JP5250873B2 - 宇宙飛翔体用触媒分解式スラスタ - Google Patents

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本発明は、宇宙飛翔体用の触媒分解式スラスタに関する。特に、本発明は、宇宙飛翔体に用いられる一液推進系に好適に使用し得る、触媒分解式スラスタに関する。
宇宙空間において、宇宙機等の宇宙飛翔体の姿勢・軌道を制御する際に用いられる推進系として、従来、液体推進薬を触媒で分解させ、得られた反応ガスを噴射することにより推進力を得る、所謂一液推進系である触媒分解式スラスタが使用されてきた。
宇宙飛翔体用の一液推進系に使用する燃料としては、ヒドラジンを使用することが多い。ヒドラジンは、反応性が高い点で優れた燃料であるといえるが、取り扱いに危険を伴う。このため、近年、ヒドラジンに代わる低毒性の液体推進薬として、硝酸ヒドロキシルアンモニウム(「HAN」)系の液体推進薬が注目されている。
例えば、特開2007−023135号公報には、一液のみで機能を果たす推進剤であるモノプロペラント(一液推進薬)等に用いられる安全性の高い液体酸化剤として、ヒドロキシルアンモニウムナイトレート(HAN)及びヒドラジニウムナイトレート(HN)を水(H2O)に溶解し、さらに10重量%以下の燃料成分を含む液体酸化剤が開示されており、この液体酸化剤と、固体燃料又は液体燃料を別々に保管し、使用直前に混合又は接触させて着火し高温ガスを発生させる高温ガス発生方法が開示されている。
また、特開2004−340148号公報には、HAN基推進薬を反応器に導入し、推進薬内のHANの少なくとも大部分を解離させるように推進薬を分解し、反応器の出力物を燃焼器に導き、解離HANの解離生成物を推進薬内の未反応燃料と燃焼させるように、反応器の出力物を燃焼器内で燃焼させる方法が開示されている。
燃料としてヒドラジンを使用する場合の触媒分解式スラスタとしては、例えば、図1に示すようなものが考えられる。この触媒分解式スラスタ10では、ヒドラジン等の液体推進薬を推進薬タンク11に貯蔵しておき、これを流路12を通して燃焼器13へ送る。燃焼器13は、ヒドラジン等の液体推進薬を触媒分解させる触媒層14を備えている。流路12から搬送されてきたヒドラジン等の液体推進薬は、インジェクタ15により、触媒層14に向かって複数の棒状の水流のように放出される。
例えば、特開2004−331425号公報には、ヒドロキシルアンモニウムナイトレート(HAN)、ヒドラジウムナイトレート(HN)及び水を含むHAN/HN混合系の酸化剤と燃料成分とからなるHAN/HNベースモノプロペラントを、触媒に直接噴霧して高温ガスを発生させる高温ガス発生方法が開示されている。
特開2007−023135号公報 特開2004−340148号公報 特開2004−331425号公報
図1に示すような従来の触媒分解式スラスタの場合、インジェクタ15から触媒層14に向かって棒状の水流のように放出されたヒドラジン等の液体推進薬は、その一部が水流の衝突した触媒層14中の触媒付近にとどまるものの、大部分はインジェクタ15と触媒層14との間、あるいは触媒層14とノズルとの間の燃焼器13の内壁付近に滞留してしまう。触媒層14とノズルとの間に滞留する未反応の液体推進薬は、液体噴射の原因となる。
また、図1に示すような触媒分解式スラスタは、ヒドラジンに代えてHAN系の液体推進薬を使用する場合には、更なる問題を生ずる。すなわち、HAN系の液体推進薬は、ヒドラジンに比べて、毒性が低い点で優れているものの、反応性は低い。このため、HAN系の液体推進薬を触媒分解させるためには、触媒層中の触媒を予め加熱しておくことにより、触媒を高温にして活性を高めておく必要がある。このような場合に、HAN系の液体推進薬をインジェクタから棒状の水流のように放出し、予め高温で活性化させておいた触媒層に衝突させると、液体推進薬が集中的に触れた触媒の部分は、液体推進薬で冷却されて局所的に温度が低下してしまう。上記のとおり、HAN系の液体推進薬の反応性は触媒の温度に依存する。そのため、触媒層中の予熱された部分と液体推進薬が衝突して温度が低下してしまった部分との間で、触媒反応に著しい偏りが生じてしまうことになる。同様に、燃焼器の内壁付近に滞留する液体推進薬もまた、触媒層中の触媒の温度を著しく下げ、触媒活性を低下させてしまう。
このように、未反応の液体推進薬が滞留し、あるいは触媒反応に偏りが生ずることは、触媒分解式スラスタの出力の低下につながるため、望ましくない。
したがって、本発明は、一液推進系においてHAN系の液体推進薬を使用する場合であっても高いスラスタ出力を得ることのできる触媒分解式スラスタを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、触媒分解式スラスタの燃焼器中の触媒層に対して、インジェクタによって液体推進薬を供給するにあたり、触媒層に向かって液体推進薬を拡散噴霧して、触媒に噴き付けることにより、未反応の液体推進薬が燃焼器中に滞留するのを防止するとともに、触媒の局所的な温度低下や触媒反応の偏りの発生をも防止して、高いスラスタ出力を維持することにより、上記課題を解決し得るとの知見に基づき、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、液体推進薬を触媒で分解させて得られる反応ガスを噴射して推進力を得る、宇宙飛翔体用の触媒分解式スラスタであって、液体推進薬を収容するための中空のタンクと、液体推進薬を分解させ、反応ガスを噴射する燃焼器と、液体推進薬をタンクから燃焼器へ供給する流路とを備え、タンクはさらに、タンク内に前記液体推進薬が充填された区画を形成するとともに、液体推進薬を燃焼器へ送出するピストンを備え、燃焼器はさらに、液体推進薬を触媒分解させるための触媒を有する触媒層と、触媒層を加熱するための加熱装置と、触媒層に対して液体推進薬を供給するインジェクタとを備え、ピストンに所定の圧力を印加することにより、インジェクタが触媒層に対して液体推進薬を噴霧する、触媒分解式スラスタを提供する。
本発明によれば、液体推進薬をインジェクタにより微細化して触媒層に均一に拡散噴霧することにより、多量の液体推進薬が特定の箇所に集中して衝突することにより生ずる局所的な触媒層の温度低下を防ぐことができ、触媒層中の触媒反応の偏りもなくなる。また、噴霧された液体推進薬は、反応に寄与する単位表面積が増大しており、触媒との接触表面積も大きくなるため、反応性が良好になる。さらに、液体推進薬の触媒分解による反応熱を効率よく得ることができるため、液体推進薬の自己分解性を高めることも可能となる。
従来の触媒分解式スラスタの断面模式図である。 本発明による触媒分解式スラスタの断面模式図である。 本発明で採用するタンクの断面模式図である。 本発明の一実施形態により得られた地上噴射試験の結果を示す図である。
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
図2に、本発明による触媒分解式スラスタの断面模式図を示す。触媒分解式スラスタ1は、液体推進薬を触媒で分解させて得られる反応ガスを噴射して推進力を得る、触媒分解式スラスタ1である。この触媒燃焼式スラスタ1は、液体推進薬を収容するための中空のタンク2と、液体推進薬を燃焼させ、燃焼ガスをノズル3から噴射する燃焼器4と、液体推進薬をタンク2から燃焼器4へ供給する流路5と、を備えている。
a.タンク
図3に、本発明で採用するタンクの断面模式図を示す。
ここでは円筒形状のタンク2を示しており、例えば内径50mmの円筒形状のタンクを使用することができるが、タンク2の形状・寸法はこれらに限定されない。HAN系液体推進薬が強酸性であることに鑑みて、タンク2の材質は、材料適合性試験により適合性が確認されているステンレスやチタン材料とするのが望ましい。
タンク2はピストン9を備えており、ピストン9はタンク2の内部に液体推進薬Lが充填された区画を形成している。また、後述するとおり、ピストン9が作動することにより、液体推進薬Lが燃焼器4へ送出される。図3では、所定の圧力を印加することによりピストンを移動させるための押しガスGと、液体推進薬Lとが、ピストン9を介して分離されている。押しガスGとしては、窒素やヘリウムなどのガスを使用することができ、押しガスGのガス圧でピストン9を押すことにより、液体推進薬Lをタンク2から排出する構造となっている。
本発明の触媒分解式スラスタにおけるタンクがこのようなピストンなどの気液分離機構を備えていることは、本発明の触媒分解式スラスタが宇宙飛翔体に用いられる点で、極めて重要である。すなわち、本発明のようにタンクの内部に気液分離機構を設けて液体推進薬が充填された区画を形成することなく、タンク内部で液体部分とガス部分とが分離されていない状態で、タンクを宇宙環境で使用すると、無重力下で液体推進薬がタンクの内壁付近に偏在するようになってしまう。このような状態で液体推進薬をタンクから排出しようとすると、ガスが排出されてしまうため液体推進薬を効率的に排出することが不可能となり、その結果触媒分解式スラスタの出力が低下してしまう。本発明のようにタンクの内部に気液分離機構を設けることにより、このような問題が生じるのを防ぐことができる。HAN系液体推進薬に対する耐性の観点から、気液分離機構であるピストン9もステンレスや高分子材料などの材料適合性がある材料とするのが望ましい。
タンク2の内面は、鏡面仕上げとなっている。また、宇宙環境で押しガスGのガス圧でピストン9を押すことに鑑み、タンク2は、安全率を2倍以上(地上燃焼試験においては安全率を4倍以上)として、内圧3MPa程度の、宇宙飛翔体の軌道上で想定される圧力にも十分に耐えられるような、耐圧構造としている。
タンク2へ液体推進薬Lを充填する場合には、次のように、宇宙飛翔体における液体推進薬の充填方法として一般的に用いられる所謂真空充填方式を採用することができる。
図3において、まず、液ポートPLを開放する。この時点では、ピストン9は、タンク2の液ポートPL側の底面に接した場所に位置している。次いで、ガスポートPGから真空ポンプで真空引きをすると、ピストン9がタンク2の内部をガスポートPG側に向かって移動する。次に、ガスポートPGを閉じた後に、液ポートPLから真空引きする。その後、液ポートPLを閉じ、液ポートPLを推進薬輸送容器(図示せず)と接続する。そして、液ポートPLを開放すると液体推進薬がタンク内に充填される。
なお、HAN系推進薬は長期保管が可能なので、タンク2に充填した状態で液体推進薬を保存することも可能である。
b.燃焼器
図1に戻って、燃焼器4はステンレス合金系の材料であるのが望ましい。燃焼器4の材質は、高温(1000℃以上)の反応ガスおよび強酸性である未反応の液体推進薬に触れても材料適合性があるものを選定すればよい。燃焼器4の形状は、宇宙飛翔体で使用されている一般的な耐圧形状であればよく、例えば円筒形状とすることができる。燃焼器4の構造としては、反応ガスの圧力が1MPa弱の圧力を有することから、これに十分耐えられるような構造とし、さらに地上燃焼試験においては安全性から安全率4以上を確保する(宇宙用飛翔体においては安全率2など設計による)のが望ましい。
燃焼器4により得られるスラスト力としては、15N程度が得られるのが望ましい。得られるスラスト力の大きさは、スラスタ形状を調整することなどにより変更することが可能である。
燃焼器4のノズル3としては、宇宙飛翔体において通常使用されている種類のものを採用することができる。ノズル3については、ノズル3のスロートで反応ガスがチョークすることで、反応ガスの圧力が計測でき、計測結果からスラスタ性能を評価することができる。そして、評価されたスラスタ性能に基づいて、チョークできるノズル系を選定することが可能である。
ノズル3から反応ガスを排出して推進力を得るプロセスは、反応ガスがノズル3のスロートでチョークされ、音速となってスロートを通過し、その後適正に膨張することで推進力が得られる、というものである。
c.流路
流路5は通常、ステンレス合金などの材料適合性、高温耐性のある配管材料で構成されており、例えば1/8配管により構成することができる。流路5の形状は一般的には直管である。流路5の構造・性能としては、一般的なステンレス配管が有する構造・性能であれば足りる。
本発明の触媒分解式スラスタでは、図3に示したように、液体推進薬Lは、タンク2を加圧するガスGでピストン9が押され、液体推進薬Lが送出される構造を採用することができる。液体推進薬Lは、図2に示したように、そこから流路5に供給され、ステンレス配管などで構成される流路5を通って、燃焼器4上流の推薬弁でその供給が制御され、燃焼器4に供給される。
さらに、燃焼器4は、液体推進薬を触媒分解させるための触媒を有する触媒層6と、触媒層6を加熱するための加熱装置7と、触媒層6に対して液体推進薬を供給するインジェクタ8とを備えている。そして、ピストン9に所定の圧力を印加することにより、インジェクタ8は、触媒層6に対して、液体推進薬を噴霧する。
d.触媒層
触媒層6は、燃焼器4の内部において、インジェクタ8から噴霧された液体推進薬が触媒層6全体に過不足なく噴霧されるように、インジェクタ8の先端から触媒層6までの距離を最適化して配置する。例えば、インジェクタ8の先端から約50mmの位置に触媒層6を配置することができる。
触媒層6で分解された液体推進薬の反応ガスは、燃焼室中の触媒層6の下流の領域で完全に分解し、それがノズル3から排出される。燃焼器4中このプロセスに関与する部分の内面には、耐熱材料としてグラファイトを使用する。
触媒層6に使用する触媒としては、例えばS405というイリジウムを担持させたアルミナ担体の触媒を使用することができる。触媒の種類は、宇宙飛翔体の一液推進系に通常使用される触媒であれば、特に制限はない。触媒の寸法及び形状としては、粒径が0.5mm以下程度の粒状のものを使用するのが好適である。触媒層6は、このような触媒がこぼれない程度に細かいメッシュのステンレス系の金網で触媒を挟み込むことにより構成することができる。さらに、触媒層6の保持には、耐熱および耐圧材料としてステンレス合金系の金網を使用するとともに、補強材として炭素繊維およびセラミック材料を使用するのが望ましい。
触媒層6の触媒で分解される液体推進薬としては、例えば、硝酸ヒドロキシアンモニウムに、硝酸アンモニウム、水、メタノールを、質量比95:5:8:21で混合したものを使用することができる。このような組成を有する液体推進薬の比重は1.4であり、凝固点は−68℃である。
触媒層6の触媒でこのようなHAN系の液体推進薬を分解することにより推進力を得るメカニズムは、HAN系液体推進薬が触媒によって分解され、チッ素、水素等に分解され、その際に高温となり、さらにその反応過程において、燃料成分のメタノールが燃焼器4内で燃焼して、ノズルから排出される、とういうものとして説明される。
e.加熱装置
加熱装置7としては、特に制限はなく、例えば電熱線をテープ状に加工したテープヒータを使用することができる。このようなヒータは、例えば10Ωの電熱線に24Vの電圧をかけて発熱させるものである。加熱装置7の施工は、テープヒータを使用する場合には、触媒層6付近の燃焼器4の外側に、テープヒータを巻きつけることにより行うことができる。そして、ステンレス製の燃焼器4の熱伝達を利用して、触媒層6を加熱する。
f.インジェクタ
インジェクタ8も、他の要素と同様の理由から、ステンレスやチタンなどの材料適合性、高温耐性のある材料で構成するのが望ましい。このインジェクタ8は、燃焼器4内で触媒層6の上流に配置される噴霧器である。インジェクタ8から噴霧された液体推進薬が、触媒層6の触媒に均一に噴霧されるようにするためには、スプレーの拡散角度を計測から50°とするのが好適であると考えられる。
インジェクタにより噴霧された液体推進薬の液滴の粒径は、0.1mm〜0.7mm程度であるのが望ましく、さらに望ましくは0.3mm〜0.5mm程度である。触媒層6において粉末状の触媒を保持するために、通常は金属製の網を用いて触媒を両側から挟み込む。このような構造の触媒層6の触媒に対して、液体推進薬を直接噴霧するのは、極めて困難である。一方、上記のような粒径が0.5mm以下程度の粒状の触媒を固定するのに使用する触媒保持用の金網は、通常線径0.2mm程度で40メッシュ程度のものである。したがって、このサイズよりも液滴が大きすぎると、金網を構成する金属線に衝突し、液滴が触媒に到達しにくくなる。反対に、小さ過ぎる液滴は、慣性力が小さく、移動速度が低下するため、液体推進薬が効率良く触媒層6に到達するのが困難になるとともに、表面張力が非常に大きくなるため、金網にはじかれて通過する事が難しくなり、未反応の液体推進薬が大量に形成される原因となる。未反応の液体推進薬の大量の液滴は、大きな塊となり、触媒温度の低下をもたらす一方、突然反応することにより爆発を起こす危険も有する。さらに、微細すぎる液滴は、過敏な反応を示し、触媒を熱する際に同時に温められる触媒保持用の金網にこれが触れた際にも反応を起こし、保持金網を融解させてしまうことにもなる。したがって、触媒保持用の金網を使用するタイプの触媒層6を採用する場合には、噴霧された液体推進薬の液滴の粒径が、金網のメッシュ間隔の70〜120%の大きさとなるようにするのが望ましい。
本発明による触媒分解式スラスタは、ピストン9に所定の圧力を印加することにより、インジェクタ8が触媒層6に対して液体推進薬を噴霧するものである。その際、ピストン9に印加する圧力は、液体推進薬の粘度等を考慮して、押し圧を0.75MPa以上とするのが望ましい。押し圧が低すぎると液体推進薬は噴霧されずに水流となってしまう。また、押し圧の上限は、宇宙環境での使用の観点から、4MPa程度であるものと考えられる。
図2及び図3に示されているような構造を有する本発明による触媒分解式スラスタを作製し、ピストンにより印加される液体推進薬の供給圧を一定の0.75MPaに調圧して、5秒間連続して推進薬を供給して燃焼実験を行った。触媒分解式スラスタの性能は、推進薬の流量と燃焼器の内圧を計測することにより評価した。比較のため、図1に示されているような構造を有する触媒分解式スラスタを作製し、同様の実験を行った。結果を図4に示す。
図4から、従来の構造の触媒分解式スラスタでは、燃焼効率は53%程度であるのに対し、本発明の構造の触媒分解式スラスタでは、燃焼効率は83%程度と、従来に比べて約1.6倍向上していることがわかる。
1 スラスタ
2 タンク
3 ノズル
4 燃焼器
5 流路
6 触媒層
7 加熱装置
8 インジェクタ
9 ピストン

Claims (1)

  1. 液体推進薬を触媒で分解させて得られる反応ガスを噴射して推進力を得る、宇宙飛翔体用の触媒分解式スラスタであって、当該触媒分解式スラスタは、
    前記液体推進薬を収容するための中空のタンクと、
    前記液体推進薬を分解させ、反応ガスを噴射する燃焼器と、
    前記液体推進薬を前記タンクから前記燃焼器へ供給する流路と、
    を備え、
    前記タンクはさらに、前記タンク内に前記液体推進薬が充填された区画を形成するとともに、前記液体推進薬を前記燃焼器へ送出するピストンを備え、
    前記燃焼器はさらに、
    前記液体推進薬を触媒分解させるための触媒を有する触媒層と、
    前記触媒層を加熱するための加熱装置と、
    前記触媒層に対して前記液体推進薬を供給するインジェクタと、
    を備え、前記ピストンに所定の圧力を印加することにより、前記インジェクタが前記触媒層に対して前記液体推進薬を噴霧することを特徴とする、前記触媒分解式スラスタ。
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