JP5238347B2 - 異種金属管の接続構造及び接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼製パイプと軽金属製パイプ等、異種金属管の接続技術に関し、特に、自動車用エアコンの冷媒回路に用いられる振動吸収管の接続構造及び接続方法に関する。
近年、車体の軽量化を目的として自動車用エアコンの冷媒回路の配管にはアルミニウム合金製配管が使用されているが、コンプレッサ等で発生する振動が配管を共振させ騒音を引き起こすおそれがある。そこで、配管の共振を抑制するために、従来はゴムと樹脂とからなる複合ホースが配管の途中に組み込まれて使用されていた。
ところで、自動車用のエアコンの冷媒として、オゾン層の破壊物質であるフロンに代えてHFC134aが多く用いられている。しかし、このHFC134aは、オゾン破壊係数はゼロであるが、地球温暖化係数が高く温暖化促進の原因となりつつある。このため、HFC134a代替物質として、温暖化係数の小さい、自然系冷媒であるCO冷媒を使用することが推奨されつつある。
ところが、CO冷媒を使用する場合、冷媒回路配管の耐熱温度がHFC134a冷媒の120〜140℃に対し140〜180℃を要するとともに、吐出圧力もHFC134a冷媒の1.7〜1.8MPaに対し13〜15MPaを要する。
このため、従来の様なゴムと樹脂とからなる複合ホースではこの様な高温高圧仕様には耐えられないため、代わってステンレス鋼製の蛇腹管を有する振動吸収管が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、このステンレス鋼製の振動吸収管は、管壁が金属製であるため従来のゴムと樹脂とからなる複合ホースに比して格段に優れた耐ガス透過性を有し、冷媒を外に漏らすことがない。従って、このステンレス鋼製の振動吸収管はCO冷媒のみならず、現状のHFC134a冷媒等に対しても冷媒の外気への漏洩量をゼロに近付ける目的で使用が進められている。
ところが、この振動吸収管を冷媒回路に組み込む際には以下の問題がある。即ち、振動吸収管の蛇腹部分は、加工性と強度の問題から現状ではステンレス鋼しか用いることができない。一方、冷媒回路配管は、車体の軽量化とコストを考慮するとステンレス鋼に変更することは困難であり、現状のアルミニウム(またはアルミニウム合金)製を用いることが必要とされている。従って、ステンレス鋼製の振動吸収管とアルミニウム製の配管とを接合する必要がある。
しかしながら、これらの金属製のパイプ同士を単に機械的に嵌合させたり、螺合させたりする方法によっては、信頼性のある高強度かつ高気密性を有する接合部を得ることは非常に難しい。また、アルミニウムとステンレス鋼とを溶接やロウ付けで接合すると、接合部に脆い金属間化合物が生成しやすいために、この場合も信頼性のある高強度かつ高気密性を有する接合部を得ることは非常に困難である。
尚、鉄系材料とアルミニウムとの接合方法として、鉄系材料からなる母材の表面に荒加工を施して凹凸を形成した後、アルミニウム層を仮形成し、このアルミニウム層を表面側から押圧しながら、高周波加熱することにより、Fe−Alの金属間化合物からなる拡散層を形成する方法が開示されている(特許文献2参照)。
しかしながら、この方法は金属間化合物からなる拡散層を形成することによって、母材表面の耐磨耗性や平滑度を向上させることを目的とするものであり、金属間化合物を形成する限り、信頼性のある高強度かつ高気密性を有する接続構造は得られない。
そこで、本発明者等は、係る問題を解決すべく既に異種金属管の接続構造を提案した。この先願発明に係る異種金属管の接続構造について、以下添付図4を参照しながら説明する。図4は、先願発明の実施形態に係るステンレス蛇腹管とアルミ管との接続構造を示す部分縦断面図である。
この先願発明に係る異種金属管の接続構造は、蛇腹15の外面に補強部13を有する金属蛇腹管Aと、この蛇腹管Aと材質の異なる金属管Bとが一体的に接続されてなるものである。
そして、前記蛇腹管A側の接続部は、その内側から外側に向かって蛇腹管Aの直管部11、ニップル12、蛇腹管Aの補強部13及び締結カラー14の順に嵌合、固着されて構成されており、且つ該ニップル12は該補強部13に接合された基部12-1と前記補強部13及び締結カラー14の端面より金属管B側に延出した接続端部12-2を有すると共に、該締結カラー14は同金属管B側に位置する小径部14-1とこれと連続して金属蛇腹管Aの蛇腹側に位置する大径部14-2とを有している。
一方、金属管B側の接続部は、金属管Bの接続端部16とこの接続端部16の外側に固着されスリーブ17で構成され、該スリーブ17は同接続端部16に接合する基部17-1と前記金属蛇腹管A側に延出した嵌合端部17-2を有している。そして、前記金属管Bにおける前記スリーブ17の嵌合端部17-2が金属蛇腹管Aにおける締結カラー14の小径部14-1に外嵌されている。
更に、金属蛇腹管Aにおける補強部13及び締結カラー14の端面と金属管Bの接続端部16の端面とが当接または近接の状態で、同ニップル12)の接続端部12-2外面と同金属管Bの接続端部16内面が熱硬化性樹脂18により接着、固定されている(特許文献3)。
上記異種金属管の接続構造によれば、強度と気密性に優れる異種金属管接続構造が得られ、自動車用エアコンのCO2冷媒回路にも適用可能であるが、蛇腹管A側の接続部の製作には、前記締結カラー14の外周から加締めて、この締結カラー14と蛇腹管Aのニップル12とを補強部13を介して一体的に固着させる一方、この蛇腹管Aをアルミ管B側と接続する際にも、スリーブ17の外周から加締めて、このスリーブ17とアルミ管Bの接合端部16と蛇腹管Aのニップル12の接続端部12−2とを圧着して一体化する必要がある。
特開2002−195474号公報 特開平7−310161号公報 特許第4062325号公報
即ち、本発明は、上記先願発明において締結カラー14とスリーブ17の両部品を用い、別工程において夫々を加締めて締結しなくてはならないという問題に鑑みてなされたものであって、強度および気密性に優れ、しかも部品点数と工程とを減らしてより低コストに製作し得る、異種金属管の簡便な接続構造及び接続方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、第1の発明に係る異種金属管の接続構造が採用した手段は、蛇腹管の外周に補強部を有する金属蛇腹管と、この蛇腹管と材質の異なる金属管とが一体的に接続されてなる異種金属管の接続構造において、前記金属蛇腹管側の接続部は、この蛇腹管の端部が直管部をなしてニップルに接合され、このニップルは、内面に前記金属蛇腹管の直管部が接合されると共に外面に前記補強部を被覆された基部と、前記金属蛇腹管の直管部及び補強部の端面より金属管側に延出した接続端部とを有している。
一方、前記金属管側の接続部は、前記ニップルの接続端部が挿入可能な内径を有する接続端部と、この接続端部の外周に挿入されたスリーブとを有し、前記金属蛇腹管に接合されたニップルの接続端部が、前記金属管の接続端部に挿入され、更に、前記金属蛇腹管のニップルの基部に被覆された補強部と前記金属管の接続端部とを跨いで前記スリーブが外挿されると共に、前記金属蛇腹管のニップルの外面と前記金属管の接続端部の内面とが熱硬化性樹脂により接着されてなることを特徴とするものである。
第2の発明に係る異種金属管の接続構造が採用した手段は、第1の発明の異種金属管の接続構造において、前記スリーブ、前記金属管の接続端部及び前記金属蛇腹管のニップルの接続端部と、前記スリーブ、前記金属蛇腹管のニップルの基部及び両者間に介在する補強部とが夫々加締めにより締結されてなることを特徴とするものである。
第3の発明に係る異種金属管の接続構造が採用した手段は、第1又は第2の発明の異種金属管の接続構造において、前記金属蛇腹管がステンレス蛇腹管であり、前記金属管がアルミニウム管であることを特徴とするものである。
第4の発明に係る異種金属管の接続構造が採用した手段は、第1〜第3の発明のうちの何れか一つの発明の異種金属管の接続構造において、前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とするものである。
第5の発明に係る異種金属管の接続方法が採用した手段は、蛇腹管の外周に補強部を有する金属蛇腹管と、この蛇腹管と材質の異なる金属管とを一体的に接続する異種金属管の接続方法において、前記金属蛇腹管側の接続部は、この蛇腹管の端部を直管部をなしてニッルに接合し、このニップルは、内面に前記金属蛇腹管の直管部が接合されると共に外面に前記補強部が被覆された基部と、前記金属蛇腹管の直管部及び補強部の端面より金属管側に延出した接続端部とを有している。
一方、前記金属管側の接続部は、前記ニップルの接続端部が挿入可能な内径を有する接続端部と、この接続端部の外周に挿入されたスリーブとを有し、前記金属蛇腹管のニップルの外面と前記金属管の接続端部の内面との隙間に熱可塑性樹脂を介在させた後、前記金属蛇腹管に接合されたニップルの接続端部を、前記金属管の接続端部に挿入し、更に、前記金属蛇腹管のニップルの基部に被覆された補強部と前記金属管の接続端部とを跨いで前記スリーブを外挿し、前記金属管の接続端部及び前記金属蛇腹管の接続端部を加熱し、前記熱硬化性樹脂を硬化させて接着することを特徴とするものである。
第6の発明に係る異種金属管の接続構造が採用した手段は、第5の発明の異種金属管の接続方法において、前記スリーブ、前記金属管の接続端部及び前記金属蛇腹管のニップルの接続端部を加締めると同時に、前記スリーブ、前記金属蛇腹管のニップルの基部及び両者間に介在する補強部を加締め、その後、前記金属管と前記金属蛇腹管の接続領域を加熱し、前記熱硬化性樹脂を硬化させて接着することを特徴とするものである。
本発明により、強度および気密性に優れ、しかも部品点数と工程とを減らしてより低コストに製作し得る、異種金属管の簡便でコンパクトな接続構造及び接続方法を提供することができる。そして、ステンレス鋼製の蛇腹管とアルミニウム合金管を接続してなる異種金属管接続構造を、自動車用エアコンのCO冷媒回路に有利に適用することが容易となり、地球環境への負荷の低減と、車体の軽量化とを両立させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図1〜3を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係る典型的な実施形態であり、自動車用エアコンに用いられるCO冷媒回路の途中に、振動吸収管としてのステンレス鋼製の金属蛇腹管(以下、ステンレス蛇腹管あるいは蛇腹管と略称することがある)と回路配管としてのアルミニウム合金製金属管(以下、アルミ管と略称することがある)とを接続した本発明の好ましい接続構造を示したものである。そして、図2及び図3は接続前の各単体側の接続部の構造を示したもので、図2はステンレス蛇腹管側、図3はアルミ管側を示している。
そこで、図1の最終的な接続構造に至る製作方法を含めて、図2及び図3をもとに本発明の内容を詳細に説明して行く。
ステンレス蛇腹管Xは、図2の様に、中央部に形成されたステンレス製の蛇腹5、この蛇腹5の端部に形成された直管部1、並びにその外周に被覆して設けられたアラミド繊維のブレード層である補強部3とからなる。
そして、このステンレス蛇腹管X側の接続部は、前記蛇腹管Xを構成する蛇腹5の直管部1に接合されたステンレス製のニップル2を有している。このニップル2は、内面に前記蛇腹5の直管部1が接合されると共に外面に前記補強部3を被覆された基部2aと、前記蛇腹5の直管部1及び補強部3の端面より金属管側に延出した接続端部2bとを有している。そして、前記ニップル2の基部2aには、その外周に周溝4aが2列設けられ、接続端部2bの端側には、その外周に断面が鋸歯状の形状を有する鋸歯状溝4bが設けられている。
そして、蛇腹管X側の接続部の製作は、先ず、ニップル2の基部2aを、蛇腹5の直管部1の外面を覆う様にして、蛇腹5の先端に当接するまで嵌入して嵌合させた後、前記ニップル2の内面と直管部1の外面、ニップル2の蛇腹5側の端面とこれに接する蛇腹面とをそれぞれロウ付けすることにより、ニップル2と蛇腹管Xとを接合する。
その後、ブレード機によりアラミド繊維を、前記ニップル2の基部2aまで被覆する様に編組することにより補強部3を設ける。尚、蛇腹管Xに、アラミド繊維をブレードする前に、蛇腹部の緩衝用として蛇腹の谷部にゴムまたは熱可塑性エラストマーが埋め込まれていても良い。また、前記補強部3が編組された後、
この補強部3の端部近傍の表面に接着剤を塗布しておくのが好ましい。この蛇腹管Xのニップル2を後述するアルミ管Yとスリーブ7に挿入する際、この補強部3の端部がほつれるのを防止できるからである。
この様な接着剤としては、補強部3を接着可能なものであれば特にその種類を限定するものではないが、自動車用エアコンの冷媒回路等高温に曝される用途に用いる場合は、耐熱性を有するアクリルゴム系接着剤等を用いるのが好ましい。
一方、アルミ管Y側の接続部は、図3の様にアルミ管Yの接続端部6とこの接続端部6の外周に挿入されたスリーブ7で構成されている。
このアルミ管Y側の接続部の製作は、先ず、アルミ管Yの端部を、前記ステンレス蛇腹管Xのニップル2の接続端部2bの外径よりも少し大きくなる様に拡径(拡管)処理を施して接続端部6を形成する。
次に、接続端部6の外径より少し大きな内径を有し、且つ前記ニップル2の全長より少し長めの長さを有するステンレス製のスリーブ7を準備する。
そして、アルミ管Yの接続端部6の外周にこのスリーブ7を挿入し、摺動可能に緩く嵌合する。スリーブ7は、アルミ管Yの接続端部6に嵌合する基部7aと、前記接続端部6から離脱、延出した端側の延出端部7bとが連続した形状を有しており、後述する様に、このスリーブ7の基部7aとアルミ管Y(接続端部6)が前記蛇腹管Xのニップル2の接続端部2bに、また、このスリーブ7の延出部7bが前記蛇腹管Xの補強部3を介してニップル2の基部2aに加締込まれて、前記アルミ管Yと蛇腹管Xが接続されるのである。
さて、この様にして製作準備されたステンレス蛇腹管X側並びにアルミ管Y側の接続部を一体的に接続する方法について、主として図1を用いて説明する。
先ず、ステンレス蛇腹管X側におけるニップル2の接続端部2bの外面に、ガラス転移点が140℃以上のエポキシ樹脂(接着剤)8を塗布する。塗布する領域は、本実施形態では接続端部2aの基部側の平滑面(先端側の鋸歯状を含めた接続端部2aの全面である必要はない)とする。
エポキシ樹脂(接着剤)8の塗布が終わると、蛇腹管Xとアルミ管Yの接続作業に先立ち、予め用意した熱収縮性を有するシリコーンゴムからなる電食保護チューブ9を、蛇腹管Xのニップル2から外挿し、図2の様に補強部3の後方の位置に、補強部3とは隙間ができるほど緩く装着しておく。
次いで、蛇腹管Xのニップル2に形成された接続端部4bを、アルミ管Yの接続端部6に挿入し、その端面がアルミ管Yの拡径された接続端部6の底部に当接する位置まで嵌入する。これに伴って、接続端部6に嵌合されたスリーブ7の延出端部7bも、蛇腹管Xのニップル2の外周を被覆した補強部3に外挿される。こうして、アルミ管Yの接続端部6と蛇腹管Xのニップル2に形成された接続端部4bとが、同時に、アルミ管Yのスリーブ7の延出端部7bと蛇腹管Xのニップル2の基部4aとが補強部3を介して、緩く嵌合した状態でセットされる。
この状態で、締結機(加締装置)により、スリーブ7の基部7aの外周面をその長さ方向の3箇所求心方向に加締めて、アルミ管Yの接続端部6の外面に圧着させる。符号10aはこの加締めによって、スリーブ7の外周に形成された3箇所の加締部を示すものである。
このスリーブ7の基部7aの加締めによって、軟らかいアルミ管Yの接合端部6外面が、硬いステンレスのスリーブ7の基部7a内面の形状に沿って塑性変形を起こして強固に圧着される。更に、アルミ管Yの接合端部6は、その内側のステンレス製のニップル2の接続端部2bの外面にも塑性変形を起こして圧着される。
特に、接合端部6の内面のアルミは、ニップル2の接続端部2bに形成された鋸歯状溝4bに食い込んだ状態で密着する。これらによって、ステンレス蛇腹管Xの接続部とアルミ管Yの接続部とは強固に締結されて、優れた接続強度が維持されることになる。
そして、スリーブ7の基部7aの加締めと同時に、締結機(加締装置)により、スリーブ7の延出端部7bの外周面をその長さ方向の1箇所求心方向に加締めて、スリーブ7の延出端部7bを補強部3を挟み込んで蛇腹管Xのニップル2の基部2aに圧着させる。符号10bはこの加締めによって、スリーブ7の外面に形成された加締部を示すものである。
このスリーブ7の延出部7bの加締めによって、スリーブ7とニップル2に挟まれた柔軟な補強部3は、前記スリーブ7の内周形状とニップル2の外周形状に従って変形する結果、ニップル2の基部2a外周に形成された周溝4aの形状に沿って拘束される。そのため、この補強部3の管軸方向に何らかの力が作用したとしても、その端部がスリーブ7からはみ出したり、ほつれたりすることがない。
また、スリーブ7の基部7aの加締めにより、ニップル2の接続端部2bの外面に塗布されたエポキシ樹脂8は、同接続端部2bに嵌合されたアルミ管Y側の接合端部6の内面との隙間全周に均一に流動、充填される。そして、この樹脂の充填領域は、図1に示す如く接続端部2bの平滑面の塗布領域から更に先端側に拡大され、鋸歯状溝4bの半分程度の位置まで達する。
従って、先願発明に係る接続構造(図4)において必要となっていた締結カラー14が不要となる上、この締結カラー14を補強部13を介してニップル12の基部12−1に加締める工程も必要なくなるので、材料コストと製作コストを低減可能となる。更に、上記構造におけるスリーブ17と締結カラー14との間の隙間がなくなり、接続領域の外形をフラット化させることができるため、外形の美観においても優れているといえる。
さて、前述のスリーブ7の加締めを終えた後に、補強部3の後方に装着しておいた電食保護チューブ9をアルミ管側に移動させて、前記蛇腹管Xのニップル2の基部2aに被覆された補強部3と前記アルミ管Yの接続端部6とを跨いで前記スリーブ7を外挿し、両管の接続領域及びその前後を十分覆うようにして装着する。尚、図1においてはこの電食保護チューブ9は下側のみ断面を図示し、上側は割愛している。
そして、この両接続部を140〜160℃で熱風加熱装置(オーブン)などにより加熱処理して上記隙間に充填したエポキシ樹脂を硬化させて、本発明のステンレス蛇腹管Xとアルミ管Yの接続が終了し、接続構造(継ぎ手)が完成することになる。
この加熱処理によって、接着強度の高い樹脂膜を形成され、このためアルミ管Yと蛇腹管Xのニップル2とは高い気密性を持って接続される。
このとき、装着された電食保護チューブ9も熱収縮し、両管の外面に密着し、外部から水などが接続領域のステンレスとアルミ間に侵入することによる電食腐食の発生を有効に防止する。
以上、図示の実施形態についてその概要説明を行ったが、更に、本発明の理解とその実施を容易にすべく、以下において他の実施形態との関連などを含め、本発明ついてより包括的な説明を加えることにする。
本発明において接続対象となる異種金属管については、一方(金属蛇腹管)は補強部を有する金属製の蛇腹管(所謂ベローズ管、コルゲート管を含む)で可撓性、伸縮性を備え、且つ補強部により耐圧性や耐久性が強化されたものである。他方(金属管)は蛇腹を有しない前記蛇腹管と材質の異なる通常の金属製の管である。
前者の材質については実施形態ではステンレス鋼を挙げているが、ステンレス以外の鋼は勿論、他の金属又はその合金でもかまわない。後者の材質についても、実施形態ではアルミ(アルミニウム)合金を挙げたが、アルミ以外の金属又は合金でも使用できる。
金属蛇腹管の補強部は実施形態にアラミド繊維をブレード式に蛇腹の外面に編み上げて層状に被覆したもの挙げたが、繊維についてはビニロン、ナイロン、ポリエステル、及び鋼線他各種のものが使用でき、また編み上げもブレード式に限定はされない。また、繊維以外の樹脂、ゴム系チューブを補強部として用いても差し支えない。
アルミ管Y側の接続部の製作に当って、実施形態ではその端部を拡径(拡管)処理する旨開示したが、こうした加工は蛇腹管X側の接続部の外径(ニップルの外径)によってその要否と加工の種類が決まるもので、このような事前加工を必要としない場合もあるし、また縮径処理(縮管)を必要とする場合もあり、本発明において上記拡径処理が必ずしも必須としないことは言うまでもない。
金属用蛇腹管のニップル外面とアルミ管の接合端部内面を接着するための熱硬化性樹脂8としては、実施形態で使用したエポキシ樹脂が接着強度に優れ、気密性を高く維持できるために好ましいが、他にも、ポリイミド樹脂などを挙げることができる。エポキシ樹脂としては、脂環型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、及びグリシジルアミン型などを例示することができる。
脂環型エポキシ樹脂としては、リサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、あるいはビニルシクロヘキセンジオキシドなどを例示することができる。また、ポリイミド樹脂としてはピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、あるいはベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)などが挙げられる。
また、熱硬化性樹脂8の特性として、接続管の高温下での接着強度、気密性を維持させるためには、ガラス転移点が高いものが良く、特に自動車用エアコンの冷媒回路として使用される場合は、120℃以上特に140℃以上のガラス転移点を持ったものを選択することが望ましい。
また、熱硬化性樹脂8の接着領域は、ニップル2外面とアルミ管接合端部6内面間の隙間全域とすることが好ましいが、実施形態の如く、アルミ管Yの接続端部6の端面からニップル2の接続端部2bの先端側に向かって、隙間全域に対して30%以上であれば何ら問題はない。
更に、係る熱硬化性樹脂8を、スリーブ7の延出端部7b内面とニップル2の基部2a外面との隙間に、補強部3を介して充填して接着することも、接続強度と気密性を一層高める意味でより好ましいといえる。
また更に、蛇腹管X側の接続部の製作に当たり、補強部3の端面の長さは、アルミ管Y側と接続した際に、図1に示す如く、アルミ管Y側の接続端部6の端面と重なることなく、多少隙間を生ずる程度の長さとしておくのが良い。この補強部3の端面長さが長すぎると、蛇腹管X側の接続端部2bをアルミ管Y側の接続端部6に挿入したとき、このアルミ管Y側の接続端部6の端面と接触してしわを生じ、スリーブ7を所定位置に外挿するのが困難になるためである。
同様な理由から、アルミ管Y側の接続部の製作に当たっても、接続端部6の長さは、蛇腹管X側と接続した際に、この蛇腹管X側の補強部3の端面と重なることなく、多少隙間を生ずる程度の長さとしておくのが良い。
次に、スリーブ7の加締めの方法について、前記実施形態ではその基部7aの外面を3段で、かつ延出端部7bの外面を1段で同時に行う場合を説明したが、これに限られず、平締めや順次加締める方法であっても良い。但し、製作工程の簡素化、前記樹脂の隙間(接着領域)での浸透や均一な充填、或いはニップル2のへたり等を考慮すると、実施形態の様に基部7aの外面を3段で、かつ延出端部7bの外面を1段で同時に行う加締めが最も優れている。
また、前記実施形態においては、ステンレス蛇腹管Xとアルミ管Yとの最終的な接続構造として、熱収縮性を有するシリコーンゴムで構成された電食保護チューブ9をステンレス蛇腹管Xとアルミ管Yとの接続領域の外周部に密着させたものを挙げた。この電食保護チューブ9は熱収縮による密着性が優れ、接続領域への水分の浸入などを確実に排除し、電食を防止しうるものであれば、シリコーンゴム以外の他のゴム(EPゴム、二トリルブタジエンゴムなど)や樹脂(ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリイミド、テフロン(登録商標)等)等を使用しても良い。
本発明の実施形態に係るステンレス蛇腹管とアルミ管との接続構造を示す部分縦断面図である。 本発明の実施形態に係るステンレス蛇腹管側の構造を示す部分縦断面図である。 本発明の実施形態に係るアルミ管側の構造を示す部分縦断面図である。 先願発明の実施形態に係るステンレス蛇腹管とアルミ管との接続構造を示す部分縦断面図である。
符号の説明
A:(ステンレス)蛇腹管, B:アルミ管,
1:蛇腹管の直管部,
2:(ステンレス)ニップル, 2a:ニップルの基部,
2b:ニップルの接続端部,
3:補強部,
4a:周溝, 4b:鋸歯状溝,
5:蛇腹, 6:アルミ管の接続端部,
7:スリーブ, 7a:スリーブの基部,
7b:スリーブの延出端部,
8:エポキシ樹脂, 9:電食保護チューブ,
10a,10b:加締部

Claims (4)

  1. 蛇腹管の外周に補強部を有する金属蛇腹管と、この蛇腹管と材質の異なる金属管とが一体的に接続されてなる異種金属管の接続構造において、
    前記金属蛇腹管側の接続部は、この蛇腹管の端部が直管部をなしてニップルに接合され、
    このニップルは、内面に前記金属蛇腹管の直管部が接合されると共に外面に前記補強部被覆された基部と、前記金属蛇腹管の直管部及び補強部の端面より金属管側に延出した接続端部とを有する一方、
    前記金属管側の接続部は、前記ニップルの接続端部が挿入可能な内径を有する接続端部と、この接続端部の外周に挿入されたスリーブとを有し、
    前記金属蛇腹管に接合されたニップルの接続端部が、前記金属管の接続端部に挿入され、
    更に、前記金属蛇腹管のニップルの基部に被覆された補強部と前記金属管の接続端部とを跨いで前記スリーブが外挿されると共に、
    前記スリーブ、前記金属管の接続端部及び前記金属蛇腹管のニップルの接続端部と、前記スリーブ、前記金属蛇腹管のニップルの基部及び両者間に介在する補強部と、が夫々加締めにより締結され、
    前記金属蛇腹管のニップルの外面と前記金属管の接続端部の内面とが熱硬化性樹脂により接着されてなることを特徴とする異種金属管の接続構造。
  2. 前記金属蛇腹管がステンレス蛇腹管であり、前記金属管がアルミニウム管であることを特徴とする請求項1に記載の異種金属管の接続構造。
  3. 前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の異種金属管の接続構造。
  4. 蛇腹管の外周に補強部を有する金属蛇腹管と、この蛇腹管と材質の異なる金属管とを一体的に接続する異種金属管の接続方法において、
    前記金属蛇腹管側の接続部は、この蛇腹管の端部直管部をなしてニッルに接合され
    このニップルは、内面に前記金属蛇腹管の直管部が接合されると共に外面に前記補強部が被覆された基部と、前記金属蛇腹管の直管部及び補強部の端面より金属管側に延出した接続端部とを有する一方、
    前記金属管側の接続部は、前記ニップルの接続端部が挿入可能な内径を有する接続端部と、この接続端部の外周に挿入されたスリーブとを有し、
    前記金属蛇腹管のニップルの外面と前記金属管の接続端部の内面との隙間に熱可塑性樹脂を介在させた後、前記金属蛇腹管に接合されたニップルの接続端部を、前記金属管の接続端部に挿入し、
    更に、前記金属蛇腹管のニップルの基部に被覆された補強部と前記金属管の接続端部とを跨いで前記スリーブを外挿し、
    前記スリーブ、前記金属管の接続端部及び前記金属蛇腹管のニップルの接続端部を加締めると共に、前記スリーブ、前記金属蛇腹管のニップルの基部及び両者間に介在する補強部を加締め、
    その後、前記金属管の接続端部及び前記金属蛇腹管の接続端部を加熱し、前記熱硬化性樹脂を硬化させて接着することを特徴とする異種金属管の接続方法。
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