携帯電話機など二次電池を内蔵する電子機器の充電は、電子機器を遊嵌する形状に形成された充電置台の装着凹部に充電端子を臨ませ、装着凹部に装着される電子機器の充電電極に充電端子を接触させて充電している。
このような充電置台では、充電中の電子機器が不用意に装着凹部から外れて充電が中断しないように、装着凹部に完全装着した電子機器の係合凹部へ係合突起を係合させ、充電中の電子機器を装着凹部内に位置決めする充電置台100が知られている(特許文献1)。
以下、この従来の充電置台100を、図12を用いて説明すると、充電置台100は、二次電池を内蔵する電子機器101を充電するもので、電子機器101を上方から装着する装着凹部102が凹設されたケース103を備えている。ケース103には、充電電源を供給する接続部が、装着凹部102の内底面から突出して取り付けられ、装着凹部102に装着させた電子機器の底面に露出する接続口に、接続部が嵌合することにより、電子機器101が充電される。
104は、L字状に屈曲形成された下部が、装着凹部102内に突出するようにケース103に取り付けられたロックアームで、側方に突設されたガイドピン104aが、ケース103の両側面に凹設されたガイド溝105a、105bに、ガイドピン104bがガイド溝105cに沿ってそれぞれ案内されることにより、上下動及び揺動する。また、ロックアーム104の上端には、ロックアーム104との全体でコの字状となる係合突起106が一体に突設され、係合突起106は、ロックアーム104の揺動により、装着凹部102内に出没するようになっている。
電子機器101を装着凹部102へ装着する前の待機状態で、ロックアーム104は、コイルバネ107によって上方に付勢され、ガイドピン104bがガイド溝105cの上端に位置するとともに、上方のガイドピン104aは、引っ張りバネ108によりガイド溝105aの図中右端まで引っ張られ、係合突起106が、装着凹部102から退避している。装着凹部102へ電子機器101を装着すると、電子機器101がロックアーム104を押し下げ、ロックアーム104は、ガイドピン104aがガイド溝105aに案内され、図中反時計回りに回転する。電子機器101の接続口と接続部とが嵌合する完全装着位置までロックアーム104を押し下げると、係合突起106は電子機器101の係合凹部109に係合し、充電中の電子機器101が装着凹部102内に位置決めされる。
充電を終えた電子機器101を、装着凹部102から排出させる場合には、電子機器101を更に押し込む。完全装着位置から更に電子機器101を押し込むことによって、ガイドピン104a、104bは、それぞれガイド溝105b、105cに沿って下降し、係合突起106が装着凹部102から退避し、係合凹部109との係合が解かれることにより、電子機器101を取り出すことができる。
特開2005−346992号公報(明細書第6頁20行乃至第8頁4行、図1)
上述の充電置台100では、装着凹部102に完全装着した電子機器101の係合凹部109に係合突起106が係合するので、充電中の電子機器101が装着凹部102から不用意に抜け出ることがないが、装着凹部102内に電子機器101を容易に装着できるように、装着凹部102は、電子機器101の外形よりやや大きく、電子機器101を遊嵌する形状に形成されている。
この為、装着凹部102に、通常の装着方向に対して傾いた異常姿勢で電子機器101を装着することが可能となり、装着凹部102の内底面に露出する充電用の接続部と、電子機器101の底面に露出する接続口との嵌合方向が一致せず、接続部と接続口が嵌合しないまま電子機器101が位置決めされたり、接続部や接続口が破損する原因となった。特に、複数のワイヤコンタクトを充電端子として装着凹部の底面に突出させた充電置台では、電子機器が傾斜したまま装着凹部に装着されると、充電電極が異なるワイヤコンタクトに接触したり、ワイヤコンタクトが塑性変形して破損するという問題があった。
一方、正常姿勢でのみ電子機器101を装着凹部102内に装着できるように、装着凹部102を、電子機器101の外形の輪郭にほぼ一致する凹形状とすると、電子機器101の装着姿勢が限定されるので、装着が煩わしく、また、装着凹部102から引き抜く際にも、わずかに傾斜させるだけで、装着凹部102の内壁面との間に摩擦が生じて引き抜きづらく、実用性に欠けるものであった。
また、充電電圧を印加する充電端子が装着凹部102内に露出するので、従来は、装着凹部102内に電子機器101の装着により装着凹部102から後退する検出ロッドを突出させておき、検出ロッドが後退した際に充電端子へ充電電圧を印加するようにしている。しかしながら、このように検出ロッドを取り付けて電子機器101の装着を検出する機構を別に設ける必要があり、更に、上述の係合突起106による係合とは、リンクしていないので、係合突起106と係合しないような異常姿勢で電子機器101を装着したり、係合突起106に当接しないような小型の導電性異物が装着凹部102内に入り込んでも、充電端子に充電電圧が印加される場合があり、電子機器101の筐体や導電性異物による短絡が発生する危険があった。
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、容易に電子機器を装着凹部へ装着でき、正常姿勢で装着される電子機器の充電電極のみに、充電端子が接触して充電する充電置台を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、請求項1の充電置台は、電子機器を装着する装着凹部が凹設されたケースと、ケースの装着凹部に臨ませて取り付けられ、装着凹部に完全装着した電子機器の充電電極に接触し、電子機器を充電する充電端子と、完全装着した電子機器の係合凹部に係合する係合突起が突設され、係合突起が電子機器の係合凹部に係合可能な係合位置と係合位置から退避する退避位置との間で回動自在にケースに支持されたロックアームと、ロックアームを、退避位置から係合位置の回転方向に付勢する第1バネと、少なくとも、装着凹部に異常姿勢で挿入される電子機器に当接し、電子機器の充電電極と充電端子との接触を回避する前進位置と、電子機器が完全装着されるまで後退する後退位置との間で、進退自在にケースに取り付けられ、進退方向に対して側方に突出する当接突部を有するストッパーと、ストッパーを装着凹部へ突出させる前進方向へ付勢する第2バネと、カム機構を介してロックアームに連結した状態で、ケースに回動自在に取り付けられ、回動により規制突部が当接突部の進退移動経路に出没するカムレバーとを備え、
カム機構は、ロックアームの係合位置から退避位置への回転で、進退移動経路内の規制突部が前進方向に向かって回転する一方向回りにカムレバーを回転させて、規制突部を当接突部の進退移動経路から退避させ、ロックアームの退避位置から係合位置までの回転で、規制突部が進退移動経路内に突出するカムレバーを、前記一方向回りにのみ回転自在とし、ロックアームが係合位置にある状態で、後退方向に移動するストッパーの当接突部を規制突部に当接させ、ストッパーを前進位置で位置決めすることを特徴とする。
係合突起に当接しないような異常姿勢で電子機器を装着凹部へ装着すると、ロックアームは係合位置にあり、規制突部が進退移動経路内に突出するカムレバーは、カム機構により、規制突部が前進方向に向かって回転する一方向回りにのみ回転自在となっている。その結果、装着する電子機器に当接し、後退方向に移動するストッパーの当接突部は、進帯移動経路内に突出する規制突部に当接し、電子機器の充電電極と充電端子との接触を回避する前進位置で位置決めされる。
正常姿勢で装着凹部へ装着する電子機器は、装着凹部に突出する係合突起に当接し、第1バネに抗してロックアームを係合位置から退避位置へ回転させ、カムレバーの規制突部は当接突部の進退移動経路から退避する。その結果、装着する電子機器に当接し、後退方向に移動するストッパーは、当接突部が規制突部に当接することなく、電子機器が完全装着される後退位置まで後退し、充電電極と充電端子が確実に接触する。電子機器が完全装着されると、ロックアームは、第1バネに付勢されて退避位置から係合位置まで回転し、係合突起と係合凹部が係合する。
請求項2の充電置台は、カムレバーを逆方向回りに付勢する第3バネが備えられ、ロックアームの退避位置から係合位置までの回転で、カムレバーは、第3バネに付勢されて逆方向回りに回転し、進退移動経路から退避する規制突部が、進退移動経路内に突出することを特徴とする。
完全装着した電子機器を装着凹部から引き出す際に、規制突部が進退移動経路から退避する一方向回りに回転するカムレバーは、電子機器を引き出した後、第3レバーにより、逆方向回りに回転し、規制突部が進退移動経路内に突出する。
請求項3の充電置台は、充電端子へ充電電流を流す充電回路に直列に接続され、ストッパーの進退移動に連動して開閉する開閉スイッチが、ケース内に取り付けられ、開閉スイッチは、ストッパーが前進位置にあるときに開動作し、充電端子への充電電流が遮断され、後退位置にあるときに閉じ動作し、充電端子に充電電流が流れるあることを特徴とする。
係合突起を装着凹部から退避させる正常姿勢で電子機器が装着凹部へ装着される場合にのみ、ストッパーは後退位置まで後退し、充電端子に充電電流が流れる。
請求項1の発明によれば、装着凹部に電子機器を遊嵌させる形状としても、正常姿勢でのみ充電端子が電子機器の充電電極に接触するので、装着凹部に露出する充電端子が変形したり、電子機器の他の充電電極に誤接続することがない。
請求項2の発明によれば、係合突起に当接せず、ロックアームを回転させずに電子機器を装着凹部から引き出しても、電子機器が装着されていない状態では、常に規制突部が進退移動経路内に突出するので、異常姿勢で装着される電子機器の充電端子への接触を確実に防止できる。
請求項3の発明によれば、異常姿勢で装着される電子機器への充電端子の接触を防止するストッパーを利用して、充電端子へ充電電流を流す充電回路を開閉するので、電子機器の装着凹部への装着を検出する検出機構を別に形成することなく、電子機器が完全装着された際にのみ充電端子へ充電電流を流すことができる。
また、正常姿勢で電子機器が装着凹部へ装着された場合にのみ、充電電極に充電電流を流し、電子機器を充電することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る充電置台1を、図1乃至図11を用いて説明する。図1乃至図3は、それぞれ異なる姿勢で電子機器10を装着する状態を示す充電置台1と電子機器10の縦断面図、図4乃至図8は、充電置台1の異常装着防止機構を構成する各部の斜視図、図9乃至図11は、充電置台1の異常装着防止機構の動作を示す側面図である。以下の説明では、図1における図示方向を、上下左右の各方向として説明する。
本実施の形態に係る充電置台1は、電子機器である携帯電話機10に内蔵の二次電池を充電する充電装置であり、図1に示すように、絶縁性合成樹脂で形成されたケース2の上面から、充電する携帯電話機10を遊嵌する装着凹部2aを凹設している。装着凹部2aの長手方向(左右方向)の幅は、携帯電話機10の外形の長手方向幅よりわずかに長く、これにより、図1乃至図3に示すように、鉛直方向に対して一定に傾斜する姿勢の携帯電話機10であっても、装着凹部2a内に装着できるようになっている。
装着凹部2aの内底面に対向する携帯電話機10の側面には、USB通信用の3種類の電極(VBUS、D−、D+)と充電用の2種類の電極(CHG、GND)をそれぞれ凹溝11a内に露出させた外部接続コネクタ11が配設されている。一方、装着凹部2aの内底面には、携帯電話機10が装着凹部2a内に完全に装着された際に、これらUSB通信用電極(VBUS、D−、D+)と充電用の電極(CHG、GND)にそれぞれ弾性接触するように、コンタクトカバー18(図4参照)で囲まれた5本のワイヤコンタクト3が突出して配置され、この内、充電用の電極(CHG、GND)に対向して突出する2本のワイヤコンタクト3を充電端子として図示しない充電回路に接続し、これらの充電端子間へ充電電圧を印加している。尚、コンタクトカバー18は、携帯電話機10の側面が当接することにより、装着凹部2aから後退し、ワイヤコンタクト3のみが露出するようになっている。
本実施の形態では、携帯電話機10が装着凹部2aに完全装着されたことを検出するための開閉スイッチ4を備えている。開閉スイッチ4は、装着凹部2aの内底面から出没自在にケース2に取り付けられた検出ロッド4aの出没に連動して上述の充電回路を開閉する。検出ロッド4aは、外力を受けない状態で、装着凹部2aの内底面から突出して取り付けられ、検出ロッド4aが装着凹部2aに突出する位置で、開閉スイッチ4は、開動作し、充電回路に流れる充電電流を遮断する。また、携帯電話機10が装着凹部2aに完全装着されると、検出ロッド4aは携帯電話機10により後退方向(下方)に押し下げられ、開閉スイッチ4が閉じ動作することにより、充電端子3に充電電流が流れる。
装着凹部2aの長手方向の両側には、一対の縦長板状のロックアーム5、6が、それぞれケース2に対して後述する係合位置と退避位置の間で少なくとも回転自在となるように取り付けられている。左側のロックアーム5は、ロックアーム5とケース2との間に配置された捩りバネ(図示せず)により、図中時計回りに付勢され、その上端に装着凹部2aの方向に一体に突設された係合突起5aが、装着凹部2aの内壁面に穿設された窓孔から装着凹部2a内に突出している。同様に、右側のロックアーム6は、ロックアーム6とケース2との間に配置された第1捩りバネ15(図8参照)によって、図1の反時計回りに付勢され、その上端に装着凹部2aの方向に一体に突設された係合突起6aは、装着凹部2aの内壁面に穿設された窓孔から、係合突起5aと対向して装着凹部2a内に突出している。一対のロックアーム5、6が外力を受けない係合位置にあるときに、係合突起5a、6aは、装着凹部2aに完全装着した携帯電話機10の両側面に凹設された係合凹部12、13に対向する内壁面から突出し、これにより、係合突起5a、6aが対応する係合凹部12、13に係合し、装着凹部2aに完全装着された携帯電話機10が位置決めされる。
また、本実施の形態に係る係合突起5a、6aは、底面が装着凹部2aの方向に向かって上方に傾斜するテーパー面に形成され、完全装着された携帯電話機10を上方へ引き上げると、係合凹部12、13の縁が係合突起5a、6aの底面を押し上げることにより、一対のロックアーム5、6は、捩りバネ、第1捩りバネ15の弾性に抗して、上下方向に起立する係合位置から、係合突起5a、6aが装着凹部2aから退避する方向の退避位置まで回転し、係合突起5a、6aが係合凹部12、13から外れる。これにより、充電を終えた携帯電話機10が装着凹部2aから取り出される。
異常装着防止機構は、この右側のロックアーム6、ロックアーム6を付勢する第1捩りバネ15、カムレバー8、カムレバー8を付勢する第2捩りバネ16、ストッパー9及びストッパー9を付勢するコイルバネ17で構成され、右側のロックアーム6とストッパー9の間に、カムレバー8が配設される。ロックアーム6とカムレバー8とは、ロックアーム6の枢軸6bの下方に穿設されたカム孔7に、カムレバー8の従動ピン8aが挿通して連結され、カム孔7と従動ピン8aとが係合して、ロックアーム6の回転にカムレバー8を応動させるカム機構が構成される。
カムレバー8は、くの字状の輪郭に形成され、くの字状の中心から側方に突設された一対の回動軸8b回りで、ケース2に回動自在に取り付けられている。従動ピン8aは、くの字の右側端部から側方(図1の紙面の奥行き方向)に突設され、従動ピン8aより幅広でカムレバー8の回転軸8bより下方に位置するカム孔7に遊挿される。図9に示すように、カム孔7の上内周面7aは、断面円形の従動ピン8aの輪郭にほぼ等しい曲率の曲面で形成され、上内周面7aの右側で連続する外内周面7bは、ロックアーム6が起立する係合位置にある状態で、鉛直方向に沿った平面に形成されている。また、従動ピン8aをカム孔7内に遊挿して案内するように、カム孔7の外内周面7bに対抗する内内周面7cは、従動ピン8aの外径より長い間隔を隔てて外内周面7bに平行な平面で、その上部が上内周面7aに連続する傾斜面に形成されている。
カムレバー8は、カムレバー8とケース2の間に配置された第2捩りバネ16によって、反時計回りに付勢され、その結果、ロックアーム6が起立する係合位置で、従動ピン8aは、カム孔7の上内周面7aに内接している。
カムレバー8の従動ピン8aと逆側の左側端部は、ストッパー9の後述する当接突部9aの進退移動経路にカムレバー8の回転によって出没する規制突部8cとなっていて、図9に示すように、従動ピン8aがカム孔7の上内周面7aに内接するカムレバー8の回転位置で、規制突部8cは最も左側に突出し、当接突部9aが当接可能な進退移動経路内に突出する。
ストッパー9は、装着凹部2aの内底面から出没するように、ケース2に上下方向に進退自在に取り付けられ、ケース2との間に圧縮して配置されたコイルバネ17により、上方に付勢されている。ストッパー9の右側面、すなわちカムレバー8が配置される側の側面には、当接面を突曲面とした当接突部9aが突設され、ストッパー9は、少なくとも当接突部9aが、その進退移動経路内に突出する規制突部8cへ上方から当接する前進位置と、装着凹部2aに完全装着される携帯電話機10により下方へ押し込まれる後退位置との間で進退自在となっている。ストッパー9は、コイルバネ17以外の外力を受けない待機状態で、上端がワイヤコンタクト3より上方に突出し、ストッパー9が前進位置にある場合には、装着凹部2aに異常姿勢で携帯電話機10が装着されても、外部接続コネクタ11の電極とワイヤコンタクト3は接触しない。一方、ストッパー9の後退位置では、装着凹部2aに携帯電話機10が完全装着されるので、外部接続コネクタ11の電極と対応するワイヤコンタクト3間が接触する。
以下、このように構成された充電置台1の作用を、携帯電話機10を正常姿勢と異常姿勢で装着凹部2aに装着する場合に分けて説明する。ここで正常姿勢とは、携帯電話機10を水平に保ったまま装着する姿勢に限らず、図1や図2に示すように水平方向に対して一定の傾きがあっても、装着の際に右側のロックアーム6の係合突起6aに当接し、ロックアーム6を退避位置へ回転させる姿勢を含み、正常姿勢で携帯電話機10を装着凹部2aへ装着する限り、携帯電話機10の各凹溝11a内に露出する5種類の電極が、それぞれ装着凹部2aの内底面に突出する5本の対応するワイヤコンタクト3に対向し、相互に正常に接触する。
一方、異常姿勢とは、図3に示す携帯電話機10の装着姿勢のように、携帯電話機10の各凹溝11a内に露出する5種類の電極が、対応する5本のワイヤコンタクト3に対向して位置ずれして接近する(図3の姿勢では、電極が対応するワイヤコンタクト3に対して1ピッチ左側にずれている)ような姿勢であり、このような異常姿勢で装着凹部2aへ装着する携帯電話機10は、右側のロックアーム6の係合突起6aに当接しない。すなわち、携帯電話機10を装着凹部2aに装着する際に、ロックアーム6が係合位置から退避位置へ回転するか否かで正常姿勢と異常姿勢が判別される。
始めに、図1に示す正常姿勢で携帯電話機10を装着凹部2aへ装着する場合について説明する。図1に示す左側に傾斜する姿勢の携帯電話機10を装着凹部2aに挿入すると、携帯電話機10は、左側のロックアーム5の係合突起5aに当接してロックアーム5を反時計回りに回転させ、係合凹部12に係合突起5aが対向すると、捩りバネにより時計回りに付勢されたロックアーム5の係合突起5aが係合凹部12に係合する。
携帯電話機10を更に装着凹部2a内に挿入すると、係合突起5aが係合する係合凹部12を中心に時計回りに回転し、携帯電話機10の右端が右側のロックアーム6の係合突起6aに当接し、ロックアーム6を係合突起6aが装着凹部2a内に突出する係合位置から退避位置へ時計回りに回転させる。このとき、ストッパー5は、装着凹部2aの内底面から突出しているが、ストッパー5の上端が携帯電話機10に当接するか否かにかかわらず、ストッパー5は前進位置より上方に位置している。
ロックアーム6の係合位置から退避位置への時計回りの回転に伴って、カム孔7の上内周面7aに内接する従動ピン8aは、ロックアーム6から左方への力を受けるが、カム孔7は、カムレバー8の回転軸8bより下方に位置するので、第2捩りバネ16に抗してカムレバー8を図10に示すように時計回りに回転させ、カム孔7の上内周面7aに内接する従動ピン8aは、外内周面7bに沿って下方に移動する。
カムレバー8の時計回りの回転によって、規制突部8cは、ストッパー9の当接突部9aの進退移動軌跡から退避し、当接突部9aは規制突部8cと当接することなく、上下方向に進退移動可能な状態となる。従って、ストッパー9を後退位置まで押し込みながら、携帯電話機10を装着凹部2a内に完全装着することができ、5種類の電極がそれぞれ対応する5本のワイヤコンタクト3に接触する。この直前に、装着される携帯電話機10によって検出ロッド4aが押し下げられ、開閉スイッチ4は、開動作から閉じ動作し、ワインコンタクト3の充電端子に充電電流が流れる。
ストッパー9を後退位置まで移動するまで、携帯電話機10を完全装着すると、係合凹部13がロックアーム6の係合突起6aに対向し、ロックアーム6は第1捩りバネ15により反時計回りに付勢されているので、図11に示すように、係合突起6aが係合凹部13に係合する。従って、携帯電話機10の充電電極に、ワイヤコンタクトの充電端子3を接触させて充電している間に、携帯電話機10が不用意に装着凹部2aから外れることがなく、充電が途絶えることがない。
ロックアーム6の退避位置から係合位置へ回転によって、従動ピン8aは、カム孔7の内内周面7cに当接した後、内内周面7cに沿って上方に移動し、上内周面7aに内接する位置で停止する。この従動ピン8aの移動中に、従動ピン8aは内内周面7cから右方向の力を受け、また、カムレバー8は第2捩りバネ16により付勢されているので、反時計回りに回転し、図11に示すように、規制突部8cは、再びストッパー9の当接突部9aの上方で進退移動軌跡内に突出する。
充電を終えた携帯電話機10を装着凹部2aから引き出す場合には、携帯電話機10を上方に引き上げる。係合突起5a、6aの底面は、係合凹部12、13の方向に向かって上方に傾斜するテーパー面となっているので、係合凹部12、13を上方に引き出されることによって、係合突起5a、6aが押し上げられ、一対のロックアーム5、6が、係合突起5a、6aが装着凹部2aから退避する方向に回転し、係合突起5a、6aと係合凹部12、13との係合が外れ、携帯電話機10が装着凹部2aから引き出される。従って、検出ロッド4aは再び装着凹部2a内に突出し、開閉スイッチ4が開動作するので、ワインコンタクト3の充電端子への充電電流は遮断される。
携帯電話機10が引き出されることにより、ストッパー9はコイルバネ17により上方へ押し出され、当接突部9aは、進退移動経路内に突出する規制突部8cに下方から当接する。しかしながら、従動ピン8aは、上内周面7aに内接する位置からカム孔7内を下方に移動可能なので、カムレバー8は時計回りに回転可能で、第2捩りバネ16のトルクに勝るようにコイルバネ17の弾性を設定するので、ストッパー9は、当接突部9aが規制突部8cを押し上げながら進退移動経路から退避させ、後退位置から前進位置の上方まで復帰する。
また、一対のロックアーム5、6は、捩りバネ、第1捩りバネ15により係合突起5a、6aが装着凹部2aに突出する係合位置に復帰する。この間、係合突起6aが携帯電話機10の係合凹部13の下方に当接し、ロックアーム6は、係合位置から一時的に退避位置方向に回転するが、外内周面7bに沿って下方に移動する従動ピン8aは、内内周面7cに沿って再び上方に移動し、上内周面7aに内接する位置に復帰するので、規制突部8cは、当接突部9aの下方で進退移動軌跡内に突出する。
図2に示す右側に傾斜する正常姿勢で携帯電話機10を装着凹部2aに装着する場合には、係合突起5a、6aの係合凹部12、13への係合の順序が逆になるだけで、右側のロックアーム6の係合位置から退避位置への回転による異常装着防止機構の動作は同一であるので、装着凹部2aへ完全装着する過程と引き出す過程の説明は省略する。
図3に示す異常姿勢で携帯電話機10を装着凹部2aへ装着しようとすると、携帯電話機10は、右側のロックアーム6の係合突起6aに当接せずに、ストッパー9を下方へ押し下げるので、図9に示すように、ストッパー9の当接突部9aは、当接突部9aの進退移動軌跡内に突出している規制突部8cに上方から当接する。カムレバー8は、従動ピン8aがカム孔7の上内周面7aに当接し、上方への移動が規制されているので、同図に示す回転位置から反時計回りに回転することができず、ストッパー9は、当接突部9aが規制突部8cに当接する前進位置で停止する。その結果、異常姿勢の携帯電話機10は、5種類の電極のいずれかがワイヤコンタクト3に接触する前に、ストッパー9によって装着凹部2a内への装着が規制され、充電電極と充電端子間の誤接続やワイヤコンタクト3の破損を防止できる。
上述の実施の形態では、携帯電話機10が装着凹部2aに完全装着されたことを検出する開閉スイッチ4を別に設けているが、ストッパー9が後退位置にあることから、携帯電話機10の完全装着を検出できるので、ストッパー9を検出ロッド4aに代用し、ストッパー9が後退位置まで押し込まれた際に、開閉スイッチを閉じ制御し、充電端子へ充電電流を流すように開閉制御してもよい。
また、規制突部9aを当接突部9aの進退移動経路へ突出させる方向にカムレバー8を付勢する第2捻りバネ16は、係合突起6aを待避方向へ退避させずに携帯電話機10が装着凹部2aから引き出された場合に、カムレバー8を反時計回りに回転させ、待機状態で規制突部9aを当接突部9aの進退移動経路へ確実に突出させるために設けているが、ロックアーム6を回転させることなく携帯電話機10を装着凹部2aから引き出すことができない構造であれば、カム機構によって上記待機状態とすることができるので、必ずしも設けなくてもよい。
また、携帯電話機10を装着凹部2aから引き出す際に、係合突部6aのテーパー面を利用して係合を解除したが、ロックアーム6を手動で回転させる摘みを設けて、ロックアーム6を時計回りに回転操作し、係合を解いてもよい。