
図2Aから図2Cは、横隔膜240の開口部を通って挿入されたアクセス装置182の側断面図を示す。図示のように、アクセス装置182は、横隔膜170の下の腹部切開部168を通って患者内に進入する。次に、装置182は、横隔膜を通って(例えば、切開部240を通って)前進することによって臓器後面にアクセスする。以下に言及するように、アクセス装置182は、器具を挿入して操作できるワーキングチャンネル211を少なくとも1つ有するチューブ210を画定する。スコープ184(以降、「DEPAスコープ」と呼ぶ)を用いて、心臓後部の実質的部分(心房後部188および心室後部190)および/または他の臓器/組織を視認することができる。一般に、スコープ184は画像を外部モニタ181に伝送する。外科医は、装置182を配置した後、この装置上の拡張可能部材212を作動させて一時的空洞を体内に作り出すこともできる。この変形例において、拡張可能部材212は、心臓の心房後面188および心室後面190を露出させる膨張可能なブラダーまたはバルーンを備える。
図2Aに示すように、横隔膜経由で胸腔内に進入することによって、患者の体内へのアクセス部位から胸腔内の臓器(例えば、心臓、肺、食道など)の後面までのアクセス装置182の移行/角度が滑らかになる。上記の従来のアプローチでは急角度を要するため、装置を過度に操作する必要があるばかりか、複雑な装置なしには視認できない。このような装置は、操作および視認の観点から相当の困難さをもたらす。アクセス装置182が横隔膜170経由で進入する角度により、0度と60度の間の視角を有する直線スコープを用いて臓器の後面を視認できる。可撓性スコープを用いてもよいが、皮膚の穿刺部位から心臓後面に隣接する横隔膜切開部までの挿入角度が浅く、移行が滑らかであるので、可撓性スコープを使用する必要はない。
図2Aの進入方法のさらなる利点は、外科医が胸腔内でより容易に、より制御しやすい方法で、器具を操作し得る点である。例えば、従来の手法を用いると、外科医は90度近い屈曲部を有する装置を用いて手術を行う必要がある。このような装置の操作は困難である。その理由は、押下すると装置が組織から離れる方向に向かい、上方に引っ張ると胸腔内の臓器が干渉するからである。比較的複雑な操縦可能装置の使用は、複雑さをもたらすだけでなく、外科医の触覚フィードバックを減らす。
図2Bは、外科医が手術道具124を胸腔内で操作するときに胸腔内に配置されたアクセス装置182を示す。図示のように、DEPAスコープ184により、手術部位の後部の視認が可能になる。多くの場合、流体が視野を遮らないようにすることが重要である。したがって、流体を手術部位から排出するための吸引チューブ252または独立した吸引ルーメンをアクセス装置182に設けることもできる。
図3Aから図3Bは、アクセス装置182の別の変形例を示す。図3Aに示すように、装置182は、拡張可能なスタビライザストランド216の形態の拡張可能部材216を含む。あるいは、上記のように、拡張可能部材は、一組のバルーンまたはブラダーを備えてもよい。図2Cは、外科医がアクセス装置182を胸腔内に配置する別の変形例を示す。ただし、この変形例において、外科医は、上記のように従来の方法で(例えば、図1Aに示すようにトロカール106に通して)前進させる第2のスコープ184を使用することもできる。第2のスコープ184の用途は、臓器の前面の視認である。この配置により、臓器の前面および後面の視認が可能になる。したがって、外科医が前面または後面に手順を実施しながら反対面(すなわち、後面または前面)まで突き破るときに、2つのスコープ182および184の使用により可視化が向上する。一例においては、ビデオを用いた胸郭開口手順中に後部の視認にのみDEPAスコープを用いることもできる。
図3Aから図3Bは、アクセス装置182の別の変形例を示す。図3Aに示すように、装置182は、拡張可能なスタビライザストランド216の形態の拡張可能部材216を含む。外科医は、アクセス182装置を所定位置に配置した後、拡張可能部材216を作動させて臓器を離隔することによって、一時的空洞を画定する。外科医は、手順の完了後、拡張可能部材216を収縮させることによって、一時的空洞を閉鎖する。この変形例において、拡張可能部材216は、食道220を下行大動脈242から離隔させる一方で、両方の臓器を安定化させる。この機能は、一時的空洞を画定しながら、これらの解剖学的構造を保護するために役立つ。
図3Bは、装置182の1つ以上のワーキングチャンネル211を通って行われる焼灼装置2(例えば、本願明細書に記載の装置など)の配置を示す。図示のように、この一時的空洞は、臓器(この場合は心臓)の後面の視認を可能にする。この機能により、外科医は心臓の後面の焼灼または処置を行うことができる。例えば、外科医は、肺静脈を心臓から切離することなく、心臓の後面に位置する肺静脈を処置することもできる。上記のように、視野を流体が遮らないように流体を手術部位から排出するための吸引チューブまたは独立した吸引ルーメンをアクセス装置182に設けることもできる。
後部アクセスができない場合、外科医は静脈を心臓の表面から切離し、その後に手順を行う必要があるであろう。このような場合においてさえ、後部を視認できない場合は、外科医は静脈の各部を手探りで処置せざるを得ない。これに対し、図3Cに示すように、スコープ型装置(上記のDEPAスコープ184など)を用いると、外科医は処置中に心臓の後面および静脈を直接視認できる。
アクセス装置182の使用および横隔膜進入によって可能になる別の手法では、外科医は、肺静脈を肺動脈、上大静脈、または心膜から切離することなく、肺静脈の各側に損傷(さらに実際には、心房細動を処置できる損傷パターン全体)を作り出すことができる。図3Bに示すように、アクセス装置182により、外科医は、心房後面188に位置する肺静脈189の下面に到達することができる。したがって、外科医は、左肺静脈の各側および右肺静脈の各側に沿ってアクセスできる。さらに、外科医は、肺静脈の切離を一切行わずに、あるいは最小限の切離によって、心臓の後面にさらなる損傷を加えることもできる。
図3Cは、DEPA方法の別の変形例をさらに示す。この変形例において、アクセス装置182は隣接組織を離隔することによって一時的空洞を作り出す。その後、外科医は、処置装置2および可視化装置(例えば、内視鏡184)をアクセス装置182の外側で一時的空洞内に前進させることもできる。図示のように、処置装置2により、心臓の後面および肺静脈に損傷を作り出すことができる。この変形例においてはアクセス装置182がスタビライザストランド216を使用しているが、何れの変形例の装置を使用してもよい。
図3Dから図3Fは、心臓の後部領域へのアクセスにより可能になるDEPA方法の別の変形例を示す。上記のように、凝固装置を心臓後面にあてがうことを目的とした従来のアプローチでは、心臓後面にアクセスするために組織の切離が必要である。一般に、外科医は肺静脈に隣接する心房表面の周囲に凝固線を作り出そうとする場合、心臓組織から切離された肺静脈の周囲に凝固装置を挿入する。DEPA方法は心臓の後面への直接アクセスをもたらすので、組織を切離することなく、肺静脈および周囲の心房表面の直接視認およびアクセスが可能である。図3Dに示すように、処置装置2は、組織を切離せずに心房後面188、この場合は肺静脈164の周囲にアクセスできる。
図3Dは、2つのC字形電極を対向させた処置装置2の変形例を示す。この装置では、肺静脈の周囲に凝固線を形成できる。図3Eおよび図3Fは、単一のC字形電極構成を用いて肺静脈164の各側面の周囲の心房表面188に凝固線を形成する処置装置2を示す。
図4Aは、胸腔内の組織構造を処置する横隔膜アプローチの別の変形例を示す。このアプローチでは、横隔膜に接触している胸部組織の処置を、横隔膜を貫通せずに、行うことができる。アクセス装置182を横隔膜240まで前進させるが、横隔膜240に貫入させない。その後、外科医は、少なくとも1つの超音波振動子を有する超音波装置254(または、装置から1インチ超の距離にある組織を加熱するために十分なエネルギーを収束させることができる装置から出射された他の焼灼エネルギー)を横隔膜の表面に当てる。超音波装置254は、エネルギーを横隔膜240の向こう側に集中させることによって、胸腔に進入せずに、臓器(例えば、心臓組織)を処置することができる。一例において、超音波装置254は、横隔膜を通って構造の処置を行うために、高周波超音波(HIFUと一般に呼ぶ)を使用してもよい。一変形例において、HIFU装置は、処置用の収束された超音波エネルギーを固定距離に放射できる数個の振動子が段階的アレイ(phased array)に配置された活性面を有する。あるいは、振動子自体が集中した超音波を供給できるようにして、数個の振動子を一緒に作動させる必要をなくすこともできる。
一変形例においては、右心室および左心室に隣接する横隔膜に超音波装置254を接触させることもできる。次に、外科医は損傷位置を確認し、HIFUプローブ経由で超音波を伝達することによって、胸腔に貫入することなく心臓内の組織を焼灼することもできる。さらなる変形例においては、横隔膜との流体密閉を形成できる真空の結合および被覆を超音波装置254に組み込み、吸引してHIFUプローブを横隔膜に係合させることにより、空気または骨に妨害されずにHIFUを心臓組織に確実に伝達する。HIFUについてのさらなる情報は、www.ushifu.comまたはwww.internationalhifu.comで見つけることもできる。
図4Bは、胸腔内の組織構造を処置するための横隔膜アプローチの別の変形例を示す。この変形例において、アクセス装置182は、食道220を食道の血管221から切離するために用いられる。以下の例で説明するように、血管221を食道から十分に切離した後、アクセス装置によって食道220を血管221から遠ざけることによって食道220の表面上に一時的空洞を作り出すこともできる。
本方法の別の変形例においては、心室内の潅流パターンの画像を生成するために超音波装置254を用いることもできる。外科医は、この画像を用いて、梗塞組織の縁の緩徐伝導ゾーンを特定することもできる。このようなアプローチを用いて、心室組織を通る潅流パターンをマッピングし、頻拍を引き起こすと考えられる組織領域を破壊することによって、心室性頻拍症を処置することもできる。心室頻脈の誘発または維持に関与する領域は、潅流が緩慢かつ散在する領域に頻繁に発生することが実証されており、このような領域は、完全に梗塞をおこした組織または生体組織から線引きすることができる。これらの領域を特定した後、焼灼装置から既知の距離にある複数の局部(この場合、横隔膜から心室内の標的組織)にエネルギーを集中可能な高周波超音波、あるいは何れか他のエネルギーモダリティおよび実装デザインを用いて緩慢または散在性の潅流パターンを焼灼し、心室性頻拍症の潜在的な基質を除去する。
心臓後面(あるいは、食道または肺)の直接の視認により、外科医は心臓と肺の間、および脊柱と食道の間の空腔に沿って自信を持って器具を操作することができる。DEPAプロセスおよび関連装置のさらなる利点は、解剖学的構造の後面までラインが直結しているため、展開が容易である点と、心臓後部、食道、または肺後面に沿って器具を操作するときに肺の収縮などの操作が不要か、または僅かであるために、手順後の治癒が速やかである点である。DEPAプロセス中に心臓後面にアクセスするために用いられる切開部は小さいので、治癒プロセスが速まり、目に見える傷跡が縮小される。
本発明は、本願明細書に記載のように臓器後部の視認の恩恵を受ける、または臓器の後部の視認を必要とする、何れかの手順を実行するために、アクセス装置に通して前進させ得る何れの外科装置の使用を考えている。本願明細書に開示されている同時係属出願中の米国特許出願第11/208,465号、第10/425,251号、および米国特許第6,893,442号に開示されている一体型真空凝固用プローブの実施形態は、特に柔組織の表面と装置のエネルギー部分の間の密な接触を可能にする装置の例を提供している。これらの例において、エネルギー(無線周波数または超音波)を伝達するために用いられる1つ以上の電極は、柔組織を成長不能にし、電気インパルスの伝搬、突然変異、または再生を不能にする不可逆的損傷が達成されるまで、柔組織を加熱することができる。これらの一体型真空凝固用プローブの実施形態を本発明のDEPAプロセス中に利用することにより、柔組織を凝固させて標的細胞を破壊することによって、心房細動、心室性頻拍症または他の不整脈基質の処置、あるいは肺または他の胸部柔組織内の癌の除去が可能になる。
さらに、これらの一体型真空凝固装置を用いることにより、心臓後面に沿って柔組織を加熱し、このような組織内のコラーゲンを熱誘導収縮させることによって、この柔組織を縮小することもできる。例えば、後部房室溝に沿って僧帽弁輪を加熱して弁輪の縮小を引き起こすことによって、僧帽弁逆流を修正することもできる。ただし、本発明は上記の真空凝固用プローブに限定されないことを理解されたい。すなわち、必要に応じて、任意の数の凝固、焼灼、または外科装置を使用することもできる。
このDEPAプロセスおよび関連装置では、心臓または肺の後面、あるいは食道、上行または下行大動脈、肺動脈、または他の柔組織構造に直接アクセスして組織構造を操作することによって、所望の外科的手順を完了することができる。例えば、DEPAプロセスは、心房細動、心房粗動、または他の上室性頻拍症を処置するために心房に沿って、あるいは心室性頻拍症を処置するために心室に沿って、構造的には頑丈であるが電気的には生存不能な組織の損傷を作り出すときに、左右の心房の後部へのアクセスおよび視認を容易にする。さらに、このような装置および方法は、直接の視認を確保しながら柔組織の領域を正確かつ効果的に加熱することによって、上記以外の柔組織の凝固手順を簡略化し、改良することもできるであろう。例えば、肺または他の解剖学的構造内の癌の焼灼は、本発明の実施形態によるDEPAプロセスおよび装置によって改良される。同様に、DEPAは、心臓後部(あるいは肺後部または心臓/肺の後部と脊柱の間の他の解剖学的構造)へのアクセスを必要とする他の心臓(または心臓以外)の手順のための器具操作および視認を可能にする。例えば、DEPAプロセスは、虚血傷害による変形または僧帽弁閉鎖不全症の他の原因を一般に伴う後交連部に隣接する僧帽弁輪後部に沿ってパッチまたは他の圧縮機構を配置する必要がある僧帽弁の圧縮手順を容易にする。例えば、係属出願中の米国特許出願第10/269,844号、発明の名称「心臓処置のためのシステム(Systems for Heart Treatment)」に記載されているような処置法は、心臓の後面および目的の解剖学的構造への直接アクセスを可能にするDEPAプロセスおよび装置の恩恵を受け得る。
DEPAプロセスおよび装置の各実施形態は、低侵襲手技中に柔組織の確実かつ制御された凝固をさらに可能にする。1つ以上の電極またはアンテナからエネルギー(無線周波数、直流、超音波、レーザ、赤外線、またはマイクロ波)を組織に伝達することによって対象の柔組織を加熱して細胞反応を引き起こす。この結果、その組織細胞経由での電気的刺激の伝導は抑制されるが、その柔組織の構造強度は維持される。あるいは、低温機構を用いて組織を不可逆的な伝導ブロックの等温線未満に冷却することによって、その組織を、構造的には生存可能であるが、機能不全にすることもできる。
心房細動の処置に適用したときの本発明のDEPAプロセスの各実施形態および関連装置について、他の外科用アクセスの補強として、またはスタンドアロンの外科用アクセスとして説明する。本発明のDEPAプロセスおよび関連装置は、他の外科用アクセス(例えば胸郭開口、剣状突起下、ミニ胸骨切開など)を補強するために使用することも、あるいは他のあらゆる外科用アクセスの代替として、外科的手順を行うための唯一のアクセスを提供することもできる。
(後部アクセスのための横隔膜進入(DEPA)を他の外科用アクセスの補強として使用する例)
下記の例では、DEPAプロセスおよび関連装置を従来の、または改変された、胸腔鏡下アクセスに組み合わせることによって、心房細動の処置手順全体にわたって最適な視認を確保する。なお、以下の説明は、上記および参照により組み込んだ凝固プローブの一実施形態の使用時における特定のDEPAアプローチの詳細説明を必然的に伴うことに留意されたい。ただし、本発明の方法では、何れか特定の外科的手順を実施するための詳細ステップの数を減らすことも、追加することも、あるいは詳細ステップを変更することもできる。さらに、この処置は、何れかの処置モードを用いて何れか従来の装置によって適用することもできる。下記のステップのこのような変更は、何れも本発明の範囲内であると考えられる。
標準の手順においては、下記のように、標準的な方法における手術のために患者を準備する。
患者を手術室に入れ、図5Aに示すように、仰臥位に配置し、両腕を内方へ引き寄せてひじの位置で屈曲させて両腋窩を露出させる。Lap Nissen胃底皺襞形成術用に記述されている手法と同様に、患者の両脚をあぶみに乗せることもできる。これにより、外科医は患者の両脚の間に立って手術を行うことができる。ただし、この患者の配置は、一実施例であり、本手法に必須ではない。胴回り線から腋窩までの胸壁の外側面が最大に露出されるように、患者を配置する。この配置は、患者の胸腔の両側面をより多く露出させるために胸郭に沿って狭まり、胸腔に沿って患者を回転させることができる手術台の使用によって容易になり得る。患者の下肢をウエスト越しに紐で縛り、両脚をあぶみ内に固定することによって、患者をベッドに固定することもできる。図5Aに示すような極端なトレンデレンブルク位(角度Aまで)のとき、および左右への極端な回転中に、患者が滑ったり、摺動しないように上部胸郭、両腕、首、および頭をベッドに固定することもできる。動きの自由度を制限し(図5Aの角度A(例えば30°)から図5Bの角度B(例えば30°)まで)、上記の露出をもたらすために、専用の手術台を構成することもできる。
患者に気管内チューブを挿入する。左右肺葉の膨張/収縮を個別に行うために、二重ルーメン式気管内チューブの気管支ルーメンを左主気管支に配置する。動脈の監視を撓骨動脈経由で行い、手順全体にわたって血液動態を監視するために、右または左の内頚経由でスワンガンツカテーテルを配置する。経食道心エコー図(transesophageal echocardiogram)を用いて心臓を視認し、機能および血栓の存在を調べる。鼻腔チューブによって胃を空にし、フォーリーカテーテルを挿入して膀胱を空にする。
次に、患者のウエストから腋窩まで、および手術台の左縁端部から手術台の右縁端部まで、剃毛する。次に、患者の準備をし、布で覆い、胸郭および腹腔が最大に露出するように、鎖骨から胴回り線まで、およびベッドの両側まで露出する。
この時点において、左肺に送気する気管内チューブルーメンを閉鎖して左肺をしぼませ、患者を右肺換気のみにすることもできる。
図5Aおよび図5Bに示すように、胸腔鏡を配置するための小さな切開部226を左乳頭のすぐ下、第七肋間腔の腋窩線に設けることによって、胸腔鏡検査を実施する。後退用に広背筋の前方、腋窩中線に第2の切開部228を設ける。広背筋の後下方、腋窩中線に第3の切開部230を設ける。左胸筋の下、第4または第5肋間腔に沿って前方に、おそらく乳房の折り目に、追加の切開部232が必要になることもある。これらの切開は、心臓の露出後に行う。
最初のポートを配置し、胸郭開口アクセスが得られ、左肺の収縮が可能になったら、腹部に目を向ける。さまざまな針を用いて腹部に送気する。十分な送気後、図5Dに示すように、横隔膜の腹部側、剣状突起のほぼ3cmから7cm下で、正中線に皮膚の縦切開168を行う。この切開部位は、以前開示された胸骨切開、開胸、または胸腔内への剣状突起下アクセスのための切開部が横隔膜の胸郭側に位置するのに対して、これらのどの切開部よりかなり下方(例えば少なくとも3cmから7cm下)である。
これらの切開部を通して腹部とその中身を視認する。図5Dに示すように、右肋骨下部下にほぼ5mm寸法の追加の切開172を行い、腹部の第3の切開174を左肋骨下部の同じ区域に行う。これら2つの切開部を通して、肝臓左葉を横隔面から外す。図5Dに示すように、肝臓左葉を横隔膜の正中線区域から後退させやすいように、追加の5mmポート234を縦切開部の下に配置する。なお、これらの切開部は、癌を除去するために肝臓組織の凝固および/または一部切除を伴う肝臓手術、あるいは癌組織の凝固および/または一部切除を伴う他の腹部手術に用いることもできる。
横隔膜が十分に露出されたら、バブコッククランプを用いて横隔膜の両側をつかみ、脚の前方3cmの横隔膜の正中線に縦切開を行う。心膜が確認されるまで、この切開部を横隔膜を通して延長する。なお、この切開部により、心臓の後面の直下にオペレータを配置し、心房後部への直接アクセスがもたらされる。心膜が確認されたら、内視鏡バブコッククランプで心膜をつかみ、はさみで鋭く切開する。その後、心膜の切開を引き続き行い、囲心腔液を腹腔に空け、この流体を吸引によって吸い出す。
次に、外科医は、DEPA手順を実行する。図1Aから図3Fに関して上で説明したように、アクセス装置182を腹部および横隔膜を通って胸腔内に挿入する。一時的空洞を作り出し、臓器(この場合は心臓)の後面を露出させる。
心臓の後面が十分に露出されたなら、左心膜に目を向け、左胸経由の胸腔鏡下で左心膜を鉗子とはさみを用いて切開する。左横隔神経の下後方に、左下肺静脈の前縁に沿って上肺静脈に向けて、心膜を切開する。牽引縫合を心膜に行い、心膜を前方に引き込む。左下肺静脈領域を十分に露出させるために、第2の牽引縫合を後方に行い、下方に引き込む。左上肺静脈と肺動脈の間の溝を確認できるように、心膜前部を左上肺静脈側に分ける。なお、横隔神経の前方で心膜を切開し、横隔神経を傷つけず、横隔神経の最大部分の横隔膜入り口と胸郭の間が橋渡しされた状態のままで、切開部を横隔神経の縁に沿って下方に延長することも、あるいは横隔神経の前後の2つの切開部の間に横隔神経を隔離して自由にすることもできる。
左心耳の露出は、心膜よりさらに上方の左横隔神経の前方を切開することによって行うこともできる。左上肺静脈が露出されたなら、直角の、および鋭利なはさみを用いて肺静脈を切離し、左肺上葉を外して左肺を左胸に落ち込ませる。患者を持ち上げて逆トレンデレンブルグ位にすると、肺がより下方に下がりやすくなるので、この区域の肺静脈をさらに露出させることもできる。十分に切離した後、直角を左上肺静脈の上を通し、横隔膜アクセスさせた心膜内視鏡を用いて視認する。横隔膜アクセスさせた心膜内視鏡によって直角が視認されたなら、心膜把持装置を離隔器/挙上器の中心チューブに通して臍テープ(または血管ループ、または他の無損傷性の細長いつなぎ綱)をつかむ。これにより、凝固装置をこの臍テープ(または血管ループ、または他の無損傷性の細長いつなぎ綱)に取り付けることができる。この臍テープによって、凝固装置を肺静脈に沿ってより適切な位置に配置するために、肺静脈を牽引することもできる。
次に、凝固装置を臍テープに取り付けて、凝固装置を左下肺静脈の後下方から左上肺静脈の上まで前進させる。次に、装置を引張り、装置が肺静脈の後の適切な位置にあることをDEPAスコープで視認する。凝固装置を左下肺静脈の後下方から左上肺静脈まで前進させて心膜後面に適切に配置した後、凝固装置を左心房に(例えば、上記の真空統合装置の場合は、真空を用いて)接触させる。この位置をDEPAスコープで直接視認した後、エネルギーを凝固装置経由で柔組織内に伝達する。
上肺静脈の上部の凝固を完了するには、凝固装置を上肺静脈に沿って前方にさらに引き込む。DEPAスコープによって視認した後、凝固を実行する。この時点において、凝固装置が適切な位置にあることを胸腔鏡を用いて視認し、組織が凝固機構に接触していることを確認しながら、前方凝固線を完成させて肺静脈の隔離を完了する。
この時点において、横隔神経を損傷しないように注意しながら、肺静脈の凝固線から左心耳に向けて凝固線を作り出す。この配置は、胸腔鏡で直接視認して行う。この凝固線が左胸部経由で完成したなら、左心耳に目を向ける。
心耳把持装置を使用すると、心耳の先端をつかんで引き込むことができる。図16Aから図16Dは、心耳把持装置200の一例を示す。図17Aから図17Cに示すように、胸腔鏡からの直接視認下で、心耳閉鎖機構をあてがう。左心耳250を閉鎖するために、複数のステープル194、複数のクリップ196、クランプ198、複数の縫合糸、または他の機構を使用してもよい。複数のステープル、複数のクリップ、または複数の縫合糸を用いる場合は、出血を防ぐために、心膜を閉鎖部位に組み込むこともできる。
次に、臍テープを左上肺静脈の上部に渡して再配置し、心膜内のできる限り右側に寄せておく。臍テープを右上肺静脈側後方に残したまま、左肺を再度膨張させる。次に、上記の左肺と同様に、同様の胸腔鏡ポートを用いて右肺を完全にしぼませ、配置することができる。
図1Aに示すように、右胸腔鏡検査を行う。この場合も、右下肺静脈を露出するために、心膜を横隔神経の前方、下大静脈と右下肺静脈との間の空間において自由にする。右肺静脈を肺動脈および右上肺静脈に右側上部から外す。この離隔を視認した後、DEPAスコープによって直角が心膜内にあることを視認する。この場合も、臍テープをこの区域に配置し、DEPA把持具でつかむ。臍テープを右下肺静脈側に配置する。凝固装置を下方から左心房に沿って右肺静脈後方に沿って配置する。臍テープを用いて牽引することによって、装置を後方に配置しやすくする。凝固装置を配置した後、凝固装置を作動させて一筋の柔組織を凝固させる。この場合も、上記の左肺静脈と同様に、臍テープの助けを借りて、右肺静脈を凝固させる。右胸腔鏡からの直接視認下で、右肺静脈に沿った前方の線を完成させる。心房内部の溝をさらに露出させて、右心房を心膜から離隔させると、凝固装置をより好適に配置し得る。装置を右肺静脈に沿って配置した後、凝固装置を作動させ、右肺静脈の隔離を完了する。
この時点において、左肺静脈に依然として配置されている臍テープをDEPAスコープ下で上肺静脈の上からつかむことによってこの配置を助ける。臍テープを左胸から右胸に引き込み、凝固装置に取り付ける。凝固装置を左心房後部に沿って配置する。凝固装置の配置は、DEPAスコープからの直接視認下で行う。配置を確認した後、凝固装置を作動させて一筋の凝固組織を作り出す。
なお、患者の左右回転、さらにはトレンデレンブルク位または逆トレンデレンブルク位は、心臓がDEPAスコープに最大に露出されるように心臓を適切に配置するために有効であり得る。患者の体、解剖学的構造の向き、および手術台の構成に応じて、患者に対して心臓をさらに回転させるために、アクセス装置168の非対称的な拡張が必要になることもある。
必要な左心房の凝固線を全て作り出した後、DEPAスコープを用いて凝固装置を下大静脈の後から右心房の最前部に沿って配置し、右肺静脈隔離凝固線に接続する。凝固装置を配置した後、凝固装置を作動させる。この凝固線は、下大静脈の内側部の周囲に冠状静脈洞に向かって続く。右冠状動脈を保護するように注意しながら、この区域の房室溝を凝固させる。冠状静脈洞の後方に留まり、房室結節を避けるように注意して、冠状静脈洞を凝固させる。
右心房の凝固線を作り出した後、次に再び目を左心房に向け、下肺静脈から冠状静脈洞まで僧帽弁のP3弁尖に向けて凝固線を作り出す。位置を確認した後、冠状静脈洞と回旋枝とを保護するように注意しながら、凝固を開始する。
図6Aは、完成した凝固線191を示す。完成後、凝固装置を取り外し、DEPAスコープを取り外し、アクセス装置168上の拡張可能部材を圧縮して扁平にし、アクセス装置168を引き込めるようにする。滑らかなメッシュパッチ(幅および長さがほぼ3cm×3cm)を用いて横隔膜切開部を覆い、このパッチを横隔膜にステープルで止めるか、または縫い付ける。横隔膜切開部を修復した後、肝臓左葉を解放し、腹部をしぼませる。両方の肺を完全に膨張させる。肺の実質性損傷が何も観察されなかった場合は、胸腔チューブは一切必要ない。実質性損傷が認められた場合は、ハイムリック弁付きの胸腔チューブを左右両側に配置し、患者をより直立した逆トレンデレンブルグ位に戻し、両カテーテルの吸引によって両方の肺を再び膨張させる。これを行った後、肺の損傷が皆無である場合に限り、左または右の胸膜腔内の空隙を防ぐために、バルサルバ法による全換気後に胸腔チューブを取り外す。腹部の切開部は、胸腔鏡下切開部と同様に、2層で閉鎖する。
(スタンドアロンDEPAの例)
この実施形態は、心房細動の処置手順中に胸腔経由のさらなる外科用アクセスおよび関連装置を必要としないスタンドアロンDEPAプロセスを説明する。この場合も、以下の説明は、上記のような、および参照により組み込んだ、凝固プローブの一実施形態を用いたこの特定のDEPAアプローチの詳細説明を必然的に伴うことに留意されたい。ただし、本発明の方法は、何れか特定の外科的手順を実施するための詳細ステップの数を減らすことも、追加することも、あるいは詳細ステップを変更することもできる。以下のステップのこのような変更は、何れも本発明の範囲内にあると考えられる。
上記のように、患者を準備し、挿管する。気管内チューブは、各肺葉の膨張および収縮を個別に可能にする。ただし、スタンドアロンDEPAプロセスでは、アクセス位置が左心房および左心室の後部に直に隣接する横隔膜を通るので、肺の収縮または陥凹が不要になり得る。肺の収縮または陥凹が不要になると(従来の外科的アプローチでは実現不能)、肺の損傷が防止され、患者の回復が速まるので、患者に実質的な利点をもたらす。
上記のように、血液動態監視を手順全体にわたって行い、TEEを用いて心臓を視認し、機能および血栓の存在を調べる。鼻腔チューブによって胃を空にし、フォーリーカテーテルを挿入して膀胱を空にする。さまざまな針を腹部に挿入して腹部に送気する。十分に送気した後、図5Dに示すように、横隔膜の腹部側、剣状突起の下ほぼ3cmから7cmの正中線に、皮膚の縦切開を行う。この切開部位は、上記の胸腔内への剣状突起下アクセスに用いられた切開部が横隔膜の胸郭側に位置するのに対して、かなり下である。
これらの切開部を通して腹部とその中身とを視認する。図5Dに示すように、寸法がほぼ5mmの追加の切開を右肋骨下部の下に行い、腹部の第3の切開を同じ区域の左側に行う。これら2つ切開部を通って、肝臓左葉を横隔膜から外す。図5Dに示すように、肝臓左葉を引き込んで正中線横隔膜区域から遠ざけるために、追加の5mmポートを右肋骨下の区域に配置する。横隔膜が十分に露出されたなら、横隔膜の両側をバブコッククランプでつかみ、心膜が確認されるまで、脚の前方3cmで横隔膜の正中線を縦に切開する。心膜が確認されたなら、心膜を内視鏡的クランプでつかんで開く。
次に、外科医はDEPA手順を実行する。図1Aから図3Fに関して上で説明したように、アクセス装置182を腹部および横隔膜経由で胸腔内に挿入する。一時的空洞を作り出すことよって臓器(この場合、心臓)の後面を露出させる。
心臓の後面が十分に露出されたなら、必要であれば、図13Aおよび図13Bに示すように、心膜翻転部位を領域224で切離して肺静脈164および/または下大静脈202を外し、アクセス装置182が心臓後面と脊柱の間に空腔をさらに画定できるようにすることもできる。図13A、図13B、図14A、および図14Bに示すような操作可能な切離装置124を用いて、心膜翻転部位あるいは他の相互接続組織または脂肪を切離することもできる。この切離装置を遠隔操縦して離隔器/挙上器に対して切離用クランプの軸線を変化させることによって、離隔器/挙上器の中心ルーメン/開口部の軸外に位置する対象組織にアクセスしやすくすることができる。なお、代わりに、本願明細書に示すように、アクセス装置182の中心ルーメン186の断面を楕円形にすることによって、剛性器具を軸外で回転させて心膜翻転部位にアクセスできるようにし、切離装置の遠隔操縦を不要にすることもできる。
なお、さらに、この心膜経由の後部アクセスでは、心臓前面に沿って走っている横隔神経を避ける必要も、あるいは操作する必要もなくなる。心膜を切開して左心房後部を完全に露出させ、離隔器/挙上器による操作によって、または患者を回転させることによって、または患者をトレンデレンブルク位または逆トレンデレンブルク位に配置することによって、または他の手法によって、心臓を回転させることができる。牽引縫合部を心膜切開部に隣接させて心膜に配置することによって、心臓をさらに操作することもできる。
心膜翻転部位を十分に切離した後(必要な場合)、把持装置(例えばクランプ(湾曲可能または固定)、スネア(湾曲可能または固定)、または事前成形されたクランプ)を離隔器/挙上器の中心ルーメンまたは開口部を通して挿入し、DEPAスコープからの直接視認下で左肺静脈に沿って通す。把持装置192を用いてシラスティックチューブ、臍テープ、または他の無損傷性引張部材248を左肺静脈164の周囲に前進させ、凝固装置2に一時的に係合させて、図13Cに示すように凝固装置を所定位置に引き込む。
次に、凝固装置を前進させることによって、および/または臍テープを後退させることによって、凝固装置を左肺静脈の周囲の一部または全体に前進させる。DEPAスコープ184を用いて凝固装置の位置および係合を絶えず視認する。凝固装置を左肺静脈の周囲の一部または全体に適切に配置した後、凝固装置を左心房に(例えば、上記の真空統合装置の場合は、真空を用いて)接触させる。この位置をDEPAスコープによって直接視認した後、エネルギーを凝固装置経由で柔組織に伝達する。
第1の凝固線を作り出した後、図6Bに示すように隔離用の凝固線を完成させるために、凝固装置を左肺静脈に沿ってさらに引き込む。DEPAスコープによる視認後に凝固を行う。この時点において、左肺静脈から心房の残りの部分までの伝導ブロックを実証するペーシング手法を用いて左肺静脈の隔離の完了を確認する。
次に、左心耳に沿って凝固線を作り出す。この凝固線は、左肺静脈の凝固線から僧帽弁輪206の位置まで、すなわち、弁輪から大静脈および回旋枝が分岐し、図6Bに示すように、そこに沿って冠状血管が何も走っていない弁輪の節が露出されている位置まで作り出される。この配置は、DEPAスコープによる直接視認下で行う。この凝固線の完成後、左心耳を閉じる。図16Aから図16Dに示す心耳把持装置200を用いて心耳をつかみ、心耳を引き込む。DEPAスコープからの直接視認下で、心耳閉鎖機構をあてがう。図17Aから図17Cに示すように左心耳を閉じるために、複数のステープル194、複数のクリップ196、クランプ198、複数の縫合糸、または他の機構を用いることもできる。複数のステープル、複数のクリップ、または複数の縫合糸を用いる場合は、出血を防ぐために心膜を閉鎖部位に組み込むこともできる。
次に、上記の把持機構および臍テープを用いて、凝固装置を右肺静脈の周囲に再び配置する。なお、代わりに、事前成形された形状または操縦機構を凝固装置に組み込むことによって、心房後部に沿って凝固機構を前進および湾曲させやすくすることもできる。DEPAスコープからの直接視認下で凝固装置を右肺静脈の周囲に配置し、凝固装置を順次作動させることによって、交差する複数の損傷線を形成し、1つ以上の交点に隙間のない完全な損傷を形成する。
右肺静脈の凝固線が作り出された後、図6Bに示すように、凝固装置を左心房後部188に沿って配置し、左肺静脈および右肺静脈の凝固線191を交差させる。この場合も、凝固装置の配置は、DEPAスコープからの直接視認下で行う。位置の確認後、凝固装置を作動させて一筋の凝結組織を作り出す。
なお、患者の左右回転、およびトレンデレンブルク位または逆トレンデレンブルク位は、心臓がDEPAスコープに最大に露出されるように心臓を適切に配置するために有効であり得る。離隔器/挙上器は、患者の体、解剖学的構造の向き、および手術台の構成に応じて、患者に対して心臓をさらに回転させる(左右、頭から爪先、または他の平面関係)ために非対称拡張をさらに組み込むこともできる。
必要な左心房凝固線を全て作り出した後、下大静脈からユースタキオ稜の下の三尖弁輪まで凝固線を作り出すために、アクセス装置のワーキングチャンネルを通って、または下大静脈の下の開口部を通って、凝固装置を操作する。凝固装置を配置した後、凝固装置を作動させる。あるいは、またはさらに、図6Bに示すように、冠状静脈洞の後方に留まり、房室結節を避けるように注意しながら、下大静脈202から冠状静脈洞まで凝固線を延長させることもできる。
図6Bに示すように、すべての凝固線が完成したなら、凝固装置を取り外し、把持具を取り外し、DEPAスコープを取り外し、アクセス装置を扁平に圧縮して後退させる。滑らかなメッシュパッチを用いて横隔膜切開部を覆い、パッチを横隔膜にステープル止めにするか、または縫い付ける。あるいは、横隔膜に沿って縫合して横隔膜の切開部を閉じることによって、メッシュパッチを不要にすることもできる。横隔膜の切開部の修復後、肝臓左葉を解放し、腹部をしぼませる。肺は収縮させなかったので、肺への実質性損傷は回避される。腹部の切開部を2層で閉じる。
(食道切離の例)
患者を確認し、処置のために準備した後、臍の皮膚を小さく切開し、腹腔鏡を用いて腹部を適切に膨張させる。十分に膨張させた後、内視鏡を挿入し、肝臓左葉を上方に引っ込めて食道裂孔を露出させるために、さらに腹部ポートの切開を右肋骨下の区域に行う。解剖器具の適切な移動および配置を可能にするために、2つの独立した腹部ポートの切開を左右肋骨縁のすぐ下に行う。胃および胃大網動脈は慎重に保護され、短胃動脈は分けられた。胃大網動脈は保護されているので、胃大網動脈を確認できる。短胃動脈を確認し、ハーモニックスカルペル用いて短胃動脈を脾臓側に向かって外す。胃を完全に外し、右胃大網動脈を完全に保護した後、食道裂孔の横隔膜脚の位置まで引き続き切離する。次に、十二指腸を右腎臓から遠ざけるために腹腔鏡的に切離した十二指腸の第1部および第2部に注意する。胃をさらに移動する。横隔膜の右脚に向けて切離を進め左胃動脈を確認する。内視鏡的ステープリングを用いて左胃動脈を注意深く切断し、止血を確認する。内視鏡的ステープリング装置を用いて内視鏡的幽門形成を行い、十二指腸を幽門上に折り重ね、胃幽門部閉塞を防ぐために吻合を行う。
この時点において、内視鏡的ハーモニックスカルペルを用いて、食道を縦隔内でさらに外す。引き続き、正中線の腹腔鏡的切開部に通したハーモニックスカルペルを用い、腹腔鏡で見える限り、この切離を行う。次に、アクセス装置を胸腔内に配置し、アクセス装置を通して内視鏡を食道の前方にある後部縦隔内に配置する。切離具を用いて、食道の血管をしっかり確認する。次に、ハーモニックスカルペル用いて、これらの血管を切断する。食道が縦隔側に向かって完全に外れれば、アクセス装置を食道の後に配置し、特異的な方法で食道側面の血管を食道から分ける。食道を視認して、食道が付着していたものから食道が外れていることを確かめることが好ましい。
(損傷の例)
DEPAプロセスを別の外科用アクセスと併用するか、あるいはスタンドアロンプロセスとして用いると、凝固装置を用いて如何なるパターンの曲線状経壁損傷でも心外膜面または心内膜表面に沿って作り出せることに注目されたい。
1つの可能な左心房損傷パターンとしては、(大静脈および回旋枝が房室弁輪と平行せず、左心室の先端側に湾曲した)左心耳に隣接する僧帽弁輪206から上肺静脈の上を通り、右肺静脈に隣接する僧帽弁輪に向けて戻るか、あるいは下肺静脈から前方僧帽弁輪に向かって「C字」形にすることが挙げられる。別の左心房損傷パターンとしては、「V字」形にすることも挙げられる。この場合、交点は、左心耳に隣接する僧帽弁輪にあり、各線分が肺静脈の両側を通過して、心房中隔に隣接して終端する。「B字」を引き伸ばした形にすることもできる。この「B字」の湾曲した各線分は左肺静脈または右肺静脈のどちらかの周囲に延在し、中央のリンクは一定距離だけ離れ、「B字」の最上部の線は左心耳に隣接する僧帽弁輪に接続される。
図6Cに示すように、引き伸ばされた「S字」、逆「S字」、または8の字形の凝固線191の起点は、左心耳に隣接する僧帽弁輪であり、その基点から湾曲し、湾曲した線分によって左右の肺静脈を一対ずつ包囲する。図6Dに示すように、2つの「C字形」損傷191の一方は左肺静脈164の周囲に延在し、他方は右肺静脈164の周囲に延在し、僧帽弁輪206に接続され、下大静脈202から三尖弁輪まで延在する粗動損傷と合体する。上記のさまざまな左心房損傷パターンに加え、分界稜に沿って、下大静脈から上大静脈まで、分界稜から三尖弁輪まで、上大静脈から三尖弁輪まで、または右心房に沿った心房粗動を防止できる他の形状に沿って、右心房の損傷を作り出すこともできる。
(後部アクセスの他の実施形態)
図5Cは、心臓後面または肺の直接視認および操作を可能にする一代替アクセスを示す。患者を手術室の手術台の上に腹ばいに乗せて抑制する。このようにすると、外科医は患者の背中にアクセス可能である。重力によって心臓、肺および他の解剖学的構造が背中から遠ざかるので、心臓後部または肺に沿って器具をアクセスさせて操作するための空間が生じる。脊柱から離れた位置で背中を2箇所236および238で切開し、複数のトロカールを背中から胸腔にアクセスするように配置する。心臓後部および肺に直接アクセスできるように、これらのトロカールを大動脈および食道から離して脊柱に隣接させる。
(離隔器/挙上器の実施形態)
図7Aから図7Cは、一時的空洞を体内に作り出すための新規アクセス装置182の一例を示す。図7Aから図7Cは、代替アクセス装置182の上面図、側断面図、および端面図をそれぞれ示す。通常、この装置は、臓器を持ち上げて隣接臓器または組織表面を離隔することによって、一時的空洞を作り出して手術領域を体内に作り出す。図7Aから図7Cの変形例において、装置182には、2つの拡張可能部材212が組み込まれている。本願明細書に記載のように、装置182は、拡張可能部材212をいくつでも含み得る。ただし、使用される数にかかわらず、各拡張可能部材212は細長部材210(ガイドチューブとも呼ぶ)を中心として拡張することによって、臓器を離隔して持ち上げることによって一時的空洞を作り出す。
図7Aに示す変形例において、拡張可能部材は2つのバルーンブラダー212を備える(または単一のバルーンを細長部材212の最上部および底部に固定することによって2つのブラダーを画定することもできる)。これらのバルーン212を細長部材210の対向する2つの側面に沿わせて配置する。図7Aおよび図7Cに示すようにバルーン212が膨張すると、これらのバルーン212は枕型支持体を形成し、一方の側で脊柱および食道の周囲にフィットし、反対側で心臓にフィットする。このように、バルーン212は臓器を離隔させるばかりでなく、臓器を安定化させる。なお、細長部材上の各バルーンの離隔は図7Cに示すように対称的である必要はなく、特定の用途に応じて違えることもできる。例えば、患者の解剖学的構造に応じて、装置182の心臓に接触する側に沿って短い方のバルーンを使用し、装置182の脊柱および食道に接触する側に長い方のバルーンを使用することも、この逆にすることもできる。これらのバルーンは、シリコーン、ウレタン、ポリエステル、PET、ポリウレタン、ナイロン、PEBAX、または膨張媒質への暴露によって拡大可能な他のポリマーから作製し得る。ガイドチューブ210は、何れのポリマーからでも作製できるが、アクセス装置を臓器間(例えば、心臓と脊柱の間)の隙間に挿入するときに必要な柱状部強度をもたらす十分な剛性を有することが好ましい。例えば、ガイドチューブをポリウレタン、PTFE、FEP、ポリエステル、または所望の形状に押し出しまたは成形可能な他の材料から作製することができる。
アクセス装置182の複数の変形例において、拡張可能部材(例えば、バルーン212)は細長部材210を中心に一様でなく拡張する。例えば、図7Cに示すように、バルーン212は、細長部材210の上部および底部から離れる方向に拡張する以上に、細長部材210の側面から離れる方向に拡張する。この特定の構成により、細長部材210の開口部186またはスロット187から臓器を遠ざけすぎることなく、一時的空洞を作り出すことが可能になる。アクセス装置182の複数の変形例は、細長部材210を中心として非一様に拡張する拡張可能部材を含むが、アクセス装置は拡張可能部材が一様に拡張する変形例も含む。
図7Bに示すように、細長部材210は、一方または両方のバルーン212の内部と流体連通された少なくとも1つの膨張ルーメン214を含む。用途によっては、バルーンの膨張および臓器の離隔をより正確に制御するために、各バルーン212に個別の膨張ルーメン214を設けることもできる。これらのバルーンを膨張させるには、生理的食塩水、CO2、または他の生体適合性流体を用いることもできる。複数の貫通ポートをハンドルに含む装置の近位端に膨張ルーメンを通すこともできる。本願明細書に記載のように、個々のバルーンをそれぞれ異なる圧力および/または体積に膨張させることによって、一方のバルーンの離隔距離を他方のバルーンの離隔距離より大きくすることもできる。例えば、心臓に対して使用する場合、この機構によって心臓を一方向または他方向に回転させることによって、胸腔内で心臓を操作するモードが提供される。例えば、この操作により、心臓の外側面に、および/または心臓の前面にも、より良好に器具をアクセスさせることができる。
図7Cは、1つ以上の可視化素子246を含む細長部材210を示す。可視化素子は、光ファイバ、CCDカメラ、光源などでもよい。光ファイバを使用すると、光を伝達し、アクセス装置182によって画定された空腔を照らすこともできるであろう。これ以外に、またはこれと組み合わせて、近領域(near−field)の赤外線振動子をアクセス装置182に組み込んで、使用中に血管(静脈および動脈)を確認できるようにすることもできる。このような近領域赤外線振動子を組み込むと、外科医は血管(例えば、心臓への到達時または食道の離隔時に、肺静脈、冠状静脈洞、食道の血管、または他の細い血管)を確認でき、血管を切離するとき、または血管の位置を突き止めるときに、血管を回避できる。このような近領域赤外線技術は、組織表面の2mm下にある血管を可視化できる。
図7Aから図7Cに示すように、装置182は、手術道具および/またはスコープを一時的空洞に送達できるワーキングチャンネル211を含む。これにより、一時的空洞に手術野を作り出すことができる。ワーキングチャンネル211は、細長部材210の遠位端の開口部186で終端する。図7Aから図7Cでは開口部211が装置182の正面にあるが、以下に示すように装置182の先端の側面に開口部211を設けることもできる。
装置182は、細長部材210の1つ以上の側面にスロット型開口部187をさらに含むこともできる。スロット187は、臓器のより大きな部分へのアクセスを一時的空洞内によって可能にする。図示のように、バルーン212の端がスロット187を越えて延在することによって、一時的空洞を形成する装置の能力が向上する。装置を心臓に当てて使用するとき、スロットは、アクセス装置と心臓の間の接触領域内に位置する心臓後面へのアクセスを可能にする。スロット187がない場合は、細長部材210の開口部186より先でのアクセスに限られる。
図7Aから図7Cに示すように、アクセス装置182の複数の変形例は、断面が円形でない(例えば、図示のように楕円形)の細長部材210を含む。ワーキングチャンネル211の断面が円形でないと、複数の器具をアクセス装置182に通すことができる。複数の道具を扱える装置182の能力をさらに向上するため、本発明の装置182と共に、カメラ接続を有するスコープを使用することもできる。この場合、ハンドルがスコープのカメラに干渉しないように、カメラ接続はスコープ軸から斜め(例えば、90度までの何れかの角度)に向けられる。
図7Aおよび図7Bに示す例においては、装置182の一方の側が平面245であることにより、一時的空洞を作り出すときに装置と組織との間の接触面積を増やすことができる。この接触面積の増加により、使用中の装置182の安定性が増す。拡張可能部材212は平面245に隣接する装置182の両側面に配置されて図示されているが、装置のさらなる変形例は拡張可能部材を装置182の任意の表面/側面に含む。
図示のように、アクセス装置182の近位端または近位部は、体外からのアクセス装置の操作を可能にするようになっている。図7Aは、近位側のハンドル256を示す。これらのハンドル256は、アクセス装置182の操作を可能にすると共に、細長部材210またはアクセス装置182の近位端が患者の体内に完全に押し込まれることを防止する。
図7Bおよび図7Cに示すように、細長部材210を所望の構成に成形できるように、順応性のあるまたは成形可能な支持体244を該部材に組み込むこともできる。その形状は、スコープおよび器具を一時的空洞の所望の部位(例えば、心臓の後部領域、または他の解剖学的構造)に導く装置の能力を向上するように、選択される。支持体244が細長部材210の支持ルーメン内を摺動できるように、支持体244を支持ルーメン内に配置することもできる。あるいは、またはさらに、細長部材210を成形可能材料から作製することもできる。このようにすれば、細長部材210を所望の形状に成形することもできるであろう。
図7Cは、任意の吸込みまたは吸引ルーメン262を有するアクセス装置182をさらに示す。この装置は、直接視認下で外科的手順を行うための一時的空洞を作り出すようになっているので、スコープまたは可視化素子が体液または他の流体で遮られないようにすることが重要である。したがって、吸込み装置をワーキングチャンネルを通して前進させることもできる。あるいは、またはさらに、吸込みまたは吸引ルーメン262を細長部材210内に配置することもできる。
図7Dから図7Eは、アクセス装置182の別の変形例を示す。この変形例において、細長部材210は、近位端から遠位端に向けて先細りになっている。この先細り構成により、装置182が標的部位に前進するに伴い、細長部材210自体によって組織を離隔させることができる。図7Eは、先細りの細長部材210の斜視図を示す(さまざまな膨張および/または吸引ルーメンを示す)。この場合も、ワーキングチャンネル211の断面形状は、何れの幾何形状でもよい。ただし、ワーキングチャンネルの幅がワーキングチャンネルの高さに等しくない形状(例えば、矩形、楕円形、台形など)が好ましい。図7Cは、拡張可能部材212が細長部材210の遠位端を囲んでいる、装置182の一変形例を示す。この変形例は、細長部材210と臓器の間に空間を生じさせる。
図7Fから図7Iは、アクセス装置182のさらなる変形例を示す。図7Fに示すように、アクセス装置182は、追加のワーキングルーメン272を細長部材210内に含み得る。この変形例における追加のワーキングルーメン272は、ワーキングチャンネル211から独立しており、一時的空洞内に1つの装置を残したまま他の装置を、装置間の過度の干渉を引き起こすことなく前進および/または除去することができるアクセスチャネルを提供する。例えば、スコープ型装置を一時的空洞に前進させるために、追加のワーキングルーメン272を用いることもできる。このようにすると、スコープ型装置をワーキングルーメン272内に留めたまま、他の装置をワーキングチャンネル211に挿入して操作することもできる。これにより、スコープが妨害される機会が減る。
図7Gは、図7Fのアクセス装置182の正面図を示す。図示のように、アクセス装置182は、ワーキングチャンネル211と、追加のワーキングルーメン272と、拡張可能部材212に結合された膨張ルーメン258と、吸引ルーメン252とを含む。一変形例では、この複数ルーメンアクセス装置182を、細長部材210の外面を画定する被覆または被膜を有する複数のチューブから作製することもできる。図示のように、装置182は、遠位端に配置された複数の拡張可能部材212を含み得る。
図7Hは、複数ルーメンアクセス装置182の別の変形例を示す。図示のように、アクセス装置182は、ワーキングチャンネル211として機能する通路を有する細長部材210を備え得る。ワーキングルーメン272と、吸引ルーメン252と、膨張ルーメン258とを形成するために、それぞれ独立したチューブまたは同様の構造をワーキングチャンネル211内に配置することもできる。これらのルーメンも、押出成形された複数ルーメンの細長部材210を用いて形成することもできる。図7Iは、図7Hのアクセス装置182の背面図を示す。図示のように、拡張可能部材212は、装置182の遠位端の周囲に配置された単一のバルーンブラダーから形成することもできる。
図7Jは、ワーキングチャンネル211と第2のワーキングルーメン272とが装置182の近位端において互いにずれているか、または千鳥状になっている、アクセス装置182の変形例を示す。この構成は、アクセス装置182の使用者端での装置間の干渉を減らす。さらに、器具類がワーキングチャンネル211に進入する際に通過する面積を増やすために、ワーキングチャンネル211の近位端を細長部材の一端に沿って(図示のように)先細りにすることもできる。
図8Aから図8Cは、拡張可能部材212と別個のスタビライザストランド216の両方を有する、本願明細書に記載のアクセス装置182の上面図、側面図、および底面図をそれぞれ示す。図示のように、拡張可能部材は、細長部材210またはガイドチューブに取り付けられたバルーン212を備える。この変形例において、細長部材210は、ワーキングチャンネル211を画定する円形でない断面(例えば、楕円形、図示のような矩形、台形、または何れか他の幾何形状)を有する。ワーキングチャンネル211は、装置によって形成された一時的な人工空洞へのアクセスを可能にする。細長部材210は、成形可能であっても、あるいは本願明細書に記載のように特定の湾曲部を有してもよい。上記のように、ガイドチューブが曲線を維持する変形例においては、所望の外科的用途に応じてこの曲線を選択する。例えば、横隔膜の腹部側の皮膚の切開/穿刺部から、横隔膜の下を通って、心臓の後面に向けて直接アクセスするには、図8Bに示すように、アクセス装置182の遠位部を湾曲または傾斜させることもできる。
図8Aから図8Cに示す変形例においては、バルーンの側面と底部とが付着せずに自由であるように、バルーンは細長部材210の平面的な側面に沿って取り付けられる。この構成により、バルーン212を脊柱、食道、および他の構造に合わせながら、細長部材210のスタビライザ側で心臓を離隔させることができる。スタビライザストランド216は、臓器の周囲にフィットして手順中の臓器を安定化させるように順応性があるように作製することもできる。例えば、心臓に接触して用いる場合、バルーンが膨らんで一時的空洞を作り出すのに伴い、ストランドは心臓を安定化させる。スタビライザ216は、器具を心臓の後面に沿って、またはアクセス装置182によって画定された人工空洞内で操作している間、心臓を支持する。
スタビライザストランド216は、細長部材210から、スロットを切り取り、安定化の特徴を事前成形することによって作製されることが好ましい。一方、これとは別に、スタビライザは、非外傷性ポリマーで被覆されガイドチューブに固定された別のコンポーネント(例えば、バネ鋼などのバネ金属またはニチノール)から作製することもできる。
図9Aおよび図9Bは、拡大可能なストランド216またはスタビライザを備える拡張可能部材を組み込んだ代替アクセス装置182を示す。ストランド216は、事前成形されたストランド216でも、あるいはバネ材料(例えば可撓性ポリマー、バネステンレス鋼、ニッケルチタン、または装置の伸縮性要件を満たすように処理された他の金属)から作製されたスタビライザでもよい。一部の変形例において、ストランド216は、装置の配備後に、事前成形された構成になる。該当する臓器を入れ子にするか、または離隔するために、ストランド216を配備中に変形することができる。ストランド216は、順応性または弾力性があってもよい。弾性または弾力性のあるストランド構成の場合、ストランド216は拡張した事前成形された配向になる。ストランドを縮めて扁平にするために、ワイヤを用いることもできる。配置されると、ワイヤは、ストランドが半径方向外側に拡張して解剖学的構造に接触するように、ストランドを解放すればよい。心臓を食道から離隔させるために、本装置が使用される変形例においては、両方のストランドセットが前進すると、ストランドが心臓を脊柱および食道から離隔させて一時的空洞をもたらす。この空洞内には器具を挿入でき、スコープによる直接視認が可能になる(例えば、図3Aから図3Cに示すように)。
複数の代替変形例においては、装置を配置した後に、ストランド216を作動させて拡大構成にする。図9Bに示す変形例において、ストランドの前進または後退を引き起こすように、ストランド216を作動させることができる。図示のように、ストランドの一端を細長部材210に取り付けることもできるし、他端が細長部材内を前進できるようにすることもできる。なお、各ストランドを個別に拡大して心臓を選択的に離隔させ、これによって心臓の一方の側を持ち上げて心臓を回転させ、心臓の外側面、さらには前面にアクセスできる。さらに、図9Aに示すように、各ストランド216のサイズをそれぞれ違え、装置の上側ストランドの拡張時のプロファイルを装置の下側部分のストランドより小さくすることもできる。
大半の変形例において、スタビライザストランド216は非外傷性であるように設計される。例えば、ストランド216によって離隔された解剖学的構造の磨耗または切断を防ぐ被覆を設けることもできる。2組のストランド間の間隔は、解剖学的要件および/または処置要件に応じて設定できる。
図9Cおよび図9Dは2つの拡張可能ストランド216を囲む1つのバルーン212を備えた、アクセス装置182の別の変形例を示す。なお、任意の数の拡張可能ストランドを使用してもよい。この構成において、バルーン212は各ストランドに取り付けられ、ストランドの反対側に沿って自由なバルーンを画定する。したがって、ストランド216が拡張すると、各ストランド216は、バルーンを拡大させ、脊柱領域に接触させて安定化ポイントを提供する。膨張ルーメン214を通って送達される膨張媒質を用いてバルーンが膨張するに伴い、バルーンは離隔対象の臓器をさらに包囲する。この機能は、非外傷性面をもたらす一方で、この臓器を分離および安定化させる。例えば、バルーンが膨張して心臓を隣接臓器から離隔するに伴い、バルーンの膨張によって心臓を支持するための非外傷性面が形成される。なお、装置182のこの変形例は、拡張可能ストランドが心臓を支持し、バルーンの自由な側で脊柱および食道に接触するように、180度回転させて使用することもできる。バルーンをストランドの遠位および近位側においてガイドチューブに取り付けることによって、流体不浸透性結合を画定する。なお、2つのストランドを別個に作動させて心臓を選択的に離隔すれば、これによって、心臓の一方の側を持ち上げて心臓を回転させ、心臓の外側面に、さらには前面にも、アクセスし得る。
図10Aから図10Cは、拡張可能部材が2組の拡大可能なストランド216を備え、一方の組は装置の遠位端側に位置し、第2の組が細長部材210の近位側に位置する、アクセス装置182の一代替変形例を示す。各ストランド216は、上記の何れかの方法で作動させ得る。本装置の複数の変形例は、軸方向または半径方向のどちらかに互いにずれている複数の組のストランド216を含む。
図11Aおよび図11Bは、楕円形の細長部材210の2つの側面に沿って一連の拡大可能ストランド216を備えたアクセス装置182の端部を示す。図11Bは、圧縮された扁平構成のストランド216を示す。図11Cおよび図11Dは、図11Aおよび図11Bのアクセス装置182の側面図および正面図をそれぞれ示す。図示のように、各ストランドは拡大された拡張構成である。この場合も、上記のように各ストランドを拡張させ、一時的空洞を作り出すために離隔された隣接臓器を支持する安定化表面を画定することができる。
図12Aから図12Cは、アクセス装置182の別の変形例を示す。この変形例において、装置182には、3つのバルーン212が組み込まれ、2つのバルーン212は細長部材210の上部に沿って配向され、単一のバルーン212は細長部210の底部に位置する。図示のように、各バルーン212は、さまざまな手順の実行時に有用な所定の形状を有し得る。例えば、底部のバルーン212は、細長部材の反対側に半円形の溝を有する。この溝により、一時的空洞を作り出すときに、さまざまな臓器(例えば、脊柱または食道)を入れ子にできる。
図12Dから図12Fは、アクセス装置182の別の変形例を示す。この変形例において、バルーン212は、細長部材210に沿って同軸方向から見たときに(図12Dに示すように)断面が矩形になるように選択される。本装置182に使用されるバルーン212の断面は、何れの形状であってもよい。下記のように、バルーンは、特定の臓器に対応するため、あるいは装置182の開口部186に隙間を作るために、さまざまな形状を有し得る。このようなバルーンは、特定の形状または断面に事前成形することもできる。さらに、装置の複数の変形例に、非膨張性のバルーンを採用することもできる。
図12Dは、より大きな開口部186を設けるために湾曲または傾斜させた細長部材210の遠位端をさらに示す。このような構成は、一時的空洞に隣接する臓器の表面へのより大きなアクセスを可能にする。上記のように、細長部材210は、装置の端に位置する複数の吸引/吸込みポート262をさらに含むこともできる。
図12Fは、一方のバルーン部材212の長さが第2のバルーン部材212の長さより長い、アクセス装置182のさらに別の変形例を示す。このような長さの差は、所望の手順に応じて選択し得る。一代替変形例においては、単一のバルーン212を採用し、細長部材210の一方の側にあるこのバルーンの部分を細長部材210の別の側にある同じバルーンの部分より短く/長くする。
図12Gは、各バルーン部材212の少なくとも一部分が細長部材210の開口部186を越えて延在する、アクセス装置182の一変形例を示す。このような構成であれば、組織を開口部186から離しやすくなる。さらに、これまでであれば、装置182のワーキングチャンネル211内の可視化素子(例えば、内視鏡)が組織によって覆い隠されていたのが、上記のような構成をとればその可能性は低くなる。図示のように、装置182は、装置のワーキングチャンネル211内に、開口部186に隣接して、吸込みまたは吸引ポート262をさらに含むこともできる。
図12Hは、バルーン212の形状によってワーキングチャンネル211の開口部186の周囲に隙間をもたらすことができる、アクセス装置182の一変形例を示す。したがって、細長部材210に隣接するバルーン212の長さは、細長部材212から離れた面におけるバルーン212の長さより短い。図12Hは、係止部材またはバルーン264を有する、アクセス装置182の一変形例をさらに示す。係止用バルーン265は、切開部位の体内または体外で拡張することによって膨張時に装置を部位に固定するように、装置182の遠位端から十分に離れていればよい。図12Jは、図12Hのアクセス装置182の正面図を示す。図示のように、装置182の端部は、バルーン212の構造によって周囲組織から離間される吸込み/吸引ポート262と可視化/照明素子246とを含み得る。
図12Jは、バルーン部材212が細長部材210に沿って軸方向に互いに離間された、アクセス装置182の別の変形例を示す。
図18Aから図18Cは、細長部材210のワーキングチャンネル211内で摺動可能な拡張可能部材266を有する、アクセス装置182の一変形例を示す。拡張可能部材266が細長部材210から外に前進するに伴い、拡張可能部材は拡張して臓器を持ち上げ離隔する。図示のように、図18Aの拡張可能部材は、第1および第2の組のアーム268、270を備える。この変形例において、アームの組268、270は、細長部材210の周囲に不均一に拡張する。図18Bは、第1および第2の組のアーム268、270が細長部材から延在しているときの図18Aのアクセス装置の側面図を示す。図18Cは、細長部材210内に引き込まれた第1および第2の組のアーム268、270を示す。
図19Aから図19Bは、図18Aから図18Cに示すアクセス装置に類似の、アクセス装置182の一変形例を示す。ただし、この変形例において、アクセス装置182は、個々のアーム間に隙間がない第1および第2の組のアーム268、270を含む。
図20Aから図20Bは、アクセス装置182のさらに別の変形例を示す。図20Aに示すように、アクセス装置182は、DEPAプロセス以外でも、体の複数の部分で使用できる。この変形例において、アクセス装置182は曲線形状を有し、例えば、横隔膜170経由のアプローチに対向するような、剣状突起下アプローチの間に胸腔内へ直接進入する際に、装置182の配置がしやすくなる。アクセス装置182の形状は、手順および目的の進入手順に応じて変わる。図20Bに示すように、配置した後、アクセス装置182の拡張可能部材212を膨張させることによって、臓器を持ち上げ離隔して一時的空洞を形成することができる。したがって、本アクセス装置182の複数の変形例は、上記の従来の進入手法による配置に対応するために湾曲した、成形可能な、または可撓性の細長部材を含む。
図21Aは、本願明細書に記載のアクセス装置に使用されるさらなる特徴を示す。この図は、細長部材210の遠位端に拡張可能部材を有するアクセス装置182を示す。図示のように、この細長部材は、細長部材210の全体または一部にわたって延在する補強部材282を備え得る。図示の補強部材282は細長部材210の外側にあるが、補強部材282を細長部材210の壁の内側、外側、あるいはその内部に配置することもできる。補強部材282は、編組支持体、コイル状支持体、メッシュ支持体、あるいは細長部材210を補強する何れか同様の支持体でもよい。図示はされていないが、アクセス装置182は、場合によっては、ハンドル、あるいは装置の操作を可能にする他の特徴をいくつでも有し得る。
図21Aは、アクセス部材182に貫通延在するレール部材282をさらに示す。レール部材282は、コイル状ガイドワイヤ、非外傷性ガイドワイヤ、高分子ストランドまたはチューブ、あるいは何れか同様の構造にすることができる。使用中、レール部材282は、細長部材282に対して取り付けられた部分と、細長部材210内に延在する軸方向に可動な部分とを有する。大半の場合、レール部材は、組織の対象領域に損傷を引き起こしてはならない。例えば、心臓組織の近くで使用する場合、レール部材は、心臓組織を不用意に切断または損傷しないように十分な直径を有するべきである。
一般に、レール部材282の遠端部284は、レール部材282の残りの部分が遠位側に移動することによって、レール部材282の中間または中央部分が弧状のプロファイル、形状、または周線(以降、弧状プロファイルと呼ぶ)288になるように、細長部材210の内部に取り付けられる。この変形例において、形成される形状は、端が開いた半円形プロファイルである。ただし、レール部材282は、任意の数の形状を形成するように作製できる。例えば、レール部材がアクセス装置182の外に前進したときにレール部材が所定のプロファイルになるように、レール部材の全体または一部をこの所定のプロファイルにすることもできる。さらに、プロファイルは何れか所望の幾何形状にし得る。
図示の変形例において、レール部材282は、細長部材210の膨張ルーメン214に取り付けられる。ただし、レール部材282は、細長部材210の内側または外側の何れの場所にでも取り付け得る。さらに、レール部材282は細長部材210に貫通延在して図示されているが、さらなる変形例は細長部材210の外側に(または、一部外側に)延在するレール部材を含む。
図21Aは、弁290を有するアクセス装置182をさらに示す。一変形例において、弁290は、細長部材210のワーキングルーメン内に一部延在するダックビル弁でもよい。このような弁は、ワーキングチャンネルを通る物体を取り囲んで閉じる。ただし、所望の用途に応じて、何れの種類の弁でも使用できる。
図21Bは、図21Aのアクセス装置182の断面図を示す。図示のように、レール部材282はワーキングチャンネル211と、細長部材210の近位端にある弁290(この場合はダックビル弁)とを通って延在する。通常、レール部材282は、形状記憶合金、超弾性合金、合金、ポリマー、または複数の材料のポリマーブレンドなどの材料から作製される。大半の場合、レール部材282は、さまざまな医療器具を前進させるためのレールとして機能するように意図されている。したがって、レール部材282の複数の変形例は、中間区間288のプロファイルが単一の平面内にほぼ留まるように、十分な剛性を有するように構築される。中間区間288の向きは、レール部材の近位端または近端部の動きによって操作できることは言うまでもない。
図21Cは、図21Aのアクセス装置182の上面図を示す。上記のように、本発明によるアクセス装置182は、細長部材210の遠位端の開口部186に隣接する1つ以上のスロット187を含み得る。このスロット187は、ワーキングチャンネル211内の器具を操作/回転するために特に役立つ。図示の変形例においては、拡張時にスロット187に隣接する一時的空洞空間を拡張可能部材212が塞がないように、拡張可能部材212がスロット187の周囲に形成される。
図22Aは、使用中のレール部材282の一例を示す。説明のために、膨らんだところの拡張可能部材212は図示されていない。装置の使用中、拡張可能部材212を完全または部分的に拡張することもできる。あるいは、使用中に拡張可能部材212を拡張する必要はない。図示のように、レール部材282の中間区間288は、依然として装置182の内部に留まっている。さらに、この図において、レール部材282の遠端部は、アクセス装置182のワーキングチャンネル211の内部に取り付けられている。
図22Bは、レール部材282の軸方向の移動、特にレール部材282の近端部286の遠位側への移動を示す。レール部材282の前進に伴い、中間区間288は弧状プロファイルになる。図示のように、中間区間288のプロファイルは、端が開いたループとして示されている。ただし、何れの数の形状でも本発明の範囲内にあるものとする。
図22Cは、レール部材282上の処置装置300の前進を示す。処置装置300は、装置300をレール部材282に沿って前進させ、最終的に装置300の形状を中間区間288のプロファイルの形状に従わせるレールルーメンまたはトラックを含む。図示の例に限定されないが、処置装置300は、組織の処置用の電極302を含むことができる。場合によっては、図示のように電極302の形状を中間区間288の形状に従わせることもできる。使用中、レール部材282は、アクセス装置182から処置対象の組織上に前進する。レール部材282により、医師は処置装置300をより高精度で配置することができる。レール部材付きのアクセス装置182は、本願明細書に記載のように、胸腔内の臓器の後部領域上への処置装置182の配置にかなりの効果を発揮した。
図23Aは、上記のようにハンドル256を有し、レール部材が追加された、アクセス装置182の別の変形例を示す。この変形例において、レール部材282は、アクセス装置182の開口部186のほぼ遠位側に拡張する。図23Bは、本発明によるアクセス装置182の別の変形例を示す。この変形例において、アクセス装置182は、追加のワーキングルーメン272を細長部材210の内側に含み得る。この変形例における追加のワーキングルーメン272は、ワーキングチャンネル211から独立しており、1つの装置を一時的空洞に残しながら、装置間に過度の干渉を引き起こすことなく他の装置を前進および/または除去できるアクセスチャネルを提供する。この変形例において、レール部材282は、装置のワーキングチャンネル211の内側に取り付けられる。ただし、レール部材282を追加のワーキングルーメン272に取り付けることもできる。
レール部材282をアクセス装置182の本体から独立させるか、または独立可能にし、レール部材282をアクセス装置182内のルーメンまたはレセプタクルに一時的に取り付けることによって、処置装置を前進させることができるレール型機能を提供することもできる。この独立した/独立可能な特徴は、単一のレール部材の使用を可能にする。このレール部材は、アクセス装置182のワーキングチャンネル211に挿入でき、各処置装置をそれぞれの目的の場所まで案内するために使用できる。さらに、アクセス装置182の細長部材210に1つ以上のルーメンを組み込み、そこを通してレール部材282を前進させることができる。
図23Cに示すように、アクセス装置182の複数の変形例は、レール部材282を一時的または恒久的に取り付けるため、または前進させるため、の開口部292を1つ以上有し得る。装置182は、複数の開口部292の代わりに、複数の開口部、複数の開口、複数の切り欠き、または他の同様の特徴を有し得る。いずれにせよ、このような複数の開口部292または他の特徴によって、使用者は細長部材211の中または上のレール部材の位置を変えることができる。一例においては、このような特徴により、使用者は、レール部材によって作成されるループの形状を変えることも、あるいはアクセス装置182に対してレール部材を他の方法で操作することもできる。例えば、図23Cに示す例においては、レール部材282のプロファイルがアクセス装置282の右側で拡張する。ただし、レール部材282を別の開口部282から、または開口部282に通して、延在させることによって、使用者はレール部材282のプロファイルの拡張方法を選択することができる。
図24Aから図24Cは、本願明細書に記載のように、ビデオを用いた手順、例えば心膜手術または経腹的心膜手術など、に使用されるときのアクセス装置182を示す。上記のように、本願明細書に記載のアクセス装置では、胸腔内の臓器の後面の直接視認および露出が可能である。図示の例は、外部メイズ(Maze)損傷を作るための心臓の後部領域へのアクセスをアクセス装置が如何に可能にするかを示す。アクセス装置182の使用により、場合によっては、外科医は、心膜翻転部位(臓側心膜が壁側心膜になる折り目線)を切離せずに、このような損傷を作ることができる。このように、この組織を切離せずに損傷を作ることができるので、手順の高速化および回復時間の向上が可能になる。ただし、これらの装置はより広範な用途があり、特に明記しない限り、これらの装置の用途は、如何なる特定の種類の手術にも限定されない。
図24Aに示すように、外科医は、ガイドワイヤまたはレール部材282を目的の処置部位に(またはその近くに)前進させる。図示のように、レール部材282を自身で前進させ、その後にアクセス装置182に接合することもできる。レール部材282を配置するために1つ以上の追加ガイドワイヤを用いることもできる。さらに、レール部材は、柔軟な遠位端を有してもよい(または両端が柔軟であってもよい)。遠位端が対象組織に沿って、またはその近くに、配置されると、遠位端がアクセス装置182内に送り込まれるようにしてもよい。次に、所望の処置を施すために、凝固装置などの処置装置をレール部材に被せて送り込むことができる。
一例において、心臓の処置時、外科医は、レール部材として機能するガイドワイヤをアクセス位置(ポート、切開部など)から左心房の蓋部に沿って配置し得る(上大静脈、大動脈、および肺動脈の切離後)。次に、外科医は、ガイドワイヤを左肺静脈の前面に沿ってアクセス装置内を前進させる。次に、蓋部の損傷および前方肺静脈の損傷を作るため、凝固装置をガイドワイヤに被せて送り込むことができる。同じか、同様の手法は、右心房または他の損傷を作るために右肺静脈前方に沿ってガイドワイヤを配置するときに使用し得る。
図24Bは、アクセス装置182の前進を示す。この手順の複数の変形例は、最初にアクセス装置182を前進させてアクセス装置を配置するステップ(拡張可能部材を拡張させても、させなくてもよい)と、次にこのアクセス装置を通ってレール部材を前進させるステップとを含む。レール部材が所望の位置に配置されると、次にレール部材をアクセス装置に取り付けるか、または接合することもできる。あるいは、レール部材282を配置してから、アクセス装置を標的部位、またはその近くでレール部材282上に、配置することができる。最終的に、レール部材282をアクセス装置182に取り付けるか、または接合する。レール部材282およびアクセス装置182の両方が体内にあるときに、医師が外科手技用器具を用いてレール部材282をアクセス装置182に取り付けるか、または接合し得ることは当業者には明らかであろう。
図24Cは、アクセス装置182への取り付けまたは接合後のレール部材282を示す。上記のように、レール部材282をアクセス装置182に結合した後、医師はレール部材282の端を操作することによって、処置装置を案内するために適したプロファイルまたは形状にすることができる。場合によっては、レール部材282自体を実際に用いて組織を把持または切断することもできる。ただし、大半の変形例において、レール部材の縁端部は、医師がレール部材282を体内に配置するときに組織を傷つけないものが選択される。
図24Cは、レール部材282上を前進させた処置装置300をさらに示す。次に、所望の損傷または処置パターンを作成するために、レール部材282および/または処置装置300を操作して、処置装置300を組織上に、またはその上方に、配置することもできる。
上記のアクセス装置は、レール部材上を前進させる装置だけに限定されないが、吸込み機能を有する焼灼カテーテルは、電極と凝固対象の組織との間の接触を向上させることがわかった。さらに、潤滑材料(ポリイミドチューブなど)を含むと、凝固装置をレール部材上を前進させるときに有効であることがわかった。さらに、このような装置は、対象領域での装置の操作を助けるために、かなりの剛性およびトルク特性を持たせて構成された。
このようなプローブの複数の例が以下の特許文献に開示されている。すなわち、本願と同じ日付で提出され、米国特許出願番号確定中の、発明の名称「真空凝固用プローブ(Vacuum Coagulation Probes)」、(代理人整理番号第NCNT−N−Z009.00−US号)、米国特許出願第11/408,302号、発明の名称「真空凝固用プローブ(Vacuum Coagulation Probes)」、米国特許出願第11/208,465号、発明の名称「真空凝固および切開用プローブ(Vacuum Coagulation & Dissection Probes)」、米国特許出願第10/425,251号、発明の名称「真空凝固用プローブ(Vacuum Coagulation Probes)」、米国仮特許出願第60/726,342号、発明の名称「後部アクセス外科手術のための横隔膜進入(Diaphragm Entry for Posterior Access Surgical Procedures)」、および米国特許第6,893,442号に開示され、それぞれの内容全体を参照により本願明細書に組み込んだものとする。
図25は、本願明細書に記載のアクセス装置およびプローブを用いて心臓の後面に作り出した損傷パターン191の一例を示す。これらの装置では心膜翻転部位を貫通せず、心膜翻転部位に沿って損傷を作り出すことができるので、これらの損傷パターン191は、心膜翻転部位を肺静脈から切離する必要がない。
(切離/トンネリングの実施形態)
図13Aおよび図13Bは、心膜翻転部位の直接視認および露出を順番にもたらすDEPAプロセスおよび関連の切離/トンネリング用ツール124装置の実施形態の長所を示す。これらの実施形態は、脂肪組織(例えば、脂肪)および/または相互接続組織を心臓から除去または離隔して筋肉層を露出させ、凝固装置または他の器具類を操作して、元々は脂肪または相互接続組織によって覆われていたか否かにかかわらず、心臓組織の何れかの場所に係合させるように設計されている。
図14Aから図14Dは、脂肪組織を離隔できる切離/トンネリング用ツール124の実施形態の2つの側面図と2つの(線A−Aおよび線B−Bにそれぞれ沿った)断面図を示す。シャフト98は、2つの屈曲セグメント96を支持する。一方の屈曲セグメント96はハンドル102に隣接する近位端にあり、他方の屈曲セグメント96は切離用脚72に隣接する遠位端にある。中心軸の周囲に90度間隔で配向された4本のプルワイヤ76はハンドルによって偏向され、近位側屈曲領域96でのシャフトに対するハンドルの動きに応じて、遠位側屈曲領域96において遠位側切離セグメントが枢動する。シャフト98の前進に伴い、遠位側脚作動部142が脚72上を前進することによって脚が閉じ、遠位側脚作動部142が後退することによって脚が開く。
図14Eから図14G、および図15Aから図15Dは、さまざまな切離/トンネリング用器具124の実施形態のための脚72および遠位側枢動部96の代替構成を示す。
(心耳把持装置/保定装置)
図16Aから図16Dは、凝固プロセスおよび/または心耳分離プロセスの間に、心耳を安定化し、心耳の再配置を行う心耳把持装置200を示す。心耳把持装置200には、心耳の操作中に心耳を引き付けて把持装置に係合させる開口20を画定するカバー7の真空開口部28に結合された真空ルーメン6が組み込まれている。
(心耳の閉鎖)
図17Aから図17Cは、DEPAプロセス中に複数のステープル194、複数のスナップ196、またはクランプ198によって閉鎖された心耳250を示す。このDEPAプロセスでは、心臓後面への横隔膜アクセスによって左または右の心耳のさらなる視認をもたらしながら、心耳を心房の外面から閉鎖する。上記のように、離隔器/挙上器には、心臓を回転させて心臓の外側面へのさらなるアクセスをもたらすことができる個々に調整可能な複数の拡大機構(例えば、ブラダーまたはストランド)を組み込むこともできる。これに左心耳への胸部アクセスを加えると、心耳を(例えば、把持器200によって)把持し、複数のステープル194、複数のスナップ196、クランプ198、または他の機構を適用して、心耳の開口部を閉鎖でき、心耳内部における心房の他の部分への血液の連通(例えば、心房への流入)を防止できることができる。
(横隔膜パッチ)
DEPA手順の完了後、切開部を閉じる必要がある場合は、サイズがほぼ3cm×3cmの横隔膜パッチを用いて横隔膜の切開部を閉じることもできる。このパッチは、横隔膜に縫い付けるかまたはステープル止めすることが可能である、延伸PTFEまたはポリエステル織物、または他の非外傷性ポリマーからから作製することでき、その結果、全周囲が縫い付けるかまたはステープル止めされると、横隔膜を貫通するDEPA切開部に沿って流体不浸透面が作られる。このパッチには、縫い付けおよび/またはステープル止めを容易にし、手順のパッチ工程中の出血を防ぐために、綿撒糸外面をさらに組み込むこともできる。
上記の好適な実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者には上記の好適な実施形態への多くの変更および/または追加が容易に明らかになるであろう。本発明の範囲はこのような変更および/または追加の全てに及び、本発明の範囲は、本発明の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。
DEPA手順を実行するための完全なシステムを医師に提供する各種キットの販売が可能である。DEPA手順を用いた心房細動または心室性頻拍症の処置に用いられるキットには、離隔器/挙上器、凝固装置、内視鏡、切離/トンネリング用器具、トロカール、横隔膜パッチ、および横隔膜の開口部を閉じるための複数のステープルを組み込むこともできる。

Claims (61)

  1. 体内の臓器間に一時的空洞を作り出すためのアクセス装置であって、
    貫通して延在するワーキングチャンネルを有する細長部材であって、該体内への挿入のために適合された遠位部と、近位部とを有し、臓器間への該遠位部の挿入を可能にする柱状部強度を有する、細長部材と、
    該細長部材の遠位端にある開口部であって、該ワーキングチャンネルは該細長部材から該開口部を通って出る、開口部と、
    遠方区間と、近傍区間と、その間に位置する中間区間とを有するレール部材であって、該遠方区間は該細長部材に対して取り付けられ、該近傍区間は該細長部材に対して可動であり、これにより、該近傍区間の遠位側への移動が、該レール部材の該中間区間に該開口部の遠位側で弧状プロファイルを呈させる、レール部材と、
    を備え、該細長部材の遠位端にある開口部は、該細長部材の壁に沿って延在するスロット部分を備える、アクセス装置。
  2. 前記弧状プロファイルが実質的に単一の平面に形成されるように、前記レール部材は十分な剛性を有する、請求項1に記載のアクセス装置。
  3. 前記レール部材は、ガイドワイヤを備える、請求項1に記載のアクセス装置。
  4. 前記レール部材は、形状記憶合金、超弾性合金、合金、ポリマー、または複数材料のポリマーブレンドから成る群から選択される材料を含む、請求項1に記載のアクセス装置。
  5. 前記細長部材は、該細長部材を貫通して延在する第2のワーキングルーメンをさらに備え、該第2のワーキングルーメンは、前記ワーキングチャンネルから分離しており、該第2のワーキングルーメンは、別個の開口部を通って該細長部材から出る、請求項1に記載のアクセス装置。
  6. 前記細長部材の前記近位部において、前記ワーキングチャンネルと第2のワーキングルーメンとが千鳥状である、請求項5に記載のアクセス装置。
  7. 前記ワーキングルーメンは、前記ワーキングチャンネルより小さい寸法である、請求項に記載のアクセス装置。
  8. 前記ワーキングルーメンは、前記ワーキングチャンネルと同じ寸法である、請求項に記載のアクセス装置。
  9. 前記細長部材の前記遠位部に沿って編組支持部材をさらに備える、請求項1に記載のアクセス装置。
  10. 前記編組支持部材は、前記細長部材の壁の内側に位置する、請求項に記載のアクセス装置。
  11. 前記ワーキングルーメンと流体連通する弁をさらに備える、請求項に記載のアクセス装置。
  12. 前記弁は、前記細長部材の近位の開口部上に位置している、請求項11に記載のアクセス装置。
  13. 前記細長部材の前記近位部は、前記アクセス装置の操作を体外で可能にするように適合されている、請求項1に記載のアクセス装置。
  14. 前記細長部材の前記近位部はアクセス装置の操作を可能にするハンドルを備える、請求項13に記載のアクセス装置。
  15. 前記細長部材は、前記遠位部に向かって先細りになっている、請求項1に記載のアクセス装置。
  16. 器具類が前記ワーキングチャンネルに進入するときに通る面積を広げるために、前記近位部において、該ワーキングチャンネルは、前記細長部材の近位端に沿って先細りになっている、請求項1に記載のアクセス装置。
  17. 前記細長部材の近位端から前記開口部までの長さが30cmである、請求項1に記載のアクセス装置。
  18. 前記細長部材の内部に位置する成形可能な支持部材をさらに備え、該成形可能な支持部材は、該細長部材を該成形可能な支持部材の形状に維持する、請求項1に記載のアクセス装置。
  19. 前記細長部材は支持ルーメンをさらに備え、前記成形可能な支持部材は、該支持ルーメンの内部に摺動可能に配置される、請求項18に記載のアクセス装置。
  20. 前記レール部材は、前記細長部材から分離可能である、請求項1に記載のアクセス装置。
  21. 前記細長部材は、前記レール部材の遠端部を着座させるように構成される複数の開口を備える、請求項1に記載のアクセス装置。
  22. 前記細長部材は、
    前記遠位部に位置し、該細長部材の周りで拡張するように適合される第1の拡張可能部材であって、臓器間で拡張すると、該臓器を分離して前記開口部の周りに前記一時的空洞を形成する、第1の拡張可能部材、ならびに
    その内部の少なくとも第1の膨張ルーメン
    をさらに備え、
    該第1の拡張可能部材は、該膨張ルーメンと流体連通する内部を有する第1のバルーンであり、該第1のバルーンは、膨張して体内臓器を分離させるように適合される、
    請求項1に記載のアクセス装置。
  23. 前記レール部材の前記遠方区間は、前記細長部材の遠位端において前記第1の膨張ルーメンの内側に取り付けられる、請求項22に記載のアクセス装置。
  24. 前記第1のバルーンの少なくとも一部は、前記細長部材の前記遠位端を越えて延在する、請求項22に記載のアクセス装置。
  25. 前記細長部材に隣接する第1の部分における前記第1のバルーンの長さは、該細長部材から遠い該バルーンの第2の部分の長さより短い、請求項22に記載のアクセス装置。
  26. 前記細長部材の反対側に位置する前記第1のバルーンの表面は、該バルーンを拡張させたときに少なくとも1つの溝を備える、請求項22に記載のアクセス装置。
  27. 前記遠位部に位置する第2のバルーンをさらに備える、請求項22に記載のアクセス装置。
  28. 前記細長部材の内部に第2の膨張ルーメンをさらに備え、該第2の膨張ルーメンは前記第2のバルーンの内部と流体連通する、請求項27に記載のアクセス装置。
  29. 拡張すると、前記第1および第2のバルーンは、前記細長部材の前記遠位端の周りを周方向に包囲する、請求項27に記載のアクセス装置。
  30. 前記第1のバルーンおよび第2のバルーンは、前記細長部材上で周方向に実質的に180度離れて位置する、請求項27に記載のアクセス装置。
  31. 前記第1および第2のバルーンは、前記細長部材上で軸方向に間隔を置いている、請求項27に記載のアクセス装置。
  32. 前記細長部材上に位置する第3のバルーンをさらに備える、請求項27に記載のアクセス装置。
  33. 前記細長部材に沿って同軸方向に見たときに、前記第1および第2のバルーンの断面は、ほぼ矩形である、請求項27に記載のアクセス装置。
  34. 前記第1のバルーンの長さは、前記第2のバルーンの長さより長い、請求項27に記載のアクセス装置。
  35. 前記第1のバルーンは、前記第2のバルーンより大きな最大サイズに拡張するように構成される、請求項27に記載のアクセス装置。
  36. 前記細長部材は、成形可能材料を備える、請求項22に記載のアクセス装置。
  37. 前記細長部材の前記遠位部は、曲げられるか、または角度が付けられている、請求項22に記載のアクセス装置。
  38. 前記細長部材は、その壁に配置された少なくとも1つの吸引ルーメンをさらに備え、該吸引ルーメンは、細長いルーメンの前記遠位端に位置する吸引ポートで終端する、請求項22に記載のアクセス装置。
  39. 前記細長部材は、前記ワーキングチャンネル内に位置する少なくとも1つの吸引ルーメンをさらに備え、該吸引ルーメンは、該ワーキングチャンネルの前記遠位端に位置する吸引ポートで終端する、請求項22に記載のアクセス装置。
  40. 前記細長部材の遠位部に位置する少なくとも1つの可視化素子をさらに備える、請求項1に記載のアクセス装置。
  41. 前記可視化素子は、光ファイバスコープである、請求項40に記載のアクセス装置。
  42. 前記細長部材は、円形でない断面を備える、請求項1に記載のアクセス装置。
  43. 前記細長部材の前記断面は、楕円形である、請求項42に記載のアクセス装置。
  44. 前記細長部材の前記断面は、矩形である、請求項42に記載のアクセス装置。
  45. 前記細長部材は、少なくとも第1の平らな表面を備える、請求項42に記載のアクセス装置。
  46. 前記第1のバルーンは、前記細長部材の前記平らな表面上にある、請求項45に記載のアクセス装置。
  47. 前記第1のバルーンは、前記平らな表面に隣接する前記細長部材の表面上にある、請求項45に記載のアクセス装置。
  48. 前記細長部材の前記遠位端は、前記平らな表面にスロットを備える、請求項45に記載のアクセス装置。
  49. 前記細長部材の前記ワーキングチャンネルは、該ワーキングチャンネルの幅が該ワーキングチャンネルの高さと等しくないような高さと幅とを有する、円形でない形状を備える、請求項1に記載のアクセス装置。
  50. 前記拡張可能部材は、少なくとも1つのストランドを備え、各ストランドは前記細長部材に接続された第1および第2の端と、該細長部材に対して可動である中央部分とを含む、請求項22に記載のアクセス装置。
  51. 前記ストランドの前記第2の端は、前記細長部材の中および外へ移動可能である、請求項50に記載のアクセス装置。
  52. 前記細長部材上に位置する少なくとも1つのバルーンをさらに備える、請求項50に記載のアクセス装置。
  53. 前記バルーンは、前記ストランドが前記バルーンの内側にあるように、前記ストランドを覆う、請求項52に記載のアクセス装置。
  54. 前記バルーンは、前記ストランドに隣接する前記細長部材の表面に位置する、請求項52に記載のアクセス装置。
  55. 前記バルーンおよびスタビライザストランドは、前記細長部材上で周方向に実質的に180度離れて位置する、請求項52に記載のアクセス装置。
  56. 前記ストランドは、臓器を傷つけることなく該臓器を安定化または入れ子にするために適合できるように、順応性のある形状を備える、請求項50に記載のアクセス装置。
  57. 前記アクセス装置を体内に固定するために、前記第1の拡張可能部材から軸方向に間隔を置かれ、かつ、該拡張可能部材と前記近位部の間に位置する、係止用バルーンをさらに備える、請求項22に記載のアクセス装置。
  58. 体内の組織を処置するためのシステムであって、
    貫通して延在するワーキングチャンネルを有する細長部材を有するアクセス装置であって、該細長部材は、該体内に挿入するために適合される遠位部と、近位部とを有し、該細長部材は、該遠位部を臓器間に挿入することを可能にする柱状体強度を有する、アクセス装置と、
    該細長部材の遠位端にある開口部であって、ここで、該ワーキングチャンネルは該開口部において該細長部材から出て、そしてここで、該細長部材の遠位端にある開口部は、該細長部材の壁に沿って延在するスロット部分を備える、開口部と
    遠方区間と、近傍区間と、その間に位置する中間区間とを有するレール部材であって、該遠方区間は、該細長部材に対して取り付けられ、該近傍区間は、該細長部材に対して可動であり、これにより、該近傍区間が遠位へ移動することは、該レール部材の該中間区間に該開口部の遠位側で弧状プロファイルを呈させる、レール部材と、
    該遠位部に位置し、該細長部材の周りで拡張するように適合される第1の拡張可能部材であって、臓器間で拡張すると、該臓器を分離して該開口部の周りに一時的空洞を形成する、第1の拡張可能部材と、
    体の一部を通って延在するガイドルーメンを有する凝固装置であって、該凝固装置は電極を有し、該凝固装置が該レール部材の該中間区間の該弧状プロファイルを呈するように、該ガイドルーメンは該レール部材上を前進可能である、凝固装置と
    を備える、システム。
  59. 前記凝固装置の前記電極は、螺旋巻き電極を含む、請求項58に記載のシステム。
  60. 前記アクセス装置は、編組シャフトを備える、請求項58に記載のシステム。
  61. 前記アクセス装置の前記ワーキングチャンネルと流体連通するように位置する弁部材をさらに備える、請求項58に記載のシステム。
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