JP5252610B2 - 雪下ろし装置 - Google Patents

雪下ろし装置

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本発明は、横方向には所定幅で、縦方向には屋根の棟から軒先までの長さを有し、そしてヒータが内蔵されたヒータパネルを使用して、一方向に傾斜した屋根上の雪を軒下まで下ろす雪下ろし装置に関するものである。
豪雪地帯では建築物の屋根に降り積もる雪は、従来周知のように、主として人的な手作業により定期的に下ろされている。このような手作業による雪下ろしは、高齢者にとっては過酷な肉体労働で、また転落事故等を伴う危険な作業でもある。そこで、特許文献1により機械的な雪下ろし機が提案されている。
特開平9−279794号公報
特許文献1に示されている雪下ろし機は、屋根に固定されたモータと、屋根に回転可能に支持されている駆動軸と、この駆動軸から所定の間隔をおいて同様に屋根に支持されている回転軸と、前記駆動軸と回転軸との間にエンドレス状に掛けられたベルト状の布とから構成されている。そして、雪はベルト状の布の上に積もるようになっている。したがって、モータにより駆動軸を回転駆動すると、ベルト状の布が屋根の上面で軒先の方へ駆動され、屋根の雪すなわち布の上に積もる雪は軒下へ落とされることになる。
上記雪下ろし機によると、例えばスイッチを押すと、モータが起動してベルト状の布が上方から下方へと駆動されるので、布上の雪は屋根の軒先から機械的に安全に地上へ落とされるという利点は認められる。また、狭い範囲の雪下ろし機あるいは小屋程度の小さな屋根の雪下ろし機としての有効性は認められる。
しかしながら、改良すべき点あるいは問題点もある。例えば、上記雪下ろし機は、布を駆動するようになっているので、一般の住居用の屋根全体に設けることは初期コストあるいはランニングコストの面からみて不可能に近い。また、布は回転軸および駆動軸に掛け回されてエンドレスに駆動されるようになっているので、夜間等において気温が低下して凍結すると、布は一種の剛体となり起動できない恐れもある。
したがって、本発明は、安価で小型であるにも拘わらず対象とする屋根の広狭にも容易に対応して屋根全体の雪を下ろすことができると共に、凍結して作動不能になることもない装置を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するために、ヒータパネルが適用される。ヒータパネルの横方向の幅は、所定幅で縦方向には屋根の棟から軒先までの長さになっている。そして、傾斜のある屋根の棟から軒先にかけて配置される。したがって、ヒータパネルに所定量の雪が積もると、あるいは乗るとヒータパネルのヒータに通電され、ヒータパネルに接している雪の一部が解ける。ヒータパネルと雪との間の摩擦係数が小さくなり、雪は自重でヒータパネルの上を滑り軒先から所定箇所へ落ちる。雪が落ちると、ヒータパネルを次の位置へ、すなわち横方向へ所定幅だけ移動させるように構成される。このときヒータパネルの側部には雪切り装置が設けられているので、雪を切って、雪の中を潜った状態で移動させる。これにより、ヒータパネルの上に新たな雪が乗る。ヒータパネルのヒータに通電され、雪は自重により、前述したようにヒータパネルの上を滑り軒先から所定箇所へ落ちる。このようにして、所定幅のヒータパネルを順次横方向に移動させることにより屋根全体の雪が落とされる。
また、本発明は前記目的を達成するために、ヒータパネルは複数個のユニットから構成される。さらには、このようなヒータパネルを横方向に移動自在に支持するために一対のパネル支持箱体が適用される。また、上記のようなヒータパネルを移動させる駆動装置は自走式と牽引式として構成される。そして、これらの駆動装置の主構成部材はパネル支持箱体内に設けられる。
かくして、請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、傾斜した屋根上に、この傾斜方向に対して略横方向に移動自在に設けられるパネル台に貼られたヒータパネルと、このヒータパネルを横方向に移動させる駆動装置と、前記ヒータパネルを屋根上にスライド自在に支持する一対のパネル支持箱体とからなり、前記一対のパネル支持箱体の一方は屋根の棟側に、他方は軒側に所定の間隔をおいて設置され、前記ヒータパネルは横方向には所定幅を有し、縦方向には屋根の棟から軒先までの長さを有し、前記ヒータパネルの横移動方向の側部には進行方向がナイフ状に尖った切断刃または回転駆動される棒状体の表面に複数個のカッタが設けられている回転刃からなる雪切り装置が設けられ、前記ヒータパネルは前記一対のパネル支持箱体の他に、パネル支持部材により支持されるようになっていると共に、前記パネル支持部材には前記ヒータパネルの浮上り防止部材が設けられ、前記駆動装置が、滑止付きのレールと、該滑止付きのレールとそれぞれ噛み合った状態で駆動される駆動輪と、これらの駆動輪の間に設けられている駆動軸と、該駆動軸を回転駆動する自走モータとからなり、前記滑止付きのレールと前記駆動輪は、前記一対のパネル支持箱体内にそれぞれ設けられていると共に、前記自走モータはヒータパネルの下側に配置され、前記駆動軸に回転自在に設けられている駆動アームが前記ヒータパネルに取り付けられ、それによって前記ヒータパネルが自走するように構成される。
請求項2に記載の発明は、傾斜した屋根上に、この傾斜方向に対して略横方向に移動自在に設けられるパネル台に貼られたヒータパネルと、このヒータパネルを横方向に移動させる駆動装置と、前記ヒータパネルを屋根上にスライド自在に支持する一対のパネル支持箱体とからなり、前記一対のパネル支持箱体の一方は屋根の棟側に、他方は軒側に所定の間隔をおいて設置され、前記ヒータパネルは横方向には所定幅を有し、縦方向には屋根の棟から軒先までの長さを有し、前記ヒータパネルの横移動方向の側部には進行方向がナイフ状に尖った切断刃または回転駆動される棒状体の表面に複数個のカッタが設けられている回転刃からなる雪切り装置が設けられ、前記ヒータパネルは前記一対のパネル支持箱体の他に、パネル支持部材により支持されるようになっていると共に、前記パネル支持部材には前記ヒータパネルの浮上り防止部材が設けられ、前記駆動装置が、ヒータパネルを牽引するチェーン、ロープからなる紐状体と、複数個の車輪と、これらの車輪と前記ヒータパネルとを結合している結合部材と、前記紐状体を駆動する牽引モータとからなり、前記紐状体は、屋根の両側部に設置されている第1、2の駆動ボックス内にその面が水平に設けられ同期して駆動される駆動用スプロケットに掛け回され、そして前記紐状体と車輪は、前記一対のパネル支持箱体内をそれぞれ走行するように設けられていると共に、前記紐状体の端部は、前記結合部材を介して前記ヒータパネルの下面に取り付けられ、それによって前記ヒータパネルが牽引されるように構成される。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの項に記載の装置において、ヒータパネルとパネル支持箱体は、複数個のユニットが組み合わされて所定大きさあるいは長さになるように構成される。
以上のように、本発明による雪下ろし装置には、ヒータパネルが適用されるので、ヒータに通電することによりヒータパネル上の雪を一部解かして、自重により容易に滑り落とすことができる。このとき本発明によると、雪が落ちたヒータパネルを横方向に前記ヒータパネルの幅と略同じ幅だけ移動させることにより、屋根上の雪を掬った形すなわち切断した形で前記ヒータパネルの上に乗せ、乗った雪は前記ヒータパネルの熱により一部を解かして縦方向に滑り落とす。雪が滑り落ちた前記ヒータパネルを、横方向に前記ヒータパネルの幅だけ同様に移動させることにより、屋根上の雪を切断した形で前記ヒータパネルの上に乗せ、乗った雪はヒータパネルの熱により一部を解かして縦方向に滑り落とす。以下上記のような操作を順次繰り返して屋根全体の雪を落とすので、幅の狭いヒータパネルにより、屋根全体の雪を落とすことができるという、本発明に特有の効果が得られる。
また、ヒータパネルは縦方向には棟から軒先までの長さになっているが、幅方向あるいは横方向は所定幅になって比較的狭いので、雪下ろし装置の初期コストは低い。さらには、ヒータパネルは屋根全体に一度に適用されるものではないので、軽量で小さい。したがって、横方向への移動エネルギも小さくてすむ。また、ヒータパネルに通電することにより解氷することもできる。
さらには、ヒータパネルの駆動装置が自走式あるいは牽引式に構成されているので、滑止付きレール、この滑止付きレールに噛み合った状態で駆動される駆動輪、チェーン、ロープ等の紐状体、車輪等がパネル支持箱体内に収納されているので、雪積量が大きいときでもヒータパネルを支障なく移動させることができるという効果がさらに得られる。また、一対のパネル支持箱体と共に、パネル支持部材が設けられているので、雪の量が多くてもヒータパネルは変形しないので大量の雪を一度に落とすことができる効果も得られる。
また、ヒータパネル、パネル支持箱体、パネル支持部材等が、複数個のユニットがら組み合わされている発明によると、現場において屋根の大きさに対応できるので、規格品として工場で安価に製作できる効果が得られる。
以下、本発明の第1、2の実施の形態を図1〜3により説明する。図1の(イ)は、詳しくは後述する架台を省いて、本実施の形態の概念を示す斜視図、その(ロ)は、ヒータパネル部分の斜視図であるが、これらの図を参照すると容易に理解されるように、本実施の形態に係わる雪下ろし装置は、所定面積のヒータパネル1を備えている。ヒータパネル1にはヒータが内蔵されている。その幅Wは、例えば1000mmで、縦方向の長さは5000mmのユニットとして構成され、そして縦方向は屋根の棟Mから軒先Nまでの長さになるように複数個のユニットが結合されている。図1の(イ)に示されている状態では左方が棟M側で、右方端部が軒先Nになっている。したがって、ヒータパネル1上の雪は、自然にあるいはヒータに通電して一部解かすことにより、図1の(イ)において左から右方向に滑り、軒先Nから落ちることになる。雪が落ちると、ヒータパネル1を新しい隣の雪に潜った状態で、ヒータパネル1の幅と略同じ幅「W」だけ移動させる。そうすると、ヒータパネル1には次の雪が乗ることになる。そこで、同様にして雪を落とす。以上の操作を所定回数繰り返し、屋根R全体の雪を落とすようになっている。
市販されているヒータ付きパネルは、比較的薄く雪下ろしパネルとしては強度的にも落ちる。そこで、本実施の形態では図1の(ロ)にも示されているように、剛性のあるパネル台2に貼り付けてヒータパネル1として利用される。このヒータパネル1は、雪落としのために横方向に所定幅Wだけ移動されるときには、図1において矢印A方向に駆動される。このとき、ヒータパネル1は積もっている雪の中を進むことになるので、ヒータパネル1の前後進側には第1、2の雪切り装置3または6が適宜設けられている。第1の雪切り装置3は、図1の(ロ)の左側に示されているように、図示されないモータで回転駆動される棒状の回転体4と、その外周部に設けられている複数本のカッタ5、5、…から構成されている。したがって、第1の雪切り装置3の回転体4を回転駆動しながら、ヒータパネル1を雪に潜った状態で横方向に駆動すると、固った雪あるいは氷状の雪が切り砕かれることになる。第2の雪切り装置6は、図1の(ロ)の右側に示されているように、先端部が雪あるいは氷を切る、側面形状が略三角形を呈する切断刃7からなっている。この切断刃7は、必要に応じて長手方向に振動あるいは往復動するように構成される。
一方、屋根Rの上には、一対の第1、2のパネル支持箱体10a、10bが屋根Rを横切るようにして上下方向に所定の間隔をおいて設けられている。また、これらのパネル支持箱体10a、10bの間に所定数のパネル支持部材30、30、…が設けられている。ヒータパネル1は、これらのパネル支持箱体10a、10bとパネル支持部材30、30、…に摺動的に支持されて横方向に移動する。この横方向の移動は、第1の実施の形態では自走式、第2の実施の形態では牽引式として構成されている。
第1の自走式の実施の形態が、図2に示されている。第1、2のパネル支持箱体10a、10bと、パネル支持部材30、30,…は、ヒータパネル1と同様に、複数個のユニットが建設現場において、図2の(イ)に示されているように、屋根R上で組み立てられるようになっている。すなわち、所定面積に組み立てられる架台Bの両サイドに第1、2のパネル支持箱体10a、10bが、そして中央部にパネル支持部材30、30が取り付けられている。この架台Bは高さ調整付きの複数個の脚H、H、…で屋根R上に取り付けられている。
パネル支持箱体10a、10bは、図2の(ハ)に拡大して示されているように、上壁11と、内外側壁12、12’と、底壁13とから、断面が略箱状を呈するように構成されている。そして、上壁11がヒータパネル1を摺動的に支持するようになっている。底壁13にはピニオンが噛み合うラックあるいはより安価なチェーンホイールが噛み合うチエーン15、15がそれぞれ敷設されている。パネル支持箱体10a、10bの内側壁12の中心部には、開口16、16が形成され、これらの開口16、16に1本の駆動軸17が非接触的に挿通されている。そして、この駆動軸17の両端部に、パネル支持箱体10a、10bの内部において、チェーンホイール14、14が固定されている。したがって、駆動軸17によりチェーンホイール14、14が回転駆動されると、チェーンホイール14、14が噛み合うチェーン15、15が固定されているので、チェーンホイール14、14の方、すなわち駆動軸17の方が横方向に移動することになる。
駆動軸17を回転駆動する駆動モータは、望ましくは減速歯車装置18と共に駆動ボックス19内に収納されている。駆動軸17の両端部寄りには、回転軸受21、21を介してアーム20、20が取り付けられている。そして、これらのアーム20、20の上端部はヒータパネル1の下面に固定的に取り付けられている。したがって、駆動軸17が前述したように移動すると、アーム20、20を介してヒータパネル1が平行を保って横方向に自走することになる。このようなアーム20、20の中間位置には、支持ブラケット22、22が取り付けられ、この支持ブラケット22、22にガイドローラ23、23が回転自在に設けられている。ガイドローラ23、23は、パネル支持箱体10a、10bのそれぞれの内側壁12、12に接している。これにより、ヒータパネル1の横方向の妄りな動が規制される。
パネル支持部材30、30、…の具体的な実施の形態が、図2の(ロ)に示されている。本実施の形態によると、パネル支持部材30、30は安価に入手できる溝型鋼から構成され、その上側フランジ部31、31がヒータパネル1を摺動的に支持するようになっている。パネル支持部材30、30は、その開口部32、32が屋根Rの下側を向いて設置される。これにより、雪がパネル支持部材30、30の内部に入り込むことが防止される。このように構成されているパネル支持部材30、30の開口部32、32内に臨むようにして規制部材33、33が設けられている。この規制部材33、33は略直角に曲げられ、その上端部はヒータパネル1の下面に固定されている。したがって、ヒータパネル1が浮き上がろうとすると、規制部材33、33がパネル支持部材30、30の上側フランジ部31、31に接して浮き上がりが防止される。
本実施の形態によると、駆動モータの起動、回転量、停止等を制御し、またヒータパネル1のヒータのオン・オフを制御する制御装置を備え、ヒータパネル1の移動量、積雪量等を計測するセンサ等も備えているが、これらの構成、作用等については次の実施の形態の作用の項で説明する。
次に、上記第1の実施の形態の作用について説明する。架台B、ヒータパネル1、第1、2のパネル支持箱体10a、10b、パネル支持部材30、30、…等の必要数のユニットを現場においてつなぎ合わせて組み立て、屋根R上に設ける。このように屋根Rの上に設置された概略の状態が図1の(イ)に示され、より詳細には一部省略して図2に示されている。
ヒータパネル1は、任意の位置で待機している。雪が所定量積もったことをセンサが検知すると、ヒータパネル1に通電される。ヒータパネル1に接触している部分の雪の一部が解ける。ヒータパネル1と雪との間の摩擦係数が小さくなって、雪は自重により軒先Nの方へ滑り、そして地上へ落下する。所定時間経過しても滑り落ちないときは、すなわちセンサが検知し続けるときは、ヒータパネル1に振動を加えるために、駆動ボックス19内の自走モータにパルス的に通電する。これにより、静摩擦よりも小さな動摩擦となり、雪は滑り落ちるようになる。
雪が落ちたことが検知されると、自走モータに通電される。駆動軸17は減速されてチェーンホイル14、14を回転させる。チェーンホイル14、14は、固定されているチェーン15、15と噛み合っているので、チェーンホイル14、14の方が移動する。すなわち、アーム20、20を介してヒータパネル1は、パネル支持箱体10a、10bの上壁11、11と、パネル支持部材30、30、…の上側フランジ31、31、…とに支持されて横方向に自走する。自走モータが所定数回転したことをエンコーダが計測すると、自走モータは停止する。これにより、ヒータパネル1は前述したように「W」だけ移動して停止する。移動するとき、第1の雪切り装置3または第2の雪切り装置6により、固った雪は破砕される。これにより、ヒータパネル1は雪の中を潜った状態で自走することができる。自走するとき、ヒータパネル1は規制部材33、33、…により浮き上がりが防止される。また、左右方向の動きはガイドローラ23、23により規制される。
略、ヒータパネル1の幅Wだけ移動させることにより、ヒータパネル1に新たに乗った雪を前述したようにして滑り落とす。以下、順次横方向に距離「W」だけづつ自走させながら、雪を落とす。ヒータパネル1が屋根Rの側端部に達すると、センサがこれを検知して除雪作業を終わり、次の作業を待つ。今度は、逆方向に自走して落とすことになる。
本実施の形態によると、チェーン15、15とチェーンホイール14、14は第1、2のパネル支持箱体10a、10b内にあり、アーム20、20、ガイドローラ23、23、駆動ボックス19等は、ヒータパネル1の下側に設けられているので、積もる雪によってこれらの部材の作動が阻害されることはない。
次に、第2の実施の形態を、図3に基づいて牽引式の実施の形態を説明する。本実施の形態によっても前述したような架台B、パネル支持部材30、30…、妄りな左右方向および浮上がりを防止する規制部材等が設けられるが、これらの部材は図3では省略されて示されていない。本実施の形態によると、ヒータパネル1を摺動的に支持する第1、2のパネル支持箱体40a、40bを備えている。これらのパネル支持箱体40a、40bは、複数個のユニットが接続されて屋根Rの横方向の長さになっている。そして、これらの箱体40a、40bの端部に、したがって屋根Rの両側部において、第1、2の駆動ボックス50a、50bがそれぞれ接続されている。第1のパネル支持箱体40aの内部には、図3の(イ)に示されているように、ヒータパネル1を牽引する第1のチェーン41aが設けられている。この第1のチェーン41aは、第1の駆動ボックス50a内に設けられている第1の駆動スプロケット51aと、第2の駆動ボックス50b内に設けられている第1の従動スプロケット51bとの間に掛け回されている。第2のパネル支持箱体40bの内部にも、同様にヒータパネル1を牽引する第2のチェーン41bが設けられている。この第2のチェーン41bは、第1の駆動ボックス50a内に設けられている第2の駆動スプロケット52aと、第2の駆動ボックス50b内に設けられている第2の従動スプロケット52bとの間に掛け回されている。このように、第1、2のチェーン41a、41b、スプロケット51a、54b等の駆動装置が第1、2の駆動ボックス50a、50b内に収納されているので、雪の被害を受けることも、屋根の外観を損なうこともない。
第1、2の駆動スプロケット51a、52aは、それぞれの垂直軸53a、53bに取り付けられているが、これらの垂直軸53a、53bには伝動用のスプロケット54a、54bがそれぞれ取り付けられ、これらのスプロケット54a、54bの間に動力伝達用のチェーン55が掛け回されている。一方の垂直軸53bには牽引モータ56が取り付けられている。
このような第1、2の駆動および従動スプロケット、駆動用スプロケット51a〜55等の回転面は、図示されているように、水平面になっている。これにより、第1、2のチェーン41a、41bの高さが低くなり、ヒータパネル1を屋根Rに近づけて設置できることになる。第1、2のチェーン41a、41bの始端部は、ヒータパネル1の前進側に、そして終端部は後進側にそれぞれ取り付けられている。したがって、牽引モータ56を起動すると、第1、2のチェーン41a、41bは同期して同じ方向に回転駆動され、ヒータパネル1は平行を保って横方向に駆動されることになる。
第1、2のパネル支持箱体40a、40bの上面の一部が軸方向に開口していると、その開口を通して第1、2のチェーン41a、41bの端部をヒータパネル1に上記のように直接的に取り付けることができる。したがって、ヒータパネル1を第1、2のパネル支持箱体40a、40bの上面に支持させて、すなわち図3の(イ)に示されている状態で、第1、2のチェーン41a、41bにより横方向に牽引移動させることもできる。しかしながら、摩擦抵抗が大きく、大きな牽引力が必要になるので、小さな牽引力で移動させることのできる第1、2の実施の形態が図3の(ロ)、(ハ)にそれぞれ示されている。
図3の(ロ)に示されている牽引式の第1の実施の形態によると、第1、2のパネル支持箱体40a、40bの断面は、上壁42、側壁43、43および底壁44から断面形状が略方形を呈するように形成され、その中に図には示されていないが望ましくはガイドレールが長手方向に設けられている。ガイドレールに前後方向に間隔をおいて一対の車輪45、45が乗り、これらの車輪45、45の連結部材46、46はパネル支持箱体50a、50bの開口すなわちスリット47、47から上方へ延び、そしてヒータパネル1に固定されている。したがって、車輪45、45が移動すると、ヒータパネル1が移動することになる。図3の(ロ)には詳しくは示されていないが、連結部材46、46には第1、2のチェーン41a、41bのそれぞれの始端部が固定さている。これらの第1、2のチェーン41a、41bは、前述したように、第1、2の駆動スプロケット51a、51bでターンして、それぞれのパネル支持箱体40a、40b内を後方へ延びている。
このように、ガイドレール、車輪45、45、第1、2のチェーン41a、41b等が第1、2のパネル支持箱体40a、40b内に設けられているので、積雪量が多くてもヒータパネル1を移動させることができる。また、屋根の外観を損なうことがなくなる。
次に、作用について説明する。前述したようにして必要数のユニットを現場においてつなぎ合わせて架台、ヒータパネル1、第1、2のパネル支持箱体40a、40b、パネル支持部材等を組み立て、屋根R上に設ける。以下、上記した第1の実施の形態と略同じように作用するので、詳しい説明はしないが、第1の実施の形態と同様にヒータパネル1は任意の位置で待機している。雪が所定量積もったことをセンサが検知すると、ヒータパネル1に通電される。これにより雪は滑り落ちる。所定時間経過しても落ちないときは、ヒータパネル1に振動を加えるために、牽引モータ56にパルス的に通電する。これにより、静摩擦よりも小さな動摩擦となり、雪は滑り落ちるようになる。
雪が落ちたことが検知されると、牽引モータ56に通電される。第1、2の駆動スプロケット51a、52aは同期して回転駆動される。これにより、ヒータパネル1は第1、2のパネル支持箱体40a、40bの上壁42、42とパネル支持部材の上側フランジに支持されて横方向に牽引される。牽引モータ56が所定数回転したことをエンコーダが計測すると、牽引モータ56は停止する。これにより、ヒータパネル1は「W」だけ移動して停止する。移動するとき、第1の雪切り装置3または第2の雪切り装置6により、固った雪は破砕される。
略、ヒータパネル1の幅Wだけ移動させることにより、ヒータパネル1に新たに乗った雪を前述したようにして滑り落とす。以下、順次横方向に距離「W」だけづつ牽引しながら、雪を落とす。ヒータパネル1が屋根Rの側端部に達すると、センサがこれを検知して除雪作業を終わり、次の作業を待つ。今度は、反転歯車により逆方向に牽引して同様にして、除雪することになる。
上記牽引式の第1の実施の形態によると、第1、2のパネル支持箱体40a、40bの上壁42には、スリット47、47が形成されているので、雪がこれらのスリット47、47を通ってパネル支持箱体40a、40bの内部へ入り込むこともある。また、スリット47、47が形成されているので、ヒータパネル1を支持する上側壁42の形状、構造の改良に制約を受ける恐れもある。そこで、第2の実施の形態では側壁43、43の方にスリット48、48が設けられている。すなわち、図3の(ハ)に示されているように、両側壁43、43にスリット48、48が設けられ、車輪45、45の車軸49、49は、それぞれのスリット48、48から外部へ出て、そしてヒータパネル1の下面に取り付けられている。牽引式の第2の実施の形態も、上記した第1の実施の形態と略同様に作用することは明らかである。
なお、図2の実施の形態では駆動装置はチェーンとチェーンホイールとから構成されているが、ラックとピニオンとから構成できることは明らかである。また、牽引式においては、チェーンに代えてロープ、ワイヤ等の紐状体で実施できることも明らかである。さらには、第1、2のパネル支持箱体40a、40bおよび第1の駆動ボックス50a内に紐状体を支持する部材を設けることもできるが、これらの部材は図に示されていない。
本発明の実施の形態の概略を示す図で、その(イ)は、全体を示す斜視図、その(ロ)は、ヒータパネル部分の斜視図である。 本発明の自走式の実施の形態を示す図で、その(イ)は全体を模式的に示す斜視図、その(ロ)はパネル支持部材の部分を示す断面図、その(ハ)はパネル支持箱体部分を拡大して示す断面図である。 本発明の牽引式の実施の形態を示す図で、その(イ)は全体を模式的に示す斜視図、その(ロ)は牽引式の第1の実施の形態を、その(ハ)は第2の実施の形態をそれぞれ拡大して示す断面図である。
符号の説明
1 ヒータパネル
3 第1の雪切り装置(切断刃
6 第2の雪切り装置(回転刃)
10a、40a 第1のパネル支持箱体
10b、40b 第2のパネル支持箱体
14 チェーンホイル(駆動輪
15 チェーン(滑止付きのレール
30 パネル支持部材
45 車輪
56 牽引モータ

Claims (3)

  1. 傾斜した屋根上に、この傾斜方向に対して略横方向に移動自在に設けられるパネル台に貼られたヒータパネル(1)と、このヒータパネルを横方向に移動させる駆動装置と、前記ヒータパネルを屋根上にスライド自在に支持する一対のパネル支持箱体(10a、10b)とからなり、
    前記一対のパネル支持箱体の一方は屋根の棟側に、他方は軒側に所定の間隔をおいて設置され、前記ヒータパネルは横方向には所定幅を有し、縦方向には屋根の棟から軒先までの長さを有し、前記ヒータパネルの横移動方向の側部には進行方向がナイフ状に尖った切断刃(6)または回転駆動される棒状体の表面に複数個のカッタが設けられている回転刃(3)からなる雪切り装置が設けられ、
    前記ヒータパネルは前記一対のパネル支持箱体の他に、パネル支持部材(30、30)により支持されるようになっていると共に、前記パネル支持部材には前記ヒータパネルの浮上り防止部材(31、33)が設けられ、
    前記駆動装置が、滑止付きのレール(15、15)と、該滑止付きのレールとそれぞれ噛み合った状態で駆動される駆動輪(14、14)と、これらの駆動輪の間に設けられている駆動軸(17)と、該駆動軸を回転駆動する自走モータとからなり、前記滑止付きのレール(15、15)と前記駆動輪(14、14)は、前記一対のパネル支持箱体(10a、10b)内にそれぞれ設けられていると共に、前記自走モータはヒータパネルの下側に配置され、前記駆動軸に回転自在に設けられている駆動アーム(20、20)が前記ヒータパネルに取り付けられ、それによって前記ヒータパネルが自走することを特徴とする、雪下ろし装置。
  2. 傾斜した屋根上に、この傾斜方向に対して略横方向に移動自在に設けられるパネル台に貼られたヒータパネル(1)と、このヒータパネルを横方向に移動させる駆動装置と、前記ヒータパネルを屋根上にスライド自在に支持する一対のパネル支持箱体(10a、10b)とからなり、
    前記一対のパネル支持箱体の一方は屋根の棟側に、他方は軒側に所定の間隔をおいて設置され、前記ヒータパネルは横方向には所定幅を有し、縦方向には屋根の棟から軒先までの長さを有し、前記ヒータパネルの横移動方向の側部には進行方向がナイフ状に尖った切断刃(6)または回転駆動される棒状体の表面に複数個のカッタが設けられている回転刃(3)からなる雪切り装置が設けられ、
    前記ヒータパネルは前記一対のパネル支持箱体の他に、パネル支持部材(30、30)により支持されるようになっていると共に、前記パネル支持部材には前記ヒータパネルの浮上り防止部材(31、33)が設けられ、
    前記駆動装置が、ヒータパネル(1)を牽引するチェーン、ロープからなる紐状体(41a、41b)と、複数個の車輪(45、45)と、これらの車輪と前記ヒータパネルとを結合している結合部材(46、49)と、前記紐状体を駆動する牽引モータ(56)とからなり、
    前記紐状体(41a、41b)は、屋根(R)の両側部に設置されている第1、2の駆動ボックス(50a、50b)内にその面が水平に設けられ同期して駆動される駆動用スプロケット(51a〜55)に掛け回され、そして
    前記紐状体と車輪は、前記一対のパネル支持箱体内をそれぞれ走行するように設けられていると共に、前記紐状体の端部は、前記結合部材(46、49)を介して前記ヒータパネルの下面に取り付けられ、それによって前記ヒータパネルが牽引されることを特徴とする、雪下ろし装置。
  3. 請求項1または2に記載の装置において、ヒータパネルとパネル支持箱体は、複数個のユニットが組み合わされて所定大きさあるいは長さになっていることを特徴とする、雪下ろし装置。
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