JP5247164B2 - 保護継電装置 - Google Patents
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Description
上記特許文献2記載の微地絡配電線認識装置では、零相電流の方向を決めるのに従来の地絡方向継電器と同じ方式を用いている。
上記特許文献3記載の微地絡回線検知方法では、各配電線に地絡順序開閉器を設ける必要がある。
ここで、第1の地絡抵抗の地絡時の前記第1の母線の各相の零相電圧の平均値である第1の零相電圧平均値(V 0AVE1 )および前記第2の母線の各相の零相電圧の平均値である第2の零相電圧平均値(V 0AVE2 )を用いて前記第1および第2の母線の母線特性を人工地絡試験によって求めて、該第1および第2の母線の配電線系統の第1および第2の対地静電容量(C 1 ,C 2 )をそれぞれ求め、該求めた第1および第2の対地静電容量を用いて前記第1の地絡抵抗の2倍の大きさの第2の地絡抵抗の地絡時の零相電圧を求めて、該求めた零相電圧を前記零相電圧整定値としてもよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記母線連絡遮断器が入状態であり、かつ、前記第1および第2の地絡順序遮断器が切状態であるときに、前記零相電圧が前記零相電圧整定値を超えたか否かを判定するリレー判定手段と、該リレー判定手段が「前記零相電圧が前記零相電圧整定値を超えた」と判定すると、前記複数の配電線をそれぞれ流れる零相電流のうち最も大きい零相電流を最大零相電流(I 0MAX )として求め、該求めた最大零相電流以外の零相電流の位相がすべて該最大零相電流の位相に対して所定の角度範囲外にある場合に、該最大零相電流が流れた配電線に設置された遮断器(6 1 〜6 6 )を遮断するためのトリップ信号(TR 1 〜TR 6 )を発生する処理手段とを備えてもよい。
前記処理手段によって発生されたトリップ信号を、前記複数の配電線にそれぞれ設置された地絡保護継電器(5 1 〜5 6 )の動作時限よりも遅い動作時限で前記遮断器に出力する出力手段(60)をさらに具備してもよい。
前記零相電圧整定値を格納するための整定値メモリ(30)をさらに具備し、前記リレー判定手段が、「前記母線連絡遮断器が入状態である」ことを示す母線連絡遮断器接点信号(S 0 )が前記母線連絡遮断器から入力され、かつ、「前記第1および第2の地絡順序遮断器が切状態である」ことを示す第1および第2の地絡順序遮断器接点信号(S 1 ,S 2 )が前記第1および第2の地絡順序遮断器からそれぞれ入力されると、前記零相電圧と前記整定値メモリから読み出した前記零相電圧整定値とを比較して、該零相電圧が該零相電圧整定値を超えると、その旨を示す比較結果信号を出力するリレー判定部(40)を備えてもよい。
前記処理手段が、「前記零相電圧が前記零相電圧整定値を超えた」ことを示す前記比較結果信号が前記リレー判定部から入力されると、前記複数の配電線にそれぞれ流れた前記零相電流の絶対値をそれぞれ求め、該求めた絶対値が最も大きい零相電流を前記最大零相電流とする最大零相電流検出部(51)と、前記複数の配電線にそれぞれ流れた前記零相電流のうち前記最大零相電流以外の零相電流の位相がすべて該最大零相電流の位相に対して所定の角度範囲外にある場合には、前記最大零相電流が流れた配電線に設置された遮断器を遮断させるトリップ信号を発生するように指示するトリップ信号発生指示信号を出力する位相比較部(52)と、該位相比較部から入力される前記トリップ信号発生指示信号に応じて、前記最大零相電流が流れた配電線に設置された遮断器を遮断させるトリップ信号を発生するトリップ信号発生部(53)とを備えてもよい。
地絡事故が発生していないときに前記複数の配電線にそれぞれ流れる残留零相電流が存在する場合には、前記最大零相電流検出部が、前記零相電流から該残留零相電流を引いて前記最大零相電流を求めるとともに、前記位相比較部が、前記零相電流から該残留零相電流を引いた位相を比較して、前記最大零相電流以外の零相電流の位相がすべて該最大零相電流の位相に対して所定の角度範囲外にあるか否かを調べてもよい。
前記所定の角度範囲が±90°であってもよい。
(1)複数の配電線をそれぞれ流れる零相電流のうち最も大きい零相電流が流れた配電線に設置された遮断器を遮断するためのトリップ信号を、この最も大きい零相電流以外の零相電流の位相がすべてこの最も大きい零相電流の位相に対して所定の角度範囲外にあることを条件に発生することにより、母線連絡遮断器が入状態でかつ地絡順序遮断器が不使用であるときに地絡事故が発生した配電線を自動で遮断することができる。
(2)複数の配電線を流れるすべての零相電流の大きさおよび位相を考慮することにより、地絡事故が発生した配電線を遮断する信頼度を向上させることができる。
本発明の一実施例による保護継電装置10は、図1に示すように、母線連絡遮断器4から入力される母線連絡遮断器接点信号S0が「母線連絡遮断器4が入状態である」ことを示し、かつ、第1および第2の変圧器31,32の2次側にそれぞれ設置された第1および第2の地絡順序遮断器(不図示)からそれぞれ入力される第1および第2の地絡順序遮断器接点信号S1,S2が「第1および第2の地絡順序遮断器が切状態である」ことを示しているときに、第2の母線12に設置された第2の接地形計器用変圧器(GPT)92から入力される零相電圧V0と第1乃至第6の配電線21〜26にそれぞれ設置された第1乃至第6の保護継電装置用零相変流器(ZCT)81〜86から入力される第1乃至第6の零相電流I01〜I06とに基づいて第1乃至第6の配電線21〜26のいずれかにおいて地絡事故が発生したことを検出すると、第1乃至第6の遮断器(配電線遮断器)61〜66のうち地絡事故が発生した配電線に設置された遮断器を遮断するためのトリップ信号(第1乃至第6のトリップ信号TR1〜TR6の該当するもの)を出力するためのものである。
S/H回路23は、所定のサンプリング周波数(たとえば、商用周波数60Hzの場合には5,760Hz(電気角3.75°))でBPF22の出力信号をサンプリングしてホールドする。
MPX回路24は、S/H回路23の出力信号を切り換えてA/D変換器25に出力する。
A/D変換器25は、MPX回路24から入力されるアナログの第1乃至第6の零相電流I01〜I06および零相電圧V0の交流成分をディジタルの第1乃至第6の零相電流I01〜I06および零相電圧V0の交流成分(以下、特に明記しない限り、「第1乃至第6の零相電流I01〜I06および零相電圧V0」と称する。)に変換する。
このとき、母線連絡遮断器4が入状態にされると第2の母線12の対地静電容量が第1の母線11が接続される分だけ増加して、第1および第2の母線11,12に設置された第1乃至第6の地絡方向継電器51〜56の零相電圧検出感度が低下する。そのため、零相電圧整定値V00は以下のようにして設定される。
地絡抵抗R=3000Ωの地絡時の第1の母線11の各相の零相電圧V0の第1の零相電圧平均値V0AVE1および第2の母線12の各相の零相電圧V0の第2の零相電圧平均値V0AVE2を用いて第1および第2の母線11,12の母線特性を人工地絡試験によって求め、次式を用いて第1の母線11の配電線系統の第1の対地静電容量C1と第2の母線12の配電線系統の第2の対地静電容量C2とを求める。
V0AVE1=E/{1+(ωC1R)2}1/2
V0AVE2=E/{1+(ωC2R)2}1/2
ここで、Eは、母線電圧
求めた第1および第2の対地静電容量C1,C2から次式を用いて地絡抵抗R=6000Ωの地絡時の零相電圧V0を求めて、求めた零相電圧V0を零相電圧整定値V00とする。
V00=E/[1+{ω(C1+C2)R)}2]1/2
最大零相電流検出部51および位相比較部52は、以下の考え方に基づいて、第1乃至第6の配電線21〜26のうち地絡事故が発生した配電線を検出するものである。
たとえば6kVの配電系統の地絡事故では、事故回線(地絡事故が発生した配電線)に流れる零相電流I0は健全回線(地絡事故が発生した配電線以外の配電線)を流れる零相電流I0の総和となるため、全回線(第1乃至第6の配電線21〜26)の中で一番大きな零相電流I0が流れる回線は事故回線である確率が高く、また、事故回線に流れる零相電流I0は健全回線を流れる零相電流I0と位相が逆である(第1の配電線21において地絡事故が発生したときの第1乃至第6の零相電流I01〜I06の振幅および位相の一例を示す図3(a),(b)参照)。
そこで、一番大きな零相電流I0の位相と他の零相電流I0の位相とを比較して、後者がすべて前者の所定の角度範囲外(たとえば、±90°の範囲外)にある場合には、一番大きな零相電流I0が流れた回線が事故回線であるとする。
位相比較部52は、アナログ入力部20から入力される第1乃至第6の零相電流I01〜I06のうち最大零相電流検出部51から入力される最大零相電流I0MAX以外のものの位相がすべて、最大零相電流I0MAXの位相に対して±90°の範囲外にあるか否かを調べる。その結果、第1乃至第6の零相電流I01〜I06のうち最大零相電流I0MAX以外のものの位相がすべて最大零相電流I0MAXの位相に対して±90°の範囲外にある場合には、第1乃至第6の零相電流I01〜I06のうち最大零相電流I0MAXが流れた配電線(第1乃至第6の配電線21〜26のうちのいずれか1つ)に設置された遮断器(第1乃至第6の遮断器61〜66のうちのいずれか1つ)を遮断させるトリップ信号(第1乃至第6のトリップ信号TR1〜TR6のうちのいずれか1つ)を発生するように指示するトリップ信号発生指示信号をトリップ信号発生回路53に出力する。
トリップ信号発生回路53は、位相比較部52から入力されるトリップ信号発生指示信号に応じて、第1乃至第6の零相電流I01〜I06のうち最大零相電流I0MAXが流れた配電線に設置された遮断器を遮断させるトリップ信号を発生し、発生したトリップ信号を出力部60に出力する。
ここで、動作時限は、第1乃至第6の配電線21〜26にそれぞれ設置された第1乃至第6の地絡方向継電器51〜56(図1参照)の後備保護として保護継電装置10を使用するために、第1乃至第6の地絡方向継電器51〜56との時限協調を考えて、第1乃至第6の地絡方向継電器51〜56の動作時限(たとえば、0.7s)よりも遅くされる(たとえば、1s)。
このアナログの第1乃至第6の零相電流I01〜I06および零相電圧V0は、保護継電装置10のアナログ入力部20においてディジタルの第1乃至第6の零相電流I01〜I06および零相電圧V0に変換される(以上、ステップS12)。
また、位相比較部52は、アナログ入力部20から入力される第1乃至第6の零相電流I01〜I06のうち第2乃至第6の零相電流I02〜I06の位相がすべて最大零相電流I0MAX(第1の零相電流I01)の位相に対して±90°の範囲外にあるか否かを調べる。その結果、第2乃至第6の零相電流I02〜I06の位相がすべて最大零相電流I0MAX(第1の零相電流I01)の位相に対して±90°の範囲外にある場合には、最大零相電流I0MAX(第1の零相電流I01)が流れた第1の配電線21に設置された第1の遮断器61を遮断させる第1のトリップ信号TR1を発生するように指示するトリップ信号発生指示信号をトリップ信号発生回路53に出力する(以上、ステップS14)。
これにより、この地絡事故により第1の地絡方向継電器51が動作しなかった場合でも、第1の遮断器61は保護継電装置10によって遮断されるため、地絡事故から第1乃至第6の配電線21〜26を保護することができる。
位相比較部52についても同様である。
21〜16 第1乃至第6の配電線
31,32 第1および第2の変圧器
4 母線連絡遮断器
51〜56 第1乃至第6の地絡方向継電器
61〜66 第1乃至第6の遮断器
71〜76 第1乃至第6の零相変流器
81〜86 第1乃至第6の保護継電装置用零相変流器
91,92 第1および第2の接地形計器用変圧器
10 保護継電装置
20 アナログ入力部
21 入力変換器
22 BPF
23 S/H回路
24 MPX回路
25 A/D変換器
30 整定値メモリ
40 リレー判定部
50 処理部
51 最大零相電流検出部
52 位相比較部
53 トリップ信号発生部
60 出力部
100 整定パネル
V0 零相電圧
V00 零相電圧整定値
V0AVE1,V0AVE2 第1および第2の零相電流平均値
I01〜I06 第1乃至第6の零相電流
I01MAX 最大零相電流
S11〜S16 ステップ
Claims (8)
- 第1の母線(11)と第2の母線(12)との間に設置された母線連絡遮断器(4)が入状態であり、かつ、該第1および第2の母線からそれぞれ分岐された複数の配電線(21〜26)を所定の順序で遮断するための第1および第2の地絡順序遮断器が切状態であり、かつ、零相電圧(V0)が零相電圧整定値(V00)を超えた場合に、前記複数の配電線をそれぞれ流れる零相電流(I01〜I06)のうち最も大きい零相電流が流れた配電線に設置された遮断器(61〜66)を遮断するためのトリップ信号(TR1〜TR6)を、該最も大きい零相電流以外の零相電流の位相がすべて該最も大きい零相電流の位相に対して所定の角度範囲外にあることを条件に発生するトリップ信号発生手段(40,50)を具備することを特徴とする、保護継電装置。
- 第1の地絡抵抗の地絡時の前記第1の母線の各相の零相電圧の平均値である第1の零相電圧平均値(V 0AVE1 )および前記第2の母線の各相の零相電圧の平均値である第2の零相電圧平均値(V 0AVE2 )を用いて前記第1および第2の母線の母線特性を人工地絡試験によって求めて、該第1および第2の母線の配電線系統の第1および第2の対地静電容量(C 1 ,C 2 )をそれぞれ求め、
該求めた第1および第2の対地静電容量を用いて前記第1の地絡抵抗の2倍の大きさの第2の地絡抵抗の地絡時の零相電圧を求めて、該求めた零相電圧を前記零相電圧整定値とする、
ことを特徴とする、請求項1記載の保護継電装置。 - 前記トリップ信号発生手段が、
前記母線連絡遮断器が入状態であり、かつ、前記第1および第2の地絡順序遮断器が切状態であるときに、前記零相電圧が前記零相電圧整定値を超えたか否かを判定するリレー判定手段と、
該リレー判定手段が「前記零相電圧が前記零相電圧整定値を超えた」と判定すると、前記複数の配電線をそれぞれ流れる零相電流のうち最も大きい零相電流を最大零相電流(I 0MAX )として求め、該求めた最大零相電流以外の零相電流の位相がすべて該最大零相電流の位相に対して所定の角度範囲外にある場合に、該最大零相電流が流れた配電線に設置された遮断器(6 1 〜6 6 )を遮断するためのトリップ信号(TR 1 〜TR 6 )を発生する処理手段とを備える、
ことを特徴とする、請求項1または2記載の保護継電装置。 - 前記処理手段によって発生されたトリップ信号を、前記複数の配電線にそれぞれ設置された地絡保護継電器(5 1 〜5 6 )の動作時限よりも遅い動作時限で前記遮断器に出力する出力手段(60)をさらに具備することを特徴とする、請求項3記載の保護継電装置。
- 前記零相電圧整定値を格納するための整定値メモリ(30)をさらに具備し、
前記リレー判定手段が、「前記母線連絡遮断器が入状態である」ことを示す母線連絡遮断器接点信号(S0)が前記母線連絡遮断器から入力され、かつ、「前記第1および第2の地絡順序遮断器が切状態である」ことを示す第1および第2の地絡順序遮断器接点信号(S1,S2)が前記第1および第2の地絡順序遮断器からそれぞれ入力されると、前記零相電圧と前記整定値メモリから読み出した前記零相電圧整定値とを比較して、該零相電圧が該零相電圧整定値を超えると、その旨を示す比較結果信号を出力するリレー判定部(40)を備える、
ことを特徴とする、請求項3または4記載の保護継電装置。 - 前記処理手段が、
「前記零相電圧が前記零相電圧整定値を超えた」ことを示す前記比較結果信号が前記リレー判定部から入力されると、前記複数の配電線にそれぞれ流れた前記零相電流の絶対値をそれぞれ求め、該求めた絶対値が最も大きい零相電流を前記最大零相電流とする最大零相電流検出部(51)と、
前記複数の配電線にそれぞれ流れた前記零相電流のうち前記最大零相電流以外の零相電流の位相がすべて該最大零相電流の位相に対して所定の角度範囲外にある場合には、前記最大零相電流が流れた配電線に設置された遮断器を遮断させるトリップ信号を発生するように指示するトリップ信号発生指示信号を出力する位相比較部(52)と、
該位相比較部から入力される前記トリップ信号発生指示信号に応じて、前記最大零相電流が流れた配電線に設置された遮断器を遮断させるトリップ信号を発生するトリップ信号発生部(53)とを備える、
ことを特徴とする、請求項5記載の保護継電装置。 - 地絡事故が発生していないときに前記複数の配電線にそれぞれ流れる残留零相電流が存在する場合には、前記最大零相電流検出部が、前記零相電流から該残留零相電流を引いて前記最大零相電流を求めるとともに、前記位相比較部が、前記零相電流から該残留零相電流を引いた位相を比較して、前記最大零相電流以外の零相電流の位相がすべて該最大零相電流の位相に対して所定の角度範囲外にあるか否かを調べることを特徴とする、請求項6記載の保護継電装置。
- 前記所定の角度範囲が±90°であることを特徴とする、請求項1乃至7いずれかに記載の保護継電装置。
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