JP3183559U - ヒートポンプ式給湯機の排熱を利用した冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的高温の排熱を利用して、冷房運転、冷房・給湯運転が効率的にできるヒートポンプ式給湯機の排熱を利用した冷却装置を提供する。
【解決手段】貯湯タンク2を20℃〜60℃の温水を貯水する低温水槽2bと60℃〜70℃の温水を貯水する高温水槽2aとに隔壁板2cを介して上下に通水可能に区画する。低温水槽2bに空冷又は水冷式の熱交換コンデンサー1aを備えた第1のヒートポンプ式給湯機1を連通し、貯湯タンク2の高温水槽2aに第2のヒートポンプ式給湯機3を連通する。
【選択図】図1

Description

本考案は、ヒートポンプ給湯機の排熱を利用した冷却装置に関し、とくに温泉、銭湯などに用いられる業務用給湯システムにおいて、水風呂、建屋等の冷却及び室内の冷房を好適に図ることができる冷却装置に関するものである。
温泉、銭湯等、業務用浴場に設置されている一般的な給湯システムは、温水を作るために重油やガスを燃料としたボイラーなどの加熱装置が用いられている。
例えば、特許文献1には、燃焼ガスを発生させることなく効率良く温泉水を加熱することのできるヒートポンプシステムを利用した温泉循環給湯システムが提案されている。また、特許文献2には、浴場から排出される温排水を貯留する温排水槽から温排水をパイプに導入し真水を温水にするパイプ式熱交換器を設け、このパイプ式熱交換器で熱交換された温水を浴場に真水温水を供給する温水器に供給する温泉設備の廃熱回収装置が、特許文献3には、浴槽から浴槽水を回収して濾過水槽等を通して濾過した後に、パネル二次熱交換器を通して加熱し、レジオネラ菌対策用の濾過装置を通して殺菌処理して再び浴槽に戻す際、浴槽水を加熱する加熱水は膨張タンクとパネル二次熱交換器の間を循環し、膨張タンクに貯留されている加熱水は、ヒートポンプシステムとの間で熱交換を行って所定温度以上に保持される温泉循環給湯システムが提案されている。
特開2010−60185号公報 特開2003−130454号公報 実用新案登録第3174054号公報
しかしながら、重油やガスを燃料としたボイラーなどの燃焼装置は一般に加熱効率が悪いという問題点がある。そこで、前述したようなフロンガスを冷媒として用いたヒートポンプ式給湯器が使用されていたが、ヒートポンプシステムを用いる場合には外気温の高低に影響されるので、一定温度以上の温水を効率良く供給できない場合があるばかりでなく、フロンガスはオゾン層を破壊することから使用が禁止され、現在、二酸化炭素等の自然冷媒を使用したヒートポンプ式給湯器(所謂エコ給湯器)の普及が進んでいる。
この自然冷媒ヒートポンプ式給湯器は、大気の潜熱を熱交換して得たエネルギーで水道水を加熱して貯湯するものであり、商用電力需要の減少する22時から8時までの間、通常の約3分の1程度の低廉なコストで供給される深夜電力を利用して稼動させるのが一般的な使用方法である。
そこで、特に特許文献3により本出願人が提案しているヒートポンプ式給湯機を利用した冷風発生装置、実願2012−007577号により提案している業務用給湯システムによると、燃費等のランニングコストを大幅に節減できるばかりでなく、火気を使わないため、火災や不完全燃焼による中毒等の危惧もなく、しかも二酸化炭素排出など、燃焼ガスによる大気汚染防止に寄与することができる給湯システムを提供することができる。
一般的に、ヒートポンプによると、一つのシステムで加熱と冷却とを同時に行なうことができるので、熱効率の向上を図ることができる。しかしながら、改良すべき点も認められる。例えば、給湯施設から排出される温水中の熱等の排熱が有効に利用されていない。特に、これらの設備からは比較的高い温水が排出されることがあるが、高温の排熱はそのまま利用することはできない。また、空気熱源のヒートポンプでは、外気温が低い冬季では利用できないという問題もある。
本考案は、上記したような問題点を改良したヒートポンプ式給湯機の排熱を利用した冷却装置を提供しようとするもので、具体的には、比較的高温の排熱を利用して、冷房運転、冷房・給湯運転が効率的にできるヒートポンプ式給湯機の排熱を利用した冷却装置を提供することを目的としている。
このため本考案のヒートポンプ式給湯機の排熱を利用した冷却装置は、貯湯タンクが20℃〜60℃の温水を貯水する低温水槽と60℃〜70℃の温水を貯水する高温水槽とに隔壁を介して上下に通水可能に区画されると共に、前記低温水槽に連通されると共に、空冷又は水冷式の熱交換コンデンサーを備えた第1のヒートポンプ式給湯機と、前記高温水槽に連通された第2のヒートポンプ式給湯機とからなることを第1の特徴とする。また、建屋の屋根に散水するスプリンクラーを設けたことを第2の特徴とする。さらに、建屋内を冷房するファンコイルユニットを設けたことを第3の特徴とする。さらにまた、ヒートポンプ式給湯機が、二酸化炭素を冷媒として大気潜熱と熱交換して得たエネルギーで水を加熱する自然冷媒ヒートプンプ式給湯器であることを第4の特徴とする。
本考案の業務用給湯システムでは、出湯用の真水を加熱するための加熱源として、ヒートチラー(自然冷媒ヒートポンプ式給湯器)を使用しているので、大気汚染物質を含む燃焼ガスを発生させることなく、しかも、効率良く水を加熱することができる。
自然冷媒ヒートポンプ式給湯器(所謂、エコ給湯器)は、二酸化炭素を冷媒として大気潜熱と熱交換して得たエネルギーで水を加熱して貯湯するものであり、コンプレッサーを含む凝縮器での放熱作用を利用した加熱装置として用いられる。つまり、熱交換器において大気から吸熱した冷媒をコンプレッサーで圧縮することによって高温化した冷媒が水を加熱して得られた温水を貯湯タンクに貯湯するものである。
自然冷媒ヒートポンプ式給湯器は、高い省エネルギー効果が得られる上、電力会社との契約により、電力需要の減る午後10時から午前8時までの間、約3分の1程度の低廉なコストで電力供給を受けることができる深夜電力料金制度を利用するとランニングコストが大幅に節減できる。さらに、火気を使用しないため、火災や不完全燃焼による中毒等の危惧もない。
また、下記に列挙したように、近年のエネルギー削減建築物に導入課題とされる「ZEB(Zero Energy Building)に資する基本要素項目」として嘱望される先端技術があり、本考案は十分にその一助となり得るものである。
1.建築(外皮)性能の向上(例えば、外壁散水・屋上散水・ドライミスト等)
2.内部発熱の削減(直流電源化によるコンバータ熱ロスの削減等)
3.省エネシステム・高性能機器設備の導入(再生可能・未利用エネルギーヒートポンプシステムによる空調及び給湯等)
4.創エネルギーの導入・その他(太陽光発電・蓄電池等)
本考案の一実施例に係るヒートポンプ式給湯機の排熱を利用した冷却装置の概略構成図である。 本考案に係るヒートポンプ式給湯機の排熱を利用した冷却装置による建屋の屋根の冷却装置を示す概略構成図である。 本考案に係るヒートポンプ式給湯機の排熱を利用した冷却装置による建屋室内の冷房装置を示す概略構成図である。
以下、図面に示す実施例に基づいて本考案の実施の形態を説明する。
図1は、本考案に係る本考案に係るヒートポンプ式給湯機(以下、単にヒートチラーと称する)の排熱を利用した冷却装置を適用した浴場の配管設備の一部を示す概略構成図であり、ヒートチラーに搭載した熱交換コンデンサーの排熱により水風呂7に供給する水を冷却するものである。
第1のヒートチラー(1号機)1は、貯湯タンク2の低温槽2b側に付設する。第1のヒートチラー(1号機)1が大気潜熱と熱交換して得たエネルギーで貯水を加熱する際に発生する冷風を夏季は冷房装置として(実用新案登録第3153713号公報参照)利用するので、第1のヒートチラー(1号機)1は常に運転状態がONの機能を必要とする。このため、第1のヒートチラー(1号機)1に循環される温水の温度は20℃〜60℃に保持される必要がある。つまり、水温が70℃以上になると、ヒートチラー1の機能上、運転状態がOFFになるように設定されているので、貯湯タンク2が一つの槽であると、槽内部の対流により全体がほぼ均一に70℃になった時点でヒートチラー1の運転状態がOFFになり、冷房装置も停止してしまう。
そこで、隔壁2cを介して貯湯タンク2の内部を低温槽2bと高温槽2aに区画することで、低温槽2b側の水温を常に20℃〜60℃に確実に保持することができ、ヒートチラー1の運転状態も常にONの状態に保たれる。そして、低温槽2b側で70℃以上になった温水は隔壁2cの中央通水孔2dから高温槽2a側に上昇して70℃以上の温水で満たされ給湯される。尚、高温水槽2a側に付設された第2のヒートチラー(2号機)3は、通常は停止しており、出湯温度に不足が生じたときのみ稼動するようにされている。さらに、高温水槽2aから給湯される温水が60℃に満たない場合は、予備加熱器4及び5が稼動して昇温できるようにされている。
すなわち、給水圧力ポンプ19又は20が作動すると、貯湯タンク2の温水がヒートチラー1又は3を経由して冷却又は加熱された後に、再び貯湯タンク2内に戻る。例えば、加熱水を90℃に加熱して貯湯タンク2に戻す。このように、貯湯タンク2に貯留されている加熱水を循環させてヒートチラー1又は3との間で熱交換を行うことにより、貯湯タンク2内の加熱水の温度が所定温度に維持される。
そして本考案では、貯湯タンク2と、貯湯タンク2に貯水された水を加熱する第1のヒートチラー1と、貯湯タンク2が20℃〜60℃の温水を貯水する低温水槽2bと60℃〜70℃の温水を貯水する高温水槽2aとに隔壁2bを介して上下に通水可能に区画されると共に、前記第1のヒートチラー1は空冷又は水冷式の冷却コンデンサー1aを備え、前記貯湯タンク2の低温水槽2bに連通されたた第2のヒートチラー1とから構成されており、この低温水槽2bに貯留された20℃〜60℃の水を第1のヒートチラー1に搭載したコンプレッサー1bで凝縮しながら循環させ、その排熱により冷却された18℃程度に冷却した水を水風呂7へ送水することができるようにされている。尚、図中6は、水風呂水の水温が20℃以上に上昇すると稼動する予備冷水機、8は濾過器、9はヘアキャッチーである。
また、水風呂7への冷水循環経路には、凍結防止用電磁弁10aと電気的に接続された三方弁10bが配設されている。そして、この凍結防止用電磁弁10aは、循環ポンプがOFFで三方弁10bがONの時、下(開)上(閉)に作動し、三方弁10bの温度サーモにより水温が18℃以下になることを防止できるようにされている。
図2は、本考案に係るヒートポンプ式給湯機の排熱(冷水)による建屋(外皮)の冷却を図るもので、建屋12の屋根12aに散水するスプリンクラー11を設けた。ここで、貯水タンク13は雨水・井水を兼用で貯留するものである。温度サーモ14にて電磁弁17を開放するかタイマー(図示せず)を使用して適宜散水時期及び散水時間を設定できるようにされている。このように、外気温の高い夏季は家屋外皮冷却用の散水として用いるが、冬季等の外気低温時にはバルブ切替えにより清掃用水として使用する。凍結防止用電磁弁10a、温度サーモ14、タイマーを用いて、電磁弁17開の時、排水電磁弁10aは閉となり、電磁弁17閉の時、排水電磁弁10aが開となる。
図3は、本考案に係るヒートポンプ式給湯機の排熱(冷水)による建屋室内の冷房を図るもので、建屋12内を冷房するファンコイルユニット15を設けた。ここで、凍結防止用電磁弁10aは、ラインポンプ作動時、排水電磁弁17(下側)が閉、上側排水電磁弁18が開、膨張タンク16の弁が開となる。また、ラインポンプ停止時には、排水電磁弁17(下側)が開、上側排水電磁弁18が閉となる。尚、膨張タンク16は圧力変動によるクッションとして作用する。
ここで、ヒートチラー1及び3としては、二酸化炭素を冷媒として大気潜熱と熱交換して得たエネルギーで水を加熱する自然冷媒ヒートプンプ式給湯器を使用している。
以上説明したように、本考案では、自然冷媒ヒートポンプ式給湯器を利用している。したがって、一般的なガスや化石燃料を使用したボイラーなどの加熱装置のような大気汚染物質を含む燃焼ガスが発生することなく、省エネ型の業務用給湯設備を実現することができ、「ZEBに資する基本要素項目」としての有用なエネルギー削減建築物を創出できる。
1 第1のヒートポンプ式給湯機(ヒートチラー)
1a 空冷式コンデンサー(熱交換コンデンサー)
1b コンプレッサー(凝縮器)
2 貯湯タンク
2a 高温水槽(貯湯タンクの上層)
2b 低温水槽(貯湯タンクの下層)
2c 隔壁板
2d 中央通水孔
3 第2のヒートポンプ式給湯機(ヒートチラー)
4 予備加熱器
5 予備加熱器
6 予備冷水器
7 水風呂
8 濾過器
9 ヘアキャッチャー
10a凍結防止用電磁弁
10b三方弁
11 スプリンクラー
12 建屋
12a屋根
13 貯水タンク
14 温度サーモ
15 ファンコイルユニット
16 膨張タンク
17 排水電磁弁(下側)
18 排水電磁弁(上側)
19 圧力ポンプ(第1のチラー)
20 圧力ポンプ(第2のチラー)

Claims (4)

  1. 貯湯タンクが20℃〜60℃の温水を貯水する低温水槽と60℃〜70℃の温水を貯水する高温水槽とに隔壁を介して上下に通水可能に区画されると共に、前記低温水槽に連通されると共に、空冷又は水冷式の熱交換コンデンサーを備えた第1のヒートポンプ式給湯機と、前記高温水槽に連通された第2のヒートポンプ式給湯機とからなることを特徴とするヒートポンプ式給湯機の排熱を利用した冷却装置。
  2. 建屋の屋根に散水するスプリンクラーを設けたことを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ式給湯機の排熱を利用した冷却装置。
  3. 建屋内を冷房するファンコイルユニットを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のヒートポンプ式給湯機の排熱を利用した冷却装置。
  4. ヒートポンプ式給湯機が、二酸化炭素を冷媒として大気潜熱と熱交換して得たエネルギーで水を加熱する自然冷媒ヒートプンプ式給湯器であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のヒートポンプ式給湯機の排熱を利用した冷却装置。
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