JP5253052B2 - 放射線治療における患者位置決め装置および患者位置決め方法 - Google Patents
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Description
このような粒子線治療の実用化により、放射線の影響を受けやすい器官の近くの腫瘍に対しても治療を行うことが可能となったが、正常組織を回避しながら病巣に対してピンポイントで粒子線を照射するためには、照射する粒子線に対して患者の位置姿勢を高精度で位置決めすることが要求される。
照射系は、患者が固定され、患者の位置姿勢を設定する治療台と、治療台に固定された患者のX線画像を撮像するX線撮像装置と、治療台を制御して照射ノズルに対する患者の位置姿勢を位置決めする位置決め計算機などから構成される患者位置決め装置を含み、患者位置決め装置によって治療に際しての患者の位置決めが行われる。
治療計画段階では、まず初めに患者を治療台に固定するための固定具が作成され、作成された固定具により固定された患者の患部周辺の3次元CT画像が撮影される。次に、治療計画装置において撮影されたCT画像により治療シミュレーションが行われ、治療計画が立案される。また、このとき、治療段階において患者の位置姿勢を治療計画段階と合せるための参照画像として、3次元CT画像を正側2方向に投影したDRR(Digitally Reconstructed Radiographs)画像が生成される。
この位置決めは、治療台に固定された患者についてX線撮像装置により正側2方向(垂直と水平)の照合画像を撮像し、撮像された照合画像をそれぞれ対応する参照画像と照合し、両画像の位置ずれ量に基づいて患者の位置姿勢を補正するための治療台の各軸の移動量を演算し、演算された移動量に基づいて治療台を移動させる。
正側2方向のX線画像から、治療台の各軸の移動量を演算する方法としては、例えば、正側2方向の照合画像と参照画像について、それぞれ対応する部分をマーキングし、各マーキングについての2次元距離に基づいて治療台の各軸の移動量を演算するランドマーク法や、正側2方向の照合画像のそれぞれについて、画像を移動・回転させて対応する参照画像と最も一致する2次元移動距離および回転角度を求め、求められた正側2方向の移動距離と回転角度から治療台の各軸の移動量を演算する画像処理法が用いられる。
このような患者の位置決めは、照合画像と参照画像の位置ずれ量が許容範囲に入るまで繰り返し行われ、患者の位置姿勢が治療計画段階の患者の位置姿勢に対して許容される誤差の範囲に入ったら、治療計画段階で決定した条件に従って実際の照射が行われる。
特許文献1は、X線撮像装置を患者回りに回転させる手段を備え、ランドマーク法による位置決めにおいて、マーキングが重ならないようにX線撮像装置を回転させて照合画像を撮像することで、位置決め精度と作業効率を向上できるようにしている。
特許文献2は、画像処理法による位置決めとして、患者位置ずれ量の予想範囲内における全てのオプティカルフローを予め計算し、これと実際に計測したオプティカルフローを比較して患者の位置ずれ量を求めることで、位置決め精度を向上させている。
特許文献3は、ランドマーク法による位置決めとして、画像データに記録されているマーキングを自動認識させることで、オペレータの技量や経験に依存しない位置決めを可能としている。
特許文献4は、画像処理法による位置決めとして、照合画像と参照画像のパターンマッチングにより位置決めを行うことにより、操作者の技量に関係なく十分な位置決め精度を確保できるようにしている。
特許文献5は、位置姿勢パラメータを変化させながらDRR画像を生成し、所定領域(ROI:Region of interest)について照合画像との相関演算を行い、相関値が最大となる位置姿勢の変化量を対象部位の並進量と回転量として位置決めすることで、的確な位置決めを行うようにしている。
このため、治療段階の患者の位置決めにおいて、特許文献1〜5に開示されているランドマーク法や画像処理法を用いて、照合画像と参照画像を完全に一致させるための治療台の移動量が正確に計算されたとしても、治療台を移動させることによって患者の位置姿勢に変動が生じるため、一回の治療台の移動で治療計画時の位置姿勢を再現することは困難であり、治療台の位置決めを何度も繰り返して行う必要が生ずる。
一般に、治療のための粒子線の照射は、患者への負担を考慮して、多数回に分けて実施され(例えば、前立腺がんの治療では治療は37回に分けて行われる)、治療の度に患者は固定具を装着し直して治療台に固定されるため、その都度患者の位置決めを行う必要が生ずる。
従って、治療の度に上述の治療台の位置決め動作を繰り返し行うことになると、全体として治療時間が長時間化し、X線撮影による患者の被爆量も多大なものとなるという問題があった。
患者が固定され、放射線照射手段に対する患者の位置姿勢を設定する手段を有する治療台、
患者の過去に位置決めされた治療台位置決め位置のデータに基づいて治療台の粗位置決め位置を学習させる粗位置決め位置学習手段、
この粗位置決め位置学習手段により学習させた粗位置決め位置に治療台を初期移動させる治療台初期移動手段、
治療台に固定された患者に対し、少なくとも2方向から患者の体内画像を撮像する撮像手段、
この撮像手段により撮像された撮像画像を基準となる参照画像と照合し、両画像間に位置ずれがある場合に、この位置ずれに基づき、患者の位置姿勢を修正し、位置決めするための治療台の移動量を演算し、この演算された移動量にしたがって治療台を移動させて患者の位置決めを行う位置決め制御手段、
及びこの位置決め制御手段により位置決めされた患者の治療台位置決め位置のデータを記録する治療台位置決めデータ記録手段を備えたものである。
患者が固定され、放射線照射手段に対する患者の位置姿勢を設定する手段を有する治療台、
患者の過去に位置決めされた治療台位置決め位置のデータに基づいて治療台の粗位置決め位置を学習させる粗位置決め位置学習手段、
この粗位置決め位置学習手段により学習させた粗位置決め位置に治療台を初期移動させる治療台初期移動手段、
治療台に固定された患者に対し、少なくとも2方向から患者の体内画像を撮像する撮像手段、
この撮像手段により撮像された撮像画像を基準となる参照画像と照合し、両画像間に位置ずれがある場合に、この位置ずれに基づき、患者の位置姿勢を修正し、位置決めするための治療台の移動量を演算し、この演算された移動量にしたがって治療台を移動させて患者の位置決めを行う位置決め制御手段、
及びこの位置決め制御手段により位置決めされた患者の治療台位置決め位置のデータを記録する治療台位置決めデータ記録手段を備えたので、放射線治療における患者の位置決め繰り返し回数が低減され、治療時間の短縮化と患者の被爆量の低減化を図ることができる。
図1は、この発明の実施の形態1による放射線治療における患者位置決め装置を示す構成図である。
図1において、患者位置決め装置は、患者が固定される治療台10と、治療台10に固定された患者の正側2方向(垂直と水平)のX線透過画像を撮像するX線撮像装置20と、X線撮像装置20(撮像手段)で撮像された患者のX線画像に基づいて治療台10を駆動して患者の位置姿勢を位置決めする位置決め計算機30と、治療台10やX線撮像装置20を制御する機器制御計算機40と、各患者の情報を管理する患者ファイルサーバ50から構成される。
治療台10は、患者に対して照射する粒子線の照射ノズル60(放射線照射手段)のアイソセンターに対して患者の位置と姿勢を3次元的に位置設定するための駆動機構を有している。
ここでは、治療台10は、前後移動軸10a、左右移動軸10b、上下移動軸10c、アイソセンター回転軸10d、ローリング軸10e、ピッチング軸10fの6自由度を有するベッド式治療台を例示しているが、これに限定されるものではない。
例えば、患者を座らせて固定する座位式の治療台を使用する場合もあり、その場合には、前後移動軸、左右移動軸、上下移動軸、アイソセンター回転軸、リクライニング軸の5自由度を有する駆動機構が用いられることが多い。
X線撮像装置20には、一般に呼吸同期装置が接続され(図示省略)、X線画像は治療計画時のCT画像を撮影したときと同じ呼吸条件で撮像されるようにしている。
位置決め計算機30(位置決め制御手段)は、X線撮像装置20により撮像されたX線画像を取り込み、参照画像との画像照合を行い、位置ずれがある場合に、必要な治療台10の移動量を演算し、機器制御計算機40に対して治療台の移動指令を送信する後述の患者位置決め処理が実行されるコンピュータである。
また、機器制御計算機40は、位置決め計算機30からの指令を受けて、治療台10やX線撮像装置20を制御するコンピュータである。
なお、ここでは、位置決め計算機30や機器制御計算機40は、プログラマブルコントローラ(シーケンサ)等を用いて構成されているが、これに限定されるものでない。
患者ファイルサーバ50は、ネットワークを介して病院系と接続されており、治療を受ける各患者の情報を取得し、患者データベース52の患者情報データに記録する。
また、患者ファイルサーバ50は、治療計画装置70と接続され、治療計画装置70はCT撮像装置80に接続されている。治療計画装置70は、CT撮像装置80によって撮影されたCT画像を取得して各患者の治療計画を立案するとともに、当該CT画像から正側2方向のDRR画像を生成する。患者ファイルサーバ50は、治療計画装置70から立案された各患者の治療計画と、生成された各患者の正側2方向のDRR画像を取り込み、それぞれ患者データベース52の治療計画データと参照画像データに記録する。
なお、参照画像データは、治療前に位置決めのリハーサルが行われた場合には、リハーサル時に取得された正側2方向のX線画像に置き換えてもよい。
図3は、この発明の実施の形態1による放射線治療における患者位置決め装置の患者位置決め処理における粗位置決め位置学習初期設定の処理手順を示すフロー図である。
図3において、iは患者の過去の位置決めデータをカウンタするカウンタ、jは学習した学習データをカウンタするカウンタ、LD(I)jは治療台の各軸のj番目の学習データ、RP(I)は治療台の各軸のリハーサル時の位置決めデータ、AV(I)は学習データLD(I)の各軸の平均値、SD(I)は学習データLD(I)の各軸の標準偏差である。
図4において、PD(I)iは治療台の各軸のi番目の位置決めデータ、CP(I)は治療台の各軸の粗位置決め位置である。
図5において、画面には、患者ID、患者名、治療計画の計画ID、照射ID、患部の部位等が表示され、患者のリハーサルデータと過去の位置決めデータが治療台の軸別に表示され、各位置決めデータには、学習データとして採用するか否かを入力するための学習採否ボタンが設けられている。
まず、位置決め計算機30によって実行される患者位置決め処理の処理手順を、図2に基づいて説明する。
患者位置決め処理は、各患者の各治療時において、照射を行う前に患者の位置姿勢を治療計画段階の位置姿勢に合せるために実行されるものである。
患者位置決め処理(S100)では、最初に、治療台の粗位置決め位置を学習により設定する粗位置決め位置学習処理(S102)(粗位置決め位置学習手段、第一の工程)と、粗位置決め位置学習処理により設定された粗位置決め位置を位置決め開始位置として治療台10を移動させる治療台初期移動処理(S104)(治療台初期移動手段、第二の工程)とが実行される。
粗位置決め位置学習処理(S102)は、患者データベース52に記録されている当該患者の過去の治療台位置決めデータを取得し、その患者の最終位置決め位置に近い治療台の粗位置決め位置を学習させる演算を行うものであり、詳細は後述する。
次に、患者データベース52に記録されている当該患者の正側2方向の参照画像を取得し、正側2方向の照合画像を対応する参照画像と照合する(S108、第四の工程)。
この画像照合において、正側2方向の少なくともいずれかで許容範囲内を超える位置ずれ(移動および回転)がある場合には(S110)、正側2方向の位置ずれ量に基づいて治療台の各軸の移動量を演算し(S112)、演算された移動量に基づいて治療台10を移動させて(S114)、S106に戻る。(S110とS112とS114が第五の工程)
なお、画像の照合を行って正側2方向の位置ずれを求め、これに基づいて治療台の各軸の移動量を演算する方法は、背景技術で述べた各種の方法を用いて行うことができるものであり、ここでは詳細説明を省略する。
なお、S116で、位置決めの完了確認を行っているのは、異常動作により誤った照射が行われないようにするための安全確認であり、充分な信頼性が確保される場合には省略されてもよい。
また、上記説明では、画像照合によって検出された位置ずれ(移動および回転)が許容範囲内にある場合に位置決めが完了したと判断するようにしたが、画像照合により検出された位置ずれ量に基づいて治療台の各軸の移動量を演算し、演算された治療台の各軸の移動量が許容範囲内にある場合に位置決めが完了したと判断するようにしてもよい。
なお、照射ノズルは、例えば、回転ガントリーに取り付けられ、患部に対して任意の方向から照射するもの、水平方向に固定され、座位式治療台に固定された患者の患部に対して水平方向に照射するもの、水平方向と垂直方向に設けられ、水平方向と垂直方向の2方向を同時に照射するものなどが、治療目的や病状に応じて適宜使い分けられる。
なお、以下の処理においては、特に断らない限り、治療台のすべての軸Iについて実行されるものとする。
まず、粗位置決め位置学習処理(S102)のためのパラメータの初期化を行う粗位置決め位置学習初期設定の処理手順を図3に基づいて説明する。
粗位置決め位置学習初期設定(S200)は、位置決めデータのカウンタiと学習データのカウンタjを初期値1にセットし(S202)、学習データLD(I)jの初期値(j=1)をリハーサルデータRP(I)に、各軸の平均値AV(I)をリハーサルデータRP(I)に、各軸の標準偏差SD(I)の初期値を通常の位置決めにおいて生ずる各軸の誤差ISD(I)に、それぞれ初期設定する(S204)。
なお、S204は、最初の治療時において粗位置決め位置学習処理(S102)により粗位置決め位置を学習できるように初期値を定めるものであり、粗位置決め位置学習処理(S102)で一定数の位置決めデータが蓄積されてから粗位置決め位置を学習させるようにするものであれば、このような初期設定を行う必要はない。
実施の形態1では、前回の治療台位置決めデータを学習させるか否かを手動選択させ、学習データの平均値を粗位置決め位置として学習させる手動学習平均演算法による粗位置決め位置学習処理を行う。
この手動学習平均演算法による粗位置決め位置学習処理について、図4に基づき説明する。
手動学習平均演算法による粗位置決め位置学習処理(S300)は、最初に、前回の位置決めデータPD(I)iと、これまでの学習による平均値AV(I)と標準偏差SD(I)を画面表示し(S302)、オペレータに前回の位置決めデータPD(I)iが学習データとして適切であるかどうかを判断させて前回データの採否を入力させる。
前回データを採用すると入力された場合は(S304)、学習データのカウンタjをインクリメントし(S306)、当該前回の位置決めデータPD(I)iを学習データLD(I)jに登録し(S308)、j個の学習データLD(I)についての平均値を演算して平均値AV(I)を置換し、j個の学習データLD(I)についての標準偏差を演算して標準偏差SD(I)を置換し(S310)、平均値と標準偏差の画面表示を更新し(S312)、位置決めデータのカウンタiをインクリメントする(S314)。
ここで、オペレータに、現在の平均値AV(I)が学習された粗位置決め位置として適切であるか否かを判断させ、学習データの採否を入力させる。
学習データとして採用すると入力された場合は(S316)、現在の平均値AV(I)を粗位置決め位置CP(I)に設定し(S318)、S316で、学習データとして採用しないと入力された場合であって、手動で位置決め位置が設定されている場合は(S320)、当該手動設定位置を粗位置決め位置CP(I)に設定し(S322)、S320において手動で位置決め位置が設定されていない場合は、リハーサル位置RP(I)を粗位置決め位置CP(I)に設定し(S324)、粗位置決め位置学習処理を終了する。
図5の画面には、患者ID、患者名、治療計画の計画ID、照射ID、患部の部位等が表示され、当該患者のリハーサルデータと過去の位置決めデータが治療台の軸別に表示される。
各位置決めデータには、S304において学習データとして採用するか否かを入力するための学習採否ボタンが設けられている。
また、画面の下部において、学習データとして採用された位置決めデータの平均値(AV)と標準偏差(SD)が軸別に表示され、平均値を粗位置決め位置として採用するか否かを入力するための学習データ採否ボタンが軸別に設けられている。
さらに、粗位置決め位置として平均値を採用しない軸について手動設定を入力する手動設定入力欄を備え、これらの情報に基づいて、最終的に決定された粗位置決め位置が軸別に表示される。
この例では、学習採否ボタンにより、第2回治療時の位置決めデータと第3回治療時の位置決めデータが学習データとして採用され、学習データ採否ボタンにより、上下軸、左右軸、回転軸、ピッチング軸については学習された平均値が、ピッチング軸については手動設定データが、前後軸についてはリハーサルデータが、それぞれ第4回治療時の粗位置決め位置として使用される。
また、各患者の各治療時の位置決めに際して、当該患者の過去の治療台位置決めデータの各軸毎の平均値を粗位置決め位置として治療台の位置決め開始位置を初期設定するようにしたので、治療台を移動させたときに生ずる患者の位置姿勢の変動による誤差が平均化され、位置決め繰り返し回数を効果的に低減させることができる。
図6は、この発明の実施の形態2による放射線治療における患者位置決め装置の患者位置決め処理における自動学習平均演算法による粗位置決め位置学習処理の処理手順を示すフロー図である。
次に、自動学習平均演算法による粗位置決め位置学習処理について、図6に基づき説明する。
この場合の自動学習平均演算法による粗位置決め位置学習処理では、前回の位置決めデータを学習させるか否かを、前回の位置決めデータの偏差値Z(I)が所定範囲内にあるか否かと、前回の位置決めデータの位置決め誤差EPiが所定範囲内にあるか否かと、前回の位置決めデータの位置決め繰り返し回数NPiが所定回数内にあるか否かによって判定する。
このため、患者位置決め処理(S100)の位置決めデータPD(I)iの記録(S118)において、当該治療時の最終位置決め誤差EPi(最後の画像照合における正側2方向の位置ずれ量)と、位置決め完了までに要した位置決め繰り返し回数NPiを同時に記録しておく。
当該患者の前回の位置決めデータの偏差値Z(I)が所定の範囲内にあり(S404)、前回の位置決めデータの最終位置決め誤差EPiが所定範囲内にあり(S406)、前回の位置決めデータの位置決め繰り返し回数NPiが所定回数内にある場合に(S408)、学習データのカウンタjをインクリメントし(S410)、前回の位置決めデータPD(I)iを学習データLD(I)jに登録し(S412)、j個の学習データLD(I)についての平均値を演算して平均値AV(I)を置換し、j個の学習データLD(I)についての標準偏差を演算して標準偏差SD(I)を置換し、平均値と標準偏差の画面表示を更新し(S414)、位置決めデータのカウンタiをインクリメントする(S416)。
そして、現在の平均値AV(I)を粗位置決め位置CP(I)に設定して(S418)、自動学習判定式の粗位置決め位置学習処理を終了する。
また、上記の説明では、前回の位置決めデータの偏差値が所定範囲内にあり、前回の位置決めデータの位置ずれ量が所定範囲内にあり、前回の位置決め繰り返し回数が所定回数内にある場合に、前回の位置決めデータを学習させるものとして説明したが、これらのパラメータのうちの一部を用いて前回の位置決めデータを学習させるか否かを判定させるようにしてもよい。
また、各患者の各治療時の位置決めに際して、当該患者の過去の治療台位置決めデータのうち患者の位置決め誤差が所定範囲を超えるデータを除外して学習させた粗位置決め位置に治療台の位置決め開始位置が初期設定されるので、位置決め精度が悪かったという不安定な位置決めが行われた可能性のあるデータによる不適切な学習が排除され、位置決め繰り返し回数をより効果的に低減させることができる。
また、各患者の各治療時の位置決めに際して、当該患者の過去の治療台位置決めデータのうち位置決め繰り返し回数が所定回数を超えるデータを除外して学習させた粗位置決め位置に治療台の位置決め開始位置が初期設定されるので、位置決めの収束性が悪かったという不安定な位置決めが行われた可能性のあるデータによる不適切な学習が排除され、位置決め繰り返し回数をより効果的に低減させることができる。
図7は、この発明の実施の形態3による放射線治療における患者位置決め装置の患者位置決め処理における自動学習予測演算法による粗位置決め位置学習処理の処理手順を示すフロー図である。
次に、自動学習予測演算法による粗位置決め位置学習処理の処理手順について、図7に基づき説明する。
自動学習予測演算法による粗位置決め位置学習処理(S500)は、最初に前回の位置決めデータの偏差値Z(I)を求め(S502)、偏差値Z(I)が所定範囲内にあり(S504)、前回の位置決めデータの最終位置決め誤差EPiが所定範囲内にあり(S506)、前回の位置決めデータの位置決め繰り返し回数NPiが所定回数内にある場合に(S508)、学習データのカウンタjをインクリメントし(S510)、前回の位置決めデータPD(I)iを学習データLD(I)jとして登録し(S512)、学習データの平均値AV(I)と標準偏差SD(I)を求め(S514)、位置決めデータのカウンタiをインクリメントする(S516)。この一連の処理は自動学習平均演算法による粗位置決め位置学習処理(S400)と同様である。
自動学習予測演算法による粗位置決め位置学習処理(S500)では、学習データLD(I)に対して、最小二乗法を用いて次の位置決め予測位置FP(I)を求め(S518)、求められた位置決め予測位置FP(I)を粗位置決め位置CP(I)として用いる(S520)。
また、予測演算は、各軸毎に独立に次の位置決め位置を予測するようにしてもよく、多次元空間上の位置変化に基づいて次の位置決め位置を予測するようにしてもよい。
また、上記説明では、過去の位置決めデータから、偏差値が所定範囲内にないもの、位置決め誤差EPiが所定範囲内にないもの、位置決め繰り返し回数が所定回数内にないものを除外して学習させた学習データについて予測演算を行うようにしたが、過去のすべての位置決めデータを用いて次の位置決め位置を予測させるようにしてもよく、これらのパラメータの一部を用いて学習させたデータを用いて予測演算を行わせるようにしてもよく、手動で選択させたデータを用いて学習させたデータを用いて予測演算を行わせるようにしてもよい。
図8は、この発明の実施の形態4による放射線治療における患者位置決め装置の患者位置決め処理における移動履歴再現移動機能を有する治療台初期移動処理の処理手順を示すフロー図である。
図2の患者位置決め処理(S100)の治療台初期移動処理(S104)において、過去の位置決めにおける治療台の移動履歴を再現移動させることで、位置決め繰り返し回数を効果的に低減させる方法について説明する。
この場合においては、患者位置決め処理(S100)の位置決めデータPD(I)iの記録(S118)時に、最終位置決めが完了するまでの位置決め繰り返し回数NPiと、治療台の移動履歴データPH(I)i,k(k=1〜ND)を同時に記録しておく。
移動履歴再現移動機能を有する治療台初期移動処理(S600)は、最初に、位置決め開始位置として指定された粗位置決め位置CP(I)に対して当該患者の過去の位置決めデータから最も近い位置決めデータPD(I)mを抽出する(S602)。
ここで、当該抽出された最も近い位置決めデータPD(I)mが指定された粗位置決め位置CP(I)に対して所定範囲内にある場合に(S604)、当該位置決め時の治療台移動履歴データPH(I)m,k(k=1〜ND)のローリング軸とピッチング軸についての治療台の移動履歴を再現移動させる(S606)。
そして、最後に、治療台を指定された粗位置決め位置CP(I)に移動させ(S608)、治療台初期移動処理を終了する。
S604において、当該抽出された最も近い位置決めデータPD(I)mが指定された粗位置決め位置CP(I)に対して所定範囲内にない場合は、治療台の移動履歴の再現移動は行わず、治療台を指定された粗位置決め位置CP(I)に移動させて、治療台初期移動処理を終了する。
このように、過去の位置決めデータのなかに粗位置決め位置に近いデータが存在する場合に、当該位置決め時の治療台のローリング軸とピッチング軸の移動履歴を再現させることで、固定具内での患者の位置姿勢が当該位置決め時と同じ状態となり、患者の位置決め繰り返し回数を効果的に低減することができる。
また、上記説明では、記録されている移動履歴の最初から最後までの全部を再現移動させるものとして説明したが、例えばローリング軸またはピッチング軸について大きな移動があった移動履歴のみを再現移動させたり、ローリング軸とピッチング軸についての最後の大きな移動についてのみを再現移動させるなど、一部の移動履歴のみを再現移動させるようにしてもよい。
とくに、治療台のローリング軸とピッチング軸は、患者に対して傾斜を与えるものであり、傾斜によって固定具に対する患者の負荷条件が大きく変わるため、移動履歴によって患者の位置姿勢が変動する大きな要因となる。従って、治療台の初期移動において、ローリング軸とピッチング軸について移動履歴を再現移動させることで、位置決め繰り返し回数を効果的に低減させることができる。
図9は、この発明の実施の形態5による放射線治療における患者位置決め装置の治療台のローリング軸とピッチング軸についてオフセット移動機能を有する治療台移動制御処理の処理手順を示すフロー図である。
図9において、DP(I)は各軸の移動先、PP(I)は各軸の移動元(現在位置)、OS(I)はオフセット移動量である。
上述した固定具の遊び等により治療台のローリング軸とピッチング軸を移動させたときに生ずる患者の位置姿勢の変動による位置決め誤差を抑制するために、治療台のローリング軸とピッチング軸について、不安定状態へ移動する際にオフセット移動を行うようにした。このオフセット移動機能を有する患者位置決め装置における治療台移動制御処理について、図9に基づき説明する。
図9のDP(I)は各軸の移動先、PP(I)は各軸の移動元(現在位置)、OS(I)はオフセット移動量である。
オフセット移動機能を有する治療台移動制御処理(S700)は、上下軸、前後軸、左右軸、回転軸については移動による患者の位置姿勢の変動は無視できるので、オフセット移動は行わず、これらの軸の移動先DP(ver,long,lat,rot)に直接移動させる(S702)。
S704において、DP(rol)<0のとき、すなわち移動先が水平に対して逆方向に傾斜しているときは、DP(rol)>−OS(rol)かつPP(rol)≧0の場合に、すなわち、移動先がオフセット角度より小さい傾斜で、かつ移動元が水平または水平に対して一方向の傾斜である場合に(S710)、ローリング軸を移動先と同一方向の所定角度の−OS(rol)にオフセット移動させる(S712)。
そして、ローリング軸を移動先DP(rol)に移動させる(S714)。
S720において、DP(pit)<0のときは、DP(pit)>−OS(pit)かつPP(pit)≧0の場合に(S726)、ピッチング軸を−OS(pit)にオフセット移動させる(S728)。
そして、ピッチング軸を移動先DP(pit)に移動させ(S730)、治療台移動制御処理を終了する。
なお、このように患者の位置姿勢の再現精度が向上することは、照射前に行われる患者の位置決めだけではなく、照射時の患者の位置決めにおいても有効に作用するものであり、病巣に対してより精度よく粒子線照射を行うことが可能となるという効果を奏する。
20 X線撮像装置
30 位置決め計算機
40 機器制御計算機
50 患者ファイルサーバ
52 患者データベース
60 照射ノズル
70 治療計画装置
80 CT撮像装置
Claims (10)
- 放射線照射手段によって照射される放射線を患者の患部に照射して治療するに際し患者の位置決めを行う放射線治療における患者位置決め装置であって、
上記患者が固定され、上記放射線照射手段に対する患者の位置姿勢を設定する手段を有する治療台、
上記患者の過去に位置決めされた治療台位置決め位置のデータに基づいて上記治療台の粗位置決め位置を学習させる粗位置決め位置学習手段、
この粗位置決め位置学習手段により学習させた粗位置決め位置に上記治療台を初期移動させる治療台初期移動手段、
上記治療台に固定された患者に対し、少なくとも2方向から上記患者の体内画像を撮像する撮像手段、
この撮像手段により撮像された撮像画像を基準となる参照画像と照合し、両画像間に位置ずれがある場合に、この位置ずれに基づき、上記患者の位置姿勢を修正し、位置決めするための治療台の移動量を演算し、この演算された移動量にしたがって上記治療台を移動させて上記患者の位置決めを行う位置決め制御手段、
及びこの位置決め制御手段により位置決めされた上記患者の上記治療台位置決め位置のデータを記録する治療台位置決めデータ記録手段を備えたことを特徴とする放射線治療における患者位置決め装置。 - 上患者の位置姿勢を設定する手段は、複数の駆動軸を有することを特徴とする請求項1記載の放射線治療における患者位置決め装置。
- 上記粗位置決め位置学習手段は、上記患者の過去の治療台位置決め位置のデータについて上記各駆動軸毎の平均値を上記粗位置決め位置として学習させることを特徴とする請求項2記載の放射線治療における患者位置決め装置。
- 上記粗位置決め位置学習手段は、上記患者の過去の治療台位置決め位置のデータの変化傾向に基づいて次の治療台位置決め位置を予測する予測演算を行い、この予測演算により求められた治療台位置決め位置の予測位置を上記粗位置決め位置として学習させることを特徴とする請求項1記載の放射線治療における患者位置決め装置。
- 上記粗位置決め位置学習手段は、上記患者の過去の治療台位置決めデータについて偏差値を求め、この偏差値が所定範囲を超えるデータを除外して上記粗位置決め位置を学習させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の放射線治療における患者位置決め装置。
- 上記治療台位置決めデータ記録手段は、上記位置決め制御手段により位置決めを完了した上記患者の位置決め誤差を記録するとともに、
上記粗位置決め位置学習手段は、上記治療台位置決めデータ記録手段により記録された上記位置決め誤差が所定範囲を超えるデータを除外して上記粗位置決め位置を学習させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の放射線治療における患者位置決め装置。 - 上記治療台位置決めデータ記録手段は、上記位置決め制御手段により上記患者の位置決めが完了するまでの位置決め繰り返し回数を記録するとともに、
上記粗位置決め位置学習手段は、上記治療台位置決めデータ記録手段により記録された上記位置決め繰り返し回数が所定回数を超えるデータを除外して上記粗位置決め位置を学習させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の放射線治療における患者位置決め装置。 - 上記複数の駆動軸には、上記治療台を横方向に傾斜させるローリング軸及び縦方向に傾斜させるピッチング軸が含まれ、
上記治療台位置決めデータ記録手段は、上記位置決め制御手段により患者の位置決めが完了するまでに治療台が移動した治療台移動履歴を記録するとともに、
上記治療台初期移動手段は、上記患者の過去の治療台位置決め位置のデータのうちに、上記決定された粗位置決め位置に対して所定範囲内にある治療台位置決め位置のデータが存在する場合に、上記治療台位置決め位置のデータに対応する治療台移動履歴に基づいて、少なくとも上記ローリング軸及びピッチング軸について、再現移動させることを特徴とする請求項2または請求項3記載の放射線治療における患者位置決め装置。 - 上記複数の駆動軸には、上記治療台を横方向に傾斜させるローリング軸及び縦方向に傾斜させるピッチング軸が含まれ、
上記位置決め制御手段は、上記ローリング軸またはピッチング軸について、第一のポジションから第二のポジションに移動するとき、上記第一のポジションが水平または水平に対して第一の方向に傾斜されている場合で、かつ上記第二のポジションが上記第一の方向とは逆の第二の方向に水平に対して傾斜されている場合に、上記治療台を上記第二の方向の上記第二のポジションより大きい所定角度にオフセット移動させた後に、上記第二のポジションに移動させることを特徴とする請求項2または請求項3記載の放射線治療における患者位置決め装置。 - 放射線を患者の患部に照射して治療するに際し患者の位置決めを行う放射線治療における患者位置決め方法であって、
位置決め計算機によって、
上記患者の過去に位置決めされた治療台位置決め位置のデータに基づいて、上記患者が固定された治療台の粗位置決め位置を粗位置決め位置学習処理によって学習させる第一の工程、
この第一の工程により学習させた上記粗位置決め位置に上記治療台を初期移動させる第二の工程、
上記治療台に固定された患者に対し、少なくとも2方向から撮像手段により上記患者の体内画像を撮像する第三の工程、
上記撮像手段により撮像された撮像画像を基準となる参照画像と照合する第四の工程、
この第四の工程の上記照合により、両画像間に位置ずれがある場合に、この位置ずれに基づき、上記患者の位置姿勢を修正し、位置決めするための治療台の移動量を演算し、この演算された移動量にしたがって上記治療台を移動させて上記患者の位置決めを行う第五の工程、
及び上記位置決めされた上記患者の上記治療台位置決め位置のデータを記録する第六の工程を実行することを特徴とする放射線治療における患者位置決め方法。
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