JP5250802B2 - インターロッキングブロック及びその製造方法 - Google Patents
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Description
上面に滑り止め用凹凸を有するとともに下面に1つの嵌合用凹部を有する、無垢木材から成る木質部と、
上面に前記嵌合用凹部に対応する1つの嵌合用凸部を有する、透水性コンクリートから成るコンクリート部と、
から成り、
前記木質部が、前記無垢木材を板目取りした板材から成り、該板材の芯側の板目が前記木質部の上面になるように構成され、かつ前記1つの嵌合用凹部が前記板目の木芯部分の略真下に形成されており、
前記嵌合用凹部及び前記嵌合用凸部が、下部断面積よりも上部断面積の方が大きくなるように構成されていることを特徴とする。
例えば、前記木質部は、少なくともその上面を含む部分が圧縮加工された無垢木材から成ることが望ましい。
また、木材の一般的な乾燥処理(人工乾燥)は40〜130℃で行われるが、これよりも高温の180〜220℃で熱処理された無垢木材から木質部を構成すると、木材の乾燥に加えて、耐腐食性、防蟻性や寸法安定性に優れた木質部を得ることができる。
前記インターロッキングブロックの木質部を、前記嵌合用凹部が存在する面を上にして型へ挿入する挿入工程と、
透水性コンクリート材料を混練して、前記木質部の前記嵌合用凹部が存在する面を覆うように型に投入する投入工程と、
を含むことを特徴とする。
さらにまた、本発明に係るインターロッキングブロックでは、木質部の下面に透水性コンクリートから成るコンクリート部を結合したため、降雨等によってインターロッキングブロックが濡れても、木質部とコンクリート部の結合部分に水が溜まりにくく、木質部をより一層腐食しにくくすることができる。
これらのことから、本発明に係るインターロッキングブロックは、長期に亘って平らな敷設面を提供することができる。
以下、本発明に係るインターロッキングブロックの一実施例を、図1及び図2を参照して説明する。
本実施例に係るインターロッキングブロック1は、無垢木材を切削加工して得た木質部2と、透水性コンクリートから成るコンクリート部3とから成り、全体として1個の略直方体形状を呈している。
以下の説明では、インターロッキングブロック1を実際に敷設した際に敷設面として現れる側、即ち木質部2側を上とし、インターロッキングブロック1を敷設した際に隠れる側、即ちコンクリート部3側を下とする。さらに、インターロッキングブロック1の上面において短い方の辺を縦、長い方の辺を横とし、上下方向の辺を高さと表現することにする。
木質部2及びコンクリート部3の縦幅及び横幅は上記の値に限定されるものではないが、高さはどちらも30mm以上であることが望ましい。これは、どちらも30mm未満であれば大きな荷重が上面に加わった際に割れやすいためである。
木質部2の縦幅及び横幅は、コンクリート部3の縦幅及び横幅よりも僅かに小さくなるように設計されているが、その理由については後述する。
固化後に透水性コンクリートが得られるのであれば、材料の種類や配合比率は上記に限定されるものではない。
蟻溝21には、コンクリート部3の上面の嵌合用凸部31が嵌合している。コンクリート部3の嵌合用凸部31は、蟻溝21の内部形状に対応する形状を有している。従って、蟻溝21(嵌合用凹部)が延びる方向に両者をスライドさせたときにのみ、蟻溝21と嵌合用凸部31の嵌合を解くことができる。但し、後述するように、本実施例では、蟻溝21の内部に嵌合用凸部31が略隙間無く入り込んでいるため、かなり大きな力を加えなければ、木質部2をコンクリート部3から取り外すことができない。(即ち、コンクリート部3の全体が余程大きく破損しない限り、木質部2がコンクリート部3から剥離することはない。)
また、木質部2は無垢木材によって作製されるために、従来の集成材と同様に蓄熱しにくい。従って、敷設面付近の気温が上昇しにくく、歩行者に不快感を与えにくい。
図3及び図4を参照しながら、一実施例に係るインターロッキングブロックの製造方法について説明する。ここでは、木質部2の材料である無垢木材として圧縮加工木材を採用した場合の製造方法を説明し、生木材を採用した場合の製造方法の説明は省略する。なお、生木材を採用した場合の製造方法は、図4のS1がないだけで、それ以外の工程は圧縮加工木材を採用した場合と同じである。
さらに、セメント、7号砕石及び混和剤を、最終的な単位容積質量に換算してセメント401kg/m3、7号砕石1735kg/m3、混和剤4.01kg/m3の割合で計量し(図4のS4)、よく混ぜた後に水122kg/m3を加えて混練した(図4のS5)。そして、得られた所定量の透水性コンクリート材料の混合物を、木質部2の下面を覆うように型10に投入し(図3(b)及び図4のS6)、蟻溝21の内部に固化前の透水性コンクリート材料の混合物が入り込むように、全体を振動加圧して一体化させた(図4のS7)。その後、型10を上方向にスライドさせて取り除き(図3(c))、可動鉄板11と共に密閉された養生室内で24時間の一次養生を施した後、養生室から取り出して可動鉄板11を取り除き、屋外で3日間の自然養生を施すことにより、透水性コンクリート材料の混合物を十分に固化させた(図4のS8)。最後に、インターロッキングブロック1を得た(図3(d))。
なお、木質部2と型10の内側面との隙間の幅は、型10に投入される透水性コンクリート材料の混合物の粘性に応じて実験的に適宜設定すればよい。
本発明に係るインターロッキングブロックの特性を調べるための各種試験を行った。その結果について以下に説明する。なお、いずれの試験においても、上記実施例に係る製造方法にて製造したインターロッキングブロック1及び木質部2、又は単体で製造したコンクリート部3(即ち、木質部2と一体化させることなく透水性コンクリート材料の混合物のみを固化させたもの)を使用した。
本実施例の製造方法に基づき、杉の生木材の全体を圧縮加工した圧縮加工木材により作製した木質部2と、杉の生木材より作製した木質部2を用いて破壊荷重試験を行い、それぞれの曲げ強度を調べた。試験方法についてはJIS A5371の付属書B.5.2の規定に準拠した。結果を図5に示す。
生木材による木質部2の曲げ強度は21.92N/mm 2 であり、圧縮加工木材による木質部2の曲げ強度は23.78N/mm 2 であった。この結果から、木質部2は生木材・圧縮加工木材ともに高い曲げ強度を有し、特に圧縮加工木材から成る木質部2は高い曲げ強度を有することが明らかとなった。
圧縮加工木材により作製した木質部2を有する、本実施例に係るインターロッキングブロック1を用いて破壊荷重試験を行い、曲げ強度を求めた。試験方法についてはJIS A5371の付属書B.5.2の規定に準拠した。曲げ強度は下記の計算式により計算した。
曲げ強度(N/mm2)=[1.5×最大荷重(N)×スパン(160mm)]/[インターロッキングブロック1の有効幅(mm)×(インターロッキングブロック1の高さ(mm)) 2 ]
試験は計3回行い、3回の結果の平均を算出した。結果を図6に示す。
インターロッキングブロック1の曲げ強度は平均3.60N/mm 2 であり、インターロッキングブロック舗装設計施工要領(社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会 平成19年3月)の規定する透水性インターロッキングブロックの規格値3.0N/mm 2 を上回った。
コンクリート部3のみを用いて透水性試験を行い、透水係数を求めた。試験方法についてはJIS A5371の付属書B.5.3の規定に準拠した。透水係数は下記の計算式により計算した。
透水係数(cm/sec)=[コンクリート部3の高さ(cm)×Q(排水量:cm 3 )]/[水頭差(cm)×コンクリート部3の表面積(cm2)×30(sec)]
試験は計3回行い、3回の結果の平均を算出した。結果を図7に示す。
コンクリート部3の透水係数は、平均4.4×10-2cm/secであり、インターロッキングブロック舗装設計施工要領(社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会 平成19年3月)の規定する透水性コンクリートの規格値1.0×10-2cm/secの4倍を上回る値であった。
コンクリート部3のみを用いて保水性・吸水性試験を行い、吸上げ高さ(%)及び保水量(g/cm3)を求めた。
保水性試験及び吸水性試験の詳細な方法については、それぞれJIS A5371の付属書B.5.4.1及び同付属書B.5.4.2の規定に準拠した。
まず、コンクリート部3を設定温度105℃の乾燥器内で一定質量になるまで乾燥した後、常温まで冷却した。この時の質量を計測して「絶乾質量」を得た。
次に、コンクリート部3を15〜25℃の清水中で24時間吸水させた後に取り出してプラスチック容器に密閉し、15〜40℃条件下で30分間水を切り、絞った濡れウエスで目に見える水膜をぬぐった後、質量を計測して「湿潤質量」を得た。
さらに、絶乾状態のコンクリート部3の底面から5mmの高さまでを、15〜25℃の清水に浸漬し、30分後にコンクリート部3を取り出して水が滴り落ちない程度まで水を切り、絞った濡れウエスで目に見える水膜をぬぐった後、質量を計測して「30分後の吸上げ質量」を得た。
これらの計量値を用いて、下記の式に基づき、保水量及び吸上げ高さを求めた。
保水量(g/cm3)=[湿潤質量(g)−絶乾質量(g)]/コンクリート部3の体積(cm3)
吸上げ高さ(%)=100×[30分後の吸上げ質量(g)−絶乾質量(g)]/[湿潤質量(g)−絶乾質量(g)]
試験は計3回行い、3回の結果の平均を算出した。結果を図8に示す。
コンクリート部3の保水量は平均0.14g/cm3であり、吸上げ高さは平均53.0%であった。どちらもインターロッキングブロック舗装設計施工要領(社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会 平成19年3月)の規定する規格範囲内(保水量<0.150g/cm3、吸上げ高さ<70%)において比較的高い数値であった。
生木材を圧縮加工する別の方法として、軟化処理を施されていない生木材を200℃程度に熱した熱圧ローラー又は平板で加熱圧縮する方法を採用しても良い。この方法では、加熱面を含む一部分のみが圧縮された圧縮加工木材を得ることができる。比較的柔らかい生木材であれば、加熱せずに圧縮するだけでも同様の圧縮加工木材を得ることができる。
なお、このような圧縮加工処理であっても生木材の表面硬度を上昇させることができる。
上記のような熱処理木材として、例えば「コシイ・スーパーサーモ」(越井木材工業株式会社製)のような市販の熱処理木材を採用することができる。
2…木質部
3…コンクリート部
10…型
11…可動鉄板
21…蟻溝(嵌合用凹部)
22…リブ(滑り止め用凹凸)
31…嵌合用凸部
32…突起
Claims (3)
- 上面に滑り止め用凹凸を有するとともに下面に1つの嵌合用凹部を有する、無垢木材から成る木質部と、
上面に前記嵌合用凹部に対応する1つの嵌合用凸部を有する、透水性コンクリートから成るコンクリート部と、
から成り、
前記木質部が、前記無垢木材を板目取りした板材から成り、該板材の芯側の板目が前記木質部の上面になるように構成され、かつ前記1つの嵌合用凹部が前記板目の木芯部分の略真下に形成されており、
前記嵌合用凹部及び前記嵌合用凸部が、下部断面積よりも上部断面積の方が大きくなるように構成されていることを特徴とするインターロッキングブロック。 - 前記木質部が、その全体が180〜220℃で熱処理された無垢木材から成ることを特徴とする、請求項1に記載のインターロッキングブロック。
- 前記嵌合用凹部は、インターロッキングブロックの一対の対向側面の一方から他方に貫通する蟻溝であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のインターロッキングブロック。
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