JP5247203B2 - 管状部材の水素濃度測定方法および管状部材の水素濃度測定装置 - Google Patents

管状部材の水素濃度測定方法および管状部材の水素濃度測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、水素を含有した管状部材の水素濃度測定方法および管状部材の水素濃度測定装置に関する。
化学プラントの熱交換器伝熱管などに多く用いられている管状部材では、海水などの塩化物環境で耐食性が良い材質として、たとえばチタンなどの金属を用いるが、チタンは水素との親和力が大きいために水素を吸収し、その水素を吸収した水素化物部分が脆化することがある。
脆化した水素化物部分は、材料強度が落ちて伝熱管の割れに繋がる可能性がある。このため、プラントの実機に用いられている伝熱管の健全性を確認するために水素化物が生成しているかどうかを確認するための非破壊検査を行う必要がある。
特許文献1記載の水素濃度測定方法は、被測定物8の壁体に対して、厚さ方向に平行な方向に振動が偏向する縦波超音波と、前記縦波超音波に対して略90°をなす方向に振動が偏向する横波超音波との共鳴状態を生じさせるように電磁超音波センサー2に変動磁界を生じさせ、被測定物8に生じた縦波超音波と横波超音波を受信し、縦波超音波と横波超音波の共鳴周波数を使用して所定の共鳴特性指標を算出する。この指標は、予め水素濃度との関係がデータベースに記憶されており、測定によって得られた共鳴特性指標とデータベースに記憶された関係とから被測定物8の水素濃度を算出する。
特開2006−258569号公報
特許文献1記載の水素濃度測定方法では、縦波超音波と横波超音波との共鳴周波数の比を用いて、共鳴特性指標を算出しているが、共鳴スペクトルにおいて、縦波の共鳴周波数と横波の共鳴周波数とが近い値を示す場合があり、このような場合に、共鳴周波数を検出するのが困難となる場合がある。たとえば特許文献1の図3には、共鳴スペクトルが示されているが、この周波数範囲では、縦波の2次共鳴周波数と横波の4次共鳴周波数とがほぼ同じ周波数となり、いずれの共鳴周波数であるかが判別できないという問題がある。
この水素濃度測定方法は、板状部材を被測定物としており、管状部材のように曲面を有する部材には適応できないという問題もある。もし適用したとしても、管の周方向にセンサーを移動させながら走査していく必要があり、測定に時間を要することになる。
本発明の目的は、管状部材の水素濃度をより短時間で測定することができる水素濃度測定方法および水素濃度測定装置を提供することであり、他の目的は、低水素濃度での測定精度を向上させる水素濃度測定方法および水素濃度測定装置を提供することである。
本発明は、管状部材に水素化物として吸収された水素の濃度を測定する管状部材の水素濃度測定方法であって、
円柱または円管形状を有する被測定物の表面近傍あるいは表面に配置した電磁超音波センサーにより被測定物に変動磁界を印加する工程と、
前記変動磁界により被測定物に生じる被測定物の軸線方向に振動し、周方向に伝播する軸対称SH波を受信して、前記軸対称SH波が共鳴を生じるように変動磁界の周波数を調整する工程と、
前記軸対称SH波の共鳴周波数を検出する工程と、
検出した共鳴周波数に基づいて、被測定物の共鳴特性指標を算出する工程と、
予め設定された共鳴特性指標と水素濃度との相関性に基づき、算出された被測定物の共鳴特性指標に対応する水素濃度を決定する工程とを有することを特徴とする管状部材の水素濃度測定方法である。
また本発明は、前記共鳴特性指標は、前記被測定物の水素を含まない健全部の2次モードの共鳴周波数と、前記被測定物の水素を含む脆化部の2次モードの共鳴周波数との差であることを特徴とする。
また本発明は、前記共鳴特性指標は、前記被測定物の水素を含む脆化部の2次モードの共鳴周波数と、前記被測定物の水素濃度に対して鈍感な振動モードの共鳴周波数との比であることを特徴とする。
また本発明は、前記共鳴特性指標は、前記被測定物の水素を含む脆化部の3次モード以上の高次モードによる減衰率であることを特徴とする。
また本発明は、前記共鳴特性指標は、前記被測定物の水素を含まない健全部の3次モード以上の高次モードによる減衰率と、前記被測定物の水素を含む脆化部の3次モード以上の高次モードによる減衰率との比であることを特徴とする。
また本発明は、管状部材に水素化物として吸収された水素の濃度を測定する管状部材の水素濃度測定装置であって、
円柱または円管形状を有する被測定物の表面近傍あるいは表面に配置した電磁超音波センサーにより被測定物に変動磁界を印加する手段と、
前記変動磁界により被測定物に生じる被測定物の軸線方向に振動し、周方向に伝播する軸対称SH波を受信して、前記軸対称SH波が共鳴を生じるように変動磁界の周波数を調整する手段と、
前記軸対称SH波の共鳴周波数を検出する手段と、
検出した共鳴周波数に基づいて、被測定物の共鳴特性指標を算出する手段と、
予め設定された共鳴特性指標と水素濃度との相関性を記憶する手段と、
前記相関性に基づき、算出された被測定物の共鳴特性指標に対応する水素濃度を決定する手段とを有することを特徴とする管状部材の水素濃度測定装置である。
本発明によれば、円柱または円管形状を有する被測定物の表面近傍あるいは表面に配置した電磁超音波センサーにより被測定物に変動磁界を印加し、前記変動磁界により被測定物に生じる被測定物の軸線方向に振動し、周方向に伝播する軸対称SH波を受信して、前記軸対称SH波が共鳴を生じるように変動磁界の周波数を調整する。被測定物が円管形状を有するものであれば、電磁超音波センサーは、管の外表面と内表面のいずれに配置することも可能である。
前記軸対称SH波の共鳴周波数を検出すると、検出した共鳴周波数に基づいて、被測定物の共鳴特性指標を算出し、予め設定された共鳴特性指標と水素濃度との相関性に基づいて、算出された被測定物の共鳴特性指標に対応する水素濃度を決定する。
このように、本発明では、前記軸対称SH波を用いることで、被測定物が管状部材であっても短時間で測定することができる。
また本発明によれば、前記共鳴特性指標は、前記被測定物の水素を含まない健全部の2次モードの共鳴周波数と、前記被測定物の水素を含む脆化部の2次モードの共鳴周波数との差である、シフト量を用いる。
共鳴周波数のシフト量と、水素濃度とは相関性を有しており、被測定物に含有された水素濃度が高いほどシフト量が大きくなる。このような相関性を用いることで算出した前記共鳴特性指標から容易に水素濃度を決定することができる。
また本発明によれば、前記共鳴特性指標は、前記被測定物の水素を含む脆化部の2次モードの共鳴周波数と、前記被測定物の水素濃度に対して鈍感な振動モードの共鳴周波数との比である。
共鳴周波数比と、水素濃度とは相関性を有しており、被測定物に含有された水素濃度が高いほど共鳴周波数比が大きくなる。前記シフト量は、周壁の肉厚の影響を小さいながらも受ける可能性があるので、肉厚の影響を考慮して、被測定物の水素濃度に対して鈍感な振動モードの共鳴周波数と2次モードの共鳴周波数との比を用いる。
また本発明によれば、前記共鳴特性指標は、前記被測定物の水素を含む脆化部の3次モード以上の高次モードによる減衰率である。
減衰率は、周壁の肉厚の影響を全く受けないこと、低濃度の水素濃度に対して健全部との差が非常に大きく高感度であるので、低水素濃度での測定精度を向上させることができる。
また本発明によれば、前記共鳴特性指標は、前記被測定物の水素を含まない健全部の3次モード以上の高次モードによる減衰率と、前記被測定物の水素を含む脆化部の3次モード以上の高次モードによる減衰率との比である。
減衰率は、周壁の肉厚の影響を全く受けないこと、低濃度の水素濃度に対して健全部との差が非常に大きく高感度であるので、低水素濃度での測定精度を向上させることができる。
また本発明によれば、円柱または円管形状を有する被測定物の表面近傍あるいは表面に配置した電磁超音波センサーにより被測定物に変動磁界を印加し、前記変動磁界により被測定物に生じる被測定物の軸線方向に振動し、周方向に伝播する軸対称SH波を受信して、前記軸対称SH波が共鳴を生じるように変動磁界の周波数を調整する。
前記軸対称SH波の共鳴周波数を検出すると、検出した共鳴周波数に基づいて、被測定物の共鳴特性指標を算出し、予め設定された共鳴特性指標と水素濃度との相関性に基づいて、算出された被測定物の共鳴特性指標に対応する水素濃度を決定する。
このように、本発明では、前記軸対称SH波を用いることで、被測定物が管状部材であっても短時間で測定することができる。
図1は、本発明の実施の一形態である水素濃度測定装置1の構成を示す概略図である。
水素濃度測定装置1は、電磁超音波センサー2と、電磁超音波送受信器3と、制御部4と、共鳴特性指標算出手段5と、水素濃度出力手段6とを備え、共鳴特性指標と水素濃度との相関性を記憶した標準材データベース7と各種データの送受信が可能に構成されている。また、本発明の被測定物は、管状部材8である。
電磁超音波センサー2は、管状部材8の外周面、内周面またはその近傍に配置され、管状部材の周壁に対して磁束密度が高周波で変化する磁界を生じさせ、その変化する磁界によって管状部材8に生じた管状部材8の軸線方向に振動し、周方向に伝播する軸対称SH波(以下では単に「SH波」という)を受信する電磁超音波センサーであって、ローレンツ型軸対称SH波EMAT(Electromagnetic Acoustic Transducers)で実現される。本実施形態では、磁石周期の周期数が9となるローレンツ型軸対称SH波EMATを用いている。
この電磁超音波センサー2を、管状部材8の軸方向に移動させながら走査し、管状部材8の水素濃度を測定する。
制御部4は、管状部材8にSH波の共鳴状態を生じさせるように、電磁波超音波送受信器3の出力電圧の周波数を制御する。これにより、電磁超音波送受信器3は、電磁超音波センサー2に変化する電圧を出力し、電磁超音波センサー2に磁束密度が高周波で変化する磁界を生じさせることができる。
電磁超音波センサー2が管状部材8に生じたSH波を受信し、電磁超音波送受信器3 に出力すると、電磁超音波送受信器3は受信したSH波の信号を制御部4に送り、制御部4は、これを記録する。
共鳴特性指標算出手段5は、制御部4に贈られたSH波の信号からSH波の共鳴周波数を検出する。検出された共鳴周波数に基づいて共鳴特性指標を算出する。なお、共鳴特性指標には、複数種類の指標があるので、詳細については後述する。
水素濃度出力手段6は、共鳴特性指標算出手段5で算出された共鳴特性指標と、水素濃度が既知の管状部材において予め測定された共鳴特性指標と水素濃度との相関性に基づいて、被測定物の水素濃度を決定して出力する。
本発明の水素濃度測定方法は、上記の水素濃度測定装置1を用いて以下のように管状部材の水素濃度を測定する。
(1)水素脆化部探索
高速かつ高精度に水素濃度を測定するために、まず水素が含有された脆化部に当たりをつけて検出し、検出した脆化部により詳細な測定を行う。
脆化部の検出は、2次モードの共鳴周波数を用いる。本件発明者は、事前の検討により、特に2次モードの共鳴周波数が水素を含まない健全部において、振幅が大きく明瞭な共鳴ピークが得られることを見出した。さらに、水素を含有する水素脆化部では、2次モードの共鳴周波数が、健全部の共鳴周波数からシフトし、健全部の共鳴周波数ではほとんど共鳴が起こらないことを見出した。
これらの知見を用いると、電磁超音波センサー2の駆動周波数を、健全部における2次モードの共鳴周波数(たとえば1.375MHz)に調整し、この共鳴周波数で一定振幅のバースト波を用いて管状部材を軸方向に0.3〜0.5m/sの走査速度で走査しながら、健全部の出力電圧よりも出力電圧が小さくなる部分を検出する。出力電圧が小さくなる部分は、共鳴周波数のシフトが生じている部分であるとみなせるために、水素脆化部の位置を検出することができる。
なお、周壁の肉厚によっても共鳴周波数のシフトが生じるが、水素脆化部のシフト量に比べて小さいために、シフト量によって水素脆化部であるか肉厚が変化した部分であるかを判別することができる。
一例として、直径19mm、周壁厚み1.2mm、管長さ150mmのチタン製管状部材において、2次モードの共鳴周波数である1.375MHzで電磁超音波センサー2を駆動させたときに、水素濃度600ppmの水素脆化部では、共鳴周波数が約14kHzシフトした。これに対して周壁の肉厚の変化による共鳴周波数のシフト量は、約2〜5kHzであったので、水素脆化部であるか肉厚が変化した部分であるかは十分に判別することができる。
具体的な判別方法としては、出力電圧の積分値が出力可能なオシロスコープを用いて出力電圧の積分値を出力し、健全部における出力電圧の積分値を1(百分率で100%)としたときに、出力電圧の積分値が0.2(百分率で20%)以下となるような部分を水素脆化部として判別する。健全部における出力電圧の積分値よりは小さいが、出力電圧の積分値が0.2(百分率で20%)よりも大きい部分は、肉厚の変化部分であるとみなすことができる。
図2は、2次モードの共鳴スペクトルと、健全部の2次モードの共鳴周波数(1.375MHz)でのオシロスコープの出力電圧を示す。図2(a)は、健全部の測定結果を示し、図2(b)は、水素濃度600ppmを含む水素脆化部の測定結果を示す。
共鳴スペクトルは、縦軸が振幅を示し、横軸が周波数を示す。オシロスコープの出力電圧は、縦軸が電圧を示し、横軸が時間を示す。オシロスコープの出力電圧の積分値が共鳴スペクトルの振幅を示す。
図2(b)に示した水素脆化部では、共鳴周波数が高周波数側へとシフトしており、その結果、健全部の共鳴周波数である1.375MHzにおいて、出力電圧が大きく低下していることがわかる。
(2)共鳴特性指標算出
上記のようにして水素脆化部の位置が検出されると、この検出された水素脆化部に対して共鳴特性指標を算出する。
本発明で使用する共鳴特性指標としては、(a)共鳴周波数シフト量、(b)共鳴周波数比、(c)減衰率を用いることができる。
(a)共鳴周波数シフト量については、検出された水素脆化部に対して、2次モードの共鳴周波数の前後に周波数を変化させて共鳴スペクトルを計測し、健全部での2次モードの共鳴周波数と、水素脆化部での2次モードの共鳴周波数との差を算出し、この差をシフト量として算出する。共鳴周波数のシフト量と、水素濃度とは相関性を有しており、部材に含有された水素濃度が高いほどシフト量が大きくなる。
共鳴周波数のシフト量を共鳴特性指標として用いる場合は、予め水素濃度が既知の標準サンプルを用いて水素濃度と2次モードの共鳴周波数のシフト量との相関性を算出しておき、標準材データベース7にこの相関性について記憶しておけばよい。水素濃度とシフト量との相関性は、水素濃度とシフト量とを変数とする直線式または曲線式で表わされていてもよく、テーブルで表わされていてもよい。
(b)共鳴周波数比については、水素濃度に対して鈍感な振動モード(たとえば1次モード)の共鳴周波数f1(0.480MHz)と、2次モードの共鳴周波数f2との比であるf2/f1を算出し、この比を共鳴周波数比として算出する。共鳴周波数比f2/f1と、水素濃度とは相関性を有しており、部材に含有された水素濃度が高いほど共鳴周波数比f2/f1が大きくなる。共鳴周波数シフト量は、上記のように周壁の肉厚の影響を小さいながらも受ける可能性があるので、肉厚の影響を考慮して、1次モードの共鳴周波数と2次モードの共鳴周波数との比を用いる。
共鳴周波数比を共鳴特性指標として用いる場合は、予め水素濃度が既知の標準サンプルを用いて水素濃度と共鳴周波数比f2/f1との相関性を算出しておき、標準材データベース7にこの相関性について記憶しておけばよい。水素濃度と共鳴周波数比f2/f1との相関性は、水素濃度と共鳴周波数比f2/f1とを変数とする直線式または曲線式で表わされていてもよく、テーブルで表わされていてもよい。
(c)減衰率は、(a)共鳴周波数シフト量、(b)共鳴周波数比よりもさらに高精度に水素濃度を測定する場合に用いられる。
減衰率は、減衰測定に時間を要するが、周壁の肉厚の影響を全く受けないこと、低濃度の水素濃度において、健全部との差が非常に大きく高感度であることが特徴である。
超音波は周波数が高いほど減衰しやすいため、減衰測定は、2次モードよりも高周波数の高次モードの共鳴周波数を用いて行うことでより高感度の測定が可能となる。
しかし、高次の振動モードほど共鳴スペクトルの計測が困難となるので、高感度でかつ共鳴スペクトルの計測が可能な高次モード、たとえば5次モード、6次モードを用いることが好ましい。
図3は、高次モードの共鳴周波数を用いた減衰測定結果を示すグラフである。ここでは、6次モード(6.497MHz)の共鳴周波数を用いて減衰測定を行った例を示す。
図3(a)は、健全部における6次モードの共鳴周波数を用いた減衰測定結果を示し、図3(b)は、水素濃度600ppmの水素脆化部における6次モードの共鳴周波数を用いた減衰測定結果を示す。
グラフの縦軸は振幅を示し、横軸は時間を示す。健全部、水素脆化部いずれも共鳴周波数の超音波が印加されてから、時間が経つと振幅が小さく減衰していることがわかる。また、この減衰曲線においては、健全部での減衰が緩やかであるのに対して、水素脆化部での減衰は急峻であった。
これらの減衰曲線を、指数関数モデル式y=Aexp(−Bx)+Cにあてはめ、係数Bを減衰率として算出する。
健全部での減衰は緩やかであるので、指数関数モデルにおける減衰率B1は小さく、水素脆化部での減衰は急峻であるので、指数関数モデルにおける減衰率B2は大きくなる。
共鳴特性指標としては、水素脆化部の減衰率B2を用いてもよいし、水素脆化部の減衰率B2と健全部の減衰率B1との比であるB2/B1を用いてもよい。
図3に示した測定例では、健全部の減衰率B1は、0.00203μs−1であり、水素脆化部の減衰率B2は0.01229μs−1であった。B2/B1は、6.1であった。
水素脆化部の減衰率、または水素脆化部の減衰率B2と健全部の減衰率B1との比であるB2/B1を共鳴特性指標として用いる場合は、予め水素濃度が既知の標準サンプルを用いて水素濃度と、減衰率B2または減衰率比B2/B1との相関性を算出しておき、標準材データベース7にこの相関性について記憶しておけばよい。水素濃度と、減衰率B2または減衰率比B2/B1との相関性は、水素濃度と、減衰率B2または減衰率比B2/B1とを変数とする直線式または曲線式で表わされていてもよく、テーブルで表わされていてもよい。
(3)水素濃度出力
上記のようにして共鳴特性指標を算出すると、標準材データベース7に記憶されている水素濃度と共鳴特性指標との相関性に基づいて、測定した被測定物の脆化部の水素濃度を決定して出力する。
標準材データベース7に記憶されている水素濃度と共鳴特性指標との相関性が、水素濃度と共鳴特性指標とを変数とする直線式または曲線式などの関係式で表わされている場合は、算出された共鳴特性指標を関係式に代入して水素濃度を算出する。標準材データベース7に記憶されている水素濃度と共鳴特性指標との相関性が、テーブルで表わされている場合は、記憶されているテーブルを参照し、算出された共鳴特性指標に一義的に関連付けられている水素濃度に決定する。
標準材データベース7に記憶されている水素濃度と共鳴特性指標との相関性は、共鳴特性指標が算出されると、水素濃度を決定できるような情報であればどのようなものであってもかまわない。
標準材データベース7については、管長さ、管壁厚み、管径が種々に異なり、含有する水素濃度が既知の標準サンプルを予め用意して、共鳴特性指標を測定し、測定した共鳴特製指標と、水素濃度との相関性を導き出し、相関式、またはテーブルなどの相関性を示す情報をデータベースとして蓄積しておく。
本発明の実施の一形態である水素濃度測定装置1の構成を示す概略図である。 2次モードの共鳴スペクトルと、健全部の2次モードの共鳴周波数(1.375MHz)でのオシロスコープの出力電圧を示す。 高次モードの共鳴周波数を用いた減衰測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1 水素濃度測定装置
2 電磁超音波センサー
3 電磁超音波送受信器
4 制御部
5 共鳴特性指標算出手段
6 水素濃度出力手段
7 標準材データベース
8 管状部材

Claims (6)

  1. 管状部材に水素化物として吸収された水素の濃度を測定する管状部材の水素濃度測定方法であって、
    円柱または円管形状を有する被測定物の表面近傍あるいは表面に配置した電磁超音波センサーにより被測定物に変動磁界を印加する工程と、
    前記変動磁界により被測定物に生じる被測定物の軸線方向に振動し、周方向に伝播する軸対称SH波を受信して、前記軸対称SH波が共鳴を生じるように変動磁界の周波数を調整する工程と、
    前記軸対称SH波の共鳴周波数を検出する工程と、
    検出した共鳴周波数に基づいて、被測定物の共鳴特性指標を算出する工程と、
    予め設定された共鳴特性指標と水素濃度との相関性に基づき、算出された被測定物の共鳴特性指標に対応する水素濃度を決定する工程とを有することを特徴とする管状部材の水素濃度測定方法。
  2. 前記共鳴特性指標は、前記被測定物の水素を含まない健全部の2次モードの共鳴周波数と、前記被測定物の水素を含む脆化部の2次モードの共鳴周波数との差であることを特徴とする請求項1記載の管状部材の水素濃度測定方法。
  3. 前記共鳴特性指標は、前記被測定物の水素を含む脆化部の2次モードの共鳴周波数と、前記被測定物の水素濃度に対して鈍感な振動モードの共鳴周波数との比であることを特徴とする請求項1記載の管状部材の水素濃度測定方法。
  4. 前記共鳴特性指標は、前記被測定物の水素を含む脆化部の3次モード以上の高次モードによる減衰率であることを特徴とする請求項1記載の管状部材の水素濃度測定方法。
  5. 前記共鳴特性指標は、前記被測定物の水素を含まない健全部の3次モード以上の高次モードによる減衰率と、前記被測定物の水素を含む脆化部の3次モード以上の高次モードによる減衰率との比であることを特徴とする請求項1記載の管状部材の水素濃度測定方法。
  6. 管状部材に水素化物として吸収された水素の濃度を測定する管状部材の水素濃度測定装置であって、
    円柱または円管形状を有する被測定物の表面近傍あるいは表面に配置した電磁超音波センサーにより被測定物に変動磁界を印加する手段と、
    前記変動磁界により被測定物に生じる被測定物の軸線方向に振動し、周方向に伝播する軸対称SH波を受信して、前記軸対称SH波が共鳴を生じるように変動磁界の周波数を調整する手段と、
    前記軸対称SH波の共鳴周波数を検出する手段と、
    検出した共鳴周波数に基づいて、被測定物の共鳴特性指標を算出する手段と、
    予め設定された共鳴特性指標と水素濃度との相関性を記憶する手段と、
    前記相関性に基づき、算出された被測定物の共鳴特性指標に対応する水素濃度を決定する手段とを有することを特徴とする管状部材の水素濃度測定装置。
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