以下、本発明の実施例の詳細について説明する。図1は本発明のPLC通信を用いた遊技ホール用ネットワークシステムの一実施例に係る、システム構成例を示す図、図2は遊技ホールの受電設備から各フロア用の分電盤(以下、「フロア入口分電盤」という)までの電力線の経路と、このフロア入口分電盤から遊技機までの電力線を含む伝送路の経路例を示す図、図3は遊技ホールを3階建ての建屋としたときのシステム構成例を示す図である。
たとえば、2000台以上(最大2400台程度)のパチンコ遊技機やパチスロ遊技機(以下、「遊技機」という)を設置した大規模の遊技ホールは、3〜5階建て等の複数のフロア(床)を備えた建屋から構成される場合がある。各フロアには、多数の遊技機が列状に、いわゆる「遊技機島」単位で配置されるとともに、これらの「遊技機島」がフロアの横方向又は縦方向に複数列にわたって配列されている。このような遊技ホールにおいては、多数の遊技機(パチスロ遊技機やパチスロ遊技機等)や、各フロアに設置されている各種の設備及び照明機器等に電源を供給するための受電設備(A)が屋上(又は地下室)に設置されている。
すなわち、図1に示すように、受電設備(A)にはAC高圧線によりAC6.6KVが導かれ、変圧器1によりAC100V(又は200V)に変換される。この変換されたAC100Vの電源は、たとえば6分岐の分電盤2により分岐されて、電力線4aを介し複数のフロア入口分電盤3a、3b、3c、・・・に供給される。複数のフロア入口分電盤3a、3b、3c、・・・は、所定のフロア(図1に示す例ではフロア(B1))に設けられた分電盤室(たとえば、図3に示す分電盤室(F))に纏めて設置される。
これらのフロア入口分電盤3a、3b、3c、・・・は、たとえば32分岐の分電盤から構成される。また、フロア入口分電盤3a、3b、3c、・・・は、各フロアに設置されている遊技機、照明機器、その他機器に電源を供給する分電盤として、フロア毎に、れぞれの用途に応じて設置されている。
図3に示す遊技ホールの建屋例では、フロア(B1)に分電盤室(F)とホール内監視室(D)が設置されている例を示している。図3に示すように、通常の遊技ホールにおいて遊技機が設置されているフロアには、2台の遊技機の背面側を向かい合わせにして所定の間隔(以下、「島内隙間」という)をおいて配置するとともに、これらの遊技機を横方向に複数配列した、いわゆる「遊技機島」を構成し、これらの遊技機島C1、C2、C3、・・・をフロアの縦方向、又は横方向に通路を確保しつつ複数配列させたレイアウトとしている。さらに、上記の島内隙間には、遊技機8に遊技球を供給する装置等が設置されている。
また、各遊技機島C1、C2、C3、・・・の島内隙間の中央部には、たとえば32分岐の島分電盤5が設置される。なお、島分電盤5は、既設の島分電盤を使用してもよい。また、島分電盤5は、分電盤室(F)の遊技機用のフロア入口分電盤3b、3c、・・に、天井又は床下に敷設される電力線4bにより接続されている。さらに、各遊技機島C1等に設置されている島分電盤5から分岐させた電力線4cは、図2に示すように、各遊技機島内に所定の間隔を設けて設置したコンセントCn1、Cn2、・・・に接続されている。
そして、図2に示すように、たとえば遊技機島内に設置したコンセントCn1〜Cn3のそれぞれには遊技機8に電力を供給する図示しない変換トランス6が接続され、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・の通信線接続ポートには通信線(LANケーブル)10eを介して狭帯域用{K(キロ)帯域用}の島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・の通信線接続ポートが接続されている。また、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・には、通信線10fを介して第2分岐アダプタ7の分岐前ポートが接続されている。また、第2分岐アダプタ7の分岐後ポートにはPLC子機モデム9が通信線10dを介して接続されている。なお、第2分岐アダプタ7は、たとえば4つの分岐後ポートを備えた4分岐アダプタであり、それぞれの分岐後ポートに1台の狭帯域用{K(キロ)帯域用}のPLC子機モデム9が接続されている。
このように、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・及びPLC子機モデム9を狭帯域用{K(キロ)帯域用}とすることで、それぞれの島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・及びPLC子機モデム9の内部構成部品を狭帯域用とすることができ、広帯域用の内部構成部品に比べて部品コストが安価となり、それぞれの島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・及びPLC子機モデム9を低コストのものとすることができる。この場合、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9との間でのデータ伝送の速度が、広帯域用の島入口PLC親機モデムとPLC子機モデムとの間でのデータ伝送の速度に比べて若干低下してもよいシステムに適用する。
また、第2分岐アダプタ7は、伝送路を多数に分岐する手段と、電力線4cに重畳された高周波信号についてこの多数の分岐に伴う分岐ロスの低減と、伝送路における上り方向及び下り方向のインピーダンスの整合をとるために設けられているものである。
さらに、各PLC子機モデム9のRS232CI/Fポートには、図1(図2)に示すように、遊技機島を構成する個々の遊技機8が接続されている。なお、PLC子機モデム9と通信可能に接続する遊技機8の通信ポートは、たとえばRS232CI/F等を用いることができる。また、遊技機8に接続するPLC子機モデム9は、遊技機島に形成している島内隙間であって各遊技機8の島設備内に設置するようにすればよい。ここで、島設備とは、各遊技機8とは別体であって、各遊技機8にたとえば遊技媒体(パチンコ玉やメダル)等を補給したりする設備のことである。
また、島分電盤5の他の分岐点から電力線4cを介して接続されたコンセントCn1〜Cn4等には、AC100VをAC24Vに変換する変換トランス6が接続されている。この変換トランス6は、遊技機8の駆動電力となるAC24Vを供給するためのトランスであって、たとえば一つの変換トランス6から4〜5台の遊技機にAC24Vの駆動電力を電力線4dにより供給することができる。変換トランス6の設置台数は、遊技機島を構成する遊技機8の台数に応じて決定すればよい。
このようにして、島分電盤5と遊技機8を接続する伝送路(電力線4c→通信線10d)と、島分電盤5から遊技機8に供給する電源線の経路4c→4dとは別系統、すなわち島分電盤5から遊技機8に供給する電源線の経路4c→変換トランス6→4dは、バイパス経路を構成するようにしている。
上記したように、本実施例でのPLC通信を用いた遊技ホール用ネットワークシステムを構築する場合には、遊技機島内に形成されている島内隙間に、遊技機島単位で、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・、第2分岐アダプタ7及びPLC子機モデム9の設置と、これらの設置に伴う簡単な配線工事を行うだけでよい。従って、大がかりな電力線や通信線の配線工事を行う必要がないので、既設の遊技ホールにも本発明のシステムを容易に採用することが可能になる。
次に、フロア入口分電盤3b、3c、・・・とPLC親機モデム(第1の親機モデム)13との接続について説明する。上述したように、分電盤室(F)には、各フロアに電源を供給するために多数のフロア入口分電盤3a、3b、3c、3d・・・が設置されている。そして、このうちの数個、たとえばフロア入口分電盤3b、3c、・・・は、各フロア(B1)と(B2)に設置された島分電盤5に電源を供給するために使用される。
さらに、フロア入口分電盤3b、3c、・・・の分岐点に、PLC中継機16のAC100V接続ポート(回線側)を電力線4eを介して接続し、PLC中継機16の通信線接続ポートを、通信線10cを介して第1の分岐アダプタ15の分岐後ポートに接続する。これにより、第1の分岐アダプタ15の各分岐後ポートにはPLC中継機16が接続され、PLC中継機16はフロア入口分電盤3b、3c、・・・等の何れかに接続されることになる。なお、この分岐アダプタ15及び上記の第2分岐アダプタ7の構成については、後述する。
また、通信線10bを介し、第1分岐アダプタ15の分岐前ポートを、回線側ポートが通信モードとされているPLC親機モデム13の回線側ポートと接続する。これにより、PLC親機モデム13からの同期信号や、後述する店舗サーバ12等からPLC親機モデム13に送信されたユーザデータは、PLC通信の下り方向となる多数のPLC中継機16を介し、これらのPLC中継機16の制御配下に通信可能に接続されている島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に伝送することが可能となる。また、上り方向のデータ、すなわち遊技機8で表示する一般演出情報、遊技機8で発生した大当りに関する情報、不正発生に関する情報等は、PLC子機モデム9から島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・を介してPLC親機モデム13に、さらに店舗サーバ12等に伝送することが可能となる。
なお、PLC子機モデム9には、遊技機8に限らず、パチスロ遊技機やパチスロ遊技機で用いられる遊技媒体(パチンコ玉やメダル)の貸し出しを行う遊技媒体貸出機や、フロア内を監視する監視カメラ(Webカメラ等)等も接続することが可能である。この場合、後述する店舗サーバ12等から送信されるユーザデータは、たとえば遊技媒体貸出機や監視カメラ(Webカメラ等)等を制御する情報とすることができる。すなわち、遊技媒体貸出機を制御する情報としては、たとえば遊技媒体貸出機による貸し出し動作を許可したり、停止させたりする内容とすることができる。また、監視カメラ(Webカメラ等)を制御する情報としては、撮影の向きを変えたり、ズームアップ又はズームアウトさせたりする内容とすることができる。
また、遊技媒体貸出機や監視カメラ(Webカメラ等)等に接続されるPLC子機モデム9からのユーザデータは、遊技媒体貸出機や監視カメラ(Webカメラ等)等の状態を示す情報とすることができる。すなわち、遊技媒体貸出機の状態を示す情報としては、遊技媒体貸出機の動作が正常に行われているかどうかを示す内容等とすることができる。監視カメラ(Webカメラ等)の状態を示す情報としては、フロア内を撮影した画像情報とすることができる。
また、遊技ホールには、各遊技機8の稼働状況、出玉状況、大当りの発生回数等に関する情報や、上述した遊技媒体貸出機や監視カメラ(Webカメラ等)等からの情報を把握するためのホール内LAN11によるネットワークシステムが構築されている。このホール内LAN11には、ホール内監視室(D)内に設置されている店舗サーバ(ホールコンピュータ)12やパーソナルコンピュータから構成される端末装置(以下、「PC端末」という)19が接続されている。
ここで、本実施例でのPLC通信を用いた遊技ホール用ネットワークシステムにあっては、既存のホール内LAN11によるネットワークシステムにも接続可能なシステム構成にしていることにも特徴がある。以下、このホール内LAN11によるネットワークシステムと接続するための構成を、フロア(B1)に分電盤室(F)とホール内監視室(D)が設置されている遊技ホールを例にして説明する。
図1に示すように、PLC親機モデム(第1の親機モデム)13のイーサネット接続ポートが、PLC親機モデム(第2の親機モデム)14のイーサネット接続ポートに接続されている。さらに、PLC親機モデム14の電源接続ポートが、フロア入口分電盤3aから分岐された電力線4fに接続されている。このフロア入口分電盤3aは、島分電盤5を接続しているフロア入口分電盤3b、3c・・・とは異なるフロア入口分電盤であって、ホール内監視室(D)壁等に配設されたコンセント17等にAC100Vを供給する分電盤となっている。
ホール内監視室(D)の壁等に既に配設されているコンセント17には、PLC子機モデム18のAC100Vポートが接続されているとともに、PLC子機モデム18のイーサネット接続ポートがホール内LAN11に接続されている。なお、図1及び図3に示すコンセント17は、PLC親機モデム14と分電盤3aとを接続する電力線4fから分岐した既設の電力線4gに接続されているものである。
また、上記のPLC親機モデム13、PLC親機モデム14、第1分岐アダプタ15は、フロア入口分電盤3a、3b、3c、・・・を集中して配置しているフロア入口分電盤室(F)に設置される。これにより、これらの機器を繋ぐ配線工事が容易になるとともに、配線の長さを短くすることが可能になるので、伝送ロスも低減させることが可能となる。
また、たとえば既設のホール内LAN11に接続された店舗サーバ12及びPC端末19は、本実施例に係るPLC通信を用いた遊技ホール用ネットワークシステムと一体に接続することが可能になる。また、ホール内監視室(D)とフロア入口分電盤室(F)とが異なるフロアに配置されていても、ホール内監視室(D)のホール内LAN11とPLC親機モデム14とを繋ぐLANケーブルを新たに敷設する必要がなくなるというメリットもある。
さらに、ホール内LAN11は、WAN20を介して中央監視センタ(E)のセンタサーバ21と接続されるシステム構成とすることもできる。なお、センタサーバ21は、たとえば複数の店舗を集中して監視するために設けられているものである。
次に、上述した各種PLCモデムの構成例を、図4〜図7に基づいて説明する。図4はPLC親機モデム13、14、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・及び島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・の回路構成の一例を示すブロック図、図5はPLC子機モデム9の回路構成の一例を示すブロック図、図6はPLC子機モデム18の回路構成の一例を示すブロック図、図7はPLC中継機16の回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4においては、PLC親機モデム13、14、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・及び島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・の回路構成がほぼ同じであるため、PLC親機モデム13を代表させて説明するものとする。
(PLC親機モデム13の構成)
図4に示すように、PLC親機モデム13は、イーサネット(登録商標)のLANケーブル(100BASE−TX)と接続されるイーサPHY部31、イーサMAC部32、PLC・MAC部33、PLC・TX−PHY部34、D/A変換部35、ローパスフィルタ(LPF)部36、ドライバ(DV)部37、AC100Vの電力線と接続される回線結合部38、ゲインスイッチ(GSW)部39、バンドバスフィルタ(BPF)部40、A/D変換部41、PLC・RX−PHY部42、PLL制御部43、制御部44、電源部45等を有している。制御部44は、CPU44a、ROM44b、RAM44cを有している。
イーサPHY部31は、送信又は受信データのPHY層(Physical layer)を管理する回路部である。イーサMAC部32は、制御部44の制御に基づいて送信又は受信データのMAC層(Media Access Control layer)を管理する回路部である。PLC・MAC部33は、制御部44の制御に基づいて送信又は受信データについてPLCのMAC層を管理する回路部である。
PLC・TX−PHY部34は、PLC・MAC部33で処理したデータを送信用のデータとして処理する回路部である。D/A変換部35は、PLC・TX−PHY部34で処理したデータをD/A変換処理を行う回路部である。LPF部36はD/A変換部35で高周波アナログ信号に変換したデータについて、不要帯域を除去するフィルタ回路部である。なお、LPF部36で不要帯域を除去した高周波アナログ信号のデータは、DV部37により回線結合部38に送出され、回線結合部38により電力線に重畳される。このようにして、LANケーブル線(100BASE−TX)からイーサPHY部31に入力されたデジタルの信号データは、高周波アナログ信号に変換されて、回線結合部38からAC100Vを流す電力線に重畳されて送出される。
一方、電力線に重畳された高周波アナログ信号が回線結合部38に入力されると、回線結合部38にて高周波アナログ信号が分離されてGSW部39に送出され、GSW部39にてゲイン調整(増幅処理等)が行われる。GSW部39でゲイン調整された高周波アナログ信号は、BPF部40にて周波数の不要帯域が除去され、A/D変換部41でデジタル信号に変換される。A/D変換部41によりデジタル信号に変換されたデジタル信号は、PLC・RX−PHY部42によりPLC受信データとして処理され、PLC・MAC部33、イーサMAC部32、イーザPHY部31を経由してLANケールの100BASE−TX(10a)に送出される。
また、回線側ポートとなる回線結合部38は、通信線の端子とAC100Vを接続する2系統の端子を備え、内部スイッチによりこれら端子のいずれかを切り替えたり、混在使用したりすることができるようになっている。
制御部44は、ROM44bに記憶されている各種の制御プログラムにより、PLC親機モデム13の全体の動作の制御や、イーサMAC部32及びPLC・MAC部33の動作の制御を行う。電源部45は、各回路部にDC5V程度の直流電源を供給するためのAC−DCコンバータ等を備えている。
ここで、ROM44bには、次の処理を行う各種のプログラムが格納されている。
1)第1の同期信号を、所定の時間間隔、たとえば10ms〜50msの間隔で各PLC中継機16a、16b、・・・に伝送する処理を行う。各PLC中継機16a、16b、・・・はこの同期信号を受信すると、直ちにその同期信号に基づき同期を確立して、第2の同期信号をPLC中継機16a、16b、・・・の制御配下の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に伝送する。
2)サーバ12等から送信されたユーザデータがRAM44cに記憶されている場合、ポーリング制御に基づいて、そのユーザデータを島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に伝送する処理を行う。この処理においては、ROM44bに予め記憶している後述の図15(b)に示すポーリングテーブル(PT)を参照して、指示された島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・にPLC中継機16a、16b、・・・を介してユーザデータを伝送する。また、上り方向のユーザデータである、PLC中継機16a、16b、・・・を介しての島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・からのユーザデータを受信し、この受信したデータをサーバ12等に送信するための制御を行う。
3)PLC親機モデム13からPLC中継機16a、16b、・・・を介して多数の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・を呼び出す際のポーリング制御が行われるとき、データ伝送の衝突を回避するための制御(送信権の制御)を行う。このポーリング制御は、たとえばPLC親機モデム13が第1の同期信号をPLC中継機16aに伝送するとき、その第1の同期信号に送信権のアドレス情報を付加した後述のBC1信号(BC:ビーコン)をPLC中継機16aに送信する処理を行う。このアドレス情報が伝送路の送信権を示す情報となる。
なお、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・のROM44bには、次の処理を行う各種のプログラムが格納されている。
1)第3の同期信号を、所定の時間間隔、たとえば10ms〜50msの間隔で各PLC子機モデム9に伝送する処理を行う。各PLC子機モデム9はこの同期信号を受信すると、直ちにその同期信号に基づき同期を確立する。
2)サーバ12等から送信されたユーザデータがRAM44cに記憶されている場合、ポーリング制御に基づいて、そのユーザデータを島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に伝送する処理を行う。この処理においては、ROM44bに予め記憶している後述の図15(b)に示すポーリングテーブル(PT)を参照して、指示されたPLC子機モデム9にユーザデータを伝送する。また、上り方向のユーザデータである、PLC子機モデム9からのユーザデータを受信し、この受信したユーザデータをサーバ12等に送信するための制御を行う。この場合、受信したユーザデータをLANでのデータ伝送のフォーマットに従って島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に渡す。
(PLC子機モデムの構成)
図5に示すPLC子機モデム9は、上述したPLC親機モデム13とほぼ同じ構成となっているが、遊技機8とシリアル通信を行うためのRS232I/F(インタフェース)部31aを備えている点で相違している。また、回線側となる回線結合部38は、第2の分岐アダプタ7と通信線10dを介して接続するための端子を備えている点でも相違している。
一方、図6に示すPLC子機モデム18は、上述したPLC子機モデム9とほぼ同じ構成となっているが、PLC子機モデム9のRS232I/F(インタフェース)31aがイーサPHY31に置き換えられている点で相違している。
ここで、PLC子機モデム9のROM44bには、次の処理を行うプログラムが格納されている。すなわち、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・から伝送された第3の同期信号(後述のBC3信号)やアドレス情報の受信の処理を行う。また、上述したユーザデータがRAM44c記憶されている場合には、そのユーザデータを第3の同期信号に同期させて島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・に送信する処理を行う。ユーザデータとは、たとえば遊技機8で発生した大当りに関する情報や異常検出信号に係る情報等である。また、店舗サーバ12からPLC親機モデム13等を経由してユーザデータが送信された場合には、そのユーザデータを遊技機8に接続されているPLC子機モデム9に送信する処理を行う。さらに、PLC子機モデム9に接続されているたとえば遊技機8から緊急通報に関する情報が伝送されると、この情報を島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・に送信する処理を行う。
(PLC中継機の構成)
図7に示すPLC中継機16(16a、16b、・・・)は、図4に示したPLC親機モデム13とほぼ同じ構成であるが、回線側ポートとなる回線結合部38は通信線と接続するための端子とAC100Vを接続する2系統の端子を備え、内部スイッチによりこれらの端子のいずれかを切り替えたり、混在使用したりすることができるようになっている点で相違している。
PLC中継機16a、16b、・・・のROM44bは、次の処理を行う各種のプログラムを格納している。
1)PLC親機モデム13から受信した第1の同期信号(後述のBC1信号)を基に同期を確立し、制御配下の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に対して新たな第2の同期信号(後述のBC2信号)を送信する処理を行う。
2)島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・から受信したユーザデータをPLC親機モデム13に送信する処理を行う。また、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・から受信した緊急通報に係る情報をPLC親機モデム13に送信する処理を行う。この緊急通報に係る処理は、後述の特定中継機帯域を使って行う。
3)PLC親機モデム13から受信した送信権に係る情報(アドレス情報)を、後述の特定中継機帯域を用いて島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に送信する処理を行う。
(分岐アダプタの構成)
次に、第1分岐アダプタ15及び第2分岐アダプタ7の構成について説明する。従来から、伝送路を分岐する手段として2方向に分岐するトランスが実用化されているが、本実施例のようにネットワーク上に多数の遊技機8等を接続するためには、たとえば伝送路を4分岐以上と多数に分岐する手段を備えた分岐アダプタを用いる必要性が生じる。さらに、このよう分岐アダプタには、下記1)〜3)に記載の要求を満たすための機能を備えている必要がある。
1)伝送路を多数に分岐するので双方向分岐ロスが増大するが、これを最小化する。さらに、双方向のインピーダンス整合をとる。
2)AC100Vの電力線と結合可能にするとともに、トランスから構成された分岐アダプタを実現する場合には、一次と対地間、及び一次と二次間の絶縁が確保される構成にする。さらに、分岐アダプタの分岐後ポートの全てにPLCモデム(又はPLC中継機)が接続されている場合と、この分岐後ポートの一部にPLCモデム(又はPLC中継機)が接続されていない場合とで、終端抵抗が自動的あるいは手動で開放又は接続可能となる構成にし、上記した双方向(下り方向と上り方向)のインピーダンスの整合がとれるような構成にする。
3)最大2400台という多数の遊技機を接続するネットワークであるため、1本の伝送路を、最大16分岐を行うことができるような多分岐可能な構成にする。
図8は、4分岐の構成とした場合の第2分岐アダプタ7を示している。また、同図に示す各高周波トランスは1cm3 程度の小型形状に製造することが可能であり、さらに、これら複数の高周波トランスを基板に配置して回路を形成することにより、一つの分岐アダプタのユニットとすることができる。
同図に示す第2分岐アダプタ7は、5個のトランス素子(51−1)〜(51−5)を、ブリッジ構造からなる回路を形成するように接続して、4分岐の出力端子(分岐後ポート)を備えるとともに、4個のトランス素子(51−2)〜(51−5)のそれぞれの一次側となる分岐後ポートにPLC子機モデム9を接続している。
また、この第2分岐アダプタ7は、島入口PLC親機モデム31aの通信線10fに接続される、トランス素子(51−1)の一次側が分岐前ポートとされている。このトランス素子(51−1)の二次側の一方が、トランス素子(51−2)とトランス素子(51−4)の二次側の一方の連結点52aに接続されている。また、トランス素子(51−1)の二次側の他方が、トランス素子(51−3)とトランス素子(51−5)の二次側の他方の連結点52bに接続されている。
さらに、トランス素子(51−2)とトランス素子(51−4)の二次側の他方と、トランス素子(51−3)とトランス素子(51−5)の二次側の一方とが連結点53a、53bに接続されている。また、連結点53aと53bとが50Ωの抵抗54を介して接続されている。また、島分電盤5と接続するトランス素子(51−1)の一次側にはコンデンサ55が接続され、トランス素子(51−2)〜(51−5)の一次側にはコンデンサ55を介してPLC子機モデム9が接続されている。
このうような第2分岐アダプタ7においては、トランス素子(51−1)の一次側を分岐前ポートとして、AC100Vを供給する島分電盤5からの電力線4bと接続しても、コンデンサ52によりAC100Vはカットされて伝送データとなる高周波のみが分岐アダプタ内を流れるので、分岐によるロスが低減される。
さらに、ブリッジ構成となるようにトランス素子(51−1)〜(51−5)を接続しているので、第2分岐アダプタ7を構成するトランス素子(51−2)〜(51−5)の二次側及びトランス素子(51−1)の一次側は、いずれも上り方向と下り方向のインピーダンスが同一、すなわち、伝送路の下り及び上り方向の双方においてインピーダンスの整合をとることができる。
これにより、伝送路を4つに分岐しても分岐ロスを減少させることが可能となる。また、各トランス素子(51−1)〜(51−5)の一次側にコンデンサ55を接続し、これら一次側を外部機器等と接続する構成としているので、分岐アダプタの耐圧を確保することも可能となる。
なお、同図に示す第2分岐アダプタ7において、トランス素子の一次側のいずれか、たとえばトランス素子(51−5)にPLC子機9を接続する必要がない場合は、図9に示すように、トランス素子(51−5)の一次側に50Ωの終端抵抗56を接続することで、上記したインピーダンスの整合をとることができる。
また、図8に示すように、ブリッジ構成をなすように接続したトランス素子(51−1)〜(51−5)を一つのブリッジ構成パターンとし、このブリッジ構成パターンを4つのブリッジ構成とするように連結すると、後述の図20に示すような16分岐を備えた分岐アダプタを構成することができる。
次に、フロア入口分電盤3a、3b、3c、・・・の構成について説明する。なお、フロア入口分電盤3a、3b、3c、・・・は、それぞれほぼ同じ構成とされているため、以下においてはフロア入口分電盤3bを代表して説明するものとする。
まず、図10に示すように、屋上の分電盤2からフロア入口分電盤3bには、一般に1本の中性線L0と100Vの電位差がある電線L1、L2とで構成される単層3線が配線されている。また、単相3線にはA相とB相とが形成される。この場合、PLC親機モデム13→第1分岐アダプタ15→PLC中継機16→フロア入口分電盤3b→島分電盤5→島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・→島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・第2分岐アダプタ7→PLC子機モデム9へと、通信線10b、10c、10d、10e等や電力線4e、4b、4c等による伝送路が形成される。その際、PLC子機モデム9は、配線工事において互いに異なるA相とB相に接続されることで、それぞれの相の異なるものが混在してしまうことになる。
また、第1分岐アダプタ15を経由して異なるA相とB相に接続された島入口PLC子機モデム30aが存在すると逆相ロスが発生するので、特定の島入口PLC子機モデム30aは通信不能になる現象が発生する。そこで、本実施例では、フロア入口分電盤3bとPLC中継機16a、16b、・・・及び島分電盤5との接続を、図10に示すような構成としている。
すなわち、同図は、フロア入口分電盤3bを32分岐の構成とし、16分岐のA相及びB相の電線L1、L2と、中性線L0とにブレーカが接続される構成を示している。このような32分岐構成のフロア入口分電盤3を用いた場合、A相(同相)とB相(逆相)のそれぞれの中点に第1分岐アダプタ15及び島分電盤5を接続するようにする。なお、A相(同相)とB相(逆相)のそれぞれの中点とは、A相側に配置した16個の分岐点の中央に位置する分岐点となるブレーカ(a8)の位置と、B相側に配置した16個の分岐点の中央に位置する分岐点となるブレーカ(b8)の位置、すなわちA相側に配列された分岐点の中央部と、B相側に配列された分岐点の中央部である。
このように、フロア入口分電盤3bのA相(同相)とB相(逆相)のそれぞれの中点にPLC中継機16及び島分電盤5を接続すると、フロア入口分電盤3bの分岐ロスを最小化することが可能になる。また、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・及び島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・と電力線を介して接続されるPLC子機モデム9は、4分岐の第2分岐アダプタ7経由で同相と逆相とが接続されての逆相接続による混在がなくなるので、逆相接続に伴うロスをなくすることが可能となる。
なお、図11は、フロア入口分電盤3bを3線で配線する場合の例を示している。この場合も、16分岐の中点となるブレーカ(8)にPLC中継機16又は島分電盤5を接続することで、分岐ロスを最小化したり、PLC子機モデム9の逆相接続に伴うロスをなくしたりすることが可能となる。
次に、島分電盤5と島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・との接続方法について、図12及び図13に基づいて説明する。
図12は、3線配線により、32分岐(片側16分岐)の島分電盤5から最も近い位置に配置されたコンセントに電力を供給する電力線4(ブレーカ(a1)とブレーカ(b1)に接続された電力線)の双方に、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・のいずれかかのAC100V接続ポート(回線側)が接続された場合を示すものである。
また、図13は、2線配線により、16分岐の島分電盤5から最も近い位置に配置されたコンセントに電力を供給する電力線4(ブレーカ(1)に接続された電力線)に島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・のいずれかのAC100V接続ポート(回線側)が接続された場合を示すものである。
これらの図のように、島分電盤5から配線された遊技機島内のコンセントのうち、島分電盤5から最も近い位置に配置されたコンセントに島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・のいずれかかのAC100V接続ポート(回線側)が接続されるようにすると、遊技機島内の分岐ロスが最小化されるとともに、PLC親機モデム13との逆相ロスもなくすることが可能となる。なお、遊技機島に分電盤を設置する必要がない場合には、フロアの分電盤3bから分岐して遊技機島内に設置した最初のコンセントに島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・のいずれかかのAC100V接続ポート(回線側)を接続するようにしてもよい。
次に、PLC親機モデム13、PLC中継機16a、16b、・・・、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・間のデータ伝送について説明する。
上述したように、PLC親機モデム13は所定の時間間隔毎である、たとえば10ms〜50msの範囲内の特定の時間間隔で、クロックパルスとなる同期信号T1、T2、・・・を各PLC中継機16a、16b、・・・に送信する。そして、PLC中継機16a、16b、・・・は、PLC親機モデム13から受信した同期信号を基に同期を確立し、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に対してその同期に合わせた同期信号を送信する。このとき、このPLC中継機16a、16b、・・・から島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・への同期信号は、直交周波数分割多重方式(OFDM)により符号分割多重及び周波数分割多重されて伝送される。このOFDM方式においては、たとえば周波数は16分割とし、符号は4分割としている。
図14は、PLC親機モデム13→PLC中継機16a、16b、・・・→島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・の間でのデータ伝送に用いられる第1のマスタフレームの構成の一例を示す図である。同図に示す第1のマスタフレームは、同期信号送信帯域と、緊急通報のために使用する緊急通報帯域(イベントフラグ(IF)伝送帯域)と、共有帯域となるユーザデータ伝送帯域(ユーザデータ(UD)の伝送帯域)とを有している。また、同期信号送信帯域は、同期信号帯域と特定中継機帯域とを有している。
同期信号帯域は、第1の同期信号となるBC1信号(ビーコン信号)及び第2の同期信号となるBC2信号(ビーコン信号)の送受信に用いられる帯域となっている。BC1信号はPLC親機モデム13とPLC中継機16a、16b、・・・との間でのデータ送受信に使用され、BC2信号はPLC中継機16a、16b、・・・と島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・との間でのデータ送受信を行うための基準となる同期信号を送信するために使用される。
なお、このBC1信号には、第1の同期信号の他に、PLC親機モデム13が設定した送信権に関する情報、すなわち、ポーリング制御を行うためのアドレス情報等が含まれる。このBC1信号に含まれるアドレス情報は、PLC親機モデム13とPLC中継機16a、16b、・・・との間におけるデータ伝送の送信権を設定するための情報となり、第1の送信権タイムスロットになる。また、BC2信号は、PLC中継機16a、16b、・・・がPLC親機モデム13から受信した第1の同期信号に基づいて同期を確立し、PLC親機モデム13と同期を確立した状態で、新たな同期信号(第2の同期信号)を島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に送信するために使用される。
また、特定中継機帯域には、PLC中継機16a、16b、・・・と島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・との間の送信権に関する情報が含まれる。すなわち、その特定中継機帯域は、PLC親機モデム13から伝送されたアドレス情報を島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に送信するための帯域として使用されるものであり、第2の送信権タイムスロットとなる。
なお、BC2信号は、符号4分割とされることで、4個の異なるビーコン信号であるBC2A信号、BC2B信号(図示せず)、BC2C信号(図示せず)及びBC2D信号が送受信されるとともに、周波数16分割とされることで、各BC2A信号、BC2B信号、BC2C信号及びBC2D信号毎に、16種類のBC2A信号(#1)〜BC2A信号(#16)、BC2B信号(#1)〜BC2B信号(#16)、BC2C信号(#1)〜BC2C信号(#16)及びBC2D信号(#1)〜BC2D信号(#16)が送受信される。
このように、第2の同期信号となるBC2信号は、全てのPLC中継機16a、16b、・・・の制御配下の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に同時送信されるので、多重しても分離できるように周波数分割と符号分割で多重している。また、特定中継機帯域は、PLC中継機16a、16b、・・・において、PLC親機モデム13からの送信権情報が送信される際に衝突を生じさせないようにするために設けられている。
また、特定中継機帯域は、PLC親機モデム13からの送信権情報を島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に転送する場合や、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・からイベント情報をPLC親機モデム13に転送する場合に使用される。
緊急通報帯域(イベントフラグ(IF)伝送帯域)は、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・がイベント情報(緊急通報に関する情報)を、PLC中継機16a、16b、・・・に緊急通報するために設けられている。PLC中継機16a、16b、・・・は、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・からのイベントフラグ(IF)を受信すると、特定中継機帯域を使用してそのイベント情報をPLC親機モデム13に伝送する。イベント情報としては、たとえば遊技機8に大当りが発生したときの大当りに関する情報、あるいは遊技機8が備えている各種のセンサが何らかの異常(たとえば不正行為に係る情報等)を検出したときに、その不正情報に関する情報等であり、そのデータ長は数バイト(byte)と短くすることが望ましい。
なお、この不正情報の検出に際しては、遊技機8に設置されている、たとえば遊技機8の扉が開いたことを検出する光電あるいは接触式の検出センサ、磁石の磁力を検出する磁気センサ、遊技機8の振動を検出する3軸加速度センサ等の振動検出センサが検出した検出信号を用いることができる。
データ伝送の共有帯域は、店舗サーバ12あるいはPC端末19から伝送要求されたユーザデータ(UD)が、下り方向となる店舗サーバ12(又はPC端末19)→PLC子機モデム18→第2のPLC親機モデム14→PLC親機モデム13→PLC中継機16a、16b、・・・→島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・→島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・→PLC子機モデム9に伝送するための帯域となる。
また、そのデータ伝送の共有帯域は、PLC子機モデム9が遊技機8から受信したユーザデータ(UD)が、上り方向となる島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・→島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・→PLC中継機16a、16b、・・・→PLC親機モデム13→第2の親機モデム14→PLC子機モデム18→店舗サーバ12(又はPC端末19)に伝送するための帯域となる。ただし、PLC子機モデム18とPLC親機モデム14の回線と、PLC親機モデム13〜PLC中継機16a、16b、・・・〜島入口PLC子機モデム30a、30b間の回線と、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9間の回線とは、それぞれ独立している。このように、データ伝送の共有帯域は、下り方向と上り方向とでユーザデータ(UD)を伝送するときに共通して使用される帯域とされているため、マスタフレーム内の帯域の多くを使用することにより、データ伝送の実効速度を高める場合に有効となる。
(ポーリングテーブルの構成)
本実施例でのポーリング制御は、PLC親機モデム13が所定の時間間隔で伝送する第1の同期信号T1、T2、T3、・・・に基づき、PLC中継機16a、16b、・・・と島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・とが同期を確立した状態で実行される。このポーリング制御を実行するためには、PLC親機モデム13が島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・をポーリングする順番(順序)を設定したアドレス情報(以下、「ポーリングテーブル」という)を必要とする。
図15(a)は、PLC親機モデム13、複数のPLC中継機16a、16b、・・・及び複数の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・のアドレス情報である、それぞれを識別するためのPLC機種識別情報と、各PLC中継機16a、16b、・・・と島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・との接続関係等を示すものである。
ここで、アドレス情報となる識別番号が、PLC親機モデム13、PLC中継機16a、16b、・・・、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・のデータ伝送の送信権を示す情報となり、特定の親機モデム13、特定のPLC中継機16a、16b、・・・及び特定の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・を特定するアドレス情報となる。
すなわち、2ビットからなるPLC機種識別情報(at1)として、PLC親機モデム13には[00]を、PLC中継機16a、16b、・・・には[01]を、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・には[10]を設定している。また、PLC中継機16a、16b、・・・は複数設置されているので、設置台数に対応して、各PLC中継機16a、16b、・・・に16進数表示で(01)〜(3F)内のいずれかの6ビットからなる識別番号(at2)を設定している。この場合、3F=63であるため、PLC中継機16a、16b、・・・は最大63台設置可能であることを示している。
同様に、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・は複数設置されているので、それぞれの島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・には16進数表示で(00)〜(FF)内のいずれかの8ビットからなる識別番号(at3)を設定している。この場合、FF=255であるため、1台のPLC中継機16a、16b、・・・に対して最大256台設置可能であることを示している。
よって、PLC中継機16a、16b、・・・の識別番号(at2)が[01]の制御配下にある島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・において、この島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・の識別番号(at3)が[00]の場合にはそのアドレス情報を2進数で、PLC親機モデムを[00]、PLC中継機16a、16b、・・・を[000001]、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・を[00000000]とした計16ビット(2バイト:1ワード)からなる情報として表現することができる。この2バイトで表現される情報は、これら特定の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・の物理的アドレス(アドレス情報)を表すものとなると同時に、PLC中継機16a、16b、・・・と島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・との接続構成を示すものとなる。
そして、PLC親機モデム13がポーリング制御するために、上記した1ワードからなるアドレス情報をポーリング制御する順番にデータテーブルとして配列した情報をポーリングテーブル(PT)として、PLC親機モデム13のROM44bに予め登録しておく。図15(b)に、このポーリングテーブル(PT)のデータ構成の一例を示している。
すなわち、PLC親機モデム13、PLC中継機16a、16b、・・・及島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に識別情報を設定すると、たとえばPLC中継機30aの識別情報(at2)が[01]の制御配下にある島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・において、この島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・の識別情報(at3)が[00]の場合には、PLC親機モデム13とたとえばPLC中継機16aとPLC中継機16a、16b、・・・との繋がりを一つの装置とみなす。この場合、1台のPLC親機モデム13は、機種識別情報が2ビットの[00]なので、これに6ビットの[0000001]と8ビットの[00000000]を並べた16ビット(2バイト:1ワード)の固有の識別情報として表すことができる。この2バイトの識別情報は、図15(b)のポーリングテーブルPTの順番1の欄に示されているようになる。
同様にして、6ビットの識別情報[000001]で表されるたとえばPLC中継機16aの固有の識別情報は、機種識別情報が[01]なので、これに6ビットの識別情報[000001]と8ビットの[00000000]を並べた16ビット(2バイト:1ワード)を固有の識別情報として表すことができる。この2バイトの識別情報が、図15(b)のポーリングテーブルPTの順番2の欄に示されているとおり、PLC中継機#1の固有の識別情報となる。
同様に、PLC中継機#1の制御配下にあり、8ビットの識別情報[00000000]で表されるたとえば島入口PLC子機モデム30a(#0)の固有の識別情報は、機種識別情報が[10]なので、これに6ビットの識別情報[000001](PLC中継機#1の制御配下にあることを示す)と8ビットの[00000000]を並べた16ビット(2バイト:1ワード)を固有の識別情報として表すことができる。この2バイトの識別情報が、図15(b)のポーリングテーブルPTの順番3の欄に示されているとおり、PLC子機#1の固有の識別情報となる。
PLC親機モデム13が図15(b)に示すポーリングテーブル(PT)に基づいて、ポーリング制御を行う手順例を説明すると、次のようになる。
1)最初に、図15(b)に示す順番1で示される2バイトのアドレス情報(PLC親機モデム13の固有の識別情報)を、ビーコンBC1信号とともにPLC中継機16a、16b、・・・に伝送する。そして、PLC中継機16a、16b、・・・は、このアドレス情報を受信すると、ビーコンBC2信号を制御配下の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に伝送する。
2)続いて、PLC親機モデム13は、図15(b)に示す順番2で示される2バイトのアドレス情報(PLC中継機#1の固有の識別情報)を、ビーコンBC1信号とともにPLC中継機16a、16b、・・・に伝送する。そして、PLC中継機16a、16b、・・・は、このアドレス情報を受信すると、ビーコンBC2信号を制御配下のPLC中継機16a、16b、・・・に伝送する。
3)続いて、PLC親機モデム13は、図15(b)に示す順番3で示される2バイトのアドレス情報(PLC子機機#1の固有の識別情報)を、ビーコンBC1信号とともにPLC中継機16a、16b、・・・に伝送する。そして、PLC中継機16a、16b、・・・は、このアドレス情報を受信すると、ビーコンBC2信号を島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に伝送する。このときPLC中継機16a、16b、・・・は、受信したアドレス情報の上位8ビットが自局の固有の識別情報の上位8ビットと該当するか否かを判定し、該当した場合には、特定中継機帯域を用いてPLC親機モデム13から受信した16ビットのアドレス情報を制御配下の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に伝送する。そして、このPLC中継機16a、16b、・・・の制御配下の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・は、アドレス情報を受信すると、制御プログラムによりこの受信したアドレス情報が自分の固有の識別情報(16ビット)と一致するか否かを判定する。この判定処理で一致した場合には、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・は自局に送信権が付与されたと判定し、RAM44cに記憶している遊技機8(端末装置)からのユーザデータを、そのユーザデータの伝送帯域を用いてPLC中継機16に送信する処理を行う。
4)続いて、PLC親機モデム13は、図15(b)に示す順番4で示される2バイトのアドレス情報(PLC中継機#1の固有の識別情報)を、ビーコンBC1信号とともにPLC中継機16a、16b、・・・に伝送する。そして、PLC中継機16a、16b、・・・は、このアドレス情報を受信すると、ビーコンBC2信号を島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に伝送する。このときPLC中継機16a、16b、・・・は、受信したアドレス情報の168ビットが自局の固有の識別情報の16ビットと一致するか否かを判定し、一致した場合には、送信権が付与されたと判定して、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・から受信したユーザデータを、ユーザデータの伝送帯域を用いてPLC親機13に送信する処理を行う。PLC親機13はこのユーザデータを受信すると、このユーザデータを直ちに第2のPLC親機モデム14に伝送する処理を行う。
5)以下、上記の手順でPLC親機モデム13は、図15(b)に示すポーリングテーブルPTにより設定されている順番に従ってポーリング制御を繰り返して行う。
図16は、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・→PLC子機モデム9の間でのデータ伝送に用いられる第2のマスタフレームの構成の一例を示す図である。同図に示す第2のマスタフレームは、上述した第1のマスタフレームとほぼ同じように、同期信号送信帯域(第2の同期信号送信帯域)と、緊急通報のために使用する緊急通報帯域(イベントフラグ(IF)伝送帯域)と、共有帯域となるユーザデータ伝送帯域(ユーザデータ(UD)の伝送帯域)とを有しているが、同期信号送信帯域におけるBC3信号(ビーコン信号)が上述したBC1信号(ビーコン信号)とは非同期となっている点で相違している。
ここで、BC3信号は、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9との間でのデータ送受信に使用される。また、このBC3信号には、同期信号の他に、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・が設定した送信権に関する情報、すなわち、ポーリング制御を行うためのアドレス情報等が含まれる。
緊急通報帯域(イベントフラグ(IF)伝送帯域)は、PLC子機モデム9がイベント情報(緊急通報に関する情報)を、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・に緊急通報するために設けられている。島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・は、PLC子機モデム9からのイベントフラグ(IF)を受信すると、そのイベントフラグ(IF)をLANでのデータ伝送のフォーマットに従って島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に渡す。ここで島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に渡されるデータは、たとえばショートパケットとされる。ちなみに、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・から島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・にLANでのデータ伝送のフォーマットに従って渡されるユーザデータ(UD)は、ロングパケットとされる。
なお、この不正情報の検出に際しては、上述したように、遊技機8に設置されている、たとえば遊技機8の扉が開いたことを検出する光電あるいは接触式の検出センサ、磁石の磁力を検出する磁気センサ、遊技機8の振動を検出する3軸加速度センサ等の振動検出センサが検出した検出信号を用いることができる。
データ伝送の共有帯域は、上述したように、店舗サーバ12あるいはPC端末19から伝送要求されたユーザデータ(UD)が、下り方向となる店舗サーバ12(又はPC端末19)→PLC子機モデム18→第2のPLC親機モデム14→PLC親機モデム13→PLC中継機16a、16b、・・・→島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・→島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・→PLC子機モデム9に伝送するための帯域となる。
また、そのデータ伝送の共有帯域は、PLC子機モデム9が遊技機8から受信したユーザデータ(UD)が、上り方向となる島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・→島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・→PLC中継機16a、16b、・・・→PLC親機モデム13→第2の親機モデム14→PLC子機モデム18→店舗サーバ12(又はPC端末19)に伝送するための帯域となる。このように、データ伝送の共有帯域は、下り方向と上り方向とでユーザデータ(UD)を伝送するときに共通して使用される帯域とされているため、マスタフレーム内の帯域の多くを使用することにより、データ伝送の実効速度を高める場合に有効となる。
図17(a)は、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・及び複数のPLC子機モデム9のアドレス情報である、それぞれを識別するためのPLC機種識別情報と、各島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9との接続関係等を示すものである。
ここで、アドレス情報となる識別番号が、上記同様に、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9との間のデータ伝送の送信権を示す情報となり、特定のPLC子機モデム9を特定するアドレス情報となる。
図17(b)は、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・がPLC子機モデム9をポーリング制御するためポーリングテーブル(PT)のデータ構成の一例である。
すなわち、上記同様に、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9に識別情報を設定すると、たとえば島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・の識別情報(at1)が[00]の制御配下にあるPLC子機モデム9において、このPLC子機モデム9の識別情報(at3)が[00]の場合には、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9との繋がりを一つの装置とみなす。この場合、1台の島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・は、機種識別情報が2ビットの[00]なので、これに8ビットの[00000000]を並べた16ビット(2バイト:1ワード)の固有の識別情報として表すことができる。この2バイトの識別情報は、図17(b)のポーリングテーブルPTの順番1の欄に示されているようになる。なお、識別情報(at2)が[00]は、PLC中継機16a、16b、・・・無しを示している。
そして、上記同様の手順で島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・は、図17(b)に示すポーリングテーブルPTにより設定されている順番に従ってポーリング制御を繰り返して行う。
(ポーリング制御の手順)
次に、ポーリング制御の手順を、図18に示すタイムチャートに基づいて説明する。同図は、PLC親機モデム13が所定の時間間隔で送出する第1の同期信号T1、T2、T3、・・・に基づいて同期を確立し、PLC親機モデム13から、複数のPLC中継機16a、16b、・・・のうちのPLC中継機16aを経由し、PLC中継機16aの制御配下にある島入口PLC子機モデム30a、30bがポーリング制御される場合を示している。
まず、PLC親機モデム13は、第1の同期信号T1、T2、T3、・・・に基づいて、予め設定された上述のポーリングテーブル(PT)を参照し、PLC中継機30aを経由し全ての島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に対して、順次、ユーザデータ伝送のポーリング制御を行う。このポーリング制御を実施する手順は、下記の(手順1)〜(手順6)の順で実施することができる。なお、このポーリング制御は、PLC親機モデム13、PLC中継機16aの各ROM44bに記憶されている制御プログラムに従って実行される。
(手順1)
PLC親機モデム13は、第1の同期信号となる同期信号T1をBC1信号として、各PLC中継機16a、16b、・・・に伝送する処理を行う。このとき、BC1信号に含まれるアドレス情報がPLC中継機16aを示すものであると、PLC中継機16aが自分に該当するか否かを判定することで、BC1信号に含まれるアドレス情報を識別できる。
図18に示す例は、PLC親機モデム13がPLC中継機16aを中継して島入口PLC子機モデム30aをポーリングする例を示している。この場合、PLC親機モデム13が同期信号T1に同期させて、この同期信号T1と上記の処理で求めたアドレス(送信権)情報とをBC1信号とし、マスタフレームのBC1信号を送出するタイムスロット(第1の送信権タイムスロット)を利用して全てのPLC中継機16a、16b、・・・に伝送するが、BC1信号に含まれるアドレス情報がPLC中継機16aを示すものであるとき、PLC中継機16aが自分に該当するか否かを判定することで、BC1信号に含まれるアドレス情報を識別することになる。
(手順2)
PLC中継機モデム16aは、PLC親機モデム13からBC1信号を受信すると、(P2)に示すように、その第1の同期信号T1を基に同期を確立し、制御配下の全ての島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に対して第2の同期信号(BC2信号)を送信する。このBC2信号は、上述したように、直交周波数分割多重方式(OFDM)により伝送される。この場合、上述したように、全ての島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・がそのBC2信号に基づいて同期を確立することになる。
これにより、PLC親機モデム13と、PLC中継機16a、16b、・・・と、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・は、同一の時間軸で同一の送信権情報を共有することができるようになる。また、PLC中継機モデム16aは、PLC親機モデム13からユーザデータ(UD)が伝送された場合にはこのユーザデータ(UD)の受信処理を行う。
なお、上記した(手順2)の処理において、PLC中継機モデム16aがBC1信号帯域を利用してPLC親機モデム13から受信した送信権情報を、たとえば島入口PLC子機モデム30aに送信する場合、次のような処理を用いることができる。すなわち、PLC中継機モデム16aの制御プログラムは、親機モデムPLC13から伝送された送信権情報(島入口PLC子機モデム30aのアドレス情報)が自分及び制御配下の島入口PLC子機モデム30aに該当するか否かを判定することが可能となる。そして、該当すると判定した場合には、特定中継機帯域を使用することが可能となり、受信したアドレス情報をそのまま島入口PLC子機モデム30aへ伝送する。一方、該当しない場合には特定中継機帯域を使用せず、何も処理を行わないようにする。
(手順3)
PLC中継機モデム16aは、次の同期信号T2の受信に基づいて同期を確立し、新たな同期信号となるBC2信号を全ての島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に伝送する(P3)。このとき、上述したように、BC2信号に基づいて全ての島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・が同期を確立することになる。さらに、PLC中継機モデム16aは、特定中継機帯域のタイムスロットを利用してアドレス情報を自分の配下の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に伝送する。
(手順4)
図18に示す(P4)において、島入口PLC子機モデム30aが、PLC中継機モデム16aからの特定中継機帯域に含まれているアドレス情報を受信すると、そのアドレス情報が自分のアドレス情報に一致しているか否かを判定する。そして、一致していると判定した場合には、自分に送信権が与えられたと判定し、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・を介して遊技機8から何らかのユーザデータ(UD)を受信しているか否かを判定する。その判定結果、遊技機8からユーザデータ(UD)を受信していた場合には、(P5)に示すように、次の同期信号T3により確立したBC2信号に基づいて、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・を介して得られる遊技機8からのユーザデータ(UD)をマスタフレームのユーザデータ(UD)の伝送帯域を利用してPLC中継機16aに送信する処理を行う。
(手順5)
PLC中継機モデム16aは、上記(手順4)に基づいて島入口PLC子機モデム30aから上りのユーザデータ(UD)を受信すると(P6)、PLC親機モデム13の指示に従って受信したユーザデータを次の同期信号T4に同期させて、PLC親機モデム13に伝送する処理を行う(P7)。
(手順6)
PLC親機モデム13は、上記(手順5)の処理により、上りのユーザデータ(UD)を受信すると、受信したユーザデータ(UD)を、直ちに第2のPLC親機モデム14に図14で説明したマスタフレームとは独立したタイミングで伝送する処理を行う(P8)。そして、第2のPLC親機モデム14は、PLC親機モデム13からこれらのデータを受信すると、PLC子機モデム18に伝送する同期信号(第2のPLC親機モデム14のBC1信号)に同期させて、受信したユーザデータ(UD)をPLC子機モデム18に伝送する処理を行う。PLC子機モデム18は、受信した上りのユーザデータ(UD)をLAN11でのデータ伝送のフォーマットに従ってLAN11に送信する処理を行う。
この(手順6)の処理により、ホール内監視室(D)内に設置されている店舗サーバ12又はPC端末19は、遊技機8からの情報を取得することが可能となる。なお、PLC親機モデム13は、次の同期信号T5に基づいてポーリングテーブル(PT)を参照し、次のポーリング順番に相当するPLC子機モデム、たとえば島入口PLC子機モデム30bに対するポーリング制御を実行する。このようにして、PLC親機モデム13は、ポーリングテーブル(PT)に登録しているポーリング順番に従って、全ての島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に対するポーリング制御を繰り返して実行する処理を行う。
また、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9との間でのポーリング制御は、上述したポーリングとほぼ同じであるが、上述した第2のマスタフレームの第3の同期信号であるBC3信号に、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・が設定した送信権に関する情報、すなわち、ポーリング制御を行うためのアドレス情報等が含まれる点で相違している。よって、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9との間では、BC3信号に基づいて同期が確立され、自己のアドレス情報を受けたPLC子機モデム9が呼び出されることになる。また、PLC子機モデム9からたとえば島入口PLC親機モデム31aへユーザデータ(UD)が送られた場合、島入口PLC親機モデム31aがLANでのデータ伝送のフォーマットに従ってそのユーザデータ(UD)を島入口PLC子機モデム30aに渡すことになる。
このようなポーリング制御により、全てのPLC中継機16a、16b、・・・は、1台のPLC親機モデム13から伝送された同期信号に基づいて同期を確立し、このPLC親機モデム13と同期を確立した状態で第2の同期信号を制御配下の全ての島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に送信すると、全ての島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・はその第2の同期信号に基づきPLC中継機16a、16b、・・・と同期を確立し、また、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9との間では第3の同期信号に基づき同期を確立しているため、PLC通信を用いたネットワークシステムに2000台以上(最大2400台程度)の端末装置である遊技機8等を接続していても、実行速度を低下させずにデータ伝送を行うことができる。
(緊急通報の手順)
次に、遊技機8からの緊急通報について説明する。この緊急通報は、PLC親機モデム13がポーリングテーブル(PT)を参照し所定の順序で島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・をポーリングする制御に対して、島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・が島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・を介して遊技機8からの緊急通報に関する情報を受信したとき、送信権がなくても島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・の制御プログラムにより、その緊急通報に関する情報を、ネットワーク上で上位に位置するPLC中継機16a、16b、・・・を中継してPLC親機モデム13に緊急で通報するものである。
なお、この緊急通報に関する情報とは、上述したように、たとえば遊技機8に大当りが発生したときの情報、あるいは遊技機8に不正行為があったことなどを示す内容である。
図19は、島入口PLC子機モデム30aに、第1の同期信号T10に基づくBC2信号(第2の同期信号)を受信した後に、島入口PLC親機モデム31aを介して遊技機8からの緊急通報に関する情報(K)が入力されたことを示している。なお、島入口PLC子機モデム30aの制御プログラムは、島入口PLC親機モデム31aを介して遊技機8から大当り、異常信号、あるいはその他の情報が転送されると、受信した情報を一旦RAM44cに記憶し、店舗サーバ12又はPC端末19に緊急通報すべき情報であるか否かを判定する。この緊急通報すべき情報(K)であるか否かの判定は、たとえば島入口PLC親機モデム31aを介して遊技機8から送信される情報種別を判定することにより可能になる。
そして、緊急通報についての処理手順としては、次の(手順10)〜(手順15)のようになる。
(手順10)
島入口PLC子機モデム30aの制御プログラムは、島入口PLC親機モデム31aを介して遊技機8から受信した情報が緊急通報すべき情報(K)であると判定すると、図19の(K1)において、図14に示したイベントフラグ(IF)に関するデータを作成する処理を行う。このうち、イベントフラグ(IF)に関するデータとしては、たとえば大当りが発生したことを示す情報や大当りした遊技機8の遊技機番号に関する情報、あるいは不正行為等の異常の識別情報、PLC子機モデム9aのアドレス情報等である。
(手順11)
島入口PLC子機モデム30aは、図19に示す(K1)において、上記(手順10)の処理で作成したイベントフラグ(IF)に関するデータを直ちに、マスタフレームの緊急通報帯域(イベントフラグ(IF)帯域)のタイムスロットを利用してPLC中継機16aに送信する処理を行う。なお、イベントフラグ(IF)に関するデータは、大当りを示す情報、又は不正行為等の異常の識別情報のみとしてデータ容量を極力少なくすることが好ましい。また、遊技機8から緊急通報に係る情報(K)を受信したタイミングによっては、島入口PLC子機モデム30aが次の同期信号に基づくビーコンBC2信号に同期してPLC中継機16aに伝送するようにしてもよい。
(手順12)
島入口PLC子機モデム30aは、島入口PLC親機モデム31aを介してPLC子機モデム9aからイベントフラグ(IF)を受信すると(K2)、次の自局(PLC中継機モデム16a)への特定中継機帯域のタイムスロットに対するタイミングに同期させて、その受信したイベントフラグ(IF)に関するデータを、図14に示したマスタフレームの特定中継機帯域を使用してPLC親機モデム13に伝送する(K3)。この伝送処理において、PLC中継機モデム16aは、PLC親機モデム13に伝送した情報を、同時にPLC中継機16a、16b、・・・の制御配下の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・にも伝送する処理を行う。これにより、イベントフラグ(IF)をPLC中継機モデム16aに伝送した島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・の制御プログラムは、PLC中継機モデム16aがイベントフラグ(IF)をPLC親機モデム13に伝送したこと、すなわち、PLC中継機モデム16aのACK(Acknowledgement)を受信したと判定することができる。
(手順13)
PLC親機モデム13は、PLC中継機16aから上記した特定中継機帯域に基づいてイベントフラグ(IF)に関するデータを受信すると(K4)、受信したイベントフラグ(IF)に関するデータを直ちに第2のPLC親機モデム14に伝送する。第2のPLC親機モデム14はこの受信したイベントフラグ(IF)に関するデータを、第2のPLC親機モデム14のBC1信号に同期させてPLC子機モデム18に伝送する。そして、PLC子機モデム18はこのイベントフラグ(IF)に関するデータを、直ちに上位管理システムの店舗サーバ12又はPC端末19に送信する処理を行う。
(手順14)
上位管理システムの店舗サーバ12又はPC端末19は、イベントフラグ(IF)に関するデータを受信すると、このデータを解析して詳細なユーザデータ(詳細ユーザデータ(UD))の転送要求を行う必要があるか否かを判定する。ここでのイベントフラグ(IF)に関するデータには、イベントフラグ(IF)を転送したPLC子機モデム9aのアドレス情報と、大当りに関する情報、あるいは不正行為に係る検出信号が含まれているので、その情報の種別等を判定する処理を行う。そして、詳細ユーザデータ(UD)の転送要求が必要と判定された場合には、この転送要求のコマンドとPLC子機モデム9aのアドレス情報とを、PLC子機モデム18、第2のPLC親機モデム14を経由してPLC親機モデム13に伝送する処理を行う。
(手順15)
PLC親機モデム13は、上記(手順14)により、詳細ユーザデータ(UD)の転送要求を受信すると、図19の(K5)に示すように、ポーリング制御の順序を変更して、そのイベントフラグ(IF)を転送したPLC子機モデム9aに対するポーリング制御を実施し、上記(手順1)〜(手順6)に基づいて、イベントフラグ(IF)に係るユーザデータ(詳細ユーザデータ(UD))の転送要求を行う。
これにより、店舗サーバ12又はPC端末19が緊急通報に関する詳細ユーザデータ(UD)の要求を行うと、PLC親機モデム13は通常のポーリング制御の順番を変更して、その緊急通報に関するユーザデータ(UD)を取得することができる。また、緊急通報に関するユーザデータ(UD)を取得するに際しては、たとえば店舗サーバ12の指示に基づいて所定の時間毎に、ポーリング対象となるPLC子機モデム9aを集中してポーリング制御を行うようにしてもよい。
また、上述したように、店舗サーバ12又はPC端末19は、受信した緊急通報(イベントフラグ(IF))を解析する処理を行った結果、何らかの不正行為が発生したと判定すると、ホール内監視室(D)の監視者が監視カメラ等を作動させて異常発生状況を詳細に把握するための対策を行うことができる。この場合、上述したように、いずれかのPLC子機モデム9に監視カメラ(Webカメラ等)が接続されている場合、上述した手順でその監視カメラ(Webカメラ等)のアドレス情報と、監視カメラ(Webカメラ等)を撮影の向きを変えたり、ズームアップ又はズームアウトさせたりする制御のための情報をデータ伝送の共有帯域を用いて送信する。
また、この場合、監視カメラ(Webカメラ等)等に接続されるPLC子機モデム9からのユーザデータは、フロア内を撮影した画像情報とすることができるため、監視カメラ(Webカメラ等)の遠隔操作が可能となる。
なお、複数の遊技機8において、大当り、あるいは異常が同時に発生すると、上述したPLC子機モデム9からPLC中継機16a、16b、・・・に伝送される緊急通報の伝送において衝突が発生することがあり得る。この伝送の衝突を回避するためには、次のような衝突の回避方法を採用することができる。
すなわち、上述したデータ伝送のマスタフレームにおいて、緊急通報を行うための緊急通報帯域(イベントフラグ(IF)伝送帯域)は時間軸で分割した構成、たとえば時間軸を5個に分割した帯域から構成し、これらの帯域を使用して5つの緊急通報に対して同時に送信可能とする。
また、緊急通報に対する伝送の衝突を回避するために、PLC子機モデム9の制御プログラムにより、コンテンション・ウインドウサイズ(CW:Contention Window)の初期値として設定した値、たとえば「5」に基づいて、「1」〜「5」の5個の整数値の一つを乱数発生手段による抽選で選択する処理を行うようにする。そして、選択された整数値に対応付けして予め設定したイベントフラグ(IF)の伝送の時間帯域を用いて、イベントフラグ(IF)のデータをPLC中継機16a、16b、・・・に緊急通報として伝送する処理を行う。
さらに、上述した乱数発生手段を採用した緊急通報を行っても、PLC子機モデム9同士で伝送の衝突が発生する可能性がある。このPLC子機モデム9同士の衝突を回避するために、衝突が発生した場合のイベントフラグ(IF)の伝送を所定の回数、PLC中継機16a、16b、・・・に再送(再伝送)する処理を行うようにする。
また、再送を行う場合には、CWサイズを「5」から2倍の「10」に、さらに衝突が発生した場合には、2倍の「20」に設定する方法を採用して、伝送の衝突を回避するようにする。このように、CWサイズを2倍に設定すると、図14に示したマスタフレームの時間軸が10個に分割した帯域となり、10個の緊急通報が送信可能になる。このように、CWサイズを再送する毎に倍々に設定すると、再送の時間間隔が長くなるので伝送の衝突を回避することが可能になる。
なお、上述したPLC子機モデム9同士で緊急通報の衝突が発生したか否かの判定処理は、PLC子機モデム9の制御プログラムにより、PLC中継機16a、16b、・・・がイベントフラグ(IF)に係る情報をPLC親機モデム13に送信すると同時に送信されるACKの有無を判定することで、可能となる。
また、PLC子機モデム9からの緊急通報について、上述した方法を用いることにより、PLCネットワークに最大2400台の遊技機8等を接続しても、大当り、あるいは不正情報(緊急通報)をPLC子機モデム9から店舗サーバ12に2〜3秒以内に伝送することが可能となる。
このように、本実施例では、フロアの入口にPLC親機モデム13とPLC中継機16とを配置し、遊技機島の入口に島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・と狭帯域用の島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とを配置し、遊技機8に狭帯域用{K(キロ)帯域用}のPLC子機モデム9を配置し、さらに、PLC親機モデム13を第1分岐アダプタ15の分岐前ポートに接続し、該第1分岐アダプタ15の分岐後ポートにPLC中継機16を接続し、該PLC中継機16を島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に接続し、該島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・を島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・にLANケーブルで接続し、該島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・の電力線接続ポートを第2分岐アダプタ7の分岐前ポートに接続し、該第2分岐アダプタ7の分岐後ポートに、PLC子機モデム9を接続し、PLC中継機16を中継して行われるPLC親機モデム13と島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・との間のデータ伝送が、少なくとも同期信号を送信する第1の同期信号送信帯域と、PLC親機モデム、PLC中継機及び島入口PLC子機モデムで共有とされる第1のユーザデータの共有帯域とを有する構成とされる第1のマスタフレームに基づいて行われ、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9との間のデータ伝送が、少なくとも同期信号を送信する第2の同期信号送信帯域と、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・及びPLC子機モデム9で共有とされる第2のユーザデータの共有帯域とを有する構成とされる第2のマスタフレームに基づいて行われ、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・が遊技機8からの情報が含まれる第2のユーザデータを受け取り、該第2のユーザデータをLANでのデータ伝送のフォーマットに従って島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・に渡すと、該データがPLC中継機16との間での同期に合わせてPLC親機モデム13に伝送されるようにした。
この場合、フロアの入口のPLC中継機16と遊技機島の入口の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・との間に分岐アダプタが介在しないため、フロアの入口と遊技機島の入口との間での分岐ロスが低減されるため、フロアの入口と遊技機島の入口との間でのロスが異常に大きな場合に有効となる。
また、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・及びPLC子機モデム9を狭帯域用{K(キロ)帯域用}とすることで、それぞれの島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・及びPLC子機モデム9の内部構成部品を狭帯域用とすることができ、広帯域用の内部構成部品に比べて部品コストが安価となり、それぞれの島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・及びPLC子機モデム9を低コストのものとすることができる。この場合、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9との間でのデータ伝送の速度が、広帯域用の島入口PLC親機モデムとPLC子機モデムとの間でのデータ伝送の速度に比べて若干低下してもよいシステムに適用する。
また、PLC中継機16を中継して行われるPLC親機モデム13と島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・との間のデータ伝送のための第1のマスタフレームを、少なくとも同期信号を送信する第1の同期信号送信帯域と、PLC親機モデム13、PLC中継機16及び島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・で共有とされる第1のユーザデータの共有帯域とを有する構成とし、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9との間のデータ伝送のための第2のマスタフレームを、少なくとも同期信号を送信する第2の同期信号送信帯域と、島入口PLC親機モデム及びPLC子機モデムで共有とされる第2のユーザデータの共有帯域とを有する構成とし、第1のマスタフレーム及び第2のマスタフレームにおけるそれぞれの多くの帯域に第1のユーザデータ及び第2のユーザデータの共有帯域を割り当てることが可能となる。
このように、フロアの入口と遊技機島の入口との間での分岐ロスを低減し、さらにPLC中継機16を中継して行われるPLC親機モデム13と島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・との間のデータ伝送のための第1のマスタフレームと、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9との間のデータ伝送のための第2のマスタフレームとのそれぞれの多くの帯域に第1のユーザデータ及び第2のユーザデータの共有帯域を割り当てることが可能となることで、PLC親機モデム13と多数(最大2400台)のPLC子機モデム9とをPLC通信を用いたネットワークに接続しても、安定したデータの送受信とデータ伝送の実効速度の向上とを実現することができる。
また、本実施例では、第1の同期信号送信帯域を、PLC親機モデム13とPLC中継機16との間での同期をとるための第1の同期信号とPLC中継機16の送信権を設定するための情報とを送信するための第1の送信権タイムスロットと、第1の同期信号に基づき、PLC中継機16と島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・との間での同期をとるための第2の同期信号と島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・の送信権を設定するための情報とを送信するための第2の送信権タイムスロットとを有するようにし、第3の同期信号送信帯域を、島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・とPLC子機モデム9との間での同期をとるための第3の同期信号とPLC子機モデム9の送信権を設定するための情報とを送信するための第3の送信権タイムスロットを有するようにしているため、データ伝送の実効速度を向上させることができる。
この場合、PLC中継機16を中継してのPLC親機モデム13と島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・との間での同期の確立が第1の同期信号と第2の同期信号とによって行われるとともに、特に、第2の送信権タイムスロットを用いた島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・への第2の同期信号のデータ伝送を、直交周波数分割多重方式(OFDM)により行うことが可能となり、多数の島入口PLC子機モデム30a、30b、・・・の同期の確立を短時間で行わせることができる。また、第3の送信権タイムスロットを用いた島入口PLC親機モデム31a、31b、・・・からPLC子機モデム9への第3の同期信号のデータ伝送を、直交周波数分割多重方式(OFDM)により行うようにすると、多数のPLC子機モデム9の同期の確立を短時間で行わせることができる。
また、本実施例では、第1のマスタフレーム及び第2のマスタフレームに、遊技機8からPLC中継機16に送信される緊急通報に係る情報をPLC親機モデム13に伝送するための緊急通報帯域が設けられているようにすると、いずれかのPLC子機モデム9が遊技機8からの緊急通報に関する情報を受信したとき、送信権がなくても直ちにその緊急通報に関する情報を、ネットワーク上で上位に位置するPLC中継機16を中継してPLC親機モデム13に緊急で通報することができる。
なお、本実施例では、図8で示したように、第1分岐アダプタ15及び第2分岐アダプタ7を4分岐の構成とした場合として説明したが、この例に限らず、トランス素子(51−1)〜(51−5)を一つのブリッジ構成パターンとし、このブリッジ構成パターンを4つのブリッジ構成とするように連結した16分岐の構成とすることができる。
すなわち、図8のブリッジ構成をなす4つの高周波トランス素子(51−2)〜(51−5)を一つのブリッジ構成パターンとし、図20に示すように、そのブリッジ構成パターンを、4つのパターンP1〜P4とし、それぞれのパターンP1〜P4をブリッジ構成をなすように配置し、さらに1個の高周波トランス素子(51−1)を16分岐のアダプタの入力側として配置した構成とする。
そして、この16分岐の分岐アダプタは、4つのブリッジ構成パターンP1、P2、P3、P4を構成する16個の各高周波トランス素子(51−2)〜(51−17)の一次側を分岐後ポートとして、外部機器と接続するための16個の分岐端子とする。
この場合の接続方法は、次の通りとなる。
1)パターンP1を構成するトランス素子(51−2)と(51−4)の二次側の一方同士を導線で接続する。同様に、パターンP2を構成するトランス素子(51−10)と(51−12)の二次側の一方同士を接続するとともに、これら接続した導線の連結点(52a−1)と(52a−2)とを導線56aにより接続する。
2)パターンP3とP4についても、上記1)と同様に、連結点52b−3と52b−4とを設けて、これら連結点(52b−3)と(52b−4)とを介して接続する。
3)パターンP1を構成するトランス素子(51−3)と(51−5)の二次側の一方同士を導線で接続する。同様に、パターンP3を構成するトランス素子(51−6)と(51−8)の二次側の一方同士を接続するとともに、これら接続した導線の連結点(52b−1)と(52a−3)を導線56cにより接続する。
4)パターンP2を構成するトランス素子(51−11)と(51−13)の二次側の一方同士を導線で接続する。同様に、パターンP4を構成するトランス素子(51−14)と(51−14)の二次側の一方同士を接続するとともに、これら接続した導線の連結点(52b−2)と(52a−4)とを導線56dにより接続する。
5)導線56cと56dとを50Ωの抵抗54を介して接続する。
6)分岐アダプタの入力側として配置したトランス素子(51−1)の二次側の一方を導線56aに、同じく二次側の他方を導線56bに接続する。
7)4つのパターンP1〜P4を構成する各高周波トランス(51−2)〜(51−17)の一次側にはコンデンサ55を接続する。そして、他の回路構成は図7に示す構成と同じにする。
上記した回路構成からなる16分岐の分岐アダプタにおいて、4つのパターンP1〜P4を構成する高周波トランス(51−2)〜(51−17)の16個の一次側(分岐後ポート)に、外部機器、たとえば、図1に示す例ではPLC子機モデム9、あるいはPLC中継機16a、16b、・・・が接続される。また、分岐アダプタの分岐前ポートとなるトランス素子(51−1)の一次側には、島分電盤5あるいはPLC親機モデム13が接続される。