JP5253967B2 - 燃料電池発電システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池発電システムに関する。
燃料の有している化学エネルギーを直接電気に変換するシステムとして、燃料電池が知られている。燃料電池は、燃料である水素と酸化剤である酸素とを電気化学的に反応させて直接電気を取り出すものである。このため、燃料電池は、高い効率で電気エネルギーを取り出すことができると同時に、静かで有害な排ガスを出さないという環境性に優れた特徴を有する。近年まで、燃料電池としては、比較的大型のPAFC(りん酸形)が主に開発されてきたが、最近では小型のPEFC(固体高分子形燃料電池)の開発が活発化し、家庭用燃料電池発電システムの普及も間近な状況となっている。
家庭用燃料電池発電システムを導入すると、その家庭でのエネルギー消費効率が向上し、省エネ性、CO削減、経済性の3つのメリットが得られる。通常は、系統連系による運用が前提となっているため、停電時には停止し使用できない。一般ユーザの感覚としては、家庭で発電できるのであれば停電時こそ発電を継続しないと意味ないとの認識もある。しかし、従来はこれには応えるシステムとはなっていなかった。また、最近では防災ブームの影響もあり、「停電時」や「都市ガスが切れた場合」も使えるべきとのニーズが高まっており、これに応えるシステムが待たれている。
特許第3602698号公報
系統独立運転機能をインバータなどのPCS(Power Conditioning System)に設けることにより、停電時に運転を継続することができる。しかし、家庭の負荷に供給するには通常の家庭用燃料電池では容量が不足するため、負荷を自動的に制限する機能などを設ける必要があり、現実的には困難であった。
また、家庭用燃料電池はSS(スタート・ストップ)運転も想定されているため、停電したタイミングが家庭用燃料電池の停止中だった場合には運転を再開できないという問題がある。バッテリーを設けることで技術的には解決可能であるが、コスト、重量、パッケージ容量の観点から現状では有利な選択肢ではない。
特許文献1には、燃料切れを検知しバックアップ燃料に切り替える技術が開示されている。しかし、家庭用の場合はガスマイコンメータの誤動作などによって比較的頻繁に原燃料が切れることがあるのに対し、この技術だけではバックアップ燃料が無駄遣いされるリスクがあり、家庭用燃料電池として適切とは言えない。
このように、従来の家庭用燃料電池を災害対応用にするにはハードルが多く、現実的には実現が困難である。
そこで、本発明は、家庭用燃料電池を現実的な災害対応用とすることを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明は、電力系統に接続されて系統連系運転可能な燃料電池発電システムにおいて、燃料電池本体と、外部から供給される燃料を改質して前記燃料電池本体に水素含有ガスを供給する燃料処理系と、前記燃料電池本体が発電して生じる直流電流を交流電流に変換するインバータと、前記電力系統と前記インバータとの間に設けられた系統連系遮断器と、前記インバータの交流出力側に接続された独立運転コンセントと、前記独立運転コンセントと前記インバータの交流出力側との間に設けられて前記インバータから出力される交流電流が所定の周波数範囲および所定の電圧範囲を逸脱したとき前記独立運転コンセントと前記インバータの交流出力側との間を電気的に遮断する独立負荷遮断器と、を有し、前記所定の周波数範囲および前記所定の電圧範囲は、前記系統連系遮断器が前記電力系統と前記インバータとを遮断する周波数範囲および電圧範囲よりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、家庭用燃料電池を現実的な災害対応用とすることができる。
本発明に係る燃料電池発電システムの実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係る燃料電池発電システムの第1の実施の形態におけるブロック図である。
本実施の形態の燃料電池発電システム20は、都市ガス入口1、都市ガス元圧検知器2、2つのLPガスボンベ3、燃料切替弁群4、燃料処理系5、燃料電池本体6、インバータ7、系統連系遮断器8、独立負荷遮断器10、独立運転コンセント17、起動用DC接続口11、起動用AC接続口12、補機用コンバータ13、補機14および制御装置15を有している。都市ガス入口1には、都市ガス供給配管31が接続されている。燃料処理系5は、燃料切替弁群4を介して都市ガス入口1およびLPガスボンベ3に接続されている。LPガスボンベ3は、発電中も交換可能に複数設けておく。都市ガス元圧検知器2は、燃料切替弁群4と都市ガス入口1との間に設けられている。
燃料処理系5に送られた都市ガスあるいはLPガスは、燃料処理系5で改質処理などを施される。燃料処理系5で改質処理によって生成された水素は、燃料電池本体6に送られて発電に用いられる。燃料電池本体6で発電された電力は、インバータ7で所定の電圧および周波数の交流に変換されて、系統連系遮断器8を介して系統電力を供給する電力系統9および家庭内電力負荷40に供給される。また、インバータ7は、独立負荷遮断器10を介して独立運転コンセント17にも接続されている。
補機14は、燃料処理系5、燃料電池本体6およびインバータ7からなる主機の適正な運転を補助する。補機14としては、燃料電池本体6や改質器に流体を流すためのポンプやブロワ、温度制御のためのヒータなどが設けられる。補機14は、DC/DCコンバータおよびAC/DCコンバータからなる補機用コンバータ13から電力を供給される。補機用コンバータ13に供給される電力は、電力系統9、燃料電池本体6、起動用DC接続口11に接続された車載バッテリー21などの外部12V直流電源、あるいは、起動用AC接続口12に接続されたポータブル発電機22などの外部不完全100V交流電源から供給される。制御装置15は、主機および補機14などを制御する。起動用AC接続口12には、トラックなどの車載バッテリーのなどの24Vの直流電源が接続できるようにしてもよい。
通常時に、都市ガス供給配管31から主燃料の都市ガスが供給されると、燃料電池発電システム20は、燃料切替弁群4を切り替えて、都市ガスを燃料処理系5に供給する。この際、主燃料の圧力は、都市ガス元圧検知器2により監視される。主燃料が何らかの原因で供給されない場合などには、燃料切替弁群4を切り替えて、副燃料として2台のLPガスボンベ3に収められているLPガスを燃料処理系5に供給する。ここでは、2つの弁からなる燃料切替弁群4を用いて都市ガスとLPガスを切り替えているが、たとえば1つの3方弁を用いてもよい。
図2は、本実施の形態における主燃料遮断時の動作フロー図である。
発電中には、都市ガス元圧検知器2が主燃料である都市ガスの遮断を検知し(S11)、主燃料遮断を検知しない間は、発電を継続する。都市ガスが遮断されると、次に系統独立運転中であるか否かを判定する(S12)。このとき、通常の系統連系運転であればそのまま燃料切れとして、燃料電池本体6の停止過程(S13)に進み、所定の処理が終了した後に運転を停止する(S14)。
一方、系統独立運転時の場合は、燃料切替弁群4を切り替えて、副燃料を燃料処理系5にする(S15)。その後、燃料の切り替えに応じて、適切に燃料を制御できるように制御方法を切り替える(S16)。このような過程を経て、燃料電池本体6は発電を継続する(S17)。
このような運転方法は、系統正常時には発電を継続する必要がないが、停電時には災害時等が想定され電力の価値が高いため副燃料を使っても発電を継続する意義があるという考え方に基づいている。その後も、都市ガス元圧検知器2によって都市ガスの供給が復帰するか否かを検知し続けて、都市ガスの供給が復帰したら、燃料切替弁群4を自動的に切り替えて都市ガスを燃料処理系5に供給する(S18)。
図3は、本実施の形態における系統停電時の動作フロー図である。
発電中には、電力系統9に停電が発生しているかどうかを監視し、系統停電が発生していない間は、燃料電池本体6が発電を継続する(S21)。系統停電が発生した場合は、電力系統9と切り離して、系統独立運転に移行する(S22)。
このように系統停電時は、燃料電池発電システム20の自立運転になるため、ユーザは必要な重要負荷を独立運転コンセント17に手動で差し込む(S23)ことにより、燃料電池本体6が発電した電力を使用する。たとえば、ユーザがお湯を利用する場合には、貯湯槽(瞬間湯沸し器機能付き)の電源を、独立運転コンセント17に接続すればよい。さらに、必要に応じて、ユーザはその他の負荷を独立運転コンセント17に手動で差し込む(S24)ことにより、燃料電池本体6が発電した電力を使用することができる。
系統独立運転中は、独立運転コンセント17から外部の負荷に供給される電力が過負荷になっているか否かを監視する(S25)。過負荷でない場合には、系統独立運転をそのまま継続する(S26)。過負荷の場合には、電力負荷が最も大きい独立運転コンセント17に接続された独立負荷遮断器10によってその負荷を遮断する(S27)。さらに、その遮断によって電力過負荷が解消したか否かを判定(S28)し、過負荷が解消していれば運転を継続する(S30)。過負荷が解消していない場合には、他の独立運転コンセント17に接続された独立負荷遮断器10によって他の負荷も遮断(S29)し、負荷を減らした状態あるいは無負荷状態で発電を継続する(S30)。
発電継続中には、系統が正常に復帰したか否かを検知し続けて、系統が復帰したら、系統連系運転に自動復帰する(S31)。また、負荷を独立運転コンセント17からはずした場合には、過負荷故障リセット機能(S32)を起動させて、電力が過負荷になっているか否かの監視(S25)に戻ってもよい。なお、過負荷が解消しない場合には、最も電力負荷が大きい負荷を遮断するのではなく、予め指定した負荷を遮断するようにしてもよい。このように、過負荷が発生した場合には、負荷を遮断することによって、過負荷での故障停止を抑制している。
また、系統独立運転時は、電力系統9に電力を供給することがないため、電力系統9に要求されるほど高い電力品質は必要ではない。そこで、制御装置15は、系統独立運転時には、独立運転コンセント17に接続される電気機器に影響を与えない範囲で、系統連系時に比べ電力品質監視を緩和し、運転継続を優先して利便性確保を図ってもよい。具体的には、独立負荷遮断器10が負荷を遮断する周波数範囲および電圧範囲を、系統連系遮断器8が電力系統9とインバータ7とを遮断する周波数範囲および電圧範囲よりも大きく設定しておく。
燃料電池本体6が発電停止状態から発電を開始するためには、ポンプなどの補機14を起動させるために電源が必要である。電力系統9から正常に電力が供給されている場合には、補機14は電力系統9からの電力の供給を受けて発電を開始する。燃料電池本体6が発電停止中に電力系統9で停電が発生した場合には、たとえば起動用DC接続口11に車載バッテリー21を接続し、補機用コンバータ13で所定の電圧に変換した電力を補機14に供給する。あるいは、起動用AC接続口12にポータブル発電機22などの外部不完全100V交流電源を接続し、補機用コンバータ13で所定の電圧に変換した電力を補機14に供給する。これにより、燃料電池発電システム20は発電停止中に系統停電が生じても発電に移行することができる。
このような燃料電池発電システムでは、系統停電時でも発電が継続され、ユーザは必要最小限の電力を使用することができる。また、燃料電池発電システムがスタート・ストップ運転を行っている場合、停電発生時に停止中であっても発電に移行することが可能である。さらに、停電中に燃料遮断されたとしても、副燃料により発電を継続することができる。よって、災害発生時等に役立つ燃料電池発電システムとなっている。
[第2の実施の形態]
図4は、本発明に係る燃料電池発電システムの第2の実施の形態におけるブロック図である。
本実施の形態の燃料電池発電システム20は、系統連系遮断器8を介さずに重要度の高い家庭内電力負荷41を直接インバータ7に接続したものである。重要度の高い家庭内電力負荷41とは、たとえば連続運転が求められる冷蔵庫や貯湯槽などである。通常の家庭内電力負荷42は、系統連系遮断器8を介してインバータ7に接続される。通常の家庭内電力負荷42とは、たとえばエアコンである。第1の実施の形態の独立負荷遮断器10および独立運転コンセント17(図1参照)は設けられていない。
系統に停電が発生した場合、系統連系遮断器8によって燃料電池発電システム20は、電力系統9および通常の家庭内電力負荷42から切り離される。一方、燃料電池発電システム20は、重要度の高い家庭内電力負荷41への電力の供給を継続する。このため、第1の実施の形態に比べて、ユーザが重要度の高い家庭内負荷を燃料電池発電システム20に接続し直す必要がなく、ユーザの利便性が向上する。ただし、第1の実施の形態に比べてコストが大きくなる場合、施工性が悪くなる場合、系統自立運転時における電力供給のロバスト性の低下する場合がある。そこで、これらを考慮した上で、重要度の高い家庭内電力負荷41がある場合に本実施の形態を採用するとよい。
このような燃料電池発電システム20でも第1の実施の形態と同様に、系統停電時でも発電が継続され、ユーザは必要最小限の電力を使用することができる。また、燃料電池発電システム20がスタート・ストップ運転を行っている場合、停電発生時に停止中であっても発電に移行することが可能である。さらに、停電中に燃料遮断されたとしても、副燃料により発電を継続することができる。よって、災害発生時等に役立つ燃料電池発電システムとなっている。
[他の実施の形態]
上述の各実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。また、各実施の形態の特徴を組み合わせて実施することもできる。
本発明に係る燃料電池発電システムの第1の実施の形態におけるブロック図である。 本発明に係る燃料電池発電システムの第1の実施の形態における主燃料遮断時の動作フロー図である。 本発明に係る燃料電池発電システムの第1の実施の形態における系統停電時の動作フロー図である。 本発明に係る燃料電池発電システムの第2の実施の形態におけるブロック図である。
符号の説明
1…都市ガス入口、2…都市ガス元圧検知器、3…LPガスボンベ、4…燃料切替弁群、5…燃料処理系、6…燃料電池本体、7…インバータ、8…系統連系遮断器、9…電力系統、10…独立負荷遮断器、11…起動用DC接続口、12…起動用AC接続口、13…補機用コンバータ、14…補機、15…制御装置、17…独立運転コンセント、20…燃料電池発電システム、21…車載バッテリー、22…ポータブル発電機、31…都市ガス供給配管、40…家庭内電力負荷、41…家庭内電力負荷、42…家庭内電力負荷

Claims (5)

  1. 電力系統に接続されて系統連系運転可能な燃料電池発電システムにおいて、
    燃料電池本体と、
    外部から供給される燃料を改質して前記燃料電池本体に水素含有ガスを供給する燃料処理系と、
    前記燃料電池本体が発電して生じる直流電流を交流電流に変換するインバータと、
    前記電力系統と前記インバータとの間に設けられた系統連系遮断器と、
    前記インバータの交流出力側に接続された独立運転コンセントと、
    前記独立運転コンセントと前記インバータの交流出力側との間に設けられて前記インバータから出力される交流電流が所定の周波数範囲および所定の電圧範囲を逸脱したとき前記独立運転コンセントと前記インバータの交流出力側との間を電気的に遮断する独立負荷遮断器と、を有し、
    前記所定の周波数範囲および前記所定の電圧範囲は、前記系統連系遮断器が前記電力系統と前記インバータとを遮断する周波数範囲および電圧範囲よりも大きいことを特徴とする燃料電池発電システム。
  2. 前記独立負荷遮断器は、前記独立運転コンセントに接続された負荷が過大になったときにその負荷を遮断することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池発電システム。
  3. 前記燃料電池本体を補助する補機と、
    外部電源接続口と、
    前記外部電源接続口に接続された外部電源から供給される電力を前記補機に供給可能な電圧に変換する補機用コンバータと、
    を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池発電システム。
  4. 外部から燃料が供給されているか否かを検知するガス検知手段と、
    燃料を貯えるガスボンベと、
    外部から燃料が供給されていないと前記ガス検知手段が検知しかつ前記系統連系遮断器が前記電力系統と前記インバータとを遮断しているときに前記燃料処理系に送られる燃料を外部から供給される燃料から前記ガスボンベに貯えられた燃料に切り替える燃料切替弁と、
    を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  5. 前記インバータと前記系統連系遮断器との間で外部の負荷に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
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