[0032] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
[0033]− 放射ビームB(例えばUV放射またはDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0034]− パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第一ポジショナPMに接続されたサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、
[0035]− 基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第二ポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
[0036]− パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つまたは複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを含む。
[0037] 照明システムは、放射の誘導、成形、または制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、またはその任意の組み合わせなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
[0038] サポート構造は、パターニングデバイスを支持、つまりその重量を支えている。該マスクサポート構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。このサポート構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。サポート構造は、例えばフレームまたはテーブルでよく、必要に応じて固定式または可動式でよい。サポート構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」または「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
[0039] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特別な機能層に相当する。
[0040] パターニングデバイスは透過性または反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、Alternating位相シフトマスク、Attenuated位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
[0041] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、または液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システムおよび静電気光学システム、またはその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なされる。
[0042] ここに示している本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、または反射マスクを使用する)。
[0043] リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)またはそれ以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用したり、1つまたは複数の他のテーブルを露光に使用している間に1つまたは複数のテーブルで予備工程を実行したりすることができる。
[0044] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、それぞれ別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SOおよびイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
[0045] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側および/または内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。また、イルミネータを用いて放射ビームを調整し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
[0046] 放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターン付けされる。放射ビームBはマスクMAを通り抜けて、基板Wのターゲット部分C上にビームを集束する投影システムPSを通過する。第二ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダまたは容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば放射ビームBの経路において様々なターゲット部分Cに位置決めするように正確に移動できる。同様に、第一ポジショナPMおよび別の位置センサ(図1には明示されていない)を使用して、例えばマスクライブラリから機械的に検索した後に、またはスキャン中に、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。一般的に、マスクテーブルMTの移動は、第一位置決めデバイスPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第二ポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールの助けにより実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、固定してもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアラインメントマークM1、M2および基板アラインメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アラインメントマークは、専用のターゲット位置を占有するが、ターゲット部分の間の空間に配置してもよい(スクライブレーンアラインメントマークと呼ばれる)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアラインメントマークをダイ間に配置してもよい。
[0047] 図示のリソグラフィ装置は以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0048] 1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち1回の静止露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向および/またはY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の静止露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0049] 2.スキャンモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する(つまり1回の動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの拡大(縮小)および像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
[0050] 3.別のモードでは、マスクテーブルMTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動またはスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、またはスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
[0051] 上述した使用モードの組合せおよび/または変形、または全く異なる使用モードも利用できる。
[0052] 投影システムPSの最終エレメントと基板の間に液体を提供するための解決策は、2つの概括的カテゴリに分類することができる。これは、基板W全体および任意選択で基板テーブルWTの一部を液体槽に液浸する槽タイプの解決策と、液体を基板の局所的区域にのみ提供する、いわゆる局所的液体供給システムである。後者のカテゴリでは、液体で充填される空間は、平面からみて基板の上部表面より小さく、基板Wがその区域の下を移動する間、液体で充填された区域は投影システムPSに対して静止したままである。4つの異なるタイプの局所的液体供給システムが、図2から図6に図示されている。図2から図4で開示される液体供給システムについて、以下で説明する。
[0053] 図5は、投影システムの最終エレメントと基板テーブルの間にある空間の境界の少なくとも一部に沿って延在するバリア部材を有する局所的液体供給システムを概略的に示している。バリア部材は、XY面では投影システムに対して実質的に静止しているが、Z方向(光軸の方向)には多少の相対的運動がある。ある実施形態では、バリア部材と基板の表面の間にシールが形成され、これはガスシールまたは流体シールなどの非接触シールでよい。
[0054] バリア部材12は、投影システムPLの最終エレメントと基板Wの間の空間11に液体を少なくとも部分的に収容する。液体が基板表面と投影システムの最終エレメントとの間の空間に封じ込められるように、投影システムのイメージフィールドの周囲に、基板に対する非接触シール6を形成することができる。この空間は、投影システムPLの最終エレメントの下方に配置され、それを囲むバリア部材12によって少なくとも一部は形成される。液体は、液体入口13によって投影システムの下方でバリア部材12内の空間に運び込まれ、液体出口13によって除去することができる。バリア部材12は、投影システムの最終エレメントの少し上まで延在し、液体のバッファが提供されるように、液体レベルが最終エレメントの上まで上昇する。バリア部材12は、その上端が実施形態では投影システムまたはその最終エレメントの形状に非常に一致することができ、例えば円形でよい内周を有する。底部では、内周はイメージフィールドの形状に非常に一致し、例えば長方形であるが、そうである必要はない。
[0055] 液体は、使用中にバリア部材12の底部と基板Wの表面との間に形成されるガスシール16によって空間11に収容される。ガスシールは、空気または合成空気のような気体で形成されるが、実施形態ではN2または別の不活性ガスであることが好ましく、圧力下で入口15を介してバリア部材12と基板の間のギャップに提供され、出口14を介して抽出される。ガス入口15への過剰圧力、出口14への真空のレベル、およびギャップの幾何学的形状は、液体を封じ込める内側への高速の気体流16があるように構成される。バリア部材12と基板Wの間で液体にかかる気体の力は、空間11に液体を収容させる。これらの入口/出口は、空間11を囲む環状溝でよく、気体16の流れは、液体を空間11に収容させるのに効果的である。このようなシステムが、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開US2004−0207824号で開示されている。
[0056] 他の解決策も可能であり、以下で説明するように本発明の実施形態は、液体供給システムとして任意のタイプの局所的液体供給システムを使用してよく、実際に以下で説明するように、バリア部材12と基板Wの間にシールを形成する手段を、本発明の実施形態の液体除去システムまたはシール装置で使用することができる。
[0057] 1つまたは複数の局所的液体供給システムが、液体供給システムの一部と基板Wの間をシールする。液体供給システムの一部と基板Wとの相対的運動は、シールの破壊につながり、それによって液体が漏れることがある。
[0058] 図6は、液体供給システムの一部であるバリア部材12を示す。バリア部材12は、投影システムPSの最終エレメントの周囲に延在し、したがってバリア部材(シール部材と呼ばれることもある)は、例えば全体的形状が実質的に環状である。投影システムPSは円形でなくてよく、バリア部材1の外縁は円形でなくてよく、したがってバリア部材がリング形である必要がなく、これが中心開口を有し、それを通して投影ビームが投影システムPSの最終エレメントから中心開口に含まれる液体を通って基板Wへと至ることができる限り、他の形状でもよい。バリア部材12は、例えば実質的に長方形でよく、バリア部材12の高さにて、投影システムPSの最終エレメントと同じ形状である必要はない。
[0059] バリア部材12の機能は、投影ビームが液体を通過できるように、投影システムPSと基板Wの間の空間に液体を少なくとも部分的に維持または封じ込めることである。液体の最上レベルは、単にバリア部材12の存在によって封じ込められ、その空間内の液体レベルは、液体がバリア部材12の頂部から溢れないように維持される。シールが、バリア部材12の底部と基板Wの間に設けられる。図6では、シール装置は非接触シールを提供するように構成され、幾つかの構成要素で構成される。投影システムPSの光軸から半径方向外側に働き、空間内に延在する(しかし投影ビームの経路には入らない)(任意的な)流れプレート50が設けられ、流れプレート50は出口20から出て空間を横断する液浸液の実質的に平行な流れを維持するのに役立つ。流れプレート50は、投影システムPSおよび/または基板Wに対してバリア部材12の光軸の方向への動作に対する抵抗を低下させるために、自身内に貫通穴55を有する。
[0060] バリア部材12の底部に沿って半径方向外側に移ると、基光軸に実質的に平行な方向にプレートに向かう液体の流れを提供する出口60が提供される。この液体の流れは、基板Wの縁部と基板を支持する基板テーブルWTの縁部との間のギャップを充填するのを助けるよう使用される。このギャップが液体で充填されないと、基板Wの縁部がシールの下を通過する時に、投影システムPSと基板Wの間の空間の液体に気泡が含まれることがある。これは、像の品質劣化につながることがあるので望ましくない。
[0061] 出口60の半径方向外側には、バリア部材12と基板Wの間から液体を抽出する抽出器アセンブリ70がある。抽出器(extractor)70は、以下でさらに詳細に説明され、バリア部材12と基板Wの間に生成された非接触シールの一部を形成する。
[0062] 抽出器アセンブリ70の半径方向外側には、入口82を通して大気に、出口84を介して低圧源に接続される窪み80がある。窪み80の半径方向外側にはガスナイフ90がある。抽出器、窪みおよびガスナイフの配置構成は、2005年1月14日出願の米国特許出願第60/643,626号で詳細に開示されている。しかし、その文書では抽出器アセンブリの配置構成が異なる。
[0063] 抽出器アセンブリ70は、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開2006−0038968号で開示されているような液体除去装置または抽出器または入口100を備える。任意のタイプの液体抽出器を使用してよい。実施形態では、液体除去装置100は、単一液体相の液体抽出を可能にするように液体を気体から分離するために使用される有孔性材料110で覆われた入口を備える。有孔性材料110の下流の室120は、わずかに低圧に維持され、液体で充填される。室120内の低圧は、有孔性材料の穴に形成されたメニスカスが周囲気体が液体除去装置100の室120内に引き込まれることを防止するような圧力である。しかし、有孔性表面110が液体と接触すると、流れを制限するメニスカスがなくなり、液体が液体除去装置100の室120内に自由に流れ込むことができる。有孔性表面110は、バリア部材12に沿って半径方向内側に(さらに空間の周囲に)延在し、その抽出速度は、有孔性材料110が液体で覆われる程度に従って変化する。
[0064] 基板Wのスキャン中に(その間に基板がバリア部材12および投影システムPSの下で運動する)、メニスカスは、運動する基板によって加えられる抗力によって光軸に向かって、またはそこから離れる方向に引きずられることができる。これは、液体の損失につながることがあり、その結果、液体が蒸発し、それによって基板が冷却され、したがって上述したような収縮およびオーバレイエラーが生じる。追加的または代替的に、液体の滴とレジストの光化学との相互作用から、液体汚れが残ることがある。プレート200が液体除去装置100と基板Wの間に設けられ、したがって液体抽出の機能とメニスカス制御の機能を相互から分離することができ、バリア部材12を各々について最適化することができる。
[0065] プレート200は、分割器(divider)、または液体除去装置100と基板Wの間の空間を2本の流路、つまり上部流路220と下部流路230に分割する機能を有する任意の他の要素であり、上部流路220はプレート200の上面と液体除去装置100の間にあり、下部流路230はプレート200の下面と基板Wの間にある。各流路は、その半径方向で最も内側の端部で空間に対して開いている。プレートの厚さは重要ではない。図6に図示されているように、上部流路220は水平に延在しているが、必ずしもそうでなくてもよい。図6で上部流路220が水平に延在している理由は、構成要素の構造的構成のせいである。しかし、上部流路220は垂直に延在するか、水平と垂直の間のいずれかに延在することもできる。上部流路220内の液体にかかる重力圧は非常に小さく、必要に応じて例えば液体除去装置100自体を通して、または以下で説明するガス抜き穴250などの別の通路を通して、低圧を加えることによって打ち消すことができる。
[0066] 実施形態では、液体除去装置100とプレート200の間の上部流路220は、プレート200と基板Wの間の下部流路230より狭い。下部流路は、設計(流れパターンからの粘性抵抗長さ)、流体のパラメータ(粘度、密度、表面張力)および表面の特性(表面と液体の結合エネルギと液体表面張力の結果生じる接触角)に応じて、高さが250mmと50μmの間であるか、100μmと60μmの間である。上部流路220は下部流路より、例えば2倍から3倍狭くすることによって強力な毛管作用を有する。代替的または追加的に、上部流路220には、下部流路230より親液性である表面で作成することができる。しかし、上部流路220は下部流路230より広くてもよい。上部流路220が狭すぎる場合は、液体がその流路に流入しない。摩擦抵抗が大きすぎ、釘付けにされたメニスカスに流体力学的力が十分にかかるからである。したがって、上部流路220の方を、おそらくは60μmでよい下部流路230より例えば150μmの範囲で広くすると、毛管作用が低下する。毛管作用を促進するために、上部流路220を親液性にするか、プレート200と液体除去装置100の間でメニスカスに近い高さステップを、流路が半径方向外側より半径方向内側で広くなるように作成することができる。
[0067] 上部流路220には、例えば穴250などのガス抜き穴250を通して大気へと開いたままにするのではなく、低圧を加えることができる。この方法で、上部流路220の方を広くすることができる。
[0068] プレート200については、2つのメニスカス310、320がある。第一メニスカス310はプレート200の上に配置され、有孔性表面110とプレート200の上面の間に延在し、第二メニスカス320はプレート200の下に配置され、プレートと基板Wの間に延在する。この方法で、抽出器アセンブリ70は、液体を最適に抽出するために第一メニスカス310を制御し、第二メニスカス320の粘性抵抗長さが減少するよう第二メニスカス320を位置制御するように最適化することができ、特徴、特にプレート200の特徴は、バリア部材10の下で基板Wのスキャン速度を上げられるように、第二メニスカス320がプレート200に付着したままであるためにエネルギ的に好ましいよう最適化される。第二メニスカス320に作用する毛管力は外方向であり、第二メニスカス320に隣接する液体の低圧によって釣り合い、したがって第二メニスカス320は実質的に静止したままである。例えば粘性抵抗および慣性などにより第二メニスカス320への負荷が上昇すると、第二メニスカス320と表面との接触角が小さくなる。
[0069] プレート200の半径方向最外端に1つまたは複数のガス抜き穴250を設け、第一メニスカス310が有孔性材料110の下で自由に内向きにまたは外向きに移動し、したがって液体除去装置100の抽出率を有孔性材料110が液体によって覆われている程度に従って変更できるようにする。図6に示すように、第二メニスカス320はプレート200の内側下縁に付着する。
[0070] 図6では、プレート200の最内下縁に、第二メニスカス320を実質的に所定の位置に釘付けにされるように、鋭利な縁を設ける。縁部の半径は、ある実施形態では0.1mm未満、50μm未満、20μm未満または約10μmである。
[0071] 第二メニスカス320を釘付けにされる代替方法または追加的方法は、第二メニスカス320が付着するプレート200の表面の表面特性を変更することである。例えばプレート200の半径方向外側の方向で親液性から疎液性表面へと変化した結果、第二メニスカス320もその変化点に釘付けにされることがある。というのは、メニスカスが親液性表面から疎液性表面へと通過するために、その形状を逆転する必要があるからである。追加的または代替的に、第二メニスカス320は、プレート200の表面を粗い表面から滑らかな表面に変更することによって釘付けにされることができる。十分に濡れている場合、粗い表面はメニスカストラップとして作用することができる。表面が十分に濡れていず、液体が凹凸のピークにしかない場合、粗い表面は、いわゆる蓮の葉効果(lotus effect)のように疎液性で作用することができる。追加的に、電気湿潤(electro wetting)を使用して、メニスカスを局所的に捕捉する。これは、オンとオフに切り換えられるという利点を有する。
[0072] 図6には特に図示されていないが、液体供給システムは、液体レベルの変動を処理する構成を有する。したがって、投影システムPSとバリア部材12の間に蓄積する液体を扱うことができ、こぼれないようにする。このような液体の蓄積は、以下で説明する投影システムPSに対するバリア部材21の相対的運動中に生じる。この液体を扱う1つの方法は、投影システムPSに対してバリア部材12が運動する間にバリア部材12の周囲に圧力勾配がほぼないように、非常に大きいようなバリア部材12を提供することである。代替または追加的構成では、例えば抽出器120に類似した単相抽出器(single phase extractor)のような抽出器を使用して、バリア部材12の頂部から液体を除去することができる。
[0073] あらゆる局所的区域液体供給システムに伴う難問の1つは、基板が投影システムの下を運動する際に、全ての液浸液を収容し、基板上に多少残るのを防止することが困難なことである。液体の損失を回避するために、基板が液体供給システムの下で運動する速度を制限しなければならない。これは、液浸リソグラフィ装置で高い値のNAを生成することができる液浸液の場合に、特にそうである。というのは、水より低い表面張力、および高い粘度を有する傾向があるからである。メニスカスの破壊速度は、粘度より表面張力と比例し、したがってNAが高い液体を含むことがはるかに困難になることがある。液体が基板上の特定の区域に残ると、基板の特定の区域にのみ残った液浸液の蒸発のせいで、基板全体で温度が変動し、したがってオーバレイエラーにつながることがある。追加的または代替的に、液浸液が蒸発するので、基板W上に乾燥汚れが残る可能性がある。追加的または代替的に、液体が基板上のレジスト内に拡散し、基板の上面の光化学の不一致につながることがある。槽タイプの解決策(つまり基板を液体容器に沈める)は、これらの問題の多くを多少解決するが、液浸装置内での基板交換は、槽タイプの解決策では特に困難である。本発明の実施形態は、以下で説明するように、これらの問題の1つまたは複数に対応する。
[0074] 本発明の実施形態では、局所的液体供給システムLSSを使用して、投影システムPSの下で基板Wの上に液体を提供する。その領域に液体の流れが生じる。そのために、あらゆる局所的液体供給システムを使用することができ、例えば図2から図6に示したタイプのいずれか1つ、例えば図5または図6に示したようなものまたはその変形などを使用することができる。しかし、局所的液体供給システムLSSと基板Wの間に形成されるシールは、特に良好にする必要がなく、実際に全くなくてもよい。例えば、バリア部材12の底部側の全構成要素は、図6の実施形態からなくすことができ、任意選択で図5に示すような流体シールのような流体シール(気体または液体)と交換するだけでよい。しかし、シールのタイプまたは実際にシールが全くないことは、本発明の実施形態にとって重大ではない。図7aおよび図7bに示すように、液体の膜が基板Wの上面全体を覆うように設計を選択する。次に、この液体の膜は液体除去システムLRSなどのシール装置によって収容され、この液体除去システムLRSはまた図5または図6に示すものと同様のバリア部材12で構成することができる。液体除去システムLRSは主に、シールおよび液体除去に留意して設計する。液体除去は、バリア部材と基板Wの間に形成されたシールを通して実行するか、別個の機能的要素、例えばWO2005/064405号に記載されたような基板テーブルWT内に形成されるドレインによって実行することができる。全ての実施形態で、液体除去は液体シールと別々でよい。特に、液体はショートストロークまたはロングストロークモジュールを通して除去することができる(これらの用語の説明については、以降を参照のこと)。
[0075] 実施形態では、液体除去システムLRSと基板Wまたは基板テーブルWTの間に非接触シール(例えばガスシールまたは液体シールの形態の流体シール)を形成する。制御装置50を設けて、基板Wに対する液体除去システムLRSの相対的速度を、基板テーブルWTのステップおよびスキャン動作中に液体除去システムLRSを投影システムPSに対して静止状態で保持された場合になるような速度から低下させる。このように相対的速度が低下すると、非接触シールのシール性能が向上する。実施形態では、ステップおよびスキャン動作中の液体除去システムLRSと基板テーブルWTとの相対的速度が、実質的にゼロであるように、液体除去システムLRSを運動させて、基板テーブルWTの運動を反映する(つまりコピーする)。しかし、こうである必要はなく、液体除去システムLRSが運動せず、投影システムPSに対して固定されている場合に存在するレベルより下まで相対的速度が低下している限り、これら2つの品目間には多少の相対的速度があってもよい。このように相対的速度が低下するということは、基板テーブルWTまたは基板Wと液体除去システムLRSの間に形成できる非接触シールが改善されるということである。
[0076] 液体供給システムLSSは、結像中に投影システムPSに対して実質的に静止状態に保持され、したがって図7aと図7bの比較から分かるように、結像中に液体除去システムLRSが、投影システムPSに対して運動する基板Wに対して実質的に静止し、液体供給システムLSSは投影システムPSに対して静止状態を維持するが、基板Wは液体供給システムLSSに対して運動する。しかし、液体供給システムLSSと基板Wの間に特に良好なシールを入れるという要件はないので、基板Wを投影システムPSの下で以前より高速で運動させることが可能である。というのは液体供給システムLSSと基板Wからの漏れが問題にならないからである。実際、液浸液が例えば50°未満、30°未満または20°未満の小さい接触角を有する材料で、液体供給システムLSSを製造する(またはそれで被覆する)ことが有用である。同じことが基板テーブルWおよび基板テーブルWTにも当てはまる。さらに、槽タイプの解決策に対するこのシステムの利点は、水平方向の力が、運動する基板テーブルWTから液体11を通して投影システムPSへと概ね伝達されないことである。というのは、液体供給システムLSSが通常、投影システムPSを基板W上の液体11から遮蔽または隔離するバリアとして作用するからである。実施形態では、液体供給システムLSSが、投影システムPSも取り付けられた基準フレームRFに取り付けられる。基板テーブルWTは、ベースフレームBF(ここから基準フレームRFは動的に隔離されている)に取り付けられ、液体除去システムLRSは、ベースフレームBFを駆動するアクチュエータを介してこれに取り付けることができる。
[0077] 図7の液体除去システムLRSは、基板W全体を囲むほど十分に大きいように図示されている。これは、基板Wの上面全体を液体で覆い、それによって基板Wの温度を表面全体でほぼ一定に維持し、さらに液浸液への基板のトップコートの溶解量(およびトップコートへの液浸液の拡散量)を基板Wの上面全体にわたって実質的に一定に維持することができるので有利である。液体除去システムLRSは、基板テーブルWTの上面にあるどのセンサも覆うほど十分に大きくてもよく、これは例えば投影システムPSから液浸液を通る投影ビームによって結像される。そうでない場合は、液体除去システムLRSを運動して、センサを結像できるようにする。
[0078] 以上から認識されるように、液体除去システムLRSの機能は、それと基板テーブルWTまたは基板Wとの間にシールを形成することである。液体は実際に、異なる構成要素で除去することができるが、記載された実施形態のように液体除去とシールの機能を同じユニットで提供すると都合がよい。
[0079] 同様の原理が、PCT特許出願公開WO2005/064405号に開示されている。その文書では、バリア部材が、投影システムPSの最終エレメントと基板Wの間の空間に液体を提供することにも使用されるが、液体はその領域から基板の上面全体へと流出することができる。WO2005/064405号では、基板テーブルの上面の外縁の周囲にリムを設けて、液体が装置の他の領域を汚染することを防止する。液体を基板テーブルWTの上面から排出させ、基板テーブルWTの下で収集できるようにすることなど、他の解決策も可能である。これは、ショートストロークアクチュエータによって起動されるチャックなどの基板テーブルWTの構成要素が液体を含まず、液体がそのチャックから基板テーブルWTの別の構成要素へと流出でき、この他の構成要素がロングストローク位置決め手段の一部であるか、それによって起動される構成を含んでよい。別の実施形態では、WO2005/064405号で開示された実施形態と同様に、基板Wの外側の周囲に配置された基板テーブルWTの上面、または基板テーブルWTの他の場所にあるドレインで、液体を収集する。
[0080] 図7に図示されているように、液体供給システムLSSと液体除去システムLRSの間にカバー500を設けて、カバー500の壁と液体供給システムLSSと液体除去システムLRSと基板Wの上面と基板テーブルWTの上面の一部との間でエンクロージャを形成することができる。エンクロージャは、基板テーブルWおよび基板テーブルWTの上にある液浸液で部分的に充填され、エンクロージャの残りの部分は気体で充填される。湿度制御装置を使用して、気体中の液浸液の分圧を制御することができる。例えば、その気体中の液浸液の分圧(湿度)が100%に維持されるか、100%に近い、例えば80%または90%である場合、基板の頂部からの液浸液の蒸発は減少するか、防止され、それによって温度変化および/または乾燥汚れを最小限に抑えるのに役立つ。カバー500と液体除去システムLRSの間にベアリングまたはギャップ(つまり非接触シール)を設け、投影システムPSに対して実質的に静止している単一カバー500のこの実施形態は、リソグラフィ投影装置の空間の有意の量を占有することができる。しかし、それほどの空間を占有しない他の配置構成が可能であり、2つのこのような例が図8から図10に図示されている。
[0081] 非接触シールが液体除去システムLRSと基板テーブルWTの間に形成された状態で、1つの基板の露光を終了した後、さらなる基板を露光する前に基板の交換が可能になる。これは、液体供給システムLSSから液体の全部は除去せずに、液体除去システムLRS内から液体の全部を除去することもなく達成することができる。基板交換中に、露光される基板Wを保持する基板テーブルWTが液体除去システムLRSおよび液体供給システムLSSの下から移動するので、液体除去システムLRSおよび液体供給システムLSSの下でダミー基板またはプレートを移動することができる。欧州特許EP1,420,299号は、このような構成を詳細に説明している。したがって、投影システムPSの最終エレメントは、基板交換中に濡れた状態にしておくことができる。次に、新しい基板Wが液体除去システムLRSおよび液体供給システムLSSの下へ移動すると、これらの構成要素の下からダミー基板が移動する。あるいは、基板交換中に液体供給システムLSSの運転を維持するだけも可能である。というのは、基板交換中に投影システムPSの最終エレメントを濡れた状態に維持し、液体に気泡が含まれるのを防止するように、これが実際には運転状態を維持すべき唯一の構成要素だからである。仲介するダミー基板がない直接の交換も可能である。
[0082] 図8の実施形態では、ソリッドカバー500をベローズタイプのカバー510と交換する。2次元のベローズによって、液体供給システムLSSに対する液体除去システムLRSの限られた相対的運動が可能になる。
[0083] 図9aおよび図9bは、図7のカバー500のさらなる代替物を示す。この実施形態では、カバーが2枚のプレート(例えばディスク)からなる。大きい方の第一プレート800は、液体除去システムLRSに取り付けられる。大きい方のプレート800および液体除去システムLRSは、基板Wの中心軸の周囲で水平面にて回転可能であり、この軸は基板の表面に対して垂直である。この方法で、液体除去システムLRSと基板Wの間のクリアランスは、基板の周囲で、大きい方のプレート800と液体除去システムLRSの回転を通して実質的に一定のままである。第二プレート810は、第一プレート800の貫通穴の中またはその上に配置され、貫通穴の中心軸の周囲で回転可能である。第二プレートの貫通穴830は、液体供給システムLSS(図9aおよび図9bには図示せず)で充填される。第一および第二プレート800、810が回転し、これらのプレートの中心軸が投影システムPSに対して平行運動することにより、第一プレート800がまだ基板Wの全部を覆い、それによってエンクロージャを形成している間に、貫通穴830を基板Wの任意の点に配置することができる。
[0084] 図10は、第一プレート800、第二プレート810、および液体供給システムLSSが配置された貫通穴830を断面図で示す。
[0085] 図9および図10の実施形態は、小さい方のプレート810が大きいプレート800の貫通穴の中に配置された状態で図示されているが、必ずしもそうではなく、他の構造的構成を使用することができる。例えば、プレート810は、第一プレート800の上面のベアリングに支持され、それに載ることができる。さらに、プレート800、810の相互に対するおよび基板Wに対する、さらに液体除去システムLRSに対する平行移動運動が可能である。プレートを2枚しか使用しないように説明しているが、大きい方のプレートの貫通穴の中または上に取り付けた任意の数のプレートにも、同じ原理を適用することができる。例えば、第二プレート810の貫通穴830の中に第三プレートを配置し、その穴の中で回転することができる。次に、液体供給システムLSSを第三プレートの貫通穴に取り付ける。最大で5枚以上のプレートが現実的である。
[0086] 図11から図14は、本発明のさらなる実施形態を示す。この実施形態では、他の実施形態の全てと同様に、液体が投影システムの最終エレメントと基板Wの間の空間に提供され、その空間から漏れて基板全体を覆うようにする。この実施形態は、基板テーブルWTに取り付けられたエンコーダヘッド980を使用してその位置が測定される基板テーブルWTとともに使用するのに特に適している。エンコーダプレート990が基板テーブルWTの上方に配置され、エンコーダヘッド980と相互作用して、基板テーブルWTに関する位置情報を提供する。このような構成では、エンコーダヘッド980およびその上方に配置されたその個々のエンコーダプレート990のうち少なくとも3つの間に、妨げられていない経路が存在する必要がある。図11から図14の実施形態により、これが可能であり、さらに基板表面からの液体蒸発を減少させるために使用するために、液体で覆われた基板Wの表面の上にエンクロージャを形成することができる。
[0087] この実施形態では、基板テーブルWTの上にスカート1000を設ける。このスカート1000はXY軸で基板テーブルWTに対して固定することができるが、Z軸では作動可能である(つまり、基板テーブルWTの上面に後退するか、そこから拡張することができる)。あるいは、スカートは、基板テーブルWTのロングストロークアクチュエータ(説明については以下を参照)部分に取り付けて、基板Wの結像中にスカート1000と基板テーブルWTの間の相対的速度がゼロであるように、運動することができる。したがって、結像中に基板テーブルWTに対して静止しているスカート1000が、図7の実施形態の液体除去システムLRSの位置を占有する。代替的または追加的に、基板には液体を(受動的に)除去するために、基板Wから隔置され、その半径方向外側にある(およびスカート1000の半径方向内側にある)基板テーブルWTの出口を設ける。同様の構成がWO2005/064405号で開示され、その文書で開示されたシステムを、この(または任意の他の)実施形態で使用することができる。スカート1000と基板テーブルWTの間のシールは、液体が漏れないシールが形成されるように、物理的接触があるシールとして作成することができる。スカート1000は、液体と蒸気の両方、つまり流体に対するバリアを提供する。次に、プレート1100、1210、1220、1230でエンクロージャを形成し、これについては図12に関して以下で説明する。
[0088] 基板テーブルWTは2つの部分に分割される。図11および図12に図示された基板テーブルは、基板テーブルWTの最上部分のみであり、これは往々にしてチャックと呼ばれる。基板テーブルWTの他の部分は、ロングストロークアクチュエータで移動され、チャックはショートストロークアクチュエータによって他の部分に対して運動する。ショートストロークアクチュエータは、基板テーブルWTの第二部分に対してチャックを運動させ、ロングストロークアクチュエータは基板テーブルWTを全体としてベースフレームに対して運動させる。妨害エラーを最小限に抑えることによってオーバレイエラーを回避するために、スカート1000が基板テーブルWTの第二部分に取り付けられ、スカート1000はチャックに全く接触せず、したがって装置のオーバレイ精度に影響しない。ロングストロークモジュールに装着された1つまたは複数のレバーばねがガイドとして作用し、スカートが正確な形状を有することを保証する。
[0089] 図12に見られるように、中心の固定されたプレート1100が装置に含まれている。この固定プレートは、上述した実施形態のように投影システムPSの最終エレメントと基板Wの間に液体を提供するように構成された液体供給システムLSSも組み込んでいる。プレート110は自身内に貫通穴1105を有し、投影システムPSの最終エレメントを収容する。液体供給システムLSSは、液体供給システムLSSが図7の実施形態で液体の流れを提供するのとほとんど同じ方法で、その貫通穴1105をわたって液体の流れを提供する。
[0090] プレート1100および一体の液体供給システムLSSは、X−Y方向で投影システムPSに対して静止状態で保持され、プレート1100はY方向に延在するか、その方向で細長い。基板テーブルWTは、スキャン中に投影システムPSおよびプレート10の下で運動する。
[0091] 図示の実施形態では、基板テーブルWTには、基板テーブルWTの各隅またはその付近に4つのエンコーダヘッド980を設ける。基板テーブルWTの位置を正確に求めるために、4つのエンコーダヘッド980のうち少なくとも3つは、基板テーブルWTの上に配置されて投影システムPSに対して所定の位置に固定されたエンコーダプレート990を、妨げられずに見ることができねばならない。図12では、エンコーダプレート990は、明快さを期して装置の残りの部分の隣に図示されている。実際には、エンコーダプレートは基板テーブルWTの上に配置され、したがって4つのエンコーダプレートはそれぞれ個々のエンコーダヘッド980の上に配置され、したがって基板テーブルWTが投影システムPSの下で運動する間中、エンコーダヘッド980の上にある。
[0092] 4つの別個に運動可能なプレート1210、1220、1230および1240を設けて、エンクロージャの上壁を形成する。プレートは、基板Wの上に生成された微小環境に出入りする気体の流れを最小限に抑えるために使用するものと見なすことができる。プレート1210、1220は、第一アクチュエータ1301を使用してY軸に沿って作動可能であり、プレート1230および1240は、第二アクチュエータ1302を使用してY軸に沿って作動可能である。アクチュエータ1301、1302は、ベースフレームまたはBFに、または投影システムを支持する測定フレームMFに接続することができる。ギャップが様々なプレートの間、およびスカート1000とプレートの間に維持され、したがって物理的接触がない。さらに、スカートおよびプレートによって基板Wの上に形成されたエンクロージャ内の湿度を、エンクロージャの外側の雰囲気より高い相対湿度の液浸液に維持できることを保証するために、ギャップは、十分小さく維持される。したがって、複雑なシールの必要をなくすことができる。
[0093] 基板テーブルWTが投影システムPSおよび固定されたプレート1100の下で運動すると、プレート1210、1220、1230、1240によって覆う必要がある基板W上の区域が変化する。さらに、4つのエンコーダヘッド980のうち少なくとも3つが一度に覆われていてはならず、したがってこの実施形態で4つのプレートを使用する理由となる。プレートは、固定されたプレート1100のいずれかの側にて2つの可動プレート1210、1220および1230、1240で必要な区域を覆うことが可能であるように成形される。各プレートは、平行四辺形として成形され、固定されたプレート1100の同じ側で他のプレートとは独立して運動可能である。
[0094] 図12に見られるように、基板テーブルWTを、1対のプレート1210、1220として中心プレート1100の同じ側にある領域の方が多くなるように配置すると、これらのプレート1210、1220のベースがさらに近づき、したがって固定されたプレートに最も近いその自由端が隔置される。プレート1210、1220の特定の形状のせいで、その側のエンコーダヘッド980はプレートで覆われず、スカート1000の内側の領域全体がプレートで覆われる。図に見られるように、固定されたプレート1100の他方側では、第二アクチュエータ1302に取り付けられたプレート1230、1240のベースが、他方側よりさらに離れる。その結果、エンコーダヘッド980を覆わないが、なおスカート1000の内側の領域を覆うように、その自由端が相互に近づく。
[0095] エンコーダヘッド980がエンコーダプレート990への自由経路を必要とせず、基板テーブルWTの位置を、測定フレームに取り付けた干渉計および基板テーブルWTの縁部に取り付けたエンコードプレートを使用して測定する場合は、固定されたプレート1100のいずれかの側に単一の長方形のプレートを設けることが可能であり、これは固定されたプレートの長さに平行に平行移動する。この場合、プレートは、チャックのストローク全体をカバーするのに十分なほど広くする必要がある。これは、エンコーダヘッドをスカート1000から十分離れて配置すれば、図11および図12に示すように、エンコーダヘッド980およびエンコーダプレート990でもなお可能である。しかし、これは装置のサイズ増大につながる。
[0096] スキャン中に、基板テーブルWTがY方向に運動すると、プレート1210、1220、1230、1240がそれと一緒にY方向に運動する。基板テーブルWTがX方向に運動すると、固定されたプレート1100のいずれかの側にあるプレートの相対的位置が変化する。したがって、図12の基板テーブルWTをX方向でさらに左側に運動する場合、固定されたプレート1100の右手側のプレートが相互からさらに離れて、固定されたプレート1100の左手側にあるプレートが、相互に近づく。この方法で、エンコーダヘッド980が覆われていない間、エンクロージャの完全性が維持される。
[0097] 分かるように、各対のプレート(1220および1240)のうち下側のプレートは常に、センサに対して同じ位置にある縁部を有する。基板テーブルWTがX方向に運動すると、センサに隣接するその縁部の部分が変化する。したがって、スカート1000には、プレートの異なる高さを考慮に入れるために、ステップ1010を設ける。しかし、基板テーブルWTが運動するので、段を変更する必要がない。
[0098] 分かるように、固定されたプレート1100は、チャックのストロークの全長にわたってカバープレートの対と対の間の継手を覆うほど十分に長くなければならない。
[0099] 図11および図12に示す構成は、エンコーダヘッド980がY方向で相互に近いので有利である。しかし、センサは、プレートがない場合に必要な距離より、X方向にさらに外側に配置される。したがって、X方向にてY方向と同じ配置構成のプレートを使用することが可能であり、2レベルのプレートにつながる。これには、複雑さという犠牲を払っている。
[0100] 各プレートの間およびプレートとスカートの間およびプレートと固定されたプレートの間のギャップは、0.2mmから0.5mm程度であるが、0.1mm以下しかなくてもよい。このサイズのギャップでは、エンクロージャ内で最高98%の相対湿度を獲得することが可能である。
[0101] スカート1000をZ方向に作動させる理由は、基板テーブルWTを投影システムPS、液体供給システムLSSおよび全ての測定ユニットの下から出し入れできるようにすることである。これらの構成要素は、往々にして基板WTに非常に近づく必要がある。したがって、基板テーブルWTを、スカートがそこから突出している状態で運動すべき場合は、これらの構成要素が、基板の表面から3mmから12mm(ある実施形態では5mmから6mm)上にあるスカートと衝突するのを回避するために、基板テーブルWT全体をZ方向に作動させる(下降させる)必要がある。したがって、衝突を回避するために、露光シーケンスの前にスカート100を上昇させ、その後に下降させる。スカートは、炭素繊維または何らかの形態のブラシまたは弾性材料で作成してよい。
[0102] 実施形態では、プレート1210、1220、1230、1240を、恐らく炭素繊維またはアルミのサンドイッチ構造またはハニカム構造などの軽量構成要素から製造する。
[0103] 図13は、プレート1210、1220、1230、1240を詳細に示す。ここで見られるように、プレートは複数の穴1215を付けて製造し、それを弾性膜で覆う。この膜は弾力的にゆがみ可能である。つまり、気体中のプレート1210の運動は、膜で覆われた穴1215がない場合の結果より減衰が少ない。これは、エンコーダプレート990とプレート1210、1220、1230、1240の間の距離がわずか数mm、または0.5mmしかないことがあるので、特に困難なことである。エンコーダプレートは測定フレームに対して装着され、可動プレート1210、1220、1230、1240はベースフレームに対して装着され、測定フレームはベースフレームに対して可撓台に装着されるので、プレート1210、1220、1230、1240は、Z方向でエンコーダプレート990に対して運動することができ、これは気体の減衰(damping)を引き起こし、その結果、可動プレートとエンコーダプレートの間にクロストークが生じる。したがって、プレート1210、1220、1230、1240に、可撓膜で覆われた貫通穴1215を設けると、気体が蝶プレート(butterfly plate)を通って流れるのを防止するが、膜は上下方向に拡大して、エンコーダプレート990に対するこれらのプレートの相対的運動によって引き起こされる気体の流れに対応することができる。
[0104] 図14は、二重基板装置の構成でプレート1210、1220、1230、1240を1つの基板テーブルWTから別のそれへと移送する手順を示す。基本的に、固定されたプレート1100の一方側にあるプレートは、第一基板テーブルを覆うことから第二基板テーブルへと一体で運動する。この手順中に、一時に1つのエンコーダヘッド980しか覆われない(ステップ2参照)。固定されたプレート1100の一方側のプレートが、第二基板テーブル上の所定の位置へと移動したら、固定されたプレート1100の他方側にあるプレートが、第一テーブルから第二テーブルへと移動する。この手順全体の間、基板テーブルWTは両方とも静止したままである。4つのプレート全部が新しい基板テーブルへと移動したら、新しい基板テーブルを投影システムPSの下に配置するように、両方の基板テーブルWTを移動することができる。
[0105] 実施形態では、可動プレートの代わりにエンコーダプレート自体を使用する。エンコーダプレートは、いずれの場合も投影システムPSに対して固定され、基板テーブルWTの全ストロークを通してエンクロージャを覆うことができるほど十分に大きいサイズである。プレート上で液浸液が凝縮することが障害となることがあり、それを回避するために処置を執る必要があることもある。
[0106] 以上の実施形態は全て、基板の表面全体が液体で覆われている。つまり十分に濡れた挙動を有し、したがって小滴は形成されないが、連続的な薄膜が形成される。これにより全てが濡れていることを保証するために、基板Wの表面を予め濡らす必要がある。投影システムPSの下にない基板の表面上の液体膜は、膜層が破壊しない状態で可能な限り薄いことが好ましい。これをより簡単にする1つの方法は、液浸液に表面活性剤または湿潤剤を添加することである。しかし、本発明は、任意の厚さの液体膜に適用可能である。代替的または追加的に、添加物が必要ないように、親水性層を基板に設けることができる。概して、液浸液に添加される添加物は、液体と基板表面との小さい接触角を提供するために選択しなければならない。接触角は70°未満、60°未満、50°未満、30°未満、または15°未満でよい。添加物は、吸着による加熱を回避するために、投影システムに使用される放射に対して透明であるか、少なくとも、レジスト層の像を転写するために十分な放射がレジスト層に適切に到達することを保証するのに十分なほど透明でなければならない。このような加熱は、流体の屈折率に影響を及ぼすことがあり、これは明らかに望ましくない。1つの適切な添加物は、Air Products and Chemicals, Inc.によって生産されるOptiyield 93cである。
[0107] 以上の(特に図11から図14の)実施形態のいずれでも、液浸液は、基板テーブルWTに対して静止している出口を通して除去することができる。出口が実際に基板テーブルWTに通っている場合は、抽出によって基板テーブルWT内に振動を誘発する可能性を低下させるために、または抽出流路内での蒸発を可能にする、または気体と空気の混合物が抽出流露に入れるために、措置を執ることができる。これは、例えば図6に示し、上述したような単相抽出器と同じ方法で有孔性材料を使用することにより、抽出器を単相抽出器として設計することで実行することができる。
[0108] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることは言うまでもない。例えば、これは、集積光学装置、磁気ドメインメモリ用誘導および検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどである。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」または「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」または「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことは、当業者に明らかである。本明細書に述べている基板は、露光前または露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツールおよび/またはインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上およびその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0109] 本明細書で使用する「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nmまたは126nmの波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
[0110] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折および反射光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか、またはその組合せを指す。
[0111] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つまたは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、またはこのようなコンピュータプログラムを格納するデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気または光ディスク)の形態をとることができる。
[0112] 本発明の1つまたは複数の実施形態は、任意の液浸リソグラフィ装置、限定されないが特に上述したタイプに、液浸液が槽の形態で提供されるか、基板の局所的表面区域にのみ提供されるかに関係なく、適用することができる。本明細書で想定するような液体供給システムは、広義に解釈されたい。特定の実施形態では、投影システムと基板および/または基板テーブルの間の空間に液体を提供する機構または構造の組合せでよい。これは、1つまたは複数の構造、1つまたは複数の液体入口、1つまたは複数の気体入口、1つまたは複数の気体出口、および/または液体を空間に提供する1つまたは複数の液体出口の組合せからなる。実施形態では、空間の表面は、基板および/または基板テーブルの一部であるか、空間の表面が、基板および/または基板テーブルの表面を完全に覆うか、空間が基板および/または基板テーブルを封入することができる。液体供給システムは、任意選択でさらに、液体の位置、量、品質、形状、流量または任意の他の特徴を制御する1つまたは複数の要素を含んでよい。
[0113] 装置に使用される液浸液は、使用される露光放射の所望の特性および波長に従って様々な組成を有してよい。波長が193nmの露光の場合は、超純水または水性配合物を使用してよく、この理由から、液浸液は水と呼ばれることがあり、親水性、疎水性、湿度などの水に関連する用語を使用することができる。
[0114] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。