JP5251552B2 - 水中通信方法、および水中通信装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような、従来技術における水中通信方法では、距離をダイバーに伝えるだけであり、距離測定用と情報通信用の二つの周波数で通信する複雑で高価な通信装置を用いない限り、そのダイバーに指示や連絡事項などを伝えることができない、という課題があった。
親機と子機は、超音波振動子を用いて相互に超音波通信する通信部を備えた通信装置であり、
親機は、各子機の識別子を記憶し、各子機は個別に識別子を記憶し、
親機は、各子機に向けて距離計測用の信号を一斉に送信し、
子機は、前記距離計測用の信号を受信した際、前記識別子を含んだ受領信号を親機に返信し、
親機は、前記距離計測用信号の送信と前記子機における前記受領信号の返信とに関わる通信に要した時間に基づいて特定される各子機との遠近関係を取得するとともに、距離の遠い順に各子機の優先度を決定して優先度の高い子機から順番に通信を行う
ことを特徴としている。
水中で通信をする場合、船上の監視員や他のダイバーを引率するインストラクターは、他のダイバーとの距離を把握し、より遠いダイバーとの通信を優先させることで、安全性が向上する。本発明は、このような思想に基づいてなされたものである。そして、本明細書では、その思想に基づく発明として、上記主たる発明に加え、以下の発明にも言及している。そして、その発明は、
1台の親機と複数の子機とが超音波により水中通信するための方法であって、
親機と子機は、超音波振動子を用いて相互に超音波通信する通信部を備えた通信装置であり、
親機は、各子機の識別子を記憶し、各子機は個別に識別子を記憶し、
親機は、各子機に向けて距離計測用の信号を一斉に送信し、
子機は、前記距離計測用の信号を受信した際、前記識別子を含んだ受領信号を親機に返信し、
親機は、前記距離計測用信号の送信と前記子機における前記受領信号の返信とに関わる通信に要した時間に基づいて特定される各子機との遠近関係を取得し、距離の遠い順に各子機の優先度を決定するとともに、優先度が高い子機から順に長い通信時間を割り当てて、各子機に当該割り当てに関する優先通信情報を送信し、
前記子機は、受信した前記優先通信情報に基づく時間帯にのみ親機と通信を可能にすること、
を特徴としている。
そして、上記親機として機能する通信装置は、子機として機能する複数の通信装置と水中通信する通信装置であって、
超音波振動子と、
当該超音波振動子を用いて超音波通信する通信部と、
各子機の識別子を記憶する記憶部と、
子機に向けて距離計測用信号を一斉同報する同報通信部と、
前記子機が前記距離測定用信号を受信した際に返信する前記識別子を含んだ受領信号を受信して前記距離計測用信号の送信と前記受領信号の返信とに関わる通信に要した時間に基づいて特定される各子機との遠近関係を取得するとともに、距離の遠い順に各子機の識別子を並べ替えて記憶する優先度決定部と、
前記並べ替えて記憶した各子機の識別子の順番を優先順として、優先順位の高い子機から順番に通信する優先通信部と、
を備えたことを特徴としている。
超音波振動子と、
当該超音波振動子を用いて超音波通信する通信部と、
各子機の識別子を記憶する記憶部と、
子機に向けて距離計測用信号を一斉同報する同報通信部と、
前記子機が前記距離測定用信号を受信した際に返信する前記識別子を含んだ受領信号を受信して前記距離計測用信号の送信と前記受領信号の返信とに関わる通信に要した時間に基づいて特定される各子機との遠近関係を取得するとともに、距離の遠い順に各子機の識別子を並べ替えて記憶する優先度決定部と、
前記並べ替えて記憶した各子機の識別子の順番を優先順として、優先順位が高い子機から順に長い通信時間を割り当てて、各子機に当該割り当てに関する優先通信情報を送信する優先通信情報送信部と、
を備えた親機として機能する水中通信装置とすることもできる。
超音波振動子と、
当該超音波振動子を用いて超音波通信する通信部と、
自身の識別子を記憶する記憶部と、
親機から送信された距離計測用の信号を受信した際、前記識別子を含んだ受領信号を親機に返信する受領信号返信部と、
前記親機から送信されてくる時間の割り当てに関する情報を含んだ優先通信情報を受信して記憶する、当該割り当てに関する情報に基づく時間帯にのみ親機との通信を可能にする通信制限部と、
を備えたことを特徴としている。
本発明の実施形態として、ダイバーが携帯する腕時計型のコンピュータ(ダイブコンピュータ)を挙げる。図1は、当該ダイブコンピュータ1の外観図である。そして、外観上の差異はないが、ダイブコンピュータ1には、一台の親機と複数台の子機とがあり、この実施形態では、親機は、インストラクターなど、他の複数のダイバーを監視する人が携帯し、他の複数のダイバーはそれぞれ子機を携帯するものとする。なお、ここに示したダイブコンピュータ1は、ダイビングに先立って所定の操作を行うことで、親機にも子機にも成り得るものとする。もちろん、親機用ダイブコンピュータと子機用ダイブコンピュータとが区別されていてもよいし、親機は、監視員が乗船する船上などに設置される形態であってもよい。
図2に上記ダイブコンピュータ1の機能ブロック構成を示した。ダイブコンピュータ1のハードウエア構成は、ダイビング用途に特化されたコンピュータであり、MPU20、RAM21、ROM22からなるコンピュータ本体をコントローラとしている。ROM22にはMPU20によって実行される各種プログラムに加え、ダイブコンピュータ1ごとに固有の識別子が記憶されている。また、英数字やカタカナ、および記号に対応する文字コードや、ダイバー同士で簡単なコミュニケーションを取るために使用される定型文を記述するテキストデータなども記憶されているものとする。
親機と子機には構造上の違いが無く、使用時に親機として機能させるか、子機として機能させるのかを決定する。インストラクターは、自身と受講者人数分のダイブコンピュータ1を用意し、自身のダイブコンピュータ1に対して所定の操作を行うことで、自身のコンピュータ1を親機1Mに設定する。本実施例では、MPU20が操作制御部26から所定の操作入力情報を受け取ると、自身の識別子に親機である旨のフラグを含むヘッダ情報を付加し、そのヘッダ付きの識別子をRAM21に格納することで自身を親機に設定する。
本発明は、親機1Mと最も距離が離れているダイバーが最も危険であり、その最も遠いダイバーから順に安全を確保する、という思想に基づいている。本実施例では、親機1Mが複数の子機1Sとの間で個別に情報通信を行う際、子機1S毎に親機1Mとの距離が遠い順に優先度を決定し、親機1Mは、より遠い子機1Sと優先的に通信を行うこととしている。本実施例では、親機1Mが最も遠い子機1Sと優先的に通信する際の方法や、優先度の決定処理によって、いくつかの変形例や応用例(第1〜第3の実施例)、およびその他の実施例が存在する。以下では、図5に示したように、インストラクター11が携帯するダイブコンピュータ(親機)1Mと、3人の受講者ダイバー12a〜12cのそれぞれが携帯するダイブコンピュータ(子機a〜子機c:1Sa〜1Sc)を用いて通信する事例を挙げ、各実施例を個別に説明する。
以下に示す各実施例に係る水中通信方法では、親機1Mと子機(1Sa〜1Sc)間での通信に要した時間に基づいて各子機(1Sa〜1Sc)との遠近関係を特定することとしている。すなわち、必ずしも各子機(1Sa〜1Sc)との距離を正確に計測する必要はない。少なくとも、相対的な遠近関係が特定できればよい。図6に、その遠近関係の特定、および親機1Mと各子機(1Sa〜1Sc)間での情報通信に関わる情報処理の流れを示した。ここでは、ペアリングを済ませた親機1M、あるいは子機(1Sa〜1Sc)を携帯した複数のダイバー(11,12a〜12c)がダイビングを開始し、子機(1Sa〜1Sc)を携帯する各受講者ダイバー(12a〜12c)に関する情報(深度、潜水経過時間、水温など)をインストラクター11が親機1Mにて確認する、という場面を想定してみる。
上記第1の実施例では、距離に応じた優先度を通信の順番としていた。第2の実施例は、優先度を順番ではなく、通信時間とし、最も遠い子機1Saから順に長い通信時間を割り当て、その通信時間内に限って親機1Mと子機(1Sa〜1Sc)とが通信するものである。これは、親機1Mから最も遠い子機1Saから順に通信時間を長く割り当てることで、インストラクター11が、より危険性が高いダイバー(12a,12b)からより多くの情報を得ることができるようにしている。それによって、コミュニケーション不足による事故や危険性を回避している。
上記第1および第2の実施例では、距離に応じて各子機(1Sa〜1Sc)の優先度を決定していた。しかし、複数の子機(1Sa〜1Sc)の距離が同程度であれば、バッテリー残量が少ない子機(1Sa〜1Sc)を携帯するダイバー(12a〜12c)や、インストラクター11との間に障害物があるダイバー(12a〜12c)の安全性確保を優先させた方がよい。第3の実施例は、このような場合に対応する実施例であり、距離が同程度のダイバー(12a〜12c)同士では、子機(1Sa〜1Sc)からの送信信号の受信強度が弱い方の優先度を上げるものである。
<メッセージ通信>
インストラクター11は、自身の親機1Mと講習者ダイバー(12a〜12c)の子機(1Sa〜1Sc)とが、第1〜第3の実施例に示した手順で通信することで、各ダイバー(12a〜12c)の状況を子機(1Sa〜1Sc)からの各種情報によって親機1Mにて確認することができる。この確認に際し、インストラクター11は、確認した情報の内容とともに、講習者ダイバー(12a〜12c)の経験や技量に鑑み、特定のダイバー(12a〜12c)に対してメッセージを送る必要性も生じる。このような必要性に対応するために、親機1Mが特定の子機(1Sa〜1Sc)に対して所用の情報を送信するための機能も備えている。この機能を使用するためには、親機1Mにて、番号によって送信相手の子機(1Sa〜1Sc)を指定するとともに、あらかじめROM22に登録されているメッセージ(例えば、COME UP「浮上しなさい」など)を呼び出す。あるいは、操作ボタン5を使って文字を一つずつ指定入力してメッセージ文を作成する。そして、そのメッセージを送信する操作を行う。親機1Mは、子機(1Sa〜1Sc)の識別子とメッセージのテキストデータとを含んだ超音波信号を送信する。子機(1Sa〜1Sc)は、メッセージを含んだ信号中に自身の識別子があれば、アラーム音を音声出力するとともに、そのメッセージを表示出力する。
上記第1〜第3の実施例では、ペアリングによって親機1Mと子機(1Sa〜1Sc)の時刻を同期させ、親機1Mは、その同期した時刻に基づいて各子機(1Sa〜1Sc)との相対的な遠近関係を特定していた。しかし、この例に限らず、ペアリングにおいて時刻の同期を必要としないで距離を測定する方法も存在する。また、時刻を同期させた場合においても第1〜第3の実施例で採用した距離測定方法以外の方法が存在する。以下にその他の距離測定方法を示す。
第1〜第3の実施例では、親機1Mは、操作入力に応動して距離測定用信号を送信し、各子機(1Sa〜1Sc)の優先度を決定していた。しかし、インストラクター11としては、受講者ダイバー(12a〜12c)との距離を常に監視しておく必要がある。そこで、親機1Mが周期的に距離測定用信号の送信処理とそれに対する子機(1Sa〜1Sc)からの受領信号の受信処理を行い、随時優先度を更新して記憶するようにしてもよい。そして、親機1Mは、各子機(1Sa〜1Sc)間の相対的な遠近関係や、特定の子機(1Sa〜1Sc)との距離などを、操作入力に従って適宜に表示出力する。自動的に表示を更新し続けてもよい。
本発明の実施形態として腕時計型のダイブコンピュータ1を例示したが、本発明の実施形態はこれに限るものではない。例えば、エアタンクに接続されている酸素残量計に図2に示したようなダイブコンピュータ1の構成を内蔵させれば、潜水経過時間を目安にしてエア残量を推測するのではなく、直接残量計から取得することができる。そして、その正確な残量を親機1Mに送信することができる。また、当然のことながら、ダイブコンピュータ1の操作手順や出力情報の内容、情報出力の仕方などのユーザインタフェース環境は適宜に変更可能である。なお、以上の実施形態では、一つの超音波振動子を備えた通信装置で、一つの周波数で距離の測定と情報の送受信を行えるため、通信装置を安価に提供することを可能としつつ、情報通信に際しては、各実施例の説明において示したように、危険度が高い作業者から優先して情報通信を行えるため、ダイバーなどの水中作業者の安全性を十分に確保することができる。
4 液晶表示器、5 操作ボタン、11,12a〜12c ダイバー、
20 MPU、21 RAM、22 ROM、25 表示制御部、
26 操作制御部、27 圧電スピーカ、28 音声出力制御部、
29〜31 センサ、40 超音波振動子、41 送信制御部、
42 受信制御部、43 スイッチ、44 通信モード切替部
Claims (8)
- 1台の親機と複数の子機とが超音波により水中で通信するための方法であって、
親機と子機は、超音波振動子を用いて相互に超音波通信する通信部を備えた通信装置であり、
親機は、各子機の識別子を記憶し、各子機は個別に識別子を記憶し、
親機は、各子機に向けて距離計測用の信号を一斉に送信し、
子機は、前記距離計測用の信号を受信した際、前記識別子を含んだ受領信号を親機に返信し、
親機は、前記距離計測用の信号の送信と前記子機における前記受領信号の返信とに関わる通信に要した時間に基づいて特定される各子機との遠近関係を取得するとともに、距離の遠い順に各子機の優先度を決定して優先度の高い子機から順番に通信を行う
ことを特徴とする水中通信方法。 - 1台の親機と複数の子機とが超音波により水中通信するための方法であって、
親機と子機は、超音波振動子を用いて相互に超音波通信する通信する通信部を備えた通信装置であり、
親機は、各子機の識別子を記憶し、各子機は個別に識別子を記憶し、
親機は、各子機に向けて距離計測用の信号を一斉に送信し、
子機は、前記距離計測用の信号を受信した際、前記識別子を含んだ受領信号を親機に返信し、
親機は、前記距離計測用の信号の送信と前記子機における前記受領信号の返信とに関わる通信に要した時間に基づいて特定される各子機との遠近関係を取得し、距離の遠い順に各子機の優先度を決定するとともに、優先度が高い子機から順に長い通信時間を割り当てて、各子機に当該割り当てに関する優先通信情報を送信し、
前記子機は、受信した前記優先通信情報に基づく時間帯にのみ親機と通信を可能にする ことを特徴とする水中通信方法。 - 請求項1または2において、親機は、前記受領信号の信号強度を取得する信号強度取得部を備えるとともに、各子機との距離の遠近を特定する際、前記通信に要した時間が複数の子機において所定の時間以内である場合、前記受領信号の信号強度の弱い方の子機の優先度を上げることを特徴とする水中通信方法。
- 子機として機能する複数の通信装置と水中通信する通信装置であって、
超音波振動子と、
当該超音波振動子を用いて超音波通信する通信部と、
各子機の識別子を記憶する記憶部と、
子機に向けて距離計測用信号を一斉同報する同報通信部と、
前記子機が前記距離計測用信号を受信した際に返信する前記識別子を含んだ受領信号を受信して前記距離計測用信号の送信と前記受領信号の返信とに関わる通信に要した時間に基づいて特定される各子機との遠近関係を取得するとともに、距離の遠い順に各子機の識別子を並べ替えて記憶する優先度決定部と、
前記並べ替えて記憶した各子機の識別子の順番を優先順として、優先順位の高い子機から順番に通信する優先通信部と、
を備えたことを特徴とする親機として機能する水中通信装置。 - 子機として機能する複数の通信装置と水中通信する通信装置であって、
超音波振動子と、
当該超音波振動子を用いて超音波通信する通信部と、
各子機の識別子を記憶する記憶部と、
子機に向けて距離計測用信号を一斉同報する同報通信部と、
前記子機が前記距離計測用信号を受信した際に返信する前記識別子を含んだ受領信号を受信して前記距離計測用信号の送信と前記受領信号の返信とに関わる通信に要した時間に基づいて特定される各子機との遠近関係を取得するとともに、距離の遠い順に各子機の識別子を並べ替えて記憶する優先度決定部と、
前記並べ替えて記憶した各子機の識別子の順番を優先順として、優先順位が高い子機から順に長い通信時間を割り当てて、各子機に当該割り当てに関する優先通信情報を送信する優先通信情報送信部と、
を備えたことを特徴とする親機として機能する水中通信装置。 - 請求項4または5において、前記受領信号の信号強度を取得する信号強度取得部を備えるとともに、前記優先度決定部は、各子機との距離の遠近を特定する際、前記通信に要した時間が複数の子機において所定の時間以内である場合、前記受領信号の信号強度の弱い方の子機をより遠方とすることを特徴とする親機として機能する水中通信装置。
- 親機として機能する1台の通信装置と水中通信する通信装置であって、
超音波振動子と、
当該超音波振動子を用いて超音波通信する通信部と、
自身の識別子を記憶する記憶部と、
親機から送信された距離計測用の信号を受信した際、前記識別子を含んだ受領信号を親機に返信する受領信号返信部と、
前記親機から送信されてくる時間の割り当てに関する情報を含んだ優先通信情報を受信して記憶する、当該割り当てに関する情報に基づく時間帯にのみ親機との通信を可能にする通信制限部と、
を備えたことを特徴とする子機として機能する水中通信装置。 - 請求項7において、前記時間帯の少なくとも開始時点と終了時点を利用者に報知する時間帯報知部を備えたことを特徴とする子機として機能する水中通信装置。
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