JP5238149B2 - 固体ゲル状外用剤の製造方法 - Google Patents

固体ゲル状外用剤の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5238149B2
JP5238149B2 JP2006219901A JP2006219901A JP5238149B2 JP 5238149 B2 JP5238149 B2 JP 5238149B2 JP 2006219901 A JP2006219901 A JP 2006219901A JP 2006219901 A JP2006219901 A JP 2006219901A JP 5238149 B2 JP5238149 B2 JP 5238149B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
solid gel
external preparation
soluble metal
metal alcoholate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006219901A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007070354A (ja
Inventor
由布子 石川
一民 坂本
利彦 世喜
勲 矢島
俊 高橋
啓 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shiseido Co Ltd
Original Assignee
Shiseido Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shiseido Co Ltd filed Critical Shiseido Co Ltd
Priority to JP2006219901A priority Critical patent/JP5238149B2/ja
Publication of JP2007070354A publication Critical patent/JP2007070354A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5238149B2 publication Critical patent/JP5238149B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は固体ゲル状外用剤の製造方法、特に形態安定性及び使用性の改善された固体ゲル状外用剤の調製に関する。
化粧品や医薬品等の外用剤基剤においては、製品の剤型を保持するために種々の増粘剤やゲル化剤が用いられている。従来、水系基剤の増粘・ゲル化剤としては、例えば、寒天、ゼラチン等の天然水溶性高分子、ポリエチレングリコール、アクリル酸系ポリマー等の合成水溶性高分子等が、それぞれの目的や効果に応じて適宜選択して用いられている。
これらのうち、寒天等の天然水溶性高分子は、高温時に離水が生じてしまう等、広い温度範囲での形態安定性に乏しく、さらには指どれや塗布時の広がりが悪い等の使用性の問題があった。また、ポリエチレングリコール等の合成水溶性高分子は、そもそも流動性の粘性ゲルであるため、基剤を十分に固化することができず、さらには電解質の共存やpH変化による粘度低下が著しく、配合成分や製造工程が制限されてしまうという問題があった。
一方で、テトラエトキシシラン等のアルコキシシランは、アルコキシ基の加水分解によりシラノール基を生成し、さらにその脱水縮合によってシリカゲルを形成することが知られている。しかしながら、従来用いられているアルコキシシランのほとんどは水に不溶であるため、水中に添加してもそのままでは加水分解反応は進行せず、別途添加物を用いる必要があり、水性基剤のゲル化には適していない。なお、近年、多価アルコールを置換した水溶性のシラン誘導体の単純混合水溶液が、モノリス状の固体シリカゲルを生成することが見出されており、例えば、クロマトグフィー用シリカゲルの前駆体、あるいは酵素等の生体成分を固定化したバイオセンサー等への応用についての報告がなされている(例えば、特許文献1,及び非特許文献1〜4参照)。しかしながら、このような多価アルコールを置換したシラン誘導体において、外用剤の水性ゲル化剤としての使用は未だ試みられていない。
PCT国際公開WO03/102001号公報 サトラー(Sattler)ら、ベリヒテ デア ブンゼンゲゼルシャフト:フィジカリシェ ヒェミー(Ber. Bunsenges.Phys.Chem)、1998年、第102巻、p.1544〜1547 メイヤー(Mayer)ら、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー B(J.Phys.Chem.B)、2002年、第106巻、p.1528〜1533 シプノフ(Schipunov)、Jジャーナル オブ コロイド アンド インターフェース サイエンス(.Colloid and Interface Sci)、2003年、第268巻、68〜76頁 シプノフ(Schipunov)ら、ジャーナル オブ バイオケミカル アンド バイオフィジカル メソッド(J.Biochem. Biophys. Methods)、2004年、第58巻、25〜38頁
本発明は前記従来技術の課題に鑑みて行なわれたものであり、その目的は、温度変化や添加物質に対する形態安定性に優れ、且つ使用性に優れた固体ゲル状外用剤を調製することのできる化合物を提供することにある。
前記従来技術の課題に鑑み、本発明者らが鋭意検討を行なった結果、多価アルコールを置換した水溶性メタルアルコラート誘導体を調製し、これを水系の外用剤処方中に配合することにより、水中での加水分解・脱水縮合反応によって基剤を十分に固化することができ、得られた固体ゲル状の基剤は、温度変化や添加物質に対する形態安定性にも優れ、さらに使用時に容易に崩壊するため、指どれや塗布時の広がりといった使用性の点にも優れていることを見出した。また、水溶性メタルアルコラート誘導体の固化反応時に処方中でメソスケールの金属酸化物ゲル及び多価アルコールを生成することにより、外用剤として特に優れた使用感触が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる固体ゲル状外用剤の製造方法は、テトラアルコキシシランと、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールから選ばれるいずれかの多価アルコールとを、酸性イオン交換樹脂の共存下、5〜35℃の温度条件下で反応させて下記一般式(1)で示される水溶性メタルアルコラート誘導体を得る工程と、
前記工程により得られた水溶性メタルアルコラート誘導体を、水を含む外用剤処方中に添加する工程と
を含むことを特徴とするものである。
−(OR (1)
(式中、M はSi、R はエチレングリコール、プロピレングリコール、又はブチレングリコール残基であり、nは4である。)
また、本発明にかかる固体ゲル状外用剤の製造方法は、テトラアルコキシシランと、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールから選ばれるいずれかの多価アルコールとを、酸性イオン交換樹脂の共存下、5〜35℃の温度条件下で反応させて下記一般式(1)で示される水溶性メタルアルコラート誘導体を得る工程と、
前記工程により得られた水溶性メタルアルコラート誘導体と、水とを混合して固体ゲルを調製する工程と、
前記工程により得られた固体ゲルを外用剤処方中に添加する工程と
を含むことを特徴とするものである。
−(OR (1)
(式中、M はSi、R はエチレングリコール、プロピレングリコール、又はブチレングリコール残基であり、nは4である。)
本発明にかかる水溶性メタルアルコラート誘導体を水系の外用剤処方中に配合して調製した固体ゲル状外用剤は、温度変化や添加物質に対する形態の安定性に優れ、また、使用時に容易に崩壊するため、指どれや塗布時の広がりといった使用性の点にも優れている。また、さらに水溶性メタルアルコラート誘導体の固化反応時に生成するメソスケールの金属酸化物ゲル及び多価アルコールによって、外用剤として優れた使用感触が得られる。
本発明に用いられる水溶性メタルアルコラート誘導体は、下記一般式(1)で示されるものである。
−(OR (1)
(式中、MSi、R はエチレングリコール、プロピレングリコール、又はブチレングリコール残基であり、nは4である。)
本発明に用いられる上記一般式(1)に示される水溶性メタルアルコラート誘導体において、MSi原子である。なお、前記水溶性メタルアルコラート誘導体は、通常、アルコキシシランと多価アルコールとの置換反応により調製することができる。
本発明に用いられる上記一般式(1)に示される水溶性メタルアルコラート誘導体において、Rは多価アルコールの残基であり、多価アルコールにおける1つの水酸基が除かれた形として示される。なお、前述したように、前記水溶性メタルアルコラート誘導体は、通常、金属アルコキシドと多価アルコールとの置換反応により調製することができ、Rは、使用する多価アルコールの種類によって異なるが、例えば、多価アルコールとしてエチレングリコールを用いた場合、Rは−CH−CH−OHとなる。
上記一般式(1)におけるRとしては、エチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基のいずれかである。
本発明に用いられる水溶性メタルアルコラート誘導体としては、より具体的には、Si−(O−CH−CH−OH)、Si−(O−CH−CH−CH−OH)、Si−(O−CH−CH−CHOH−CH が挙げられる。
本発明に用いられる前記水溶性メタルアルコラート誘導体は、テトラアルコキシシランと、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールから選ばれるいずれかの多価アルコールとを、酸性イオン交換樹脂の共存下、5〜35℃の温度条件下で反応させることにより調製することができる。
テトラアルコキシシランは、Si原子にアルコキシ基が結合したものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。これらのうち、入手のし易さ、及び反応副生成物の安全性の点から、テトラエトキシシランを好適に用いることができる。
なお、テトラアルコキシシランの代替化合物として、モノ、ジ、トリ、ハロゲン化金属(アルコキシド)、例えばモノクロロトリエトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、モノブロモトリエトキシシラン、テトラクロロシラン等を用いる事も考えられるが、これらの化合物は、多価アルコールとの反応において、塩化水素、臭化水素などの強酸を生成するため、反応装置の腐食が生じたり、さらには反応後の分離除去が困難であるため、実用的であるとは言い難い。
多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールのいずれかを用いる
固体触媒は、酸性イオン交換樹脂である
固体触媒として用いられる酸性イオン交換樹脂としては、例えば、酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。このイオン交換樹脂の基体をなす樹脂としてはスチレン系、アクリル系、メタクリル系樹脂等が挙げられ、また、触媒活性を示す官能基としてはスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、4級アンモニウム、3級アミン、1,2級ポリアミン等が挙げられる。また、イオン交換樹脂の基体構造としては、ゲル型、ポーラス型、バイポーラス型等から、目的に応じて選択することができる。
酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライト IRC76、FPC3500、IRC748、IRB120B Na、IR124 Na、200CT Na(以上、ロームアンドハース社製)、ダイヤイオン SK1B、PK208(以上、三菱化学社製)、Dow EX モノスフィア650C、マラソンC、HCR−S、マラソンMSC(以上、ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。また、塩基性陰イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライト IRA400J CL、IRA402BL CL、IRA410J CL、IRA411 CL、IRA458RF CL、IRA900J CL、IRA910CT CL、IRA67、IRA96SB(以上、ロームアンドハース社製)、ダイヤイオン SA10A、SAF11AL、SAF12A、PAF308L(以上、三菱化学社製)、Dow EX モノスフィア550A、マラソンA、マラソンA2、マラソンMSA(以上、ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
固体触媒は、反応終了後にろ過あるいはデカンテーション等の処理を行なうことによって、容易に生成物と分離することができる。
また、本発明の製造方法においては、常温条件下、すなわち5〜35℃の温度条件下で反応を行なう。90℃を超える温度条件下で反応を行なう場合、反応装置の耐久性等の実使用上の問題があり、さらに反応溶媒として高沸点溶媒を用いる必要があり、溶媒の完全な分離除去が困難となる。こで、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール以外の多価アルコール、例えば、グリセリンを用いた場合には、常温条件下では反応生成物を生じない場合がある。
反応時には溶媒を用いなくてもよいが、必要に応じて各種溶媒を用いても構わない。反応に用いる溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、セロソルブ、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエステル、エーテル、ケトン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒、さらにはクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。ここで、原料として用いるテトラアルコキシシランの加水分解縮合反応を抑制するため、溶媒は予め脱水しておくことが好ましい。また、これらのうちで、反応時に副生成するエタノール等のアルコールと共沸混合物を形成して系外へと除去することで反応を促進することのできるアセトニトリル、トルエン等を用いることが好ましい。
本発明にかかる固体ゲル状外用剤においては、上記一般式(1)に示される水溶性メタルアルコラート誘導体から選択される2種以上のものを組み合わせて配合してもよい。前記水溶性メタルアルコラート誘導体の含有量は基剤を固化し得る量であれば特に制限はないが、外用剤全量中5〜60質量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜30%である。前記水溶性メタルアルコラート誘導体の含有量が5質量%未満では系が十分に固化されず、また60質量%を超えると硬くなりすぎてしまい、塗布しにくくなる場合がある。
上記一般式(1)に示される水溶性メタルアルコラート誘導体は、水中での加水分解・脱水縮合反応により、メソスケールの金属酸化物ゲルと多価アルコールとを生成する。このため、本発明においては、前記水溶性メタルアルコラート誘導体を、水を含む外用剤処方中に添加するだけで、容易に基剤を固化することができ、固体ゲル状の外用剤を調製することができる。また、本発明においては、前記水溶性メタルアルコラート誘導体と水とを混合することにより、予め固体ゲルを調製し、得られた固体ゲルを外用剤処方中に添加することによって、固体ゲル状外用剤を調製することも可能である。この場合、予め調製した固体ゲルは、そのままで、あるいは公知の分散機等を用いて適当な大きさに解砕した後、外用剤処方中に添加することができる。なお、予め調製した固体ゲルを外用剤処方中に添加する場合には、水溶性メタルアルコラート誘導体の固化に要する水分を外用剤処方中に配合する必要は無い。しかしながら、予め調製した固体ゲルにおいては、通常、多量の水が残存しているため、水系の処方中、あるいは乳化系処方の水相成分として添加されることが好ましい。
以上のようにして得られる本発明の固体ゲル状外用剤は、従来、水系基剤の増粘・ゲル化剤として用いられてきた天然又は合成の水溶性高分子を用いた場合と比較して、温度変化や添加物質に対する基剤の形態安定性に優れている。また、使用時に容易に崩壊するため、指どれや塗布時の広がりといった使用性の点でも優れている。さらに、前記水溶性メタルアルコラート誘導体は、水との反応時に金属酸化物ゲルと多価アルコールを処方中に生成するため、例えば、洗顔スクラブとして使用した場合には、塗布時に生成した金属酸化物ゲルによるスクラブ効果が得られ、また、化粧料の保湿成分として汎用されている多価アルコールの保湿効果により、使用後のしっとりした感触が得られる。
また、通常の外用剤基剤中において、例えば、酵素のような薬剤成分は、外環境の影響あるいは経時により失活してしまうため、基剤中での活性の保持が困難であるという問題があった。このような薬剤成分を本発明にかかる固体ゲル状外用剤中に配合した場合、当該薬剤成分がゲル構造中に包摂されることによって、構造の安定化による長期間の活性保持が可能となる。また、通常の外用剤基剤では、経皮吸収性の薬剤を配合した場合、皮膚に塗擦後の組成変化によって短時間で溶出あるいは経皮吸収されてしまい、薬効を長期間にわたって持続させることが難しいという問題があった。そして、このような薬剤成分を本発明にかかる固体ゲル状外用剤中に配合した場合、当該薬剤成分がゲル構造中に包摂されることによって、ゲル構造の崩壊に伴って薬剤成分が徐々に放出され、薬効を長時間持続させる事が可能となる。このため、本発明にかかる固体ゲル状外用剤においては、薬剤成分を好適に配合することができる。
本発明にかかる固体ゲル状外用剤においては、必須成分である上記一般式(1)に示される水溶性メタルアルコラート誘導体と水の他に、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で適宜他の成分を配合することができる。配合し得る他の成分としては、通常、化粧品、医薬品等の外用剤の基剤成分あるいは添加剤成分として用いられている液状油分、固形油分、各種界面活性剤、保湿剤、前記水溶性メタルアルコラート誘導体以外のゲル化剤、水溶性高分子、低級アルコール、多価アルコール、糖類、紫外線吸収剤、アミノ酸類、ビタミン類、薬剤、植物抽出物、有機酸、有機アミン、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、抗菌剤、防腐剤、清涼剤、香料、エモリエント剤、色素等が挙げられる。また、化粧品等に機能性を賦与する目的で用いられる美白剤、抗しわ剤、抗老化剤、抗炎症剤、発毛剤、育毛促進剤、タンパク質分解酵素などの薬剤、および外用薬の薬効成分としてのステロイド剤、非ステロイド剤を含む抗炎症剤、免疫抑制剤、鎮痛消炎剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗腫瘍剤、抗潰瘍・褥瘡剤、創傷被覆剤、循環改善剤、止痒剤、局所麻酔剤、酔い止め剤、ニコチン剤、女性ホルモン剤等を配合してもよい。
なお、本発明にかかる固体ゲル状外用剤において「固体ゲル状」とは、当該外用剤が常温で流動性の無い状態であることをいう。より具体的には、外用剤サンプルを試験管に充填したものを、常温で45℃に傾けたときにサンプルが直ちに流動しないものである。
本発明にかかる固体ゲル状外用剤の使用用途は、通常、人体あるいは動物に対して使用する外用剤であれば、特に限定されるものではないが、例えば、洗顔スクラブ、保湿スクラブ、酵素配合スクラブ、ファンデーション下地、美容液、乳液、クリーム、メークアップなどの化粧料、及びパップ剤、経皮吸収薬剤含有製剤等の他、種々の製品に応用することが可能である。
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
まず最初に、本発明にかかる水溶性メタルアルコラート誘導体の製造方法について説明する。
合成例1:プロピレングリコール置換シラン誘導体
Si−(OCHCHCHOH)
テトラエトキシシラン11.7g(0.085モル)とプロピレングリコール12.09g(0.16モル)とをアセトニトリル100ml中に添加し、透明一層の溶液を得た。これに固体触媒として強酸性イオン交換樹脂(DowEX 50W−X8:ダウ・ケミカル社製)0.8gを添加した後、室温で30時間混合攪拌した。固体触媒をろ過分離し、エタノールとアセトニトリルを減圧下留去して、透明の粘性液体14.5gを得た(収率:95.2%)。
合成例2:1,3−ブチレングリコール置換シラン誘導体
Si−(OCHCHCHOHCH
アセトニトリル55gに固体触媒として強酸性イオン交換樹脂(DowEX 50W−X8:ダウ・ケミカル社製)1.1gを添加し、テトラエトキシシラン20.8g(0.1モル)を溶解した。これに1,3−ブチレングリコール36.2g(0.4モル)を添加した後、室温で75時間攪拌混合した。約5時間経過した後、溶液がやや白濁し、若干の粘度上昇が認められた。75時間反応させた後、固体触媒をろ過分離し、次いでエタノールとアセトニトリルを減圧留去して、透明流動性の液体37.7gを得た(収率:97%)。
水溶性メタルアルコラート誘導体の外用剤への配合
本発明者らは、上記合成例に準じて各種水溶性メタルアルコラート誘導体を調製し、当該水溶性メタルアルコラート誘導体を配合した外用剤の調製を試みた。
実施例1,2(洗顔料)
下記表1の組成に従い、水溶性シラン誘導体、水、及び界面活性剤を平板ガラス瓶中に秤量添加後、振とう攪拌により均一混合し、室温で放置した。
Figure 0005238149
実施例1,2のいずれにおいても、1〜2時間の静置によって透明固体ゲルが得られた。実施例2では、その後の長時間の放置により不透明体に変化した。いずれの実施例についても、スパチュラを用いて少量を容易にかき取ることが可能であった。得られた塊状物質を手のひらに取ってこすると、速やかに崩壊して、しっとりした練り状粉末となった。また、少量の水を用いてこすると、さらに容易に拡がり、皮膚状に塗布、マッサージすることが可能であった。
実施例1においては、少量の水とともに肌に伸ばすことにより、水溶性シラン誘導体の脱水縮合・加水分解により生成したシリカゲルによるスクラブ効果が得られた。また、副生成したプロピレングリコールの保湿効果により、洗顔後のしっとりとした使用感触が得られた。実施例2においては、シリカゲルによるスクラブ効果と併せて、組成中に含まれる界面活性剤(アシルグルタミン酸塩)により適度な泡立ちと洗顔効果が得られ、使用後は実施例1と同様のしっとりとした使用感触が得られた。
実施例3〜5(洗顔料)
下記表2の組成に従い、水溶性シラン誘導体、水、及び界面活性剤を平板ガラス瓶中に秤量添加後、振とう攪拌により均一混合し、室温で放置した。
Figure 0005238149
実施例3では、数時間の静置により透明固体ゲルが得られた。実施例4は、約4時間後に不透明な固体ゲルとなった。実施例5は、約3時間後に白濁固化した。いずれの実施例についても、スパチュラを用いて少量を容易にかき取ることが可能であった。得られた塊状物質を手のひらに取ってこすると、速やかに崩壊して、しっとりした練り状粉末となった。また、少量の水を用いてこすると、さらに容易に拡がり、皮膚状に塗布、マッサージすることが可能であった。
実施例3においては、少量の水とともに肌に伸ばすことにより、水溶性シラン誘導体の脱水縮合・加水分解により生成したシリカゲルによるスクラブ効果が得られた。また、副生成した1,3−ブチレングリコールの保湿効果により、洗顔後のしっとりとした使用感触が得られた。実施例4,5においては、シリカゲルによるスクラブ効果と併せて、組成中に含まれる界面活性剤(アシルグルタミン酸塩)により適度な泡立ちと洗顔効果が得られ、使用後は実施例3と同様のしっとりとした使用感触が得られた。
実施例6(透明美白ジェル)
トラネキサム酸0.2gを脱イオン水7.6gに溶解し、これにプロピレングリコール置換シラン誘導体(Si−(OCHCHCHOH))2.2gを加えて十分に攪拌した後、ジャーに充填した。
室温で放置後、透明固体状のゲルが得られた。極めて透明性が高く、寒天状の固さを有する固体ゲルであるが、匙状アプリケータを用いて容易に適量をかき取ることが可能であった。得られた透明固体状ゲルを肌上でこすると、滑らかに拡がり、肌にしっとりとした感触が得られた。さらにトラネキサム酸の配合による美白効果及び整肌効果が得られた。
また、さらに上記組成より、プロピレングリコール置換シラン誘導体の量を2.0gに減量して混合攪拌したところ、やや軟らかい透明ゲル状物質が得られた。これを押し出しポンプ式容器に充填し、室温下、窓際に静置したところ、1ヶ月間経過の後もゲルの形態及び押し出し易さに何ら変化が無く、極めて安定であった。
薬剤成分の安定化
つづいて、本発明者らは、多価アルコール置換シラン誘導体を用いて調製した固体ゲル状外用剤基剤中に、薬剤成分を配合した場合の安定化効果について検討を行なった。
実施例7
プロピレングリコール置換シラン誘導体(Si−(OCHCHCHOH))0.2gを水1g中に溶解し、この溶液中にSubtilisin4μg/ml溶液0.2mlを添加混合し、一定時間静置した。得られた個体ゲルをスパチュラで破砕した後、遠心分離し、上静液を一定量採取した。同様にして被験試料を数種準備し、これらを各種温度(0℃,37℃,室温,50℃)に保持し、4時間後及び3日後の試料についてSubtilisinの酵素活性を測定した。酵素活性測定は、Tris−HC1緩衝液に添加したNα−p−トシル−L−アルギニンメチルエステル塩酸塩と各試料とを反応させた後、蛍光分光光度計により測定した。また、比較例として、プロピレングリコール置換シラン誘導体を用いなかった以外は実施例7と同様にして、Subtilisinの酵素活性の測定を行なった。
なお、酵素活性の数値は、比較例の試料を0℃で4時間保存したものの酵素活性を100.0として標準化した。上記酵素活性の測定結果を下記表3に示す。
Figure 0005238149
実施例8
プロピレングリコール置換シラン誘導体(Si−(OCHCHCHOH))0.2gを水1g中に溶解し、この溶液中にパパイン4μg/ml溶液0.2mlを添加混合し、96穴プレートに注入し、一定時間静置した。同様にして被験試料を数種準備し、これらを各種温度(0℃,37℃,室温,50℃)に保持し、2時間後及び3日後の試料についてパパインの酵素活性を測定した。酵素活性測定は、酵素の基質であるN−カルボベンゾキシ-フェニルアルギニン−4−メチルクマリンアミド(Z−PheArg−MCA)を直接96穴プレート中に添加し、20分間室温で放置した後、プレートリーダーにて酵素活性を測定した。また、比較例として、プロピレングリコール置換シラン誘導体を用いなかった以外は実施例8と同様にして、パパインの酵素活性の測定を行なった。
なお、酵素活性の数値は、比較例の試料を0℃で2時間保存したものの酵素活性を100.0として標準化した。上記酵素活性の測定結果を下記表4に示す。
Figure 0005238149
タンパク分解酵素は、角層剥離促進による肌改善の目的で化粧料に配合されているものの、上記比較例より明らかなように、水溶液中では温度の負荷あるいは経時により失活してしまう。このため、通常の場合は、乾燥状態で粉末製剤化するか、グルタールアルデヒド処理等の特殊な固定化によって含水製剤中での活性維持を図る必要がある。
これに対して、上記実施例7,8に示すように、本発明にかかる固体ゲル状外用剤においては、高温あるいは経時においても高い酵素活性が維持される。このため、通常の化粧品の保存条件において実用レベルの酵素活性を維持することができ、製造時の角質剥離効果が長期間保持される。
実施例9:固体ゲル状メーク落とし
Figure 0005238149
実施例9により得られた固体ゲル状メーク落としは白色ゲルであり、肌上で速やかに崩壊して滑らかに拡がり、また、シリカゲルによるスクラブ効果、及び多価アルコールによるしっとりとした使用感触が得られた。
実施例10:蛋白分解酵素配合固体ゲル状スクラブ
Figure 0005238149
実施例10により得られた蛋白分解酵素配合固体ゲル状スクラブは、肌上で速やかに崩壊して滑らかに拡がり、また、シリカゲルによるスクラブ効果、及び多価アルコールによるしっとりとした使用感触が得られた。
実施例11:蛋白分解酵素配合固体ゲル状美容料
Figure 0005238149
実施例11により得られた蛋白分解酵素配合固体ゲル状美容料は、肌上で速やかに崩壊して滑らかに拡がり、また、シリカゲルによるスクラブ効果、及び多価アルコールによるしっとりとした使用感触が得られた。
実施例12:固体ゲル状保湿ファンデーション
Figure 0005238149
実施例12により得られた固体ゲル状保湿ファンデーションは、肌上で速やかに崩壊して滑らかに拡がり、また、多価アルコールによるしっとりとした使用感触が得られた。
実施例13:固体ゲル状栄養クリーム
Figure 0005238149
実施例13により得られた固体ゲル状栄養クリームは、肌上で速やかに崩壊して滑らかに拡がり、また、シリカゲルによるスクラブ効果、及び多価アルコールによるしっとりとした使用感触が得られた。
実施例14:固体ゲル状マッサージクリーム
Figure 0005238149
実施例14により得られた固体ゲル状マッサージクリームは、肌上で速やかに崩壊して滑らかに拡がり、また、シリカゲルによるスクラブ効果、及び多価アルコールによるしっとりとした使用感触が得られた。
実施例15(洗顔料)
下記表11の組成に従い、水溶性シラン誘導体、水、及び界面活性剤を平板ガラス瓶中に秤量添加後、振とう攪拌により均一混合し、室温で放置した。
Figure 0005238149
実施例15では、混合直後に白色固体ゲルが得られた。また実施例15により得られた洗顔料は,スパチュラを用いて少量を容易にかき取り,手のひらに取ってこすると、速やかに崩壊して、しっとりした練り状粉末となった。また、少量の水を用いてこすると、さらに容易に拡がり、皮膚状に塗布、マッサージすることが可能であった。
また、口紅を手の甲に塗布し,実施例15で得られた洗顔料を少量加えてこすると口紅は速やかに消失し,使用後はしっとりした使用感触が得られた。

Claims (2)

  1. テトラアルコキシシランと、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールから選ばれるいずれかの多価アルコールとを、酸性イオン交換樹脂の共存下、5〜35℃の温度条件下で反応させて下記一般式(1)で示される水溶性メタルアルコラート誘導体を得る工程と、
    前記工程により得られた水溶性メタルアルコラート誘導体を、水を含む外用剤処方中に添加する工程と
    を含むことを特徴とする固体ゲル状外用剤の製造方法。
    −(OR (1)
    (式中、MSi、R はエチレングリコール、プロピレングリコール、又はブチレングリコール残基であり、nは4である。)
  2. テトラアルコキシシランと、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールから選ばれるいずれかの多価アルコールとを、酸性イオン交換樹脂の共存下、5〜35℃の温度条件下で反応させて下記一般式(1)で示される水溶性メタルアルコラート誘導体を得る工程と、
    前記工程により得られた水溶性メタルアルコラート誘導体と、水とを混合して固体ゲルを調製する工程と、
    前記工程により得られた固体ゲルを外用剤処方中に添加する工程と
    を含むことを特徴とする固体ゲル状外用剤の製造方法。
    −(OR (1)
    (式中、MSi、R はエチレングリコール、プロピレングリコール、又はブチレングリコール残基であり、nは4である。)
JP2006219901A 2005-08-12 2006-08-11 固体ゲル状外用剤の製造方法 Expired - Fee Related JP5238149B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006219901A JP5238149B2 (ja) 2005-08-12 2006-08-11 固体ゲル状外用剤の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005234773 2005-08-12
JP2005234773 2005-08-12
JP2006219901A JP5238149B2 (ja) 2005-08-12 2006-08-11 固体ゲル状外用剤の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007070354A JP2007070354A (ja) 2007-03-22
JP5238149B2 true JP5238149B2 (ja) 2013-07-17

Family

ID=37932112

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006219901A Expired - Fee Related JP5238149B2 (ja) 2005-08-12 2006-08-11 固体ゲル状外用剤の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5238149B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5258279B2 (ja) * 2007-12-18 2013-08-07 株式会社 資生堂 増粘剤組成物およびその製造方法
JP5436803B2 (ja) * 2008-06-30 2014-03-05 国立大学法人東北大学 水溶性ケイ素化合物及び水溶性ケイ素化合物の製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SU602503A1 (ru) * 1976-04-29 1978-04-15 Институт химии Уральского научного центра АН СССР Тетракис-(гидроксиалкиленокси)титан как катализатор переэтерификации и поликонденсации и способ его получени
JPH07285887A (ja) * 1994-04-15 1995-10-31 Oishi Kouseidou:Kk 貼付剤基剤
DE19641142A1 (de) * 1996-10-05 1998-04-16 Rewe Dea Ag Fu Verfahren zur Herstellung von dispergierbaren Alumosilikaten
US6472198B1 (en) * 1998-05-15 2002-10-29 The State Of Oregon Acting By And Through The State Board Of Higher Education On Behalf Of Oregon State University Slow release substrates for driving microbial transformations of environmental contaminants
DE60329753D1 (de) * 2002-05-31 2009-12-03 Univ Mcmaster Mit polyol modifizierte silane als ausgangsstoffe für kieselsäure

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007070354A (ja) 2007-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1133421C (zh) 含油和合成表面活性剂的液体个人清洁组合物
EP2861204B1 (en) Alkyl glycoside-based micellar thickeners for surfactant systems
WO2008032703A1 (en) Silica composite capsules obtained with water-soluble silane derivative, composition containing the same, and transparent gel-form composition
WO2007020893A1 (ja) 水溶性メタルアルコラート誘導体,その製造方法及びこれを含む固体ゲル状外用剤
US20090005449A1 (en) Structured compositions comprising betaine
CN101068528A (zh) 可沉积免晒美黑有益剂的个人护理组合物
CN1946375A (zh) 可沉积亲水有益剂的个人护理组合物
CN101052375A (zh) 可沉积亲水有益剂的个人护理组合物
CN1328817A (zh) 固体油包水型乳剂化妆品组合物
KR101145060B1 (ko) 제형 안정성을 개선시킨 o/w 형 화장료 조성물
CN113440432A (zh) 祛痘调理剂、祛痘面膜组合物及其制备方法
EP1952794B1 (en) Cleansing composition
JP5238149B2 (ja) 固体ゲル状外用剤の製造方法
JP5172119B2 (ja) 透明ゲル状化粧料
JP2008044891A (ja) 外用組成物用配合剤
WO2015162904A1 (ja) 液状の高純度糖誘導体変性シリコーン又はその組成物の製造方法
KR101596021B1 (ko) 필링 화장 재료 및 그의 사용 방법
CN106413681A (zh) 配混神经酰胺的外用剂组合物
KR20150076477A (ko) 지속적인 보습 효능을 갖는 오일 세안료 조성물
CN101243094A (zh) 水溶性金属醇化物衍生物、其制备方法及含有该物质的固体凝胶状外用剂
EP3708141A1 (fr) Procédé de traitement capillaire avec une composition cosmétique compre-nant des particules d'aérogel de silice hydrophobe et un polymère épaissis-sant acrylique particulier
JP2004269488A5 (ja)
JP2011079771A (ja) 皮膚外用剤
JP2008094833A (ja) ミセル−シリカ複合カプセル、エマルション−シリカ複合カプセル及びそれらの製造方法
KR101913795B1 (ko) 천연 고분자 물질 스클레로튬검을 이용한 입술 각질제거용 버블 클렌저 화장료 조성물의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120501

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120629

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130312

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130401

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160405

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees