JP5249685B2 - 冷温水空調システム - Google Patents
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Description
都市では空調機の排熱による気温上昇が深刻な問題になっている。一般の空調機の室外機は空冷式が多く、排熱は直接周辺の気温を上昇させる。空気を冷媒として用いると熱効率が悪いという問題もある。既知の空調機の室外機に水冷式のものもあるが、湿気を含んだ排気が排出される。また、特許文献1や2に記載の従来のシステムは比較的構成が複雑になり、設備コストが大きくなるという問題がある。
上記の課題を解決するために、本発明は、地中温度を有効に利用して、空調機の排熱による気温上昇を防止した、実用性の高い冷温水空調システムを提供することを目的とする。
〈構成1〉
地中に配置した冷水槽13と温水槽14と、
吸熱側から排熱側に熱エネルギを移動させるヒートポンプ16を備え、
夏季において、前記ヒートポンプ16の吸熱側と空調機36を経てヒートポンプ16の吸熱側に戻る配管により形成された空調用冷水路70と、前記冷水槽13に収容した冷水を汲み上げて前記空調用冷水路70に供給してから、前記空調用冷水路70の冷水を循環させるポンプ48と、前記温水槽14に収容した温水を汲み上げて、前記ヒートポンプ16の排熱側を経て前記温水槽14に戻る配管により形成された排熱用温水路74と、前記排熱用温水路74の温水を循環させるポンプ58とを設け、
夏季において、前記ヒートポンプ16は、空調用冷水路70の冷水が一定温度以上になったとき運転を開始し、当該冷水が一定温度以下になったとき運転を停止する間欠運転により、前記空調用冷水路70の冷水の温度を許容温度範囲で上下させ、前記温水槽14を自然伝熱により地中に熱エネルギを放散させることができる壁80で包囲し、
冷房運転期間において、前記ヒートポンプ16の排熱側から前記温水槽14に吸収させる総排熱エネルギから、前記温水槽14から前記運転期間の地中に自然放熱される自然排熱エネルギを差し引いたものが、前記温水槽14の許容温度範囲の最大吸収熱エネルギになるように、温水槽の蓄熱量を設定し、
冬期において、前記ヒートポンプ16の排熱側と空調機36を経てヒートポンプ16の排熱側に戻る配管により形成された空調用温水路72と、前記温水槽14に収容した温水を汲み上げて前記空調用温水路72に供給してから、前記空調用温水路72の温水を循環させるポンプ58と、前記冷水槽13に収容した冷水を汲み上げて、前記ヒートポンプ16の吸熱側を経て前記冷水槽13に戻る配管により形成された吸熱用冷水路76と、前記吸熱用冷水路76の冷水を循環させるポンプ48とを設け、
冬期において、前記ヒートポンプ16は、空調用温水路72の温水が一定温度以下になったとき運転を開始し、当該温水が一定温度以上になったとき運転を停止する間欠運転により、前記空調用温水路72の温水の温度を許容温度範囲で上下させ、前記冷水槽13を自然伝熱により地中から熱エネルギを吸収させる壁80で包囲し、
暖房運転期間において、前記ヒートポンプ16の吸熱側から前記冷水槽13に吸収させる総冷熱エネルギから、前記暖房運転期間に前記冷水槽13へ地中から自然吸収される自然吸熱エネルギを差し引いたものが、前記冷水槽13の許容温度範囲の最大吸収熱エネルギになるように、前記冷水槽13の蓄熱量を設定したことを特徴とする冷温水空調システム。
構成1に記載の冷温水空調システムにおいて、夏季において、温水槽に収容された温水または冷水槽に収容された冷水を建物の外壁に噴霧する噴霧器を設けたことを特徴とする冷温水空調システム。
構成1乃至4のいずれかに記載の冷温水空調システムにおいて、夏季において、温水槽に収容された温水を特定用途に供給する配管を備えたことを特徴とする冷温水空調システム。
構成1乃至4のいずれかに記載の冷温水空調システムにおいて、冬期において、冷水槽に収容された温水を特定用途に供給する配管を備えたことを特徴とする冷温水空調システム。
(2)冷水槽13と温水槽14を地中に配置する。冬期には、ヒートポンプ16の排熱側と空調機36を経てヒートポンプ16の排熱側に戻る配管により形成された空調用温水路72を設ける。ヒートポンプ16は、空調用温水路72の温水の温度を所定温度範囲に保持する。ヒートポンプ16の吸熱側には、冷水槽13から冷水を供給する。水温の低下した冷水は、自然伝熱により地中で暖められる。
(3)温水や冷水を噴霧器を用いて建物の外壁に噴霧すると、気化熱により建物全体の温度を低下させることができる。温水槽に収容された温水を排出すれば、温水槽の熱エネルギを放出でき、同時に空調機の負荷も軽減することができる。
(4)雨水から不純物を濾過した水を、冷水槽13と温水槽14に補充して、それらの水位を基準レベルに保持するよう制御すれば、資源を有効に活用しながらシステムを安定に運用できる。
(5)夏季において、温水槽に収容された温水を特定用途に供給する配管を設ければ、温水槽の熱エネルギを取り出すと同時に温水を有効利用できる。
(6)冬期において、冷水槽に収容された温水を特定用途に供給する配管を設ければ、冷水を有効利用するとともに、冷水槽の水温を引き上げて、空調の効率をあげることができる。
(7)冷水槽13と温水槽14とを同じ熱環境で地下に設置し、ヒートポンプ16の吸熱側と排熱側に、冷水槽13と温水槽14と空調機36とをそれぞれ同一構成の配管で接続すれば、バルブの切り替えにより、夏期と冬季の構成を簡単に実現できる。
図の冷温水空調システム10は、地上階11と地下室12を設けて実現する。地上階11はオフィスや居住空間に使用する。地下室12は上下2段構成になっており、最深部に冷水槽13と温水槽14とを配置している。
夏季において、システムの起動時には、冷水槽13に収容した冷水を汲み上げて空調用冷水路70に供給する。これには、ポンプ48が使用され、図の破線のループを経由して、冷水が汲み上げられる。まず、始めに、バルブ40が開放されポンプ48が起動する。汲み上げられた冷水はポンプ48からヒートポンプ16を通りバルブ46を通じて空調機36に送り込まれる。この冷水はバルブ49を通じて冷水槽13側に戻る。バルブ42を閉じてバルブ43を開放しておくと、空調用冷水路70全体に冷水が行き渡る。なお、ポンプ48の供給する水量がオーバーフローしたときはバルブ45を通じてその冷水が冷水槽13に戻る。冷水が空調用冷水路70に満たされたら、バルブ40及びバルブ45を閉じて、通常運転に移る。
図のグラフの(a)は、外気温と地中温度と冷水槽13及び温水槽14の水温と空調用冷水の1日の温度変化を示す。図の(b)は温水槽14の長期温度変化を示す。縦軸は温度、横軸は時間を示す。シーズンの始めの冷房運転開始時には、冷水も温水も地中温度と同じ約18度から20度である。冷水は図2で説明した手順で空調用冷水路70に供給される。ヒートポンプ16の運転を開始すると、冷水は、破線のように立ち上がり次第に実線のように冷却されて摂氏6度という通常運転の最低温度に達する。ヒートポンプ16は冷水を6度以上9度以下の温度に保持するよう動作する。即ち、冷水を冷却し6度以下になった場合にはヒートポンプ16が停止する。ポンプ48は運転を続ける。冷水が9度以上になったら再びヒートポンプ16が起動し冷水の冷却を開始する。
上記の構成の図1のシステムにおいて、雨水受容部20で取得した雨水は雨水処理部21を通じて冷水槽13あるいは温水槽14に適宜供給される。冷水槽13と温水槽14の水位は常に一定に保持される。雨水処理部21には、図4に示すように、沈殿槽22、濾過槽23、オゾン発生器25及び中水槽27が収容されている。建物の屋上等に配置された雨水受容部20から取り入れられた雨水は、まず沈殿槽22に収容される。ついで濾過槽23で充分に不純物を濾過し、オゾン発生器25で発生するオゾンを用いて殺菌、漂白、脱臭処理をする。こうして処理された水は、中水槽27に蓄積される。この水は飲料水や生活水として用いることができる。さらに、図1を用いて説明した冷水槽13や温水槽14に対し、水の補充用として利用することができる。
冷水槽13に収容された冷水は、地上階の空調のみならず、地下室の除湿にも利用することができる。図の(a)に示すように、冷水槽13に収容された冷水をポンプ32により汲み上げて、除湿機30に供給する。除湿機30は地下室に設置されている。除湿機30は地上に開口した吸気口34から外気を取り入れて除湿し、その空気を地下室内に供給する。排気は階段等から自然に出て行く。これにより地下室内は除湿された快適な環境を維持できる。また、法律で定められた必要な換気が可能になる。
冷水槽13や温水槽14に収容された温水は、建物の各部でその用途に応じて利用することができる。温水は生活用水一般やシャワー等に利用できる。工場設備があればそこにも利用できる。冷水も生活用水一般や冷却用に使用できる。冬は温度が充分低くなるので冷蔵用にも使用できる。
図7において、ヒートポンプ16は、既に説明したように、図の右側の吸熱側から、図の左側の排熱側に向けて熱エネルギを移動させる機能を持つ。ヒートポンプ16の左側には、破線のループのように空調用温水路72が設けられている。この空調用温水路72は、ヒートポンプ16の排熱側と空調機36を経てヒートポンプ16の排熱側に戻る配管により形成される。ポンプ58は、空調用温水路72の温水を暖房用に加熱する機能を持つ。
図の(a)のグラフは、図3と同様に、外気温と地中温度と冷水槽13及び温水槽14の水温とを示し、さらに、空調用温水の温度を示す。図の(b)は暖房期間における長期的な冷水の温度変化を示す。縦軸は温度、横軸は時間を示す。暖房をはじめて使い始める日には、図のように、温水も冷水もほぼ地中温度と同じ摂氏18度から20度である。この温水が図2で説明したものと同様の手順で空調用温水路72に供給される。ヒートポンプ16の運転を開始すると、温水は、破線のように次第に加熱されて摂氏60度という通常運転の最高温度に達する。ヒートポンプ16は温水を図の実線のように55度以上60度以下の温度に保持するよう動作する。即ち、温水を加熱し摂氏60度以上になった場合にはヒートポンプ16が停止する。
11 地上階
12 地下室
13 冷水槽
14 温水槽
16 ヒートポンプ
18 噴霧器
20 雨水受容部
21 雨水処理部
22 沈殿槽
23 濾過槽
25 オゾン発生器
27 中水槽
30 除湿機
32 ポンプ
34 吸気口
36 空調機
40〜46 バルブ
47、48 ポンプ
49〜56 バルブ
57、58 ポンプ
60 水使用設備
62 冷水供給路
64 温水供給路
70 空調用冷水路
72 空調用温水路
74 排熱用温水路
76 吸熱用冷水路
80 壁
Claims (4)
- 地中に配置した冷水槽13と温水槽14と、
吸熱側から排熱側に熱エネルギを移動させるヒートポンプ16を備え、
夏季において、前記ヒートポンプ16の吸熱側と空調機36を経てヒートポンプ16の吸熱側に戻る配管により形成された空調用冷水路70と、前記冷水槽13に収容した冷水を汲み上げて前記空調用冷水路70に供給してから、前記空調用冷水路70の冷水を循環させるポンプ48と、前記温水槽14に収容した温水を汲み上げて、前記ヒートポンプ16の排熱側を経て前記温水槽14に戻る配管により形成された排熱用温水路74と、前記排熱用温水路74の温水を循環させるポンプ58とを設け、
夏季において、前記ヒートポンプ16は、空調用冷水路70の冷水が一定温度以上になったとき運転を開始し、当該冷水が一定温度以下になったとき運転を停止する間欠運転により、前記空調用冷水路70の冷水の温度を許容温度範囲で上下させ、前記温水槽14を自然伝熱により地中に熱エネルギを放散させることができる壁80で包囲し、
冷房運転期間において、前記ヒートポンプ16の排熱側から前記温水槽14に吸収させる総排熱エネルギから、前記温水槽14から前記運転期間の地中に自然放熱される自然排熱エネルギを差し引いたものが、前記温水槽14の許容温度範囲の最大吸収熱エネルギになるように、温水槽の蓄熱量を設定し、
冬期において、前記ヒートポンプ16の排熱側と空調機36を経てヒートポンプ16の排熱側に戻る配管により形成された空調用温水路72と、前記温水槽14に収容した温水を汲み上げて前記空調用温水路72に供給してから、前記空調用温水路72の温水を循環させるポンプ58と、前記冷水槽13に収容した冷水を汲み上げて、前記ヒートポンプ16の吸熱側を経て前記冷水槽13に戻る配管により形成された吸熱用冷水路76と、前記吸熱用冷水路76の冷水を循環させるポンプ48とを設け、
冬期において、前記ヒートポンプ16は、空調用温水路72の温水が一定温度以下になったとき運転を開始し、当該温水が一定温度以上になったとき運転を停止する間欠運転により、前記空調用温水路72の温水の温度を許容温度範囲で上下させ、前記冷水槽13を自然伝熱により地中から熱エネルギを吸収させる壁80で包囲し、
暖房運転期間において、前記ヒートポンプ16の吸熱側から前記冷水槽13に吸収させる総冷熱エネルギから、前記暖房運転期間に前記冷水槽13へ地中から自然吸収される自然吸熱エネルギを差し引いたものが、前記冷水槽13の許容温度範囲の最大吸収熱エネルギになるように、前記冷水槽13の蓄熱量を設定したことを特徴とする冷温水空調システム。 - 請求項1に記載の冷温水空調システムにおいて、
夏季において、温水槽に収容された温水または冷水槽に収容された冷水を建物の外壁に噴霧する噴霧器を設けたことを特徴とする冷温水空調システム。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の冷温水空調システムにおいて、
夏季において、温水槽に収容された温水を特定用途に供給する配管を備えたことを特徴とする冷温水空調システム。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の冷温水空調システムにおいて、
冬期において、冷水槽に収容された冷水を特定用途に供給する配管を備えたことを特徴とする冷温水空調システム。
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