JP5247589B2 - 電離箱検出器および線量分布測定装置 - Google Patents

電離箱検出器および線量分布測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5247589B2
JP5247589B2 JP2009123289A JP2009123289A JP5247589B2 JP 5247589 B2 JP5247589 B2 JP 5247589B2 JP 2009123289 A JP2009123289 A JP 2009123289A JP 2009123289 A JP2009123289 A JP 2009123289A JP 5247589 B2 JP5247589 B2 JP 5247589B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal lines
ionization chamber
common electrode
divided
chamber detector
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009123289A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010156671A (ja
Inventor
博志 西沢
越虎 蒲
一 仲嶋
久 原田
徹 岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2009123289A priority Critical patent/JP5247589B2/ja
Publication of JP2010156671A publication Critical patent/JP2010156671A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5247589B2 publication Critical patent/JP5247589B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Measurement Of Radiation (AREA)

Description

本発明は、例えば、がんの放射線治療などに利用される放射線ビームの線量分布が測定可能な電離箱検出器および、これを用いた線量分布測定装置に関する。
がんの放射線治療では、治療に用いるX線、電子線、粒子線などの放射線ビームのエネルギーや形状を確認するため、患者にビームを照射する前に、人体を模擬した水ファントム中における線量分布を測定する必要がある。加速器などの放射線照射装置の調整、および、患者ごとに異なるビームエネルギー分布および形状の確認のため、放射線ビームの品質管理として日常的に線量分布測定が必要となる。
従来の吸収線量分布測定は、特許文献1に記載されているように、人体を模擬した水槽と、水中での位置を変更できるように駆動装置が備えられた1つの電離箱を用いて、電離箱を走査させることによって、放射線の照射による水中の線量分布を測定している。そのため、1回の線量分布測定だけでも多大な時間と手間が必要になる。また、ビーム条件を変更する度に、線量分布測定による確認が必要であるため、照射装置1台当りの治療可能な患者数、すなわち治療装置の稼働率の向上には限界がある。
このような課題を解決するため、短時間に線量分布を測定できる装置として様々な形態の放射線検出器や線量分布測定装置が提案されている。例えば、半導体検出器をアレイ状に並べた検出器や、写真フィルムの黒化度を測定する方法などのほか、特許文献2のように、ピクセル型電極を用いて1mm以下の高分解能を実現する放射線検出器の例が提案されている。特許文献3では、ビームプロファイルを測定するために、平板状電極−中間層(電離箱空気孔あり)−分割電極の構造が提案されている。横方向分布の他に、深さ方向分布を擬似的に測定するために、エネルギー減衰部を有するエネルギー補正板が上流側に配置される。
特許第3203211号公報 特開2008−180647号公報 特表2009−502263号公報
がん治療用放射線ビームの品質管理のための線量分布測定では、人体組織と等価な出力を得ることが必要になる。半導体検出器や写真フィルムは、元素組成が人体の組成とは大きく異なるため、好ましくない。したがって、治療用照射装置の品質管理としては、従来から行われているように、水ファントム中の吸収線量を電離箱で測定する方法が、人体組織と等価の出力を得ることができるため、最も信頼性が高い。
治療装置の稼働率を向上させるためには、電離箱による線量分布測定を短時間で行うことが必要になる。測定時間の高速化は、電離箱をアレイ状に並べる多セル検出器を構築し、同時測定を行うことにより実現できる。また、高分解能化を実現するには、特許文献2に記載されているように、プリント回路基板作成技術を用いて微細な電極構造を形成することにより可能である。
しかしながら、高速化と高分解能化を両立させようとする場合、必然的に電離箱1セル当りの体積が小さくなり、十分な信号出力が得られなくなる。すなわち、信号対雑音比を高くすることができず、精度を確保することが難しい。
本発明の目的は、線量分布測定において高分解能と高精度を両立できる電離箱検出器および、これを用いた線量分布測定装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、複数の検出セルを備えた電離箱検出器であって、各検出セルで共用される共通電極と、該共通電極に対向して、各検出セルごとに配置された複数の分割電極と、各分割電極に接続された複数の信号線と、各信号線の近傍にそれぞれ配置された複数のダミー信号線と、各分割電極の近傍に配置されたガードリングと、複数の電気絶縁層および複数の配線層を有する多層配線基板とを備え、多層配線基板の第1主面に、複数の分割電極およびガードリングが配置され、多層配線基板の第1配線層に、複数の信号線が配置され、多層配線基板の第2配線層に、複数のダミー信号線が配置され、共通電極の外縁形状およびガードリングの外縁形状が、平面視で互いに略一致し、複数の信号線の外縁形状および複数のダミー信号線の外縁形状が、平面視で互いに略一致していることを特徴とする。
また、本発明に係る線量分布測定装置は、上記の電離箱検出器と、共通電極に所定の電圧を供給する高圧電源と、信号線から出力される信号を積分する第1電荷積分回路と、ダミー信号線から出力される信号を積分する第2電荷積分回路と、第1電荷積分回路の出力から第2電荷積分回路の出力を引き算する信号処理回路とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、各分割電極に接続された複数の信号線の近傍に複数のダミー信号線を配置することによって、放射線照射によって電離したイオンのうち、分割電極に到達したものが正規の信号として検出されるが、信号線に到達したものはノイズとなって正規の信号に重畳され、一方、ダミー信号線にも信号線と同程度のノイズ成分が生ずる。そこで、信号線から出力される信号(正規の信号+ノイズ)から、ダミー信号線に生じたノイズを引き算することによって、信号線に重畳されたノイズを相殺することが可能になる。その結果、分割電極で検出できる線量分布の空間分解能が高くなり、高精度の線量分布測定を達成できる。
水ファントムを用いた線量分布測定を示す概略図である。 図1に示す駆動処理装置の電気的構成を示すブロック図である。 アレイチェンバの全体構成を示す概略図である。 分割電極を含む導体パターンの一例を示す平面図である。 分割電極およびその周辺を示す等価回路である。 分割電極基板における導体パターンの他の例を示す平面図である。 図6中のA−A’線に沿った断面図である。 分割電極基板と共通電極の導電パターン部のみを示す斜視図である。 共通電極部の導電パターン部を示す平面図である。 図9中のB−B’に沿った電離箱検出器の断面図である。 電離箱検出器の配線構造を示す図である。
実施の形態1.
図1は、水ファントムを用いた線量分布測定を示す概略図である。水槽3の内部に水4が貯留されており、人体組織と等価である「水ファントム」を形成している。患者に照射する前に、この水ファントムに向けて、例えば、X線、電子線、粒子線などの治療用放射線ビーム5を照射して、水中に位置決めしたアレイチェンバ1を用いて、水ファントムの吸収線量および線量分布を測定することにより、放射線ビーム5のエネルギーおよびビームプロファイルが適正であるか否かを確認することができる。
アレイチェンバ1は、多数の電離箱検出器がアレイ状に配置された多セル構造を有する。駆動処理装置2は、アレイチェンバ1への電圧供給、アレイチェンバ1からの信号処理、測定値の表示などを行う。
図2は、図1に示す駆動処理装置2の電気的構成を示すブロック図である。アレイチェンバ1は、多数の電離箱セルを有し、各セルには、互いに対向した共通電極および分割電極が設けられる。共通電極は高圧電源22に共通接続され、各分割電極は、複数の信号線を経由して個別の電荷積分回路23a,23b…にそれぞれ接続されている。例えば、256個の分割電極を設けた場合、256個の電荷積分回路23a,23b…を使用する。高圧電源22からの直流高電圧を共通電極に供給することにより、セル内部の共通電極と分割電極の間に電界が形成される。
電離箱の動作に関して、放射線がセル内部に入射すると、放射線の電離作用によってセル内に存在する気体(例えば、空気)の一部が電離する。このとき電極間に電界が印加されていると、正イオンが分割電極に引き寄せられ、一方、負イオンが共通電極に引き寄せられる。両イオンがセル内部を移動すると、電流として出力される。そこで、所定時間内に流れた電流を積分して電荷量に変換することによって、各セルに入射した放射線の吸収線量を測定することができる。
本実施形態では、後述するように、個々の信号線の近傍にダミー信号線を配置しており、各ダミー信号線は個別の電荷積分回路24a,24b…24zにそれぞれ接続している。例えば、256個のダミー信号線を設けた場合、256個の電荷積分回路24a,24b…24zを使用する。
電荷積分回路23a,23b…からの出力および電荷積分回路24a,24b…24zからの出力は、マルチプレクサ25によって時分割で選択され、アナログデジタル変換器26によってデジタル信号にそれぞれ変換され、演算・表示装置28に設置されたメモリに保存される。コントローラ27は、マルチプレクサ25、アナログデジタル変換器26、演算・表示装置28等の個々の回路および装置全体の動作を制御する。
演算・表示装置28は、信号処理や測定値の表示などを実行する機能を有し、特に、本実施形態では、アレイチェンバ1の検出セルごとに信号線の積分値からダミー信号線の積分値を引き算するノイズキャンセル機能を有する。
図3は、アレイチェンバ1の全体構成を示す概略図である。図4は、分割電極を含む導体パターンの一例を示す平面図である。図5は、分割電極およびその周辺を示す等価回路である。
アレイチェンバ1は、分割電極基板11と共通電極12とが所定の間隔で対向した平行平板型電離箱である。分割電極基板11の上には、図4に示すように、複数の検出セルに対応した複数の分割電極101a,101b…101zが直線状に配置される。例えば、256個の検出セルを設ける場合、256個の分割電極101a,101b…101zを使用する。なお、分割電極の個数、寸法、ピッチは、必要なビームの寸法および測定に必要な分解能から決まるものであり、図4では一部を省略して図示している。共通電極12は、各検出セルで共用される単一の電極板で構成される。
分割電極基板11および信号取出し部13の上には、各分割電極101a,101b…101zに接続された複数の信号線103a,103b…103zがそれぞれ配置され、さらに、各信号線の近傍には、複数のダミー信号線104a,104b…104zがそれぞれ配置される。これらの信号線およびダミー信号線は、信号ケーブル14を経由して駆動処理装置2に接続される。各分割電極101a,101b…101zの近傍には、分割電極のアレイ全体を取り囲むガードリング102が配置される。
分割電極基板11の片面に、複数の分割電極101a,101b…101z、複数の信号線103a,103b…103z、複数のダミー信号線104a,104b…104z、およびガードリング102を配置する場合、電気絶縁基板の上面に金属箔を接合したプリント基板105を用いることによって印刷技術によるパターニングが可能である。その結果、高精度の位置、寸法、面積を有するアレイ状の分割電極を容易に製作できる。さらに、測定の空間分解能を高めるために1つの分割電極を小さくしたとしても、その寸法ばらつきは小さく抑えられるため、高分解能化と感度ばらつき低減の両立が可能となる。また、各電極の相対位置も高精度に配置できることから、測定位置誤差の少ない計測が可能となる。
一方、測定の空間分解能を高めるために1つの分割電極を小さくした場合、個々の検出セルの有感部体積が小さくなる。すると、放射線の電離作用による生成電荷量が少なくなって、信号対雑音比が低下し、ノイズに対する耐性が低下する。本実施形態では、以下に述べる手法を用いることによって信号の誤差低減およびノイズ耐性向上を図っている。
ノイズの主な要因は、分割電極101a,101b…101z以外の部分、即ち、信号線103a,103b…103zや信号ケーブル14等が放射線に曝射されることによる電荷生成であり、これがノイズ源や誤差要因になる。これを解決する一つの手段は、信号線および信号ケーブルを放射線から遮蔽することであるが、遮蔽材の設置により、アレイチェンバ1の体積が増加することが問題となる。
本実施形態では、図4に示すように、プリント基板105上に、各信号線103a,103b…103zの近傍に、ダミー信号線104a,104b…104zをパターニングによってそれぞれ配置している。こうした構成により、放射線照射によって電離したイオンのうち、分割電極101a,101b…101zに到達したものが正規の信号として検出されるが、信号線103a,103b…103zに到達したものはノイズとなって正規の信号に重畳され、一方、ダミー信号線104a,104b…104zにも信号線と同程度のノイズ成分が生ずる。そこで、信号線から出力される信号(正規の信号+ノイズ)から、ダミー信号線に生じたノイズを引き算することによって、信号線に重畳されたノイズを相殺することが可能になる。その結果、分割電極で検出できる線量分布の空間分解能が高くなり、高精度の線量分布測定を達成できる。
また、プリント基板のパターニング技術を用いることにより、信号線とダミー信号線は互い非常に近い位置に形成できるため、信号線の放射線曝射によるノイズおよび誤差の大部分を除去することができ、高精度な計測が可能となる。また、こうしたノイズキャンセル機能のためのダミー信号線の付加は、プリント基板による細密配線構造により実現できるので、装置全体の小型化が可能である。
さらに、各分割電極101a,101b…101zの近傍には、ガードリング102を配置することが好ましい。図5に示すように、ガードリング102は、分割電極101a,101b…101zと同電位(例えば、グランド電位)に維持される。そのため、プリント基板105内を迷走する漏れ電流のうち、分割電極101a,101b…101zへ流れ込む電流がガードリング102によって遮断されるため、漏れ電流に起因するノイズを低く抑えることができる。
次に、放射線照射時の感度ばらつき対策について説明する。演算・表示装置28は、同一強度の放射線を受けた場合に、各信号線から出力される信号の変動および各ダミー信号線から出力される信号の変動にそれぞれ対応した感度校正定数を予め記憶しておく。そして、実際の線量分布確認のときは、信号線の積分値およびダミー信号線の積分値に対して、予め記憶した感度校正定数を用いて感度校正処理(例えば、加減算または乗除算)を施すことによって、感度ばらつきが補正された出力を得ることができ、最終的に高精度な測定が可能となる。
こうして本実施形態によれば、がん放射線治療に用いるビームの吸収線量分布を短時間かつ高精度に計測することができる。
実施の形態2.
図6は、分割電極基板11における導体パターンの他の例を示す平面図である。図7は、図6中のA−A’線に沿った断面図である。本実施形態は、分割電極基板11の構成を除いて実施の形態1と同様であるため、重複説明を省略する。
分割電極基板11の上には、複数の検出セルに対応した複数の分割電極101a,101b…101zが直線状に配置される。これらの分割電極に対して所定の間隔で単一の共通電極が配置され、複数の検出セルを有するアレイチェンバが構成される。
分割電極基板11および信号取出し部13は、図7に示すように、複数の電気絶縁層および複数の配線層を有する多層プリント基板105で構成される。多層プリント基板105の第1配線層には、複数の信号線103a,103b…103zが配置され、第2配線層に、複数のダミー信号線104a,104b…104zが配置されている。また、多層プリント基板105の最上面および最下層には、複数の信号線および複数のダミー信号線を挟むように、導電パターン106が形成されている。
図6の平面図に示すように、複数の分割電極101a,101b…101zは、多層プリント基板105の最上面に形成される。分割電極のアレイ全体を取り囲むガードリング102も多層プリント基板105の最上面に形成される。個々の分割電極は、ビアホールを経由して、第1配線層に位置する個々の信号線に接続されている。また、ダミー信号線は、平面視で信号線と重なるように配置されている。
こうした構成により、信号線とダミー信号線とが極めて接近するため、信号線の放射線曝射によるノイズの同相除去効果が高くなり、より高精度な計測が可能となる。また、多層配線基板の内層にダミー信号線を配置することによって、分割電極基板11の全体面積を小さくすることができ、装置全体の小型化が可能である。
また、多層配線基板の内層に信号線を配置することによって、分割電極のアレイ全体を完全に取り囲むようにガードリング102を配置できる。すなわち、各分割電極を囲むように分割電極間にガードリング部を延伸させた配置が可能となる。そのため、プリント基板105内の漏れ電流の遮断効果がより向上し、各分割電極に接続される信号線に混入する漏れ電流を極めて低く抑えることができる。
さらに、多層プリント基板105の最上面および最下層に、複数の信号線および複数のダミー信号線を挟むように導電パターン106を配置し、グランド電位に接地することによって、導電パターン106がシールド材として機能する。その結果、信号線およびダミー信号線に到来する電磁波を遮蔽し、耐ノイズ性を高めることができる。
こうして本実施形態によれば、がん放射線治療に用いるビームの吸収線量分布を短時間かつ高精度に計測することができる。
実施の形態3.
図8は、本実施の形態3の分割電極基板と共通電極の導電パターンのみを示した斜視図である。本実施の形態3は導電パターンの形状以外は実施の形態1と同じであるため、重複説明は省略する。
本実施形態では、共通電極の導電パターン107の外縁形状および分割電極基板上のガードリング102の外縁形状が、平面視で互いに略一致していること、即ち、共通電極の導電パターン107の形状および寸法が分割電極基板上のガードリング102の外縁とほぼ同じであり、かつ、面内方向の位置はガードリング102の外縁と同じであることが好ましい。導電パターン107の外周部とガードリング102の外周部が、それらの面内方向に対して位置がほぼ一致する構成により、共通電極と分割電極の間にできる電界108の強度と向きが一様かつ平行になるため、各分割電極101a、101b…101zの感度特性が一様になり、感度ばらつきが少なくなる。その結果、吸収線量分布を高精度に測定することができる。
実施の形態4.
図9は、本実施の形態4の共通電極部12の導電パターンを示す平面図である。また、図10は図9のB−B’に沿った断面図を示す。本実施形態に係る分割電極基板の内部構成は実施の形態1と同じであるため、重複説明は省略する。
一般に、電離箱検出器では漏れ電流がノイズの主因になるので、漏れ電流が信号線に混入しないのが望ましい。共通電極と分割電極の間には高電圧が印加されており、電極間の空気および、共通電極と分割電極の支持材により絶縁されている。空気は良好な絶縁体であるので、ノイズの主因である漏れ電流は、高電圧が印加されている共通電極と分割電極の支持材を通って流れるものが支配的である。したがって、支持材の材料選定や表面処理を最適化することにより漏れ電流の低減が図られているが、完全に漏れ電流を抑えることはできない。
そこで本実施形態では、共通電極の導電パターン107の近傍に第2のガードリング109を配置した構造を採用している。これにより、共通電極側のガードリング109、分割電極基板11側の分割電極101a,101b…101z、および分割電極近傍のガードリング102が同電位(例えば、グランド電位)になる。図10に示すように、漏れ電流111は共通電極の導電パターン107からガードリング109に流れるものが大半となり、共通電極と分割電極の間にある支持材110を通って流れる漏れ電流は、実質的にゼロとなる。その結果、分割電極側の信号線に混入する漏れ電流をほとんどゼロにすることができ、高精度な測定を行うことができる。
また図10に示すように、共通電極12と分割電極基板11を備えた電離箱検出器は、外部からの応力が加わらないように、ケース112の内部に気密的に収納することが好ましい。ケース112の材質は、組成および密度が水に近いアクリル樹脂などが望ましい。このような構造により、電離箱検出器を水中に設置して測定を行う場合でも、共通電極12および分割電極基板11は水圧の影響を受けにくくなる。そのため電極間空間の変形を抑えることができ、有感部の体積が一定に保たれる。これにより、測定精度を高くすることができる。
さらに、ケース112の内面で、少なくとも共通電極12と対向する位置に、アルミや銅などの導電性の膜113をコーティング等によって形成されることが好ましい。このような構成により、共通電極12と分割電極11の間、および、共通電極12とケース内面の導電膜113の間には局所的な平行電場が生ずるが、これ以外の外部の領域の電場は低く抑えることができる。その結果、共通電極12と分割電極11の間の有感領域の外側に広がる電場を極力低く抑えることができるため、有感体積を共通電極12と分割電極11の間に制限することができ、測定精度を高めることができる。
また図10に示すように、ケース112に開口部114a,114bを設け、これらをOリング116および蓋115a,115bで封止し、必要に応じて、例えば、ネジ117の着脱等によって開閉可能な構造を設けることが好ましい。これにより、電離箱内の空気を素早く入れ替えることができるため、気圧や湿度による測定値変動を抑えることができ、測定感度の安定化が図られる。
実施の形態5.
図11は、本実施の形態5の電離箱検出器の配線構造を示す図である。分割電極101a,101b…101zの読出しのための信号線118および、信号線近傍に配置されたダミー信号線119は、分割電極基板の主面と交差する方向に沿って共通電極107の反対側に取り出され、分割電極基板11の平面以外の部分に立体配線されている。また、分割電極用信号線118およびダミー信号線119は、ツイストペア線によって外部回路と接続され、外側に導電性のシールド123が巻かれており、ツイストペア線を包囲している。シールド123はガードリング用リード線120によりガードリング102に接続され、さらに接地されている(図示せず)。一方、共通電極107に高電圧を供給するための共通電極用リード線121は、シールド123の外側に配置されている。これらのツイストペア線およびシールドは一体化するために収納チューブ124に入れられており、電離箱本体とはコネクタ122により接続されている。
このような構成により、有感体積を分割電極面の面積と共通電極との間隔のみで定義できるので、測定精度が向上する。本構成は、特に分割電極の面積が小さいときに精度向上およびばらつき低減に有効である。また、分割電極用信号線118およびダミー信号線119と、高電圧がかかる共通電極用リード線121は、シールド123により隔てられているため、分割電極用信号線118およびダミー信号線119と共通電極用リード線121の間の電場形成を防ぐことができる。その結果、漏れ電流が信号線に混入することを防ぐことができるので、測定精度を高めることができる。
1 アレイチェンバ、 2 駆動処理装置、 3 水ファントム(水槽)、
4 水、 5 放射線ビーム、 11 分割電極基板、 12 共通電極、
13 信号取出し部、 14 信号ケーブル、 22 高圧電源、
23a、24a、23b、24b、24z 電荷積分回路、 25 マルチプレクサ、
26 アナログデジタル変換器、 27 コントローラ、 28 演算・表示装置、
101a、101b、101c、101z 分割電極、 102 ガードリング、
103a、103b、103c 信号線、
104a、104b、104c ダミー信号線、
105 プリント基板、 106 導電パターン、
107 導電パターン、 108 電界、 109 ガードリング、
110 支持材、 111 漏れ電流、 112 ケース、 113 導電性膜、
114a、114b 開口部、 115a、115b 蓋、 116 Oリング、
117 ネジ、 118 分割電極用信号線、 119 ダミー信号線、
120 ガードリング用リード線、 121 共通電極用リード線、
122 コネクタ、 123 シールド、 124 収納チューブ。

Claims (12)

  1. 複数の検出セルを備えた電離箱検出器であって、
    各検出セルで共用される共通電極と、
    該共通電極に対向して、各検出セルごとに配置された複数の分割電極と、
    各分割電極に接続された複数の信号線と、
    各信号線の近傍にそれぞれ配置された複数のダミー信号線と
    各分割電極の近傍に配置されたガードリングと、
    複数の電気絶縁層および複数の配線層を有する多層配線基板を備え、
    多層配線基板の第1主面に、複数の分割電極およびガードリングが配置され、
    多層配線基板の第1配線層に、複数の信号線が配置され、
    多層配線基板の第2配線層に、複数のダミー信号線が配置され
    共通電極の外縁形状およびガードリングの外縁形状が、平面視で互いに略一致し、
    複数の信号線の外縁形状および複数のダミー信号線の外縁形状が、平面視で互いに略一致していることを特徴とする電離箱検出器。
  2. 複数の分割電極、複数の信号線、複数のダミー信号線、およびガードリングが、第1主面に配置された電気絶縁基板を備えることを特徴とする請求項記載の電離箱検出器。
  3. 多層配線基板の第1主面および第2主面に、複数の信号線および複数のダミー信号線を挟むように、シールド材が形成されていることを特徴とする請求項記載の電離箱検出器。
  4. ガードリングは、個別の分割電極を囲むように分割電極間に延伸していることを特徴とする請求項記載の電離箱検出器。
  5. 共通電極の近傍に配置された第2のガードリングをさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電離箱検出器。
  6. 電離箱検出器は、ケースの内部に気密的に収納されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電離箱検出器。
  7. ケースの内面で少なくとも共通電極と対向する位置に、導電性膜が形成されていることを特徴とする請求項記載の電離箱検出器。
  8. ケースには、少なくとも1つの開閉可能な開口部が設けられることを特徴とする請求項6または7記載の電離箱検出器。
  9. 複数の分割電極およびガードリングが設けられ、共通電極と対向した分割電極基板をさらに備え、
    信号線およびダミー信号線は、分割電極基板の主面と交差する方向に沿って共通電極の反対側に取り出されていることを特徴とする請求項記載の電離箱検出器。
  10. 信号線およびダミー信号線は、シールド線で包囲されたツイストペア線によって外部回路に接続され、
    該シールド線はガードリングに接続され、
    シールド線の外側には、共通電極に接続されたリード線が配置されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電離箱検出器。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載の電離箱検出器と、
    共通電極に所定の電圧を供給する高圧電源と、
    信号線から出力される信号を積分する第1電荷積分回路と、
    ダミー信号線から出力される信号を積分する第2電荷積分回路と、
    第1電荷積分回路の出力から第2電荷積分回路の出力を引き算する信号処理回路とを備えることを特徴とする線量分布測定装置。
  12. 前記信号処理回路は、同一強度の放射線を受けた場合に、各信号線から出力される信号の変動および各ダミー信号線から出力される信号の変動にそれぞれ対応した感度校正定数を予め記憶しており、
    第1および第2電荷積分回路の出力について、感度校正処理を行った後、引き算処理を行うことを特徴とする請求項11記載の線量分布測定装置。
JP2009123289A 2008-12-01 2009-05-21 電離箱検出器および線量分布測定装置 Active JP5247589B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009123289A JP5247589B2 (ja) 2008-12-01 2009-05-21 電離箱検出器および線量分布測定装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008305963 2008-12-01
JP2008305963 2008-12-01
JP2009123289A JP5247589B2 (ja) 2008-12-01 2009-05-21 電離箱検出器および線量分布測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010156671A JP2010156671A (ja) 2010-07-15
JP5247589B2 true JP5247589B2 (ja) 2013-07-24

Family

ID=42574685

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009123289A Active JP5247589B2 (ja) 2008-12-01 2009-05-21 電離箱検出器および線量分布測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5247589B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5711476B2 (ja) * 2010-07-29 2015-04-30 日立アロカメディカル株式会社 放射線検出器カード
JP5406142B2 (ja) * 2010-08-23 2014-02-05 三菱電機株式会社 線量分布測定装置
JP2012168170A (ja) * 2011-01-25 2012-09-06 Dainippon Printing Co Ltd ガス増幅を用いた放射線検出器
JP2013057598A (ja) 2011-09-08 2013-03-28 Rigaku Corp 半導体ストリップ検出器
JP2013236222A (ja) * 2012-05-08 2013-11-21 Shimadzu Corp アクティブマトリクス基板および放射線検出器
US9213109B2 (en) * 2012-05-24 2015-12-15 Mitsubishi Electric Corporation Radiation measurement device
CN107576979B (zh) * 2017-09-01 2024-04-12 山东省计量科学研究院 一种剂量率量程模拟扩展装置

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5413902Y2 (ja) * 1973-06-09 1979-06-11
JPS56124073A (en) * 1980-03-05 1981-09-29 Hitachi Ltd Radiation detector
JPS6089055A (ja) * 1983-10-20 1985-05-18 Mitsubishi Electric Corp 放射線検出器
JP2728986B2 (ja) * 1991-06-05 1998-03-18 三菱電機株式会社 放射線モニタ
JP3203211B2 (ja) * 1997-08-11 2001-08-27 住友重機械工業株式会社 水ファントム型線量分布測定装置及び放射線治療装置
US6152877A (en) * 1998-12-16 2000-11-28 Scimed Life Systems, Inc. Multimode video controller for ultrasound and X-ray video exchange system
JP2000175906A (ja) * 1998-12-18 2000-06-27 Matsushita Electric Ind Co Ltd パノラマx線撮影装置
JP4403045B2 (ja) * 2004-09-30 2010-01-20 富士フイルム株式会社 放射線画像検出器
JP2007003470A (ja) * 2005-06-27 2007-01-11 Fuji Electric Holdings Co Ltd 放射線測定装置
EP1747799A1 (en) * 2005-07-27 2007-01-31 Ion Beam Applications S.A. Dosimetry device for verification of a radiation therapy apparatus
JP2007046999A (ja) * 2005-08-09 2007-02-22 Toshiba Electron Tubes & Devices Co Ltd 放射線検出器
JP4365844B2 (ja) * 2006-09-08 2009-11-18 三菱電機株式会社 荷電粒子線の線量分布測定装置
JP5082096B2 (ja) * 2007-01-25 2012-11-28 国立大学法人神戸大学 ピクセル型電極構造のガス放射線検出器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010156671A (ja) 2010-07-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5247589B2 (ja) 電離箱検出器および線量分布測定装置
JP5070501B2 (ja) 放射線モニタ、ピクセルイオンチャンバ、および放射線をモニタする方法
JP5270659B2 (ja) ハドロン・ビームをオンラインで線量モニタリングするための装置、その使用、および方法
EP2044461B1 (en) Apparatus and methods for real-time verification of radiation therapy
JP5791795B2 (ja) 放射線計測装置
US20120310030A1 (en) Device And Method For Line Control Of An Energy Beam
JP5406142B2 (ja) 線量分布測定装置
JP4338810B2 (ja) 電離箱およびx線システム
EP0196138B1 (en) Image-detector for high-energy photon beams
US20170003403A1 (en) Device and method for radiation dosimetry
US5686733A (en) Megavoltage imaging method using a combination of a photoreceptor with a high energy photon converter and intensifier
CN114660652A (zh) 一种用于碳离子束测量的多层法拉第筒测量系统及方法
Eichin et al. Development and evaluation of a pixel detector system for pencil beam scanning proton therapy
WO2019233751A1 (en) Pixel detector system optimized for pencil beam scanning proton therapy
KR20090064985A (ko) 단일 지점 동위원소 방사선원을 이용한 다면적 두께 측정장치 및 측정 방법
KR101796679B1 (ko) 방사선 계측용 모니터 전리함 및 그 내장용 전리 방사선 검출 전극 유닛
Oliveira et al. A Large Area GEMPix detector for treatment plan verification in hadron therapy
WO2021003744A1 (zh) 放射线射束检测装置
KR20230102874A (ko) 전극 간격의 변경이 가능한 방사선 검출 장치
JPH0857068A (ja) 治療用放射線転送装置
TW202045957A (zh) 放射線射束檢測裝置
Smyth et al. UGT noise minimization techniques. Final report Apr--Nov 76
JPS5824902B2 (ja) 放射線検出器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111018

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121016

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121030

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121219

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130312

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130409

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5247589

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160419

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250