JP5244740B2 - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法 - Google Patents

感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法に関する。より詳細には、本発明は、超LSI及び高容量マイクロチップの製造プロセス、ナノインプリント用モールド作成プロセス並びに高密度情報記録媒体の製造プロセス等に適用可能な超マイクロリソグラフィプロセス、並びにその他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられる組成物、並びにそれを用いたパターン形成方法に関する。特には、本発明は、波長が300nm以下の遠紫外線光を光源とする液浸式投影露光装置を用いた露光に好適な組成物、及びそれを用いたパターン形成方法に関する。
なお、ここで「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外(EUV)線、X線又は電子線(EB)を意味している。また、本発明において「光」とは、活性光線又は放射線を意味している。
また、ここで「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、遠紫外線、X線及びEUV光等による光照射のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画をも意味している。
半導体素子の微細化に伴って、露光光源の短波長化及び投影レンズの高開口数(高NA)化が進行している。この状況下、更なる短波長化による解像力の向上を達成すべく、投影レンズと試料との間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)を満たす方法、即ち液浸法が開発されている。
この液浸法は、あらゆるパターン形状に対して有効である。また、液浸法は、現在検討されている位相シフト法及び変形照明法等の超解像技術と組み合わせることも可能である。
KrFエキシマレーザー(248nm)用レジスト以降、光吸収による感度低下を補うべく、化学増幅を利用したパターン形成方法が用いられている。例えば、ポジ型の化学増幅法では、まず、露光部に含まれる光酸発生剤が、光照射により分解して酸を発生する。そして、露光後のベーク(PEB:Post Exposure Bake)過程等において、発生した酸の触媒作用により、感光性組成物に含まれるアルカリ不溶性の基をアルカリ可溶性の基に変化させる。その後、例えばアルカリ溶液を用いて、現像を行う。これにより、露光部を除去して、所望のパターンを得る。
この化学増幅法を用いたArFエキシマレーザー(193nm)用レジストは、現在主流になりつつあるが、上述の液浸露光を行う場合には、形成したラインパターンが倒れてデバイス製造時の欠陥となるというパターン倒れの問題があった。また、パターンの側壁に荒れが生じることにより、LWR(Line Width Roughness)等のラフネス特性が不十分であるという問題があった。
化学増幅型の感光性組成物の主要成分の1つである光酸発生剤についても、種々の化合物が見出されている。この光酸発生剤としては、一般的に、活性光線の照射により分解しスルホン酸を発生する化合物が用いられている。
光酸発生剤のカチオン構造についても、種々の検討が行われている。例えば、特許文献1には、ナフチルスルホニウムカチオン又はフェニルスルホニウムカチオンを含んだ光酸発生剤が開示されている。また、特許文献2には、環状スルホニウムカチオンを含んだ光酸発生剤が開示されている
また、感光性組成物に塩基性化合物を含有させると、レジストの解像性が向上することが知られている。例えば、特許文献3には、tert−ブトキシカルボニル基が窒素原子に結合した塩基性化合物が開示されている。
しかしながら、レジストとしての総合性能の観点から、酸発生剤及び塩基性化合物等の適切な組み合わせを見い出すことは極めて困難である。特には、線幅100nm以下の微細なパターンを形成する際には、優れたパターン形状と優れたラフネス特性との両立は極めて困難であった。
特開平10−232490号公報 特開2003−195489号公報 特開2007−298569号公報
本発明の目的は、優れたパターン形状と優れたラフネス特性とを両立させ得る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法を提供することにある。
本発明は、例えば、以下の通りである。
〔1〕(A)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂と、(B)下記一般式(1−1)又は(1−2)により表される化合物と、(C)下記一般式(C−I)により表される化合物、又は、前記一般式(C−I)により表される化合物の複数が連結基を介して結合された構造を有する化合物とを含んだ感活性光線性又は感放射線性組成物。
Figure 0005244740
一般式(1−1)中、
13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、または単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。
14は複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、または単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。
15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
-は、非求核性アニオンを表す。
一般式(1−2)中、
Mは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はベンジル基を表し、環構造を有するとき、環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、または炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
1c及びR2cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
x及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
x及びRyが結合して環を形成してもよい。
M、R1c及びR2cの少なくとも二つが結合して環を形成してもよく、該環構造に炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
-は、非求核性アニオンを表す。
Figure 0005244740
一般式(C−I)中、
m及びnの各々は、m+n=3なる関係を満足する1以上の整数を表す。
Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又は前記連結基を表す。m=2の場合には、2つの前記Rは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
R’は、各々独立に、水素原子、アルキル基(同一の炭素原子に結合している3つのR’の全てがメチル基である場合を除く)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又は前記連結基を表す。R’のうち少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
〔2〕前記樹脂(A)はラクトン構造を備えた繰り返し単位を含んでいる〔1〕に記載の組成物。
〔3〕前記樹脂(A)は酸分解性基を備えた繰り返し単位を含み、前記酸分解性基は脂環構造を含んでいる〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔4〕〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の組成物を用いて膜を形成することと、前記膜を露光することと、前記露光された膜を現像することとを含んだパターン形成方法。
本発明により、優れたパターン形状と優れたラフネス特性とを両立させ得る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の態様について詳細に説明する。
なお、ここでは、置換又は無置換を明示していない基及び原子団には、置換基を有していないものと置換基を有しているものとの双方が含まれることとする。例えば、置換又は無置換を明示していない「アルキル基」は、置換基を有していないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有しているアルキル基(置換アルキル基)をも包含することとする。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、(A)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(以下、酸分解性樹脂ともいう)と、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、光酸発生剤ともいう)と、(C)塩基性化合物とを含んでいる。以下、これら各成分の具体的な構成について説明する。
(A)酸分解性樹脂
本発明に係る組成物は、酸分解性樹脂を含んでいる。酸分解性樹脂は、典型的には、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(以下、酸分解性基ともいう)を備えている。この樹脂は、酸分解性基を、主鎖及び側鎖の一方に備えていてもよく、これらの両方に備えていてもよい。この樹脂は、好ましくは、アルカリ現像液に不溶又は難溶性である。
酸分解性基は、アルカリ可溶性基が酸の作用により脱離する基によって保護された構造を有していることが好ましい。
このアルカリ可溶性基としては、例えば、フェノール性水酸基、カルボキシ基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、カルボキシ基、フッ素化アルコール基及びスルホン酸基が挙げられる。フッ素化アルコール基としては、ヘキサフルオロイソプロパノール基が特に好ましい。
酸分解性基は、好ましくは、これらアルカリ可溶性基の水素原子を酸の作用により脱離する基で置換した基である。
酸の作用により脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)及び−C(R01)(R02)(OR39)により表される基が挙げられる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成していてもよい。R01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
好ましい酸分解性基としては、例えば、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基及び第3級のアルキルエステル基が挙げられる。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基が挙げられる。
酸分解性基は、脂環構造を含んでいることが好ましい。即ち、酸分解性樹脂は、脂環構造を含んだ酸分解性基を備えた繰り返し単位を含んでいることが好ましい。このような構成を採用すると、例えば、エッチング耐性及び解像性を更に向上させることが可能となる。なお、酸分解性基が含み得る脂環構造は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
酸分解性樹脂は、下記一般式(AI)により表される繰り返し単位を含んでいてもよい。
Figure 0005244740
式(AI)中、Xa1は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、又は−CH−R9により表される基を表す。ここで、R9は、ヒドロキシ基又は1価の有機基を表す。この有機基としては、例えば、炭素数5以下のアルキル基及びアシル基が挙げられる。この有機基は、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。Xaは、好ましくは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。この2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、−(COO−Rt)−基及び−(O−Rt)−基が挙げられる。ここで、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Rx、Rx及びRxは、各々独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐鎖)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。Rx、Rx及びRxのうち少なくとも2つが互いに結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成していてもよい。
Rx〜Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基等の炭素数1〜4のものが好ましい。
Rx〜Rxのシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、並びに、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。
Rx〜Rxのうち少なくとも2つが互いに結合して形成し得るシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、並びに、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。このシクロアルキル基としては、炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
特には、Rxがメチル基又はエチル基であり且つRxとRxとが互いに結合して上述のシクロアルキル基を形成している構成を採用することが好ましい。
上記各基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシ基及びアルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)が挙げられる。この置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
以下に、一般式(AI)により表される繰り返し単位の好ましい例を挙げる。
具体例中、Rx及びXa1の各々は、水素原子、CH、CF又はCHOHを表す。Rxa及びRxbの各々は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zは、p≧2の場合には各々独立に、極性基を含んだ置換基を表す。pは、0又は正の整数を表す。
Figure 0005244740
Figure 0005244740
Figure 0005244740
Figure 0005244740
酸分解性樹脂は、一般式(AI)により表される繰り返し単位として、一般式(I)により表される繰り返し単位及び一般式(II)により表される繰り返し単位の少なくとも一方を含んでいることが好ましい。
Figure 0005244740
一般式(I)及び(II)中、R及びRは、各々独立して、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、又は−CH−R9により表される基を表す。ここで、R9は、ヒドロキシ基又は1価の有機基を表す。
、R、R及びRは、各々独立して、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rは、Rが結合している炭素原子と共に脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。
は、好ましくは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
のアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。
のシクロアルキル基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このシクロアルキル基は、置換基を更に有していてもよい
は、好ましくはアルキル基であり、その炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基及びエチル基が挙げられる。
Rにより形成される脂環構造は、単環の脂環構造であることが好ましい。また、その炭素数は、3〜7であることが好ましく、5又は6であることがより好ましい。
は、好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくはメチル基である。
、R及びRのアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。
このアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基等の炭素数が1〜4のものが好ましい。
、R及びRのシクロアルキル基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このシクロアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。
このシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、並びに、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。
一般式(1)により表される繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(1−a)により表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0005244740
式中、R1及びR2は、一般式(1)における各々と同義である。
一般式(II)により表される繰り返し単位は、下記一般式(II−1)により表される構造を有していることが好ましい。
Figure 0005244740
式(II−1)中、R、R及びRは、一般式(II)におけるものと同義である。
10は、極性基を含んだ置換基を表す。p≧2の場合、複数のR10は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
この極性基としては、例えば、水酸基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミド基及びスルホンアミド基が挙げられる。極性基を含んだ置換基としては、例えば、これら極性基を含んだ直鎖状又は分岐鎖状アルキル基及びシクロアルキル基が挙げられる。この極性基を含んだ置換基は、好ましくは、水酸基を含んだアルキル基である。なお、分岐鎖状アルキル基としては、イソプロピル基が特に好ましい。
pは、0〜15の整数を表す。pは、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
酸分解性樹脂は、一般式(AI)により表される繰り返し単位として、一般式(1)により表される繰り返し単位及び一般式(2)により表される繰り返し単位の少なくとも一方を含んだ樹脂であることがより好ましい。また、他の形態において、一般式(AI)により表される繰り返し単位として、一般式(1)により表される繰り返し単位の少なくとも2種を含んだ樹脂であることがより好ましい。
酸分解性樹脂が、酸分解性基を備えた繰り返し単位を複数含んでいる場合、これらの好ましい組み合わせとしては、例えば、以下のものが挙げられる。なお、下式において、Rは、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。
Figure 0005244740
酸分解性樹脂は、ラクトン構造を備えた繰り返し単位を含んでいることが好ましい。この繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(III)により表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0005244740
式(III)中、
は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Aは、エステル結合(−COO−により表される基)又はアミド結合(−CONH−により表される基)を表す。
は、n≧2の場合には各々独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はそれらの組み合わせを表す。Rのアルキレン基及びシクロアルキレン基は、置換基を更に有していてもよい。
Zは、n≧2の場合には各々独立に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合
Figure 0005244740
又はウレア結合
Figure 0005244740
を表す。ここで、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
は、ラクトン構造を備えた1価の有機基を表す。
nは、−(R−Z)−により表される構造の繰り返し数であり、1〜5の整数を表す。
のアルキル基は、炭素数が1〜4であることが好ましい。このようなアルキル基としては、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
このアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子;メルカプト基;ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基及びベンジルオキシ基等のアルコキシ基;並びに、アセチル基及びプロピオニル基等のアセトキシ基が挙げられる。
は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基であることが特に好ましい。
のアルキレン基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数が1〜5であることがより好ましい。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基及びプロピレン基が挙げられる。
のシクロアルキレン基は、炭素数が1〜20であることが好ましい。このようなシクロアルキレン基としては、例えば、シクロヘキシレン基、シクロペンチレン基、ノルボルニレン基及びアダマンチレン基が挙げられる。
は、アルキレン基であることがより好ましく、メチレン基であることが特に好ましい。
Zは、好ましくはエーテル結合又はエステル結合であり、より好ましくはエステル結合である。
により表される置換基は、例えば、後掲の一般式(LC1−1)〜(LC1−17)により表されるラクトン構造を備えている。これらのうち一般式(LC1−4)により表される構造が特に好ましい。また、(LC1−1)〜(LC1−17)におけるnは、2以下であることが好ましい。
は、好ましくは、無置換のラクトン構造を含んだ1価の有機基、又は、メチル基、シアノ基若しくはアルコキシカルボニル基を置換基として有するラクトン構造を含んだ1価の有機基である。これらのうち、シアノ基を置換基として有するラクトン構造、即ちシアノラクトン構造を含んだ1価の有機基が特に好ましい。
以下に、一般式(III)により表される繰り返し単位の具体例を示す。
下記具体例中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を表す。
Figure 0005244740
ラクトン構造を備えた繰り返し単位としては、下記一般式(III−1)により表される繰り返し単位がより好ましい。
Figure 0005244740
一般式(III−1)中、R、A、R、Z及びnは、上記一般式(III)におけるものと同義である。
は、m≧2の場合には各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、水酸基又はアルコキシ基を表す。m≧2の場合、複数のRが互いに結合して、環を形成していてもよい。
Xは、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
mは、置換基数であり、0〜5の整数を表す。mは、好ましくは0又は1である。
のアルキル基としては、炭素数が1〜4のものが好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基又はエチル基が挙げられる。これらのうち、メチル基が特に好ましい。
のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が挙げられる。
のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基が挙げられる。
のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基及びブトキシ基等が挙げられる。
これら基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、ヒドロキシ基;メトキシ基及びエトキシ基等のアルコキシ基;シアノ基;並びに、フッ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
は、メチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、シアノ基であることが更に好ましい。
Xのアルキレン基としては、例えば、メチレン基及びエチレン基が挙げられる。
Xは、酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることが更に好ましい。
m≧1の場合、少なくとも1つのRは、ラクトンのカルボニル基のα位又はβ位に置換していることが好ましく、α位に置換していることが特に好ましい。
以下に、一般式(III−1)により表されるラクトン構造を備えた基を含んだ繰り返し単位の具体例を示す。
下記具体例中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を表す。
Figure 0005244740
Figure 0005244740
一般式(III)により表される繰り返し単位を、複数組み合わせることも可能である。この場合、n=1である繰り返し単位から2種以上を選択して併用することが好ましい。
一般式(III)により表される繰り返し単位の合計量は、樹脂中の全繰り返し単位を基準として、15〜60モル%であることが好ましく、20〜60モル%であることがより好ましく、30〜50モル%であることが更に好ましい。
酸分解性樹脂は、ラクトン基を備えた他の繰り返し単位を含んでいてもよい。なお、このラクトン基は、主鎖に直接結合していてもよい。
ラクトン基は、5〜7員環のラクトン構造を備えていることが好ましく、5〜7員環のラクトン構造にビシクロ構造又はスピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが更に好ましい。
より具体的には、下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の何れかにより表されるラクトン構造が挙げられる。好ましいラクトン構造としては、(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)及び(LC1−17)が挙げられる。特定のラクトン構造を用いることにより、ラインエッジラフネス及び現像欠陥を更に減少させ得る。
Figure 0005244740
式中、Rbは置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。
Rbの好ましい置換基としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、及び上述した酸分解性基が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基又は酸分解性基が特に好ましい。なお、n≧2の場合、複数のRbは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、これら複数のRbは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
ラクトン基を備えた他の繰り返し単位としては、下記一般式(AII’)により表される繰り返し単位も好ましい。
Figure 0005244740
一般式(AII’)中、Rbは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Rbのアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、水酸基及びハロゲン原子が挙げられる。このハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
Rbは、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基であり、より好ましくは、水素原子又はメチル基である。
Vは、先に挙げた一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の何れかにより表される構造を備えた基を表す。
以下に、ラクトン基を備えた他の繰り返し単位の具体例を挙げる。
Figure 0005244740
Figure 0005244740
Figure 0005244740
以下に、ラクトン基を備えた他の繰り返し単位の好ましい例を挙げる。最適なラクトン基を選択することにより、パターン形状及び疎密依存性等を更に良好にすることが可能となる。
Figure 0005244740
なお、ラクトン構造を備えた繰り返し単位には、通常は光学異性体が存在するが、何れの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度が90%ee以上のものが好ましく、95%ee以上のものがより好ましい。
ラクトン基を備えた他の繰り返し単位の合計量は、樹脂中の全繰り返し単位を基準として、15〜60モル%であることが好ましく、20〜50モル%であることがより好ましく、30〜50モル%であることが更に好ましい。
酸分解性樹脂は、一般式(AI)により表される繰り返し単位及び一般式(III)により表される繰り返し単位以外に、水酸基又はシアノ基を備えた繰り返し単位を更に含んでいることが好ましい。このような構成を採用すると、基板密着性及び現像液親和性を更に向上させることが可能となる。
水酸基又はシアノ基を備えた繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を含んだ繰り返し単位であることが好ましい。上記の脂環炭化水素構造としては、好ましくは、アダマンチル基、ジアマンチル基及びノルボルナン基が挙げられる。
この繰り返し単位は、酸分解性基を有さないことが好ましい。
水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、好ましくは、下記一般式(VIIa)〜(VIId)により表される部分構造が挙げられる。
Figure 0005244740
一般式(VIIa)〜(VIIc)中、Rc、Rc及びRcは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。但し、Rc〜Rcの少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。
好ましくは、Rc〜Rcのうち1つ又は2つが水酸基であり、残りの2つ又は1つが水素原子である。一般式(VIIa)において、更に好ましくは、Rc〜Rcのうち2つが水酸基であり、残りの1つが水素原子である。
一般式(VIIa)〜(VIId)により表される部分構造を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(AIIa)〜(AIId)により表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0005244740
一般式(AIIa)〜(AIId)中、Rcは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
c〜Rcは、一般式(VIIa)〜(VIIc)におけるものと同義である。
以下に、水酸基又はシアノ基を備えた繰り返し単位の具体例を挙げる。
Figure 0005244740
水酸基又はシアノ基を備えた繰り返し単位(一般式(AI)により表される繰り返し単位及び一般式(III)により表される繰り返し単位を除く)の合計量は、樹脂中の全繰り返し単位を基準として、5〜40モル%であることが好ましく、5〜30モル%であることがより好ましく、10〜25モル%であることが更に好ましい。
酸分解性樹脂は、アルカリ可溶性基を備えた繰り返し単位を含んでいてもよい。
このアルカリ可溶性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビスルスルホニルイミド基、及びα位が電子吸引性基で置換された脂肪族アルコール(例えばヘキサフロロイソプロパノール基)が挙げられる。これらのうち、カルボキシ基が特に好ましい。
アルカリ可溶性基を備えた繰り返し単位を含有させることにより、コンタクトホール用途での解像性を更に向上させることが可能となる。
アルカリ可溶性基を備えた繰り返し単位は、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸による繰り返し単位等の、樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位である。或いは、この繰り返し単位は、アルカリ可溶性基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合している繰り返し単位であってもよい。或いは、この繰り返し単位は、アルカリ可溶性基を備えた重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。上記の連結基は、単環式又は多環式の脂環構造を有していてもよい。アルカリ可溶性基を備えた繰り返し単位は、好ましくは、アクリル酸又はメタクリル酸による繰り返し単位である。
以下に、アルカリ可溶性基を備えた繰り返し単位の具体例を示す。具体例中、Rxは、H、CH、CHOH又はCFを表す。
Figure 0005244740
アルカリ可溶性基を備えた繰り返し単位の合計量は、樹脂中の全繰り返し単位を基準として、0〜20モル%であることが好ましく、3〜15モル%であることがより好ましく、5〜10モル%であることが更に好ましい。
酸分解性基を備えた繰り返し単位の合計量は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、20〜70モル%であることが好ましく、30〜50モル%であることがより好ましい。
酸分解性樹脂は、極性基を有していない脂環炭化水素構造を備え且つ酸分解性を示さない繰り返し単位を更に含んでいてもよい。このような繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(IV)により表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0005244740
一般式(IV)中、Rは、少なくとも1つの環状構造を備え且つ水酸基及びシアノ基の何れも有していない炭化水素基を表す。
Raは、水素原子、アルキル基、又は−CH−O−Ra2により表される基を表す。ここで、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
が備えている環状構造としては、例えば、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が挙げられる。
単環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基及びシクロオクチル基等の炭素数が3〜12のシクロアルキル基、並びに、シクロへキセニル基等の炭素数が3〜12のシクロアルケニル基が挙げられる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素数が3〜7のものが挙げられる。このような単環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。
多環式炭化水素基には、環集合炭化水素基及び架橋環式炭化水素基が含まれる。
環集合炭化水素基としては、例えば、ビシクロヘキシル基及びパーヒドロナフタレニル基が挙げられる。
架橋環式炭化水素基としては、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、及びビシクロオクタン環(例えば、ビシクロ[2.2.2]オクタン環又はビシクロ[3.2.1]オクタン環)等の2環式炭化水素基、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン及びトリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環等の3環式炭化水素基、並びに、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン及びパーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環等の4環式炭化水素基が挙げられる。
架橋環式炭化水素基には、縮合環式炭化水素基も含まれる。この縮合環式炭化水素基としては、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、及びパーヒドロフェナレン環等の5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合してなる基が挙げられる。
好ましい架橋環式炭化水素基としては、例えば、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基及びトリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基が挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素基としては、例えば、ノルボニル基及びアダマンチル基が挙げられる。
これらの脂環式炭化水素基は、置換基を更に有していてもよい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシ基、及び保護基で保護されたアミノ基が挙げられる。
好ましいハロゲン原子としては、臭素、塩素及びフッ素原子が挙げられる。
好ましいアルキル基としては、メチル、エチル、ブチル及びt−ブチル基が挙げられる。このアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシ基、及び保護基で保護されたアミノ基が挙げられる。
上記の保護基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、及びアラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数が1〜4のものが挙げられる。好ましい置換メチル基としては、メトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル及び2−メトキシエトキシメチル基が挙げられる。好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル及び1−メチル−1−メトキシエチル基が挙げられる。好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル及びピバロイル基等の炭素数が1〜6の脂肪族アシル基が挙げられる。好ましいアルコキシカルボニル基としては、炭素数が1〜4のものが挙げられる。
以下に、極性基を有していない脂環炭化水素構造を備え且つ酸分解性を示さない繰り返し単位の具体例を挙げる。これら具体例中、Raは、H、CH、CHOH又はCFを表す。
Figure 0005244740
極性基を有していない脂環炭化水素構造を備え且つ酸分解性を示さない繰り返し単位の合計量は、樹脂中の全繰り返し単位を基準として、0〜40モル%であることが好ましく、5〜20モル%であることがより好ましい。
酸分解性樹脂は、上述した繰り返し単位以外に、他の様々な繰り返し単位を含んでいてもよい。このような繰り返し単位を適宜含有させることにより、ドライエッチング耐性、標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、解像力、耐熱性及び感度等を調節することが可能となる。また、これにより、本発明の組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特には、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、及び
(6)ドライエッチング耐性
等の微調整が可能となる。
このような繰り返し単位としては、例えば、下記の単量体に相当する繰り返し単位が挙げられる。即ち、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類及びビニルエステル類等の付加重合性不飽和結合を1個有する単量体に相当する繰り返し単位が挙げられる。その他、上記の繰り返し単位に相当する単量体と共重合させることができる付加重合性の不飽和化合物を、更に含有させてもよい。
酸分解性樹脂中に占める各繰り返し単位のモル比は、ドライエッチング耐性、標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、解像力、耐熱性及び感度等を調節するために適宜設定される。
本発明に係る組成物がArF露光用である場合、ArF光に対する透明性の観点から、酸分解性樹脂は、芳香族基を有していないことが好ましい。この場合、酸分解性樹脂は、単環式又は多環式の脂環炭化水素構造を有していることが好ましい。
また、本発明に係る組成物が後述する疎水性樹脂を含んでいる場合、酸分解性樹脂は、この疎水性樹脂との相溶性の観点から、フッ素原子及びケイ素原子を含んでいないことが好ましい。
酸分解性樹脂は、全ての繰り返し単位が(メタ)アクリレート系繰り返し単位であることが好ましい。この場合、酸分解性樹脂は、全ての繰り返し単位がメタクリレート系繰り返し単位であってもよく、全ての繰り返し単位がアクリレート系繰り返し単位であってもよく、全ての繰り返し単位がメタクリレート系繰り返し単位及びアクリレート系繰り返し単位の何れかである構成を有していてもよい。
酸分解性樹脂がアクリレート系繰り返し単位を含んでいる場合、アクリレート系繰り返し単位の合計量は、全繰り返し単位を基準として、50モル%以下であることが好ましい。
より好ましくは、酸分解性樹脂は、20〜50モル%の酸分解性基を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位と、20〜50モル%のラクトン基を備えた(メタ)アクリレート系繰り返し単位と、5〜30モル%の水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位と、0〜20モル%のその他の(メタ)アクリレート系繰り返し単位とを含んだ共重合ポリマーである。
本発明の組成物にKrFエキシマレーザー光、電子線、X線、又は、EUV光等の波長50nm以下の高エネルギー光線を照射する場合には、酸分解性樹脂は、ヒドロキシスチレン構造を備えた繰り返し単位を更に含んでいることが好ましい。この場合、酸分解性樹脂は、ヒドロキシスチレン構造を備えた繰り返し単位と、酸分解性基で保護されたヒドロキシスチレン構造を備えた繰り返し単位と、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル等の酸分解性の繰り返し単位とを含んでいることが特に好ましい。
酸分解性基で保護されたヒドロキシスチレン構造を備えた繰り返し単位としては、例えば、t−ブトキシカルボニルオキシスチレン及び1−アルコキシエトキシスチレンが挙げられる。(メタ)アクリル酸3級アルキルエステルとしては、例えば、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート及びジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
酸分解性樹脂は、常法に従って合成することができる。例えば、酸分解性樹脂は、ラジカル重合法によって合成することができる。
一般的な合成方法としては、例えば、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させた後、これを加熱することにより重合を行う一括重合法、並びに、加熱した溶剤にモノマー種と開始剤の溶液とを1〜10時間かけて滴下することにより重合を行う滴下重合法が挙げられる。これらのうち、滴下重合法が特に好ましい。
反応溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン及びジイソプロピルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル溶媒、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等のアミド溶剤、並びに、後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)及びシクロヘキサノン等の本発明に係る組成物を溶解可能な溶媒が挙げられる。特には、本発明に係る組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合を行うことが好ましい。これにより、保存時のパーティクルの発生を抑制することが可能となる。
重合反応は、窒素及びアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤及びパーオキサイド等)を用いることができる。ラジカル開始剤としては、アゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基又はカルボキシ基を含んだアゾ系開始剤がより好ましい。好ましい開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、及びジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が挙げられる。開始剤は、重合反応の途中で追加したり、分割して添加したりしてもよい。
反応終了後、反応液を溶剤に投入することにより、所望の樹脂を粉体又は固体として回収する。
反応の濃度は、通常は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常は10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃であり、更に好ましくは60〜100℃である。
酸分解性樹脂は、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、単量体及びオリゴマー成分の残存量が0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましく、0〜1質量%であることが更に好ましい。これにより、液中異物の量を減少させ、感度等の経時変化を低減することが可能となる。
酸分解性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜200,000であり、より好ましくは2,000〜20,000であり、更に好ましくは3,000〜15,000であり、特に好ましくは3,000〜10,000である。重量平均分子量を1,000〜200,000の範囲内とすることにより、耐熱性、ドライエッチング耐性及び現像性の劣化、並びに粘度の上昇による製膜性の低下を抑制することが可能となる。なお、上記の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算値を表す。
酸分解性樹脂の分散度は、通常は1〜3であり、好ましくは1〜2.6であり、より好ましくは1〜2であり、特に好ましくは1.4〜2.0である。分子量分布が小さいほど、優れた解像度、パターン形状及びラフネス特性を達成することが可能となる。
酸分解性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物中に占める酸分解性樹脂の合計量は、組成物の全固形分を基準として、30〜99質量%であることが好ましく、60〜95質量%であることがより好ましい。
(B)光酸発生剤
本発明に係る組成物は、下記一般式(1−1)又は(1−2)により表される光酸発生剤を含んでいる。
Figure 0005244740
一般式(1−1)中、
13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、または単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。
14は複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、または単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。
15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
-は、非求核性アニオンを表す。
一般式(1−2)中、
Mは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はベンジル基を表し、環構造を有するとき、環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、または炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
1c及びR2cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
x及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
x及びRyが結合して環を形成してもよい。
M、R1c及びR2cの少なくとも二つが結合して環を形成してもよく、該環構造に炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
-は、非求核性アニオンを表す。
まず、一般式(1−1)により表される化合物について説明する。
13、R14及びR15のアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられる。これらのうち、メチル基、エチル基、n−ブチル基及びt−ブチル基が特に好ましい。
13、R14及びR15のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデカニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル及びシクロオクタジエニル基が挙げられる。これらのうち、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロオクチル基が特に好ましい。
13及びR14のアルコキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシ基は、炭素数が1〜10であることが好ましい。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基及びn−デシルオキシ基が挙げられる。これらのうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基及びn−ブトキシ基が特に好ましい。
13及びR14のアルコキシカルボニル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。このアルコキシカルボニル基の炭素数は、2〜11であることが好ましい。このようなアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基及びn−デシルオキシカルボニル基が挙げられる。これらのうち、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びn−ブトキシカルボニル基が特に好ましい。
13及びR14により表される単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基は、総炭素数が7以上であることが好ましく、総炭素数が7以上15以下であることがより好ましい。
単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基としては、例えば、単環もしくは多環のシクロアルキルオキシ基、及び、単環もしくは多環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基が挙げられ、単環のシクロアルキル骨格を有する基であることが好ましい。これら基は、置換基を更に有していてもよい。
単環のシクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基及びシクロドデカニルオキシ基が挙げられる。これら基は、置換基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基及びiso−アミル基等のアルキル基;水酸基:フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;アミド基;スルホンアミド基;メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基及びブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基等のアシル基;アセトキシ基及びブチリルオキシ基等のアシロキシ基;又はカルボキシ基を更に有していてもよい。
多環のシクロアルキルオキシ基としては、例えば、ノルボニルオキシ基及びアダマンチルオキシ基が挙げられる。
単環もしくは多環のシクロアルキルオキシ基は、上述したように、総炭素数が7以上であることが好ましい。即ち、先に挙げたシクロアルキルオキシ基の炭素数と上記の置換基の炭素数との合計が7以上である構成を採用することが好ましい。
単環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、イソプロポキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、iso−アミルオキシ基等のアルコキシ基に、単環のシクロアルキル基が置換したものが挙げられる。この単環のシクロアルキル基は、先に挙げた置換基を更に有していてもよい。たとえば、シクロヘキシルメトキシ基、シクロペンチルエトキシ基、シクロヘキシルエトキシ基等が挙げられ、シクロヘキシルメトキシ基が好ましい。
多環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基としては、例えば、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロデカン及びアダマンタン等のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基であり、好ましくは、ノルボルニルメトキシ基、ノルボルニルエトキシ基、アダマンチルメトキシ基又はアダマンチルエトキシ基である。
単環もしくは多環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基は、上述したように、総炭素数が7以上であることが好ましい。即ち、先に挙げたアルコキシ基の炭素数と単環のシクロアルキル基の炭素数と上記の置換基の炭素数との合計が7以上である構成を採用することが好ましい。
14のアルキルカルボニル基のアルキル基としては、上述したR13〜R15としてのアルキル基と同様の具体例が挙げられる。
14のアルキルスルホニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
14のアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基は、炭素数が1〜10であることが好ましい。このようなアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、tert−ブタンスルホニル基、n−ペンタンスルホニル基、ネオペンタンスルホニル基、n−ヘキサンスルホニル基、n−ヘプタンスルホニル基、n−オクタンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基n−ノナンスルホニル基、n−デカンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基及びシクロヘキサンスルホニル基が挙げられる。これらのうち、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基及びシクロヘキサンスルホニル基が特に好ましい。
上記の各基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルコキシアルキル基、シクロアルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基及びシクロアルコキシカルボニルオキシ基が挙げられる。これらのうち、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基及びハロゲン原子がより好ましい。このハロゲン原子としては、フッ素原子が特に好ましい。
アルコキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基及びt−ブトキシ基等の炭素数が1〜20のものが挙げられる。
シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等の炭素数が4〜20のものが挙げられる。
アルコキシアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基及び2−エトキシエチル基等の炭素数が2〜21のものが挙げられる。
シクロアルコキシアルキル基としては、例えば、シクロペンチルオキシメチル基及びシクロペンチルオキシメチルエトキシ基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基等の炭素数が2〜21のものが挙げられる。
シクロアルコキシカルボニル基としては、例えば、シクロペンチルオキシカルボニル基及びシクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数が4〜21のものが挙げられる。
アルコキシカルボニルオキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基及びt−ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数が2〜21のものが挙げられる。
シクロアルコキシカルボニルオキシ基としては、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ基及びシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数が4〜21のものが挙げられる。
2つのR15が互いに結合して形成し得る環構造としては、例えば、一般式(1−1)中のS原子と共に、5員環又は6員環、特に好ましくは5員環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)を形成する構造が挙げられる。
この環構造は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、及びアルコキシカルボニルオキシ基が挙げられる。
15としては、メチル基、エチル基、1−ナフチル基、及び2つのR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基が特に好ましい。
上記lは、0又は1であることが好ましく、1であることがより好ましい。
上記rは、0〜2であることが好ましい。
以下に、一般式(1−1)により表される化合物におけるカチオンの好ましい具体例を示す。
Figure 0005244740
Figure 0005244740
Figure 0005244740
は、上述したように、非求核性アニオンを表す。非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンである。
このXとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF 、PF 及びSbF が挙げられる。Xは、好ましくは、炭素原子を含んだ有機アニオンである。
好ましい有機アニオンとしては、例えば、下記AN1〜AN3に示す有機アニオンが挙げられる。
Figure 0005244740
式中、Rcは有機基を表す。
この有機基としては、炭素数が1〜30のものが挙げられる。この有機基は、好ましくは、アルキル基、アリール基、又はこれらの複数が単結合若しくは連結基を介して連結された基である。この連結基としては、例えば、−O−、−CO−、−S−、−SO−及び−SON(Rd)−が挙げられる。ここで、Rdは、水素原子又はアルキル基を表す。なお、上記の有機基は、置換基を更に有していてもよい。
Rc、Rc及びRcは、各々独立に、有機基を表す。
これら有機基としては、例えば、先にRcについて説明したのと同様の基が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4のパーフロロアルキル基が特に好ましい。
なお、RcとRcとは、互いに結合して、環を形成していてもよい。RcとRcとが結合して形成し得る基としては、例えば、アルキレン基及びアリーレン基が挙げられる。この基は、好ましくは、炭素数2〜4のパーフロロアルキレン基である。
Rc、Rc、Rc及びRcの有機基としては、1位がフッ素原子若しくはフロロアルキル基で置換されたアルキル基、又は、フッ素原子若しくはフロロアルキル基で置換されたフェニル基が特に好ましい。これら有機基にフッ素原子又はフロロアルキル基を含有させることにより、光照射によって発生する酸の酸性度が上がり、感度を向上させることが可能となる。
また、Xとして、下記一般式(A1)により表されるアニオンを挙げられる。
Figure 0005244740
式中、Rは、水素原子又は有機基を表す。
Rが有機基である場合、この基は、炭素数が1〜40であることが好ましく、炭素数が3〜20であることがより好ましい。
この有機基は、炭素原子を少なくとも1つ有していれば特に限定されないが、一般式(A1)に示すエステル結合における酸素原子と結合する原子が炭素原子であることが好ましい。例えば、この有機基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はラクトン構造を備えた基であることが好ましい。なお、これらの基は、鎖中に酸素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。また、これらを相互に置換基として有していてもよく、水酸基、アシル基、アシルオキシ基、オキシ基(=O)及びハロゲン原子等の他の置換基を有していてもよい。
特に好ましいRとしては、下記一般式(A1a)により表される有機基が挙げられる。
Figure 0005244740
式(A1a)中、Rcは、単環又は多環式の環状有機基を表す。この環状有機基は、炭素数が3〜30である。この環状有機基は、炭素数が7〜16であることが好ましい。この環状有機基は、例えば、環状エーテル、環状チオエーテル、環状ケトン、環状炭酸エステル、ラクトン及びラクタム構造を含んでいる。
Yは、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜10のアシルオキシ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、又は炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基を表す。なお、m≧2の場合、複数のYは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
mは、0〜6の整数である。
nは、0〜10の整数である。nは、0〜3の整数であることが好ましい。
式(AIa)により表されるRに含まれる炭素原子の総数は、40以下であることが好ましい。
また、Xとして、下記一般式(A2)により表されるアニオンが挙げられる。
Figure 0005244740
式(A2)中、
Xfは、各々独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
及びRは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、y≧2の場合には、複数の前記R及びRの各々は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Lは、単結合又は2価の連結基を表し、z≧2の場合には、複数の前記Lは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Aは、環状構造を有する基を表す。
xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
以下、一般式(A2)により表されるアニオンについて、更に詳細に説明する。
Xfは、上述したように、フッ素原子であるか、又は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。このアルキル基としては、炭素数が1〜4のものが好ましい。また、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfは、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。具体的には、Xfは、好ましくは、フッ素原子、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH又はCHCHである。これらのうち、フッ素原子又はCFが特に好ましい。
及びRの各々は、上述したように、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。このフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜4のものが好ましい。また、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基は、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。具体的には、例えば、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH及びCHCHが挙げられる。これらのうち、CFが特に好ましい。
Lは、上述したように、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、アルキレン基、シクロアルキレン基及びアルケニレン基が挙げられる。これらのうち、−COO−、−OCO−、−CO−又は−O−が好ましく、−COO−又は−OCO−がより好ましい。
Aは、上述したように、環状構造を有する基を表す。Eとしては、例えば、脂環基、アリール基及び複素環構造を有する基が挙げられる。なお、複素環構造を有する基は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。
Aとしての脂環基は、単環構造を有していてもよく、多環構造を有していてもよい。
単環構造を有した脂環基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が好ましい。
多環構造を有した脂環基としては、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。特には、炭素数が7以上の多環のシクロアルキル基が好ましい。このような嵩高い構造を有する脂環基を採用すると、PEB工程での酸の膜中拡散性が抑制され、MEEF(Mask Error Enhancement Factor)を更に向上させることが可能となる。
Aとしてのアリール基は、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基又はアントリル基である。これらのうち、波長が193nmの光に対する吸光度が低いナフチルを用いることが特に好ましい。
Aとしての複素環構造を有する基としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環及びピリジン環が挙げられる。これらのうち、フラン環、チオフェン環及びピリジン環が特に好ましい。
Aとしての脂環基、アリール基又は複素環構造を有する基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、炭素数1〜12が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基及びスルホン酸エステル基が挙げられる。
xは、1〜8であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
yは、0〜4であることが好ましく、0であることがより好ましい。
zは、0〜8であることが好ましく、0〜4であることがより好ましい。
更に、Xとして、特開2005−221721号公報に開示されている下記一般式(A3)又は(A4)により表されるアニオンが挙げられる。
Figure 0005244740
式(A3)及び(A4)中、Yは、水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたアルキレン基を表す。なお、このアルキレン基は、鎖中に酸素原子を含有していてもよい。
このアルキレン基は、炭素数が2〜4であることが好ましい。Yは、好ましくは炭素数2〜4のパーフロロアルキレン基であり、より好ましくはテトラフロロエチレン基、ヘキサフロロプロピレン基又はオクタフロロブチレン基である。
式(A4)中、Rは、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。なお、これらアルキル基及びシクロアルキル基は、鎖中に酸素原子を含有していてもよい。
一般式(A3)又は(A4)により表されるアニオンを有する化合物としては、例えば、特開2005−221721号公報に記載されているものが挙げられる。
以下に、一般式(1−1)により表される化合物の好ましい具体例を挙げる
Figure 0005244740
次に、一般式(1−2)により表される化合物について説明する。
Mは、上述したように、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はベンジル基を表し、環構造を有するとき、環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル原子、アミド結合または炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
Mとしてのアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、炭素数が1〜12であることがより好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基を挙げることができる。
Mとしてのシクロアルキル基は、炭素数が3〜12個のであることが好ましい。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基などを挙げることができる。
Mとしてのアリール基は、炭素数が5〜15であることが好ましい。このようなアリール基としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
Mとしての各基は、置換基として、シクロアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子、フェニルチオ基等を有していてもよい。Mとしてのシクロアルキル基及びアリール基は、置換基として、アルキル基を有していてもよい。これら置換基の炭素数は、15以下であることが好ましい。
Mがフェニル基である場合、置換基として、少なくとも1つのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、又はフェニルチオ基を有することが好ましい。また、この場合、置換基の炭素数の和が2〜15であることが更に好ましい。このような構成を採用すると、光酸発生剤の溶剤への溶解性が向上し、保存時におけるパーティクルの発生を更に抑制することが可能となる。
1c及びR2cの各々は、上述したように、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
このアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基は、炭素数が1〜12であることが好ましく、炭素数が1〜5であることがより好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、及び直鎖又は分岐鎖プロピル基が挙げられる。
シクロアルキル基は、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキル基であり、好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基などを挙げることができる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
1c及びR2cとしてのアリール基としては、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、フェニル基及びナフチル基を挙げることができる。
上述したように、M、R1c及びR2cのうち少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。この環としては、好ましくは3〜12員環、より好ましくは3〜10員環、更に好ましくは3〜6員環が挙げられる。この環は、炭素−炭素二重結合を備えていてもよい。
1cとR2cとが結合して環を形成する場合に、R1cとR2cとが結合して形成する基としては、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などを挙げることができる。また、R1cとR2cとが結合して形成する環は、環内に酸素原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
及びRの各々は、上述したように、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、シクロアルコキシカルボニルメチル基、アリル基、又はビニル基を表す。
アルキル基としては、例えば、先にR1c及びR2cのアルキル基として説明したのと同様のものが挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数3〜12のものが好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロデシル基が挙げられる。
2−オキソアルキル基としては、例えば、上記アルキル基の2位に>C=Oを備えた基が挙げられる。
アルコキシカルボニルメチル基のアルコキシ基部分は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシ基部分は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数が1〜5であることがより好ましい。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、及び直鎖又は分岐ペントキシ基が挙げられる。
シクロアルコキシカルボニルアルキル基のシクロアルコキシ基部分は、炭素数が3〜8であることが好ましい。このようなシクロアルコキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基が挙げられる。また、アルコキシカルボニルアルキル基におけるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜5の直鎖アルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基を挙げることができる。
上述したように、RxとRyとは、互いに結合して、環を形成していてもよい。Rx及びRyが互いに結合して形成する基としては、例えば、ブチレン基及びペンチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
アリル基としては、特に制限は無いが、無置換の単環若しくは多環のシクロアルキル基で置換されたアリル基であることが好ましい。
ビニル基としては、特に制限は無いが、無置換の単環若しくは多環のシクロアルキル基で置換されたビニル基であることが好ましい。
x及びRyの各々は、炭素数4以上のアルキル基であることが好ましく、炭素数6以上のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8以上のアルキル基であることが更に好ましい。
一般式(1−2)中のXとしては、先に一般式(1−1)において説明したのと同様のアニオンが挙げられる。
以下に、(1−2)中のカチオンの具体例を挙げる。
Figure 0005244740
Figure 0005244740
Figure 0005244740
Figure 0005244740
Figure 0005244740
Figure 0005244740
以下に、一般式(1−2)により表される化合物の好ましい具体例を挙げる。
Figure 0005244740
本発明に係る組成物は、波長が193nmの光に対する透過率が特定の範囲内にあることが好ましい。具体的には、この組成物を用いて膜厚が100nmの膜を形成した場合に、この膜の波長が193nmの光に対する透過率が、58%以上78%以下であることが好ましく、60%以上75%以下であることが更に好ましい。
なお、上記の透過率は、具体的には、以下のようにして測定する。まず、対象の組成物を、石英ガラス基板上に、スピンコートによって塗布する。その後、100℃でプリベークを行って膜厚が100nmの膜を形成する。次いで、例えばエリプソメーターEPM−222(ジェー・エー・ウーラム社製)を用いたエリプソメトリー法により、その膜の波長193nmにおける吸光度を求める。そして、この吸光度から、上記の透過率を求める。
一般式(1−1)又は(1−2)により表される光酸発生剤を用いると、上記の透過率を高く維持することが可能となる。それゆえ、こうすると、ArF光によるパターニングにおいて、良好な性能を達成することが可能となる。
一般式(1−1)又は(1−2)により表される光酸発生剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。この光酸発生剤の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜40質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1〜30質量%であることが更に好ましい。
一般式(1−1)又は(1−2)により表される光酸発生剤は、他の光酸発生剤と組み合わせて使用してもよい。この場合、他の光酸発生剤の使用量は、組成物の良好な透過率が維持される範囲内であれば特に制限はないが、一般式(1−1)又は(1−2)により表される光酸発生剤の総量に対して、一般的には25質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下とする。
なお、光酸発生剤が発生する酸のpKaは−1以下であること好ましい。こうすると、組成物の感度を更に向上させることが可能となる。
以下に、一般式(1−1)又は(1−2)により表される光酸発生剤と組み合わせて用いることができる他の光酸発生剤の例を記載する。
この他の光酸発生剤としては、例えば、下記一般式(ZI)、(ZII)及び(ZIII)により表される化合物が挙げられる。
Figure 0005244740
まず、一般式(ZI)により表される化合物について説明する。
一般式(ZI)中、R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的には1〜30であり、好ましくは1〜20である。
201、R202及びR203の有機基としては、例えば、アリール基(炭素数6〜15が好ましい)、直鎖又は分岐鎖アルキル基(炭素数1〜10が好ましい)、及びシクロアルキル基(炭素数3〜15が好ましい)が挙げられる。
201、R202及びR203のうち少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、これら全てがアリール基であることがより好ましい。
このアリール基には、フェニル基及びナフチル基等の他に、インドール残基及びピロール残基等のヘテロアリール基も含まれる。これらアリール基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、ニトロ基、フッ素原子等のハロゲン原子、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)及びアルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)が挙げられる。
201、R202及びR203から選ばれる2つが、単結合又は連結基を介して結合していてもよい。この連結基としては、例えば、アルキレン基(炭素数1〜3が好ましい)、−O−、−S−、−CO−及び−SO−が挙げられる。
201、R202及びR203の何れもがアリール基でない場合の好ましい構造としては、特開2004−233661号公報の段落0046及び0047に例示されている化合物、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046に例示されている化合物、米国特許出願公開第2003/0224288A1号明細書に式(I−1)〜(I−70)として例示されている化合物、及び米国特許出願公開第2003/0077540A1号明細書に式(IA−1)〜(IA−54)及び式(IB−1)〜(IB−24)として例示されている化合物等のカチオン構造が挙げられる。
201〜R203のうち少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。この場合、上記の環は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合及び/又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203のうち少なくとも2つが互いに結合して形成し得る基としては、例えば、ブチレン基及びペンチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
-は、非求核性アニオンを表す。Z-としては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン及びカンファースルホン酸アニオンなど)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンなど)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、並びにトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもよく、シクロアルキル基であってもよい。
前者の場合、アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、このアルキル基の炭素数は、1〜30であることが好ましい。
後者の場合、シクロアルキル基の炭素数は、3〜30であることが好ましい。
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基は、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えば、フェニル基、トリル基及びナフチル基が挙げられる。
上記のアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、ニトロ基、フッ素原子等のハロゲン原子、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、及びシクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)が挙げられる。上記のシクロアルキル基及びアリール基が有し得る置換基としては、更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基は、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基及びナフチルブチル基が挙げられる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンが挙げられる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基である。これらのアルキル基が有し得る置換基としては、ハロゲン原子、水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基及びシクロアルキルアリールオキシスルホニル基が挙げられる。この置換基としては、フッ素原子又は水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたアルキル基が特に好ましい。
その他のZとしては、例えば、PF 、BF 及びSbF が挙げられる。
-としては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、水素原子の少なくとも1つがフッ素原子又はフッ素原子を含んだ基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及びアルキル基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが特に好ましい。
好ましいZ-としては、パーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン(より好ましくは炭素数4〜8)及びフッ素原子を含んだベンゼンスルホン酸アニオンが挙げられる。更に好ましいZとしては、例えば、ノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン及び3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンが挙げられる。
次に、一般式(ZII)及び一般式(ZIII)により表されるアニオンについて説明する。
式中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。これらアリール基、アルキル基及びシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
204〜R207としてのアリール基の好ましい例としては、先に化合物(ZI−1)におけるR201〜R203について列挙したのと同様の基が挙げられる。
204〜R207としてのアルキル基及びシクロアルキル基の好ましい例としては、先に化合物(ZI−2)におけるR201〜R203について列挙した直鎖、分岐又はシクロアルキル基が挙げられる。
なお、一般式(ZII)及び(ZIII)におけるXは、一般式(ZI)におけるXと同義である。
他の光酸発生剤として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)及び(ZVI)により表される化合物が挙げられる。
Figure 0005244740
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
一般式(1−1)又は(1−2)により表される光酸発生剤と併用し得る他の光酸発生剤のうち、特に好ましい例を以下に挙げる。
Figure 0005244740
Figure 0005244740
(C)塩基性化合物
本発明に係る組成物は、下記一般式(C−I)により表される化合物、又は、前記一般式(C−I)により表される化合物の複数が連結基を介して結合された構造を有する化合物を含んでいる。なお、以下では、これら化合物を、纏めて「化合物(C)」と呼ぶことがある。
Figure 0005244740
一般式(C−I)中、
m及びnの各々は、m+n=3なる関係を満足する1以上の整数を表す。
Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又は前記連結基を表す。m=2の場合には、2つの前記Rは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
R’は、各々独立に、水素原子、アルキル基(同一の炭素原子に結合している3つのR’の全てがメチル基である場合を除く)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又は前記連結基を表す。R’のうち少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
化合物(C)は、第1級又は第2級アミノ基を少なくとも1つ含んだアミノ化合物(c)において、この第1級又は第2級アミノ基中の水素原子の2個又は1個が炭酸エステル基で置換された化合物である。なお、アミノ化合物(c)における「アミノ基」には、カルボニル基に結合したアミノ基が含まれる。
化合物(C)の分子量は、好ましくは100〜2000であり、より好ましくは150〜1000である。
Rは、上述したように、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又は連結基を表す。これら基は、置換基を更に有していてもよい。
Rとしてのアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、3−エチルペンチル基、4−プロピルヘプチル基、3,3−ジエチルペンチル基及び4,4−ジプロピルヘプチル基が挙げられる。
置換基を有するアルキル基としては、特には、アルコキシアルキル基及びシクロアルコキシアルキル基が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、2−メチルプロポキシエチル基及び1−メチルプロポキシメチル基が挙げられる。
シクロアルコキシアルキル基としては、例えば、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基及びメントキシメチル基が挙げられる。
Rとしてのシクロアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、ノルボルニル、アダマンチル、ジアマンチル、トリシクロデカニル及びテトラシクロドデカニル基が挙げられる。
Rとしてのアリール基には、ヘテロアリール基が含まれる。このアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、チオフェン基、フラン基、ピロール基及びインドール基が挙げられる。
Rとしてのアラルキル基は、例えば、炭素数1〜4のアルキル基の水素原子の少なくとも1つが上記のアリール基で置換された基である。
Rが連結基を表す場合、即ち、化合物(C)が一般式(C−I)により表される化合物の複数がRを介して結合された構造を有する化合物である場合、この連結基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基が挙げられる。この連結基は、炭素数が15以下であることが好ましい。好ましい連結基としては、例えば、アルキレン基及びシクロアルキレン基が挙げられる。これらのうち、シクロへキシレン基が特に好ましい。
2つのRが互いに結合して形成し得る基としては、例えば、ブチレン、ペンチレン及びヘキシレン基等の炭素数3〜8のアルキレン基が挙げられる。2つのRが結合してなる環構造は、置換基を有していてもよく、環中に>C=Oを含んでいてもよい。
Rにより表される各基は、上述したように、置換基を更に有していてもよい。この置換基は、炭素数が15以下であることが好ましく、例えば、フェニル基、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、トリシクロデカニル基、ノルボルニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基及びシクロドデカニル基が挙げられる。また、他の好ましい置換基として、水酸基及びシアノ基が挙げられる。水酸基又はシアノ基をRの置換基として導入することにより、膜ベリを更に抑制することが可能となる。
R’の各々は、上述したように、水素原子、アルキル基(同一の炭素原子に結合している3つのR’の全てがメチル基である場合を除く)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又は連結基を表す。これら基は、置換基を更に有していてもよい。
R’のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及び連結基としては、例えば、先にRについて説明したのと同様のものが挙げられる。
但し、同一の炭素原子に結合している3つのR’の全てがメチル基である場合は除外される。即ち、同一炭素原子に結合している3つのR’の全てがアルキル基の場合、少なくとも1つのR’は、炭素数が2以上のアルキル基であり、好ましくは炭素数が2〜6のアルキル基である。
2つ以上のR’が互いに結合して形成し得る環構造は、好ましくは、炭素数が5〜15のものであり、例えば、ペンタン、ヘキサン、ノルボルナン及びアダマンタン構造が挙げられる。
R’により表される各基は、上述したように、置換基を更に有していてもよい。この置換基は、炭素数が15以下であることが好ましく、例えば、フェニル基、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、トリシクロデカニル基、ノルボルニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基及びシクロドデカニル基が挙げられる。好ましい置換基としては、例えば、水酸基及びシアノ基が挙げられる。水酸基又はシアノ基をR’の置換基として導入することにより、膜ベリを更に抑制することが可能となる。
化合物(C)は、酸の作用により分解してアミノ化合物(c)を発生することが好ましい。化合物(C)において、エステル部位に結合する炭素原子(−C(R'))は、好ましくは2級以上の炭素原子であり、より好ましくは3級の炭素原子である。即ち、好ましくはR’の2つ以上が有機基であり、より好ましくはR’の3つが有機基である。
アミノ化合物(c)としては、例えば、下記一般式(c−1)により表される化合物、同一分子内に窒素原子を2個以上有する化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、及び含窒素複素環化合物が挙げられる。
Figure 0005244740
式(c−1)中、m’及びn’の各々は、m’+n’=3なる関係を満足する1以上の整数である。
m’個のRは、一般式(C−I)におけるRと同義である。
アミノ化合物(c)としては、例えば、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、芳香族アミン、及びモノ又はジアルコールアミンが挙げられる。
モノアルキルアミンとしては、例えば、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、イソプロピルアミン、イソアミルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、2−アミノヘプタン、3−アミノヘプタン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン1−アダマンタンメチルアミン及び1−アダマンタンアミンが挙げられる。
ジアルキルアミンとしては、例えば、N−エチルブチルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、N―メチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルオクタデシルアミン、N−メチル−1−アダマンタンアミン及び1−(1−アダマンチル)エチルアミンが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、N−メチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、1−ナフチルアミン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ジフェニルエチルアミン、ナフタレンメチルアミン、アミノジフェニルアミン、N−ベンジルエチルアミン、N−メチルフェネチルアミン及びt−ブチルアニリンが挙げられる。
モノ又はジアルコールアミンとしては、例えば、エタノールアミン及びジエタノールアミンが挙げられる。
上記の同一分子内に窒素原子を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,5−ジアミノペンタン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、4−(アミノメチル)ピペリジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、ジアミノシクロヘキサン、キシレンジアミン、4−アミノベンジルアミン及びアミノメチルシクロヘキサンが挙げられる。
上記の同一分子内に窒素原子を2個以上有する化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン及び4,4’−ジアミノジフェニルメタンがより好ましい。
上記のアミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド及びピロリドンが挙げられる。
上記のウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア及び1,3−ジフェニルウレアが挙げられる。
上記の含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−メチル−4−フェニルイミダゾール、2−メチルベンズイミダゾール及び2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類、並びに、インドール、ピロール、ピラゾール、アデニン、グアニン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンが挙げられる。
上記の含窒素複素環化合物としては、イミダゾール類がより好ましく、特には、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール及び2−フェニルベンズイミダゾールが好ましい。
上記のアミノ化合物(c−1)のうち、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン及び芳香族アミンが好ましく、特には、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、1−アダマンチルアミン、1−アダマンタンエチルアミン、N−メチル−1−アダマンタンアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、アニリン、4−メチルアニリン及びt−ブチルアニリンが好ましい。
化合物(C)は、下記一般式(c−2)により表される炭酸エステル基を備えている。一般式(c−2)中、3つのR’は、一般式(C−I)におけるR’と同義である。
Figure 0005244740
以下に、一般式(c−2)により表される炭酸エステル基の具体例を示す。
Figure 0005244740
化合物(C)は、上記のアミン化合物(c)と、一般式(c−2)により表される炭酸エステル基とを組み合わせることにより構成される化合物である。
以下に、化合物(C)の好ましい例を挙げる。
Figure 0005244740
Figure 0005244740
化合物(C)は、市販のものを用いてもよく、公知の方法により合成してもよい。後者の場合、化合物(C)は、例えば、アミノ化合物と、対応する炭酸エステルの酸無水物又は酸ハロゲン化物とを、必要に応じて塩基性条件下にて反応させることにより得られる。
化合物(C)は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
化合物(C)の含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.01〜5質量%である。この含有量を過度に少なくすると、化合物(C)を含有させることによる効果が小さくなる場合がある。この含有量を過度に多くすると、感度及び非露光部の現像性に悪影響を与える可能性がある。
本発明に係る組成物は、化合物(C)以外の塩基性化合物を更に含んでいてもよい。以下、化合物(C)と併用し得る塩基性化合物について説明する。
この塩基性化合物としては、好ましくは、下記式(A)〜(E)により表される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 0005244740
一般式(A)及び(E)中、
200、R201及びR202は、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、又はアリール基(炭素数6〜20)を表す。R201とR202とは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
203、R204、R205及びR206は、各々独立に、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。これらアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
好ましい塩基性化合物としては、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン及びピペリジンが挙げられる。更に好ましい塩基性化合物としては、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、並びに水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体が挙げられる。
イミダゾール構造を有する化合物としては、例えば、イミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール及び2−フェニルベンゾイミダゾールが挙げられる。
ジアザビシクロ構造を有する化合物としては、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン及び1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカー7−エンが挙げられる。
オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としては、例えば、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド及び2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシドが挙げられる。より具体的には、トリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド及び2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシドが挙げられる。
オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としては、例えば、アニオンとしてカルボキシレートを備えたオニウムヒドロキシド構造を有する化合物が挙げられる。このカルボキシレートとしては、例えば、アセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート及びパーフロロアルキルカルボキシレートが挙げられる。
トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、例えば、トリ(n−ブチル)アミン及びトリ(n−オクチル)アミンが挙げられる。
アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、及びN,N−ジヘキシルアニリンが挙げられる。
水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、及びトリス(メトキシエトキシエチル)アミンが挙げられる。
水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、例えば、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリンが挙げられる。
好ましい塩基性化合物として、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物が挙げられる。
これら化合物では、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合していることが好ましい。また、このアルキル基の鎖中に酸素原子が含まれ、オキシアルキレン基が形成されていることがより好ましい。このオキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上であることが好ましく、3〜9個であることがより好ましく、4〜6個であることが更に好ましい。これらオキシアルキレン基のうち、−CHCHO−、−CH(CH)CHO−又は−CHCHCHO−により表される基が特に好ましい。
これら化合物の具体例としては、例えば、US2007/0224539Aの[0066]に例示されている化合物(C1-1)〜(C3-3)が挙げられる。
塩基性化合物の合計量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.01〜5質量%である。
光酸発生剤の合計量の塩基性化合物の合計量に対するモル比は、好ましくは2.5〜300であり、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。このモル比を過度に小さくすると、感度及び/又は解像度が低下する可能性がある。このモル比を過度に大きくすると、露光と加熱(ポストベーク)との間において、パターンの太りが生ずる場合がある。
以上説明した通り、本発明に係る組成物は、一般式(1−1)又は一般式(1−2)により表される光酸発生剤と、上記の化合物(C)との双方を必須成分として含んでいる。即ち、本発明に係る組成物では、一般式(1−1)又は一般式(1−2)により表される光酸発生剤と化合物(C)とが組み合わせて用いられる。この光酸発生剤とこの化合物(C)との双方を含有させると、優れたパターン形状と優れたラフネス特性とを両立させることが可能となる。
<その他の成分>
本発明に係る組成物は、疎水性樹脂、溶剤、界面活性剤、カルボン酸オニウム塩、溶解阻止化合物、及び/又は、その他の添加剤を更に含んでいてもよい。
(疎水性樹脂)
本発明に係る組成物は、上述したように、疎水性樹脂を更に含んでいてもよい。疎水性樹脂を更に含有させると、この組成物を用いて形成した膜の表層に疎水性樹脂が偏在化し、液浸液として水を使用した場合の液浸液に対する膜の後退接触角を向上させることが可能となる。これにより、膜の液浸液追随性を向上させることができる。
疎水性樹脂は、典型的には、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含んでいる。これらフッ素原子及び/又はケイ素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、この樹脂は、フッ素原子を含んだ部分構造として、フッ素原子を含んだアルキル基、フッ素原子を含んだシクロアルキル基、又はフッ素原子を含んだアリール基を備えていることが好ましい。
フッ素原子を含んだアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐鎖アルキル基である。このアルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数が1〜4であることがより好ましい。このフッ素原子を含んだアルキル基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環式又は多環式のシクロアルキル基である。このフッ素原子を含んだシクロアルキル基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだアリール基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアリール基である。このアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。このフッ素原子を含んだアリール基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだアルキル基、フッ素原子を含んだシクロアルキル基及びフッ素原子を含んだアリール基の好ましい例として、下記一般式(F2)〜(F4)により表される基が挙げられる。
Figure 0005244740
一般式(F2)〜(F4)中、R57〜R68は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。但し、R57〜R61のうち少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R62〜R64のうち少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R65〜R68のうち少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。これらアルキル基は、炭素数が1〜4であることが好ましい。
57〜R61及びR65〜R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。
62、R63及びR68は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。なお、R62とR63とは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
一般式(F2)により表される基としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、及び3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基が挙げられる。
一般式(F3)により表される基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロブチル基、及びパーフルオロシクロヘキシル基が挙げられる。これらのうち、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基又はパーフルオロイソペンチル基がより好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基又はヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
一般式(F4)により表される基としては、例えば、−C(CF32OH、−C(C252OH、−C(CF3)(CH3)OH、及び−CH(CF3)OHが挙げられる。これらのうち、−C(CF32OHが特に好ましい。
以下に、フッ素原子を含んだ繰り返し単位の具体例を示す。
具体例中、X1は、水素原子、−CH3、−F又は−CF3を表す。X2は、−F又は−CF3を表す。
Figure 0005244740
疎水性樹脂がケイ素原子を含んでいる場合、この樹脂は、ケイ素原子を含んだ部分構造として、アルキルシリル構造又は環状シロキサン構造を備えていることが好ましい。このアリキルシリル構造は、好ましくは、トリアルキルシリル基を含んだ構造である。
アルキルシリル構造及び環状シロキサン構造の好ましい例として、下記一般式(CS−1)〜(CS−3)により表される基が挙げられる。
Figure 0005244740
一般式(CS−1)〜(CS−3)中、R12〜R26は、各々独立に、直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又はシクロアルキル基を表す。このアルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましい。このシクロアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。
3〜L5は、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、フェニレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、又はこれらの組合せが挙げられる。
nは、1〜5の整数を表す。nは、好ましくは、2〜4の整数である。
以下に、一般式(CS−1)〜(CS−3)により表される基を備えた繰り返し単位の具体例を挙げる。具体例中、X1は、水素原子、−CH3、−F又は−CF3を表す。
Figure 0005244740
疎水性樹脂は、下記(x)乃至(z)からなる群より選択される少なくとも1つの基を更に含んでいてもよい。
(x)アルカリ可溶性基
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する基
(z)酸分解性基。
(x)アルカリ可溶性基としては、例えば、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基が挙げられる。好ましいアルカリ可溶性基としては、フッ素化アルコール基、スルホンイミド基及びビス(カルボニル)メチレン基が挙げられる。好ましいフッ素化アルコール基としては、ヘキサフルオロイソプロパノール基が挙げられる。
アルカリ可溶性基を備えた繰り返し単位は、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸による繰り返し単位等の、樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位である。或いは、この繰り返し単位は、アルカリ可溶性基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合している繰り返し単位であってもよい。或いは、この繰り返し単位は、アルカリ可溶性基を備えた重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
アルカリ可溶性基を備えた繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位にを基準として、1〜50モル%であることが好ましく、3〜35モル%であることがより好ましく、5〜20モル%であることが更に好ましい。
以下に、アルカリ可溶性基を備えた繰り返し単位の具体例を示す。
Figure 0005244740
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する基としては、例えば、ラクトン構造を備えた基、酸無水物基、及び酸イミド基が挙げられる。これらのうち、ラクトン構造を備えた基が特に好ましい。
この基を含んだ繰り返し単位は、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等の、樹脂の主鎖に直接この基が結合している繰り返し単位である。或いは、この繰り返し単位は、この基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合している繰り返し単位であってもよい。或いは、この繰り返し単位は、この基を備えた重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する基を備えた繰り返し単位としては、例えば、先に(A)酸分解性樹脂の項で説明したラクトン構造を備えた繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する基を備えた繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜40モル%であることが好ましく、3〜30モル%であることがより好ましく、5〜15モル%であることが更に好ましい。
(z)酸分解性基としては、例えば、先に(A)酸分解性樹脂の項で説明したのと同様のものが挙げられる。
酸分解性基を備えた繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜80モル%であることが好ましく、10〜80モル%であることがより好ましく、20〜60モル%であることが更に好ましい。
疎水性樹脂は、下記一般式(III)により表される繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
Figure 0005244740
一般式(III)中、Rc31は、水素原子、アルキル基、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基、シアノ基又は−CH2−O−Rac2基を表す。ここで、Rac2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
c31は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
c32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はシクロアルケニル基を含んだ基を表す。これら基は、フッ素原子及び/又はケイ素原子で置換されていてもよい。
c32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基であることが好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。
アルケニル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数が3〜20であるシクロアルケニル基が好ましい。
c32は、無置換のアルキル基又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基であることが好ましい。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。この2価の連結基としては、例えば、エステル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、オキシ基、フェニレン基、及びエステル結合(−COO−により表される基)が挙げられる。
疎水性樹脂は、下記一般式(CII−AB)により表される繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
Figure 0005244740
式(CII−AB)中、
c11'及びRc12'は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。Zc’は、Rc11'及びRc12'が結合している2つの炭素原子(C−C)と共に脂環式構造を形成するために必要な原子団を表す。
以下に、一般式(III)又は(CII−AB)により表される繰り返し単位の具体例を挙げる。具体例中、Raは、H、CH、CHOH、CF又はCNを表す。
Figure 0005244740
以下に、疎水性樹脂の具体例を挙げる。また、下記表1に、各樹脂における繰り返し単位のモル比(各繰り返し単位と左から順に対応)、重量平均分子量、及び分散度を纏める。
Figure 0005244740
Figure 0005244740
Figure 0005244740
Figure 0005244740
疎水性樹脂は、少なくとも2つの極性変換基を備えた繰り返し単位を含み且つフッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含んだ樹脂であることが好ましい。疎水性樹脂としてこのような樹脂を用いると、現像欠陥を更に低減させることが可能となる。なお、上記のフッ素原子は、極性変換基における電子吸引性基としてのフッ素原子であってもよく、それ以外のフッ素原子であってもよい。
なお、ここで「極性変換基」とは、アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する基であり、例えば、後掲の一般式(KA−1)及び(KB−1)において「−COO−」により表されている部分がこれに該当する。但し、樹脂の主鎖に直接結合しているエステル基(例えば、アクリレートにおけるエステル基)は、アルカリ現像液の作用により溶解度を増大させる能力が低いため、「極性変換基」には含まれないこととする。
極性変換基は、アルカリ現像液の作用により分解し、その極性が変化する。これにより、アルカリ現像後の膜と液浸液としての水との後退接触角を更に小さくすることが可能となる。
アルカリ現像後の膜との水との後退接触角は、温度23±3℃及び湿度45±5%の条件下で50°以下であることが好ましく、40°以下であることがより好ましく、35°以下であることが更に好ましく、30°以下であることが最も好ましい。
なお、後退接触角とは、液滴−基板界面での接触線が後退する際に測定される接触角であり、動的な状態での液滴の移動しやすさをシミュレートする際に有用であることが一般に知られている。簡易的には、針先端から吐出した液滴を基板上に着滴させた後、その液滴を再び針へと吸い込んだ際に、液滴の界面が後退するときの接触角として定義できる。この後退接触角は、拡張収縮法と呼ばれる方法を用いて測定することができる。
疎水性樹脂が少なくとも2つの極性変換基を備えた繰り返し単位を含み且つフッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含んだ樹脂である場合、この樹脂は、1つの側鎖上に、少なくとも2つの極性変換基とフッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方との双方を備えた繰り返し単位を含んでいることが好ましい。即ち、この疎水性樹脂は、複数の極性変換基を備えた側鎖上にフッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含有した繰り返し単位を含んでいることが好ましい。
或いは、この場合、疎水性樹脂は、少なくとも2つの極性変換基を備え且つフッ素原子及びケイ素原子を含有していない繰り返し単位と、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含有している繰り返し単位とを含んでいてもよい。
或いは、この場合、疎水性樹脂は、1つの側鎖上に少なくとも2つの極性変換基を備え、且つ、同一繰り返し単位内の他の側鎖上にフッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含有した繰り返し単位を含んでいてもよい。この場合、極性変換基を備えた側鎖とフッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含有した側鎖とは、主鎖の炭素原子を介してα位の位置関係にあることが好ましい。即ち、これら側鎖が、下記式(4)に示す位置関係にあることが好ましい。式中、B1は極性変換基を備えた側鎖を表し、B2はフッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含有した側鎖を表す。
Figure 0005244740
上記の極性変換基を含んだ側鎖は、下記一般式(KA−1)又は(KB−1)により表される部分構造を含んでいることが好ましく、下記一般式(KA−1)により表される部分構造を含んでいることがより好ましい。
Figure 0005244740
一般式(KA−1)中、
ka1は、nka≧2の場合には各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシ基、アミド基、アリール基、ラクトン環基、又は電子吸引性基を表す。nka≧2の場合、複数のZka1が互いに結合して、環を形成していてもよい。この環としては、例えば、シクロアルキル環、並びに、環状エーテル環及びラクトン環等のヘテロ環が挙げられる。
nkaは0〜10の整数を表す。nkaは、好ましくは0〜8であり、より好ましくは0〜5であり、さらに好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1〜3である。
なお、一般式(KA−1)により表される構造は、この構造中に含まれる少なくとも1つの水素原子を除いてなる1価以上の置換基を表す。
一般式(KB−1)中、Xkb1及びXkb2は、各々独立して、電子吸引性基を表す。
nkb及びnkb’は、各々独立して、0又は1を表す。なお、nkb=nkb’=0の場合、Xkb1及びXkb2は、エステル基(−COO−)と直結している。
kb1〜Rkb4は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は電子吸引性基を表す。Rkb1、Rkb2及びXkb1の少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。また、Rkb3、Rkb4及びXkb2の少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
kb3、Rkb4及びXkb2の少なくとも2つが互いに結合して形成し得る環としては、好ましくは、シクロアルキル基及びヘテロ環基が挙げられる。このヘテロ環基としては、ラクトン環基が特に好ましい。このラクトン環としては、例えば、後掲の式(KA−1−1)〜(KA−1−17)により表されるものが挙げられる。
なお、Xkb1及びXkb2の双方が1価の置換基である場合、一般式(KB−1)により表される構造は、この構造中に含まれる少なくとも1つの水素原子を除いてなる1価以上の置換基を表す。
一般式(KB−1)により表される部分構造では、電子吸引性基がエステル基に近接して存在している。それゆえ、この部分構造は、優れた極性変換能を発揮し得る。
ka1は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシ基又は電子吸引性基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又は電子吸引性基である。なお、エーテル基としては、アルキルエーテル基又はシクロアルキルエーテル基が好ましい。
ka1のアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。
直鎖アルキル基は、炭素数が1〜30であることが好ましく、炭素数が1〜20であることがより好ましい。このような直鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デカニル基が挙げられる。
分岐鎖アルキル基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、炭素数が3〜20であることがより好ましい。このような分岐鎖アルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、i−ヘプチル基、t−ヘプチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、i−ノニル基及びt−デカノイル基が挙げられる。
ka1のアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基及びt−ブチル基等の炭素数が1〜4のものであることが好ましい。
ka1のシクロアルキル基は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。後者の場合、シクロアルキル基は、有橋式であってもよい。即ち、この場合、シクロアルキル基は、橋かけ構造を有していてもよい。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
単環型のシクロアルキル基としては、炭素数が3〜8のものが好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基が挙げられる。
多環型のシクロアルキル基としては、例えば、炭素数が5以上のビシクロ、トリシクロ又はテトラシクロ構造を備えた基が挙げられる。この多環型のシクロアルキル基は、炭素数が6〜20であることが好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基及びアンドロスタニル基が挙げられる。
これらシクロアルキル基としては、例えば、下式により表されるものが挙げられる。
Figure 0005244740
上記の脂環構造のうち好ましいものとしては、例えば、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基及びシクロドデカニル基が挙げられる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基及びトリシクロデカニル基が挙げられる。
これら脂環構造は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。
置換基としてのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基及びブチル基等の低級アルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基であることが更に好ましい。
置換基としてのアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基等の炭素数が1〜4のものが挙げられる。
これら置換基としてのアルキル基及びアルコキシ基は、更なる置換基を有していてもよい。この更なる置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子及びアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)が挙げられる。
ka1のアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
ka1のアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基が更に有し得る置換基としては、例えば、水酸基;ハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;上記のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びt−ブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ベンジル基、フェネチル基及びクミル基等のアラルキル基;アラルキルオキシ基;ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ベンゾイル基、シアナミル基及びバレリル基等のアシル基;ブチリルオキシ基等のアシロキシ基;アルケニル基;ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、アリルオキシ基及びブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;上記のアリール基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;並びに、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基が挙げられる。
ka1、Xkb1及びXkb2の電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、オキシ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、ニトリル基、ニトロ基、スルホニル基、スルフィニル基、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3により表されるハロ(シクロ)アルキル基、ハロアリール基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。なお、「ハロ(シクロ)アルキル基」とは、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された(シクロ)アルキル基を意味している。
ka1のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、フッ素原子が特に好ましい。
−C(Rf1)(Rf2)−Rf3により表されるハロ(シクロ)アルキル基において、Rf1は、ハロゲン原子、パーハロアルキル基、パーシクロハロアルキル基、又はパーハロアリール基を表す。このRf1は、フッ素原子、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロシクロアルキル基であることがより好ましく、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であることが更に好ましい。
−C(Rf1)(Rf2)−Rf3により表されるハロ(シクロ)アルキル基において、Rf2及びRf3は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は有機基を表す。この有機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基及びアルコキシ基が挙げられる。これら基は、ハロゲン原子等の置換基を更に有していてもよい。
Rf1〜Rf3のうち少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。この環としては、例えば、シクロアルキル環、ハロシクロアルキル環、アリール環、及びハロアリール環が挙げられる。
Rf1〜Rf3のアルキル基及びハロアルキル基としては、例えば、先にZka1について説明したアルキル基、及び、これらアルキル基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子により置換された基が挙げられる。
上記のハロシクロアルキル基及びハロアリール基としては、例えば、先にZka1について説明したシクロアルキル基及びアリール基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子により置換された基が挙げられる。このハロシクロアルキル基及びハロアリール基としては、より好ましくは、−C(n)F(2n-2)Hにより表されるフルオロアルキル基、及び、−C(n)F(2n-1)により表されるパーフルオロアリール基が挙げられる。ここで、炭素数nの範囲に特に制限はないが、n=5〜13であることが好ましく、n=6であることが特に好ましい。
Rf2は、Rf1と同一の基であるか、又は、Rf3と結合して環を形成していることがより好ましい。
上記の電子吸引性基は、ハロゲン原子、ハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基であることが特に好ましい。上記の電子吸引性基は、フッ素原子の一部がフッ素原子以外の電子吸引性基で置換されていてもよい。
なお、電子吸引性基が2価以上の基である場合、残りの結合手は、任意の原子又は置換基との結合に供される。この場合、上記の部分構造は、更なる置換基を介して疎水性樹脂の主鎖に結合していてもよい。
一般式(KA−1)により表される部分構造は、ラクトン構造である。このラクトン構造は、5〜7員環構造であることが好ましく、5〜7員環のラクトン構造にビシクロ構造又はスピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが更に好ましい。
一般式(KA−1)におけるラクトン構造としては、下記(KA−1−1)〜(KA−1−17)の何れかにより表されるラクトン構造がより好ましい。これらのうち、(KA−1−1)、(KA−1−4)、(KA−1−5)、(KA−1−6)、(KA−1−13)、(KA−1−14)又は(KA−1−17)により表される構造が特に好ましい。
Figure 0005244740
これらラクトン構造は、置換基を更に有していてもよい。好ましい置換基としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、及び酸分解性基が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基又は酸分解性基がより好ましい。置換基が複数存在する場合は、これらは互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
なお、ラクトン構造には、通常は光学異性体が存在するが、何れの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度が90%ee以上のものが好ましく、95%ee以上のものがより好ましく、98%ee以上のものが更に好ましい。
疎水性樹脂は、2つの極性変換基を備えた部分構造として、下記一般式(KY−1)により表される構造を有していることがより好ましい。なお、一般式(KY−1)により表される構造は、この構造に含まれる少なくとも1つの水素原子を除いてなる1価以上の置換基を表す。
Figure 0005244740
一般式(KY−1)中、Rky1及びRky4は、各々独立して、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミド基、又はアリール基を表す。或いは、Rky1とRky4との双方が同一の原子と結合して、二重結合を形成していてもよい。例えば、Rky1とRky4との双方が同一の酸素原子と結合して、カルボニル基の一部(=O)を形成していてもよい。
ky2及びRky3は、各々独立して、電子吸引性基を表す。或いは、Rky1とRky2とが互いに結合してラクトン環を形成しており且つRky3が電子吸引性基であってもよい。
ラクトン環としては、先に挙げた(KA−1−1)〜(KA−1−17)の構造が好ましい。電子吸引性基としては、上記一般式(KB−1)におけるXkb1と同様のものが挙げられる。この電子吸引性基は、好ましくは、ハロゲン原子、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3により表されるハロ(シクロ)アルキル基、又はハロアリール基である。
ky1、Rky2及びRky4のうちの少なくとも2つは、互いに結合して、単環又は多環式構造を形成していてもよい。Rkb1〜Rkb4、nkb及びnkb’は、先に式(KB−1)について説明したのと同義である。Rky1及びRky4としては、例えば、上記一般式(KA−1)におけるZka1と同様の基が挙げられる。
一般式(KY−1)により表される部分構造は、下記一般式(KY−2)により表される構造であることがより好ましい。なお、一般式(KY−2)により表される構造は、この構造に含まれる少なくとも1つの水素原子を除いてなる1価以上の置換基を表す。
Figure 0005244740
式(KY−2)中、Rky6〜Rky10は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミド基、又はアリール基を表す。Rky6〜Rky10のうち少なくとも2つが互いに結合して、環を形成していてもよい。
ky5は、電子吸引性基を表す。電子吸引性基としては、上記一般式(KB−1)におけるXkb1と同様のものが挙げられる。この電子吸引性基は、好ましくは、ハロゲン原子、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3により表されるハロ(シクロ)アルキル基、又はハロアリール基である。
kb1、Rkb2及びnkbの各々は、上記一般式(KB−1)におけるものと同義である。Rky5〜Rky10としては、例えば、上記一般式(KA−1)におけるZka1と同様の基が挙げられる。
一般式(KY−2)により表される構造は、下記一般式(KY−3)により表される構造であることがより好ましい。
Figure 0005244740
式(KY−3)中、Zka1及びnkaの各々は、上記一般式(KA−1)におけるものと同義である。Rky5は、上記一般式(KY−2)におけるものと同義である。Rkb1、Rkb2及びnkbの各々は、上記一般式(KB−1)におけるものと同義である。
kyは、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。Lkyのアルキレン基としては、例えば、メチレン基及びエチレン基が挙げられる。Lkyは、酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることがより好ましい。
Rsは、ns≧2の場合には各々独立に、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。ns≧2の場合、複数のRsは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Lsは、ns≧2の場合には各々独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。ns≧2の場合、複数のLsは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
nsは、−(Rs−Ls)−により表される連結基の繰り返し数であり、0〜5の整数を表す。
疎水性樹脂は、下記一般式(K0)により表される繰り返し単位を含んでいることが好ましい。
Figure 0005244740
式(K0)中、Rk1は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を表す。Rk2は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を表す。但し、Rk1及びRk2に含まれる極性変換基の総数は2以上である。
なお、上述したように、一般式(K0)により表される繰り返し単位の主鎖に直接結合しているエステル基は、極性変換基には含まれないこととする。
疎水性樹脂に含まれる繰り返し単位は、付加重合、縮合重合及び付加縮合等の重合により得られる繰り返し単位であれば限定されるものではないが、炭素−炭素2重結合の付加重合により得られる繰り返し単位であることが好ましい。
このような繰り返し単位としては、例えば、アクリレート系繰り返し単位(α位及び/又はβ位に置換基を有する系統も含む)、スチレン系繰り返し単位(α位及び/又はβ位に置換基を有する系統も含む)、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位、並びにマレイン酸誘導体(マレイン酸無水物、その誘導体及びマレイミド等)の繰り返し単位が挙げられる。これらのうち、アクリレート系繰り返し単位、スチレン系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、又はノルボルネン系繰り返し単位がより好ましく、アクリレート系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、又はノルボルネン系繰り返し単位が更に好ましく、アクリレート系繰り返し単位が特に好ましい。
以下に、少なくとも2つの極性変換基を備えた繰り返し単位の具体例を挙げる。具体例中、Raは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
Figure 0005244740
少なくとも2つの極性変換基を備えた繰り返し単位を含んだ樹脂は、他の繰り返し単位を更に含んでいてもよい。この他の繰り返し単位としては、例えば、疎水性樹脂が含み得る繰り返し単位として先に説明したものが挙げられる。
少なくとも2つの極性変換基を備えた繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位を基準として、好ましくは10〜100モル%であり、より好ましくは20〜100モル%であり、更に好ましくは30〜100モル%であり、特に好ましくは40〜100モル%である。
疎水性樹脂が、1つの側鎖上に少なくとも2つの極性変換基とフッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方との双方を備えた繰り返し単位を含んでいる場合、この繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位を基準として、好ましくは10〜100モル%であり、より好ましくは20〜100モル%であり、更に好ましくは30〜100モル%であり、特に好ましくは40〜100モル%である。
疎水性樹脂が、少なくとも2つの極性変換基を備え且つフッ素原子及びケイ素原子を含有していない繰り返し単位と、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含有している繰り返し単位との双方を含んでいる場合、これらの好ましい含有量は、以下の通りである。即ち、前者の含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位を基準として、好ましくは10〜90モル%であり、より好ましくは15〜85モル%であり、更に好ましくは20〜80モル%であり、特に好ましくは25〜75モル%である。また、後者の含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位を基準として、好ましくは10〜90モル%であり、より好ましくは15〜85モル%であり、更に好ましくは20〜80モル%であり、特に好ましくは25〜75モル%である。
疎水性樹脂が、1つの側鎖上に少なくとも2つの極性変換基を備え、且つ、同一繰り返し単位内の他の側鎖上にフッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含有した繰り返し単位を含んでいる場合、この繰り返し単位の含有量は、好ましくは10〜100モル%であり、より好ましくは20〜100モル%であり、更に好ましくは30〜100モル%であり、特に好ましくは40〜100モル%である。
以下に、少なくとも2つの極性変換基を備えた繰り返し単位を含み且つフッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含んだ樹脂の具体例を挙げる。また、下記表2に、各樹脂における繰り返し単位のモル比(各繰り返し単位と左から順に対応)、重量平均分子量、及び分散度を纏める。
Figure 0005244740
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疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子の含有量は、疎水性樹脂の分子量を基準として、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含んだ繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位を基準として、10〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。
疎水性樹脂がケイ素原子を含んでいる場合、ケイ素原子の含有量は、疎水性樹脂の分子量を基準として、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、ケイ素原子を含んだ繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位を基準として、10〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましい。
疎水性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000であり、より好ましくは1,000〜50,000であり、更に好ましくは2,000〜15,000である。
疎水性樹脂の分散度は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1〜2であることが更に好ましい。こうすると、より優れた解像度、パターン形状及びラフネス特性を達成することが可能となる。
疎水性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
疎水性樹脂の含有量は、組成物中の全固形分を基準として、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜8質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることが更に好ましい。
疎水性樹脂のアルカリ現像液に対する加水分解速度は、0.001nm/秒以上であることが好ましく、0.01nm/秒以上であることがより好ましく、0.1nm/秒以上であることが更に好ましく、1nm/秒以上であることが特に好ましい。なお、疎水性樹脂のアルカリ現像液に対する加水分解速度は、23℃の2.38質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)水溶液に対して、疎水性樹脂のみで樹脂膜を製膜した際の膜厚が減少する速度である。
疎水性樹脂としては、市販品を使用してもよく、常法に従って合成したものを使用してもよい。この樹脂の一般的な合成方法としては、例えば、先に酸分解性樹脂について説明したのと同様の方法が挙げられる。
疎水性樹脂は、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、単量体及びオリゴマー成分の残存量が0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましく、0〜1質量%であることが更に好ましい。これにより、液中異物の量を減少させ、感度等の経時変化を低減することが可能となる。
(溶剤)
本発明に係る組成物は、溶剤を更に含んでいてもよい。
この溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を含んでいてもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルが挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル及び3−メトキシプロピオン酸エチルが挙げられる。
環状ラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−オクタノイックラクトン及びα−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンが挙げられる。
環を含んでいてもよいモノケトン化合物としては、例えば、2−ブタノン、3−メチルブタノン、ピナコロン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、5−メチル−3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、、4−デカノン、5−ヘキセン−2−オン、3−ペンテン−2−オン、シクロペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2,2−ジメチルシクロペンタノン、2,4,4−トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2,2−ジメチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,2,6−トリメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2−メチルシクロヘプタノン及び3−メチルシクロヘプタノンが挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート、及びブチレンカーボネートが挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−3−メトキシ−3−メチルブチル、及び酢酸−1−メトキシ−2−プロピルが挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル及びピルビン酸プロピルが挙げられる。
溶剤としては、常温常圧下における沸点が130℃以上であるものを用いることが好ましい。具体的には、例えば、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、PGMEA、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル及びプロピレンカーボネートが挙げられる。
これら溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。後者の場合、水酸基を含んだ溶剤と水酸基を含んでいない溶剤との混合溶剤を使用することが好ましい。
水酸基を含んだ溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテル及び乳酸アルキルが挙げられる。これらのうち、プロピレングリコールモノメチルエーテル又は乳酸エチルがより好ましい。
水酸基を含んでいない溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有していてもよいモノケトン化合物、環状ラクトン及び酢酸アルキルが好ましい。これらのうち、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン又は酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート又は2−ヘプタノンが特に好ましい。
水酸基を含んだ溶剤と水酸基を含んでいない溶剤との混合溶剤を使用する場合、これらの質量比は、好ましくは1/99〜99/1とし、より好ましくは10/90〜90/10とし、更に好ましくは20/80〜60/40とする。
なお、水酸基を含んでいない溶剤を50質量%以上含んだ混合溶剤を用いると、特に優れた塗布均一性を達成し得る。また、溶剤は、PGMEAと他の1種以上の溶剤との混合溶剤であることが特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと他の少なくとも1種類の溶剤との混合溶剤であることが好ましい。
(界面活性剤)
本発明に係る組成物は、界面活性剤を更に含んでいてもよい。界面活性剤を含有することにより、波長が250nm以下、特には220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥のより少ないパターンを形成することが可能となる。
界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることが特に好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。また、エフトップEF301若しくはEF303(新秋田化成(株)製);フロラードFC430、431若しくは4430(住友スリーエム(株)製);メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120若しくはR08(大日本インキ化学工業(株)製);サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105若しくは106(旭硝子(株)製);トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製);GF−300若しくはGF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製);エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802若しくはEF601((株)ジェムコ製);PF636、PF656、PF6320若しくはPF6520(OMNOVA社製);又は、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D若しくは222D((株)ネオス製)を用いてもよい。なお、ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)も、シリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤は、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物を用いて合成してもよい。具体的には、このフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を備えた重合体を、界面活性剤として用いてもよい。このフルオロ脂肪族化合物は、例えば、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することができる。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
ポリ(オキシアルキレン)基としては、例えば、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基及びポリ(オキシブチレン)基が挙げられる。また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)及びポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)等の、同じ鎖内に異なる鎖長のアルキレンを有するユニットであってもよい。
さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体は、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマー及び異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレート等を同時に共重合してなる3元系以上の共重合体であってもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476及びF−472(大日本インキ化学工業(株)製)が挙げられる。さらに、C613基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、C613基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシエチレン))アクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、C817基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、及び、C817基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシエチレン))アクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0280]に記載されているフッ素系及び/又はシリコン系以外の界面活性剤を使用してもよい。
これら界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る組成物が界面活性剤を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0〜2質量%、より好ましくは0.0001〜2質量%、更に好ましくは0.0005〜1質量%である。
(カルボン酸オニウム塩)
本発明に係る組成物は、カルボン酸オニウム塩を更に含んでいてもよい。カルボン酸オニウム塩を含有させると、波長が220nm以下の光に対する透明性が確保され、感度及び解像力が更に向上し、疎密依存性及び露光マージンが更に改良される。
カルボン酸オニウム塩としては、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩が好ましい。そのアニオンとしては、例えば、炭素数1〜30の直鎖若しくは分岐鎖アルキル又は単環式若しくは多環式シクロアルキルカルボン酸アニオンを用いることが好ましい。特には、これらアルキル基又はシクロアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたカルボン酸アニオン(以下、フッ素置換カルボン酸アニオンともいう)が好ましい。なお、アルキル又はシクロアルキル鎖中に、酸素原子を含んでいてもよい。
フッ素置換カルボン酸アニオンとしては、例えば、フロロ酢酸、ジフロロ酢酸、トリフロロ酢酸、ペンタフロロプロピオン酸、ヘプタフロロ酪酸、ノナフロロペンタン酸、パーフロロドデカン酸、パーフロロトリデカン酸、パーフロロシクロヘキサンカルボン酸、及び2,2−ビストリフロロメチルプロピオン酸のアニオンが挙げられる。
本発明に係る組成物がカルボン酸オニウム塩を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、一般的には0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%であり、より好ましくは1〜7質量%である。
(溶解阻止化合物)
本発明に係る組成物は、溶解阻止化合物を更に含んでいてもよい。ここで「溶解阻止化合物」とは、酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の化合物である。
この溶解阻止化合物としては、波長が220nm以下の光に対する透過性を低下させないため、Proceeding of SPIE, 2724, 355 (1996) に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体等の、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。この酸分解性基及び脂環構造としては、例えば、先に説明したのと同様のものが挙げられる。
なお、本発明に係る組成物をKrFエキシマレーザーで露光するか又は電子線で照射する場合には、溶解阻止化合物としては、フェノール化合物のフェノール性水酸基を酸分解基で置換した構造を含んだ化合物が好ましい。フェノール化合物としては、フェノール骨格を1〜9個含有するものが好ましく、2〜6個含有するものが更に好ましい。
本発明に係る組成物が溶解阻止化合物を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
以下に、溶解阻止化合物の具体例を挙げる。
Figure 0005244740
(その他の添加剤)
本発明に係る組成物は、必要に応じて、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、及び/又は現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、又はカルボキシ基を含んだ脂環族若しくは脂肪族化合物)を更に含んでいてもよい。
分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号、特開平2−28531号、米国特許第4,916,210号、及び欧州特許第219294等に記載の方法を参考にして、容易に合成することができる。
カルボキシ基を含んだ脂環族若しくは脂肪族化合物としては、例えば、コール酸、デオキシコール酸及びリトコール酸等のステロイド構造を含んだカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
<パターン形成方法>
本発明に係る組成物を用いて膜を形成する場合、この膜の膜厚は、30〜250nmであることが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。こうすると、解像度を更に向上させることが可能となる。このような膜厚を有した膜は、組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定することにより粘度を調節し、塗布性及び製膜性を向上させることによって形成可能である。
組成物中の全固形分濃度は、一般的には1〜10質量%であり、好ましくは1〜8.0質量%であり、更に好ましくは1.0〜6.0質量%である。
本発明に係る組成物は、典型的には、以下のようにして用いる。即ち、上記の各成分を、所定の溶剤(好ましくは上記の混合溶剤)に溶解させ、得られた溶液をフィルター濾過した後、所定の支持体上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは、0.1μm以下であり、より好ましくは0.05μm以下であり、更に好ましくは0.03μm以下である。このフィルターは、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製又はナイロン製であることが好ましい。
この組成物は、例えば、精密集積回路素子の製造等に使用される基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆、窒化シリコン及びクロム蒸着された石英基板など)上に、スピナー及びコーター等を用いて塗布される。その後、これを乾燥させて、感活性光線性又は感放射線性の膜(以下、感光性膜ともいう)を形成する。なお、公知の反射防止膜を予め塗設することもできる。
次いで、上記の感光性膜に活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(加熱)を行った後、現像する。ベークを行うことにより、更に良好なパターンを得ることが可能となる。
活性光線又は放射線としては、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外(EUV)光、X線及び電子線が挙げられる。これらのうち、波長が好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下、特に好ましくは1〜200nmである遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、EUV光(13nm)、X線又は電子ビームが好ましい。特には、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV光、又は電子ビームが好ましい。
上記の反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
本発明に係る組成物を用いて形成した膜に対しては、液浸露光を行ってもよい。即ち、膜とレンズの間に空気よりも屈折率の高い液体を満たした状態で、活性光線又は放射線の照射を行ってもよい。これにより、解像性を更に高めることが可能となる。
液浸露光する際に使用する液浸液について、以下に説明する。
液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつレジスト膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましい。特に、露光光源がArFエキシマレーザー(波長;193nm)である場合には、上述の観点に加えて、入手の容易さ及び取り扱いのし易さといった点から、水を用いるのが好ましい。
また、更なる短波長化を図るべく、屈折率1.5以上の媒体を用いることもできる。この媒体は、水溶液であってもよく、有機溶剤であってもよい。
液浸液として水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させるために、ウェハ上のレジスト層を溶解させず、且つレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できる添加剤(液体)を僅かな割合で添加してもよい。
その添加剤としては、水とほぼ等しい屈折率を有する脂肪族系のアルコールが好ましく、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール及びイソプロピルアルコール等が挙げられる。水とほぼ等しい屈折率を有するアルコールを添加することにより、水中のアルコール成分が蒸発して含有濃度が変化しても、液体全体としての屈折率変化を極めて小さくできる。一方で、193nm光に対して不透明な物質や屈折率が水と大きく異なる不純物が混入した場合、レジスト上に投影される光学像の歪みを招くため、使用する水としては、蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等を通して濾過を行った純水を用いてもよい。
液浸液として用いる水の電気抵抗は、18.3MQcm以上であることが望ましく、TOC(有機物濃度)は20ppb以下であることが望ましく、脱気処理がされていることが望ましい。
また、液浸液の屈折率を高めることにより、リソグラフィー性能を高めることが可能である。このような観点から、屈折率を向上させるための添加剤を水に加えてもよく、水の代わりに重水(DO)を用いてもよい。
レジスト膜と液浸液との間には、レジスト膜と液浸液との接触を避けるために、液浸液難溶性膜(以下、「トップコート」ともいう)を設けてもよい。トップコートに必要な機能としては、レジスト層上への塗布適正、放射線、特には193nmの波長を有した放射線に対する透明性、及び液浸液難溶性が挙げられる。トップコートとしては、レジストと混合せず、レジスト層上に均一に塗布できるものを用いることが好ましい。
トップコートは、193nmにおける透明性という観点からは、芳香族を含有しないポリマーが好ましい。このようなポリマーとしては、例えば、炭化水素ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、シリコン含有ポリマー及びフッ素含有ポリマーが挙げられる。上述した疎水性樹脂は、トップコートとしても好適なものである。トップコートから液浸液へ不純物が溶出すると光学レンズを汚染されるため、トップコートに含まれるポリマーの残留モノマー成分は、少ない方が好ましい。
トップコートを剥離する際は、現像液を使用してもよいし、別途剥離剤を使用してもよい。剥離剤としては、レジストへの浸透が小さい溶剤が好ましい。剥離工程がレジストの現像処理工程と同時にできるという点では、アルカリ現像液により剥離できることが好ましい。アルカリ現像液で剥離するという観点からは、トップコートは酸性であることが好ましいが、レジストとの非インターミクス性の観点から、中性であってもアルカリ性であってもよい。
トップコートと液浸液との間には、屈折率の差がないか又は小さいことが好ましい。この場合、解像力を向上させることが可能となる。露光光源がArFエキシマレーザー(波長:193nm)の場合には、液浸液として水を用いることが好ましいため、ArF液浸露光用トップコートは、水の屈折率(1.44)に近いことが好ましい。
また、透明性及び屈折率の観点から、トップコートは、薄膜であることが好ましい。トップコートは、レジスト膜と混合せず、さらに液浸液とも混合しないことが好ましい。この観点から、液浸液が水の場合には、トップコートに使用される溶剤は、本発明の組成物に使用される溶媒に難溶で、かつ非水溶性の媒体であることが好ましい。また、液浸液が有機溶剤である場合には、トップコートは水溶性であっても非水溶性であってもよい。
現像工程におけるアルカリ現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩の水溶液が用いられるが、無機アルカリ、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アルコールアミン及び環状アミン等の他のアルカリ水溶液も使用可能である。アルカリ現像液には、適当量のアルコール類及び/又は界面活性剤を添加してもよい。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常は0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常は10.0〜15.0である。
リンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。また、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
本発明の態様を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例に限定されるものではない。
<酸分解性樹脂>
以下に、酸分解性樹脂の合成に使用したモノマーを挙げる。
Figure 0005244740
Figure 0005244740
〔合成例1:樹脂(A−1)〕
窒素気流下、8.8gのシクロヘキサノンを3つ口フラスコに入れ、これを80℃に加熱した。これに、8.5gの(LM-1)と、2.2gの(IM-1)と、9.0gの(PM-4)と、モノマーの合計量に対し13モル%の重合開始剤V−60(和光純薬工業(株)製)とを79gのシクロヘキサノンに溶解させた溶液を、6時間かけて滴下した。滴下終了後、更に80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後、900mLのメタノールと100mlの水との混合液に20分かけて滴下し、析出した粉体をろ取及び乾燥して、18gの樹脂(A−1)を得た。得られた樹脂の組成比は40/10/50であり、GPCによる重量平均分子量のポリスチレン換算値は8200であり、分散度(Mw/Mn)は1.53であった。
〔合成例2〜20:樹脂(A−2)〜(A−20)〕
使用したモノマーの種類及び量を変更したことを除いては、合成例1と同様にして、樹脂(A−2)〜(A−20)を合成した。
以下に、樹脂(A−1)〜(A−20)の構造を示す。
Figure 0005244740
Figure 0005244740
Figure 0005244740
下記表3に、樹脂(A−1)〜(A−20)について、合成に使用したモノマー、各繰り返し単位の組成比、重量平均分子量及び分散度を纏める。なお、繰り返し単位の組成比は、各モノマーに対応した繰り返し単位のモル比であり、表中におけるモノマーの記載順に対応している。
Figure 0005244740
<光酸発生剤>
光酸発生剤は、先に挙げた化合物(b1)〜(b34)、(z1)〜(z70)、並びに下記(d1)及び(d2)から適宜選択した。
Figure 0005244740
〔合成例21:化合物d1〕
化合物d1を、以下のルートに従って合成した。
Figure 0005244740
(化合物1の合成)
20gのブロモメチルシクロヘキサンと12.5gの1−ナフトールとを、三口フラスコ中で300gのNMPに溶解させた。その後、得られた溶液に、12gの炭酸カリウムと14gのヨウ化カリウムとを加え、120℃で8時間加熱した。反応液に300gの水を加え、100gのヘキサンを用いた抽出を3回行った。得られた有機層を合わせて、100gの1N水酸化ナトリウム水溶液で1回、100gの水で1回、及び100gのBrineで1回洗浄した後、濃縮した。このようにして、13gの化合物1を得た。
(化合物2の合成)
化合物2は、特開2005−266799号公報に記載されている方法を参考にして合成した。
(化合物d1の合成)
13.1gの化合物1を、三口フラスコ中で65gのEaton試薬に溶解させた。その後、攪拌しながら5.7gのテトラメチレンスルホキシドを滴下し、さらに3時間攪拌を行った。反応液を、240gの水に注いだ後、25gの化合物2と、50gのクロロホルムとを添加した。
有機層を分離した後、水層から50gのクロロホルムを用いて2回抽出を行った。得られた有機層を合わせ、水洗を2回行った後、濃縮した。得られた粗生成物を、20gの酢酸エチルを用いて再結晶させた。このようにして、22gの化合物d1を得た。
〔合成例22:化合物d2〕
化合物d1について説明したのと同様にして、化合物d2を合成した。
<塩基性化合物>
塩基性化合物は、先に挙げた(C−1)〜(C−61)から適宜選択した。なお、対照化合物として、下記化合物(C−100)を用いた。また、下記N−1〜N−8を適宜併用した。
Figure 0005244740
N−1:N,N−ジブチルアニリン
N−2:N,N−ジヘキシルアニリン
N−3:2,6−ジイソプロピルアニリン
N−4:トリ−n−オクチルアミン
N−5:N,N−ジヒドロキシエチルアニリン
N−6:2,4,5−トリフェニルイミダゾール
N−7:トリス(メトキシエトキシエチル)アミン
N−8:2−[2−{2−(2,2−ジメトキシ−フェノキシエトキシ)エチル}−ビス−(2−メトキシエチル)]−アミン。
〔合成例23:化合物(C−24)〕
3.0gのフェネチルアミンとトリエチルアミンとを30mLのテトラヒドロフランに溶解させ、氷冷下にて、9.0gの二炭酸−t−アミルをゆっくり加えた。混合液を室温まで昇温させ、6時間反応させた。反応液に100mLの蒸留水を加え、これを100mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を、飽和重曹水及び蒸留水を用いて洗浄し、乾燥及び濃縮させて、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3.2gの化合物(C-24)を得た。
H−NMR:0.92(t、6H)、1.47(s、12H)、1.82(q、4H)、2.82(m、2H)、3.76(m、2H)、6.75(m、5H)
なお、実施例において使用した他の化合物についても、同様の方法により合成した。
<疎水性樹脂>
疎水性樹脂は、先に挙げた(HR−1)〜(HR−65)及び(K−1)〜(K−238)から適宜選択した。
〔合成例24:樹脂(K−7)〕
下記繰り返し単位に対応するモノマーを90/10の割合(モル比)で仕込み、PGMEAに溶解させ、固形分濃度15質量%の溶液を450g調製した。この溶液に、1モル%の和光純薬製重合開始剤V−60を加えた。これを、窒素雰囲気下、6時間かけて、100℃に加熱した50gのPGMEAに滴下した。滴下終了後、反応液を2時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、5Lのメタノールを用いて固体を析出させた。得られた白色粉体をろ取し、目的物である樹脂(K−7)を回収した。
NMRから求めた各繰り返し単位の組成比は、90/10であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は8000であり、分散度は1.40であった。
Figure 0005244740
上記合成例24における方法と同様にして、前掲の樹脂(K−1)〜(K−6)及び(K−8)〜(K−238)を合成した。これら樹脂は、前掲の表2に示す組成比、重量平均分子量及び分散度を有していた。
<界面活性剤及び溶剤>
界面活性剤としては、以下のものを用いた。
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製;フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製;フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製;シリコン系)
W−4:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製;フッ素系)
W−5:PF656(OMNOVA社製;フッ素系)
W−6:PF6320(OMNOVA社製;フッ素系)
溶剤としては、以下のものを用いた。
SL−1:シクロヘキサノン
SL−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
SL−3:乳酸エチル
SL−4:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
SL−5:γ−ブチロラクトン
SL−6:プロピレンカーボネート
<レジスト液の調製>
下記表4に示す成分を、同表に示す溶剤に溶解させて、固形分濃度4.5質量%の溶液を調製した。その後、得られた溶液を、ポアサイズ0.1μmのポリエチレンフィルターを用いてろ過して、ポジ型レジスト溶液を調製した。
<パターン形成:液浸露光>
液浸露光法により、レジストパターンを形成した。
具体的には、まず、シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行って、膜厚78nmの反射防止膜を形成した。その上に、上記のレジスト溶液を塗布し、100℃で60秒間ベークを行った。このようにして、膜厚30nmのレジスト膜を形成した。
次いで、このレジスト膜に対し、65nmの1:1ラインアンドスペースのマスクを通して、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA1.20、C-Quad、アウターシグマ0.981、インナーシグマ0.895、XY偏向)を用いた露光を行った。この際、液浸液としては、超純水を使用した。
露光後すぐに100℃で60秒間ホットプレート上で加熱した後、室温まで冷却させた。次いで、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、23℃で30秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、90℃で90秒間に亘ってベークを行って、ラインパターンを得た。
<ラフネス特性の評価:LWR>
上記の線幅が65nmのラインパターンを、走査型顕微鏡(日立社製S9380II)を用いて観察した。このパターンにおいて、その長さ方向のエッジに沿った2μmの範囲に含まれる任意の50点について、上記の走査型顕微鏡を用いて、エッジがあるべき基準線からの距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出し、この値を「LWR」とした。
<パターン形状の評価>
上記の線幅が65nmのラインパターンの断面及び側面を、走査型顕微鏡(日立社製S48000)を用いて観察した。そして、その形状を、以下の基準に従って評価した。
◎(Good):断面形状が矩形状であり且つ表面荒れが見られない場合
○(Fair):断面形状は矩形状であるが表面荒れが見られる場合
×(Insufficient):断面形状がテーパー形状である場合
これらの評価結果を、下記表4に示す。
Figure 0005244740
表4に示す通り、実施例に係る組成物は、比較例及び参考例に係る組成物と比較して、ラフネス特性及びパターン形状が優れていた。

Claims (4)

  1. (A)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂と、
    (B)下記一般式(1−1)又は(1−2)により表される化合物と、
    (C)下記一般式(C−I)により表される化合物、又は、前記一般式(C−I)により表される化合物の複数が連結基を介して結合された構造を有する化合物と
    を含んだ感活性光線性又は感放射線性組成物。
    Figure 0005244740
    一般式(1−1)中、
    13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、または単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。
    14は複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、または単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。
    15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよい。
    lは0〜2の整数を表す。
    rは0〜8の整数を表す。
    -は、非求核性アニオンを表す。
    一般式(1−2)中、
    Mは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はベンジル基を表し、環構造を有するとき、環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、または炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
    1c及びR2cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
    x及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
    x及びRyが結合して環を形成してもよい。
    M、R1c及びR2cの少なくとも二つが結合して環を形成してもよく、該環構造に炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
    -は、非求核性アニオンを表す。
    Figure 0005244740
    一般式(C−I)中、
    m及びnの各々は、m+n=3なる関係を満足する1以上の整数を表す。
    Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又は前記連結基を表す。m=2の場合には、2つの前記Rは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
    R’は、各々独立に、水素原子、アルキル基(同一の炭素原子に結合している3つのR’の全てがメチル基である場合を除く)、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又は前記連結基を表す。R’のうち少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
  2. 前記樹脂(A)はラクトン構造を備えた繰り返し単位を含んでいる請求項1に記載の組成物。
  3. 前記樹脂(A)は酸分解性基を備えた繰り返し単位を含み、前記酸分解性基は脂環構造を含んでいる請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の組成物を用いて膜を形成することと、
    前記膜を露光することと、
    前記露光された膜を現像することと
    を含んだパターン形成方法。
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