JP5248394B2 - 被検体物質の固定化方法およびマイクロ分析装置 - Google Patents
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Description
以下、図1〜3に基づいて、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるマイクロ分析装置の平面図であり、図2は、該マイクロ分析装置の固定化用電極の断面図である。また、図3は、本発明の実施の形態1における他のマイクロ分析装置の固定化用電極の断面図である。
本発明の実施の形態1にかかるマイクロ分析装置(マイクロチャネルチップ)は、図1に示すような基板100および該基板100を接着して封する図示しない蓋基板を備えている。基板100と蓋基板とは接着されている構造である。基板100には、注入孔1、排出孔7、および注入孔1と排出孔7とを接続する凹面のマイクロチャネル2が形成されている。
図1に示すように、マイクロチャネル2内には、複数のリガンドを固定化するための複数の固定化用電極3、4、5が配置されている。固定化用電極3、4、5は、直線状のマイクロチャネル2に沿って、直線状に配置されている。
本発明の被検体物質の固定化方法およびマイクロ分析装置において、被検体物質を含む液体をマイクロチャンネル2に流す前に、マイクロチャンネル2に非特異吸着防止処理剤を接触させて、マイクロチャンネル2に非特異吸着防止処理剤層12(図2を参照)を設ける。ここで、「非特異吸着防止処理剤」とは、非特異的に吸着することを防止するものをいう。
リガンド溶液中のリガンドとして抗体や人工抗体が好ましい。これは、抗体または人工抗体は非常に検体との特異性が高く、耐久性にも優れているためである。また、人工抗体は合成ペプチド、アプタマー、または分子インプリンティングポリマーを用いることができる。合成ペプチド作製、アプタマー作製、分子インプリンティング作製技術は周知の技術にて作製することが容易である。
架橋剤としては、前記特許文献4に記載された光架橋剤が好ましい。本実施の形態1では、光架橋剤を使用している。光架橋剤としては、光反応性置換基を2つ以上有する物質、または光反応性置換基と活性物質置換基とを有する物質を用いることができる。
以下、実施の形態1おけるリガンドの固定化方法について説明する。
本発明のマイクロ分析装置の分析対象としては、検出物質中の検体である。検出物質として、例えば血液または血液を含む溶液が挙げられる。
図4は、本発明の実施の形態2にかかるマイクロ分析装置の構造を示す。図4に示すように、実施の形態2にかかるマイクロ分析装置(マイクロチャネルチップ)は、基板100および該基板100を接着して封する図示しない蓋基板を備えている。基板100と蓋基板とは接着されている構造である。基板100には、注入孔30、排出孔36、および注入孔30と排出孔36接続するマイクロチャネル31が形成されている。また、実施の形態1(図1を参照)と同様に、マイクロチャネル31内に3つの固定化用電極32、33、34が配置されている。また、注入孔30の付近に、対向電極35が配置されていることも実施の形態1と同様である。
図5は、本発明の実施の形態3にかかるマイクロ分析装置の構造を示す。図5に示すように、実施の形態3にかかるマイクロ分析装置は、基板100および該基板100を接着して封する図示しない蓋基板を備えている。基板100と蓋基板は接着されている構造である。基板100には、注入孔40、排出孔44、排出孔47、排出孔50、および注入孔40と排出孔44、47、50とを接続するマイクロチャネル41が形成されている。
図6は、本発明の実施の形態4にかかるマイクロ分析装置の構造を示す。図6に示すように、実施の形態4にかかるマイクロ分析装置は、基板100および該基板100を接着して封する図示しない蓋基板を備えている。基板100と蓋基板は接着されている構造である。基板100には、注入孔60、排出孔64、排出孔68、排出孔72、および注入孔60と排出孔64、68、72とを接続する1本のマイクロチャネル61が形成されている。
図7は、本発明の実施の形態5にかかるマイクロ分析装置の構造を示す。図7に示すように、実施の形態5にかかるマイクロ分析装置は、基板100および該基板100を接着して封する図示しない蓋基板を備えている。基板100と蓋基板は接着されている構造である。基板100には、注入孔80、排出孔84、および注入孔80と排出孔84を接続する1本のマイクロチャネル82が形成されている。
図8は、本発明の実施の形態6にかかるマイクロ分析装置の構造を示す。図8に示すように、実施の形態6にかかるマイクロ分析装置は、マイクロ分析装置93のマイクロチャネル92に接続するようにポンプ90を設置する構造とする。ポンプ90は、例えば、注入孔または排出孔に接続することができるが、本実施の形態では注入孔に接続する。
Hilyte555(同仁化学社製)で修飾したアディポネクチン抗体(R&Dシステム社製)とFITC(Fluoresceinisothiocyanate、同仁化学社製)で修飾したレジスチン抗体をそれぞれpH3.5に調製し、最終濃度を1μg/mlに調製した。それぞれの抗体溶液には光架橋剤ATFB−SE(Thermo Fisher Scientific社製)を、抗体に対する光架橋剤のモル比が500になるよう混合した。注入孔201からFITC修飾レジスチン抗体混合溶液を接触させ、固定化用電極203に光を照射しながら電流が−4μAになるよう電圧を印加し電気誘引光固定化を行った。次に、ツイーン20(キシダ化学社製)入りのPBS(phosphate buffer saline、和光純薬工業社製)で十分洗浄した。さらに、注入孔201からHilyte555修飾アディポネクチン抗体混合溶液を接触させ、固定化用電極204に光を照射しながら電流が−4μAになるよう電圧を印加して電気誘引光固定化を行った。最後に、ツイーン20入りのPBSで十分洗浄した。
Hilyte555修飾アディポネクチン抗体とFITC修飾レジスチン抗体をそれぞれpH3.5に調製し、最終濃度を1μg/mlに調製した。それぞれの抗体溶液には光架橋剤ATFB−SEを混合しなかった。注入孔201からFITC修飾レジスチン抗体溶液を接触させ、固定化用電極203に光を照射しながら電流が−4μAになるよう電圧を印加して電気誘引光固定化を行った。次に、ツイーン20入りのPBSで十分洗浄した。さらに注入孔201からHilyte555修飾アディポネクチン抗体溶液を接触させ、固定化用電極204に光を照射しながら電流が−4μAになるよう電圧を印加して電気誘引光固定化を行った。最後に、ツイーン20入りのPBSで十分洗浄した。
Hilyte555修飾アディポネクチン抗体とFITC修飾レジスチン抗体をそれぞれpH3.5に調製し、最終濃度を1μg/mlに調製した。それぞれの抗体溶液には光架橋剤ATFB−SEを、抗体に対する光架橋剤のモル比が500になるよう混合した。注入孔201からFITC修飾レジスチン抗体混合溶液を接触させ、固定化用電極203に光を照射しながら電圧を印加せずに電気誘引光固定化を行った。次に、ツイーン20入りのPBSで十分洗浄した。さらに注入孔201からHilyte555修飾アディポネクチン抗体混合溶液を接触させ、固定化用電極204に光を照射しながら電圧を印加せずに電気誘引光固定化を行った。最後に、ツイーン20入りのPBSで十分洗浄した。
それぞれの固定化用電極204を蛍光観察した。抗体に蛍光を修飾しているため、蛍光が観察された場合、マイクロチャネル内に抗体が固定化されていることを示す。
(1)多項目を同時に検出するマイクロ分析装置の被検体物質の固定化方法であって、被検体物質は帯電性を有するpHに調製し、該溶液には光反応性置換基をもつ光架橋剤を混合し、被検体物質を固定化する前に非特異吸着防止処理を施したマイクロチャネル内に、前記溶液を注入し、マイクロチャネル内に設置された固定化用電極およびその対向電極との間に一定の電流が流れるように可変電圧を印加させ、さらに該固定化用電極に活性化エネルギーを与える光を照射することによる光反応によって、前記被検体物質を固定化することを特徴とする被検体物質の固定化方法。
2、31、41、61、82、92、101、202 マイクロチャネル
3、4、5、13、29、32、33、34、42、45、48、62、66、70、203、204 固定化用電極
6、35、37、51、65、69、73、74、81、205 対向電極
7、36、44、47、50、64、68、72、84、104、206 排出孔
10、25 リガンド(被検体物質)
11、26 光架橋剤(架橋剤)
12、27 非特異吸着防止処理剤層
28 合成高分子層
43、46、49、63、67、71 検出用電極部
83 固定化可能領域
85 リガンド誘引電極
90 ポンプ
91 チューブ
93 マイクロ分析装置
100 基板
103 液だめ部
105 リガンド固定部
120 被検体物質
121 標識物質
122、125 抗体
123 標識抗体
124 免疫複合体
126 複合体
Claims (25)
- 検体と結合可能な被検体物質をマイクロ分析装置におけるマイクロチャネルに固定化する被検体物質の固定化方法であって、
前記マイクロチャネルには、固定化用電極と対向電極とが備えられており、
前記マイクロチャネルに非特異吸着防止処理剤を接触させ、前記マイクロチャネルの中および固定化用電極に対して非特異吸着防止処理を行う非特異吸着防止工程、
前記被検体物質を含む溶液のpHを調整して前記被検体物質を帯電させ、pH調整後の溶液に、前記非特異吸着防止処理剤と反応可能な官能基および前記被検体物質と反応可能な官能基を有する架橋剤を混合して、混合液を作製する混合液作製工程、並びに、
前記混合液を前記マイクロチャネルに接触させ、前記マイクロチャネルの中に設けられた前記固定化用電極と前記対向電極との間に電流を流し且つ前記固定化用電極に前記被検体物質が帯電した電位と極性が反対の電位を供給するような可変電圧を印加し、前記被検体物質を電気的に前記固定化用電極に誘引して、さらに前記固定化用電極に活性化エネルギーを付与して、前記被検体物質を、非特異吸着防止処理が施された前記固定化用電極に、前記非特異吸着防止処理剤と架橋させて固定化する固定化工程
を含むことを特徴とする被検体物質の固定化方法。 - 前記架橋剤は、光架橋剤であり、前記非特異吸着防止処理剤と反応可能な官能基は、光反応性置換基であり、前記被検体物質と反応可能な官能基は、光反応性置換基を有しており、かつ前記活性化エネルギーは、光エネルギーであることを特徴とする請求項1に記載の被検体物質の固定化方法。
- 前記非特異吸着防止処理を行う前に、前記固定化用電極の少なくとも一部を合成高分子の層で被覆することを特徴とする請求項1または2に記載の被検体物質の固定化方法。
- 前記固定化用電極と前記対向電極との間に印加する可変電圧は、1V以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の被検体物質の固定化方法。
- 前記pH調整後の溶液における被検体物質の濃度は、0.01μg/ml以上、10μg/ml以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の被検体物質の固定化方法。
- マイクロチャネルを備え、検体と結合可能な被検体物質が前記マイクロチャネルに固定化されたマイクロ分析装置であって、
前記マイクロチャネルには、固定化用電極と対向電極とが備えられており、
前記マイクロチャネルの固定化用電極は非特異吸着防止処理剤で被覆されており、
前記固定化用電極は、前記被検体物質を電気的に当該固定化用電極に誘引する電極であり、
前記被検体物質は、非特異吸着防止処理が施された前記固定化用電極に、前記非特異吸着防止処理剤と反応可能な官能基および前記被検体物質と反応可能な官能基を有する架橋剤により、前記非特異吸着防止処理剤と架橋して固定化されていることを特徴とするマイクロ分析装置。 - 前記架橋剤は、光架橋剤であり、前記非特異吸着防止処理剤と反応可能な官能基は、光反応性置換基であり、かつ前記被検体物質と反応可能な官能基は、光反応性置換基を有していることを特徴とする請求項6に記載のマイクロ分析装置。
- 固定化用電極の少なくとも一部は、合成高分子の層で被覆されており、
前記合成高分子の層は、前記非特異吸着防止処理剤で被覆されていることを特徴とする請求項6または7に記載のマイクロ分析装置。 - 前記マイクロチャネルには、2つ以上の前記固定化用電極が設けられ、
前記2つ以上の固定化用電極の下流側または上流側には、対向電極が設けられていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のマイクロ分析装置。 - 前記マイクロチャネルに液体を接触させるための1つの注入孔および液体を排出するための1つの排出孔を更に備えており、
前記注入孔と前記排出孔とは、1本の前記マイクロチャネルにより接続されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のマイクロ分析装置。 - 前記マイクロチャネルに液体を接触させるための1つの注入孔および液体を排出するための2つ以上の排出孔を更に備えており、
前記1つの注入孔と前記2つ以上の排出孔とを接続する前記マイクロチャネルは、前記1つの注入孔からの経路が分岐点で分岐した構造を有し、
前記分岐点より下流側の前記マイクロチャネルの中には、分岐されたマイクロチャネルの分岐路ごとに前記固定化用電極が設けられており、
前記分岐点より上流側の前記マイクロチャネルの中には、前記対向電極が設けられていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のマイクロ分析装置。 - 前記固定化用電極の下流側に、電気化学的に活性な物質を検出するための検出用電極が設けられていることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載のマイクロ分析装置。
- 前記非特異吸着防止処理剤が、タンパク質であることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項に記載のマイクロ分析装置。
- 前記非特異吸着防止処理剤が、合成高分子であることを特徴とする請求項6〜13のいずれか1項に記載のマイクロ分析装置。
- 前記合成高分子は、非特異吸着防止処理剤の機能を有していることを特徴とする請求項14に記載のマイクロ分析装置。
- 前記非特異吸着防止処理剤が、合成高分子とタンパク質との混合物質であることを特徴とする請求項6〜13のいずれか1項に記載のマイクロ分析装置。
- 上記タンパク質が、ウシ血清アルブミン、カゼイン、またはゼラチンであることを特徴とする請求項13または16に記載のマイクロ分析装置。
- 前記合成高分子が、電気的に中性であることを特徴とする請求項14に記載のマイクロ分析装置。
- 前記非特異吸着防止処理剤が、ホスホリルコリン基を有する合成高分子であることを特徴とする請求項18に記載のマイクロ分析装置。
- 前記光架橋剤が、4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸コハク酸イミドエステル、または、ビス−[(4−アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィドであることを特徴とする請求項6〜19のいずれか1項に記載のマイクロ分析装置。
- 前記被検体物質は、抗体または人工抗体であることを特徴とする請求項6〜20のいずれか1項に記載のマイクロ分析装置。
- 前記人工抗体は、合成ペプチド、アプタマー、または分子インプリンティングポリマーであることを特徴とする請求項21に記載のマイクロ分析装置。
- 前記検体は、血液内成分であることを特徴とする請求項6〜22のいずれか1項に記載のマイクロ分析装置。
- 前記血液内成分は、アディポネクチン、レプチン、レジスチンおよびTNF−αのうちの少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項23に記載のマイクロ分析装置。
- 前記注入孔にポンプが接続されていることを特徴とする請求項6〜24のいずれか1項に記載のマイクロ分析装置。
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