JP5247056B2 - 伝搬遅延時間測定装置およびレーダ装置 - Google Patents
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Description
この発明は、レーダ装置、GPS測位装置、携帯等の無線端末に使用できるものであるが、実施の形態1乃至6では、GPS測位装置に適用した場合の例を説明する。また、GPS測位装置には、衛星の概略位置、GPS時刻等の情報を、別途サーバーを通して受信する構成(アシスト型GPS受信機)があるが、実施の形態1乃至6では、それらのアシストを必要としない自立型GPS受信機に適用した場合について説明する。
伝搬遅延時間推定装置は、受信アンテナ111、受信部101およびA/D変換部102からなる拡散信号取得部110、参照信号生成部103、相互相関関数算出部104、抽出部1051,1052、フーリエ変換部1061,1062、除算部107、自己相関関数算出部108および高分解能処理部109を備えている。
拡散信号取得部110は、搬送波が既知の拡散信号により変調された電波を受信して電気信号変換し、変換した受信信号から受信拡散信号を抽出した後、A/D変換してデジタル化された受信拡散信号を得る手段である。この処理は、従来から行われているものであるが、具体的には、次のようになる。
受信アンテナ111は、GPS衛星から送信されるGPS信号の電波を受信し、受信した信号を受信部101に送る。受信部101では、受信したGPS信号を増幅、周波数変換等を行う。例えば、バンドパスフィルタで搬送波周波数L1(1575.42MHz)の前後約2〜20MHz帯域以外の信号を除去し、搬送波周波数L1と同じ周波数の正弦波を乗じて、ローパスフィルタで高調波成分を除去することにより直接ベースバンド信号に周波数変換し、受信拡散信号を取り出す。また、別の方法として、搬送波周波数よりも小さい周波数を乗算することで受信信号を一旦IF(中間周波数)帯に変換してから検波してベースバンド信号を取り出すという構成も考えられるが、ここでは前者のベースバンド信号に変換する方法で説明する。
なお、相互相関関数ccfはFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)により計算してもよい。その場合、計算量を削減することができる。
フーリエ変換部(第1のフーリエ変換部)1061は、抽出部1051で抽出された相互相関関数のピーク値周辺をフーリエ変換する手段である。具体的には、抽出部1051で抽出された相互相関関数ccfeのフーリエ変換処理を、FFTを用いて(2)式のように行う。
フーリエ変換部(第2のフーリエ変換部)1062は、抽出部1052で抽出された自己相関関数のピーク値周辺をフーリエ変換する手段である。具体的には、抽出部1052で抽出された自己相関関数acfeのフーリエ変換を、FFTを用いて行い、(4)式のような周波数関数を得る。
また、FFT後の周波数分解能Δfは2NabΔTとなるので除算を行う周波数範囲は、−2KNabΔT[Hz]〜2KNabΔT[Hz]となる。除算する周波数範囲は、受信機のバンドパスフィルタの帯域幅程度が妥当である。例えば、仮に受信機バンドパスフィルタの帯域が8MHzであった場合、除算を行う範囲は、−4MHz〜4MHzとする。また、PNR(Peak to Noise floor level Ratio;相互相関関数のピークとノイズフロアの比)によって除算する周波数範囲を変化させる構成でもよい。すなわち、PNRが低い場合には、除算する周波数範囲を狭めGPS信号のメインローブの幅(±1MHz)程度とするが、PNRがある程度高い場合には、除算する周波数範囲を受信機帯域幅(±4MHz)程度とするような構成である。これは、PNRが低い場合、GPS信号のメインローブ以外の周波数ではノイズが支配的になるので、(5)式の除算を行う場合においてノイズが増幅される可能性があるからである。
高分解能処理には、MUSIC法、ESPRIT法、最尤推定法等があるが、ここではMUSIC法を適用した場合について説明する。MUSIC法の詳細な説明は、菊間信良著、「アレーアンテナによる適応信号処理」、科学技術出版(1998年刊)、191〜202頁および269〜282頁に詳述されているが、ここではその処理について簡単に説明する。
除算部107の除算処理により得られた周波数伝達関数が(6)式で表せるものとする。
ここで、Cは移動平均後のフルランクのM×Mの複素振幅相関行列であり、IはM×Mの単位行列である。またσ2は内部雑音電力である。
実施の形態1における、抽出部1051,1052において、相互相関関数および自己相関関数のピーク値周辺の抽出は単純にある時間範囲の信号を抽出するだけであり、これは以下の方形波を各関数に乗算することになる。
時間窓関数乗算部(第1の時間窓関数乗算部)6011は、相互相関関数算出部104で算出された相互相関関数のピーク値周辺に、抽出する範囲の時間窓関数を乗算する手段である。また、時間窓関数乗算部(第2の時間窓関数乗算部)6012は、自己相関関数算出部108で算出された自己相関関数のピーク値周辺に、同様に抽出する範囲の時間窓関数を乗算する手段である。
一例として、ppeak−Nab〜ppeak+Nab−1の区間においてハミング窓を用いて抽出する構成について説明する。
図8はこの発明の実施の形態3による伝搬遅延時間測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、図1に相当する機能構成部分には同一符号を付し、その説明については、原則として省略する。この実施の形態3が実施の形態1と異なる点は、相互相関関数算出部104と抽出部1051の間に、新たに加算処理部801を設けたことである。
上述したように、GPS信号はC/Aコード20周期(20ms)毎に航法データビット系列によりBPSK変調されている。したがって、20ms以上の加算処理を行う場合、航法ビット系列による位相変調を補償して積分する必要がある。このNav(q)は事前の処理において求めておく。また式(23)の加算処理を行う場合の注意点として、相互相関関数算出部104における周波数シフト量fdは1/加算処理時間の精度で、真の周波数シフトfrと一致している必要がある。さもなければ、加算処理時間の増加に従い、fdとfrの周波数差によって受信信号位相が回転し、積分によるSNR改善効果が少なくなってしまうからである。例えば、1秒の加算処理を行う場合、fdとfrは1Hz単位で一致している必要がある。周期加算値sccfは抽出部1051に送られる。抽出部1051以降の処理は実施の形態1と同様である。
図9はこの発明の実施の形態4による伝搬遅延時間測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記実施の形態2の図6に相当する機能部分には同一符号を付し、その説明については、原則として省略する。この実施の形態4が上記実施の形態2と異なる点は、相互相関関数算出部104と時間窓関数乗算部6011の間に、新たに加算処理部801を設けたことである。
この実施の形態4では、上記実施の形態3で説明したように、相互相関関数ccf(p)の周期毎に加算を行った後、時間窓関数乗算部6011により、相互相関関数の積分値の範囲に窓関数を乗算した後に、フーリエ変換を行う。また、時間窓関数乗算部6012では、抽出する自己相関関数の範囲に、実施の形態2と同様に窓関数を乗算した後に、フーリエ変換を行う。
上記実施の形態1における抽出部(第1の抽出部)1051では、相互相関関数ccfがピークを持つ相関区間の開始時点ppeakの周辺を抽出することで、信号遅延時間の真値周辺の相互相関関数を抽出している。また、実施の形態2における時間窓関数乗算部6011においても同様に、相互相関関数ccfの相関区間の開始時点ppeakの周辺に時間窓関数を乗算することで、信号遅延時間の真値周辺の相互相関関数を抽出している。しかし、低SNR環境下においては、相互相関関数ccfがピークを持つ相関区間の開始時点ppeakが信号遅延時間の真値周辺にあるとは限らない。つまり、信号電力が減少することにより信号遅延時間の真値周辺に生成される相関ピーク(以後、信号ピークと呼ぶ)値が減少し、雑音と参照信号との相関によるピーク(以後、雑音ピークと呼ぶ)値のほうが高くなる場合がある。このような場合、単純に相互相関関数ccfのピークを検出した場合、雑音ピークが検出されてしまう。したがって、高分解能処理部109により誤った信号遅延時間が推定されてしまうことになる。そこで、この実施の形態5では、以下に述べるように、正確に遅延時間を推定することができるようにする手段を提供する。
自己相関関数算出部108では、検出部1051から送られてきたピーク候補値インデックスppeak (h)に基づき、自己相関関数acfe(h)(i)を(3)式に従い計算する。計算したacfe(h)(i)を抽出部1052に送る。
固有解析部1103では、まず除算部107から送られてきた周波数伝達関数x(k)(h)の相関行列を計算し、移動平均処理を施したRxx(h)を算出する。次に、Rxx(h)の固有値展開を行い、固有ベクトルem (h)と固有値λm (h)を求める。これは実施の形態1の(7)〜(13)式の処理に相当する。求めた固有ベクトルem (h)、固有値λm (h)を判定部1104に送る。判定部1104では、除算部107より送られてきた周波数伝達関数x(k)(h)の固有値λm (h)の分布から、検出部1102で抽出されたccfe(h)(i)に信号ピークが含まれるか、雑音ピークが含まれるかを判定する。仮に雑音ピークが含まれている場合、ccfe(h)(i)には、雑音成分と自己相関関数のサイドローブが含まれる。一方、acfe(h)(i)には自己相関関数のピーク周辺のみ含まれ、自己相関関数のピーク周辺とサイドローブとは相関が小さく、除算部107により得られたx(k)(h)においては雑音成分が支配的となることが想定される。よって、x(k)(h)の固有値は雑音固有値のみであり、信号固有値は含まれないことが期待される。雑音固有値のみ含まれた場合、(13)式から全ての固有値がほぼ同じ値を持つことになるので固有値分布から信号ピークが含まれるかを判定することは容易である。
遅延時間推定部1105では、判定部1104から送られてきた固有ベクトルと固有値em (hsig)とλm (hsig)を用いて、(17)式の評価関数を計算し、評価関数がピークとなる遅延時間τ(hsig,l) peakを求め、各伝搬経路のC/Aコード1ms内における伝搬遅延時間はτ(l) peak+ΔTppeak (hsig)として推定することができる。また、遅延時間推定部1105は、判定部1104により信号ピークと判定されたppeak (hsig)の周辺を抽出して求めた伝達関数x(k)(hsig)を用いて、ESPRIT法や最尤推定法を用いて遅延時間を推定する構成でもよい。
なお、検出部1102において、相互相関関数算出部104で算出された相互相関関数の絶対値が所定の閾値を超えた場合の全てのピーク値の周辺を抽出しているが、その際ピーク値の周辺に時間窓を乗算してからピーク値に対する周辺を抽出するようにしてもよい。
また、検出部1102は、上記例では相互相関関数算出部104で算出された相互相関関数に対してピーク値の検出を直接行うようにした構成であるが、実施の形態3における加算処理部801の後の抽出部1051の代わりとして設けるようにしてもよい。その場合、加算処理部801は相互相関関数算出部104で算出された相互相関関数を周期毎に加算しているので、検出部1102では、算出された相互相関関数の周期加算値が所定の閾値を超えた全てのピーク値に対してその周辺を抽出するか、またはピーク値の周辺に時間窓関数を乗算してから抽出することになる。そのため、SNRの向上が図れ、また、相互相関関数により信号ピークが得られない場合においても、加算処理を行うことでピーク検出可能になり、その後の高分解能処理部1101の処理において高精度に信号遅延時間を推定することができるようになる。
上記実施の形態5では、周波数伝達関数から求めた相関行列の固有値分布から信号ピークと雑音ピークの判定を行うが、雑音固有値にばらつきが生じた場合に判定を誤る可能性がある。そこでこの実施の形態6では、以下に述べるように、信号ピークを検出する確率を上げることができるようにする手段を提供する。
図11は、この発明の実施の形態6による遅延時間測定装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記実施の形態5の図10に相当する機能部分には同一符号を付し、原則としてその説明については省略する。この実施の形態6が実施の形態5と異なる点は、遅延時間推定部1105に代わり、遅延時間評価関数算出部1201と判定部(第2の判定部)1203を新たに備えた点である。以下、実施の形態5と異なる部分の処理について説明する。
判定部1203は、算出された遅延時間評価関数値が所定の閾値を超えた場合にのみ遅延時間評価関数値を遅延時間推定値として出力する手段である。具体的には、遅延時間評価関数算出部1201から送られてきたMUSIC評価関数を用いて、周波数伝達関数x(k)(h)に信号ピークが含まれるか雑音ピークが含まれるかを再判定する。周波数伝達関数x(k)(h)に信号ピークが含まれる場合、x(k)(h)の共分散行列から求めた雑音固有ベクトルと遅延時間モードベクトルとの内積は0に近づき、遅延時間の真値近傍でMUSIC評価関数は鋭いピークを持つ。よって、評価関数のピークを検出することで信号遅延時間を推定することが可能となる。しかし、周波数伝達関数x(k)(h)に雑音ピークが含まれる場合、x(k)(h)の相関行列から求めた雑音固有ベクトルと遅延時間モードベクトルとの直交性が保証されず、内積が0より大きくなることが考えられる。したがって、MUSIC評価関数値が設定した閾値を超えた場合に信号ピークと判定し、閾値以下である場合に雑音ピークであると判定する。MUSIC評価関数の閾値は、予め計算機シミュレーションや実験等により求めた値を用いる。閾値を超えた場合、信号ピークと判定されたMUSIC評価関数のピークの位置を信号遅延時間として算出して出力する。したがって、雑音ピークを誤って信号ピークとする判定を減少させることができる。
上記実施の形態1では、この発明の根幹となる伝搬遅延時間測定装置について述べてきたが、この実施の形態7では、その伝搬遅延時間測定装置を適用したレーダ装置について説明する。
図11はこの発明の実施の形態7によるレーダ装置の機能構成を示すブロック図である。図において、実施の形態1の図1に相当する機能部分には同一符号を付し、その説明は、原則として省略する。このレーダ装置は、送受信アンテナ1005、送受信部1001、拡散信号生成部1003、A/D変換部1002、相互相関関数算出部104、抽出部1051,1052、フーリエ変換部1061,1062、除算部107、自己相関関数算出部108、高分解能処理部109を備えている。
なお、相互相関関数算出部104および自己相関関数算出部108に与える送信時の拡散信号としては、送受信部1001の受信機およびA/D変換部1002を含む同様な構成の復調手段により送信信号から復調した信号を用いる方法もある。
なお、実施の形態7では、実施の形態1を適用したレーダ装置について説明してきたが、実施の形態2乃至実施の形態6のいずれかの伝搬遅延時間測定方法を適用しても、それぞれの実施の形態と同様な効果を奏することができる。
また、各実施の形態では、拡散信号が既知である電波の場合について説明してきたが、電波の代わりに光に対して適用してもよく、同様の効果を持つ光波レーダを得ることができる。また、音波に対して適用してもよく、同様の効果を持つソナーを得ることができる。
Claims (6)
- 搬送波が既知の拡散信号により変調された電波、音波または光波を受信して電気信号に変換し、変換した信号から受信拡散信号を抽出した後、A/D変換してデジタル化された受信拡散信号を生成し、当該デジタル化された受信拡散信号と参照信号に基づいて前記受信した電波、音波または光波の伝搬遅延時間を測定する伝搬遅延時間測定装置において、
送信時における拡散信号と同じ参照信号を生成する参照信号生成部と、
前記デジタル化された受信拡散信号の伝播過程で生じた周波数シフト量を補償し、この補償した受信拡散信号と前記参照信号の相互相関関数を算出し、受信拡散信号の伝搬遅延時間を推定する相互相関関数算出部と、
前記相互相関関数算出部で算出された相互相関関数の絶対値が所定の閾値を超えた全てのピーク値に対してその周辺を抽出するか、またはピーク値の周辺に時間窓を乗算してからピーク値に対する周辺を抽出する検出部と、
前記抽出された相互相関関数のピーク値周辺をフーリエ変換して周波数関数を得る第1のフーリエ変換部と、
前記相互相関関数算出部で算出された相関ピーク位置を用い、前記参照信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、
前記算出された自己相関関数のピーク値周辺を抽出する第2の抽出部と、
前記抽出された自己相関関数のピーク値周辺をフーリエ変換して周波数関数を得る第2のフーリエ変換部と、
信号対ノイズ比の劣化を少なくする周波数範囲で、前記第1のフーリエ変換部で得られた周波数関数を前記第2のフーリエ変換部で得られた周波数関数で除算して周波数伝達関数を得る除算部と、
前記除算部で得られた周波数伝達関数に基づいて、前記相互相関関数のピーク値に含まれる前記受信拡散信号に近似したマルチパス波を分離して前記受信拡散信号の真の遅延時間を表す評価関数を算出する高分解能処理部を備え、
前記高分解能処理部は、
前記除算部で得られた周波数伝達関数の相関行列から固有値と固有ベクトルを算出する固有解析部と、
前記固有解析部で得られた固有値から信号ピークが含まれるかを判定する第1の判定部と、
前記第1の判定部で信号ピークが含まれると判定された場合において、前記周波数伝達関数に基づいて、前記相互相関関数のピーク値に含まれる受信拡散信号に近似したマルチパス波を分離して当該受信拡散信号の真の遅延時間を表す評価関数を算出する遅延時間推定部とを有したことを特徴とする伝搬遅延時間測定装置。 - 相互相関関数算出部で算出された相互相関関数を周期毎に加算する加算処理部を備え、
検出部は、前記加算処理部で算出された相互相関関数の周期加算値が所定の閾値を超えた全てのピーク値に対してその周辺を抽出するか、またはピーク値の周辺に時間窓関数を乗算してからピーク値に対する周辺を抽出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の伝搬遅延時間測定装置。 - 高分解能処理部は、遅延時間推定部に代えて、
第1の判定部で信号ピークが含まれると判定された場合に、固有解析部で算出された雑音固有ベクトルに基づいて遅延時間評価関数を算出する遅延時間評価関数算出部と、
算出された遅延時間評価関数値が所定の閾値を超えた場合にのみ遅延時間評価関数値を遅延時間推定値として出力する第2の判定部を有したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の伝搬遅延時間測定装置。 - 搬送波が拡散信号により変調された送信信号を電波、音波または光波にして送信し、目標で反射して戻って来た電波、音波または光波を受信して電気信号に変換し、変換した信号から受信拡散信号を抽出した後、A/D変換してデジタル化された受信拡散信号を生成し、当該デジタル化された受信拡散信号と送信信号に基づいて前記受信した電波、音波または光波の伝搬遅延時間を測定するレーダ装置において、
所定の拡散信号を生成する送信信号生成部と、
前記デジタル化された受信拡散信号の伝播過程で生じた周波数シフト量を補償し、この補償した受信拡散信号と送信時の前記所定の拡散信号の相互相関関数を算出し、受信拡散信号の伝搬遅延時間を推定する相互相関関数算出部と、
前記互相関関数算出部で算出された相互相関関数の絶対値が所定の閾値を超えた全てのピーク値に対してその周辺を抽出するか、またはピーク値の周辺に時間窓を乗算してからピーク値に対する周辺を抽出する検出部と、
前記抽出された相互相関関数のピーク値周辺をフーリエ変換して周波数関数を得る第1のフーリエ変換部と、
前記相互相関関数算出部で算出された相関ピーク位置を用い、前記デジタル化された送信拡散信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、
前記算出された自己相関関数のピーク値周辺を抽出する第2の抽出部と、
前記抽出された自己相関関数のピーク値周辺をフーリエ変換して周波数関数を得る第2のフーリエ変換部と、
信号対ノイズ比の劣化を少なくする周波数範囲で、前記第1のフーリエ変換部で得られた周波数関数を前記第2のフーリエ変換部で得られた周波数関数で除算して周波数伝達関数を得る除算部と、
前記除算部で得られた周波数伝達関数に基づいて、前記相互相関関数のピーク値に含まれる前記受信拡散信号に近似したマルチパス波を分離して前記受信拡散信号の真の遅延時間を表す評価関数を算出する高分解能処理部を備え、
前記高分解能処理部は、
前記除算部で得られた周波数伝達関数の相関行列から固有値と固有ベクトルを算出する固有解析部と、
前記固有解析部で得られた固有値から信号ピークが含まれるかを判定する第1の判定部と、
前記第1の判定部で信号ピークが含まれると判定された場合において、前記周波数伝達関数に基づいて、前記相互相関関数のピーク値に含まれる受信拡散信号に近似したマルチパス波を分離して当該受信拡散信号の真の遅延時間を表す評価関数を算出する遅延時間推定部とを有したことを特徴とするレーダ装置。 - 相互相関関数算出部で算出された相互相関関数を周期毎に加算する加算処理部を備え、
検出部は、前記加算処理部で算出された相互相関関数の周期加算値が所定の閾値を超えた全てのピーク値に対してその周辺を抽出するか、またはピーク値の周辺に時間窓関数を乗算してからピーク値に対する周辺を抽出するようにしたことを特徴とする請求項4記載のレーダ装置。 - 高分解能処理部は、遅延時間推定部に代えて、
第1の判定部で信号ピークが含まれると判定された場合に、固有解析部で得られた雑音固有ベクトルに基づいて遅延時間評価関数を算出する遅延時間評価関数算出部と、
算出された遅延時間評価関数値が所定の閾値を超えた場合にのみ遅延時間評価関数値を遅延時間推定値として出力する第2の判定部を有したことを特徴とする請求項4または請求項5記載のレーダ装置。
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