本明細書に用いられるように、「アルキル」は、所定数の炭素原子を含有する直鎖または分岐炭化水素鎖をいう。例えば、C1−6アルキルは、少なくとも1個、最大6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐アルキルを意味する。例として、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソブチル、イソプロピル、t−ブチルおよび1,1−ジメチルプロピルが挙げられる。
本明細書に用いられるように、「アルコキシ」なる語は、所定数の炭素原子を含有する直鎖または分岐アルコキシ基をいう。例えば、C1−6アルコキシは、少なくとも1個、最大6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐アルコキシ基を意味する。本明細書に用いられる「アルコキシ」の例として、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロプ−2−オキシ、ブトキシ、ブト−2−オキシ、1−メチルエチルオキシ、2−メチルプロプ−1−オキシ、2−メチルプロプ−2−オキシ、ペントキシまたはヘキシルオキシが挙げられる。
本明細書に用いられるように、「シクロアルキル」なる語は、所定数の炭素原子を含有する非芳香族炭化水素環をいう。例えば、C3−6シクロアルキルは、少なくとも3個、最大6個の炭素原子を含有する非芳香族環を意味する。本明細書に用いられる「シクロアルキル」の例として、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
本明細書に用いられるように、「アルキニル」なる語は、1個または複数の炭素−炭素三重結合および所定数の炭素原子を含有する直線状または分岐炭化水素基をいう。例えば、C2−6アルキニルは、1個または複数の炭素−炭素三重結合および少なくとも2個、最大6個の炭素原子を含有する直線状または分岐炭化水素基を意味する。本明細書に用いられる「アルキニル」の例として、限定するものではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルが挙げられる。
本明細書に用いられるように、「ハロゲン」(または省略形「ハロ」)は、元素のフッ素(「フルオロ」または「F」と略される場合もある)、塩素(「クロロ」または「Cl」と略される場合もある)、臭素(「ブロモ」または「Br」と略される場合もある)およびヨウ素(「ヨード」または「I」と略される場合もある)をいう。ハロゲン類の例としては、フッ素、塩素および臭素が挙げられる。
本明細書に用いられるように、「溶媒和物」とは、溶質(本発明の場合には、式(I)の化合物またはその塩)および溶媒により形成される可変の化学量の複合体をいう。本発明のためのかかる溶媒は、溶質の生物活性を妨げないものでありうる。適当な溶媒の例として、水、メタノール、エタノールおよび酢酸が挙げられる。用いられる溶媒は水であってもよく、該溶媒和物は水和物と呼ばれることもある。
本明細書に用いられるように、「置換される」なる語は、指定された置換基または複数の置換基での置換をいい、特に明記しない限り、多重置換も可能である。例えば、所定の被置換基上に1個、2個、3個または4個の置換基が存在してもよい。例えば、R6がC1−6アルキル基である場合、それは1個、2個、3個または4個のフルオロ基で置換されていてもよく;R6がC1−6アルコキシ基である場合、それは1個、2個、3個または4個のフルオロ基で置換されていてもよい。例えば、R6は3個のフルオロ基で置換されるC1−6アルキル基であってもよく;R6は3個のフルオロ基で置換されるC1−6アルコキシ基であってもよい。例えば、R6はCF3であってよい。同様に、R5が1個または複数のフルオロ基で置換されるC1−6アルキル基である場合、それは1個、2個、3個または4個のフルオロ基で置換されていてもよく;R5がC3−6アルコキシ基である場合、それは1個、2個、3個または4個のフルオロ基で置換されていてもよい。例えば、R5は3個のフルオロ基で置換されるC1−6アルキル基であってよく;R5は3個のフルオロ基で置換されるC3−6アルコキシ基であってもよい。例えば、R5はCF3またはCH2Fであってもよい。同様に、Rが1個または複数のフルオロ基で置換されるC1−6アルキル基である場合、それは1個、2個、3個または4個のフルオロ基で置換されていてもよく;RがC3−6アルコキシ基である場合、それは1個、2個、3個または4個のフルオロ基で置換されていてもよい。例えば、Rは3個のフルオロ基で置換されるC1−6アルキル基であってよく;Rは3個のフルオロ基で置換されるC3−6アルコキシ基であってもよい。例えば、RはCF3またはCH2Fであってもよい。
一の実施態様において、R5は、水素、クロロ、ブロモ、フルオロ、C1−4アルキル、1個または複数のフッ素原子で置換されるC1−4アルキル、およびC1−4アルコキシから選択される。
一の実施態様において、R5は、水素、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、1個、2個または3個のフッ素原子で置換されるC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、および1個、2個または3個のフッ素原子で置換されるC1−6アルコキシから選択される。
一の実施態様において、R5は、水素、シアノ、ハロゲン、C1−4アルキル、1個、2個または3個のフッ素原子で置換されるC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、および1個、2個または3個のフッ素原子で置換されるC1−4アルコキシから選択される。
一の実施態様において、R5は、水素、シアノ、ハロゲン、C1−2アルキル、1個または複数のフッ素原子で置換されるC1−2アルキル、C1−2アルコキシ、および1個または複数のフッ素原子で置換されるC1−2アルコキシから選択される。
一の実施態様において、R5は、水素、シアノ、ハロゲン、C1−2アルキル、1個または複数のフッ素原子で置換されるC1−2アルキル、C1−2アルコキシ、および1個、2個または3個のフッ素原子で置換されるC1−2アルコキシから選択される。
本発明のさらなる実施態様において、R5は、水素、クロロ、ブロモ、フルオロ、メチル、エチル、メトキシおよびトリフルオロメチルから選択される。例えば、R5は、水素またはフルオロである。例えば、R5は水素である。
一の実施態様において、R6は、水素、ハロゲン、シアノ、C1−6アルキル、1個、2個または3個のフッ素原子で置換されるC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニル、C3−6シクロアルキル,1個、2個または3個のフッ素原子で置換されるC3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシおよび1個、2個または3個のフッ素原子で置換されるC1−6アルコキシから選択される。
一の実施態様において、R6は、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、1個または複数のフッ素原子で置換されるC1−4アルキル、C1−4アルキルスルホニル、C3−6シクロアルキル、1個、2個または3個のフッ素原子で置換されるC3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシおよび1個、2個または3個のフッ素原子で置換されるC1−4アルコキシから選択される。
一の実施態様において、R6は、クロロ、ブロモ、フルオロ、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、トリフルオロメトキシおよびトリフルオロメチルから選択される。
さらなる実施態様において、R6は、クロロ、ブロモ、フルオロ、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、トリフルオロメトキシおよびトリフルオロメチルから選択される。本発明のさらなる実施態様において、R6は、クロロ、メチルおよびメトキシから選択され、例えば、メチルである。
一の実施態様において、Rは、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルC1−6アルキルおよびC2−6アルキニル、所望により1個、2個または3個のフッ素原子で置換されていてもよいいずれかのアルキルまたはシクロアルキル基から選択される。
一の実施態様において、Rは、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルC1−4アルキルおよびC2−4アルキニル、所望により1個、2個または3個のフッ素原子で置換されていてもよいいずれかのアルキルまたはシクロアルキル基から選択される。
本発明の一の実施態様において、Rは、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルおよびC3−6シクロアルキルC1−6アルキル、所望により1個または複数のフッ素原子で置換されていてもよいいずれかのアルキル基から選択される。
本発明の一の実施態様において、Rは、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルおよびC3−6シクロアルキルC1−6アルキル、所望により1個、2個または3個のフッ素原子で置換されていてもよいいずれかのアルキル基から選択される。
本発明の一の実施態様において、Rは、C1−3アルキルおよびC3−6シクロアルキルC1−3アルキル、所望により1個または複数のフッ素原子で置換されていてもよいいずれかのアルキルまたはシクロアルキル基(例えば、いずれかのアルキル基)から選択される。
本発明の一の実施態様において、Rは、C1−3アルキルおよびC3−6シクロアルキルC1−3アルキル、所望により1個、2個または3個のフッ素原子で置換されていてもよいいずれかのアルキルまたはシクロアルキル基(例えば、いずれかのアルキル基)から選択される。
さらなる実施態様において、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびシクロプロピルメチルから選択される。例えば、Rはメチルである。
本発明の一の実施態様において、Qは、水素およびC1−3アルキルから選択される。さらなる実施態様において、Qは、水素、メチル、エチルおよびプロピルから選択される。例えば、Qは、水素またはメチルを表し、例えば、水素である。
式(I)の化合物が、シスまたはトランス異性型(ピペリジン置換基に関してシクロヘキサン環上のOR基)で存在しうることは明らかであろう。個々の異性体(シスおよびトランス)およびこれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。一の実施態様において、式(I)の化合物は、トランス異性体である。
本発明はまた、式(Ia):
[式中:
−R
4は、フルオロであり;
−R
5は、水素、ハロゲン、C
1−6アルキル、1個または複数のフッ素原子で置換されるC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、および1個または複数のフッ素原子で置換されるC
1−6アルコキシから選択され;
−R
6は、ハロゲン、C
1−6アルキル、1個または複数のフッ素原子で置換されるC
1−6アルキル、C
3−6シクロアルキル、1個または複数のフッ素原子で置換されるC
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシおよび1個または複数のフッ素原子で置換されるC
1−6アルコキシから選択され;
−Rは、C
1−6アルキル、C
3−6シクロアルキル、C
3−6シクロアルキルC
1−6アルキル、所望により1個または複数のフッ素原子で置換されていてもよいいずれかのアルキルまたはシクロアルキル基から選択され;および
−Qは、水素またはC
1−6アルキルである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
一の実施態様において、式(I)の化合物の塩または溶媒和物は、医薬上許容される塩または溶媒和物である。一の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
薬剤に用いるためには、式(I)の塩は薬学上許容されるべきであると考えられる。好適な塩は当業者には明らかであり、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、スルファミン酸リン酸、ヨウ化水素酸、リン酸またはメタリン酸などの無機酸;ならびに酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、(1S)−(−)−10−カンファースルホン酸、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸、イソチオ酸、粘液酸、ゲンチジン酸、イソニコチン酸、サッカリン酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸およびアリールスルホン酸、例えば、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−1,3−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸などの有機酸とともに形成される一塩基性または二塩基性の塩が挙げられる。例えばシュウ酸塩などの、他の薬学上許容されない塩も、例えば、式(I)の化合物の単離に使用することができ、本発明の範囲内に含まれる。本発明の化合物はそれらの遊離塩基またはその薬学上許容される塩、特に一塩酸塩、一ギ酸塩または一トリフルオロ酢酸塩の形態であり得る。
ある種の式(I)の化合物は、1当量未満(例えば、0.5当量の二塩基酸)または1当量以上の酸と酸付加塩を形成してもよい。本発明は、その範囲内に、可能性のある全てのその化学量論形態および非化学量論形態を含む。
式(I)の化合物が、シスまたはトランス異性型(ピペリジン置換基に関してシクロヘキサン環上のOR基)で存在しうることは明らかであろう。
双方とも同一の異性型を示すけれども、トランス型が、以下の異なる方法で描かれてもよいは明らかであろう。
個々の異性体(シスおよびトランス)およびこれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。異性体は、常法により、または以下の化合物例に関して詳細に示される方法により、一方を他方から分離されうる。いずれの所定の異性体も立体特異的合成または不斉合成により得られうる。本発明はまた、互変異性型およびその混合物にも及ぶ。
一の実施態様において、式(I)の化合物は、トランス異性体である。
別の実施態様において、式(I)の化合物は、シス異性体である。
シスおよびトランス化合物の混合物、またはシス/トランスコンフォメーションが決定されていない化合物は、本明細書では次に示すように描かれる。
本発明に記載の化合物には、実施例の節に明示され、以下に示されるものが含まれ、限定されるものではないが、次のものが挙げられる:
1. 4−フルオロ−6−メチル−1−[1−(シス−4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン
2. 4−フルオロ−6−メチル−1−[1−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン
ならびにその塩および溶媒和物、例えば、塩酸塩、トリフルオロ酢酸塩またはギ酸塩。
さらなる化合物の例としては、次のものが挙げられる:
1. 4−フルオロ−6−メチル−1−[1−(トランス−4−エトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン
2. 4−フルオロ−6−メチル−1−[1−(トランス−4−プロポキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン
3. 4−フルオロ−6−メチル−1−{1−[トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン
4. 1−{1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−4−フルオロ−6−メチル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン
5. 1−{1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−4,6−ジフルオロ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン
6. 4−フルオロ−6−メチル−1−{1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン
7. 4,6−ジフルオロ−1−{1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン
8. 4−フルオロ−1−{1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン
9. 1−{1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−4−フルオロ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン
ならびにその塩および溶媒和物、例えば、塩酸塩、トリフルオロ酢酸塩またはギ酸塩。
当業者ならば、式(I)の化合物の特定の保護誘導体(最終的な脱保護段階の前に製造され得るもの)はそれ自体、薬理活性を有していなくてもよいが、場合によっては、経口または非経口投与された後に、体内で代謝されて薬理学的に活性な本発明の化合物を形成し得る。よって、このような誘導体は「プロドラッグ」と呼ぶことがある。さらに、本発明のある特定の化合物は本発明の他の化合物のプロドラッグとして働き得る。本発明の化合物の保護誘導体およびプロドラッグは全て本発明の範囲内に含まれる。本発明の化合物に好適な保護基の例は、Drugs of Today,Volume 19,Number 9,1983,pp 499−538およびTopics in Chemistry,Chapter 31,pp 306−316および「Design of Prodrugs」,H.Bundgaard,Elsevier,1985,Chapter 1(これらの文書の開示内容は出典明示により本明細書の一部とされる)に記載されている。さらに当業者ならば、例えば、H. Bundgaardが「Design of Prodrugs」(この文書の開示内容は出典明示により本明細書の一部とされる)に記載しているように、当業者に「プロ部分」として知られている特定の部分を、適当な官能基(そのような官能基が本発明の化合物に存在する場合)上に置くことができることが分かるであろう。本発明の化合物に適当なプロドラッグとしては、エステル、炭酸エステル、ヘミエステル、リン酸エステル、ニトロエステル、硫酸エステル、スルホキシド、アミド、カルバミン酸塩、アゾ化合物、ホスファミド、グリコシド、エーテル、アセタールおよびケタールが挙げられる。
さらなる態様において、本発明は、Q=Hである、式(I)の化合物を調製する一般法(A1)であって、
式(II):
で示される化合物を式(III):
[式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、R’は、前記のR基、またはRに変換可能な基である]
で示される化合物とカップリングさせることを含む方法を提供する。
反応は、還元的アルキル化に適当な条件下で行われる。還元的アルキル化反応は、典型的には、所望によりトリエチルアミンの存在下、所望によりチタンテトライソプロポキシドの存在下において、ジクロロエタン中トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いて行われる。あるいは、シアノ水素化ホウ素ナトリウムは、メタノールまたはエタノールなどの溶媒中で還元剤として用いることができ、または還元的アルキル化は、パラジウム触媒を用いて触媒水素化条件下で達成されうる。さらなる変化態様において、化合物(II)および(III)は、脱水条件下、例えば分子篩または硫酸マグネシウムで縮合され、得られたイミンまたはエナミンは、例えば水素化ホウ素ナトリウムを用いて、または触媒水素化により還元されうる。
該反応は、クロマトグラフィーまたは結晶化によって分離されうるシスおよびトランス異性体の混合物を生じさせうる。
QがC
1−6アルキルである場合には、一般法(A1)の改変が必要である。したがって、一般法(A2)では、式(II)の化合物を、シアン化物の供給源、例えばアセトンシアノヒドリンの存在下で式(III)の化合物と反応させてシアノ中間体(XXXX)を形成し、これをアルキルグリニャール試薬QMgXと反応させて、QがC
1−6アルキルである式(I)の化合物を形成しうる。
[式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、R’は、前記のR基、またはRに変換可能な基であり、QはC
1−6アルキルであり、Xはブロモまたはヨードまたはクロロである]
該反応は、クロマトグラフィーまたは結晶化によって分離されうるシスおよびトランス異性体の混合物を生じさせうる。
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物を調製する一般法(B)であって、式(IV):
で示される化合物を式(V):
[式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、R’は、前記のR基、またはRに変換可能な基であり、Qは前記と同義であり、XおよびYは両方とも脱離基を表す]
で示される化合物とカップリングさせることを含む方法を提供する。XおよびYは、同一であっても異なっていてもよく、例としてCl、PhO、EtO、イミダゾールがある。XおよびYが両方ともCl、すわなち、ホスゲンである場合、該試薬は、インサイツ(in situ)、例えば、ジホスゲンまたはトリホスゲンから生じさせられうる。
上記の反応は、標準的方法、例えば、所望によりトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、または炭酸カリウムなどの塩基の存在下、所望により加熱しながら不活性溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはトルエン中でジアミン(IV)を試薬(V)と反応させることを用いて行われる。
式(IV)の化合物が、純粋なシスまたはトランス異性体、あるいは異性体の混合物でありうることは明らかであろう。必要に応じて、(V)との反応後の純粋なシスおよびトランス異性体の分離は、クロマトグラフィーまたは結晶化によって達成されうる。
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物を調製する一般法(C)であって、式(VI):
[式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、R’は、前記のR基、またはRに変換可能な基であり、Qは前記と同義であり、Zは、ブロモ、ヨード、クロロまたはトリフラートなどの脱離基である]
で示される化合物をパラジウムまたは銅触媒(VII)で処理し、分子内環化をもたらすことを含む方法を提供する。
環化反応は、文献に記載されるように種々のパラジウムまたは銅試薬を用いて行われうる(JACS,2003,125,6653,Tet.Lett.,2004,45,8535,またはJACS,2002,124,7421)。
式(VI)の化合物が、純粋なシスまたはトランス異性体、あるいは異性体の混合物でありうることは明らかであろう。必要に応じて、分子内環化後の純粋なシスおよびトランス異性体の分離は、クロマトグラフィーまたは結晶化によって達成されうる。
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物を調製する一般法(D)であって、式(VIII):
で示される化合物を式(IX):
[式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、R’は、前記のR基、またはRに変換可能な基であり、Qは前記と同義であり、R
aはC
1−5アルキル基である]
で示される化合物とカップリングさせることを含む方法を提供する。
類似の方法についての文献(US 3161645)に記載のものと同様の反応条件下で(例えば、キシレンなどの不活性溶媒中で加熱する)縮合および環化反応が、次いで、例えば、パラジウムまたはラネーニッケルで触媒水素化を用いてピペリジン二重結合の還元が行われうる。
式(IX)の化合物が、純粋なシスまたはトランス異性体、あるいは異性体の混合物でありうることは明らかであろう。必要に応じて、分子内環化後の純粋なシスおよびトランス異性体の分離は、クロマトグラフィーまたは結晶化によって達成されうる。
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物を調製する一般法(E)であって、式(X):
[式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、R’は、前記のR基、またはRに変換可能な基であり、Qは前記と同義である]
で示される化合物をジフェニルホスホリルアジドまたは他の試薬/試薬の組み合わせと反応させ、化合物(X)のクルチウス転位、次いで、分子内環化をもたらす方法を提供する。
クルチウス転位は、典型的には、所望により加熱しながら、トルエンなどの不活性溶媒中で2種の試薬を合することによって行われる。
式(X)の化合物が、純粋なシスまたはトランス異性体、あるいは異性体の混合物でありうることは明らかであろう。必要に応じて、分子内環化後の純粋なシスおよびトランス異性体の分離は、クロマトグラフィーまたは環化によって達成されうる。
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物を調製する一般法(F)であって、式(XI):
で示される化合物を式(XII):
[式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、R’は、前記のR基、またはRに変換可能な基であり、Qは前記と同義であり、Zは、ヒドロキシまたはクロロ、ブロモもしくはヨードなどの脱離基、またはスルホン酸アルキル/アリールである]
で示される化合物とカップリングさせることを含む方法を提供する。
アルキル化反応は、従来のアルキル化(Z=脱離基)または光延反応(Z=OH)条件下で行われうる。従来のアルキル化条件を用いて、ベンズイミダゾロン中間体(XI)は、ジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒中で水素化ナトリウムなどの塩基を用いて脱プロトン化し、次いで、所望により加熱しながら、アルキル化剤(XII)で処理した。Z=OHの(XII)との光延反応は、標準的条件、例えば、室温でジクロロメタンまたはテトラヒドロフランなどの不活性溶媒中にてトリフェニルホスフィンおよびジエチルアゾジカルボン酸を用いて行われうる。
式(X)の化合物が、純粋なシスまたはトランス異性体、あるいは異性体の混合物でありうることは明らかであろう。必要に応じて、分子内環化後の純粋なシスおよびトランス異性体の分離は、クロマトグラフィーまたは結晶化によって達成されうる。
R6’からR6への変換またはR6の相互変換は、以下に示すように達成されうる。
例えば、R6’がハロゲンである場合、それはそれぞれアルコール、またはフルオロスルホニル(ジフルオロ)酢酸メチルを用いて、銅触媒反応によってアルコキシまたはトリフルオロメチル基に変換されうる。それはまた、有機金属試薬、例えば、アルキルスタンナンでアルキル基に変換されうる。
別の例として、R6’がヒドロキシである場合、それはハロゲン化またはスルホン酸アルキルとの反応によってアルコキシに、あるいは、キサントゲン酸塩への変換、次いで、フッ化物イオンの存在下での酸化によってトリフルオロメトキシに変換されうる。
さらなる例として、R6’がメチルである場合、それは塩素化または臭素化、次いで、導入されたハロゲンとフッ化物との置換によってトリフルオロメチルに変換されうる。
同様に、R5’からR5への変換またはR5の相互変換は、R6に関して記載されるように達成されうる。
R’からRへの変換またはRの相互変換は、以下に示すように達成されうる。
例えば、R’がベンジルである場合、ベンジル基は、標準的方法、例えば、炭素担体パラジウムでの触媒水素化を用いて除去され、アルコールが得られうる。強塩基、例えば、水素化ナトリウムおよびC1−6アルキル化剤、例えば、ヨウ化メチルまたはヨウ化エチルまたはヨウ化プロピルを用いる得られたアルコールのアルキル化は、所望の生成物を得るであろう。
別の例として、Rがメチルである場合、メチル基は、三臭化ホウ素などの脱アルキル化剤での処理によって除去され、アルコール中間体が得られ、上記のものと同様の方法でアルキル化されうる。
式(II)の化合物は、一般に、文献公知であるかまたは例えば一連の異なる方法によって調製されうる。
(a)(XXIII)を得るための、オルト−フルオロまたはオルト−クロロニトロベンゼン中間体(XIII)とアミン(XIV)との置換(式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、Pは、窒素保護基、例えば、Boc、アセチル、トリフルオロアセチル、エトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルを示す)、次いで、ニトロ基の還元、ホスゲンまたはホスゲン等価物を用いる環化、および標準的文献条件を用いるピペリジン窒素の脱保護(スキーム1)。
式(XIII)の化合物は、商業的に入手可能であるかまたは標準的方法によって調製されうる。P=Bocの化合物(XIV)は、商業的に入手可能である。
(b)中間体(XV)の金属触媒環化、次いで、ピペリジン窒素の脱保護(式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、Pは、窒素保護基、例えば、Boc、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジルオキシカルボニルを表し、Zは、ブロモ、ヨード、クロロまたはトリフラートなどの脱離基を表す)。金属触媒環化の反応条件は、方法Cで要約される。尿素(XV)は、スキーム2に示されるように尿素形成のいずれかの従来の方法を用いて調製されうる。該方法の出発物質は、商業的に入手可能であるかまたは標準的方法を用いて調製されうる。
(c)中間体(XVl)のクルチウス転位(式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、Pは、窒素保護基、例えば、Boc、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジルオキシカルボニルを表し、R
bは、HまたはC
1−5アルキル基、例えば、メチルまたはエチルを表す)、次いで、分子内環化およびピペリジン窒素の脱保護(スキーム3)。アントラニル酸またはエステル出発物質(XVII)は、商業的に入手可能であるかまたは標準的方法によって製造されうる。ピペリドン出発物質(P=Bocまたはベンジル)は商業的に入手可能である。クルチウス転位は、方法E下で記載される条件を用いてもたらされうる。
(d)高温で不活性溶媒中にて加熱することによって、オルトフェニレンジアミン(VIII)を3−アルコキシカルボニル−4−ピペリドン(XX)と縮合し(式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、Pは、窒素保護基、例えば、Boc、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジルオキシカルボニルを表し、R
bはC
1−5アルキル基である)(スキーム4)、テトラヒドロピリジン中間体(XXI)を得る。二重結合の水素化およびピペリジン窒素の脱保護は、保護基Pの正確な特性によって別々または同時に達成され、所望の生成物(II)を得ることができる。式(VIII)の化合物は、商業的に入手可能であるかまたは標準的方法によって調製されうる。式(XX)の化合物は、商業的に入手可能であるかまたは標準的方法によって調製されうる。
(e)例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いて、オルトニトロアニリン(XXII)をN−保護4−ピペリドン(XVIII)で還元的アルキル化し(式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、Pは、窒素保護基、例えば、Boc、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジルオキシカルボニルを表す)、中間体(XXIII)を得る。ニトロ基の還元、次いで、前述の環化および脱保護は、所望の生成物(II)を提供する(スキーム5)。式(XXII)および(XVIII)の化合物は、商業的に入手可能であるかまたは標準的方法によって調製されうる。
(f)アミン(XIV)と適当な置換ニトロベンゼン化合物(XXIV)間の金属触媒反応(式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、Pは、窒素保護基、例えば、Boc、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジルオキシカルボニルを表し、Zは、ブロモ、ヨード、クロロまたはトリフラートなどの脱離基を表す)(スキーム6)。該方法は、式(XXIII)の中間体を生成し、後続反応は、スキーム5のものと同様である。式(XXIV)の化合物は、商業的に入手可能であるかまたは既知の方法によって調製されうる。P=Bocの化合物(XIV)は商業的に入手可能である。
(g)中間体(XXVI)を得るための、アミン(XIV)と保護アニリン(XXV)間の金属触媒反応(式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、Pは、窒素保護基、例えば、Boc、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジルオキシカルボニルを表し、Zは、ブロモ、ヨード、クロロまたはトリフラートなどの脱離基を表す)(スキーム7)。アニリンの脱保護、次いで、スキーム6と同一の反応順序は、所望の中間体(II)を得る。式(XXV)の化合物は、商業的に入手可能であるかまたは既知の方法、例えば、所望により保護されたアニリン基に対するオルト位のハロゲン化によって調製されうる。P=Bocの化合物(XIV)は商業的に入手可能である。
式(III)の化合物は、標準的文献方法によって調製されうる。
式(IV)の化合物は、例えば多数の異なる方法によって調製されうる。
(h)化合物(XXVIII)を得るための、オルト−フルオロまたはオルト−クロロニトロベンゼン中間体(XIII)とアミン(XXVII)との置換(式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は、前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、R’は、前記のR基、またはRに変換可能な基であって、Qは前記と同義である)、次いで、標準的条件を用いるニトロ基の還元、例えば、パラジウムまたはラネーニッケルでの水素化(スキーム8)。式(XIII)の化合物は、商業的に入手可能であるかまたは標準的方法によって調製されうる。シスおよびトランス異性体の分離が、合成のいずれかの適当な段階で達成されうることは明らかであろう。
(i)化合物(XXVIII)を得るための、アミン(XXVII)とオルト位置換ニトロベンゼン(XXIX)の金属触媒反応(式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、R’は、前記のR基、またはRに変換可能な基であり、Qは前記と同義である)(スキーム9)、次いで、スキーム8に示されるものと同一の反応。式(XXIX)の化合物は、商業的に入手可能であるかまたは標準的方法によって調製されうる。シスおよびトランス異性体の分離は、合成のいずれかの適当な段階で達成されうることは明らかであろう。
(j)化合物(XXXI)を得るための、アミン(XXVII)と保護アニリン誘導体(XXV)との金属触媒反応(式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、R’は、前記のR基、またはRに変換可能な基であり、Qは前記と同義であり、Pは、アセチル、トリフルオロアセチル、Boc、フタルイミドなどの、窒素保護基を表す)(スキーム10)、次いで、アニリン基の脱保護。式(XXV)の化合物は、商業的に入手可能であるかまたは標準的方法によって調製されうる。シスおよびトランス異性体が、合成におけるいずれかの適当な段階で達成されうることは明らかであろう。
(k)中間体(XXVIII)を得るための、例えば、ジクロロエタン中トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いる、オルトニトロアニリン(XXII)とピペリドン(XXXII)との還元的アルキル化(式中:R
4’は、前記のR
4基、またはR
4に変換可能な基であって、R
5’は、前記のR
5基、またはR
5に変換可能な基であって、R
6’は前記のR
6基、またはR
6に変換可能な基であって、R’は、前記のR基、またはRに変換可能な基であり、Qは前記と同義である)(スキーム11)。例えば、炭素担体パラジウムまたはラネーニッケルを用いる、ニトロ基の還元は、所望の中間体(IV)を得る。シスおよびトランス異性体の分離が、合成のいずれかの段階で達成されうることは明らかであろう。
式(V)の化合物は、商業的に入手可能である、例えば、カルボニルジイミダゾール、ホスゲン、トルエン中ホスゲン溶液、ジホスゲン、トリホスゲン、クロロギ酸フェニル、炭酸ジエチル。
式(VI)の化合物は、種々の方法によって調製されうる、例えば、尿素形成は、
・標準的条件を用いて、2種のアミン(XXXIV)および(XXVII)をホスゲンまたはホスゲン等価物と合すること(ホスゲン等価物には、カルボニルジイミダゾール、ジホスゲン、トリホスゲン、クロロギ酸フェニルが含まれる)
・アミン(XXVII)をイソシアネート(XXXV)と反応させること
・アミン(XXXIV)をイソシアネート(XXXVI)と反応させること
によってスキーム12に示されるように達成されうる。
両イソシアネートは、イソシアネート形成の標準的方法を用いて対応するアミンから調製されうる。
シスおよびトランス異性体の分離が、合成におけるいずれかの適当な段階で達成されうることは明らかであろう。
パラジウムおよび銅触媒(VII)は、商業的に入手可能であるかまたは文献に記載されるように調製されうる(方法Cの出典を参照のこと)。
式(VIII)の化合物は、商業的に入手可能であるかまたは既知の文献経路、例えば、モノまたはジニトロベンゼン前駆体の還元によって調製されうる。
式(IX)の化合物は、3−アルコキシカルボニル−4−ピペリドンと適当な置換シクロヘキサノンとの還元的アルキル化によって調製されうる。
式(X)の化合物は、スキーム13に示されるように調製されうる。アントラニル酸およびエステル(XVII)とケトン(XXXII)との還元的アルキル化、次いで、必要に応じて、エステル基の加水分解。シスおよびトランス異性体の分離が、合成におけるいずれかの適当な段階で達成されうることは明らかであろう。
式(XI)の化合物は、商業的に入手可能であるかまたは文献方法によって調製されうる。
Q=Hの式(XII)の化合物は、Z’がZまたはZに変換可能な基を表す、(XXXVII)とケトン(III)との還元的アルキル化によって、スキーム14に示されるように調製されうる。Z’ヒドロキシ基のZ=クロロまたはブロモへの変換は、標準的方法、例えば、塩化チオニルまたはトリフェニルホスフィン/四臭化炭素での処理を用いて達成されうる。シスおよびトランス異性体の分離が、合成におけるいずれかの適当な段階で達成されうるは明らかであろう。
Q=Hの化合物(XXVII)は、スキーム15で示されるように調製されうる。例えば、ジクロロエタン中トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いる、商業的に入手可能なアミン(XXXVIII)とシクロヘキサノン(III)との還元的アルキル化は、中間体(XXXIX)を提供し、エタノール中HClまたはトリフルオロ酢酸を用いて脱保護し、第一級アミン(XXVII)を得る。シスおよびトランス異性体の分離が、合成におけるいずれかの適当な段階で達成されうることは明らかであろう。
Q=アルキルの化合物(XXVII)は、方法A2、次いで、脱保護で調製されうる。
本発明の化合物は、M1受容体アゴニストである。選択的M1受容体アゴニストは、統合失調症、分裂−情動障害、統合失調症様疾患、心因性うつ病、躁病、急性躁病、偏執症および妄想性障害などの精神病性障害の陽性症状および認知症状、ならびに主としてM2およびM3受容体により媒介される末梢コリン作動性副作用を伴わないアルツハイマー病などの記憶障害を含む認知障害の改善に有用であるといわれている。M1受容体アゴニストはまた、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬などの他の定型および非定型抗精神病薬および他の活性薬との組み合わせに適当であり、精神病性障害の治療の改善をもたらしうる。
したがって、さらなる態様において、本発明は、治療に用いるための前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
別の態様において、本発明は、ムスカリン性M1受容体の促進作用を必要とする病態の治療に用いるための式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
本明細書で用いる適応症を記載する用語は、アメリカ精神病医学会(the American Psychiatric Association)によって出版された精神障害の診断および統計学的マニュアル(the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第4版(DSM−IV)および/または国際疾患分類(the International Classification of Diseases)第10版(ICD−10)において分類される。本明細書中に挙げられた障害の種々のサブタイプは、本発明の一部として意図される。以下に列挙した疾患の後ろの括弧内の数字は、DSM−IVにおける分類コードを示す。
本発明の範囲内で、精神病性障害なる語には、妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、未分化型(Undifferentiated Type)(295.90)および残遺型(295.60)サブタイプを含む統合失調症;統合失調症様障害(295.40);双極型およびうつ型サブタイプを含む分裂情動障害(295.70);色情妄想型、誇大妄想型、嫉妬妄想型、被害妄想型、身体妄想型、混合型および鑑別不能型サブタイプを含む妄想性障害(297.1);短期精神病性障害(298.8);共有精神病性障害(297.3);妄想および幻覚を伴うサブタイプを含む一般身体疾患によらない精神病性障害;妄想(293.81)および幻覚(293.82)を伴うサブタイプを含む物質誘発性精神病性障害;および特定不能の精神病性障害(298.9)が含まれる。
その治療にムスカリン性M1受容体の促進作用を必要とする他の病態には、
大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソードおよび軽躁病エピソードを含むうつ病および気分障害;大うつ病性障害、胸腺異常症(300.4)、特定不能のうつ病性障害(311)を含むうつ病性障害;双極性I障害、双極性II障害(軽躁病エピソードを伴う再発性大うつ病エピソード)(296.89)、循環病(301.13)および特定不能の双極性障害(296.80)を含む双極性障害;うつ病の特徴、大うつ様エピソード、躁病の特徴および混合型の特徴を有するサブタイプを含む一般身体疾患による気分障害(293.83)、物質誘発性気分障害(うつ病の特徴、大うつ様エピソード、躁病の特徴および混合型の特徴を有するサブタイプを含む)および特定不能の気分障害(296.90)を含む他の気分障害;
社会不安障害、パニック発作、広場恐怖症、パニック障害、パニック障害の経歴のない広場恐怖症(300.22)、動物型、自然環境型、血液−注射−外傷型、状況型および他のサブタイプを含む特異性恐怖症(300.29)、社会的恐怖症(300.23)、強迫性障害(300.3)、心的外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般身体疾患による不安障害(293.84)、物質誘発性不安障害および特定不能の不安障害(300.00)を含む不安障害;
物質依存症、物質渇望および物質乱用などの物質使用障害;物質中毒、物質禁断症状、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘障害、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性機能障害、物質誘発性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)などの物質誘発性障害;アルコール依存症(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール禁断症状(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性持続性認知症、アルコール誘発性持続性健忘障害、アルコール誘発性精神病性障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性性機能障害、アルコール誘発性睡眠障害および特定不能のアルコール関連障害(291.9)などのアルコール関連障害;アンフェタミン依存症(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン禁断症状(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘発性精神病性障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性性機能障害、アンフェタミン誘発性睡眠障害および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9)などのアンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害;カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘発性不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害および特定不能のカフェイン関連障害(292.9)などのカフェイン関連障害;大麻依存症(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘発性精神病性障害、大麻誘発性不安障害および特定不能の大麻関連障害(292.9)などの大麻関連障害;コカイン依存症(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン禁断症状(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘発性精神病性障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性性機能障害、コカイン誘発性睡眠障害および特定不能のコカイン関連障害(292.9)などのコカイン関連障害;幻覚剤依存症(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘発性精神病性障害、幻覚剤誘発性気分障害、幻覚剤誘発性不安障害および特定不能の幻覚剤関連障害(292.9)などの幻覚剤関連障害;吸入剤依存症(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘発性持続性認知症、吸入剤誘発性精神病性障害、吸入剤誘発性気分障害、吸入剤誘発性不安障害および特定不能の吸入剤関連障害(292.9)などの吸入剤関連障害;ニコチン依存症(305.1)、ニコチン禁断症状(292.0)および特定不能のニコチン関連障害(292.9)などのニコチン関連障害;オピオイド依存症(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド禁断症状(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘発性精神病性障害、オピオイド誘発性気分障害、オピオイド誘発性性機能障害、オピオイド誘発性睡眠障害および特定不能のオピオイド関連障害(292.9)などのオピオイド関連障害;フェンシクリジン依存症(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘発性精神病性障害、フェンシクリジン誘発性気分障害、フェンシクリジン誘発性不安障害および特定不能のフェンシクリジン関連障害(292.9)などのフェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害;鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬依存症(304.10)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬乱用(305.40)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬禁断症状(292.0)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬離脱せん妄、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬持続性認知症、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬持続性健忘障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性精神病性障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性気分障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性不安障害鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性性機能障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬誘発性睡眠障害および特定不能の鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬関連障害(292.9)などの鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬関連障害;多物質依存症(304.80)などの多物質関連障害;ならびにタンパク同化ステロイド、硝酸系吸入剤および二酸化窒素などの他の(または不明の)物質関連障害を含む物質関連障害;
一次性不眠症(307.42)、一次性過眠症(307.44)、睡眠発作(347)、呼吸関連の睡眠障害(780.59)、24時間周期のリズム睡眠障害(307.45)および特定不能の睡眠異常(307.47)のような睡眠異常などの一次性睡眠障害;悪夢障害(307.47)、睡眠恐怖障害(307.46)、睡眠時遊行症(307.46)および特定不能の睡眠時随伴症(307.47)のような睡眠時随伴症などの一次性睡眠障害;別の精神障害に関連する不眠症(307.42)および別の精神障害に関連する過眠症(307.44)などの別の精神障害に関連する睡眠障害;一般身体疾患による睡眠障害;ならびに不眠型、過眠型、睡眠時随伴型および混合型サブタイプを含む物質誘発性睡眠障害を含む睡眠障害;
制限型および無茶食い/排泄型サブタイプを含む神経性食欲不振症(307.1);排泄型および非排泄型サブタイプを含む神経性過食症(307.51);肥満;強迫性摂食障害;ならびに特定不能の摂食障害(307.50)などの摂食障害;
小児自閉症(299.00);注意欠陥/多動性障害混合型(314.01)、注意欠陥/多動性障害不注意優位型(314.00)、注意欠陥/多動性障害多動・衝動性優位型(314.01)および特定不能の注意欠陥/多動性障害(314.9)サブタイプを含む注意欠陥/多動性障害;多動性障害;小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および発症年齢特定不能(312.89)サブタイプを含む行為障害、反抗的行為障害(313.81)ならびに特定不能の破壊的行動障害などの破壊的行動障害;ならびにトゥレット障害(307.23)などのチック障害;
妄想性人格障害(301.0)、統合失調症人格障害(301.20)、統合失調症型人格障害(301,22)、反社会的人格障害(301.7)、境界型人格障害(301,83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301,81)、回避性人格障害(301.82)、依存的人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)および特定不能の人格障害(301.9)サブタイプを含む人格障害;ならびに
性的欲求障害(302.71)、および性嫌悪障害(302.79)などの性的欲求障害;女性の性的興奮障害(302.72)および男性の勃起障害(302.72)などの性的興奮障害;女性のオルガスム障害(302.73)、男性のオルガスム障害(302.74)および早漏(302.75)などのオルガスム障害;性交疼痛症(302.76)および膣痙(306.51)などの性的疼痛障害;特定不能の性機能障害(302.70);露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、痴漢症(302.89)、小児愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯性フェティシズム(302.3)、のぞき癖(302.82)および特定不能の性欲倒錯(302.9)などの性欲倒錯;小児の性同一性障害(302.6)および青年または成人の性同一性障害(302.85)などの性同一性障害;ならびに特定不能の性的障害(302.9)を含む性機能障害が含まれる。
式(I)の化合物はまた、認知障害自体の治療も、統合失調症、双極性障害、うつ病、認知障害に関連する他の精神医学的障害および精神状態などの他の疾患における認知障害の治療も両方含む認知の強化に有用でありうる。
本発明の範囲内で、認知障害なる語には、例えば、注意、見当識、学習障害、記憶(すなわち記憶障害、健忘、記憶喪失障害、一過性全健忘症候群および加齢に伴う記憶障害)および言語機能を含む認知機能の障害;卒中、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、エイズによる認知症または多発脳梗塞性認知症、アルコール性認知症、甲状腺機能低下関連痴呆、ならびに小脳萎縮症および筋萎縮性側索硬化症のような他の変性障害と関連している認知症などの他の認知症状態の結果としての認知障害;認知機能低下を引き起こす可能性がある、外傷性せん妄またはうつ病(偽認知症状態)、頭部外傷、加齢に伴う認知機能低下、卒中、神経変性、薬剤性状態、神経毒物、軽度認知障害、加齢に伴う認知障害、自閉症による認知障害、ダウン症候群、精神病に関連する認知障害、および電気ショック処理後関連認知障害などの他の急性または亜急性状態;ならびにパーキンソン病、神経遮断薬誘発性パーキンソニズム、および遅発性ジスキネジアなどの運動異常障害が含まれる。
本発明の療法はまた、認知欠陥および/または記憶欠陥のない健常なヒトにおける記憶増強剤および/または認知増強剤として用いられてもよい。
別の態様において、本発明は、精神病性障害の治療に用いるための前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。一の実施態様において、本発明は、統合失調症の治療に用いるための前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
本発明はまた、認識機能障害の治療に用いるための前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
別の態様において、本発明は、ムスカリン性M1受容体の促進作用を必要とする病態の治療のための医薬の製造における前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
別の態様において、本発明は、精神病性障害の治療のための医薬の製造における前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。一の実施態様において、本発明は、統合失調症の治療のための医薬の製造における前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明はまた、認識機能障害の治療のための医薬の製造における前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
別の態様において、本発明は、ムスカリン性M1受容体の促進作用を必要とする病態を治療する方法であって、有効量の前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。一の実施態様において、哺乳動物はヒトである。
別の態様において、本発明は、精神病性障害を治療する方法であって、有効量の前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。一の実施態様において、本発明は、統合失調症を治療する方法であって、有効量の上記の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。一の実施態様において、哺乳動物はヒトである。
本発明はまた、認識機能障害を治療する方法であって、有効量の上記の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。一の実施態様において、哺乳動物はヒトである。
式(I)の化合物およびそれらの塩およびその溶媒和物は、定型および非定型抗精神病薬、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬などの他の活性薬との組み合わせに適当であり、精神病性障害の治療の改善をもたらしうる。
本発明の組合せ療法は、例えば、補助的に投与される。補助投与とは、別々の医薬組成物またはデバイスの形態での各成分の同時投与または重複投与を意味する。この2種類以上の治療薬の治療投与計画は、当業者および本明細書では一般に補助的治療投与と言われ、追加治療投与としても知られる。患者が式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物と少なくとも1種類の抗精神病薬、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤または向知性薬の個別であるが、同時投与または重複治療投与を受けるいずれかの、また全ての処置計画は本発明の範囲内にある。本明細書に記載される補助的治療投与の一の実施態様において、患者は一般に、それらの1以上の成分の治療投与に一定期間安定化された後、別の成分の投与を受ける。式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、少なくとも1種類の抗精神病薬、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤または向知性薬の投与を受けている患者に補助的治療処置として投与することができるが、本発明の範囲にはまた、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の投与を受けている患者への、少なくとも1種類の抗精神病薬、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤または向知性薬の補助的治療投与も含まれる。
本発明の組合せ療法はまた、同時に投与されうる。同時投与とは、個々の成分が、両成分を含むまたは含有する単一の医薬組成物またはデバイスの形態で、あるいは各々が同時に投与される一方の成分を含む別個の組成物またはデバイスとして一緒に投与される処置計画を意味する。このような同時組合せのための別個の成分の組合せはキット・オブ・パーツ(kit−of−parts)の形態で提供されうる。
したがって、さらなる態様において、本発明は、少なくとも1種類の抗精神病薬の治療投与を受けている患者への式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の補助的治療投与により精神病性障害を治療する方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、少なくとも1種類の抗精神病薬の治療投与を受けている患者における精神病性障害の治療を目的とした補助的治療投与のための医薬の製造における式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。本発明はさらに、少なくとも1種類の抗精神病薬の治療投与を受けている患者における精神病性障害の治療を目的とした補助的治療投与に用いるための式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の治療投与を受けている患者への少なくとも1種類の抗精神病薬の補助的治療投与による精神病性障害の治療方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の治療投与を受けている患者における精神病性障害の治療を目的とした補助的治療投与のための医薬の製造における少なくとも1種類の抗精神病薬の使用を提供する。本発明はさらに、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の治療投与を受けている患者における精神病性障害の治療を目的とした補助的治療投与のための少なくとも1種類の抗精神病薬を提供する。
さらなる態様において、本発明は、少なくとも1種類の抗精神病薬と組み合わせた式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の同時治療投与による精神病性障害の治療方法を提供する。本発明はさらに、精神病性障害の治療における同時治療投与のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物と少なくとも1種類の抗精神病薬の組合せの使用を提供する。本発明はさらに、精神病性障害の治療における少なくとも1種類の抗精神病薬との同時治療投与のための薬剤の製造における、式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。本発明はさらに、精神病性障害の治療において少なくとも1種類の抗精神病薬との同時治療投与に用いるための式(I)の化合物またはその塩を提供する。本発明はさらに、精神病性障害の治療において式(I)の化合物またはその塩との同時治療投与のための医薬の製造における少なくとも1種類の抗精神病薬の使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を含む第一の剤形と各々同時治療投与のための抗精神病薬を含む1種または複数のさらなる剤形を含む、精神病性障害の治療に用いるためのキット・オブ・パーツを提供する。
別の態様において、本発明は、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の治療投与を受けている患者への本発明の化合物の補助的治療投与による精神病性障害の治療方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の治療投与を受けている患者における精神病性障害の治療を目的とした補助的治療投与のための医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
本発明はまた、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の治療投与を受けている患者における精神病性障害の治療を目的とした補助的治療投与における本発明の化合物の使用を提供する。
本発明はさらに、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の治療投与を受けている患者における精神病性障害の治療を目的とした補助的治療投与に用いるための本発明の化合物の使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、本発明の化合物の治療投与を受けている患者への、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の補助的治療投与による精神病性障害の治療方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は、本発明の化合物の治療投与を受けている患者における精神病性障害の治療を目的とした補助的治療投与のための医薬の製造における、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の使用を提供する。
本発明はまた、本発明の化合物の治療投与を受けている患者における精神病性障害の治療を目的とした補助的治療投与のための、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分と組み合わせた本発明の化合物の同時治療投与による精神病性障害の治療方法を提供する。
本発明はさらに、精神病性障害の治療における同時治療投与のための医薬の製造における、本発明の化合物と気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の組合せの使用を提供する。
本発明はさらに、精神病性障害の治療における同時治療投与のための、本発明の化合物と気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の組合せの使用を提供する。
本発明はさらに、精神病性障害の治療における、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分との同時治療投与のための医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
本発明はさらに、精神病性障害の治療における、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分との同時治療投与のための本発明の化合物の使用を提供する。
本発明はさらに、精神病性障害の治療において、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分との同時治療投与のために用いるための本発明の化合物を提供する。
本発明はさらに、精神病性障害の治療における本発明の化合物との同時治療投与のための医薬の製造における、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の使用を提供する。
本発明はさらに、精神病性障害の治療における本発明の化合物との同時治療投与のための、気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分の使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、同時治療投与のための、本発明の化合物を含む第一の剤形と各々気分安定剤、抗うつ薬、抗不安薬、錐体外路系副作用に対する薬剤および向知性薬からなる群より選択される活性成分を含む1種または複数のさらなる剤形を含む、精神病性障害の治療に用いるためのキット・オブ・パーツを提供する。
一の実施態様において、患者はヒトである。
本発明において有用でありうる抗精神病薬の例としては、限定するものではないが、ナトリウムチャネル遮断薬;混合5HT/ドーパミン受容体拮抗薬;mGluR5ポジティブモジュレーター;D3拮抗薬;5HT6拮抗薬;ニコチン性α−7モジュレーター;グリシン輸送体GlyT1阻害剤;D2部分的アゴニスト/D3拮抗薬/H3拮抗薬;AMPAモジュレーター;オサネタントおよびタルネタントなどのNK3拮抗薬;非定型抗精神薬、例えばクロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドンおよびアミスルプリド;ハロペリドール、ピモジド、およびドロペリドールなどのブチロフェノン;クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジン、フルフェナジン、チフルプロマジン(thiflupromazine)、プロクロルペラジン、およびアセトフェナジンなどのフェノチアジン;チオチキセンおよびクロルプロチキセンなどのチオキサンテン;チエノベンゾジアゼピン;ジベンゾジアゼピン;ベンズイソキサゾール;ジベンゾチアゼピン;イミダゾリジノン;ベンズイソチアゾリルピペラジン;ラモトリジンなどのトリアジン;ロキサピンなどのジベンズオキサゼピン;モリンドンなどのジヒドロインドロン;アリピプラゾール;ならびに抗精神病活性を有するそれらの誘導体が挙げられる。
本発明の使用に適当でありうる選択される抗精神病薬の商標名および供給業者の例は、以下のとおりである:クロザピン(Mylan, Zenith Goldline, UDL, Novartisから商標名CLOZARIL(登録商標)で入手可能である);オランザピン(Lillyから商標名ZYPREXA(登録商標)で入手可能である;ジプラシドン(Pfizerから商標名GEODON(登録商標)で入手可能である);リスペリドン(Janssenから商標名RISPERDAL(登録商標)で入手可能である);フマル酸クエチアピン(AstraZenecaから商標名SEROQUEL(登録商標)で入手可能である);セルチンドール(商標名SERLECT(登録商標)で入手可能である);アミスルプリド(Sanofi−Synthelaboから商標名SOLION(登録商標)で入手可能である);ハロペリドール(Ortho−McNeilから商標名HALDOL(登録商標)で入手可能である);デカン酸ハロペリドール(商標名HALDOL decanoate(登録商標)で入手可能である);乳酸ハロペリドール(商標名HALDOL(登録商標)およびINTENSOL(登録商標)で入手可能である);クロルプロマジン(SmithKline Beecham(GSK)から商標名THORAZINE(登録商標)で入手可能である;フルフェナジン(Apothecon, Copley, Schering, Teva, and American Pharmaceutical Partners, Pasadenaから商標名PROLIXIN(登録商標)で入手可能である);デカン酸フルフェナジン(商標名PROLIXIN decanoate(登録商標)で入手可能である);エナント酸フルフェナジン(商標名PROLIXIN(登録商標)で入手可能である);塩酸フルフェナジン(商標名PROLIXIN(登録商標)で入手可能である);チオチキセン(Pfizerから商標名NAVANE(登録商標)で入手可能である;);塩酸チオチキセン(商標名NAVANE(登録商標)で入手可能である);トリフルオペラジン(10−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン二塩酸塩、SmithKline Beckmanから商標名STELAZINE(登録商標)で入手可能である;ペルフェナジン(Scheringから商標名TRILAFON(登録商標)で入手可能である;);塩酸ペルフェナジンおよび塩酸アミトリプチリン(商標名ETRAFON TRILAFON(登録商標)で入手可能である);チオリダジン(Novartis, Roxane, HiTech, Teva, and Alpharmaから商標名MELLARIL(登録商標)で入手可能である;);モリンドン(Endoから商標名MOBAN(登録商標)で入手可能である);塩酸モリンドン(商標名MOBAN(登録商標)で入手可能である);ロキサピン(Watsonから商標名LOXITANE(登録商標)で入手可能である);塩酸ロキサピン(商標名LOXITANE(登録商標)で入手可能である);ならびにコハク酸ロキサピン(商標名LOXITANE(登録商標)で入手可能である)。さらに、ベンペリドール(Glianimon(登録商標))、ペラジン(Taxilan(登録商標))またはメルペロン(Eunerpan(登録商標)))をまた用いてもよい。
他の適当な抗精神病薬には、プロマジン(商標名SPARINE(登録商標)で入手可能である)、トリフルルプロマジン(triflurpromazine)(商標名VESPRIN(登録商標)で入手可能である)、クロルプロチキセン(商標名TARACTAN(登録商標)で入手可能である)、ドロペリドール(商標名INAPSINE(登録商標)で入手可能である)、アセトフェナジン(商標名TINDAL(登録商標)で入手可能である)、プロクロルペラジン(商標名COMPAZINE(登録商標)で入手可能である)、メトトリメプラジン(商標名NOZINAN(登録商標)で入手可能である)、ピポチアジン(商標名PIPOTRIL(登録商標)で入手可能である)、イロペリドン、ピモジドおよびフルペンチキソールが含まれる。
商標名で上記に挙げられた抗精神病薬は、他の供給業者から異なる商標名で入手してもよい。
本発明の一のさらなる態様において、適当な抗精神病薬には、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ハロペリドール、クロザピン、ジプラシドン、タルネタントおよびオサネタントが含まれる。
本発明の療法に用いてもよい気分安定剤には、リチウム、バルプロ酸ナトリウム/バルプロ酸/ジバルプロエックス、カルバマゼピン、ラモトリジン、ガバペンチン、トピラメート、オキシカルバゼピンおよびチアガビンが含まれる。
本発明の療法に用いてもよい抗うつ薬には、セロトニン拮抗薬、CRF−1拮抗薬、Cox−2阻害剤/SSRIデュアル拮抗薬;ドーパミン/ノルアドレナリン/セロトニントリプル再取り込み阻害剤;NK1拮抗薬;NK1およびNK2デュアル拮抗薬;NK1/SSRIデュアル拮抗薬;NK2拮抗薬;セロトニンアゴニスト(ラウオルシン、ヨヒンビンおよびメトクロプラミドなど);セロトニン再取り込み阻害剤(シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、フェモキセチン、インダルピン、ジメルジン、パロキセチンおよびセルトラリンなど);デュアルセロトニン/ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(ベンラファキシン、レボキセチン、デュロキセチンおよびミルナシプランなど);ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(レボキセチンなど);三環式抗うつ薬(アミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびトリミプラミンなど);モノアミンオキシダーゼ阻害剤(イソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジンおよびトラニルシプラミンなど);5HT3拮抗薬(例えば、オンダンセトロンおよびグラニセトロンなど);ならびに他のもの(ブプロピオン、アミネプチン、ラダファキシン、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドンおよびトラゾドンなど)が含まれる。
本発明の療法に用いてもよい抗不安薬には、V1b拮抗薬、5HT7拮抗薬およびベンゾジアゼピン例えばアルプラゾラムおよびロラゼパムが含まれる。
本発明の療法に用いてもよい、錐体外路系副作用に対する薬剤には、抗コリンアゴニスト(ベンズトロピン、ビペリデン、プロシクリジンおよびトリヘキシフェニジルなど)、抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミンなど)およびドーパミンアゴニスト(アマンタジンなど)が含まれる。
本発明の療法に用いてもよい向知性薬には、例えば、コリンエステラーゼ阻害剤(タクリン、ドネペジル、リバスティグミンおよびガランタミンなど)、H3拮抗薬およびムスカリン性M1アゴニスト(セビメリンなど)が含まれる。
一の実施態様において、本発明の化合物と組み合わせて用いられる活性成分は、非定型抗精神薬、例えば、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドンまたはアミスルプリドである。
一の実施態様において、本発明の化合物と組み合わせて用いられる活性成分は、定型抗精神薬、例えば、クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、トリフルオペラジン、チオチキセン、ハロペリドール、チフルルプロマジン(thiflurpromazine)、ピモジド、ドロペリドール、クロルプロチキセン、モリンドンまたはロキサピンである。
別の実施態様において、本発明の化合物と組み合わせて用いられる活性成分は、気分安定剤、例えば、リチウム、バルプロ酸ナトリウム/バルプロ酸/ジバルプロエックス、カルバマゼピン、ラモトリジン、ガバペンチン、トピラメート、オキシカルバゼピンまたはチアガビンである。
別の実施態様において、本発明の化合物と組み合わせて用いられる活性成分は、抗うつ薬、例えば、セロトニンアゴニスト(ラウオルシン、ヨヒンビンまたはメトクロプラミドなど);セロトニン再取り込み阻害剤(シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、フェモキセチン、インダルピン、ジメルジン、パロキセチンまたはセルトラリンなど);デュアルセロトニン/ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(ベンラファキシン、レボキセチン、デュロキセチンまたはミルナシプランなど);ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(レボキセチンなど);三環式抗うつ薬(アミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンまたはトリミプラミンなど);モノアミンオキシダーゼ阻害剤(イソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジンまたはトラニルシプラミンなど);または他の(ブプロピオン、アミネプチン、ラダファキシン、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドンまたはトラゾドンなど)である。
別の実施態様において、本発明の化合物と組み合わせて用いられる活性成分は、抗不安薬、例えば、アルプラゾラムまたはロラゼパムなどのベンゾジアゼピンである。
医薬として用いるために、本発明の化合物は通常、標準的な医薬組成物として投与される。したがって、本発明は、さらなる態様において、前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物と医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は本明細書に記載のいずれかの病態の治療に用いるためのものでありうる。
式(I)の化合物は、例えば、経口投与、非経口投与(例えば静脈投与)、口腔投与、舌下投与、鼻腔投与、直腸投与または経皮投与および相応に適合された医薬組成物によるなどの常法のいずれかで投与されうる。
経口投与される場合の前述の式(I)の化合物およびそれらの塩または溶媒和物は、例えば、シロップ剤、懸濁液またはエマルション、錠剤、カプセル剤およびトローチ剤などの液体または固体として処方されうる。
液体製剤は一般に、例えば、水、エタノールもしくはグリセリンなどの水性溶媒、またはポリエチレングリコールまたは油などの非水性溶媒などの液体担体中の、化合物または塩または溶媒和物の懸濁液または溶液からなる。処方はまた、懸濁化剤、保存剤、香味剤または着色剤を含有しうる。
錠剤の形態の組成物は、固体製剤を製造するのに慣用される適当ないずれかの医薬担体(複数でも可)を用いて調製されうる。かかる担体の例としては、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、スクロースおよびセルロースが挙げられる。
カプセル剤の形態の組成物は、慣例のカプセル封入手順を用いて調製されうる。例えば、標準的な担体を用いて有効成分を含有するペレットを作製した後、ゼラチン硬カプセルに充填するか、あるいは、例えば水性ガム、セルロース、シリケートまたは油などのいずれかの適当な医薬担体(複数でも可)を用いて分散液または懸濁液を調製した後、その分散液または懸濁液をゼラチン軟カプセルに充填することができる。
典型的な非経口組成物は、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、ラッカセイ油またはゴマ油などの無菌水性担体または非経口的に許容される油中の、化合物または塩または溶媒和物の溶液または懸濁液からなる。あるいは、この溶液を凍結乾燥した後、投与前に適当な溶媒で再構成しうる。
鼻腔投与用組成物は便宜にはエアゾール、滴剤、ゲルおよび粉末として処方されうる。エアゾール製剤は一般に、医薬上許容される水性または非水性溶媒中の、有効物質の溶液または微細懸濁液を含み、通常、アトマイズデバイスとともに用いるためのカートリッジまたはレフィルの形態をとりうる密閉容器中の無菌形態で単回量または多回量として提供される。あるいは、この密閉容器は、容器の内容物が使い尽くされたら廃棄することを意図した単回量鼻腔吸入器または計量バルブ付きエアゾールディスペンサーなどの単位ディスペンスデバイスであってもよい。剤形はエアゾールディスペンサーを含む場合には噴射剤を含み、この噴射剤は圧縮空気などの圧縮ガスまたはフルオロクロロ炭化水素などの有機噴射剤でありうる。エアゾール剤形はまた、ポンプアトマイザーの形態をとってもよい。
口腔投与または舌下投与に適当な組成物には、錠剤、トローチ剤および香錠が含まれ、ここで、活性成分は、糖ならびにアラビアガム、トラガカントガムまたはゼラチンおよびグリセリンなどの担体とともに処方される。
直腸投与用組成物は便宜には、カカオ脂などの通常の坐剤基剤を含有する坐剤の形態である。
経皮投与に適当な組成物としては、軟膏、ゲルおよびパッチ剤が含まれる。組成物は、錠剤、カプセル剤またはアンプルなどの単位剤形でありうる。
経口投与用の各投与単位は、例えば、遊離塩基として算出して1〜250mg(非経口投与の場合には、例えば、0.1〜25mg)の式(I)の化合物またはその塩を含有する。
また、本発明の補助的療法に用いる抗精神病薬成分は適宜それらの塩基性または酸性形態で、あるいは適当であれば、塩または他の誘導体の形態で投与してもよい。限定されるものではないが、別の結晶形、非晶質形および多型を含む、本明細書に記載の抗精神病薬またはそれらの塩もしくは誘導体の全ての溶媒和物および全ての他の物理的形態が本発明に範囲内にある。抗精神病薬の場合その形態および誘導体は、例えば、上述のものを含め、単剤療法としての治療投与に関して認可されているものであるが、本明細書において抗精神病薬という場合には常に、全ての塩または他のその誘導体、ならびに全ての溶媒和物および別のその物理的形態を含む。
本発明の補助的治療投与では、式(I)の化合物または塩もしくは溶媒和物および抗精神病薬またはそれらの塩、誘導体もしくは溶媒和物は、各々純粋な形態で投与することができるが、これらの各成分は、例えば、体内で有効レベルのその個々の成分をもたらす、適当な医薬上許容され、かつ、有効な組成物として処方される。各成分に対して最も適当な医薬組成物の選択は当該技術分野の技術の範囲内であり、各成分について同じ形態の場合も異なる形態の場合もある。適当処方には、限定するものではないが、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、トローチ剤、坐剤、再構成粉末、または経口または無菌非経口溶液もしくは懸濁液などの液体製剤が含まれる。
式(I)の化合物と本発明の抗精神病薬との組合せ組成物としての同時投与のためには、式(I)の化合物またはそれらの塩もしくは溶媒和物と抗精神病薬およびそれらの塩、誘導体もしくは溶媒和物の組成物を純粋な形態で投与することができるが、この組合せ成分例えば、体内で有効レベルのその個々の成分をもたらす、適当な医薬上許容され、かつ、有効な組成物として処方される。これらの組合せ成分に対して最も適当な医薬組成物の選択は当該技術分野の技術の範囲内であり、各成分について同じ形態の場合も異なる形態の場合もある。適当な処方には、限定するものではないが、錠剤、舌下錠、口腔組成物、カプセル剤、散剤、顆粒剤、トローチ剤、坐剤、再構成粉末、または経口または無菌非経口溶液もしくは懸濁液などの液体製剤が含まれる。
補助的投与の整合性を得るためには、これらの各成分の組成物、またはこれらの成分の組合せの組成物は例えば単位用量の形態である。
「治療」なる語は、関連病態(複数でも可)に適当である場合には予防も含む。
生物学的試験法
アゴニスト/アンタゴニスト効力を決定するためのM 1 受容体に対するFLIPR試験
アッセイA
本発明の化合物を、FLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー)技術を用い、ヒトムスカリン性受容体を安定発現するCHO細胞における細胞内カルシウム経路の活性化能を測定する機能アッセイで特徴付けた。要するに、CHO−M1細胞を播種し(20,000/ウェル)、37℃で一晩増殖させた。培地を除去し、FLIPRカルシウム3色素(Molecular Devices Co.,Sunnyvale,CA)を含有する30μLのローディングバッファー(20mM HEPESを含むHBSS、pH7.4)を製造業者の使用説明書に従って加えた。37℃で45〜60分間インキュベートした後、試験化合物を含有する10μLのアッセイバッファー(20mM HEPESと2.5mMプロベネシドを含むHBSSd、pH7.4)を、FLIPR装置上の各ウェルに加えた。カルシウム応答をモニタリングし、促進作用を測定した。次いで、プレートをさらに30分間インキュベートした後、アゴニスト刺激として、アセチルコリンを含有するアッセイバッファー10μLをEC80で加えた。その後、カルシウム応答を再度モニタリングし、アセチルコリンに対する化合物の拮抗作用を測定した。M1受容体に対する促進作用および拮抗作用の双方の濃度応答曲線を各化合物について作製した。結果をActiveBaseデータ分析スイート(ID Business Slution Inc.,Parsippany,NJ)にインポートし、これらの曲線を非線形曲線の当てはめにより解析し、結果としてのpEC50/pIC50を算出した。アゴニスト化合物の固有活性は、アセチルコリンにより誘発された最大FLIPR応答の割合%として算出した(すなわち、対照としてEC100のアセチルコリンを使用)。
アッセイB
本発明の化合物を、FLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー)技術を用い、ヒトムスカリン性受容体を安定発現するCHO細胞における細胞内カルシウム経路の活性化能を測定する機能アッセイで特徴付けた。要するに、CHO−M1細胞を播種し(15,000/ウェル)、37℃で一晩増殖させた。培地を除去し、30μLのローディングバッファー(2.5mMプロベニシド(probenicid)、2μM Fluo−4、500μM ブリリアントブラックを含むHBSS、pH7.4)を加えた。37℃で90分間インキュベートした後、試験化合物を含有する10μLのアッセイバッファー(2.5mMプロベネシドを含むHBSS、pH7.4)を、FLIPR装置上の各ウェルに加えた。カルシウム応答をモニタリングし、促進作用を測定した。次いで、プレートをさらに30分間インキュベートした後、アゴニスト刺激として、アセチルコリンを含有するアッセイバッファー10μLをEC80で加えた。その後、カルシウム応答を再度モニタリングし、アセチルコリンに対する化合物の拮抗作用を測定した。M1受容体に対する促進作用および拮抗作用の双方の濃度応答曲線を各化合物について作製した。結果をActiveBaseデータ分析スイート(ID Business Solution Inc.,Parsippany,NJ)にインポートし、これらの曲線を非線形曲線の当てはめにより解析し、結果としてのpEC50/fpKipを算出した。アゴニスト化合物の固有活性は、同じ化合物プレートに対照として加えたアセチルコリンにより誘発された最大FLIPR応答の割合%として算出し、0と1の間の分数に変換した(すなわち、対照として複数の濃度を含むアセチルコリン標準曲線の当てはめから得られた最大100%応答を用いて算出)。
以下の実施例1−10は、上記アッセイの一方または双方で試験され、ムスカリン性M1受容体においてpEC50値>6.0および固有活性>50%を有することが見出された。
アゴニスト固有活性を決定するためのM 1 受容体に対するFLIPR試験
アッセイA
M1アゴニスト化合物の固有活性を決定するために、本発明の化合物を、ヒトムスカリン性M1受容体を一時的に発現するU2OS細胞におけるFLIPR試験で特徴付けた。要するに、U2OS細胞にM1 BacMamウイルス(Ames,R S;Fornwald,J A;Nuthulaganti,P;Trill,J J;Foley,J J;Buckley,P T;Kost,T A;Wu,ZおよびRomanos,M A.(2004) Use of BacMam recombinant baculoviruses to support G protein−coupled receptor drug discovery.Receptors and Channels 10(3−4):99−109)を、2×10e5/mL細胞懸濁液、0.1%ウイルス/細胞比(v/v)で形質導入した。ウイルスと細胞の比を、部分的アゴニストの固有活性を測定するのに最も適当となるように機能的滴定により別々の試験で決定した。ウイルスを懸濁液と合した後、細胞を播種し(10,000/ウェル)、37℃で一晩増殖させた。次いで、翌日、CHO−M1細胞に関して上記したものと同じプロトコールを用いてFLIPR試験を行った。結果をActiveBaseデータ分析スイートにインポートし、これらの曲線を非線形曲線の当てはめにより解析し、結果としてのpEC50値を算出した。アゴニスト化合物の固有活性は、同じ化合物プレートに対照として加えたアセチルコリンにより誘発された最大FLIPR応答の割合%として算出し、0と1の間の分数に変換した(すなわち、対照として複数の濃度を含むアセチルコリン標準曲線の当てはめから得られた最大100%応答を用いて算出)。
アッセイB
M1アゴニスト化合物の固有活性を決定するために、本発明の化合物を、ヒトムスカリン性M1受容体を一時的に発現するCHO細胞におけるFLIPR試験で特徴付けた。要するに、CHO細胞にM1 BacMamウイルス(Ames,R S;Fornwald,J A;Nuthulaganti,P;Trill,J J;Foley,J J;Buckley,P T;Kost,T A;Wu,ZおよびRomanos,M A.(2004) Use of BacMam recombinant baculoviruses to support G protein−coupled receptor drug discovery.Receptors and Channels 10(3−4):99−109)を、多重感染度6で形質導入した。ウイルスと細胞の比を、部分的アゴニストの固有活性を測定するのに最も適当となるように機能的滴定により別々の試験で決定した。ウイルスを懸濁液と合した後、細胞を播種し(15,000/ウェル)、37℃で一晩増殖させた。あるいは、その後、細胞を1mlバイアル内にて、90%透析ウシ胎児血清、10%ジメチルスルホキシド中、4.8×10e7細胞/mlの濃度で−140℃にて凍結した。次いで、細胞をアッセイ前日に解凍し、播種し(15,000/ウェル)、37℃で一晩増殖させた。播種の翌日、CHO−M1細胞に関して上記したものと同じプロトコールを用いてFLIPR試験を行った。結果をActiveBaseデータ分析スイートにインポートし、これらの曲線を非線形曲線の当てはめにより解析し、結果としてのpEC50値を算出した。アゴニスト化合物の固有活性は、同じ化合物プレートに対照として加えたアセチルコリンにより誘発された最大FLIPR応答の割合%として算出し、0と1の間の分数に変換した(すなわち、対照として複数の濃度を含むアセチルコリン標準曲線の当てはめから得られた最大100%応答を用いて算出)。
以下の実施例1−10は、該アッセイで試験され、ムスカリン性M1受容体においてpEC50値>6.0および0.3以上の固有活性を有することが見出された。
受容体サブタイプ選択性を決定するためのM 2−5 受容体に対するFLIPR試験
アッセイA
他のムスカリン性受容体サブタイプ対する本発明の化合物の選択性を決定するために、化合物を、ヒトムスカリン性受容体M2、M3、M4またはM5を安定発現するCHO細胞におけるFLIPR試験で特徴付けた。M2およびM4受容体の場合、キメラGタンパク質Gqi5はまた同時発現され、カルシウムシグナル伝達経路に受容体を共役させた。要するに、細胞を播種し(20,000/ウェル)、37℃で一晩増殖させた。次いで、翌日、CHO−M1細胞に関して上記したものと同じプロトコールを用いてFLIPR試験を行った。結果をActiveBaseデータ分析スイートにインポートし、これらの曲線を非線形曲線の当てはめにより解析し、結果としてのpEC50/pIC50値を算出した。
アッセイB
他のムスカリン性受容体サブタイプに対する本発明の化合物の選択性を決定するために、化合物を、ヒトムスカリン性受容体M2、M3、M4またはM5を安定発現するCHO細胞におけるFLIPR試験で特徴付けた。M2およびM4受容体の場合、キメラGタンパク質Gqi5はまた同時発現され、カルシウムシグナル伝達経路に受容体を共役させた。要するに、細胞を播種し(15,000/ウェル)、37℃で一晩増殖させた。次いで、翌日、CHO−M1細胞に関して上記したものと同じプロトコールを用いてFLIPR試験を行った。結果をActiveBaseデータ分析スイートにインポートし、これらの曲線を非線形曲線の当てはめにより解析し、結果としてのpEC50/fpKi値を算出した。
以下の実施例1−10は、該アッセイで試験され、>10倍、ある場合には>100倍の典型的な選択性(pEC50比)で、M2、M3、M4およびM5受容体よりM1に対し選択的であることを見出した。
本発明は、さらに、以下の非限定的な実施例によって説明される。その後の製法において、各出発物質の後に、数字で記載例への関連を典型的には提供する。これは、ただ単に技術のある化学者に対し力添えをするのみである。出発物質は、必ずしも言及される一群から調製されていなくてもよい。SCXは、Varianによって供給されるスルホン酸イオン交換樹脂をいう。
全反応は、特に明記しない限り、アルゴン下で行われたかまたはアルゴン下で行われうる(例えば、水素化反応)。
記載例1.3,5−ジフルオロ−4−ニトロフェニル酢酸t−ブチル(D1)
2,6−ジフルオロニトロベンゼン(2.5g)、クロロ酢酸t−ブチル(3.8ml)およびN−メチルピロリドン(50ml)の混合物を、カリウムt−ブトキシド(4.2g)のN−メチルピロリドン(50ml)中溶液に−10℃〜−20℃で20分かけて加えた。30分以上後、反応物を、氷および2M塩酸の混合物上に注ぎ、次いで、ヘキサンで2回抽出した。乾燥し、蒸発させ、クロマトグラフィー(20gシリカ、1:1 ヘキサン:ジクロロメタン)に付して、黄色油として標記化合物1.3gを得た。
記載例2.3,5−ジフルオロ−4−ニトロフェニル酢酸(D2)
3,5−ジフルオロ−4−ニトロフェニル酢酸t−ブチル(D1、1.3g)および4M HClのジオキサン(10ml)中混合物を、室温で18時間攪拌し、次いで、蒸発させ、標記化合物1.0gを得た。
記載例3.3,5−ジフルオロ−4−ニトロトルエン(D3)
3,5−ジフルオロ−4−ニトロフェニル酢酸(D2、1.0g)、炭酸カリウム(0.6g)、およびジメチルホルムアミド(5ml)の混合物を、50℃で30分間攪拌し、次いで、冷却し、2M塩酸とヘキサンの間に分配した。乾燥し、蒸発させ、クロマトグラフィー(20gシリカ、ヘキサン中0−20%酢酸エチル)に付して、黄色油として標記化合物0.65gを得た。
記載例4.1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(D4)
1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オン(64mmol、10g)を、エタノール(125ml)で溶解し、0℃にてNaBH
4(1.2当量、76.8mmol、2.9g)で処理し、混合物を室温で1時間攪拌した。反応物をNaOH(25ml、2N水性溶液)でクエンチした。水性溶液を、クロロメタン(2x)で抽出した。有機層を合し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、溶媒を除去し、無色油として標記化合物を得た(8.3g、82%)。
1H NMR δ (d
6DMSO,400MHz):1.44(4H,m),1.65(4H,m),3.55(1H,d broad),3.83(4H,m),4.48(1H,d)。
記載例5.8−(メチルオキシ)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン(D5)
1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(D4、52.5mmol、8.3g)をジメチルホルムアミド(200ml)で溶解し、水素化ナトリウム(2当量、105mmol、4.2g)を0℃で滴下した。混合物を、0℃で10分間攪拌し、ヨードメタン(2当量、6.5ml)を室温で加えた。混合物を、室温で2時間攪拌し、次いで、それをメタノールでクエンチし、酢酸エチルと水の間に分配し、二層を分離した。水層を酢酸エチル(2x)で抽出し、合した有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させ、粗化合物を得た。クロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン)に付して、無色油として標記化合物を得た(7.3g、80%)。
1H NMR δ (d
6DMSO,400MHz):1.46(2H,m),1.55(2H,m),1.64(2H,m),1.73(2H,m),3.21(3H,s),3.24(1H,m),3.83(4H,m)。
記載例6.4−(メチルオキシ)シクロヘキサノン(D6)
8−(メチルオキシ)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン(D5、62.2mmol、11.9g)を10mlのテトラヒドロフランで溶解し、HCl(50mlの5M水性溶液)を室温で加え、混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、テトラヒドロフランを蒸発させ、混合物をpH=10に塩基性化し、それを酢酸エチル(3x)で抽出し;有機層を合し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させ、完全に変換して、標記化合物8.2gを得た。
1H NMR δ (d
6DMSO,400MHz):1.92(4H,m),2.20(2H,m),2.348(2H,m),3.29(3H,s),3.53(1H,m)
記載例7.シス/トランス−[1−(4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(D7)
アルゴン下、室温で4−メトキシシクロヘキサノン(D6、4.5g)のジクロロメタン(200ml)中溶液を、4−ピペリジニルカルバミン酸1,1−ジメチルエチル(9.0g)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(16.0g)で処理し、次いで、室温で18時間攪拌し、次いで、pH9でジクロロメタンと水の間に分配した。乾燥し、蒸発させ、クロマトグラフィー(50gシリカ、ジクロロメタン中0−10%メタノール)に付して、シスおよびトランス異性体の混合物として標記化合物7.0gを得た。
記載例8.シス/トランス−1−(4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジナミン(piperidinamine) 二塩酸塩(D8)
シス/トランス−[1−(4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(D7、7.0g)のジクロロメタン(50ml)中溶液を、室温でジオキサン中4M HCl(25ml)で処理した。4時間後、蒸発させ、標記化合物6.3gを得た。
記載例9.シスおよびトランス−N−(3−フルオロ−5−メチル−2−ニトロフェニル)−1−(4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジナミン(D9a、D9b)
アルゴン下、室温で3,5−ジフルオロ−4−ニトロトルエン(D3、0.65g)のジメチルホルムアミド(15ml)中攪拌溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(2.0ml)および1−[4−(メトキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン 二塩酸塩(D8、シス:トランス混合物、0.8g)で処理し、50℃で72時間加熱した。冷却反応物を、酢酸エチルで希釈し、水で3回洗浄し、次いで、乾燥し、蒸発させ、クロマトグラフィー(0−25%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するBiotage KP−NH(登録商標)−シリカゲルカラム)に付して、標記化合物のシス(D9a、250mg)およびトランス(D9b、140mg)異性体を得た。
記載例10.シス−3−フルオロ−5−メチル−N−[1−(4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,2−ベンゼンジアミン(D10)
50℃でシス−N−(3−フルオロ−5−メチル−2−ニトロフェニル)−1−(4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジナミン(D9a、250mg)のエタノール(14ml)中攪拌懸濁液を、ラネーニッケル(1.4mlの10%水性懸濁液)で処理し、次いで、ヒドラジン水和物(0.35ml)を滴下した。混合物を、同温度で1時間加熱し、次いで、珪藻土に通して濾過し、濾液を蒸発させ、トルエンから再度蒸発させ、標記化合物210mgを得た。
記載例11.トランス−3−フルオロ−5−メチル−N−[1−(4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,2−ベンゼンジアミン(D11)
50℃でトランス−N−(3−フルオロ−5−メチル−2−ニトロフェニル)−1−(4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジナミン(D9b,140mg)のエタノール(8ml)中攪拌懸濁液を、ラネーニッケル(0.8mlの10%水性懸濁液)で処理し、次いで、ヒドラジン水和物(0.2ml)を滴下した。混合物を、同温度で1時間加熱し、次いで、珪藻土に通して濾過し、濾液を蒸発させ、トルエンから再度蒸発させ、標記化合物130mgを得た。
記載例12.トランス−N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)フタルイミド(D12)
N−エトキシカルボニルフタルイミド(100g)を、室温でトランス−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミン塩酸塩(69g)、炭酸カリウム(158g)および水(1l)の混合物に加えた。3時間後、標記化合物を、水、次いで、酢酸エチルで洗浄しながら、濾過により単離した(95g)。
記載例13.トランス−N−(4−tert−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキシル)フタルイミド(D13)
塩化Tert−ブチルジメチルシリル(60g)を、20−30℃(内部、氷冷)でトランス−N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)フタルイミド(D12、95g)、イミダゾール(55g)、およびジメチルホルムアミド(200ml)の混合物に少量ずつ加えた。40℃で3時間以上攪拌した後、混合物を、水/ヘキサンに分配した。乾燥し、有機層を蒸発させ、ペンタンから結晶化した標記化合物92gを得た。
記載例14.トランス−N−(4−エトキシシクロヘキシル)フタルイミド(D14)
アセトニトリル(50ml)中アセトアルデヒド(10ml)を、30分かけてトランス−N−(4−tert−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキシル)フタルイミド(D13、50.0g)、三臭化ビスマス(6.7g)、トリエチルシラン(27ml)のアセトニトリル(500ml)中溶液に加え、氷浴温度で攪拌し、混合物を一晩室温に加温した。混合物を濾過し、得られた灰色固体および濾液を別々に後処理した。濾液を蒸発させ、ヘキサンで処理し、白色固体として標記化合物を得た(16.35g)。灰色固体をジクロロメタンで洗浄し、ジクロロメタン抽出液を蒸発させ、残渣をヘキサン(200ml)で攪拌し、白色固体として2回目の標記化合物を得た(17.47g)。
記載例15.トランス−4−エトキシシクロヘキシルアミン(D15)
トランス−N−(4−エトキシシクロヘキシル)フタルイミド(D14、16.35g)、ヒドラジン水和物(12ml)のエタノール(300ml)およびメタノール(200ml)中溶液を、還流下で3時間攪拌した。溶媒を除去し、スラリーを得、ジエチルエーテルで処理し、濾過した。濾液を蒸発させ、エーテルが混入した粘性油として標記化合物を得た(8.16g)。
記載例16.ヨウ化1−エチル−1−メチル−4−オキソピペリジニウム(D16)
ヨードメタン(65ml)を、20−30℃(内部、氷冷)で1−エチル−4−ピペリドン(100g)のアセトン(1l)中溶液を少量ずつ加えた。3時間以上攪拌した後、濾過により標記化合物189gを得た。
記載例17.トランス−1−(4−エトキシシクロヘキシル)−4−ピペリドン(D17)
1−エチル−4−ピペリドン メチオジド(D16、27g)、トランス−4−エトキシシクロヘキシルアミン(D15、8.16g)、炭酸カリウム(13.5g)、水(100ml)、およびエタノール(200ml)の混合物を、80℃で3時間加熱し、次いで、一晩冷却した。混合物を、水性重炭酸ナトリウムおよびジクロロメタンで分配した。ジクロロメタン層を分離し、ブラインで洗浄し、溶媒を除去し、琥珀色油として標記化合物を得た(13.2g)。
記載例18.トランス−1−(4−エトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジナミン 二塩酸塩(D18)
トランス−1−(4−エトキシシクロヘキシル)−4−ピペリドン(D17、13.2g)、メタノール中2Mアンモニア(300ml)、および炭素担体10%パラジウムペースト(4g)の混合物を、室温で18時間50psiにて水素化し、次いで、濾過し、蒸発させ、油として標記化合物を得た(9.5g)。
記載例19.トランス−N−(4−プロポキシシクロヘキシル)フタルイミド(D19)
室温でトランス−N−(4−tert−ブチルジメチルシリルオキシシクロヘキシル)フタルイミド(D13、45g)のアセトニトリル(500ml)中溶液を、20−30℃(内部、氷冷)でトリエチルシラン(24ml)、三臭化ビスマス(6g)、および(滴下)プロパナール(11ml)で順次処理した。30分以上後、溶液を、水性重炭酸ナトリウム/酢酸エチルに分配した。乾燥し、有機層を蒸発させ、ペンタンから結晶化し、標記化合物20gを得た。
記載例20.トランス−4−プロポキシシクロヘキシルアミン(D20)
トランス−N−(4−プロポキシシクロヘキシル)フタルイミド(D19、20g)、ヒドラジン水和物(15ml)、およびエタノール(400ml)の混合物を、80℃で2時間加熱し、次いで、冷却し、濾過した。濾液を蒸発させ、得られた残渣を、ジエチルエーテルで再溶解し、濾過し、再度蒸発させ、標記化合物11gを得た。
記載例21.トランス−1−(4−プロポキシシクロヘキシル)−4−ピペリドン(D21)
1−エチル−4−ピペリドン メチオジド(D16、26g)を、30分かけてトランス−4−プロポキシシクロヘキシルアミン(D20、11g)、炭酸カリウム(1g)、水(75ml)、およびエタノール(150ml)の還流混合物に加え、次いで、混合物を80℃でさらに30分間加熱し、次いで、冷却し、水性重炭酸ナトリウム/ジクロロメタンに分配し、クロマトグラフィー(40+M Biotageシリカカラム、0.2Mアンモニアを含有するジクロロメタン中0〜10%メタノール)に付して精製し、標記化合物8gを得た。
記載例22.トランス−1−(4−プロポキシシクロヘキシル)−4−ピペリジナミン 二塩酸塩(D22)
トランス−1−(4−プロポキシシクロヘキシル)−4−ピペリドン(D21、7.5g)、メタノール中2Mアンモニア(100ml)、および炭素担体10%パラジウムペースト(100mg)の混合物を、室温で18時間50psiにて水素化し、次いで、濾過し、蒸発させた。残渣を二塩酸塩に変換し、ジエチルエーテルから結晶化した、標記化合物7.5gを得た。
記載例23.トランス−N−(3−フルオロ−5−メチル−2−ニトロフェニル)−1−(4−エトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジナミン(D23)
アルゴン下、室温で3,5−ジフルオロ−4−ニトロトルエン(D3、0.17g)のジメチルホルムアミド(5ml)中攪拌溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(0.7ml)およびトランス−1−[4−(エトキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン 二塩酸塩(D18、0.3g)で処理し、80℃で18時間加熱した。冷却反応物を、酢酸エチルで希釈し、水で3回洗浄し、次いで、乾燥し、蒸発させ、クロマトグラフィー(0−15%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するBiotage KP−NH(登録商標)−シリカカラム)に付して、標記化合物を得た(0.12g)。
記載例24.トランス−3−フルオロ−5−メチル−N−[1−(4−エトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,2−ベンゼンジアミン(D24)
トランス−N−(3−フルオロ−5−メチル−2−ニトロフェニル)−1−(4−エトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジナミン(D23,120mg)のエタノール(10ml)中攪拌懸濁液を、50℃にてラネーニッケル(2.0mlの10%水性懸濁液)で処理し、次いで、ヒドラジン水和物(0.17ml)を滴下した。混合物を、同温度で1時間加熱し、次いで、珪藻土に通して濾過し、濾液を蒸発させ、トルエンから再度蒸発させ、標記化合物120mgを得た。
記載例25.トランス−N−(3−フルオロ−5−メチル−2−ニトロフェニル)−1−(4−プロポキシシクロヘキシル)−4−ピペリジナミン(D25)
アルゴン下、室温で3,5−ジフルオロ−4−ニトロトルエン(D3、0.17g)のジメチルホルムアミド(5ml)中攪拌溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(0.7ml)およびトランス−1−[4−(プロポキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン 二塩酸塩(D22、0.31g)で処理し、80℃で18時間加熱した。冷却反応物を酢酸エチルで希釈し、水で3回洗浄し、次いで、乾燥し、クロマトグラフィー(0−15%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するBiotage KP−NH(登録商標)−シリカカラム)に付して、標記化合物を得た(0.12g)。
記載例26.トランス−3−フルオロ−5−メチル−N−[1−(4−プロポキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,2−ベンゼンジアミン(D26)
トランス−N−(3−フルオロ−5−メチル−2−ニトロフェニル)−1−(4−プロポキシシクロヘキシル)−4−ピペリジナミン(D25,120mg)のエタノール(10ml)中攪拌懸濁液を、50℃にてラネーニッケル(2.0mlの10%水性懸濁液)で処理し、次いで、ヒドラジン水和物(0.17ml)を滴下した。混合物を、同温度で1時間加熱し、次いで、珪藻土に通して濾過し、濾液を蒸発させ、トルエンから再度蒸発させ、標記化合物100mgを得た。
記載例27.4−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキサンカルボン酸エチル(D27)
クロロ(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシラン(115g)を、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸エチル(118g)、イミダゾール(103g)およびジメチルホルムアミド(400ml)の溶液に1時間かけて少量ずつ加え、アルゴン雰囲気下で攪拌した。小さな発熱が観察され、反応混合物温度を約40℃に増大させた。混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、10%クエン酸溶液(2000ml)に注ぎ、ジエチルエーテル(2x800ml)で抽出した。エーテル抽出液を、水、ブラインで洗浄し、次いで、(Na
2SO
4)乾燥し、溶媒を除去し、油として標記化合物を得た(198.4g)。
1H NMR δ (CDCl
3,400MHz):0.01(6H,m),0.85(9H,s),1.2(3H,m),1.3−1.5(2H,m),1.6(2H,m),1.85−2(3H,m),2.15−2.3(1H,m) 3.5(0.4H,m) 3.86(1H,m) 4.1(1H,m)。
記載例28.シス,トランス−4−(プロピルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸エチル(D28)
アセトニトリル(50ml)中プロピオンアルデヒド(6.4g)を、シス/トランス4−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキサンカルボン酸エチル(D27、25.2g)、三臭化ビスマス(4.4g)、トリエチルシラン(17.5ml)のアセトニトリル(300ml)中溶液に30分かけて加え、混合物をさらに1.5時間攪拌した。溶媒を一部除去し、次いで、残渣を、酢酸エチルおよび飽和重炭酸ナトリウム溶液で処理した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去し、シリコン残渣が混入した標記化合物を得た(39.1g)。
記載例29.シス,トランス−4−(プロピルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(D29)
シス,トランス−4−(プロピルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸エチル(D28、39.1g)を含有する記載例28からの粗生成物、40重量%水酸化ナトリウム溶液(150ml)、テトラヒドロフラン(200ml)およびメタノール(150ml)を一緒に、約72時間攪拌した。溶媒を一部除去し、次いで、得られた混合物を、酢酸エチルおよび水で処理した。水層を分離し、濃塩酸で酸性化し、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル層を、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去し、油として標記化合物を得た(15.42g)。
記載例30.シス,トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(D30)
アルゴン下、−20℃でジイソプロピルアミン(24ml、0.17mole)のテトラヒドロフラン(300ml)中攪拌溶液を、10分かけてヘキサン中2.5M n−ブチルリチウム(68ml、0.17mole)で処理し、次いで、0℃に加温し、15分間攪拌した。混合物を、−10℃に再度冷却し、10分かけて4−(プロピルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(D29、13.8g、0.074mole)のテトラヒドロフラン中溶液で処理した。得られた黄色溶液を、50℃で2.5時間加熱し、次いで、0℃に冷却し、ヨードメタン(13.8ml、0.22mole)で処理した。混合物を、室温に加温し、2時間攪拌すると、黄色沈殿を形成した。混合物を、10℃に冷却し、10%クエン酸溶液(200ml)で処理し、次いで、真空下で約250ml容量に濃縮した。残存混合物を、水(200ml)で希釈し、Et
2O(3x250ml)で抽出した。合した抽出液を、(Na
2SO
4)乾燥し、真空下で濃縮し、シス:トランス異性体の約60:40混合物である、黄色油を得た(15.0g)。
記載例31.トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(D31)
シス/トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(D30、13g、0.070mole)を、10℃で攪拌塩化チオニル(50ml)、0.68mole)に加え、次いで、室温に加温し、次いで、85℃で3時間加熱した。混合物を、真空下で濃縮し、残渣をトルエンで2回濃縮し、過剰の塩化チオニルを除去した。残渣を、テトラヒドロフラン(100ml)で溶解し、希NaHCO
3溶液(250ml)で処理し、室温で24時間よく攪拌し、次いで、室温で3日間静置した。2gのシス/トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸における小規模反応の同一段階からの混合物を同時に合した。合した混合物を、真空下で約300mlに濃縮し、水性残渣を、Et
2O(2x120ml)で洗浄し、次いで、2M HCl酸で酸性化し、EtOAc(2x150ml)で抽出した。合した抽出液を、(Na
2SO
4)乾燥し、真空下で濃縮し、淡黄色固体として標記化合物を得た(5.1g、34%)。
1H NMR δ (CDCl
3,400MHz):0.92(3H,t),1.24(3H,s),1.54−1.74(8H,m),1.78−1.88(2H,m),3.33−3.40(3H,m)。1Hはスペクトルから識別できなかった。
記載例32.トランス−1−イソシアナト−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキサン(D32)
アルゴン下、室温でトランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(D31、5.1g、0.027mole)のトルエン(120ml)中攪拌溶液を、トリエチルアミン(4.9ml、0.035mole)およびジフェニルホスホリルアジド(5.8ml、0.027mole)で処理し、85℃で1時間加熱した。混合物を室温に冷却し、次いで、1M NaOH溶液(200ml)で処理し、Et
2O(2x150ml)で抽出した。合した抽出液を、(Na
2SO
4)乾燥し、真空下で濃縮し、黄色油として標記化合物を得た(5.0g、100%)。
1H NMR δ (CDCl
3,400MHz):0.91(3H,t),1.36(3H,s),1.50−1.60(4H,m),1.65−1.80(6H,m),3.33(2H,t),3.46−3.52(1H,m)。
記載例33.[トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキシル]アミン 塩酸塩(D33)
トランス−1−イソシアナト−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキサン(D32、5.0g、0.027mole)のテトラヒドロフラン(100ml)中溶液を、5M HCl酸(25ml)で処理し、アルゴン下、室温で20時間攪拌し、次いで、真空下で濃縮し、残渣をトルエンと共沸し、微量の水を除去した。残存半固体をEt
2O(120ml)でトリチュレートし、固体を得、濾去し、Et
2Oで洗浄し、真空下で50℃にて乾燥し、白色固体として標記化合物を得た(4.5g、85%)。
1H NMR δ (CDCl
3,400MHz):0.91(3H,t),1.47(3H,s),1−45−1.70(4H,m),1.75−2.00(6H,m),3.52(2H,t),3.40−3.48(1H,m),8.38(3H,br s)。
記載例34.1−[トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジノン(D34)
アルゴン下、室温で[トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキシル]アミン 塩酸塩(D33、4.5g、0.022mole)のエタノール(100ml)および水(60ml)の混合物中攪拌溶液を、炭酸カリウム(3.31g、0.024mole)、次いで、ヨウ化1−エチル−1−メチル−4−オキソピペリジニウム(D16、8.91g、0.033mole)で処理し、次いで、80℃で2.5時間加熱した。混合物を冷却し、真空下で約60mlに濃縮し、次いで、水性残渣を飽和NaHCO
3溶液で処理し、ジクロロメタン(3x80ml)で抽出した。合した抽出液を、(Na
2SO
4)乾燥し、真空下で濃縮し、橙色油を得(6.1g)、0−10%MeOH/ジクロロメタンで溶出しながらシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して、黄色油として標記化合物を得た(3.45g、63%)。
1H NMR δ (CDCl
3,400MHz):0.93(3H,s+3H,t),1.48−1.72(8H,m),1.80−1.92(2H,m),2.41(4H,t),2.82(4H,t),3.35−3.45(3H,t+m)。
記載例35.1−[トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン(D35)
1−[トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジノン(D34、2.0g、0.0079mole)の2M NH
3/MeOH(60ml)中溶液を10%Pd/C(150mg)で処理し、55psi初期圧の水素雰囲気下、室温で3.5日間振盪した。混合物を、珪藻土に通して濾過し、触媒を除去し、濾液を真空下で濃縮し、白色固体として標記化合物を得た(1.82g、91%)。
1H NMR δ (CDCl
3,400MHz):0.91(3H,t),1.08(3H,br s),1.32−1.45(2H,m),1.5−1−60(2H,m),1.62−2.60(想定12H,ブロードシグナルの集合),2.70−3.10(1H,br),34.10−3.25(2H,br),3.30−3.45(3H,m),3.40−4.40(2H,v br)。
記載例36.N−(3−フルオロ−5−メチル−2−ニトロフェニル)−1−[トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン(D36)
3,5−ジフルオロ−4−ニトロトルエン(D3、170mg、0.98mmole)、1−[トランス−1−メチル−4−(プロポキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン(D35、250mg、0.98mmole)およびジイソプロピルエチルアミン(0.2ml、1.17mmole)のジメチルホルムアミド(20ml)中攪拌混合物を、アルゴン雰囲気下で50℃にて一晩加熱した。混合物を、飽和NaHCO
3溶液で洗浄し、次いで、ジクロロメタンで抽出した。有機相をSCXカートリッジに通して溶出し、メタノールで洗浄し、化合物をMeOH中2M NH
3での溶出により回収した。溶媒を真空下で除去し、赤色固体を得、20−60%EtOAc/DCMで溶出しながらシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して、標記化合物を得た(320mg、79%)。MH
+=408。
記載例37.3−フルオロ−5−メチル−N
1−{1−[トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,2−ベンゼンジアミン(D37)
アルゴン下、室温でN−(3−フルオロ−5−メチル−2−ニトロフェニル)−1−[トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン(D36、320mg、0.85mmole)のエタノール(70ml)中攪拌溶液を、ラネーニッケル(100mg)で処理し、ヒドラジン水和物(1ml)を滴下し、45分間保持した。溶液を、珪藻土に通して濾過し、濾液を真空下で濃縮し、無色油として標記化合物を得た(288mg、90%)。MH
+=378。
記載例38.シス/トランス−4−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキサンカルボン酸エチル(D38)
クロロ(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシラン(115g)を、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸エチル(118g)、イミダゾール(103g)およびジメチルホルムアミド(400ml)の溶液に1時間かけて少量ずつ加え、アルゴン雰囲気下で攪拌した。小さな発熱が観察され、反応混合物温度を約40℃に増大させた。混合物を、一晩室温で攪拌し、次いで、10%クエン酸溶液(2000ml)に注ぎ、ジエチルエーテル(2x800ml)で抽出した。エーテル抽出液を、水、ブラインで洗浄し、次いで、(Na
2SO
4)乾燥し、溶媒を除去し、油として標記化合物を得た(198.4g)。
1H NMR δ (CDCl
3,400MHz):0.01(6H,m),0.85(9H,s),1.2(3H,m),1.3−1.5(2H,m),1.6(2H,m),1.85−2(3H,m),2.15−2.3(1H,m) 3.5(0.4H,m) 3.86(1H,m) 4.1(1H,m)。
記載例39.シス/トランス−4−(エチルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸エチル(D39)
シス/トランス 4−{[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}シクロヘキサンカルボン酸エチル(D38、35g、122mmol)を、CH
3CN(250ml)で溶解し、Et
3SiH(1.2当量、0.146mol、23ml)およびBiBr
3(4%mol、4.9mmol、2.2g)を室温で加え、次いで、アセトアルデヒド(1.2当量、8.2ml)を25℃でゆっくりと加えた。混合物を室温で1時間攪拌した。その後、混合物をNaHCO
3の水性飽和溶液上に注ぎ、混合物を得、次いで、EtOAc(3x)で抽出した。有機層を合し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させ、粗混合物を得、シリカクロマトグラフィー(Biotage 65iカラム、EtOAc−nhex)に付して精製し、標記化合物を得た(21g、87%)。
1H NMR δ (DMSO,400MHz):1.1(3H,m),1.15(3H,m),1.492−3.212(想定10H,ブロードシグナルおよびマルチプレットの集合),3.312(2H,m),4.041(2H,m)。
記載例40.シス/トランス−4−(エチルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(D40)
シス/トランス−4−(エチルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸エチル(D39、21g、105mmol)を、MeOH/テトラヒドロフラン(100ml/100ml)で溶解し、NaOH(5当量、0.5mol、40ml、12.5N水性溶液)を室温でゆっくりと加えた。混合物を、室温で一晩攪拌した。次いで、テトラヒドロフラン/MeOHを蒸発させ、粗製物をEt
2Oで洗浄した。水層を酸性化し、EtOAc(2x)で抽出し;有機層をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させ、淡黄色油として標記化合物を得た(17.3g、96%)。
1H NMR δ (DMSO,400MHz):1.1(3H,m),1.3−3.201(想定10H,ブロードシグナルおよびマルチプレットの集合),3.417(2H,m),12.1(1H,s broad)。
記載例41.シス/トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキサンカルボン酸(D41)
アルゴン下、−20℃でジイソプロピルアミン(2.3当量、0.231mol、33ml)のテトラヒドロフラン(300ml)中攪拌溶液を、10分かけてヘキサン中2.5M n−ブチルリチウム(2.3当量、93ml)で処理し、次いで、0℃に加温し、15分間攪拌した。混合物を、−10℃に再度冷却し、10分かけてシス/トランス−4−(エチルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(D40、17.3g、0.1mol)の50mlのテトラヒドロフラン中溶液で処理した。得られた黄色溶液を、50℃で2.5時間加熱し、次いで、0℃に冷却し、ヨードメタン(3当量、0.3mol、19ml)で処理した。混合物を室温に加温し、20時間攪拌すると、黄色沈殿を形成した。混合物を、10℃に冷却し、10%クエン酸溶液(200ml)で処理し、次いで、真空下で濃縮した。残存混合物を、水(200ml)で希釈し、Et
2O(2x)で抽出した。合した抽出液を、(Na
2SO
4)乾燥し、真空下で濃縮し、黄色油としてシス:トランス異性体の混合物である、標記化合物を得た(16.2g、87%)。
1H NMR δ (DMSO,400MHz):1.086(想定8H,m),1.510(3H,m),1.698(1H,m),1.781(1H,m),2.005(1H,m),3.191(0.5H,m),3.392(2H,m),3.606(0.5H,m),12.2(1H,s br)。
記載例42.トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキサンカルボン酸(D42)
シス/トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキサンカルボン酸(D41、16.2g、87.1mmol)を、室温にて塩化チオニル(15当量、1.31mol、95ml)で溶解し、その後、4時間85℃に加熱した。混合物を、室温に冷却し、塩化チオニルをトルエンと共沸して蒸発させた。残渣をテトラヒドロフラン(100ml)で溶解し、Na
2CO
3の5%水性溶液(500ml)で処理し、室温で20分間よく攪拌した。水性残渣をEt
2O(2x)で洗浄し、次いで、酸性化し、EtOAc(3x)で抽出した。合した抽出液を、(Na
2SO
4)乾燥し、濾過し、真空下で濃縮し、標記化合物を得た(6.5g、40%)。
1H NMR δ (DMSO,400MHz):1.076(6H,m),1.505(6H,m),1.693(2H,m),3.331(1H,m),3.394(2H,q),12.1(1H,s br)。
記載例43.トランス−4−(エチルオキシ)−1−イソシアナト−1−メチルシクロヘキサン(D43)
アルゴン下、室温でトランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキサンカルボン酸(D42、5.5g、29.5mmol)のトルエン(120ml)中攪拌溶液を、トリエチルアミン(1.3当量、37.7mmol、5.3ml)およびジフェニルホスホリルアジド(1当量、29.5mmol、6.4ml)で処理し、85℃で1時間加熱した。混合物を室温に冷却し、次いで、1M NaOH溶液(300ml)で処理し、Et
2O(3x)で抽出した。合した抽出液を、(Na
2SO
4)乾燥し、濾過し、真空下で濃縮し、標記化合物を得た(5g、94%)。
1H NMR δ (DMSO,400MHz):1.092(3H,t),1.330(3H,s),1.487−1.691(8H,m),3.392(2H,q),3.477(1H,m)。
記載例44.[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]アミン 一塩酸塩(D44)
トランス−4−(エチルオキシ)−1−イソシアナト−1−メチルシクロヘキサン(D43、5.0g、27.3mmol)のテトラヒドロフラン(100ml)中溶液を、5M水性HCl酸(5.5当量、150mmol、30ml)で処理し、アルゴン下、室温で一晩攪拌し、次いで、真空下で濃縮した。残存半固体を、Et
2Oでトリチュレートし、白色固体として第1群の標記化合物を得た(2.8g)。母液を蒸発させ、テトラヒドロフラン(50ml)で再度溶解し、5M水性HCl酸(15ml)で処理し、混合物を室温で週末の間攪拌した。次いで、溶媒を蒸発させ、得られた固体を50℃でオーブンにて乾燥し、Et
2Oでトリチュレートした。この最終的トリチュレートで、さらに646mgの標記化合物を得た。第2群を合し、(3.4g、66%)を得た。
1H NMR δ (DMSO,400MHz):1.084(3H,t),1.256(3H,s),1.378(2H,m),1.619(4H,m),1.847(2H,m),3.243(1H,m),3.424(2H,q),8.090(3H,br s)。
記載例45.ヨウ化1−エチル−1−メチル−4−オキソピペリジニウム(D45)
ヨードメタン(65ml)を、20−30℃(内部、氷冷)で1−エチル−4−ピペリドン(100g)のアセトン(1l)中溶液に少量ずつ加えた。3時間以上攪拌した後、濾過により標記化合物を得た(189g)。
記載例46.1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジノン(D46)
アルゴン下、室温で[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]アミン 一塩酸塩(D44、3.4g、17.8mmol)のエタノール(216ml)および水(108ml)の混合物中攪拌溶液を、炭酸カリウム(1.1当量、19.6mmol、2.7g)、次いで、ヨウ化1−エチル−1−メチル−4−オキソピペリジニウム(D45、1.5当量、26.7mmol、7.1g)で処理し、次いで、80℃で2時間加熱した。混合物を室温に冷却し、次いで、水性残渣を飽和NaHCO
3溶液で処理し、ジクロロメタン(3x)で抽出した。合した抽出液を、(Na
2SO
4)で乾燥し、真空下で濃縮し、粗化合物を得、0−10%MeOH/DCMで溶出しながらシリカゲル上のクロマトグラフィー(Biotage 65iカラム)に付して、標記化合物を得た(2.3g、54%)。
1H NMR δ (DMSO,400MHz):0.855(3H,s),1.099(3H,t),1.421(2H,m),1.544(4H,m),1.793(2H,m),2.297(4H,t),2.726(4H,t),3.377−3.430(3H,t+m)。
記載例47.1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジナミン 二塩酸塩(D47)
1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジノン(D46、2.3g、9.62mmol)の2M NH
3/MeOH(200ml)中溶液を、10%Pd/C(510mg)で処理し、50psi初期圧の水素雰囲気下、室温で一晩振盪した。混合物を、珪藻土に通して濾過し、触媒を除去し、濾液を真空下で濃縮し、標記化合物の遊離塩基を得た。これを、10分間、10mlのHCl(Et
2O中1M溶液)で処理し、MeOH(20ml)で溶解した。その後、溶媒を蒸発させ、白色固体として標記化合物を得た(2.8g、完全変換)。
1H NMR δ (DMSO,250MHz,352.2Kで):1.091(6H,m br),1.336(2H,m),1.695−1.865(7H,m),2.067(2H,d br),2.531(1H,br),3.187−3.317(想定6H,ブロードシグナルおよびマルチプレットの集合),3.434(2H,q),8.496(2H,s br)。
記載例48.1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−N−(3−フルオロ−5−メチル−2−ニトロフェニル)−4−ピペリジナミン(D48)
アルゴン下、1,3−ジフルオロ−5−メチル−2−ニトロベンゼン(183mg、1.06mmole)および1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジナミン 二塩酸塩(D47、300mg、0.962mmole)のN,N−ジメチルホルムアミド(5ml)中溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(0.49ml、2.88mmole)で処理し、反応混合物を、マイクロ波反応器にて110℃で60分間加熱した。次いで、得られた混合物を、真空下で濃縮し、残渣を、希NaHCO
3溶液(50ml)を用いて処理し、次いで、酢酸エチル(3x50ml)を用いて抽出した。合した抽出液を、(MgSO
4)乾燥し、真空下で濃縮し、橙色残渣として粗物質を得た。次いで、残渣を、0−10%メタノール/ジクロロメタンで溶出しながらシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して、橙色残渣として標記化合物を得た(150mg、40%)。MH
+=394。
記載例49.(2−アミノ−3−フルオロ−5−メチルフェニル){1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジニル}アミン(D49)
アルゴン下、室温で1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−N−(3−フルオロ−5−メチル−2−ニトロフェニル)−4−ピペリジナミン(D48、120mg、0.305mmole)のEtOH(10ml)中攪拌溶液を、ラネーニッケル(25mg)で、次いで、ヒドラジン水和物(148μL、3.05mmole)で処理した。反応混合物を2時間攪拌し続けると、最初の黄色が消失された。触媒を珪藻土に通して濾過により除去し、濾液を真空下で濃縮し、灰白色残渣として標記化合物を得た(90mg、81%)。MH
+=364。
記載例50.N−(3,5−ジフルオロ−2−ニトロフェニル)−1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジナミン(D50)
アルゴン下、1,3,5−トリフルオロ−2−ニトロベンゼン(187mg、1.06mmole)および1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジナミン 二塩酸塩(D47、300mg、0.962mmole)のN,N−ジメチルホルムアミド(7ml)中溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(0.49ml、2.88mmole)で処理し、反応混合物を、マイクロ波反応器にて110℃で50分間加熱した。次いで、得られた混合物を真空下で濃縮し、残渣を、希NaHCO
3溶液(50ml)を用いて処理し、次いで、ジクロロメタン(2x30ml)を用いて抽出した。合した抽出液を、(MgSO
4)乾燥し、真空下で濃縮し、橙色残渣として粗物質を得た。残渣を、0−10%メタノール/ジクロロメタンで溶出しながらシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して、橙色残渣として標記化合物を得た(140mg、34%)。MH
+=398。
記載例51.(2−アミノ−3,5−ジフルオロフェニル){1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジニル}アミン(D51)
アルゴン下、室温でN−(3,5−ジフルオロ−2−ニトロフェニル)−1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジナミン(D50、140mg、0.328mmole)のEtOH(10ml)中攪拌溶液を、ラネーニッケル(25mg)で、次いで、ヒドラジン水和物(159μL、3.28mmole)で処理した。反応混合物を2時間攪拌し続けると、最初の黄色が消失された。触媒を珪藻土に通して濾過により除去し、濾液を真空下で濃縮し、灰白色残渣として標記化合物を得た(110mg、91%)。
1H NMR δ (CDCl
3,400MHz):0.93(3H,s),1.20−1.23(3H,t),1.44−1.59(4H,m),1.59−1.68(2H,m),1.82−1.87(2H,m),2.00−2.07(2H,m),2.23−2.34(2H,m),3.18(1H,m),3.33−3.38(1H,m),3.45−3.51(2H,m),3.69−3.75(1H,m),3.89(1H,m),6.12−6.22(2H,m)。
記載例52.シス/トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(D52)
アルゴン下、0℃でジイソプロピルアミン(16.1ml、115mmol、2.1当量)のテトラヒドロフラン(200ml)中攪拌溶液を、ヘキサン中2.5M n−ブチルリチウム(1.05当量、110mmol、44ml)で処理し、次いで、それを同温度で10分間攪拌した。次いで、混合物を、4−(メチルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(1当量、55mmol、8.7g)の50mlの乾テトラヒドロフラン中溶液で処理した。得られた黄色溶液を、50℃で2.0時間加熱し、次いで、0℃に冷却し、ヨードメタン(3当量、12ml)で処理した。混合物を、室温に加温し、2時間攪拌した。混合物を、クエン酸(10%水性溶液)とEt
2Oの間に分配し、二相を分離し、水相をEt
2O(2x)で抽出した。有機相を合し、(Na
2SO
4)乾燥し、濾過し、真空下で濃縮し、シス:トランス異性体の混合物である、黄色固体を得た(9.8g)。
1H NMR δ (d
6DMSO,400MHz):1.078−2.018(11H,シス/トランス異性体),3.074(1H,m 単一異性体),3.193(3H,s 単一異性体),3.213(3H,s 単一異性体),3.606(1H,s broad,単一異性体),>12.5(1H,s broad,シス/トランス異性体)。
記載例53.トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(D53)
シス/トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(D52、41.3mmol、7.7g)を塩化チオニル(15.3当量、631mmol、46ml)で溶解し、混合物を90℃で4時間還流した。溶媒を蒸発させ、粗生成物をトルエンで処理し、真空中で濃縮した。残存褐色油を、5%Na
2CO
3溶液(400ml)およびテトラヒドロフラン(40ml)で処理し、混合物を室温で30分間攪拌した。水性溶液をEt
2O(2x)で洗浄し、水相を2M HCl酸で酸性化し、酢酸エチル(2x)で抽出した。合した有機相をNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させ、標記化合物を得た(2.8g、40%)。
1H NMR δ (d
6DMSO,400MHz):1.085(3H,s),1.419(2H,m),1.485(4H,m),1.701(2H,m),3.225(4H,m),3.342(1H,s)。
記載例54.トランス−1−イソシアナト−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキサン(D54)
トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(D53、15.0mmol、2.8g)の乾トルエン(70ml)中溶液に、Et
3N(1.3当量、19.6mmol、2.7ml)、およびジフェニルホスホリルアジド(1.0当量、15.0mmol、3.2ml)を室温で加えた。混合物を80℃で2時間還流した。混合物を室温に冷却し、1M NaOH(70ml)上に注ぎ、水性溶液をEtOAc(2x)で抽出した。有機相を合し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させ、粗化合物を得た。次いで、粗生成物をシリカカラム上のクロマトグラフィー(EtOAc−nhex)に付して精製し、標記化合物を得た(1.33g、48%)。
1H NMR δ (d
6DMSO,400MHz):1.327(3H,s),1.61(8H,m),3.197(3H,s) 3.355(1H,m)。
記載例55.トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキサナミン 一塩酸塩(D55)
トランス−1−イソシアナト−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキサン(D54、7.27mmol、1.33g)のテトラヒドロフラン(30ml)中溶液に、濃HCl酸(6ml)を室温で加えた。混合物を室温で4時間攪拌し、濃HCl酸(数滴)を加えた。反応物を一晩静置し、溶媒を蒸発させ、標記化合物を得た(0.9g、69%)。
1H NMR δ (d
6DMSO,400MHz):1.260(3H,s),1.39(2H,m),1.632(4H,m),1.87(2H,m),3.157(1H,m),3.217(3H,s)。
記載例56.1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジノン(D56)
TLC上で出発物質を観察しなくなるまで、トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキサナミン 一塩酸塩(D55、7.69mmol、1.1g)、ヨウ化1−エチル−1−メチル−4−オキソピペリジニウム(D45、1.7当量、13.1mmol、3.5g)、炭酸カリウム(1.5当量、11.5mmol、1.5g)、水(40ml)およびエタノール(80ml)を80℃で還流した。混合物をNaHCO
3溶液とジクロロメタンの間に分配した。機械的流出により一部の生成物を消失した。後処理を繰り返した。ジクロロメタン溶液を乾燥し、真空下で濃縮し、次いで、粗生成物を、シリカカラム上のクロマトグラフィー(MeOH−NH
3−ジクロロメタン)に付して精製し、標記化合物を得た(650mg、35%)。
1H NMR δ (d
6DMSO,400MHz) 0.85(3H,s),1.50(8H,m) 1.762(2H,t),2.301(4H,t),2.725(4H,t),3.207(3H,s),3.274(1H,m)。
記載例57.1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン(D57)
1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジノン(D56、2.67mmol、650mg)のメタノール中2M NH
3(15.0当量、40.0mmol、20ml)中溶液に、10%Pd/Cペースト(65mg)を加えた。混合物を、室温で24時間50psiにて水素化した。混合物を珪藻土に通して濾過し、エタノール(100ml)で洗浄した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を得た。粗生成物で反応を繰り返し、24時間静置した。混合物をセライトに通して濾過し、エタノールで洗浄し、溶媒を蒸発させ、標記化合物を得た(390mg、68%)。M
++H=227。
記載例58.1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−N−(3−フルオロ−2−ニトロフェニル)−4−ピペリジナミン(D58)
マイクロ波容器を、2,6−ジフルオロ−1−ニトロベンゼン(0.318g)、1−[トランス−1−メチル−4−(エトキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン 二塩酸塩(D47、0.318g)、ジメチルホルムアミド(3ml)およびジイソプロピルエチルアミン(1.0ml)で充填し、マイクロ波反応器にて200℃で20分間加熱した。冷却反応物を蒸発させ、メタノールで溶解し、SCXカートリッジ上に充填し、メタノールで、次いで、2Mメタノール性アンモニアで溶出した。メタノール性アンモニアフラクションを蒸発させ、残渣を、0−5%ジクロロメタン−メタノール性アンモニアで溶出されるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して、黄色ガラムとして標記化合物を得た(0.114g)。MH
+=380。
記載例59.3−フルオロ−N−{1−[トランス−1−メチル−4−(エトキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,2−ベンゼンジアミン(D59)
1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−N−(3−フルオロ−2−ニトロフェニル)−4−ピペリジナミン(D58、0.114g)のエタノール(20ml)中溶液を、ラネーニッケル(約0.2ml)およびヒドラジン水和物(1ml)で処理した。混合物を40℃で1時間攪拌し、次いで、冷却し、濾過し、濾液を蒸発させ、褐色固体として標記化合物を得た(0.097g)。MH
+=350。
記載例60.N−(3−フルオロ−2−ニトロフェニル)−1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン(D60)
マイクロ波容器を、2,6−ジフルオロ−1−ニトロベンゼン(0.318g)、1−[トランス−1−メチル−4−(メトキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン 二塩酸塩(D57の二塩酸塩、0.318g)、ジメチルホルムアミド(3ml)およびジイソプロピルエチルアミン(1.0ml)で充填し、マイクロ波反応器にて200℃で20分間加熱した。冷却反応物を蒸発させ、メタノールで溶解し、SCXカートリッジ上に充填し、メタノール、次いで、2Mメタノール性アンモニアで溶出した。メタノール性アンモニアフラクションを蒸発させ、残渣を、ジクロロメタン−0−5%メタノール性アンモニアで溶出されるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して、黄色ガラスとして標記化合物を得た(0.249g)。MH
+=366。
記載例61.3−フルオロ−N−{1−[トランス−1−メチル−4−(メトキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,2−ベンゼンジアミン(D61)
N−(3−フルオロ−2−ニトロフェニル)−1−[トランス−1−メチル−4−(メトキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン(D60、0.249g)のエタノール(30ml)中溶液を、ラネーニッケル(約1ml)およびヒドラジン水和物(1ml)で処理した。混合物を、45℃で0.5時間攪拌し、次いで、冷却し、濾過し、濾液を蒸発させ、ジクロロメタンで溶解し、蒸発させ、固体として標記化合物を得た(0.202g)。MH
+=336。
記載例62.N−(3−フルオロ−5−メチル−2−ニトロフェニル)−1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン(D62)
ジイソプロピルエチルアミン(0.55mL、3.23mmole)および2,6−ジフルオロ−4−メチル−1−ニトロベンゼン(206mg、1.19mmole)を、アルゴン下、1−[トランス−4−(メチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジナミン 二塩酸塩(D57の二塩酸塩、306mg、1.02mmole)のN,N−ジメチルホルムアミド(5ml)中溶液に加えた。反応物を、マイクロ波反応器にて100℃で30分間、次いで、さらに30分間加熱した。混合物を、飽和NaHCO
3溶液(50mL)上に注ぎ、EtOAc(3x)で抽出した。合した有機層を、ブライン、H
2Oおよびブラインで順次洗浄し、(Na
2SO
4)乾燥し、回転蒸発により濃縮した。粗残渣を、SCX(5g)、次いで、クロマトグラフィー(シリカ、CH
2Cl
2−0.5%NH
3/9.5%MeOH/90%CH
2Cl
2)に付して精製し、橙色油として標記化合物を得(157mg、41%)、静置すると固体化し、橙色固体を得た。MH
+380。
記載例63.(2−アミノ−3−フルオロ−5−メチルフェニル){1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}アミン(D63)
ラネーニッケル(0.25mL、H
2O中10%溶液)を、アルゴン下、勢いよく攪拌されたN−(3−フルオロ−5−メチル−2−ニトロフェニル)−1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン(D62、150mg、0.40mmole)のEtOH(10mL)中溶液に加えた。ヒドラジン水和物(220μL、7.06mmole)を、次いで、第2群のラネーニッケル(0.25mL、H
2O中10%溶液)を滴下した。反応物を1時間攪拌し、次いで、EtOHを用いて珪藻土に通して濾過した。溶媒を回転蒸発により除去し、白色固体として標記化合物を得た(113mg、81%)。MH
+350。
記載例64.N−(3,5−ジフルオロ−2−ニトロフェニル)−1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン(D64)
ジイソプロピルエチルアミン(0.56mL、3.29mmole)および2,4,6−トリフルオロ−1−ニトロベンゼン(533mg、3.01mmole)を、アルゴン下、室温で1−[トランス−4−(メチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジナミン 二塩酸塩(D57の二塩酸塩、318mg、1.06mmole)のN,N−ジメチルホルムアミド(5ml)中溶液に加えた。反応物を、マイクロ波反応器にて110℃で30分間、次いで、さらに30分間加熱した。反応物を、飽和NaHCO
3溶液(50mL)上に注ぎ、EtOAc(3x)で抽出した。合した有機層を、ブライン、H
2Oおよびブラインで順次洗浄し、(Na
2SO
4)乾燥し、回転蒸発により濃縮した。粗残渣を、SCX(5g)、次いで、クロマトグラフィー(シリカ、CH
2Cl
2−0.5%NH
3/9.5%MeOH/90%CH
2Cl
2)に付して、黄色固体として標記化合物を得た(221mg、54%)。MH
+384。
記載例65.(2−アミノ−3,5−ジフルオロフェニル){1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}アミン(D65)
N−(3,5−ジフルオロ−2−ニトロフェニル)−1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジナミン(D64、221mg、0.58mmole)をEtOH(10mL)で溶解し、アルゴン下、室温で勢いよく攪拌した。ラネーニッケル(0.25mL、H
2O中10%溶液)を、次いで、ヒドラジン水和物(180μL、5.78mmole)を加えた。第2群のラネーニッケル(0.25mL、H
2O中10%溶液)を加え、反応物を、45分間勢いよく攪拌した。混合物を、EtOHを用いて珪藻土に通して濾過し、回転蒸発により濃縮し、褐色油として標記化合物を得(229mg)、静置すると固体化し、褐色固体を得た。MH
+354。
実施例1.4−フルオロ−6−メチル−1−[1−(シス−4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン 塩酸塩(E1)
シス 3−フルオロ−5−メチル−N−[1−(4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,2−ベンゼンジアミン(D10、210mg)のジクロロメタン(12ml)中溶液を、0℃でトリホスゲン(70mg)、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(0.15ml)で処理し、次いで、0℃で1時間保持した。混合物を、pH9でジクロロメタンと水の間に分配した。乾燥し、蒸発させ、クロマトグラフィー(20gシリカ、ジクロロメタン中2−10%メタノール)に付して、ジエチルエーテルから塩酸塩として単離された標記化合物100mgを得た。
1HNMR δ (d
6DMSO):1.4(2H,m),1.7(2H,m),1.8−2.1(6H,m),2.35(3H,s),2.8(2H,m),3.25(3H,s),3.3−3.8(6H,m),4.6(1H,m),6.7(1H,d,J=11Hz),7.4(1H,s),10.5(1H,br s),11.4(1H,s),MH+362。
実施例2.4−フルオロ−6−メチル−1−[1−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン 塩酸塩(E2)
トランス 3−フルオロ−5−メチル−N−[1−(4−メトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,2−ベンゼンジアミン(D11、130mg)のジクロロメタン(8ml)中溶液を、0℃でトリホスゲン(50mg)、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(0.10ml)で処理し、次いで、0℃で1時間保持した。混合物を、pH9でジクロロメタンと水の間に分配した。乾燥し、蒸発させ、クロマトグラフィー(20gシリカ、ジクロロメタン中2−10%メタノール)に付して、ジエチルエーテルから塩酸塩として単離された標記化合物100mgを得た。
1H NMR δ (d
6DMSO):1.2(2H,m),1.6(2H,m),1.9(2H,m),2.2(4H,m),2.35(3H,s),2.8(2H,m),3.3(3H,s),3.1−3.6(6H,m),4.6(1H,m),6.75(1H,d,J=11Hz),7.4(1H,s),10.6(1H,br s),11.3(1H,s),MH+362。
実施例3.4−フルオロ−6−メチル−1−[1−(トランス−4−エトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン 塩酸塩(E3)
トランス 3−フルオロ−5−メチル−N−[1−(4−エトキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,2−ベンゼンジアミン(D24、120mg)のジクロロメタン(6ml)中溶液を、0℃でトリホスゲン(40mg)、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(0.08ml)で処理し、次いで、0℃で1時間保持した。混合物を、ジクロロメタンと水性重炭酸ナトリウムの間に分配した。乾燥し、蒸発させ、クロマトグラフィー(10gシリカ、ジクロロメタン中0−10%メタノール)に付して、ジエチルエーテルから塩酸塩として単離された標記化合物95mgを得た。
1H NMR(HCl塩) δ (d
6DMSO):1.1(3H,t),1.2(2H,m),1.55(2H,m),1.9(2H,m),2.15(4H,m),2.35(3H,s),2.8(2H,m),3.2−3.5(12H,m),4.6(1H,m),6.7(1H,d,J=11Hz),7.4(1H,s),10.5(1H,br s),11.35(1H,s),MH+376。
実施例4.4−フルオロ−6−メチル−1−[1−(トランス−4−プロポキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン 塩酸塩(E4)
トランス 3−フルオロ−5−メチル−N−[1−(4−プロポキシシクロヘキシル)−4−ピペリジニル]−1,2−ベンゼンジアミン(D26、100mg)のジクロロメタン(6ml)中溶液を、0℃でトリホスゲン(35mg)、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(0.07ml)で処理し、次いで、0℃で1時間保持した。混合物を、ジクロロメタンと水性重炭酸ナトリウムの間に分配した。乾燥し、蒸発させ、クロマトグラフィー(10gシリカ、ジクロロメタン中0−10%メタノール)に付して、ジエチルエーテルから塩酸塩として単離された標記化合物65mgを得た。
1H NMR(HCl塩) δ (d
6DMSO):0.85(3H,t),1.2(2H,m),1.5(4H,m),1.9(2H,m),2.15(4H,m),2.35(3H,s),2.8(2H,m),3.2−3.5(15H,m),4.6(1H,m),6.7(1H,d,J=11Hz),7.4(1H,s),10.2(1H,br s),11.35(1H,s),MH+390。
実施例5.4−フルオロ−6−メチル−1−{1−[トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン(E5)
3−フルオロ−5−メチル−N
1−{1−[トランス−1−メチル−4−(プロピルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,2−ベンゼンジアミン(D37、288mg、0.76mmole)のジクロロメタン(50ml)中攪拌混合物を、アルゴン下、0℃で15分間、ジイソプロピルエチルアミン(0.4ml、2.2mmole)で処理し、トリホスゲン(89mg、0.3mmole)を滴下した。混合物を室温に加温し、次いで、飽和NaHCO
3溶液で洗浄し、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を、(Na
2SO
4)乾燥し、真空下で濃縮し、次いで、ジエチルエーテルから結晶化し、濾過により回収し、標記化合物の遊離塩基を得た(165mg、56%)。これをジクロロメタン(10ml)で溶解し、1M HCl/Et
2O(5ml)で処理し、5分間攪拌した。沈渣を濾去し、白色固体として標記化合物を得た(147mg)。MH
+=404。
1H NMR δ (d
6DMSO,400MHz):0.87(3H,t),1.20−1.40(5H,s+m),1.41−1.54(2H,m),1.80−2.03(想定6H,m),2.33(3H,s),2.83−3.00(2H,m),3.10−3.26(3H,m),3.30−3.70(想定6H,いくつかのシグナル),4.55−4.67(1H,m),6.73(1H,d),7.53(1H,s),10.4(1H,br s),11.33(1H,s)。
実施例6.1−{1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−4−フルオロ−6−メチル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン 塩酸塩(E6)
アルゴン下、0℃で(2−アミノ−3−フルオロ−5−メチルフェニル){1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジニル}アミン(D49、90mg、0.25mmole)のジクロロメタン(7ml)中攪拌溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(63μL、0.375mmole)、次いで、固形トリホスゲン(30mg、0.10mmole)で処理し、0℃で1時間保持した。混合物を、希NaHCO
3溶液(20ml)で処理し、ジクロロメタン(2x25ml)で抽出した。合した抽出液を、(相分離カートリッジ)乾燥し、真空下で濃縮し、灰白色残渣として標記化合物の遊離塩基を得た。次いで、これを、1M HCl/ジエチルエーテル(0.25ml)で処理し、固体を濾過し、白色固体として塩酸塩を得た(38mg、36%)。MH
+390。
1H NMR(遊離塩基) δ (CDCl
3,400MHz):0.95(3H,s),1.19−1.28(3H,m),1.43−1.58(4H,m),1.66−1.72(2H,m),1.80−1.83(2H,m),1.88−1.93(2H,m),2.23−2.36(4H,m),2.39(3H,s),3.14−3.16(2H,m),3.39−3.43(1H,m),3.47−3.53(2H,m),4.22−4.26(1H,m),6.25−6.65(1H,d),6.83(1H,s),7.98(1H,s)。
実施例7.1−{1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−4,6−ジフルオロ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン 塩酸塩(E7)
アルゴン下、0℃で(2−アミノ−3,5−ジフルオロフェニル){1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジニル}アミン(D51、110mg、0.29mmole)のジクロロメタン(5ml)中攪拌溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(60μL、0.435mmole)、次いで、固形トリホスゲン(34mg、0.12mmole)で処理し、0℃で1時間保持した。混合物を、希NaHCO
3溶液(20ml)で処理し、ジクロロメタン(2x30ml)で抽出した。合した抽出液を、(相分離カートリッジ)乾燥し、真空下で濃縮し、灰白色固体として粗物質を得た。次いで、粗物質を、移動相としてアンモニアおよびアセトニトリルを用いてpH10に調整された水性重炭酸アンモニウム(10mmolar)を用いてWaters Xbridgeクロマトグラフィーカラムおよび溶媒勾配を用いて精製し、白色固体として標記化合物の遊離塩基を得た(27mg)。これを1M HCl/ジエチルエーテル(0.25ml)で処理し、固体を濾過し、白色固体として標記化合物を得た(31mg、36%)。MH
+394。
1H NMR(遊離塩基) δ (CDCl
3,400MHz):0.94(3H,s),1.20−1.23(3H,t),1.44−1.59(4H,m),1.64−1.69(2H,m),1.80−1.91(4H,m),1.80−1.91(4H,m),3.14−3.15(2H,d),3.42−3.44(1H,m),3.46−3.53(2H,q),4.25(1H,m),6.56−6.64(1H,m),6.82−6.85(1H,m),8.48(1H,s)。
実施例8.4−フルオロ−6−メチル−1−{1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン 塩酸塩(E8)
ジイソプロピルエチルアミン(100μL、0.58mmole)を、アルゴン下、室温で(2−アミノ−3−フルオロ−5−メチルフェニル){1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}アミン(D63、113mg、0.30mmole)のCH
2Cl
2(10mL)中溶液に加えた。反応物を0℃に冷却し、トリホスゲン(30mg、0.10mmole)を滴下した。反応物を1時間攪拌した後、2M NaOH(10mL)を加えた。次いで、混合物を、CH
2Cl
2(20mL)および飽和NaHCO
3溶液(20mL)で希釈した。水層をCH
2Cl
2(2x)で抽出し、合した有機層を乾燥し、回転蒸発により濃縮した。粗残渣をEtOAc−Et
2O(1:1)でトリチュレートし、薄紫色固体を得、トルエン(2x5mL)と共沸し、次いで、クロマトグラフィー(シリカ、CH
2Cl
2−0.5%NH
3 /9.5%MeOH/90%CH
2Cl
2)に付して、白色固体として標記化合物の遊離塩基を得た。遊離塩基をMeOH(2mL)、次いで、Et
2O中1M HCl(0.30mL)で処理した。混合物を1時間攪拌し、次いで、溶媒を回転蒸発により除去し、白色固体として標記化合物を得た(103mg、42%)。MH
+376。
1H NMR δ (DMSO−d
6,400MHz):1.23−1.38(5H,m),1.75−2.07(8H,m),2.33(3H,s),2.79(2H,m),3.06−3.26(3H,m),3.26(3H,s),3.65(2H,m),4.57(1H,m),6.75(1H,d,J11),7.24(1H,s),9.57(1H,m),11.35(1H,s)
実施例9.4,6−ジフルオロ−1−{1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン 塩酸塩(E9)
ジイソプロピルエチルアミン(200μL、1.18mmole)を、アルゴン下、室温で(2−アミノ−3,5−ジフルオロフェニル){1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}アミン(D65、204mg、0.58mmole)のCH
2Cl
2(10mL)中溶液に加えた。反応物を0℃に冷却し、トリホスゲン(63mg、0.21mmole)を滴下した。反応物を1時間攪拌した後、2M NaOH(10mL)を加えた。次いで、混合物を、CH
2Cl
2(20mL)および希NaHCO
3溶液(20mL)で希釈した。水層をCH
2Cl
2(3x)で抽出し、合した有機層を乾燥し、回転蒸発により濃縮した。粗残渣を、クロマトグラフィー(シリカ、CH
2Cl
2−0.5%NH
3/9.5%MeOH/90%CH
2Cl
2)に付して、白色固体として標記化合物の遊離塩基を得た。遊離塩基を、MeOH(2mL)、次いで、Et
2O中1M HCl(0.20mL)で処理した。混合物を30分間攪拌し、次いで、溶媒を回転蒸発により除去し、淡黄色固体として標記化合物を得た(97mg、40%)。MH
+380。
1H NMR δ (DMSO−d
6,400MHz):1.24−1.38(5H,m),1.77(2H,m),1.90−2.08(6H,m),2.70(2H,m),3.06−3.25(3H,m),3.26(3H,m),3.66(2H,m),4.59(1H,m),6.98(1H,m),7.38(1H,m),9.45(1H,m),11.55(1H,s)。
実施例10.4−フルオロ−1−{1−[トランス−1−メチル−4−(メチルオキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン 塩酸塩(E10)
トリホスゲン(0.072g)を、氷浴温度で攪拌された3−フルオロ−N−{1−[トランス−1−メチル−4−(メトキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,2−ベンゼンジアミン(D61、0.202g)、ジクロロメタン(15ml)およびジイソプロピルエチルアミン(0.5ml)の溶液に加えた。溶液を室温で一晩攪拌し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、ヒドロマトリックス(hydromatrix)で乾燥し、溶媒を除去した。残渣を、0−10%ジクロロメタン−メタノール性アンモニアで溶出されたシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して、白色固体として標記化合物の遊離塩基を得た。これをジクロロメタンで溶解し、エーテル中塩化水素で処理し、溶媒を除去し、白色固体として標記化合物を得た(0.090g)。MH
+=362。
1H NMR δ (d
6DMSO,250MHz):0.95(3H,s),1.15−1.45(5H,m),1.8−2.1(8H,m),2.75−3.0(2H,m),3.0−3.3(約10H,m),3.34(3H,m),3.1−3.25(2H,m),4.6(1H,m),6.9(2H,m) 7.6(1H,d),10.3(1H,m),11.5(1H,s)。
実施例11.1−{1−[トランス−4−(エチルオキシ)−1−メチルシクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−4−フルオロ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン 塩酸塩(E11)
トリホスゲン(0.032g)を、氷浴温度で攪拌された3−フルオロ−N−{1−[トランス−1−メチル−4−(エトキシ)シクロヘキシル]−4−ピペリジニル}−1,2−ベンゼンジアミン(D59、0.096g,)、ジクロロメタン(15ml)およびジイソプロピルエチルアミン(0.2ml)の溶液に加えた。溶液を室温で一晩攪拌し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、溶媒を除去した。残渣を、0−10%ジクロロメタン−メタノール性アンモニアで溶出されたシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して、白色固体として標記化合物の遊離塩基を得た。これを、ジクロロメタンで溶解し、エーテル中塩化水素で処理し、溶媒を除去し、白色固体として標記化合物を得た(0.049g)。MH
+=376。
1H NMR δ (d
6DMSO,400MHz)(遊離塩基):0.95(3H,s),1.23(3H,t),1.45−1.6(4H,m),1.65−1.8(4H,m),1.85−2.0(4H,m),2.2−2.4(4H,m),3.15(2H,m),3.43(1H,m),3.5(2H,m),4.3(1H,m),6.81(1H,d),6.96(1H,m)9.63(1H,m),7.03(1H,m),9.2(1H,s)。
19F NMR δ (d
6DMSO) −134.19ppm
全ての1H NMRは、示される構造と一致する。