JP5255112B2 - 地絡検知システムを備える電気自動車 - Google Patents

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Description

この発明は、非接地電源の接地部(接地)に対する地絡や絶縁状態を検出する地絡検知システムを備える電気自動車に関する。
一般に、電気自動車では、高圧化(例えば、200[V]以上)されている電源を車体から絶縁して非接地電源として取り扱う。
このように高圧の非接地電源の地絡(漏電、または絶縁が劣化して絶縁抵抗が下がった状態も含む。)を検知する技術が提案されている(特許文献1)。
この特許文献1に係る技術では、単一の非接地電源の地絡を判定するようにしている。
特開平8−226950号公報
ところで、近時、第1非接地電源、例えば燃料電池の他、第2非接地電源、例えば蓄電装置(バッテリ等)を用いて、負荷を駆動する電気自動車が提案されているが、これら第1及び第2非接地電源を有する電気自動車の地絡検知システムについては、その構成が明らかになっていない。
この発明はこの種の課題を解決するものであり、第1及び第2非接地電源を有する電気自動車に好適であり絶縁抵抗計測精度(検出精度)の高い地絡検知システムを備える電気自動車を提供することを目的とする。
この発明に係る地絡検知システムを備える電気自動車は、駆動用モータを含む負荷と、前記負荷に電力を供給し、第1電圧(E1)を発生する第1非接地電源と、前記負荷と前記第1非接地電源との間に一方の入出力端子が接続されるコンバータと、前記コンバータの他方の入出力端子に接続され前記第1非接地電源より低電圧の第2電圧(E2(E2<E1))を発生する第2非接地電源と、を備える電気自動車において、以下の特徴(1)〜()を有する。
(1)前記第1非接地電源の両端に接続され、前記第1非接地電源の接地部に対する第1絶縁抵抗を検出する第1絶縁抵抗検出部と、前記第2非接地電源の両端に接続され、前記第2非接地電源の接地部に対する第2絶縁抵抗を検出する第2絶縁抵抗検出部と、前記第1絶縁抵抗及び前記第2絶縁抵抗を、異常検知閾値と比較し、前記第1絶縁抵抗又は前記第2絶縁抵抗のいずれかが、前記異常検知閾値より小さい値である場合に地絡と判定する地絡判定部と、を備え、前記第1絶縁抵抗検出部は、前記第1非接地電源の前記第1電圧(E1)に向かって第1所定時間第1コンデンサに充電して第1充電電圧(V01)を得、放電した後、前記第1絶縁抵抗を経由して前記第1非接地電源の前記第1電圧(E1)に向かって第2所定時間前記第1コンデンサに充電して第2充電電圧(V11)を得、前記第1充電電圧(V01)と前記第2充電電圧(V11)との比に基づき、前記第1絶縁抵抗を算出し、前記第2絶縁抵抗検出部は、前記第2非接地電源の前記第2電圧(E2)に向かって第3所定時間第2コンデンサに充電して第3充電電圧(V02)を得、放電した後、前記第2絶縁抵抗を経由して前記第2非接地電源の前記第2電圧(E2)に向かって第4所定時間前記第2コンデンサに充電して第4充電電圧(V12)を得、前記第3充電電圧(V02)と前記第4充電電圧(V12)との比に基づき、前記第2絶縁抵抗を算出することを特徴とする。
この特徴(1)を備える発明によれば、第1及び第2非接地電源のそれぞれに第1及び第2絶縁抵抗検出部を設ける構成としているので、絶縁抵抗の検出精度を向上させることができる。
上記の特徴()を有する発明によれば、第1及び第2絶縁抵抗検出部をそれぞれ、いわゆるフライングキャパシタ方式で構成することができる。
)上記の特徴()を有する発明において、前記第1絶縁抵抗検出部と前記第2絶縁抵抗検出部とは、異なるタイミングで前記第1絶縁抵抗及び前記第2絶縁抵抗をそれぞれ検出することを特徴とする。このように構成すれば、第1非接地電源の第1絶縁抵抗及び第2非接地電源の第2絶縁抵抗を確実かつ正確に検出することができる。
この発明によれば、第1及び第2非接地電源を有する電気自動車の絶縁抵抗の検出精度を向上することができる。
この発明の一実施形態に係る地絡検知システムを備える電気自動車の全体構成図である。 DC/DCコンバータの回路図である。 インバータの回路図である。 第1絶縁抵抗検出部の回路図である。 第2絶縁抵抗検出部の回路図である。 絶縁抵抗の計測の原理動作説明に供されるタイムチャートである。 電源電圧計測期間(充電期間)の説明図である。 コンデンサ電圧読込・放電期間の説明図である。 +側地絡計測期間(充電期間)の説明図である。 絶縁抵抗の大小と所定時間内での充電電圧の変化の対応説明図である。 電圧比と絶縁抵抗値の関係説明特性図である。 第1非接地電源の中途で地絡している例の説明図である。 第2非接地電源の中途で地絡している例の説明図である。 地絡している電源の違いによる充電時間の対応説明図である。 地絡している電源の違いによる絶縁抵抗の読込値の説明図である。 第1非接地電源と第2非接地電源の電圧差による地絡抵抗の検出程度の説明図である。 第1非接地電源と第2非接地電源の電圧差が大きい場合に地絡抵抗検出が不可の例の説明図である。 この発明の一実施例の動作説明に供されるタイムチャートである。 電圧比と第1絶縁抵抗との対応関係説明図である。 電圧比と第2絶縁抵抗との対応関係説明図である。 この発明の他の実施形態に係る地絡システムを備える電気自動車の全体構成図である。
以下、この発明に係る地絡検知システムを備える電気自動車の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る電気自動車10の全体構成図を示している。
この電気自動車10は、基本的には、第1主回路配線1P、1N間に電圧E1を発生する第1非接地電源(第1直流電源)としての燃料電池(Fuel Cell)14(第1非接地電源14ともいう。)と、第2主回路配線2P、2N間に電圧E2(E1>E2)を発生する第2非接地電源(第2直流電源)としてのバッテリ12(蓄電装置であり第2非接地電源12ともいう。)とから構成されるハイブリッド直流電源装置と、このハイブリッド直流電源装置からインバータ22を通じて電力が供給される負荷である走行駆動用のモータ16とから構成される。なお、燃料電池14とインバータ22との間には、燃料電池14への電流の流入を防止するダイオード15が挿入されている。
燃料電池14は、例えば固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟み込んで形成されたセルを積層したスタック構造にされている。燃料電池14には、反応ガス供給部18が配管を通じて接続されている。反応ガス供給部18は、一方の反応ガスである水素(燃料ガス)を貯留する水素タンク(不図示)と、他方の反応ガスである空気(酸化剤ガス)を圧縮するコンプレッサ(不図示)を備えている。反応ガス供給部18から燃料電池14に供給された水素と空気の燃料電池14内での電気化学反応により生成された発電電流がモータ16とバッテリ12に供給される。
燃料電池システム11は、燃料電池14及び反応ガス供給部18の制御を含め電気自動車10の全体を制御するECU(Electronic Control Unit)40(制御部)を有する。
DC/DCコンバータ20は、一方側が第2主回路配線2P、2N及び開閉器42を通じてバッテリ12に接続され、他方側が第1主回路配線1P、1Nを通じて燃料電池14とモータ16側に接続されたチョッパ型の電圧変換装置である。
図2は、DC/DCコンバータ20の回路図を示す。
DC/DCコンバータ20は、バッテリ12の電圧E2を燃料電池14側の電圧E1(E2<E1)に電圧変換(昇圧変換)するとともに、燃料電池14側の電圧E1をバッテリ12側の電圧E2に電圧変換(降圧変換)する昇降圧型の電圧変換装置である。
DC/DCコンバータ20は、ECU40により駆動される3相の相アームPA、QA、RAと、リアクトル90とから構成される。
P相アームPAは、上アーム素子(上アームスイッチング素子81pとダイオード83p)と下アーム素子(下アームスイッチング素子82pとダイオード84p)とで構成される。
Q相アームQAは、上アーム素子(上アームスイッチング素子81qとダイオード83q)と下アーム素子(下アームスイッチング素子82qとダイオード84q)とで構成される。
R相アームRAは、上アーム素子(上アームスイッチング素子81rとダイオード83r)と下アーム素子(下アームスイッチング素子82rとダイオード84r)とで構成される。
上アームスイッチング素子81p、81q、81rと下アームスイッチング素子82p、82q、82rには、それぞれ例えばMOSFET又はIGBT等が採用される。
リアクトル90は、各相アームPA、QA、RAの中点(共通接続点)とバッテリ12の正極との間に挿入され、DC/DCコンバータ20により電圧E2と電圧E1との間で電圧を変換する際に、エネルギを放出及び蓄積する作用を有する。
平滑用のコンデンサ94、96がそれぞれ第2主回路配線2P、2N及び第1主回路配線1P、1N間に挿入される。
アームスイッチング素子81p、81q、81r、82p、82q、82rは、ECU40から供給されるゲート駆動信号(駆動電圧)のレベルによりオンオフが切り替えられる。この場合、DC/DCコンバータ20は、3相アーム交替駆動動作又は全相同時駆動動作で動作する。
図3は、インバータ22の回路図を示す。インバータ22は、3相フルブリッジ型の構成とされて、直流/交流変換を行い、直流を3相の交流に変換してモータ16のU相コイル、V相コイル、W相コイルに供給する一方、回生動作に伴う交流/直流変換後の直流を第1主回路配線1P、1N側からDC/DCコンバータ20を通じて第2主回路配線2P、2N側に供給し、バッテリ12を充電等する。
インバータ22は、ECU40により駆動されるMOSFET又はIGBT等のスイッチング素子51u、51v、51w、52u、52v、52wと、逆方向接続されたダイオード53u、53v、53w、54u、54v、54wとから構成される。
再び、図1において、モータ16は、トランスミッション24を通じて車輪26を回転する。なお、実際上、インバータ22とモータ16を併せて負荷23という。
第2主回路配線2P、2N間に開閉器42を介して接続される高圧(High Voltage)のバッテリ12は、蓄電装置(エネルギストレージ)であり、例えばリチウムイオン2次電池又はキャパシタ等を利用することができる。この実施形態ではリチウムイオン2次電池を利用している。
ECU40は、上述したように、燃料電池システム11の他、開閉器42、DC/DCコンバータ20、負荷23及び後述する第1及び第2絶縁抵抗検出部51、52等、電気自動車10全体を統括して制御するマイクロコンピュータ等から構成される。なお、ECU40に対してメインスイッチ35(電源スイッチ)が接続され、このメインスイッチ35は、電気自動車10及び燃料電池システム11をオン(起動又は始動)オフ(停止)するイグニッションスイッチとしての機能を有する。
さらに、第1主回路配線1P、1Nに接続された燃料電池14、インバータ22及びモータ16の地絡を絶縁抵抗RL1の値により検出する第1絶縁抵抗検出部51が第1主回路配線1P、1N間に設けられ、第2主回路配線2P、2Nに接続されたバッテリ12の地絡を絶縁抵抗RL2の値により検出する第2絶縁抵抗検出部52が第2主回路配線2P、2N間に設けられる。
第1及び第2絶縁抵抗検出部51、52及び機能手段としての地絡判定部39(比較部)を有するECU40により地絡検知システムが構成される。
図4は、第1絶縁抵抗検出部51の回路図を示している。図5は、第2絶縁抵抗検出部52の回路図を示している。なお、第1及び第2絶縁抵抗検出部51、52の回路結線構成は同一である。
図4(図5)において、第1主回路配線1P、1N(第2主回路配線2P、2N)間に、スイッチSW1(SW11)とスイッチSW2(SW21)の一端が接続され、スイッチSW1(SW11)の他端が抵抗値R1(R11)の抵抗器101(111)の一端に接続される。抵抗器101(111)の他端が抵抗値R4(R41)の抵抗器104(114)の一端、スイッチSW3(SW13)の一端、及び容量C1(C11)のコンデンサ106(116)の一端に接続される。
抵抗器104(114)の他端は、スイッチSW4(SW41)を通じて、接地(車体、車体グラウンド)との間の電圧値(電圧)Vを計測する電圧センサ(電圧計)50a(50b)に接続されるとともに、検出電圧値VがECU40のメモリ(記憶部)に記憶される。スイッチSW3(SW31)の他端は、抵抗値RS1(RS11)の抵抗器103(113)を通じて接地される。
コンデンサ106(116)の他端は、スイッチSW2(SW21)の他端に接続されるとともに、スイッチSW5(SW51)を介し、抵抗値R5(R51)の抵抗器105(115)を通じて接地される。
スイッチSW1〜SW4(SW11〜SW51)の開閉タイミングは、ECU40(開閉器の開閉タイミング制御部)により制御される。
基本的には以上のように構成される地絡検知システムを備える電気自動車10の地絡検知動作について以下のA、B、Cの順に説明する。
A.第1及び第2絶縁抵抗検出部51、52による絶縁抵抗計測(検出)の動作原理の説明
B.この発明の前提となる、第1絶縁抵抗検出部51のみが存在し、第2絶縁抵抗検出部52が存在しない場合の問題点(課題)の説明
C.この発明の実施形態に係る第1及び第2絶縁抵抗検出部51、52の両方が存在する場合の動作説明
まず、A.第1及び第2絶縁抵抗検出部51、52による絶縁抵抗計測(検出)の動作原理について、第1絶縁抵抗検出部51を例として説明する。
図6は、絶縁抵抗RLの計測の動作説明に供されるタイムチャートである。「I:電源電圧計測期間」の時点t0〜t1の第1立ち上がり時間(第1所定時間)T1rでは、図7に示すように、スイッチSW1、SW2が閉じられ、コンデンサ106に第1非接地電源14の電圧E1[V]に向かって次の(1)式で示す充電が遂行される。
V0=E1[1−exp{−(T1r/R1×C1)}] …(1)
この電圧V0が、図8に示すように、時点t1において、スイッチSW1、SW2が開かれ、スイッチSW4、SW5が閉じられて、電圧センサ50aにより計測され、ECU40のメモリに記憶される。ECU40と電圧センサ50aは、時点t1から時点t2の間ピークホールド回路として動作する。時点t1〜t2は、「II.コンデンサ電圧読込・放電期間」である。なお、放電は、図8の矢印の経路に示すように、電圧センサ50aの内部抵抗を通じて行われる。
なお、時点t0〜t2間では、コンデンサ106への充電について、車体(接地)と、第1非接地電源14の+側との間の絶縁抵抗RL(抵抗値もRL[Ω]とする。)の影響のない回路接続になっていることが分かる。
次に、「III.+側地絡計測期間」の時点t2〜t3間の第2立ち上がり時間(第2所定時間)T2rでは、図9に示すように、スイッチSW2、SW3が閉じられ、第1非接地電源14の+側から、絶縁抵抗RL(ここでは、第1絶縁抵抗RL1をRLとして説明する。)、抵抗器103、スイッチSW3、コンデンサ106、スイッチSW2、及び第1非接地電源14の−側に至る経路で電流がながれ、コンデンサ106に第1非接地電源14の電圧E1[V]に向かって次の(2)式で示す充電が遂行される。
V1=E1[1−exp{−(T2r/(RL+RS1)×C1)}]
…(2)
この電圧V1が、図8に示したのと同様の接続回路で(スイッチSW1、SW2が開かれ、スイッチSW4、SW5が閉じられる。)、電圧センサ50aにより計測され、ECU40のメモリに記憶される。ECU40と電圧センサ50aは、時点t3から時点t4の間ピークホールド回路として動作する。時点t3〜t4は、「IV.コンデンサ電圧読込・放電期間」である。上記のように、コンデンサ106は、フライングキャパシタとして作用している。
この場合、絶縁抵抗の大小と所定時間内での充電電圧の変化の対応説明図である図10に示すように、電圧V1は、(2)式から電流制限抵抗がRL+RS1であることが分かるので、絶縁抵抗RLが大きいほど、時定数が大きくなって、第2所定時間T2rでの電圧V1が小さくなり、絶縁抵抗RLが小さいほど、充電電圧V1は、第1非接地電源14の電圧(電源電圧)E1に近づくことが分かる。
よって、電圧比V0/V1と絶縁抵抗(絶縁抵抗値)RLの関係を示す図11の特性110例に示すように、電圧V1と電圧V0の比V0/V1から絶縁抵抗RLを求めることができる。
なお、地絡は、第1非接地電源14の+側(正極)から起こる場合と、第1非接地電源14の途中{燃料電池14は、燃料電池セルを積層(直列に接続)したスタック構成となっているので、いずれかのセル位置}で起こる場合があるが、この場合には、特許文献1に示されているように、−側(負極)での絶縁抵抗の検出を行うことで、誤差を相殺することができる。すなわち、負極から地絡している箇所までの電圧をE1L、地絡している箇所から正極までの電圧をE1Hとすると、E1L+E1H=E1となるので、誤差を相殺することができる。
例えば、図12に示すように、スイッチSW2とスイッチSW3が閉じているときの電圧V1は、次の(3)式で求めることができる。
V1=E1L[1−exp{−(T2r/(RL+RS1)×C1)}]
…(3)
次いで、ECU40の地絡判定部39は、安全性を考慮した所定漏電電流以下となる絶縁抵抗閾値である異常検知閾値Rx[Ω](基準値)と、計測した絶縁抵抗RLとを比較し、絶縁抵抗RLが異常検知閾値Rxより小さい値である場合(RL<Rx)に地絡と判定し、警告を行う。
次に、B.この発明の前提となる、第1絶縁抵抗検出部51のみが存在し、第2絶縁抵抗検出部52が存在しない場合の問題点(課題)について説明する。
図13に示すように、第1絶縁抵抗検出部51のみが存在していて、第2非接地電源12が途中で地絡(絶縁抵抗が下がっている)している場合を考える。この場合、図6に示したタイムチャートが適用され、第1非接地電源14の絶縁抵抗RLを検出しようとする場合、図7に示したように結線され、上記(1)式で電圧V0が計測される。
次いで、第1非接地電源14の絶縁抵抗RLを検出するために、図9(図13)に示すように結線すると、実際に地絡しているのは、第2非接地電源12であるため、図13の経路で電流が流れるので、電圧V1は、次の(4)式で求められる。
V1=E2L[1−exp{−(T2r/(RL+RS1)×C1)}]
…(4)
ところが、地絡している箇所から第1非接地電源14の正極までの電圧をE2Hとすると、E2H+E2L=E1となるため、特許文献1に係る手法を用いても誤差を消すことができない。
すなわち、図14の充電特性図を参照して説明すると、同じ値の絶縁抵抗RLであっても、電圧E1の第1非接地電源14側に(地絡が)存在する場合と、電圧E2(E2<E1)側に(地絡が)存在する場合で、電圧V1の計測結果が異なってしまう。換言すれば、第1絶縁抵抗検出部51のみが存在する場合には、電圧E1基準で計測するため、電圧E2の第2非接地電源12側に地絡(絶縁抵抗RL)がある場合には、第2所定時間T2rの充電時間での到達電圧V1がV1bと、第1非接地電源14側に地絡(絶縁抵抗RL)がある場合の到達電圧V1fcに比べて低くなる。換言すれば、電圧E2の第2非接地電源12側に地絡(絶縁抵抗RL)がある場合には、立ち上がり時間が長くなるので絶縁抵抗RLを高めに読み込んでしまうという問題がある。
図15に示す電圧比に対する絶縁抵抗の特性111を参照して説明すると、第1絶縁抵抗検出部51のみで電圧E1基準で絶縁抵抗RLを計測すると、地絡(絶縁抵抗RL)が、電圧E2の第2非接地電源12側にある場合には比V0/V1=V0/V1bが高くなり、絶縁抵抗RLを高めに読み込んでしまう。地絡(絶縁抵抗RL)が、電圧E1の第1非接地電源14側にある場合には比V0/V1=V0/V1fcが小さくなり、絶縁抵抗RLを正確に精度よく読み込むことができる。
この傾向は、電圧E1と電圧E2の差が大きくなるほど顕著に現れる。よって、図16に示すように、差ΔV(E1−E2)が小さい場合には、異常検知閾値Rxと、E1側、E2側での絶縁抵抗RL(E1側結果、E2側結果)とを比較することにより地絡を検出することができるが、図17に示すように、差ΔV(E1−E2)が大きい場合には、異常検知閾値Rxと、E1側、E2側での絶縁抵抗RL(E1側結果、E2側結果)とを比較しても、地絡を検出することができない。
C.この発明の一実施形態に係る第1及び第2絶縁抵抗検出部51、52の両方が存在する場合の動作を図1、図18を参照して説明する。
ECU40は、時点ta〜時点tbの間で第1絶縁抵抗検出部51を作動させる動作信号を該第1絶縁抵抗検出部51に出力し、その後、異なるタイミングの時点tc〜tdの間で第2絶縁抵抗検出部52を作動させる動作信号を該第2絶縁抵抗検出部52に出力する。
この場合、第1絶縁抵抗検出部51は、第1非接地電源14の電圧E1に向かって第1所定時間T1rコンデンサ106(容量C1)に充電して充電電圧V01を得(時点t0)、放電した後(時点t2)、第1絶縁抵抗RL1(図7のRL)を経由して第1非接地電源14の電圧E1に向かって第2所定時間T2rコンデンサ106に充電して充電電圧V11を得(同時点t2)、前記充電電圧V01とV11との比(V01/V11)に基づき、図11に対応する図19に示す特性110を用いて第1絶縁抵抗RL1を算出する。
次に、第2絶縁抵抗検出部52は、第2非接地電源12の電圧E2に向かって第3所定時間T12rコンデンサ106(容量C11)に充電して充電電圧V02を得(時点t11)、放電した後(時点t12)、第2絶縁抵抗RL2を経由して第2非接地電源12の電圧E2に向かって第4所定時間T22rコンデンサ116に充電して充電電圧V12を得、充電電圧V02とV12との比(V02/V12)に基づき、図20に示す特性210を用いて第2絶縁抵抗RL2を算出する。
このように、第1非接地電源14の電圧E1及び第2非接地電源12の電圧E2を基準にそれぞれタイミングをずらして第1及び第2絶縁抵抗RL1、RL2を計測することで、絶縁抵抗RL(RL1、RL2)の検出精度を高めることができる。
次いで、地絡判定部39は、計測した第1絶縁抵抗RL1及び第2絶縁抵抗RL2を、それぞれ異常検知閾値Rx1(図19)、Rx2(図20)と大小比較し、第1絶縁抵抗RL1又は第2絶縁抵抗RL2のいずれかが、異常検知閾値Rx1、Rx2より小さい値(RL1<Rx1又はRL2<Rx2)である場合に地絡と判定し、警告する。
なお、異常検知閾値Rx1、Rx2は同じ値としてもよいが、漏洩電流が所定値(漏洩電流が同値)以上、例えば電源規格等で定められた規格値以上となる異なる値に設定することが好ましい。
なお、この発明は、上述した実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、例えば、図21の他の実施形態の全体構成図に示すように、インバータ22の入力側に第3絶縁抵抗検出部53を設け、タイミングをずらして第1〜第3絶縁抵抗検出部51〜53を作動させて、第1〜第3絶縁抵抗RL1、RL2、RL3を計測する構成に変更する等、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…地絡検知システムを備える電気自動車
12…第2非接地電源(バッテリ) 14…第1非接地電源(燃料電池)
39…地絡判定部 40…ECU
51〜53…第1〜第3絶縁抵抗検出部

Claims (2)

  1. 駆動用モータを含む負荷と、前記負荷に電力を供給し、第1電圧(E1)を発生する第1非接地電源と、前記負荷と前記第1非接地電源との間に一方の入出力端子が接続されるコンバータと、前記コンバータの他方の入出力端子に接続され前記第1非接地電源より低電圧の第2電圧(E2(E2<E1))を発生する第2非接地電源と、を備える電気自動車において、
    前記第1非接地電源の両端に接続され、前記第1非接地電源の接地部に対する第1絶縁抵抗を検出する第1絶縁抵抗検出部と、
    前記第2非接地電源の両端に接続され、前記第2非接地電源の接地部に対する第2絶縁抵抗を検出する第2絶縁抵抗検出部と、
    前記第1絶縁抵抗及び前記第2絶縁抵抗を、異常検知閾値と比較し、前記第1絶縁抵抗又は前記第2絶縁抵抗のいずれかが、前記異常検知閾値より小さい値である場合に地絡と判定する地絡判定部と、を備え、
    前記第1絶縁抵抗検出部は、前記第1非接地電源の前記第1電圧(E1)に向かって第1所定時間第1コンデンサに充電して第1充電電圧(V01)を得、放電した後、前記第1絶縁抵抗を経由して前記第1非接地電源の前記第1電圧(E1)に向かって第2所定時間前記第1コンデンサに充電して第2充電電圧(V11)を得、前記第1充電電圧(V01)と前記第2充電電圧(V11)との比に基づき、前記第1絶縁抵抗を算出し、
    前記第2絶縁抵抗検出部は、前記第2非接地電源の前記第2電圧(E2)に向かって第3所定時間第2コンデンサに充電して第3充電電圧(V02)を得、放電した後、前記第2絶縁抵抗を経由して前記第2非接地電源の前記第2電圧(E2)に向かって第4所定時間前記第2コンデンサに充電して第4充電電圧(V12)を得、前記第3充電電圧(V02)と前記第4充電電圧(V12)との比に基づき、前記第2絶縁抵抗を算出す
    ことを特徴とする地絡検知システムを備える電気自動車。
  2. 請求項記載の地絡検知システムを備える電気自動車において、
    前記第1絶縁抵抗検出部と前記第2絶縁抵抗検出部とは、異なるタイミングで前記第1絶縁抵抗及び前記第2絶縁抵抗をそれぞれ検出する
    ことを特徴とする地絡検知システムを備える電気自動車。
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